長期計画策定会議第四分科会報告書の
取りまとめに関するコメント

 

 

平成12年4月17日


長計第四分科会のまとめの視点について

東北大学工学研究科 石井 慶造

 

視点1:原子力科学技術の国民の理解が今、急務
 原子力科学技術の長期計画を考える上で、原子力科学技術についての国民の理解を得ることを切り離して議論できないのでは。したがって、学校の教育での原子力科学技術、および原子力科学技術の国民の理解を深めるなどについての議論が本分科会でも必要。

視点2:計画の内容の具体性
 この10年間程度の計画は、核融合炉、加速器科学など現在すすめられている計画を実現させることが主。したがって、50年、100年の計画を議論することになる。その計画に対する精神論および方法論的な議論は重要であり、これまでいくつかなされてきている。具体的内容の議論の中に、若干空想的な大規模なものも取りれて議論することが必要ではないか。
 例えば、
 1)15年間の計画:
  核融合炉、先進型原子炉…(これまでの技術開発の継続)
 2)50年間計画:
  人工惑星(太陽系内開拓のための原子力技術開発)
  原子力地下探査機(地球内部の開拓のための原子力技術開発)…
  10−33cmの世界の解明のための超高エネルギー加速器の開発…
 3)100年間計画:
  原子力光速ロケット(銀河系内開拓のための原子力技術開発)、…
 4)100年以上の計画:???
  など。

 



第四分科会のまとめ方について

井上 信幸

 第4分科会が、研究開発要因の強い分野をとり扱っているということは認識致しますが、一方、原子力長期計画のもとであることも考え、国として、国民全体の将来の生活を守り、発展させるために国家が行う研究として、どのようなものを、どのような方針で行うべきであるかを検討し、結論を集約すべきと考えます。具体的には、

 現在のところ、かなり理念的な話が進んでいることは理解しておりますが、最終的には、原子力関連先端研究分野ー加速器、放射光、研究炉、計算科学、核融合ーをどのように位置付け、進めるかの指針を与えることが目的と考えます。抽象論で終わっては、個々の具体的な研究分野については、従うべき指針が見えなくなる恐れがあります。今までの総花的であったきらいのある長期計画への反省としては、理念に立ち戻る必要はあると思いますが、その結果は明確に示し、各研究分野について具体的な記述が必要と考えます。

 


長期計画策定会議第四分科会のとりまとめに関する意見

富士電機株式会社 大瀬克博

 

 本分科会における審議のとりまとめは、これまでの審議をもとに、先端的研究開発に関する理念をまとめ、つぎに具体的研究開発分野各々についての考え方を展開することとし、次のような構成とするのが、理解しやすいと考える。
 なお、広く国民に理解されることが重要であるため、特に難解となりがちな具体的研究開発分野については、わかりやすい言葉で記述するよう特に注意を払うことが重要と考える。

1.先端的研究開発の理念
  先端的研究開発総体としての考え方を、次の観点からまとめる。
(1)先端的研究開発の必要性、意義
(2)先端的研究開発推進の方向性
(3)研究開発体制・役割分担・評価のあり方
(4)研究開発の活性化・人材育成
(5)国際社会との関係

2.具体的研究開発分野の推進方策
  未踏分野への挑戦:見る・極める・創るの3観点から、
  持続可能な発展:環境との調和・エネルギーとしての可能性・安心して使える技術の3観点から、
  具体的研究開発分野毎に、次のようにまとめる。
(1)21世紀に向けた研究開発の必要性
   21世紀の原子力開発利用における位置付け
(2)研究開発の意義
   開発成果の社会的意義
(3)研究開発の現状と課題
   世界の状況と我が国における開発課題
(4)研究開発の進め方、体制
   基本的考え方
(5)国際社会との関係
   国際社会への発信、競争、連携

