6.議事の概要
(1)開 会
○座長より、以下のとおり開会の挨拶があった。
- 本日は第四分科会報告書について審議を行う。これまでの6回の審議を通じて、報告書に盛り込むべき点が整いつつある。なお、報告書については、5月31日の第10回長期計画策定会議に報告する。
○遠藤原子力委員より、報告書の作成に当たって留意すべき点について、以下のとおり発言があった。
- 政策文書を念頭とした報告書にして欲しい。夢とともに現実に即していることが必要である。
- できる限り、主語をはっきりさせて欲しい。
- 自分や木元委員でも理解できるように、やさしい表現にして欲しい。ただし、中味は濃くお願いしたい。
- 他の分科会と若干、関連することがあろうが、報告書の作成に当たっては、他の分科会報告と独立で構わない。しかし、その内容が180度変わるようでは困る。
○事務局より、配布資料の確認があった。
(事務局)
- 座席表に名前がないが、長期計画策定会議の神田委員が出席されており、藤井委員の隣に席を設けた。
○齋藤委員より、資料「革新的小型炉の研究開発について」の説明があった。要旨は以下のとおり。
- 21世紀における原子力の利用として、大型軽水炉、中型軽水炉による発電は民間主体で進む一方、他の分野にも拡大させるべきであると考える。具体的には、原子力を日本の一次エネルギーの6割を占める非電力分野に利用することが考えられる。また、今の軽水炉の熱効率は33%であるが、熱利用率を向上させる必要がある。いろいろなタイプの夢のある炉型を考えるだけでなく、実現可能性が高いものを考える必要がある。
- 需要地近接立地に要する原子炉の性能として、高い安全性とともに高度に訓練されていない人、高度な専門知識を有しない人も運転できることなどがある。小型炉はこの条件を比較的容易に満足できる。これは、NERI(原子力エネルギー研究イニシアチブ)、IAEA(国際原子力機関)、IEA(国際エネルギー機関)などの国際機関が共同で模索していることと符合する。
- 小型軽水炉では、ポンプのような能動的装置を使わずに重力で炉心を冷却する受動的安全システムの開発、無人運転を念頭においた制御技術の開発、高性能要素技術の開発等が必要である。実用化できれば、ビルへの熱利用や都市におけるその地域への給電、熱供給を行うことができる。
- 高温ガス炉は高温の熱利用のためのガスタービン、核熱利用技術開発等が必要である。プロセス熱として900℃〜1000℃の高温熱による水素製造が期待されるほか、ガスタービン発電を行い、その下段で地域暖房、海水淡水化等を行うと、理論上70%〜80%の高い熱利用率が可能となる。
- 国の研究機関、大学が中核となって、核・熱設計、プラント設計を行い、フィージビリティースタディ(成立性検討)をすべき。この中に産業界の人や大学の学生や、国際協力としてアジアの人を設計段階から入れるとよい。このような体制の下で、産業界、大学、研究機関が得意なことを分担しつつ、実現可能なコンセプトをまとめることが重要である。
○引き続き、齋藤委員より、資料「計算科学に関する資料(改訂版)」の説明があった。要旨は以下のとおり。
- 計算科学は、理論、実験に次ぐ第3の手法であり、科学技術の面を含めて社会との関連、1つの分野における相互乗り入れとして原子力科学分野に位置づけられ、科学技術の社会的受容性にも役に立つと考えて図にまとめた。報告書の作成の際に参考にして欲しい。
| ○ | 大瀬委員より、資料「『高温ガス炉の展望と実用化に向けて』報告書」について、説明があった。要旨は以下のとおり。
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- この資料は、日本原子力産業会議の原子力熱利用懇談会で検討した熱利用の将来展開についての報告書であり、高温ガス炉の開発の意義、導入の効果についてまとめられている。高温ガス炉は革新的中小型炉の代表炉型の1つであり、この分科会の審議に適切な資料と思う。この検討結果に基づく提案は長期計画の提言としても位置づけられると思うので、参考にして欲しい。
○説明された資料について議論が行われ、主な意見は以下のとおり。
