6.議事の概要
(1)開会
○事務局より、配布資料の確認があった。
(2)第五分科会報告書(案)について
○事務局より、資料2「第五分科会報告書(素案)」の作成の経緯について、以下のとおり説明があった。
- 本素案は、これまでに行われたプレゼンテーションや各委員の発言内容をもとに事務局が起草したものを各委員に配布し、それに対して寄せられたコメントをもとに改訂したものである。
- 23ページと29ページに、必ずしも意見が一致しておらず議論が必要な事項について注釈を加えているところがある。
- 36ページの第Z章に本分科会の提言事項の案を記述した。これは、第五分科会からの提言として、策定会議(長期計画策定会議)が長期計画を策定するに当たって参考にするもので、事務局が報告書本文から重要と思われるものを抽出している。
○座長より、議論の進め方について、以下のとおり発言があった。
- 第Z章の提言と図表のイメージはこの場で初めて提示したものであり、議論が必要である。
- 最初に報告書全体の構成、書きぶりについて意見をもらったあと、順を追って本文について議論していきたい。
○座長より、第五分科会報告書(素案)の構成について、以下のとおり説明があった。
- 12ページの「2.暮らしの質を高める放射線利用」という項目名は削除する。
- 24ページの「W.安心につながる安全を確保するために」という項目名は削除する。
○事務局より、資料2に添付されている図表について、以下のとおり説明があった。
- 図表はイメージとして示したもので、どういうものがよいか、議論して欲しい。
- 図表の番号は、参照している章−節−項目の番号などで示してある。
- 図表の作成に当たっては、プレゼンテーションで紹介された図表などをもとに完成させる。
(2−1)全体構成について
(座長)
- 他の分科会の報告書との整合性についてはどうなっているのか。
(事務局)
- 本分科会の報告書は全体的に説明調になっており、ページ数も他の分科会に比べて5割増しになっている。
- 放射線利用を進めるに当たって、これまで放射線利用が国民に理解されていない実態があり、理解を深めてもらうために説明が多くなり、文章が長めになるのは仕方のないこと。これが本分科会の特徴と考えられる。
- 全体構成はこれでいいと思う。
- 「原子力利用」と「放射線利用」の違いが明確でない。第T章又は第U章でその使い分けを明確にすべきである。
- 「原子力」が任意に使われており、「放射線利用」と明確に区別されていないのが気になる。
- 8ページの第V章第1節に「RIのトレーサ利用」も加えるべきである。
(座長)
- RIのトレーサ利用は、放射線利用の基礎・基盤研究の重要性とも関連しており、考慮したい。
(座長)
- 専門的な目でみると個々の表現について異論があるかもしれないが、全体的によくまとまっていると思う。
- 我々の身近なところや意外なところでの放射線利用の例をわかりやすい絵で紹介すると、放射線利用への理解が進むきっかけになる。どんな例がよいか、プレゼンテーターには指示をお願いしたい。
(座長)
(座長)
- 医学利用や農業利用は比較的知られているが、工業利用は意外に知られていないので実例を挙げて紹介すべきである。
(木元原子力委員)
- 一般的に使われている工業製品、例えばフロッピーディスクなどの情報革命の分野で使われている製品にも放射線が利用されていることを絵を使ってわかりやすく紹介すれば、楽しく理解が進むはずである。
- 報告書は全体的にこれでいいと思う。
(遠藤原子力委員)
- 報告書の文章の長さは確かに他の分科会の5割増しかもしれないが、分科会の性格上、やむを得ないかもしれない。
- 報告書自身はよくできているが、まだわかりにくいところがあり、もっとやさしく表現する努力をして欲しい。
(2−2)第T章及び第U章について
(座長)
- 「原子力利用」と「放射線利用」の明確な定義づけを第T章又は第U章で行う必要がある。
- 放射線利用は約100年前に始まり、50年ほど遅れてエネルギー利用が始まった歴史がある。放射線利用に携わる人たちは、原子力を利用しているという感覚をもっていない。
- 初期の頃には、「原子力利用」は「エネルギー利用」と「放射線利用」に分けて考えられ、それらが車の両輪となって「原子力利用」は発展してきた経緯がある。「原子力利用」を広く捉え、具体的にいう場合には「エネルギー利用」と「放射線利用」を使い分けるのがいいのではないか。