本分科会報告書のうち、革新的な中小型炉については、次の骨子でまとめることが適当と考える。

(1)21世紀に向けた研究開発の必要性
   21世紀の新たなニーズを満たす原子炉の開発
  • 革新的安全概念・技術による高い安全性と経済性[安心して使える技術]
  • 不確実な時代に対応した小型分散電源[エネルギーとしての可能性]
  • 原子力エネルギーの多様な利用[環境との調和]、[エネルギーとしての可能性]
  • 世界への普及に適した原子炉[安心して使える技術]、[環境との調和]、[エネルギーとしての可能性]
  • 若い世代への魅力的技術分野の提供
(2)研究開発の意義
  • 高い安全性と経済性を備えた新たな原子力プラントの実現
  • 国内での意義:エネルギー供給の多様化、電力供給・立地の多様化、技術開発の活性化
  • 国際的意義:原子力エネルギー利用の普及、地球環境問題解決への貢献、エネルギー供給安定化、途上国発展への貢献
(3)研究開発の現状と課題
  • 各種炉型と開発状況(アイデア段階、実証段階、実用に近い段階)、各段階に対する課題
(4)研究開発の進め方、体制
 基盤技術開発・プラント概念検討を要する炉については、公募による研究開発の活性化を盛り込みながら、開発対象概念を絞り込み、適宜評価しながら研究開発を進める。基盤技術開発・基本概念検討は、国主導で官・学・民が協力して進め、共同の横断的評価の場を設ける。
 基盤技術は開発済みで、実用化のための技術開発と実証が残された段階の炉については、実用化に向けたフィージビリティー検討を実施し、総合評価により原子力政策の中での位置付けを明確化する。そのうえで、開発を推進する。実用化のための検討・開発は、国の支援の下、官・民協力して実施し、試験研究炉を活用する。官民共同の評価の場を設ける。
 なお、実証済みの技術に基づき、実用段階に近い炉については、具体的ニーズに応じて、民間主体に実用化を図る。
(5)国際社会との関係
  • 我が国はフロントランナーとして国際協力を主導
  • 国際的ニーズを考慮した開発、国際協力による開発の効率化
  • 国による条件整備

以上

 


長期計画第四分科会報告書のとりまとめ方に関するコメント

東大 岡 芳明

1.研究用原子炉
  • 材料試験、ビーム利用、人材育成等に大きい役割を果たしている。
  • それぞれの炉の特徴を生かす方向でその性能を向上し維持する必要。ホット試験施設の高度化整備も重要。
  • 研究炉の使用済燃料、廃棄物処分について包括的な対策を用意し実施できるようにすることが国民の原子力の信頼確保の上でも重要

2.中小型炉

  • 技術革新の視点で様々な研究を行うべき。出力の大小は技術革新の追求にとって本質的ではない。

3.技術革新と原子力工学研究教育

  • 原子力工学は総合工学でその研究開発によって多くの分野の技術革新を進めると期待される。
  • 技術革新のためには研究予算を多様化し特定の対象に限定されない研究環境整備が必要。
  • 大型プロジェクトの推進により周辺の特徴ある研究環境が失われないような配慮も必要。
  • 技術と科学はスパイラル的に発展する。両者のバランスのとれた研究開発が必要である。
  • 技術革新には設備のみならず人材や利用運営体制などソフトの整備充実も重要である。


原子力委員会長期計画策定会議第四分科会
報告書のとりまとめ方についてのコメント


上坪 宏道

次の点をとりまとめに入れるのがよいと思います。

原子力の考え方を明確にする
1)実用化技術を中心にしてとらえる現在の原子力のイメージを改める視点が大切である。20世紀の科学のバックボーンは基本的な思考法、理論、実験手法や実験技術を含めて原子科学がリードして作り上げてきたことを強調する。
2)科学と技術と技能が密接に関連して、自然の理解が深まると同時に社会を豊かにする工業技術が進んできたこと、原子力はその全体をカバーする重要な分野であり、現代社会を支える基盤的技術をなしていることを明確にする。個人的には科学と技術を短絡的に分けて考えることにはあまり賛成できない。
3)エネルギー源としての原子力だけでなく、原子力の多面性(加速器、原子炉、核融合など)と加速器、原子炉、核融合装置が持つ多面的な有用性を強調する。

ビッグプロジェクトとしての原子力計画の進め方
1)原子力計画は殆ど全てがビッグプロジェクトであるので、その進め方の原則をここのプロジェクトとは切り離して確立する。
2)計画立案の基本的な考え方として、フロントランナー計画であること、計画実現の後の計画、国内計画とするか国際計画で進めるのか、また、そのメリット、デメリットなどを明確にする。
3)評価の視点としては、個別評価だけでなく比較(相対)評価が重要、また、評価のフィードバックの仕組み、評価のデータベース化が必要ではないか。
4)計画推進の在り方として、途中で大幅な計画変更や予算増加がないように、R&Dを含めた計画策定の信頼性を高める。
5)技術継承と技術移転が重要である。特にこれまでの我が国の在り方を変えて、推進者(計画策定と基本設計)、システムインテグレーション(実施設計と製作、建設の総括)、企業(製作設計と製作)の役割と責任を明確にする。技術継承の重要な役割はシステムインテグレーションが果たすのが適当と思われる。
6)デマンドプルとテクノロジープッシュが対比されているが、これをベースにして安易に大型計画を比較するのは危険である。加速器を含めてデマンドのない計画は無意味であることが多く、また、必要なテクノロジーはデマンドがあって開発されることが多い。