- 今まで軽水炉は、出力の増大によるコスト低減の効果が大きかった。出力増大に代わる効果的なコスト低減方法はまだ見つかっていない。需要の伸びが低下してきたことが、出力の小さい原子炉を研究する動機になっていると思う。長期的には、いろいろな競合技術に対して競争力のある技術革新を追求しなければならない。この面で国の果たす役割は大きいと思う。競合技術、ニーズの視点などを摺り合わせて、技術革新を追求すべきである。
- 「革新的」という表現はIAEAで普通に使われているが、どういう意味なのか。核拡散抵抗性を備えると書いたのでは、その他の炉は核拡散抵抗性を備えていないとの疑問を与えるので、核拡散抵抗性に優れたというような表現にすべき。使用済燃料の発生についても、出力当たりの発生量が少ないと書いた方が説得力があってよいと思う。
(齋藤委員)
- 小型炉では10年以上の長期連続燃焼が1つの革新的要素となる。小型炉は、10年〜15年の長期間にわたり燃料交換しなくともよいのであれば、3、4年の交換頻度の大型軽水炉よりもバーンアップ(燃焼度)を高くできる利点がある。
- 資料の文章だけでは、今の発言のような深みが伝わらないと思う。
(座長)
- 報告書に文章を引用する場合には、今、議論されたことに配慮して欲しい。
- 燃料を10年以上保たせるために革新的な技術開発を要するのか。この理由として乗り越えなければならない技術開発が必要な点を説明しなければ、読む側は、今の原子炉でなぜ10年以上交換を要しない燃料に置き換えないのか、単純に疑問を感じると思う。
(齋藤委員)
- 10年以上保たせるために必要な革新的な要素として、既存のジルコニウム製被覆管で大丈夫かどうかが問題なので、被覆管の材料開発や、UO2(二酸化ウラン)燃料についての更なる改良が必要である。
- グローバルな市場でコスト的に競合できることが技術革新と認識している。経済性は、国や地域によって違う。原子力は、資源が乏しい日本では経済的に受容性があるが、グローバルにみると他の発電技術の挑戦を受けている。
(大瀬委員)
- 自分の提案では、次の4つのことを革新的技術と定義した。(1)容量が小さいにもかかわらず、経済性を向上させる技術、(2)固有な安全性、すなわち、人とのかかわりが少ない安全性、(3)運転保守容易性、(4)核不拡散性である。
- 齋藤委員が説明した際の資料は、研究開発の進め方について具体的に記述されているので、自分の説明の補強として参考にして欲しい。
- 以前、この分科会で量子という言葉のもつ曖昧さを指摘された。今回の計算科学技術についての資料の図に記述された量子技術に関しても、「量子」という言葉が一般にはわかりにくい。量子のもつ様々な側面が電子に比べて大きなものを包含するために、意味が曖昧になるのだと思う。ここでは明確な意味があるのか。
(齋藤委員)
- プラズマ、レーザーなど、いろいろなことを包含する言葉として使った。確かに曖昧さが残っている。
- 計算科学が原子力の研究を進める上で重要な役割を果たすのはわかるが、計算科学技術が原子力の範囲になぜ入るのかというポイントはどこか。
(齋藤委員)
- 計算科学技術を中性子やレーザーなどと並行して捉えてはいない。後で紹介される報告書骨子(案)(資料2)における「研究開発の棲み分けから相互乗り入れ」とか「今後の人材育成」の項目で、計算科学が1つのワードとして入るべきと考えている。各分野で研究者が計算科学技術を独立に使っているが、今後は、相互に乗り入れて、ネットワークの中で協力して使ってはどうかと考えている。
- 原子力は、NASA(アメリカ航空宇宙局)より前に科学技術計算推進の最大のスポンサーであったと思う。日本でも原子力分野に先端の計算機を入れた経緯があった。科学技術計算は、米国の原子力計画で発達したと思う。その後、70年代のアポロ計画でNASAが流体の計算技術を発展させた。このように、原子力は、総合科学技術として計算技術を推進するための1つの適切な分野だと思う。
(齋藤委員)
- 過去のことは今の指摘のとおりと思う。現在から将来に向けては、必ずしも、原子力における計算科学だけが他を引っ張っていく状況ではないと思う。今後のまとめ方については、他の委員の議論に従いたい。
(座長)
- 今、議論した点については、取りまとめの時点で十分に検討して欲しい。
(2)第四分科会報告書骨子案について
○永宮座長より、資料2に基づいて説明があった。