- 物理的な定義によると、「原子力」は核反応により生じるエネルギーをいい、そのエネルギーを利用したものが「原子力利用」と考えている。核反応の際に放出されるエネルギーが放射線である。一方、医療で扱うX線は、陰極線(電子を加速したもの)が電極(タングステンなど)に当たった際に発生する電磁波であり、核分裂によって生じる放射線ではない。この辺りがまぎらわしい。
- 「原子力利用」と「放射線利用」は、どう使い分けしているのかをはっきりさせないとまぎらわしい。
- 加速器の発達とともに、「原子力」という概念はかわってきている。近年は「放射線利用」が独立して発展してきているため、単純な図式で区別できるものではない。
- この報告書の中では、「放射光」の利用と「原子力」のかかわりが明確に理解できなかった。「放射光」は放射線であるが、核反応によってできたものではなく、「原子力」との関係が理解できない。
- 原子力利用では、放射性物質や放射性廃棄物が発生したり、放射性物質そのものを利用したりするが、放射光利用の場合には放射性廃棄物は発生するのか。同じ利用ならば、廃棄物が発生しない方が好ましい。この辺りを整理して記述すればわかりやすくなるのではないか。
- 一般の主婦向けに原子力について説明するときには次のように紹介している。この世のものは全て原子からできている。原子には、もともと少し余分なエネルギーをもったものがあって、そのエネルギーを放出して冷えるものと、最初から冷えているものがある。余分なエネルギーをもった原子が変化していくときに放出されるエネルギーを熱エネルギーとしてお湯を沸かすのに利用したものが原子力発電である。また、余分なエネルギーをもった原子が冷えたときに出すエネルギーを放射線と呼ぶ。エネルギーを担っている媒体にはヘリウム原子核や電子、中性子などがあり、担い手によって放射線の種類は異なる。原子の真ん中にある固まり(原子核)は200以上の粒からできているが、その固まりが分裂(核分裂)すると小さな熱を出す。個々の熱は非常に小さいが、数が多くなるとお湯を沸かせるくらいの熱になる。それを電気に変えたのが原子力発電である。以上の説明は、短絡的な表現かもしれないが、学問を教えるわけではないので、何となく理解してもらえればよいという考えでしている。
(座長)
- 汚染の問題についてはどうか。
- エネルギーがまだ高い状態の原子が物質に混じっているのが放射性物質、それが廃棄物として捨てられる場合には放射性廃棄物と呼ばれる。お湯が次第に冷めて水になるように、余分なエネルギーをもっている原子はエネルギーを出して安定な状態、すなわちエネルギーがもう出ない状態に落ち着き、ほとんどの原子は放射性でないものにかわっていく。放射能には半減期があり、次第に減っていくということを最初に理解してもらうことが重要である。話は更に汚染と被ばくにつながっていき、外部被ばくと内部被ばくのうち、現行法令でより厳しく規制しているのが内部被ばくであると説明している。
- 「線源」の説明が抜けている。例えば、50ページの自然放射線と人工放射線の説明にあわせて「線源」を整理する方法もあるのではないか。
- 「原子力」は原子核から出るエネルギーであり、原子核から放出される放射線は「原子力」に含めて考えられる。一方、X線や放射光は、原子核からは放出されないが、加速器によってつくられるエネルギーであり、「放射線」の仲間である。
(座長)
- 本分科会では、X線の利用は放射線利用の1つとして「原子力」に含めて考えてきた。「原子力」を原子核に由来するものだけに限定して考えてはおらず、原子に関連した全ての放射線の利用を「原子力」の応用と考えて扱っている。
- 放射線を原子核が壊れて出てくるものだけに限ると、対象が一部の放射線だけになってしまうため、人工的につくり出したものも含めた全体を扱っているということを解説する必要がある。
(座長)
- 原子力を「原子の力」と考えた方が解釈しやすいのではないか。その場合、原子核に起因して出てくるものと、原子核のまわりを回っている軌道電子に起因して出てくるものを一緒に扱うことができる。対象を原子核に限定してしまうと「原子力」の定義がまぎらわしくなる。原子がもつ力をどのように利用するかという切り口で放射線利用を捉えた方がわかりやすいと思う。