加速器計画の取り扱い
1)加速器計画は成果を上げてこそ成功であるとの考え方を確立する。そのため、大型計画では計画段階、建設終了段階及び研究開始後適当な時期の少なくとも3段階で評価を行う必要がある。
2)今後我が国で建設が望まれる加速器計画は、中小型計画、大型計画、超大型計画に分けて別個に基準で検討する必要がある。とくに中小型計画は加速器応用を指向するものが多く、計画が安易にながれて優れた性能のものを実現する努力に欠ける場合がみられる。計画を進める基準が必要であろう。
3)今後我が国で実現すべき大型計画、超大型計画は全て世界のフロントランナーとしての果たすように計画されるべきである。そのため、性能、研究計画、運営の全般に亘って評価することが望まれる。
4)個々の分野について言えば、分科会で報告されたものは必ずしも我が国の全計画を含んでいない。その取り扱いをどうするかは検討を要する。

核融合計画について
1)核融合計画とくにITER計画を単なる実用化技術(核融合炉実現に至る必要技術の開発)とするのではなく、広い応用分野を開く原子力基盤技術として考えることが必要であろう。
2)国際協力のメリット、デメリットを十分検討すべきである。とくにこれまでに行われて国際協力のデータを検討して、デメリットの克服を考えるべきである。

持続可能な技術開発の立場からみた原子力開発
 現在の時点で、持続可能な技術としての原子力はどうあるべきかを明確にする、あるいは検討する。例えば、製造段階及び利用段階でのエネルギー利用効率、物質利用効率の考え方など。


原子力長期計画策定会議第四分科会に関する意見

電子技術総合研究所 小林直人

1.検討目標とこれまでの検討項目
(1)先端的・総合的科学技術としての原子力
 光・荷電粒子・中性子など加速器を利用したビーム発生・利用技術は原子力技術発展の一翼を担ってきた。その発展の推進力となり、その結果として原子力の先端技術が寄与したのは基礎科学の進展と、産業への応用である。
 一例を挙げれば、イオン注入技術は現在半導体産業においてデバイス作成のための不可欠の技術であるが、そのシーズは原子核実験のためのイオン加速器の研究開発にある。また、SR(シンクロトロン放射光)を半導体のリソグラフィーに利用する試みもそうである。原子力のこの分野での研究開発過程で、超高真空技術・検出器技術・精密計測分析技術・データ収集処理技術など他分野への波及効果も大きい基盤技術を生み出してきた意義も大きい。その意味で先端的・総合的科学技術としての原子力の果たす役割は今後とも大きい。

(2)未踏領域への挑戦
 ビーム発生・利用技術は、その種類、時間的空間的特性、エネルギー、ビーム特性などさまざまな未踏領域を有しており、今後も加速器の開発とその利用は原子力先端研究の大きな柱となる。たとえば、第4世代の放射光と言われているSASE(Self Amplified Spontaneous Emission;自己増幅自発放射)法を利用したコヒ‐レント高輝度放射光などはその好例である。これは我が国で開発が遅れており、その開発に関しては早い段階での議論が必要である。また先端科学技術として確立された技術の産業科学技術としての利用なども挑戦的分野である。

(3)持続可能な技術の発展
 今後の世界の持続的発展のためには、エネルギーの恒常的供給は今以上に重要であり、核分裂炉利用の原子力発電は今後とも必要であろう。この点については研究開発方針の明確化とその国民への恒常的説明が重要である。一方、将来のエネルギー源を考えた時、今後とも息の長い核融合研究が必要である。その研究はいまだ基礎研究の段階にあり、今後特に若手研究者が意欲と意義を感じられるよう研究開発をリードすることが必要である。核融合研究の有用性に関する説明責任(アカウンタビリティ)も重要である。

