長期計画策定会議第四分科会報告書
「未来を拓く先端的研究開発」

 

 

 

平成12年5月31日
原子力委員会
長期計画策定会議第四分科会


 

目   次

 

1.はじめに
  1-1 先端的研究開発としての原子力
  1-2 原子力と基礎科学
  1-3 世界が必要とする日本の原子力科学技術
  1-4 夢一杯の科学技術

 

2.研究開発の進め方
  2-1 目指すべき方向と進め方
  2-2 独創的研究の振興
  2-3 棲み分けから相互乗り入れへ
  2-4 強いリーダーシップ
  2-5 適切な評価とその反映
  2-6 人材の育成
  2-7 技術革新と原子力工学研究教育
  2-8 先端的研究開発成果の普及及び地域への展開
  2-9 国際競争と国際協力

 

3.未踏領域への挑戦と持続可能な発展
  3-1 未踏領域への挑戦
   3-1-1 加速器による研究開発
   3-1-2 高出力レーザー
   3-1-3 プラズマ物性基礎科学
  3-2 持続可能な発展を目指して
   3-2-1 核融合研究開発
   3-2-2 原子炉の技術革新
   3-2-3 研究用原子炉

 

4.提言
  4-1 重視すべき先端的研究開発
  4-2 研究開発の進め方

参 考


 

1.はじめに

 20世紀後半において、人類は科学技術の面で実にめざましい数多くの成果を上げてきた。近年では特に、情報通信革命、生命科学などがめざましく、21世紀には、これまでとは質の異なる新しい科学技術文明が始まろうとしている。この流れの中で、理工学・医学・生物学・農学などの科学技術に加えて、哲学・心理学・美学・政治経済学・歴史学などの人文・社会学、そしてさらには広く芸術も含めて、これら学問領域の深い融合が進むものと期待される。
 原子力は「物質の究極の構成要素は何か」を探る人類の知的活動の中で発見されたものである。原子力はエネルギー源として注目され、今日までに原子力発電として実用化されてきた。一方、「物質の究極の構成要素」を探るために開発された加速器は、今日では、材料加工、分析、医療など幅広い分野へと応用されている。そして、これらの活動を通じて得られた研究成果は、「原子力科学技術」として集約できる。原子力科学技術は、安全・リサイクルなどの文化的視点をリードしてきた。このように、原子力科学技術は、直接的に人類に豊かさを与えるだけでなく、知ること(自然認識)のもたらす精神的な豊かさを人類社会に与えてきた優れて時代をリードする「文化」であり、「総合的な科学技術」である。我が国は、現代社会を支える数々の先端科学技術を生み出す基盤を構築する総合科学技術として、この原子力科学技術を今後とも推進していくことが必要である。
 このような広い領域にわたる原子力科学技術の中で、第四分科会は、主として先端的な科学技術分野を拓いていくための研究開発とその基盤(以下、「先端的研究開発」という。)に関わる主題に絞って、これら先端的研究開発の進め方や評価のあり方について検討を行うとともに、未踏領域への挑戦と持続可能な発展の視野の中に大きな位置を占める諸分野について検討を進め、提言を取りまとめた。

 

1-1 先端的研究開発としての原子力
 科学技術会議が示すように、我が国は、
  ○「知識の創造と活用により世界から尊敬される国」
  ○「安心・安全で快適な生活ができる国」
  ○「国際競争力があり持続的な発展ができる国」
をめざし、これまで以上に努力をすることが必要である。
 高度に発達した科学技術に大きく依存している現代社会で、先進国としての役割を果たしていくためには、高い研究開発力と優れた技術的能力を持ち、その成果等を世界に向けて発信することが求められる。このため、我が国においても、「知識の創造」の源泉としての先端科学技術分野において積極的な取り組みを行うことが必要である。先端的研究開発は、知識と自然の理解という人類共有の財産の獲得を目指して行われる純粋学問的研究の発展に立脚するものととらえることができる。そして、その成果からは、さまざまな新技術の波及効果(スピンオフ)が期待されている点も重要であり、このような研究開発の取り組みを「未踏領域への挑戦」として位置づけることとする。
 また、我が国では資源が乏しい上に狭い国土に多くの人々が生活している。この国を豊かで「安心・安全な生活ができる国」にするためには、エネルギーセキュリティーは重要な大前提であり、このため新たなエネルギー源の開発につながる革新的な技術開発を積極的に推進していくことが必要である。こうした研究・技術開発力の充実を「持続可能な発展」を目指した研究開発と位置づけ、推進していくことが必要である。
 21世紀のわが国には、世界に先駆けて未来を切り拓く新しい領域に挑戦し成果をあげることが求められており、独創的な発想による研究を主体的に推進していくことが必要である。このような状況に照らせば、我が国は、独創的、先端的な研究開発に対し、できるだけ多くの研究資源を集中すべき段階に入りつつあることを強く認識しなければならない。

 

1-2 原子力と基礎科学
 原子力は、これまでエネルギー利用と結びついた応用技術の面が目立ってきた。しかしながら、19世紀末のX線や放射能の発見、20世紀初頭の量子論を契機とした原子核の構造や動的変化を解明するための理論的・実験的研究など、原子力研究の歴史は、まさに広く基礎科学を母胎とし、それを牽引する役割を果たしてきた。例えば、その後、放射光、中性子、ミュオンなどを用いた物質研究も盛んになるなど、原子力は、基礎科学の推進に当たって非常に有効な研究手段を提供している。このように、原子力はエネルギー開発の一翼を担うとともに、多彩な先端的研究開発の裾野を形成する基礎科学でもある。
 原子力は要約すれば、以下のことを可能にする大きな力を持っている。

(1)物質の根源を理解する
(2)物質そのものの創製とその性質・機能の理解を進めること
(3)これらの知的及び物質的情報をもとに人間生活に寄与する新しい利用法の開拓
(4)集大成の一つとしての核融合や原子炉の技術革新など、エネルギー生産の新方法、新システム、及び高度計算科学などの新技術の開発

 

1-3 世界が必要とする日本の原子力科学技術
 我が国の科学技術は、これまで、原理や新しい現象の発見には重きを置かず、欧米で発見された既存の原理に基づいた実用化までの技術開発や、実用化面での社会への浸透・効率化・性能向上・安全性向上などの改良発展に重きを置く、いわゆる「キャッチアップ」型で進んできたといえる。しかしながら、今後、21世紀に向けて「国際競争力のある国」として、経済の新しい発展基盤を自らの手で作りあげていくためには、基礎的科学技術分野で独創的な成果をあげ、革新的な技術を創出する力をもつことが必要である。また、世界のエネルギー問題や地球環境問題の解決に大きく貢献することが期待されており、そのためには、先端的研究開発による「未踏領域への挑戦」及び「持続可能な発展」を我が国の科学技術推進に当たっての主軸にすることが重要である。
 原子力科学技術は、我が国は欧米各国に比べても高い水準にあり、これを世界に向けて発信していくことは我が国の責務であるといえよう。今後は基礎研究と技術開発のバランスに留意しつつ、「世界に発信する日本の原子力科学技術」を大きな目標として掲げ、これに必要な先端的研究開発を進めていくべきである。そして世界のフロントランナーとして、付加価値の高い成果を発信していくことが国際貢献ともなる。

 