- 骨子案は以下の4章からなる。(1)第1章「はじめに」では、先端科学技術の開発がなぜ必要で、どんな必然性があるのかという背景と意義を述べる。(2)第2章「未踏領域への挑戦と持続可能な発展」では、分科会で議論した内容を述べる。(3)第3章では研究開発の進め方について述べる。(4)第4章では、まとめと、できれば幾つかの重要な提言を述べる。
- 第1章は5節からなり、各節で述べるべき点は以下のとおり。
−原子力はエネルギー源としての側面と総合科学技術としての側面があり、この両面が重要である。
−21世紀の原子力技術の新たな可能性も基礎科学を大切にすることから生まれるという、基礎科学との接点の重要性に視点を置く。
−日本は21世紀に技術のフロントランナーとして世界で指導的な役割を果たすことが求められており、世界に発信できる日本の原子力技術を見据える。
−先端科学技術が非常に重要で、本分科会が必然的に設置されたこと。
−科学技術には夢がいっぱいあること。
- 第2章は5節からなり、各節で述べるべきことは以下のとおり。
−これまでの科学技術をきちんと継承することと、未来を切り拓く科学技術への挑戦の両面が必要である。
−未踏領域への挑戦として、光、荷電粒子、中性粒子源の開発などにより、新たな研究の展開が可能となるという視点。加速器よりの放射光、中性子、荷電粒子、さらに強力レーザー光が切り拓く科学について、「見る、極める、創る」という観点からの技術分析、研究開発の意義、将来展望、国際競争力などの分析。何を目指し、それをどう実現し、原子力科学技術にいかなる貢献をするのかという点に主眼を置いた開発の必要性。何がハイライトかも明記する。
−持続可能な発展については、環境との調和、エネルギーとしての可能性、安心して使える技術という観点から、核融合、研究用原子炉、中小型炉の3つを取り上げ、研究開発の動向、将来展望、国際競争力などの分析及び開発の必要性など。
−シーズ開拓型とニーズ先行型、テクノロジープッシュとデマンドプルなどによる研究開発におけるバランスをどう考えるか。
−何が最も必要かということで、一種のプライオリティー(優先度)として、どんな順番で何を進めるか。
- 第3章は8節からなり、各節で述べるべきことは以下のとおり。
−研究開発の進め方として、国の科学技術基本計画の3つの柱、すなわち、(1)知的存在感のある国、(2)安心・安全な生活ができる国、(3)国際競争力のある国の視点に立ち、原子力との関連も含めて、なぜ科学を進めるか。
−ビックプロジェクトとしての原子力科学技術の進め方の原則。
−研究の進め方の一般論として、棲み分けから相互乗り入れへの視点。
−これからの研究開発における強いリーダーの育成の必要性。
−本当の意味での評価活動の実施と評価を反映させる方策の実現。
−フロンティア科学技術の継承的発展をシステムの中にどう組み込むか。
−技術革新と原子力工学研究
−国際競争と国際協力、人材の育成及び民間・地域との共生
○永宮座長の説明に対する質疑は以下のとおり。
- 4月7日の長期計画策定会議で提案された森嶌座長代理の取りまとめ骨子案では、この分科会の先端科学技術開発は、核燃料サイクル、高速炉から先を全部取り扱うことになっているので、前提として、いつからいつまでを長期計画のスパンとするのか認識しておく必要があると思う。この第四分科会報告書では、先端的研究開発の目標をいつ頃とするのか。
(永宮座長)
- 森嶌座長代理の案をみると、確かに、原子力発電と核燃料サイクルの後の先端的研究開発を第四分科会で扱うことになっている。
- 森嶌座長代理の案によると、原子力発電(第二分科会)、核燃料サイクル(第三分科会)の今の計画は20世紀の原子力開発の成果と課題の中で総括して、その後どう進めるかということになると思う。21世紀を迎えるに当たっての再評価で何をやるかというところで出てくるのは、核燃料サイクルや高速炉であり、それから先が第四分科会に全部かかわると理解している。
- 時間軸上の短期的から中長期的なスパン、日本の役割、これからの世界の原子力研究開発の在り方など、いろいろな意味の拡がりがあるので、どこに焦点を当て、どう進めるかということが疑問点だと思う。
(原子力委員長代理)