2.議論の視点と展開
(1)原則
 原子力の研究開発の中での先端的研究分野はシーズ開拓型が優先されるべきであるが、加速器開発等には他の研究分野に比べて研究予算が多く必要とされるため、シーズのみではなく大局的・基盤的な視点で方向性の議論がなされるよう配慮すべきである。一方、原子力以外の分野から見たとき、原子力の特殊性が過度に強調されないよう留意すべきである。

(2)研究開発におけるバランス
 原子力研究開発に限らず、科学技術の研究開発は、(1)科学技術の発展、(2)経済的な寄与(産業への寄与、エネルギーの確保)、(3)環境・人間福祉・安全性の向上、の観点から推進すべきである。加速器等ビーム技術に関しては、シーズ開拓型で進めるべきである。しかし、国のリソース(予算、施設、研究者等)の制限から、その活用に関しては柔軟性を持たせつつ大局的に判断・評価する場を恒常的に設けるべきである。一方、核融合開発は将来のエネルギー源開発と言う明確なミッションがあるのでそこに至る道筋を常に見極めつつ基礎研究を推進する必要がある。

(3)Priority評価
 研究開発の優先度については先端的基礎研究については、基本的には独創性と推進研究者のポテンシャル(competence)を重視すべきである。またその産業応用を考慮する場合、これに加えてその技術の経済的効用、国際的競争・協調の効果も重視すべきである。

(4)実施していくための視点
2―1研究開発体制
 研究者数の最も多い大学においては、第一に研究者の独創性を重視した研究開発体制が望ましいが、予算・研究者数等ある程度の大きな規模が必要である研究課題においては組織化がなされるべきである。一方国公立研究所においてはそれぞれミッションを重視した研究推進がなされるべきであり、その組織としての戦略的取り組みを踏まえた上で大学、研究所、産業界との役割分担が必要である。また産業界においても原子力基礎研究分野の研究者が多数おリ、特に産業応用の分野で、大学・研究所との連携は強化すべきである。

2―2評価
 プロジェクトの実施の事前評価については、先端的基礎研究については上述の独創性と研究者のポテンシャルを重視すべきである。また核融合研究についてはより高い観点からの可能性の事前評価をすべきである。中間評価については、国際的競争等種々の周囲状況の変化等を考慮して、柔軟な研究変更等が出来るよう評価を行うべきである。事後評価については、今後の発展性を含めて評価すべきである。事前評価において厳密な評価は必要であるが、むしろ事後評価も重視すべきである。またその評価はあまり短期的視点にこだわるべきではなく、長期的視点を重視すべきである。

2―3フロンティア科学技術の継続的発展
 安全性や高性能使用を支える技術力の確保は極めて重要な課題である。そのためには教育を含めた人の育成が最も重要である。若い人に夢と意欲をを持たせる方策が必要であり、先端的研究に夢を抱かせるような、プロジェクトの推進が重要である。

2―4国際社会の中で
 21世紀においても我が国は科学技術の分野でリーダーシップの発揮と国際貢献をすることが内外から求められている。そのためには我が国が極めて高い研究開発水準を維持していくことが最重要である。欧米諸国との国際協力は今後とも密に行うことは当然であるが、さらにアジア・オセアニアの国々への協力も必要である。

2―5その他
 原子力先端研究の積極的推進が科学技術の健全な発展上必要であるが、特に産業技術としての方向性も重視したい。現在シンクロトロン放射光が学術研究のみならず、リソグラフィー、微細加工技術、精密計測評価技術として極めて有効であることが示されているように新たなビーム技術も産業応用をも視野に入れた研究開発が望ましい。

 


第四分科会のまとめ方(案)

齋藤伸三

第四分科会のテーマ:未来を拓く先端的研究開発
 検討すべき課題(平成11年5月、原子力委員会決定)
  • 加速器、レーザー、核融合、研究炉等の分野における先端的研究開発の将来展望と、世界に向けて優れた成果を発信しうる国全体としての研究開発体制のあり方について検討する。

まとめの構成としては、

1.はじめに(背景)
  ↓
2.先端的研究開発の理念
  ↓
3.先端的研究開発(個別分野)の現状と将来展望
(検討した項目のプライオリティ付け(可能なら)も含む)
  ↓
4.研究開発の効果的な実現に向けて(提言)   ↓
5.結言
の流れが考えられる。