1-4 夢一杯の科学技術
 このような原子力科学技術を推進する上で、国民の理解を得ることは常に必要なことである。原子力の基礎科学がどれだけの夢とロマンに満ちたものであるかを国民に訴え、共感を得る努力を通じて、次代の人材をより多く確保することができる。 例えば、「元素はどのように生まれたか?」という疑問は、我々の知的好奇心を刺激する課題であり、これを知る有効な手段が原子力の先端的研究開発であるともいえる。
 応用を目指す研究に関心を持つ人も多い。その代表的なものが核融合研究であり、他にもすでに研究の手段として実用の段階に入った技術も数多くある。中性子の散乱を利用して物質の構造を決める研究は、新材料の誕生までの時間を大幅に短縮するし、加速器から生まれる放射光を利用したタンパク質の構造決定は、がんやエイズから人類を開放する有力な研究手段として重宝されている。
 このように、原子力科学技術は人類に「発明」と「発見」の夢や希望を与えるものであり、21世紀の人類の幸せに不可欠のものである。この事実を大きな声で、次世代の若者に伝承することは我々の義務であり、これを通じて我々の後継者が続くことを信じている。

 

2.研究開発の進め方

2-1 目指すべき方向と進め方
 第1章で述べたような目標に向け、原子力の先端的研究開発は、他の分野の研究への波及が期待される <シーズ(種)の提供> と社会への実用化を見据えた <新しいニーズ(必要性)の開拓> の両方をバランスよく進めていくべきである。また、新しい原理や法則は、科学者の純粋な好奇心に基づく研究から生まれることが多いことに十分留意して進める必要がある。
 先端的研究開発を効率よく実施し、高い成果をあげていくためには、段階に応じた適切な研究開発推進方法を検討することが必要である。また、研究開発の推進に当たってはその必要性、重要性についての社会的認知を獲得したうえで進めることが前提であり、社会への適時的確な情報発信を行ってゆくことが肝要である。
 原子力の先端的研究開発は、本質的に大規模かつ長期のものであり、人や予算などの研究資源の集中投資が必要であるとともに、明確な目標に向かい挑戦していく必要があるものの、その推進の視点に独創性が基本的に重要であることを留意すべきである。一方、大型研究開発だけではなく、萌芽的研究など複数のテーマでプログラムを組んだ研究を合わせて推進し、予期せぬ成果の創出を奨励することが必要である。このため、原子力の先端的研究開発を対象とした競争的資金を導入し、競争的な研究環境の創出を図ることは重要である。さらに、優れたシーズを生み、かつ育成する温床を支えるために適切な規模の資金を継続的に確保していくことについて、その必要性を検討する必要がある。
 なお、このようなシーズ開拓型研究を進めるに当たって、計算科学技術は、実験ではカバーできない極限条件などにおける解析・予測能力に優れていることから、先端的研究開発を牽引する大きな力となるものであり、また、実験と相補的な役割を持っている。さらに、ネットワーク化による相互乗り入れの可能性も期待できることから、今後とも着実に進めることが必要である。

 

2-2 独創的研究の振興
 先端的研究開発は、独創性、意義、国際競争、経済的効用、発展性、文化的・学術的貢献度、等々の観点から定期的に評価を行いながら進めていくべき事業であり、その優先度については、基本的には独創性と推進研究者の能力、意図などを重視すべきである。
 例えば、加速器等ビーム技術の研究開発は、本来シーズ提供型で進めるべきものであり、国の予算、施設、研究者の制限から、その推進に関しては、高い国際競争力を持つ先駆的な施設を広く開放するという観点から、柔軟性を持たせつつ大局的に判断する場を恒常的に設けるべきである。
 一方、核融合開発は将来のエネルギー源開発という明確なミッションがあるが、大規模な投資を必要とするものであるから、実用化に至る道筋を常に見極めつつ研究を推進する必要がある。特に、研究者の創意工夫を考慮しつつ、国際的観点、実用化の可能性を考慮して進めるべきであろう。

 

2-3 棲み分けから相互乗り入れへ
 近年、研究分野が学際的になるに伴い、それぞれの研究機関が活性化を図るためには、従来の棲み分けから相互乗り入れへと移行していくことの必要性が生じている。その理由としては、お互いの持つポテンシャルを相互に引き出し合い、知的刺激を与え合うことにより独創的で優れた成果が得られることが期待されるためであり、分野の壁を越えて研究者間の交流を進めることが大切である。すなわち、共同研究や連携研究を進めるほか、全体にわたる情報基盤の上で、各方面からの研究発表会、講演会、学会誌等による情報や他分野の研究者、産業界への先端技術の利用・応用面に関する情報などが幅広く発信され、利用されることが必要である。そのためには、インターネット等のツールを活用したシステムを構築することが有効である。なお、「棲み分けから相互乗り入れ」を円滑にするための有効なツールとして、各分野で研究者が独立に使っている「計算科学技術」をネットワーク化し、相互利用を可能とする取り組みを開始すべきである。

 

2-4 強いリーダーシップ
 大型研究開発を遂行していくためには強力なリーダーの存在が何よりも重要である。リーダーにはメンバーが独創的な研究を行い、最善の成果をあげるよう全体を運営する能力が求められ、そのためには適時的確な判断力と、実行のための強い意志、さらには結果に対し全ての責任を負う覚悟が必要である。このようなリーダーの資質はグループ全体の研究の成否を握ることになるが、技術の正しい伝承にとっても新しい技術への挑戦にとっても、最も重要な存在となる。さらに、先端科学技術を国際社会に発信し、世界をリードしていくという観点からも、強力なリーダーの存在が極めて重要である。 また、独創的な発想で常に世界最先端の研究成果を発信していくためには、若手研究者の積極的登用が重要な課題である。研究開発においてこうしたリーダーの有無や適性を評価項目の最優先の一つに数えるべきである。我が国の先端的研究開発を進めるためには、実力に満ちた若手の研究者に対してリーダーとなる機会を積極的に与えるなど、意識的に育成していくことが必要である。

 

2-5 適切な評価とその反映
 研究開発を実施するに当たり、実施体制と並んで適切な評価活動が重要であり、特に大規模な研究開発には、開発の各段階で適時的確な評価を行うことが必要である。事前の評価に当たっては、独創性、計画性、研究者のポテンシャル等を重視しつつ、その十分な実現性と研究目標の妥当性を考慮した評価を行うべきである。中間的な評価については、国際競争等種々の状況の変化等を考慮して、柔軟な研究計画の変更等が出来るよう評価を行うべきである。あわせて、研究開発状況のチェック&レビューを行い、場合によっては、研究開発の中止を含む計画見直しを的確に実施することが必要である。事後評価については、今後の発展性を含めて評価すべきであるが、成果を出したか否かについては、厳正に評価すべきであり、この結果を次期の計画の事前評価に当たっての参考材料とすることにより、効果的な研究の推進が図られることになる。
 評価システムを構築する際には、明確な評価基準・過程の構築による透明性のある評価実施方法を確立し、これに基づく第三者による外部評価を行い、評価結果の公開を行うことが望ましい。
 さらに、評価の結果が重きをもって反映されることが保証され、連続的な研究開発戦略を創出できるメカニズムを構築するべきである。

 