- 従来の長期計画はタイムスケール先行で、いつまでに何をするといい過ぎたことが、いろいろなところで問題が現れた原因である。科学技術も含めて、原子力のタイムスパンはディケード(10年)、センチュリー(1世紀単位)、ミレニアム(千年紀)に分けられるが、技術開発の展望はディケード対応がやっとの範囲だと思う。今度の長期計画がタイムスケジュール先行型にするならば、日本は、これからキャッチ・アップ型でなく、自ら課題を解決しながら将来に備える上で、課題解決型、マイルストーン提示型にすべきである。
- 第二分科会、第三分科会と直接リンクする先端的研究開発は少ないと思う。特に、核融合、研究炉、中小型炉は各々タイムスパンが違うと思う。これから行うべき研究開発は、よいものを早く、経済的というロジックで述べることになると思う。第四分科会では、このような研究開発の方向性を見せることが大事だと思う。
- それならば、報告書のロジックは、これから何をどのように進めるか、課題克服を視点とすべきである。
- 骨子案の中で科学と技術という言葉が科学技術として一緒に使われたり、別々に使われたりしており、区別がつかない。第二分科会では、科学は一旦失われても、文献を辿って蘇らせることができるが、技術は立ち直らせるのにそれまでの何倍のエネルギーを要するから、別々に使うべきだという意見があった。今後、原子力モラトリアム論が出た場合、立ち直れるかどうかという問題もあり、また、科学と技術を区別する一般の人が多いので、気をつけるべきである。どんな理由で科学技術という言葉を使ったのか。
(永宮座長)
- 科学と技術の区別をあまり意識せずに使っているので、今後、使い分けたい。
- この骨子案の構成はこれまで議論してきたことと違うと思う。原子力政策の中で行ってきたことの将来のために、これまでの反省を含めて、基礎研究が原子力研究分野にあるべきであると述べる必要がある。この案では、原子力の中に少し毛色の違う分野があって、その中にはこんなものがあるという付録のようである。
- 加速器のようなもののハイライトを書くのが目的でなく、加速器はこの時代に必要であると述べるべき。ハイライトやプライオリティーを付ける議論はしてこなかった。プライオリティーを付けるには、どんな場でどうすればよいかという視点にすべきである。
(座長)
- 各委員の意見と調整しなければならない点が多いと思う。この骨子案はたたき台である。
(永宮座長)
- 谷畑委員の意見を十分に反映できなかったかもしれない。谷畑委員が目的として位置づけた「原子力とその目的」という広い範囲の中でまとめるべきかどうか、自分自身もよくわからなかった。
(3)全体議論
○骨子案(資料2)と各委員の意見とのクロス・ディスカッションが行われた。主な意見は以下のとおり。
- 国民の理解を求めるような体制を整えなければならない。
- 国民がわかりやすい、具体性のある計画を見せる必要があると思う。例えば、地球の内部のことを探りに地球中心まで行くようなことが挙げられる。
- 報告書骨子案とは、夢一杯の科学技術の項目に対応すると思う。
- 今後100年〜1000年を視野に入れた、冒頭の10年〜15年という視点でものを考えるべき。科学技術立国として、日本が原子力の潜在的可能性をしっかり開拓する必要がある。
- エネルギー源とともに特殊なエネルギーの出方としての放射線を浮き立たせる方法を考えなければならない。放射線利用のために、ビームとして出るエネルギー形態があることを広く知らせるべき。
- 核融合は、持続可能だが、未踏領域に踏み込んだ科学を技術と相まって先行させて、あり得る存在定理を証明しなければならないというクリティカル・ポイント(重要な位置)にある。また、未踏領域に踏み込む上でリスクを伴う挑戦的なものである一方、大規模で使命性があるので国策を要する。評価をしながら、計画を煮詰めていかなければならないので、学問的基盤が必要である。また、国策なので英知を集める必要がある。
- 未踏領域において、多様性の獲得や偶然の発見や発明のためのセレンディピティー(興味や価値を求める自然本能)の勧め、多様な政策としてのポート・フォリオ(資産所有・投資の最適な組合せ)の導入のような裕度があるものを取り込まなければならない。また、フロントランナーの研究として、ただ乗りでなく国際的牽引力になり得ることを示す必要がある。
- 今の骨子案では括り方が区分的になっていると思う。もう少し大きくして、その中に、例えば持続可能性のように、うまく位置づければ、もっときれいになると思う。