 ”実現に向けて”、できる限り具体的指針を提言できないか。ただし、現行長計への批判(根拠のないスケジュール、非現実的な計画を示す、等)を踏まえることは必要。

1.はじめに(背景)
 原子力の研究開発(科学・技術といってもよい)の果たすべき役割

  • 地球環境と人類の存続のための貢献
    食糧、エネルギー、資源等の確保
  • 従来のキャッチアップ「効率的2番手」型からフロントランナーとしての独創性重視型への転換
  • 加速器・レーザー等の原子力研究開発基盤の充実による利用についての新しい可能性の萌芽
  • 国民(若者)の参加

2.先端的研究開発の理念
(前提条件)

  • 科学技術基本計画の3つの柱の実現を目指す
    −知的存在感のある国
    −安心・安全な生活ができる国
    −国際競争力のある国

2.1研究開発体制
  • 国全体としての研究体制のあり方、大学・研究所等の役割・連携(省庁統合との関連まで踏み込むか)、産業界との結びつき

2.2 評価の在り方

  • 最適な実施体制、適切な評価活動、評価を反映させる方策

2.3 フロンティア科学技術の継続的発展

  • 技術力の確保、継承・保持・改善、人の育成、環境整備、資金確保の方策、etc.
  • 一流の研究者のリーダーシップの尊重と研究遂行への助成

2.4 その他考慮すべき重要項目

  • 人材の育成
    −優れた人材を育成する大学院大学の位置づけを明確に持てるようにすべき。
    (高校生、教師の受け入れも含む?)
    −多様な人材育成方策(各種研究機関での教育、実習、・・・)

  • 民間・地域との共生
    −知的資産の新産業創生への活用システムの整備
    −積極的な情報発信(広報、特許・成果の公開)

  • 国際競争性と国際協力
    −米国、欧州、アジア・オセアニアの三極体制で動いている世界における日本の独自性、競争優位性に留意した研究開発組織の樹立
    −アジア・オセアニア圏のリーダとして、またセンターとしての役割、かつ、世界のトップランナー、トップクラスを確立、欧米の一流の研究者との交流を実現できる拠点作り

3.先端的研究開発の現状と将来展望

 どれだけ詳細に出すか判断する必要があるが、個別の研究分野について、以下の(1)、(2)の観点に基づき、目的の成果が出るまで目標とするタイムスパン、期待される成果(波及効果)等を整理をしてはどうか。
 その際、個々の研究に関して、世界的にどの位置にあるか、どの位置まで進むのか、先進性を明確にできないか。

(1)新発見、理論・公式の構築等につながる純基礎研究

 直接の応用を意識しない研究だが、その分野における世界的に偉大な発見、理論の構築等で、成果が得られればノーベル賞等世界的な賞の受賞が期待されるもの。

(2)新材料、新薬品の創成等、産業等に役立つ目的基礎研究
   (国家的社会的課題への対応を意識した研究)
 どの産業にどのように役立てるかを明示的に有する基礎研究。得られた成果を実用化するために、さらに研究開発が介在することもあり、上記(1)の成果がその時点で(2)となることもある。

−直接の応用を意識しない研究から、国家的社会的課題への対応を意識した研究まで対応

3.1 未踏分野への挑戦
光、荷電粒子、中性粒子源の開発による新たな研究の方向性の検討
−加速器による放射光、中性子、荷電粒子、さらには強力レーザーが切り拓く科学
−「見る」、「創る」、「極める」という観点からの技術分析
−研究開発の意義、将来展望

具体的項目

  • 放射光分野(関連報告:ユーザの立場からの期待)
  • 中性子科学分野(関連報告:中性子散乱と科学技術)
  • 荷電粒子分野(関連報告:元素分析技術(PIXE)の利用等)
  • レーザー科学分野(関連報告:量子ビーム研究と核融合研究)

3.2 持続可能な技術の発展
これまで培ってきた技術の将来の可能性
−核融合の研究開発、研究炉、中小型炉の研究動向、将来展望、国際競争力
−「環境との調和」、「エネルギーとしての可能性」、「安心して使える技術」の観点からの検討

具体的項目

  • 核融合研究開発推進の意義と将来展望
    −持続可能な発展のためと先端技術のシーズとしてー
    −実現に向けての開発戦略-
  • 核融合の研究について
  • 研究用原子炉の将来展望と課題
    −技術革新と大学の原子力工学研究教育
    関連報告:「研究炉機構」について
    研究炉燃料について
  • 革新的な中小型炉の開発について