- (1)専門家の間でも、意図的に原子力について厳密に定義せずにで使っている場合がある。(2)エネルギー利用が成熟していなかった時代には放射線利用をあえて原子力に含めて推進してきた経緯がある。ところが、次第にエネルギー利用が発展してくると、逆に放射線利用は隅に追いやられてしまい、今は放射線利用は原子力の一部として捉えられている。(3)放射線の定義も明確ではなく、必ずしも法律で定められているものだけが放射線とは限らない。このような状況を報告書に記述するとわかりやすくなるのではないか。
- 専門家の間でも議論になっているように、原子力利用と放射線利用は理解しにくいものである。第T章で述べられている「放射線利用の光と影」はこの分科会の重要なキーワードであり、ここの記述をわかりやすくしないと誰も安心してこの報告書を読み進めようという気にならない。
- 原子力利用においては、最初から平和利用が先行していたわけではなく、原爆があったことを忘れてはならない。報告書では、なぜ原爆が影かということに言及しておらず、人間が原子力を恣意的に軍事目的に利用したという事実を書かないと原爆の影に言及したことにならない。
- 第T章の「放射線利用の光と影」に「一方、原子核エネルギーの持つ巨大な潜在力は、兵器にも利用されました」とあるが、あたかも予期しないことに利用されたような印象を受ける。ただでさえ政府機関のコメントに対して懐疑心をもつ国民は、非常に疑いをもってしまう。影を取り上げた理由と書き方は慎重でなければならない。
(座長)
- 原子力利用と放射線利用の関係をうまく説明すべきという指摘を考慮して表現を工夫したい。
- 第U章第1節は、これまでの指摘を踏まえて書き直す。
- 第U章第2節(3)は、山下委員のコメントをもとに修正が必要である。
- 8ページの上から6行目は、放射線が当たった全ての物質が放射能を帯びるような誤解を招くため、例えば「物質によっては放射能を帯びさせる」などと限定された対象に対する性質であることを明記すべきである。
(座長)
- 放射線の性質に触れる際には、量的概念あるいは質的概念をきちんと入れるとともに、明らかに誘導放射能が生じないことを明確に記述するようにしたい。
(座長)
- 誘導放射能のように国民が不安に思っている事柄を正確に記述しないと逆に不安をかき立てるようなことになるため、慎重に表現する必要がある。
- 8ページの上から6行目は、「・・・放射能を帯びさせる性質によります」で終わっているが、放射線のエネルギーを考えれば問題はないとか、対策もあわせて記述すれば誤解がない。
(2−3)第V章について
- 14ページの第2節(2)Dでは、食品照射の今後の課題として照射技術の開発や照射食品の健全性の研究の必要性について述べているが、すでに世界では実用化されている。照射技術については、医療用具の滅菌に使われている技術を応用することが可能である。従って、「照射技術は実用化の段階に入っている」と表現するのが適当である。
- 照射食品や照射原料を用いた加工食品を検知する技術にはまだ研究開発の余地があるものの、医療用具の滅菌照射のように、照射量や照射時間などを正確に管理するトレーサビリティ制度(ユーザーの計測器がどういう経路で校正されたかがわかり、その経路がきちんと国家標準までたどれること)が確立していれば、検知技術は必ずしも必要ではない。従って、「我が国でも問題ないレベルに達している」と表現した方がよい。
- 食品照射の記述は香辛料中心になっているが、世界では香辛料の食品照射は一般化している。最近では、食品衛生の確保の観点から食中毒防止を目的とした食肉への食品照射を行おうという新しい動きが欧米などにある。O157の問題や食の安全を考えた場合、香辛料よりもむしろ食肉などへの照射について言及した方がいいのではないか。
- 10ページの第V章第2節のタイトルは、「よりよい暮らしに役立ち社会に活力を与える放射線利用」の方が望ましい。
- 14ページの第V章第2節(3)@の上から7行目は、農薬はすべて汚染の原因になるというように受け取られてしまう。農薬は、危険性もあるが、使い方を間違わなければ不可欠なものであり、表現を改めてほしい。
(木元原子力委員)
- 諸外国での実例を示した方がいい。特に食品照射については、O157などの食中毒を防止するために、生肉や加工肉の殺菌に食品照射を行う動きが諸外国にある。具体的に食品名をあげて記述してほしい。
(座長)
- 食品照射の目的として、細菌以外にもウイルス感染の防止も含めていいのではないか。
- 文章に入れていいと思う。
(遠藤原子力委員)
- 14ページの第V章第2節(2)Dの第2段落に関係省庁の連携についての指摘があるが、具体的に何をイメージしているのか。