2-6 人材の育成
 我が国の産業の成長分野が重厚長大からソフトウェア開発をはじめとしたIT(情報通信)分野に移行していくなか、加速器、核融合、原子炉など先端的研究開発の基盤インフラを支える技術の空洞化が急速に進みつつある。この傾向は産業界において顕著であり、技術を伝承する技術者が途絶えてしまってはもはや我が国の原子力科学技術は欧米諸国に依存するしかなく、総合科学技術として広範な科学を牽引していくことは不可能となる。こうした事態に歯止めをかけるためには、先端的研究開発の芽をはぐくみ、技術者育成、教育基盤整備、技術の伝承等を着実に進めていくシステムを早急に構築する必要がある。特に科学技術の継承に関しては、次代を担う研究者や技術者の育成に加え、青少年に対する科学技術の基礎教育を行うことが重要である。
 原子力の研究開発基盤を支えるためには、学校教育での原子力科学または量子工学に関する知識の習得による理解を深めることが重要である。特に、じかに体験することによる学習が効果的である。例えば、全国の教育機関等に、理系の人だけでなく一般の利用が可能な加速器の応用(例えば、超小型加速器による分析応用なども含めて一般の人々が広く利用できる加速器や放射線計測器などを配置する。)も有効な手段である。

 

2-7 技術革新と原子力教育研究
 原子力分野の先端的研究開発は、多くの分野の技術革新を生むことが期待される。これにより、研究開発に必要な期間やコストが大幅に低減し産業の競争力の向上や国際競争力向上につながることが期待される。
 こうした革新的技術は、大学などにおいて研究者の自由な発想の下で進められる挑戦的・継続的な研究の過程で生み出されることが少なくない。このため、斬新で革新的な技術が生み出される環境の創出には、大型の研究開発の推進だけではなく、研究予算を多様化し特定の対象に限定されない黎明的・萌芽的な研究に対して予算配分を心がけることも大事である。また、技術革新にはハード(設備)のみならずソフト(人材、利用運営体制)の整備充実も重要であり、大学の果たす役割は大きい。大学は学問の横断性、新鮮な人材の供給、プロジェクトに拘束されないこと、教育と研究の一体性がもたらす意義など技術革新の追求に適した組織であることからその活性化が重要である。
 なお、技術(工学)と科学(理学)はスパイラル的に発展するので、これらのバランスがとれた研究開発を進める必要がある。

 

2-8 先端的研究開発成果の普及および地域への展開
 我が国の新技術や新産業の創出を図るためには、研究開発成果の民間での利用促進や地域への展開を図ることが必要である。例えば、加速器科学の応用は、現在、主として国立の研究機関等で行われているが、民間、特に、地域産業や中小企業における利用の普及促進を図ることによって、地域の活性化につながるとともに我が国の原子力科学技術および原子力科学技術産業の基盤が強固になると考えられる。
 また、研究成果の具体的な技術移転に関しては、現在整備されつつある技術移転システムを効果的に機能させるとともに、知的所有権やさまざまなノウハウを含む成果活用方法の整備(知的資産活用のシステム化)が不可欠である。

 

2-9 国際競争と国際協力
 原子力分野の未踏領域を切り開くフロントランナーとして、我が国は、世界の研究水準を上げ、経済や文化をリードするばかりでなく、矜持を持ってアジアを含めた諸外国における研究開発を牽引し、技術や人材の育成に努めることによって初めて国際貢献をなしたといえよう。それはまた、競争のはじまりでもある。日本に対する「技術ただ乗り論」に明確な回答を与え、文化の刻印を打ち、文明をリードすることで我が国の尊厳を保持することが、科学技術創造立国として我が国が選択する道であろう。

 すなわち、国際的分担・協力の下、我国が積極的に貢献できる領域を見極め、先進諸国の一極を担う責任をもって取り組むことが、我が国が果たすべき役割である。特にアジア地域における我が国の役割を考えたときに、当該地域の研究者を積極的に受入れ、先端的研究施設を活用したアジア地域における研究リーダーの育成を支援することが必要であり、そのために必要な措置を講ずるべきである。

 

3.未踏領域への挑戦と持続可能な発展

 わが国では原子力というと原子炉を中心とする実用的なエネルギー開発の側面が強調されがちであるが、国際的には加速器で得られる高エネルギー放射線や高出力レーザー光による原子核・素粒子物理から物質科学、生命科学にわたる広い科学技術分野の基礎的、応用的研究開発も重視されている。原子力のもつ潜在的可能性を考慮すれば、これを単なる実用的エネルギー生産技術としてだけでなく、現代社会を支える総合的科学技術として推進することが肝要である。
 高出力レーザーや加速器を利用する先端的研究開発の特徴は、実験研究の主要装置が最先端技術の進歩によって発展し、その研究成果から新技術の芽が育ってくるというテクノロジープッシュ(技術主導)型あるいはシーズ開拓型の研究開発ということである。基礎科学の分野ではこの型の計画が主流である。このような、人類の知的好奇心に基づく純粋な学問的研究の指向する研究開発を、「未踏領域への挑戦」として位置づける。 
 一方、核融合のような革新的エネルギー創出技術の研究開発は、一方で基礎的な研究要素を含みつつ、早急に実現しなければならない社会的要請の強い、いわゆるデマンドプル(目的指向)型あるいはニーズ先行型の研究開発課題である。また、資源小国の我が国のエネルギーセキュリティーを担保するために、革新的な原子力エネルギーシステムとその要素技術の開発を行う必要がある。このような、人類の持続的な発展に寄与するための成果を還元するという方向性をもつ研究開発を、「持続可能な発展」のための研究開発として位置づけることとする。

 

3-1 未踏領域への挑戦

3-1-1 加速器による研究開発
 近年、加速器による光、荷電粒子、中性粒子源の開発等により、新たな研究の展開が可能となってきた。21世紀には、物質・エネルギーとは何かを「極め」、新しい物質を「創り」、ヒトのDNAやタンパク質の構造を「見る」ことを可能にする最先端の科学技術の一つとして、我が国の知的フロンティアの開拓に貢献すると期待される。
 歴史的に見ても、加速器の開発及びそれを用いた原子核・素粒子の研究から得られた新事実や先端技術が「原子力開発」に新しい展開をもたらしただけでなく、逆に「原子力開発」で生まれた技術が加速器を利用する研究に大きく貢献してきた。  加速器により発生する粒子は、以下のように分類される。
 光   :放射光、レーザー
 荷電粒子:重イオン、RIビーム、陽子、反陽子、K中間子、パイオン、ミュオン、電子、陽電子
 中性粒子:中性子、中性中間子、ニュートリノ
以下に、放射光、荷電粒子、中性子、レーザーを取り上げ、これらを用いた科学の意義、研究の現状、将来展望と研究開発の進め方を示す。

 (1)放射光による科学
○意 義
 放射光は、ほぼ光と同じ速さで走る高エネルギー電子が磁場によってその進路を曲げられるときに、進行方向に放射される光(電磁波)である。波長分布は連続的で、赤外線からX線まで広い波長範囲の光を含んでおり、指向性がよくて輝度が高い。1947年に電子シンクロトロンで初めて観測されたのでシンクロトロン放射と呼ばれているが、宇宙で観測されるX線も放射光を含む。光の波長は、従来の”可視光”の領域のみならず、それより長波長(赤外線)や短波長(X線)にわたり、原子・分子・物質のより深い理解を可能にする。