個別分野の共通な基盤を為すものとして、計算科学技術の活用(全国ネット形成)を入れてはどうか。計算科学技術については、次の4章の適切な箇所での指摘でもよい。

プレゼンテーションの資料からの引用、場合によってはイメージを事務局に伝えてわかりやすい図表を作成し、それらを挿入した説明が有効であろう。(別添参照)

「大きく見て、大きく捉える」の考慮

3.3 個別の研究分野の重点化(プライオリティ付け)
3章冒頭の(1)、(2)の観点による評価結果

4.研究開発の効果的な実現に向けて(提言)
4.1 国の果たすべき役割
4.1.1 研究開発体制

  • 国全体としての研究体制の具体的在り方
  • 大学・研究所等の役割・連携の具体的在り方
  • 産業界との結びつきの具体的形態
 研究には、大型の研究施設・装置等が必要な場合もあり、それらの施設・装置を広く外部にも開放することは重要であるが、施設・装置を有する研究所等には研究の核を持たせるべきであり、単なるサービス機関化すると、その組織は衰退することに注意を要する。

4.1.2 研究評価

  • 最適な実施体制の実現、適切な評価活動の実施、評価の反映に係る具体的方策
    −原子力委員会に常設の専門部会を置く

     研究評価は詰まるところ、研究の目的の成果が出るまでの時間スケジュール、期待される成果等を整理することと研究の進め方について、その研究の先進性を見究め、重点化することをある間隔で行うことである。要は、どこが、どれだけの知力を集めて評価し、また、推進することができるかである。欧米でも21世紀に向けて極めて戦略的に研究開発を進めようとしており、我が国も世界的にトップクラスあるいは世界をリードする又はすべき分野の研究を協力に進める戦略を持つべきである。

4.1.3 人材の育成

  • 技術力の確保、継承・保持・改善のための具体的方策
    人の育成、環境整備、資金確保の具体的方策、etc.

4.1.4 成果の活用

  • 成果を積極的に社会へ還元

4.1.5 国際競争力の確保、国際協力の具体的在り方

4.1.6 民間・地域との共生

4.1.7 その他(予備的検討報告書にも指摘されている課題の具体的方策)

4.2 民間の果たすべき役割

4.3 その他の考慮すべき問題

  • 研究炉使用済み燃料の処理・処分
  • 運用後の加速器、研究炉等の処理・処分

別 添

例)資料からの引用(加速器の位置づけ、上坪委員)

科学技術研究開発と加速器の位置づけのイメージ

 


第四分科会の取りまとめについて

共同通信社科学部長 田崎耕次

 東海村ウラン加工工場臨界事故を挟んで半年余りにわたる第四分科会の意見取りまとめに当たって、私達が第一に留意しなければならないのは、これまでの長計報告のような、研究開発計画を平板に羅列したような記述を避けることだと考える。
 事故、不祥事に対する全般的な総括は全体報告に譲るとしても、各分科会が臨界事故をそれぞれの立場で総括しないままでは「何を論議したのか」との疑問が示されることは間違いない。
 プレゼンテーションでも述べたが、第一から第三の各部会の審議テーマをざっと眺める限り、今から百年後はおろか、通産省が温暖化対策で新規立地を図るとした年限である2010年以降の原子力発電計画をどうするかとの議論は進んでいるように思えない。
 通産省は2010年頃までに新規に建設する軽水炉を、従来の二十基から約十三基に減らした。十三基という原子炉自体、現状では難しい情勢だ。このことは冷静に考えれば、現状の軽水炉はあと十三基で終わってしまうことになる。一方、2010年ごろに軽水炉から高速増殖炉に移行できる状態でないことは、明かである。
 従って、2010年から2100年までの原子力開発をどうするのかが、先端的研究開発で第一に考えねばならないテーマである。
 このため2100年という長期展望にたって、核融合発電の超長期計画を立てることが取りまとめの作業で重要である。2100年というのは地球温暖化防止計画で、大幅な温室効果ガス削減の目標年次とされており、数十年単位での開発計画を示すべきである。
 ただ、核融合発電が実用化可能と期待されるのは、伊藤委員などの説明でも2100年ごろであり、軽水炉の新規立地が不可能になった段階から2100年までの原子力発電計画と、必要な先端的技術を示さなければ、部会報告としては不十分ではないだろうか。
 一方、分科会で討議されたテーマのうち、科学分野は年次計画で「開発すべき」対象に当たるのだろうか。そろそろサイエンスの分野を、科学技術計画から切り離すべきだと考える。既に何人かの委員から提案があったが、取りまとめの会議ではあらためて切り離し問題の集中討議を求めたい。