(座長)
- 放射線利用は分野が広く、1つの分野でも監督官庁は複数にまたがっている場合が多い。現状では省庁間の横の連携が悪いため、利用の現場では困っていることがしばしばある。例えば、食品照射の場合には、厚生省が認めないと普及が進まない現実があるので、長期計画の中でも触れるべきだと思う。しかし、問題点を具体的に記述すると差し障りも出てくるため、うまい書き方があれば教えて欲しい。
(遠藤原子力委員)
- 長期計画の実施にあたって、原子力委員会が関連省庁の尻をたたいて食品照射の普及に向けて音頭をとれといっているのか。
(座長)
(木元原子力委員)
- この場に関連省庁の担当者の姿が見えないのが現実を物語っている。各省庁が放射線利用に対して関心をもっておらず、放射線利用を自分の省庁の問題として捉えていないのならば、放射線利用はその省庁自身の問題だという意識をもつように報告書へ書き込んだ方がよい。
(座長)
- これまでの会合では厚生省の放射線専門官は熱心に傍聴していた。
- 省庁連携の問題については、提言の中にうまく盛り込みたい。
(2−4)第W章について
- 全体的にみると低線量放射線の被ばくが中心に記述されており、19ページの第W章第1節@はそれにあわせて書き直しが必要。例えば、A〜Cで低線量放射線の影響がわかっていないと述べていることとの整合性をとるため、@の第1段落の8行目にある「この被ばくによる影響は、すぐに目に見える形で現れるのではなく、後になって現れる可能性があります」は、「・・・現れる可能性があり、現在もその検討が続いています」という表現にかえた方がよい。
- Aのタイトルは、「低線量放射線被ばく影響研究の現状」が正確な表現である。
- 第W章のタイトルからすると、一般の住民も対象にした低線量被ばくも念頭に置いていると解釈されるので、記述内容については武部委員の確認が必要である。
(木元原子力委員)
- 放射線の生体への影響というと、一般市民は過度の被ばくをイメージして読んでしまう。最初に、日常的に受けている放射線について説明し、それは健康に何ら問題がないことをいえば、安心して読み進むことができるはず。放射線が全て怖いような印象を受けないように記述した方がよい。
- 第W章第2節に書かれている「リスク」は、非常に難しく、わかりにくいところである。同節(1)Cのリスク論と安全の考え方はいろいろあり、どこを重要と考えているのかを明確にし、慎重に記述しないとその後の展開に影響を及ぼしてしまう。最終的な落としどころを見据えてリスクと安全を考えていくことが必要である。
- 放射線の生体影響にしきい値があるかどうかが議論になっているが、放射線の安全について一般市民が最も気にしているのはどんな低線量でも健康に影響があるかどうかということである。しかし、そのことは、まだ学問的にわかっていない。
- しきい値があることを実証することは難しく、必ずしもそれが正しい理論であるとは限らない。この辺りについての記述も必要である。
- 低線量被ばくのデータについては、統計の取り方や母集団の取扱いについて問題が指摘されている。自然放射線の多い地域の中にがんの発生が少ない地域があるという報告があるが、疑問視する人もいる。しかし、少なくとも、がんが増えるという明確なデータはないということはできる。従って、どんな低線量の放射線でも人体に害があるという考え方は再検討する必要がある。
- リスク論の考え方を整理し、その考え方に基づく具体的なリスク数字とともに一覧表にすればわかりやすいのではないか。この一覧表を見ればリスクについて全て理解できるようになればいい。
(座長)
- 具体的な一覧表のアイデアがあれば、ぜひ出して欲しい。
- 化学物質のリスク論の場合にも、発がん性化学物質で量とその影響が直線関係で表されるかどうか科学的にわからないものについては、米国では国民の健康を守るという政策的な観点で直線外挿を行うと決めている。そのような化学物質の濃度がどの程度低かったら安全かを判断する際に、ある数字以下のリスクでは安全という考え方の「実質的安全」という言葉を使っていたこともある。
- リスクについては、リスク源からの影響に関する科学的な事実とそれをもとにした安全の考え方を分けて整理する必要がある。
- リスクについて事実と考え方を分けて書くべきである。
- しきい値に関連して、21ページの第W章第1節Cの最後の3行は重要な表現である。「低線量放射線の生体への影響の解明は、原子力と放射線利用のための安全確保の基本」という研究推進の必要性を述べるところで止まっているのが現状である。事実はどこまでわかっていて、どう安全を考えるのかを明確に書く必要がある。