○研究の現状
 放射光利用は、分野の異なるスモールサイエンス(少人数で行う科学)の集合であり、また産官学にまたがる学際、業際分野である。したがって、具体的な利用目的は、イメージングおよび微小部分析(環境関連物質、生体関連物質、薄膜材料など)、表面・界面の構造/組成解析(薄膜電子/磁性材料、触媒、機能性構造材料など)、 高温/高圧下の物質構造解析(地球科学に関する物質など)、位相/吸収コントラストCT(隕石、生体組織、考古学試料の非破壊観察など)、単分子レベルの機能計測(細胞内、細胞膜上の蛋白質分子の運動など)、 高速蛋白結晶構造解析(蛋白質分子と薬剤等との相互作用の実時間観察など)、電子の運動状態解析(物質の性質(物性)の微視的機構解明と新物質の設計・合成)等、非常に多彩性に富んでいる。
 これらの研究は、その場での観察や生きたままの観察という形態で行われることが重要である。これらの研究により、新しい自然観を構築し、また、実用研究に貢献することが期待される。とりわけ、ハイライトとして、将来の社会的な課題に関連して、ポストゲノムの本命と考えられている有用蛋白質の研究と関連分野である創薬、あるいは環境保全と結びついた触媒、電池材料等の研究で成果が期待される。

○将来展望と研究開発の進め方
 放射光の将来計画については、より高性能の放射光源(第4世代)の実現と、先端科学技術開発の基盤的施設としての放射光源の整備が世界的に進められいる。前者は世界的に開発が競われているX線自由電子レーザーの開発計画で、干渉性X線を実現して物質構造解析・特性評価技術、X線画像技術を開発するとともに、非線形現象の研究を行う。現在、ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)とスタンフォード線形加速器研究所(SLAC)で建設中であるが、我が国でも技術的検討が進められている。また、国際的なネットワークが結成され我が国からも参加しているが、SPring-8で開発した真空封止型アンジュレータや高熱負荷ビームライン部品が高く評価され、また、現在建設中の長尺アンジュレータビームラインの利用が注目されている。
 最近、新第3世代放射光源と呼ばれる中型放射光施設の建設がスイス、イギリス、中国で進められている。これは25ないし35億電子ボルトの高性能蓄積リングに挿入光源を設置して、高輝度X線を得る光源建設計画である。我が国の先端科学技術研究開発能力を考えると、このような基盤的研究施設は不足しており更に充実させる必要がある。また、エネルギー可変可能な高エネルギーの光が発生可能なレーザーコンプトン散乱X・γ線源も今後の研究開発が望まれる。

 (2)荷電粒子による科学
○意 義
 エネルギーを与えられた粒子ビームは、照射あるいは打ち込みする対象に直接的な影響を与え(創る: ガン治療、材料改質・新物質創生、新機能植物開発など)、地上では通常得ることができない物質や空間の状態を創り出し(極める: 宇宙創生時の天体現象の再現など)、さらにはその際に発生する様々な二次粒子やガンマ線等を測ることにより、対象物や加速した粒子の性質を極限レベルにまで詳細に観察する(見る: 素粒子・原子核、物質・生命科学などの基礎科学研究)ことを可能にする。これらのことから、発明されて以来、荷電粒子は加速器による基礎研究から産業応用までの利用研究を含めて最も基本的で重要なツールである。

○研究の現状
 重イオンおよびその二次粒子としてのRIビームは、最近大きな発展を遂げ、三千種にも及ぶ原子核の生成およびその利用が可能となりつつある。特にRIビームは我が国の研究者により開拓されたものであり、世界的に急速にその利用が拡大している。この技術により、宇宙における元素合成の研究が地上の実験ではじめて可能となり、元素合成過程の解明が進められることとなる。また広い範囲の原子核の性質解明が可能となり核物理学の新しい進展を促すこととなる。
 重イオンによるガン治療は始まったところであるが、重要な成果をあげつつある。今後はさらにより効果的な治療、さらには代謝や生理機能の解明にも供されよう。また、マルチトレーサー技術は新材料の性質の解明、生体物質の情報の解明、環境中元素の移行機能の解明に有効である。重イオンはまた、慣性核融合という新しい核融合法として注目されている。
陽子、およびその二次粒子として生成される反陽子、K中間子、パイオン、ミュオンは幅広い基礎研究課題と応用の可能性を持っている。特に物質の究極を知る研究にはとりわけ重要な位置を占めている。質量の生成機構の解明、物質と反物質の理解、素粒子(陽子や中性子など)の内部構造の理解などである。また大強度陽子は中性子ビームを作る道具ともなっている。
 ミュオンは、これを用いた物質内部の電磁構造の研究にユニークな方法を与えている。また最近では生体物質中での電子情報伝達の解明にも有効であることがわかってきた。さらに、ミュオン触媒核融合という新しい核融合法の開拓を担っている。
陽電子は物質・材料の欠陥構造、原子構成等を分析するために適した粒子であり、今後とも研究開発を進めることが必要である。

○研究の進め方と将来展望
 現在、我が国においては、RIビーム加速器施設の建設が進められているところである。また、大強度陽子加速器計画が提案され、第三者評価を受けている。我が国においては、こうした世界的な競争力を持つ施設の整備とそれによる周辺分野を含めた科学技術の全体的な向上を、国家的規模で戦略的に進めていくことが21世紀においては肝要である。
 一方、加速器は小型化、簡易化して一般に普及することや、特別の用途に向けての利用技術の革新がなされることによって、産業技術や医療の分野に大きな発展をもたらす可能性がある。このため、加速器の生産やビームの制御に係る技術や重イオン等によるがん治療などにおける照射技術などの革新を積極的に進める、効率性や安全性を向上するとともに、地域への展開をはかっていくことが、原子力科学技術の国民への還元という観点から重要である。
 ビームの種類としては、電子や放射光などのビームはこれまでのその利用がよく進められてきたものであり、今後は、自由電子レーザー、マイクロビームなどの新しいビーム発生技術の開発が重要である。一方、加速器における実験の技術としては、発生するビームの大強度化、高機能化や、超高感度検出などの技術開発が重要である。また、加速器技術は真空、高電圧、材料、電子、通信など種々の技術の集大成であるとともに、これらの技術の最先端をさらに押し進める働きを持つことから、社会を支える基盤として重要である。

 (3)中性子による科学
○意 義
 中性子は電荷をもたず、X線や電子線等と異なり、原子番号の小さい原子核とも強く散乱する。この性質を利用して、タンパク質に単独又は水分子として結合している水素原子の配置を決定し、タンパク質の機能を研究することが注目されている。また、水素やリチウムは燃料電池や蓄電システムの性能を決定するため、中性子ならではの特徴を利用して、実用的な材料開発研究を促進できる。さらに、中性子はX線よりも物質の内部にまで到達できるため、タービンの羽根、金属パイプのような構造体などの工業製品を非破壊的に診断する道具となり、品質のよい製品開発に役立つ。
 また、中性子が最小の磁石としてのスピン(磁気モーメント)を持ち、微少磁石の役割を果たす性質を利用すると、高温超伝導体の伝導機構を担う電子の性質の解明、さらにその研究を進めて新しい超伝導・磁性材料等の開発が期待される。さらに長波長の中性子(冷中性子と呼ばれる)の利用により、より大きな構造スケールを持つ高分子、液晶、ガラスなどの分子規模で複雑系を構成する物質の構造や分子運動が解明でき、各種の新しい材料開発に役立つ。
 他方、工学的には、革新的な原子力システムの選択肢の1つとして、中性子を使用済燃料に照射して、燃料中の長寿命放射性核種を短寿命核に変換する技術が考えられる。