(了)

 


第四分科会の報告書について

谷畑勇夫

構 成
1.原子力とその目的(粒子に根ざした先端的基礎研究を社会の基礎とするために)
2.原子力開発基礎研究の現状と将来
3.原子力開発基礎研究のあり方
4.新しい政策と研究システム
5.原子力開発基礎研究の育成のための留意点

内 容
1.原子力とその目的(粒子に根ざした先端的基礎研究を社会の基礎とするために)
 1.1粒子や原子核の反応に根ざした幅広い科学技術

  • 光、荷電粒子、中性粒子を理解し、さらに、それを使ってミクロの世界が持つ性質・機能を見つけ出し、理解し、活用する方法を見い出すこと。
  • 放射線の利用、粒子加速装置の開発やその利用研究、及び新しい原子エネルギー発生を目的とする開発研究。
 1.2物質的側面のみならず、科学的なものの考え方の革命という知的活動や精神的な面からも、人類に貢献。
  • 自然界の構成要素を探ることは、人類の知的活動及び文化の、創造や発展に資することを包含する。
 1.3人間社会と地球環境の調和を図り、人類の持続的発展に貢献。
 1.4原子力の多様な可能性を広げるとともに、それを活用する総合科学技術として、エネルギー技術開発等の基礎を築く。
 1.5・・・・

2.原子力開発基礎研究の現状と将来
 2.1加速器・粒子科学
 2.2放射線利用による基礎科学
 2.3科学技術のシーズ開拓
 2.4エネルギー生産の総合的開発の基礎
 2.5・・・

3.原子力開発基礎研究のあり方
 3.1他の分野の研究や社会での実用化に向けた<シーズの提供>と新しいニーズの開拓<テクノロジー・プッシュ>の両方を十分認識し、ニーズ先行型の研究開発<ディマンド・プル>に重点を置く。
 3.2独創性を最大限に引き出し、成果の先駆性を正当に評価される環境の中で研究開発を進める。
 3.3大学における原子力の研究も含めた産官学の連携、分担等、国全体として整合を取る。
 3.4国際的分担・協力のもと我が国が積極的に貢献できる領域を見極め、先進諸国の一極を担う責任をもつ。
 3.5計画の独自性や独創性に評価を与える。
 3.6・・・

4.新しい政策と研究システム
 4.1計画の策定から実現までの新しいプロセス..(原子力委員会の役割・機能も含め、再構築する必要)
 4.2中期計画の策定法
 4.3実行計画の評価の方法

  • 中長期的ストラテジーにのっとった評価基準を設定
 4.4広く人材を集める(流動的)メカニズムの構築
 4.5他省庁との連携を進めるための方策
 4.6・・・

5.原子力開発基礎研究の育成のための留意点
 5.1独創的、チャレンジングな研究課題を重視。
   減点法でなく加点法、絶対評価より世界レベルの相対評価。
 5.2<テクノロジープッシュ>の側面を理解し、ニーズ重視型研究に対して不利にならない配慮。
 5.3・・・

 


第四分科会報告書のとりまとめの視点について

平井康晴

 

  1. 国民にとって原子力に関連する先端技術開発が,広い意味で幸せをもたらす大切な活動であり,投資であることが素朴に理解出来るような内容であること(国民の利益)。

  2. 原子力に関連する先端技術が,「環境」,「健康」,「安全」等の視点から見て,大きな有効性(効果)と柔軟性(容易に破綻しない)を持つものであることが理解される内容であること(社会との整合性)

  3. 原子力に関連する先端技術開発は,システムが大がかりな場合でも,研究者の新しい着想が進歩の源泉であり,それに基づいて中核技術が形成されることが理解される内容であること(基礎研究の重要性)。

  4. 原子力に関連する先端技術開発は(原子力に限らず),研究途上で,当初目的に無い発明・発見があるものであり,そのことへの期待も含めたものであることが理解される内容であること。

  5. 先端技術開発で他をリードするためにはスピードが大切であるが,そのためには,個々の研究者の努力もさることながら,システムの効率が非常に重要であり,そのためのシステム(意志決定,実行・評価)作りの努力が必要であることが理解される内容であること。