(遠藤原子力委員)
- 27ページの第W章第4節(2)の国際被ばく医療協力の内容には同感であり、個人的にも前向きに考えている。この国際的支援に必要な資金は、現在どうしているのか、今後誰が負担するのか。
- チェルノブイリへの支援については、1990年に日本と旧ソ連の間で交わされた2国間外相覚書協定により、日本政府はWHO(世界保健機関)を通じて26億円を支出し、それは住民の健康診断に使われた。その成果については、評価の難しいところがある。
- 当時の日本船舶振興財団(現在の日本財団)がチェルノブイリ・笹川プロジェクトを1991年に立ち上げ、5年間で合計35億円を投入した。これは現在も継続しており、1996年から2001年にかけて約数億円が投入される予定である。
- この他に、チェルノブイリには、いろいろなNGOや長崎県・長崎市から人事交流や専門家の派遣に対して毎年数千万円単位の資金が支援されている。
- セミパラチンスクに対する支援は始まったばかりで、1996年以降、広島大学と長崎大学による定期的な現地調査のために文部省から予算が出ている。
- 昨年9月に開かれた国連の東京会議で、セミパラチンスクの被ばく者医療支援のために、JICA(日本国際協力事業団)を通じて今年の夏から3年間で無償資金協力と技術協力合計数億円相当の投入が約束されている。
- 放射線による影響は、晩発性のため、長期的に継続した医療協力が必要とされる。国際支援は、医療協力の他に、被ばくについての知識や被ばく医療技術の移転、我が国における低線量放射線被ばくと全体の安全防護に関係する情報収集が目的であり、これと科学技術庁が行っている実施可能性の検討結果がうまく結びつけば、来年度以降、日本の顔の見える国際支援が可能となる。
(遠藤原子力委員)
- 第六分科会でも国際被ばく医療協力については長瀧委員から強い要望が出され、現状では省庁間の縦割り的な対応が問題となって支援体制が必ずしもうまくいっているとは限らないとの指摘がある。その辺りを第六分科会の報告書との整合性も考慮してまとめてほしい。
(座長)
- 第六分科会の報告書(案)をみながら整合性をとっていきたい。
- 29ページの上から7行目から18行目までについて、我が国ではICRP(国際放射線防護委員会)勧告よりも更に安全な考え方で法的な規制を行っており、それが必ずしも実状とあっていなかったり、合理的でなかったりしているのは事実であろう。
- 問題はここに例示されている女性の職業被ばくの基準の考え方で、基準を低く抑えている理由は胎児の保護ではなく、母体の保護ではないのか。その母体保護は、本当に社会的にみて合理性の議論の対象として適切だろうか。もっと説得力のある事例を示すべきだと思う。
- 29ページのAで「合理性」という言葉が使われているが、本当に21世紀にふさわしい言葉であろうか。もっと適当な表現はないだろうか。
(座長)
- 女性の防護の問題については放射線審議会でもかなり議論し、ICRP勧告とは異なる方向に結論づけようとしている。
(木元原子力委員)
- 女性の職業被ばくの基準は、我が国がICRP勧告よりも更に安全な考え方で法的な規制を行っているという事例がわかりやすくていい。
- 我が国が女性の職業被ばくの基準を低く抑えている理由について、胎児を守るためという表現ではなく、妊娠の可能性のある女性を守るためといういい方をしている。これには、自主選択の考え方が採られており、この辺りのニュアンスを含めて記述してはどうか。
(座長)
- 職業をもつ女性に対する社会的な考え方が、欧米と日本ではかなり差があることも一因になっているのではないか。この件について、意見調整を行う必要がある。
(2−5)第X章について
- 33ページの第X章第3節(1)Aについては、少し不明確な表現となっている。クリアランスレベル(放射性物質として取扱う必要のないレベル)には減衰の概念は含まれず、ある時点で含まれる放射性核種の濃度とその検認について検討されている。よって、第2段落の6行目の出だしを、例えば「一方、現在原子力安全委員会で・・・」とすべきである。
- 短半減期のRIについては、一定期間保管したのち、放射性廃棄物として扱わないための検討が行われている。この際の安全評価の考え方はクリアランスレベルと同様である。
(2−6)第Z章について
