平成12年4月17日
計算科学技術について(改訂版)
日本原子力研究所
齋藤 伸三1.計算科学技術の重要性
最近のコンピュータ及びネットワーク技術の急速な進歩に支えられ、科学技術の研究開発では、実験や理論と並んで、計算科学が第3の方法として基礎研究における新現象の探索はもとより、新技術の開発や設計などに活用されている。原子力における計算科学技術では、高放射線下での構造材料挙動、放射線の生体影響などの解明において、量子状態のシミュレーション技術が要になっているように、21世紀には、科学技術のパラダイム変換として、20世紀の電子技術から量子技術への移行が期待されている。計算科学は高額な実験の代替手段ともなり、また、知識の体系的蓄積にも役立てられるので、原子力の先端分野においても、その一層の浸透が求められる。2.計算科学技術の一層の活用に向けての提言
1) 原子力の先端的研究開発において、大型装置の設計や現象の理解、新現象の予測に資するため、計算科学技術を積極的に活用する。 2) 計算科学技術を用いることにより、研究開発の大幅な進展が予想される材料科学、環境科学、生命科学、プラズマ物理等の分野において、高精度の予測性能を目指した原理的な手法(例えば第1原理分子動力学)の開発を不断に進める。 3) 原子力分野における量子技術等に関するソフト技術開発により、新治療薬や新素材の発見など科学技術一般での利用・普及を加速し、さらに、新世紀の科学技術教育インフラ整備にも貢献するのみならず、原子力エネルギー利用において安全を第一に据える考え、すなわち安全文化の先導など原子力に係る社会的受容の一層の増進に役立てる。 4) このような開発により、研究開発の省力化、効率化に寄与するのみでなく、科学技術知識の体系的な蓄積・継承を図る。 ○ 上記の活動を先導し支援するため、既存の研究開発機関が有する計算センター等をネットワークで結合し、計算科学技術における相互乗り入れ可能な全国的な推進体制を整備する。 ○ この推進体制のもとに、材料、環境、生命科学、プラズマ物理等の分野で、世界のトップを目指した手法開発等を戦略的に進める。