○研究の現状
 タンパク質については、骨格構造とともに、さらにその機能の解明まで求められる時代であるが、解明につながる構造ゲノム科学は現在我が国の国際的競争力が非常に高い分野といえる。燃料電池や超伝導物質等の物性研究も国の産業力を高める基盤として国際的競争力の高い分野と位置づけられる。一方、その微視的機構解明が新たな科学を創出しつつあり、さらに工業的利用が進んでいる高温超伝導体や巨大磁気抵抗酸化物などは、我が国が基礎・応用研究両面で世界のトップレベルにあるが、これらの基礎研究に中性子は中心的な実験手段を提供する。現在、中性子源としては研究用原子炉と加速器によるパルス中性子源(加速器駆動中性子源)を利用している。研究用原子炉は定常的な中性子を供給できる特徴を有するため、精密な中性子散乱実験、体積の大きい試料の材料照射、放射化分析、ラジオアイソトープ製造や半導体製造などへの利用に適している。一方、加速器よりの中性子源は原子炉では得られない広いエネルギー領域に分布したパルス状の中性子を発生させる特徴があるため、一挙に広い時空間の物質の構造や運動状態の研究などへの利用に適している。

○将来展望と研究開発の進め方
 水素原子は生命体における遺伝情報のやりとりに重要な役割を果たすので、構造ゲノム科学は21世紀の生命科学のフロンティア研究として期待されている。今後は、生体や物質の骨格構造に加えて分子振動の観察から機能解明を可能にすることにより、抗生物質、抗ガン剤等のドラッグデザイン(薬剤設計)、遺伝子病の原因解明、環境ホルモンの生体反応に及ぼす影響解明など私たちの生活に大きく役立つ成果が期待できる。また、燃料電池、高温超伝導体などの産業用新材料、新機能材料、電子デバイス等の研究開発も同様に飛躍的に進むと考えられる。このように、中性子の用途は幅広いため、今後、さらに強度の高い中性子源を開発することにより、利用分野の拡大と先端的な成果が得られることが期待される。一方、核変換技術は地層処分を代替できるものではないが、使用済燃料中の長寿命放射性核種の低減を実現し、廃棄物処理に係る負荷の緩和、社会的受容性を向上する技術選択肢の1つになりえるため、今後、段階的な研究開発が必要である。

3-1-2 高出力レーザー
○意 義
 レーザーは小さい空間、時間、周波数域に効率よくエネルギーを集中できる特徴を有する。このため、少ないエネルギーで複雑な情報の読み出し、書き込み、伝送が可能となり、高度情報化社会実現への技術革新に大きな役割を果たしつつある。従来、レーザー利用は低出力分野に重点がおかれてきたが、近年、高出力レーザー技術が著しく進歩し、従来大型装置でしか得られなかった高強度電場が卓上サイズのレーザーで、しかも10Hz以上の繰り返しで得られるようになった。これにより、原子力科学技術を含む幅広い分野で未踏領域への挑戦と先端科学技術の開拓が可能となった。

○研究の現状
 我が国では、光通信・情報処理に関する研究・開発は産官学で積極的に推進されてきた。これと並行して、レーザー核融合、光量子科学、物性研究などへの利用を目的として、超高出力レーザー、極短パルスレーザー、X線レーザーや超伝導自由電子レーザーなどの先進的レーザー開発研究が行われ、ピーク出力が100テラワット、繰り返し10Hzのチタンサファイアレーザーが世界に先駆けて開発され、波長6nmのX線の増幅が観測されている。原子力科学技術分野では、超高出力レーザーによる慣性核融合や超高強度光場における物性、レーザーによる小型粒子加速器開発などが活発に研究されている。
 なお、欧米諸国では、科学・技術革新へ向けて、レーザー科学研究の推進と研究者の交流促進に力を入れ、基礎科学及び産業の活性化がもたらされている。

○将来展望と研究開発の進め方
 先進的レーザーは原子科学、物性、生命科学、天文学等の基礎科学、あるいは工学・医学等への応用など非常に広い分野への利用が期待できる。例えば、超高強度の電磁場、極短時間の現象などの極限域の科学を開拓し、今まで不可能であった極短時間に変化する現象や構造の観測、機能の解明、分子反応制御など物質の創成・制御が可能となる。このような研究の実現のためには、特定の目的に適するように、レーザーの超高出力化・極短パルス化・高平均出力化、X線レーザーの短波長化・高繰り返し化などへの積極的投資が重要である。この場合、既存装置の単なるスケール拡大でなく、特定の利用目的に適した質的に新しいレーザーが求められる。
 我が国は高出力レーザー開発とプラズマ物理の分野で、強い学問的・技術的基盤を有している。今後は、関係機関がネットワーク的な組織を構築することにより、利用研究とレーザー開発が密接に連携した研究を展開することにより、独創的な成果を生み出すことが求められる。

3-1-3 プラズマ物性基礎科学
○意 義
 気体原子(分子)がイオンと電子に分かれ、相互に強く作用し合う電離気体になった状態をプラズマと呼んでいる。プラズマは実験室では真空放電や気体の高温加熱で生成されるが、強く相互作用する多粒子系として全く新しい物質状態であり、その性質や動的振舞いの研究が新しい研究領域になっている。とくに宇宙空間では殆どの物質がプラズマになっていて、プラズマ研究はダイナミックに変化する宇宙の理解に手掛かりを与える。これまで主に核融合開発に関連して発展した研究領域であるが、その研究成果は核融合開発のみならず、広い科学技術分野に新しい知見を提供している。

○研究の現状
 核融合プラズマの計測や計算科学を駆使したプラズマの物理的性質の研究から、ソリトン(孤立波)やカオスなどの新しい現象の解明が進んでいる。また、プラズマ加速の研究や高性能イオン源の開発、プラズマプロセスによる半導体加工や新材料創製などプラズマを利用した革新技術の開発が進められていて、プラズマ研究は先端的科学技術の重要な研究分野になっている。

○将来展望と研究開発の進め方
 プラズマ物理の研究は多様なプラズマの発生装置、計測技術の開発や理論的計算科学的研究の進歩によって急速に発展してきている。この研究が進めば、宇宙空間に満ち広がる高温低密度プラズマや核融合を起こしている星の内部の高温高密度プラズマを地上で模擬することを可能にし、また、強相関多粒子系や乱流の新しい動的様相も明らかになって、自然の探求において新しい概念を創出することも可能である。

 

3-2 持続可能な発展を目指して

3-2-1 核融合研究開発

○意 義
 太陽は核融合反応のエネルギーによって燃えている。核融合研究の目的は、地球上で人工太陽としての核融合エネルギーを利用することである。核融合によるエネルギー生産が可能になれば、炭酸ガス問題など地球規模の環境破壊の問題の解決に貢献することとなる。さらに、化石燃料や資源に乏しい我が国は、地球的資源偏在というハンディキャップから逃れられるであろう。また、連鎖反応がなく、反応を維持する外的条件を取り去れば自動的に停止するなど、安全なエネルギー資源であり、次世代エネルギーとしての長所を有している。核融合炉はまた、核廃棄物の核変換、水素燃料製造、熱の工業利用、放射性同位元素製造など多彩な応用が検討されている。

