研究炉燃料について

原子力長期計画策定会議委員
同上第1及び第2分科会委員
高濃縮ウラン問題検討会委員
文部省核燃料管理委員会委員長
神田 啓治

1.経緯
 1978年に始った、INFCEWG8において、研究炉用原子炉燃料の濃縮度を93%(高濃縮ウランHEU)から、45%(中濃縮ウランMEU)を経て、最終的に20%以下(低濃縮ウランLEU)にすることが決まった。我が国で対象となる炉は日本原子力研究所と京都大学にある炉だけである。
 その対応のため、我が国には高濃縮ウラン問題検討会(科学技術庁核燃料課その他、文部省研究機関課、外務省原子力課、日本原子力研究所企画室その他、京都大学原子炉実験所、通称五者会議、現在まで89回開催)が発足し、国際的には研究試験炉燃料濃縮度低減化会議(RERTR会議と略し、現在まで22回開催)が中心となり、米国エネルギー省とIAEAが常時サポート団体となって継続している。
 MEU(UAlx)とLEU(USix)の加工は我が国ではできず、フランスのセルカ社と米国のバブコック・ウィルコックス社に依頼している。

 なお、トリガ型原子炉(原研NSRR、武工大炉、立教大炉)は、燃料が板状でなく、棒状のトリガ型燃料で、あらかじめ20%以下で作られている。

2.使用済燃料の取扱い
 1988年以来中断していた使用済研究炉燃料の米国への返送は1996年再開された。その条件は、
@2006年5月12日までに取り出された燃料は2009年5月12日まで受け入れる。
A板状高濃縮ウラン燃料は、低濃縮化に努力している機関か、使用済燃料プールが満杯になっていている炉から受入れを始める。
Bトリガ型燃料も受入れるが、回数は著しく制限がある。
C米国へ受入れ後は、再処理はせず貯蔵保管するので、使用済燃料中に含まれるウランの価値(ウランクレジット)は認めない。

 さて、米国が外国からの使用済燃料受入れに期限をつけたことから、次のような問題が発生した。
@米国が外国からの使用済燃料を受入れなくなると、発生した国で保管又は再処理するか、英仏の何れかで再処理する。ただし、英仏の場合、等価高レベル廃棄物は発生国へ送り返される。
A低濃縮化した燃料の化学系はシリサイドUSixが中心であるが、シリサイドは残滓が多く商業レベルの再処理には適さない。
B再処理が可能と考えられているUMo燃料は目下開発中で、2004年頃完成し、2006年頃から市販される予定である。
C原研や京大の燃料は2006年からUMoになると考えられるが、使用済燃料を英仏が再処理する場合、2008年以降、若干の高レベル廃棄物を我が国へ持ち帰らなければならない。(英国の場合は2018年からか?)
Dそうなれば、少量とはいえ動力炉の高レベル廃棄物と同じように、今から国策として研究炉のことも考えておかなければいけなくなる。