○事務局より、第Z章の提言について以下のとおり説明があった。
- ここに示した提言内容は、報告書(素案)の中の重要な事項を単純に抜き出したものだが、まだ総花的になっており、議論して欲しい。
- 提言は抽象的ではなく、できるだけ具体的に書いた方が迫力がある。例えば、放射線教育について、原子力は重要な国の政策であり、学校教育の中で原子力や放射線がどういうものかを理解してもらうことは重要であるが、そのためには、原子力や放射線を中等・高等教育の教科書で取り上げて正しい理解を促進する必要があるといった具体的な提言内容を記述すべきである。
- 教科書に記載するに当たっては、「原子力」と「放射線」の区別や互いの関係を明確に伝える必要がある。その際には、厳密な説明にこだわらず、わかりやすい表現を心がけるべきである。
- 提言の語調や構成は、本文に準拠する形が好ましい。本文のように項目をまとめ、例えば、(1)社会的な利用を促進するために、(2)安全を確保するために、(3)利用を活性化する基盤的な課題、(4)国際協力などに分ける方法もある。
- 放射線教育の最後にコミュニケーションの問題を取り上げているが、コミュニケーションは情報公開と共有につながるものであり、構成をかえた方がよい。
- この提言は、全体的に総花的で、文章の推敲が必要である。
- 医療分野について、放射線治療だけが強調されているが、放射線を利用した診断と治療を並列に位置づけないと医療分野での放射線利用は促進されない。
- 緊急被ばく医療と国際被ばく医療協力については、より簡明、簡潔、正確に記述すべきである。原則として国内では緊急被ばく医療への対応が可能であるが、国際社会における緊急被ばく医療を我が国だけで進めていくのは困難である。ICRPなどの国際機関との連携が必要であり、チェルノブイリやセミパラチンスクでの実績を踏まえた、すでに被ばくした人々への対応に広島・長崎の知識が役立つという主旨のことを書くべきである。これは、被爆体験を踏まえた我が国の役割にも関連しており、後で文案を示したい。
(座長)
- 原子力・放射線に関連した行政の運用に係る課題についても提言に入れるべきである。現状では、放射線利用に関連した予算を一括して、ある1つの省庁に丸投げしているため、他の省庁から予算要求しても予算配分の優先度が下がっている。省庁の上に立つ機関が関連省庁を統括し、省庁の横の連携を密に保ちながら放射線利用の予算の適正な配分を行うようなシステムが必要である。法的な規制に関しても同様である。新しい原子力委員会がその役割を果たすのかはわからないが、各省庁を統括して全体的な運用、規制、研究の推進などを図るシステムが必要という主旨のことを提言に盛り込んでもらいたい。
(座長)
- 新しい原子力委員会への期待としてまとめて記述してもいいかもしれない。
(事務局)
- 座長が指摘した役割は、来年発足する新しい原子力委員会が担う予定になっている。
(座長)
- それについて一般市民は十分な認識をもっているわけではないので、あえて分科会報告書を通じて訴えるべきだと思う。
(座長)
- この精神で新しい原子力委員会や原子力安全委員会が役割を果たし、横断的に省庁が連携していくことを重ねて要望していくことは悪いことではないと思う。
- 「入れ物」ができたからといって、そのとおり機能するとは限らない。ぜひ提言に盛り込むべきである。
- 従来、原子力委員会の決定として科学技術庁が原子力関係費を一括計上し、それを配分してきたが、そこに問題があるとするならば、現在の原子力行政での予算配分などを細かく点検して踏み込んだ提言をする必要がある。しかし、そこまで踏み込むのは長期計画として妥当だろうか。それとも今後の科学技術行政の課題として原子力分野におけるあるべき姿を示していくのか、検討が必要と思われる。
(座長)
- 本分科会が扱っている放射線利用分野に係る予算配分の問題を指摘している。例えば、文部省では放射線利用に関連した予算における各大学への配分が不十分であり、法改正が行われて放射線利用施設の手直しが必要になっても予算措置を講じられないのが実状である。一方、事故があったりすると急に予算がついたりして、系統だった予算配分が行われているとはいえない。長期計画で扱っているような大きな枠でくくられる研究開発の予算ならば、原子力委員会が統括して配分することは可能だが、その大きな枠に含まれていない小さな放射線利用研究が問題である。それらも含めた放射線利用全体として適正な予算配分が行われるようなシステムが必要である。