○研究の現状
 我が国の核融合研究開発においては、関係する機関において、世界最高の核融合パラメーターの達成、長時間のプラズマ放電制御の実現など、総合的なアプローチによる優れた成果が生み出されている。炉心プラズマの研究では、理論もあわせて高温プラズマに関する統一的な理解を深める動きも進められている。また、炉工学研究分野では、安全性、経済性を確保するための低放射化材料や大型機器の開発など活発な研究が進められている。関係機関の有機的な連携の下、核融合研究は我が国が世界をリードして進めてきた部分が大きい。
 核融合燃焼プラズマを実現し、これに必要な炉工学技術を確立することは現在の核融合開発の最重要課題であり、日本、欧州、ロシアの3極においては、国際熱核融合実験炉(ITER)の設計作業を協力して推進しているところである。ITER工学設計活動では、設計内容の技術的確証を目的とした工学R&Dも進められている。

○将来展望と研究開発の進め方
 これまでの研究成果によって、今後達成・解明すべき課題として(1)核融合燃焼状態の実現(2)低い循環入力による定常維持(3)低放射化材料の開発や炉工学における個々の要素技術の開発と総合化(4)安全性の確立、等が明確になった。したがって、重水素とトリチウムを用い、制御された点火と長時間燃焼を実現し、定常運転を実現すること、核融合炉工学技術の総合試験を行い、次の原型炉段階への知識基盤を構築することは、今後の重要な課題となる。この課題を克服するため、現在、国際協力により、ITER計画が進められているところである。あわせて、定常化と運転コストの観点から循環パワーの低減化を目指すヘリカル系やトカマクの研究、また、慣性閉じ込め方式や他の磁場閉じ込め方式などの研究が課題となろう。さらに、低中性子炉を目指す萌芽的研究も重要である。炉工学研究や材料研究についても、材料試験をはじめ多数の課題について多角的に進めつつ体系化に努める必要がある。理論研究も推進し、未踏領域の予見をはかり、特に、多種の知識集積を普遍法則へと体系化することに力を入れ、総合科学化を進めることも大切である。
 核融合の研究開発は長期にわたることから、包括的な研究開発を進めることが重要であり、国際的に通用する若手養成を強化するなど層の厚い人材育成が不可欠で、大学の教育や産業界の技術継承が重要である。

3-2-2 原子炉の技術革新
○ 意 義
 21世紀を展望すると,次世代軽水炉の開発とともに、革新的な原子力エネルギーシステムの開発が重要である。すなわち、高い経済性とともに、①電力供給の多様化、②熱利用等のエネルギー供給の多様化、③立地の多様化、④多くの国々への原子力エネルギー利用の普及などに適した原子力システムが、21世紀には期待される。また、我が国のこれまでの原子炉技術は、軽水炉の導入から比較的近年に至るまで、海外から輸入された技術を基礎としており、また、革新的・創造的研究よりも技術の確証・実証にその重点が置かれてきた。今後は、我が国自らが、次世代軽水炉の開発とともに、原子炉やその要素技術について革新的な技術やアイデアを取り入れた新しい概念を探求することにより、安全性・経済性の向上等に取り組んでいくことが必要である。このため、これまでの軽水炉の経験を踏まえた改良や,既存の炉型や出力規模などに制約されることなく,新しい発想の革新技術の開発に取り組み、高い経済性,人との関わりの少ない高い安全性、運転保守の容易性、熱利用への適合性などを備えた原子力システムの開発を目指すことが必要である。

○ 将来展望と研究開発の進め方
 原子炉とその要素技術の革新によって、これまで以上に高い安全性と高い経済性を備えた原子力プラントを実現することができれば、国内において、長期的に原子力によるエネルギー利用の競争力をより向上することができ、我が国における温暖化ガス排出量の削減、エネルギー供給の安定化に貢献することが期待できる。さらに、他電源との競争力が強化されることで先進国や途上国の経済成長と、地球環境問題,資源問題の両立への貢献も期待される。このように社会的意義の大きい革新的な原子力エネルギー技術の開発は我が国の原子力産業の活性化、そして若い世代への魅力的な技術分野の提供につながることが期待できる。
 今後の開発が期待される革新的技術としては、完全受動冷却の概念と関連技術、ガスタービンの採用や超臨界水冷却の利用、高転換炉心、超寿命燃料、熱やエネルギーの新変換利用技術、核燃料サイクル技術との一体化、機器一体化や標準モジュールの工場生産などがある。
研究開発の結果、このような革新的概念、革新技術が可能となれば、21世紀の新たな原子力システムとして、高い安全性、経済性を備えた新しい原子炉、熱供給や分散電源に対応できる中小型炉などの可能性も期待される。また、技術開発を行うにあたっては、柔軟性を確保しつつ、各技術段階における成果の目標、評価の基準を明確にし、段階的に技術評価を実施していくことが重要である。
 また、技術開発の効率的・効果的実施のためには、技術評価の段階的な実施に加え、国内外の研究組織間の情報の共有化、ネットワーク化を図ることにより、技術開発を進めるにあたって必要となる情報を容易に入手できるようにすることが望ましい。
 革新的技術を組み合わせた原子炉については、革新的な軽水炉、高温ガス炉、高速炉などがあるが、高温ガス発電炉を除いて多くはまだアイデア段階である。このため、現行炉に勝り得る安全性,経済性を目指し、具体的ニーズに対応したそれぞれの最適概念の構築、革新的技術の開発などについて、国、産業界、大学等が協力して検討を行うことが必要である。なお、高温ガス発電炉は海外では実用化計画が進められている例があるが,我が国で実用化に向けた開発を進めるべきかの判断がまず必要である。
 原子炉やその要素技術の革新は、海外においても関心が高いため、国際協力により開発の効率化を図るとともに、我が国が原子力利用のフロントランナーとして、実績に基づく技術をもって、国際協力を主導することが求められる。

3-2-3 研究用原子炉
○意 義
 我が国に研究用原子炉が建設されてから、既に43年が経過した。この間に、多くの試験研究用の原子炉が原研、大学、民間に建設され、原子力をエネルギーに利用する研究開発や原子力分野の基礎・基盤の研究、原子力人材の育成や教育等に利用されてきた。特に、原子力エネルギー利用の研究開発では、発電用原子炉の燃料や材料の試験や開発を中心に多くの成果を挙げるとともに、原子炉の運転実習等を通じて、我が国の原子力人材の育成に実績をあげてきた。

○研究の現状
 近年では、原子炉から得られる中性子ビームを利用して、物性研究、生物研究等の基礎研究の分野で学術的な成果を挙げるともに、中性子の照射場を利用して、シリコン半導体材料の製造、医療用および工業用ラジオアイソトープの製造、ホウ素中性子捕捉療法による悪性黒色腫や脳腫瘍の治療等、産業や医療の新たな分野への応用が展開されている。

○将来展望と研究開発の進め方
 研究用原子炉は、材料照射、安全性研究、ビーム実験、アイソトープ製造、医療用、教育用などそれぞれのニーズに応じた様々の型式がある。例えば燃料の高燃焼度化や原子炉の長寿命化のためには材料の照射試験が必要であるが、照射に必要な時間をできるだけ短縮することが求められている。このようなニーズの高度化に対応し、先端的な研究を行うことにより、世界をリードしていくことが研究炉には求められており、それぞれの炉の特長を活かす方向で性能の向上を図っていくことが必要である。
 研究用原子炉は今後も動力炉開発の材料の試験や研究、理工学のためのビーム利用や分析、産業や医療における利用と人材育成や教育に大きい役割を果たすことで原子力科学技術に貢献すると期待され、研究機関、民間、大学の間の相互連携を強化することが必要である。また、研究開発設備の高度化も必要であり、研究用原子炉と関連研究のあり方について検討を行う必要がある。なお、研究開発に伴う高濃縮度のウラン燃料については、米国への期限内の返還を確実に行うことが必要であり、使用済燃料の取り扱いについて早急に検討を行うことが重要である。