  6. 先端技術開発での産官学の協力については,産業界への「技術移転」と言う考え方があるが,本来,各界は棲みわけるより相互乗り入れが必要であり,「技術移転」(棲みわけ的なイメージ)より,相互乗り入れ的な発想が必要であることが理解される内容であること。

     


九州電力(株)
福永 節夫

長期計画策定会議第四分科会
「未来を拓く先端的研究開発」の報告書のまとめ方に関するコメント

1.まとめ方に関するコメント
 具体的な研究開発項目に限られた議論ではなく、原子力先端技術開発の理念及び仕組(意義・方向性、研究開発体制・役割分担の考え方等)と具体的な研究開発項目を区別したものとすることを望む。

2.以下の項目について、理念・仕組の中で言及することを希望する。
(1)社会的認知の獲得

 原子力の先端的技術開発は21世紀の科学技術あるいは産業を支える基盤として重要である。
研究開発の推進に当たっては、その必要性、重要性等についての社会的認知の獲得が前提である。

(2) 研究開発計画及びその成果についての評価の仕組み
 実施計画及び結果の評価に際しては、研究成果の進展や社会状況の変化に的確に対応するための実効ある評価システムの構築が必要であり、長期的視点の基に定期的にチェックアンドレビューしローリングできる様な柔軟性を持っておく必要がある。
 また、外部評価による透明性の確保という観点も重要である。

(3)研究開発の状況・成果に関わる情報発信及び技術移転方策の仕組み
 研究開発の状況及び成果に関する判り易い情報の発信及び交換により産業界への利用・応用の促進を図るための情報及び技術移転システムを構築することが重要である。
 また、原子力の先端的技術開発は、新技術・新産業の創出による地域の活性化、あるいは放射線利用等による豊かな社会の構築につながる幅広い可能性を持つことから、先端的技術開発に関する一定の役割を地方にも担わせ、併せて民間との積極的な情報交流、効果的な民間への技術移転が望まれる。

(4)研究開発に関わる人材育成方策
 エネルギー・環境・放射線についての教育を充実し、若者の参加意欲増進を図ることが重要である。

(参 考)


<報告書構成について>(素案)
 第四分科会第6回会合資料「原子力長期計画策定会議第四分科会における議論」(共同座長:秋山守,永宮正治)をベースとして、これまでの本分科会での議論を踏まえ、全体のまとめ方に関する報告書構成(素案)を参考として以下に示します。
なお、当方から特に記載を希望する事項については下線で示しています。

(1) 未来を拓く先端的研究開発の在り方(理念)
 ―先端的・総合科学技術としての原子力
 ―未踏領域への挑戦
 ―持続可能な技術の発展

(2)研究開発の進め方(理念)
 ―研究開発の推進

  • 社会的認知の獲得の必要性
  • 研究開発におけるバランス,プライオリティー評価の必要性等
 ―研究開発体制
  • 国全体としての研究体制の在り方
    (大学・研究所等の役割・連携,産業界との結び付き,国際社会における役割等)
  • 大型プロジェクトについて
    (国策としての位置付け,リーダーの育成方策等)
 ―研究開発の評価
(計画,実行,評価サイクル及び外部評価を含めたシステム)
 ―フロンテア科学技術の継続的発展
  • 人材育成
    (エネルギー・環境・放射線についての教育を充実し、若者の参加意欲増進を図ることが重要との視点を含む)
  • 研究開発環境の充実
  • 資金確保
  • 地域社会との共生、社会への貢献
    (民間への技術移転方策を含む)
 ―研究開発の状況・成果に関わる情報発信
 ―国際社会での役割
(世界に発信できる研究開発及び国際協力)

(3)研究開発戦略(具体的な研究開発)
 ―個別分野の研究開発の必要性、重要性、優先度、緊急性、その戦略

 


第四分科会(報告書)のとりまとめ方に関するコメント

藤井保彦(東大物性研)

論点の視点と展開
実施をしていくための諸点

 これらの項目に関連して、文部省学術審議会の第16期の専門部会(原子力、加速器)で審議してきた、「各々の分野における関連研究機関間の連携・協力の在り方」の勧告を視点に入れる必要がある。これらの専門部会では、省庁統合を視野に入れて、科学技術庁からも関係者が同席して議論したので、今回のまとめの参考になると思われる。
 すなわち、大学と他省庁での開発研究の融合と仕分け、複数の省庁にまたがる類似の国際協力の一元化などが、直接関係する内容である。