- 基本的な考え方には同意する。現状でも小さな課題まで含めて予算を一括計上しており、制度自身はすでに整っている。問題は、提言内容として、中味まで踏み込むかどうかということである。
(座長)
- その制度が十分に活かされていないことを問題にしたい。希望として書くべきである。
(座長)
- 新しい原子力委員会は、これまでの反省をもとに生まれかわろうとしており、あえて中味まで踏む込まずに、重ねて期待する形でいいのではないか。
- 制度的には、ここ2、3年でかわってきている。原子力委員会の放射線利用推進専門部会では、応募されたテーマに対する事前評価と中間評価を実施しており、チェック機能は果たしていると考える。
(座長)
- 研究費のみならず、規制の問題もあり、原子力委員会や原子力安全委員会が一括してバランスのとれた目配りをする必要がある。
- 例えば、放射性医薬品の輸送については厚生省が監督しているが、IAEA(国際原子力機関)の輸送規定が改められた際に日本でも改めるべきだと改正案を答申したが、未だに対応されていない。また,放射性医薬品として用いられるRIと同じものであっても、研究用RIとして扱われる場合には、その輸送は科学技術庁と運輸省が厳しく監督しているのに、一旦、医薬品として扱われると厚生省の管轄になり、異なる輸送の規制が適用されている。省庁間の連携を密にしてバランスのとれた規制が必要である。
(座長)
- 新しい原子力委員会や原子力安全委員会への期待については、起草してから検討したい。
(木元原子力委員)
- 38ページの提言項目の「規制法のあり方」を「規制法と運用のあり方」に変更し、久保寺座長が指摘した予算や規制の運用面での問題点についても記述してはどうか。監督省庁によって運用が異なっており、矛盾がある。
(2−7)図表のイメージについて
(座長)
- 図表については、なるべくわかりやすくしようと努力しているが、まだイメージの段階なので整理が必要である。
- 図表は本文中に組み入れるのか、別にして添付する形をとるのか。
(事務局)
- 第U章の放射線の理解に関する図表は、本文中に入れた方が理解しやすいと考えている。
(座長)
- 図表は、多少正確さを欠いても、わかりやすくした方がいい。
- 51ページと52ページの図の整合性をとるべきである。
(事務局)
(木元原子力委員)
- 43ページの放射線の単位についてはわかりやすく整理すべきである。
(事務局)
- できるだけ文章を避け、図を用いて視覚に訴えるようにしたい。
(木元原子力委員)
- 54ページにある、世界で食品照射が実用化されているものの中には冷凍食品もかなり含まれているのではないか。加工後にパッケージの状態で照射しているものはないのか。
- 後で調べて知らせたい。
- 図表が工業利用に偏っているので、他の利用分野とのバランスを考えて整理した方がよい。
(2−8)報告書の仕上げについて
- 策定会議への報告について、分科会報告書とは別に要約版を出すのか。この提言はその役目を果たすのか。
- 報告書の完成に向けた今後の予定を教えて欲しい。
(事務局)
- 6月5日に開催される策定会議に本分科会の報告書を提出し、両座長が報告書に基づいてエッセンスを報告する。
- 策定会議は、分科会報告書のエッセンスを抽出して長期計画を策定する。その際、エッセンスとしてここに書かれている提言内容が長期計画に反映されることになろう。
(座長)
- 6月5日までに報告書の最終版を完成させる必要があり、本日の議論によっては5月26日にもう1度審議の場を設ける可能性がある。
(事務局)
- 本日のコメントを踏まえて改訂版を作成したい。
- 5月26日に会合を開くかどうか議論したい。もし、5月26日に開催するならば、5月22日までに資料2に対するコメントを提出して欲しい。
(座長)
- 5月26日に会合を開催して改訂版について議論するか、会合を開催せずに報告書の仕上げを座長に一任してもらって、改訂版を委員持ち回りで確認して完成させるか、意見を述べて欲しい。
(座長)
- 生体影響やリスク論など問題になっているところがあり、それらを整理する意味でも本日欠席の委員も交えた議論をもう1度行ってはどうかと思う。
(座長)
- 再度、議論が必要と思われるので、異論がなければ5月26日に会合を開催したい。
- 素案に対するコメントをもとに、できるだけ最終版に近いものを仕上げたい。
(3)閉会
○事務局より、次回(第9回)会合について、以下のとおり開催する旨説明があった。