 

4.提 言

 今回の原子力開発利用長期計画において、本分科会は先端的研究開発としての原子力について審議検討を行った。原子力が現在おかれている困難な状況から抜け出し、広く国民に受け入れられるようになるためには、原子力科学技術が現代社会を支える基盤をなしているという事実や将来の社会基盤形成に大きく貢献する可能性を秘めていることを広く認識してもらうことが重要である。
 このため、本分科会では、原子力に関わる先端的研究開発を進めるための基本的条件と、その進め方について考慮すべき点として独創的研究の推進、研究の評価、他分野との交流、人材の育成、とくにリーダーの育成、先端研究の産業応用と地域社会への展開、国際競争と貢献等について検討し、その結果をまとめた。その中で特に重点を置くべきものとして、以下に、分科会としての提言を示す。

4-1 重視すべき先端的研究開発
 原子力は現代社会を支える総合的科学技術であり、科学技術を支える研究開発にはいくつかの側面がある。例えば、加速器を利用する先端的研究開発は、研究開発の成果や装置開発の過程から新技術が生み出されるテクノロジープッシュ(技術主導)型であり、新しい芽を育てるシーズ開拓型である。一方、核融合のような革新的エネルギー生産技術の開発は、社会的要請の強い、デマンドプル(目的指向)型である。さらに核融合の研究開発は、シーズ開拓型の側面も持つが、必要性が先行するニーズ先行型といえる。また、原子炉やその要素技術に関する革新的な技術開発は資源小国である我が国のエネルギー安全保障の点で重要である。さらに、研究用原子炉の発展的な活用は我が国の原子力を支える基礎である。
 以下に、今後特に重点を置くものとして、加速器と核融合の研究開発及び原子炉の技術革新を取り上げた。

(加速器の研究開発)
 現在我が国では大強度陽子加速器計画が提案され、第三者評価を受けている。加速器計画は、常に国際的競争状態におかれており、技術主導の性質を持つことから、提案・評価後あまり時間をおかないで実現することが重要であり、適切な評価の結果を反映してできるだけ迅速に処理することを提案する。なお、RIビーム加速器施設については、現在建設が進んでおり、早急な実験の開始が望まれる。

(核融合研究開発)
 ITERは、国際的な巨大計画であり、核融合実用化への重要なマイルストーンである。本分科会は、ITER計画の重要性を認識する。その推進にあたっては、ITER計画懇談会による第三者評価の結果を踏まえることが必要である。また、核融合科学を広げる研究については、適切なバランスを考慮しつつ進めることを提言する。

(原子炉の技術革新と研究用原子炉)
 革新的な原子炉の実現に向けて、革新的要素技術の研究開発を進めることが必要である。そのためには、競争により優れたアイデアを発掘できる方式を採り入れつつ、国の研究機関、産業界、大学が協力し検討を行うことを提言する。また、研究開発設備の高度化も必要であり、研究用原子炉と関連研究のあり方について検討を行う必要がある。なお、研究開発に伴う高濃縮度のウラン燃料については、米国への期限内の返還を確実に行うことが必要であり、使用済燃料の取り扱いについて早急に検討を行うことが重要である。

4-2 研究開発の進め方
(1) 開拓型研究開発の重視
 先端的研究開発を推進するに当たっては、シーズ開拓型の研究開発や技術革新を重視し、ニーズとのバランスをとりながら進めて行くべきである。また、原子力の先端的研究開発は本質的に大規模かつ長期のものであり、資金や人材などできるだけ多くの研究資源を集中することが必要である。一方、大型研究開発だけではなく、萌芽的研究など複数のテーマでプログラムを組んだ研究を合わせて推進し、予期せぬ成果の創出を奨励することも必要である。このため、原子力の先端的研究開発を対象とした競争的資金を導入し、競争的な研究環境の創出を図ることは重要である。さらに、優れたシーズを生み、かつ育成する温床を支えるために適切な規模の資金を継続的に確保していくことについて、その必要性を検討すべきである。
 なお、このようなシーズ開拓型研究を進めるに当たって、計算科学技術は、実験ではカバーできない極限条件などにおける解析・予測能力に優れていることから、先端的研究開発を牽引する大きな力となるものであり、また、実験と相補的な役割を持っている。さらに、ネットワーク化による相互乗り入れの可能性も期待できることから、今後とも着実に進めることが必要である。

(2)研究開発の実施と評価
 個々の研究開発の選択や実施にあたっては、計画の科学技術的意義だけではなく、社会的影響や最適の実施体制を含めた適切な評価が必要である。また、個別評価を行うだけでなく、複数の研究開発について、その比較評価を行い、効率的な研究開発を推進することも必要であり、そのために必要な方策について検討を行うことが望ましい。評価の結果については、次期計画などに適切に反映されることが重要である。なお、適切な評価を恒常的に実施するため、評価組織を常設することも含め、評価のあり方について検討する必要がある。

(3)強いリーダーシップの必要性
 先端的研究開発には明確なリーダーシップが必要である。研究開発の成否はリーダーの判断によるところが大きく、リーダー不在の研究開発は目的や個性を失いがちになる。計画の実現を確実なものとするために、リーダーシップを重要な評価基準の一つとすべきである。特に、若い研究者の中から将来リーダーとなる人材を育成するために、充分な配慮を講ずることが必要である。

(4)相互乗り入れの必要性
 研究活動の活性化のために、また、社会や市場の要求に応えていくために、国と民間あるいは研究機関同士の相互乗り入れの必要性が生じている。このためには、共同研究や連携研究協力などを通じ、研究者の交流を進めることはもちろん、研究開発に係る情報の体系整備と効率的な流通システムの構築が必要である。

(5)先端的研究開発成果の普及および地域への展開
 我が国の新技術や新産業の創出を図るためには、研究開発成果の民間での利用促進や地域への展開を図ることが必要である。例えば、加速器科学の応用は、現在、主として国立の研究機関等で行われているが、民間、特に、地域産業や中小企業における利用の普及促進を図ることによって、地域の活性化につながるとともに我が国の原子力科学技術および原子力科学技術産業の基盤が強固になると考えられる。
 このような研究成果については、技術移転システムなどを通じた効果的な移転や、知的所有権やさまざまなノウハウを含む成果活用方法の整備(知的資産活用のシステム化)が不可欠であり、具体的方策についての検討を早急に開始することが必要である。

(6)人材育成の強化
 原子力分野における先端的研究開発を活性化するには、教育基盤整備、青少年の育成と技術の伝承を着実に進めるシステムを構築する必要がある。
 大学における先端的研究開発の強化は、人材育成の最も効率的な方法であるとともに、継続的な技術革新を行うという意味でその役割は重要である。また、既存の先端的原子力研究施設において、原子力分野における最先端研究開発の実習を含む教育訓練を定期的に実施することは青少年の原子力科学技術に対する理解を深める上でも重要である。
 先端的研究開発は、基盤技術によって支えられている。研究開発に従事する技術者のもつ優れた技能に対して高い評価を与えることが、技術者の士気の向上を図り技術の継承をより効果的に行うという観点から、意義のあることである。

(7)先端的研究開発の国際化に伴う課題
 先端的研究開発の国際化が進む中で、我が国は、国際的分担・協力の下、積極的に貢献できる領域を見極め、先進諸国の一極を担うという自覚を持ち、責任、分担、協力に我が国が果たすべき役割を明らかにすることが早急に望まれる。特に、アジア地域における我が国の役割を考えたとき、当該地域の研究者を積極的に受入れ、先端的研究施設を活用したアジア地域における研究リーダーの育成を支援することが必要であり、そのための適切な措置を講ずるべきである。

(以上)


 

参   考

 

 


原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画の策定について

 

平成11年5月18日
原子力委員会決定

 

1.新たな長期計画策定の趣旨
 現行の「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(以下「長期計画」という。)の策定以来約5年が経過し、この間に、原子力をめぐる国内外の情勢は大きく変化してきている。このため、これまで8回にわたって策定されてきた長期計画が我が国の原子力研究開発利用において果たしてきた役割を踏まえ、21世紀社会に向けた新たな長期計画について検討を行うことが求められている。
 このような状況を踏まえ、21世紀を見通して我が国がとるべき原子力研究開発利用の基本方針及び推進方策を明らかにするため、新たな長期計画の策定を行うこととする。

2.検討事項
(1)21世紀社会に向けた長期計画の在り方
(2)原子力と国民・社会
(3)エネルギーの安定供給を支える軽水炉発電体系
(4)高速増殖炉及び関連する核燃料サイクル技術の研究開発
(5)未来を拓く先端的研究開発
(6)国民生活に貢献する放射線利用
(7)新しい視点に立った国際的展開
(8)その他

3.検討の進め方
(1)長期計画策定会議の設置
 新たな長期計画の策定に資するため、原子力委員会に長期計画策定会議(以下「策定会議」という。)を設置する。策定会議の審議事項等は次のとおりとする。
 ①審議事項
 長期計画の策定に必要な事項の調査審議を行い、新たな長期計画案を作成し、原子力委員会に報告する。
 ②構成
(イ)策定会議の構成員は別紙のとおりとする。
(ロ)調査審議を円滑に行うため、必要に応じ、策定会議に分科会等を設けることができるものとする。
分科会等の構成員は策定会議の座長が定める。
(ハ)原子力委員は、策定会議及び分科会等の調査審議に参加する。
 ③審議の進め方
(イ)策定会議及び分科会等の議事は、原則として公開とする。ただし、策定会議又は分科会等が議事を公開しないことが適当であると判断したときは、この限りでない。
(ロ)長期計画案を取りまとめるに当たり、その内容について、幅広く国民の意見を聴取するための措置を講ずるものとする。
(ハ)長期計画案について国際的な理解と協力が得られるよう、努力を払うものとする。
(ニ)策定会議及び分科会等は、相互に十分な連携を図るものとする。
(2)既設の専門部会等においては、新たな長期計画の取りまとめが円滑に行われるよう運営に配慮する。

長期計画策定会議構成員
(別紙)

秋元  勇巳  三菱マテリアル(株)社長
秋山   守  (財)エネルギー総合工学研究所理事長
石川   好  (株)社会基盤研究所会長
石橋  忠雄  弁護士
稲盛  和夫  京セラ(株)名誉会長
太田  宏次  電気事業連合会会長
長見 萬里野  (財)日本消費者協会理事
桂   直樹  農業生物資源研究所長
金井   務  (社)日本電機工業会会長
河瀬  一治  敦賀市長
神田  啓治  京都大学原子炉実験所教授
草間  朋子  大分県立看護科学大学学長
熊谷  信昭  大阪大学名誉教授
黒澤   満  大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
近藤  駿介  東京大学大学院工学系研究科教授
佐和  隆光  京都大学経済研究所教授
下山  俊次  日本原子力発電(株)最高顧問
鈴木  篤之  東京大学大学院工学系研究科教授
鷲見  禎彦  日本原子力発電(株)社長
澄田  信義  島根県知事
住田  裕子  弁護士
竹内  哲夫  日本原燃(株)社長
千野  境子  産経新聞論説委員
妻木  紀雄  全国電力関連産業労働組合総連合会長
都甲  泰正  核燃料サイクル開発機構理事長
鳥井  弘之  日本経済新聞社論説委員
長瀧  重信  (財)放射線影響研究所理事長
那須   翔  東京電力(株)相談役
西澤  潤一  岩手県立大学長
橋田 壽賀子  脚本家
松浦 祥次郎  前日本原子力研究所理事長(第7回まで)
村上  健一  日本原子力研究所理事長(第8回以降)
森嶌  昭夫  (財)地球環境戦略研究機関理事長
吉岡   斉  九州大学大学院比較社会文化研究員教授
                     (五十音順)

                (平成12年5月時点)


長期計画策定会議の分科会について

平成11年7月2日
長期計画策定会議

1.分科会
 長期計画策定会議の調査審議を円滑に行うため、同会議に以下の分科会を設ける。

2.合同分科会の開催
 分科会は、相互に関係の深い事項を審議するときには、必要に応じて合同分科会を開催することができる。


長期計画策定会議第四分科会委員
[未来を拓く先端的研究開発]

(座長)秋山  守 (財)エネルギー総合工学研究所理事長
(座長)永宮 正治 高エネルギー加速器研究機構教授
 石井 慶造 東北大学大学院工学研究科教授
 伊藤 早苗 九州大学応用力学研究所教授
 井上 信幸 京都大学エネルギー理工学研究所教授
 大瀬 克博 富士電機(株)取締役副社長
 岡  芳明 東京大学大学院工学系研究科教授
 上坪 宏道 (財)高輝度光科学研究センター副理事長
 小林 直人 電子技術総合研究所量子放射部長
 齋藤 伸三 日本原子力研究所副理事長
 澤岡  昭 大同工業大学学長
 田崎 耕次 (社)共同通信社科学部長
 谷畑 勇夫 理化学研究所RIビーム科学研究室主任研究員
 平井 康晴 (株)日立製作所基礎研究所主任研究員
 福永 節夫 九州電力(株)常務取締役
 藤井 保彦 東京大学物性研究所教授
(平成12年5月現在)


長期計画策定会議第四分科会審議経過

第1回:平成11年9月16日(木)
 議題 (1)未来を拓く先端的研究開発について
    (2)先端的研究開発に関する長期計画の在り方について
    (3)今後の検討の進め方について
    (4)その他

第2回:平成11年10月21日(木)
 議題 (1)未踏分野への挑戦について
    (2)その他

第3回:平成11年11月29日(月)
 議題 (1)未踏分野への挑戦について(第2回)
    (2)その他

第4回:平成12年1月24日(月)
 議題 (1)持続可能な発展を目指して(第1回)
    (2)その他

第5回:平成12年2月14日(月)
 議題 (1)持続可能な発展を目指して(第2回)
    (2)その他

第6回:平成12年3月13日(月)
 議題 (1)横断的事項について
    (2)その他

第7回:平成12年4月17日(月)
 議題 (1)第四分科会報告書骨子案について
    (2)その他

第8回:平成12年5月8日(月)
 議題 (1)第四分科会報告書(案)について
    (2)その他

第9回:平成12年5月25日(木)
 議題 (1)第四分科会報告書(案)について
    (2)その他