- この骨子案は大枠で議論して大きくまとめた理念先行の概念だけで終わらず、具体的なことまで踏み込み、さらにプライオリティーを付けるところまで触れているので、自分の考えと近い。ただし、プライオリティーを付けることは異質なことで、難しいと思う。
- 従来の第四分科会の報告書との継続性の上での違いをはじめに入れる必要があると思う。
- 原子力長期計画なので、社会一般で認識されている原子力の問題点をある程度取り上げて、先端科学技術によって問題がどう解決できるのかを議論してはどうか。
- 自分が出した5項目の意見は全て骨子案に採り入れられており、項目に対して特に異存はない。ただし、研究開発の進め方の体制については、本日の齋藤委員の説明もあわせて検討して、提言の中でできるだけ具体的な形でまとめて欲しい。
- 研究用原子炉は加速器中性子源と相補的関係であることをいう必要がある。加速器について、素晴らしい計画が説明されているが、研究用原子炉の用途を全てカバーすることはできず、その一部が置き換えられるだけである。
- 長期的には、グローバルマーケット、すなわち規制緩和された電力市場での原子力発電の競争力の追求が重要になる。出力の大小ではなく、原子炉技術の革新を強調する方がよいと思う。
- 理学と工学はスパイラル(螺旋)的に発展する。科学は真理を追究し、技術は最終的な実用化を目指すので、互いの目標が違うことに注意しなければならない。
- どんな視点でプライオリティーを付けるのかは難しいと思う。この分科会で取り上げたものも、全ての可能性を包含しているわけではない。最終的には世の中のニーズに合ったものが採択されると思う。
- 第四分科会には次の3つの側面があると思う。(1)国民にわかりやすいように、原子力の考え方を変える必要がある。(2)原子力、ビックプロジェクトが行き詰まっているので、あるべき考え方を検討する。(3)原子力長期計画に対する基礎的技術開発、科学研究の分野でどんなことを考えるのかを提案する。
- 骨子案が原子力と基礎研究を切り離すことを考えているようで、気になった。原子力は基礎科学とエネルギーとしての実用技術の両方をカバーしていることを強調して欲しい。
- 原子力は非常に多面的で、かつ、いろいろな新しいことを生み出す要素があることをわかりやすく例示する必要がある。科学と技術とは密接に関係していることを実感しているので、これらを分けずに考えて欲しい。
- ビックプロジェクトの進め方はコメントで述べたとおり。評価のときには相対評価を行い、また、個々の内容に善し悪しを付けると同時に、A、B、Cのようなランク付けを行うことが必要である。
- 本気になれば、サイエンスもテクノロジーも技術の回復が可能と思う。むしろ、プラクティカル(実践的)なものをつくる技術の継承が難しい。基本設計を行う人、実際に最高の性能を出すものをつくる人、単に製作する人を明確に分けるという、今まで日本でやられていなかったことを提案して欲しい。
- 日本では全責任を負ったリーダーがビッグプロジェクトを進めるという考え方がなく、「みんなでやれば怖くない」的な取り組み方になっている。リーダーを育成する以前に、リーダーが必要だという考え方をクリエイト(創造)する必要がある。
- この分科会では、個々の加速器の善し悪しを議論するための検討を行っていないので、こうあるべきという提案をすればよいと思う。
- 何をもって、持続可能というのか。寿命が5年から10年に延びたことが持続可能なテクノロジーといってよいのか。持続可能というのなら、もっときちんと議論すべきである。
- 国が計画を進めるにあたっては、国民に対するアカウンタビリティー(説明責任)が重要である。特に原子力の場合は、計画の意義として「こういう理由だから開発する」というアカウンタビリティーが必要である。
- 研究者の自主性と独創性に立脚した研究開発がなければならない。独創性とミッション(使命性)、自主性とオーガニゼイション(組織性)の兼ね合いを示すことが重要である。
- 科学技術の考え方として、産業や人間・福祉・医療などへの波及効果を述べることも必要だと思う。半導体リソグラフィー、イオン注入技術は加速器技術から生まれ、X線CTは放射線利用から生まれたというように、原子力は他への波及や他からのデマンド(需要)による効果も大きい。
- 他の領域から見た原子力の特異性をあまり強調せず、原子力は1つの技術の局面で、他の領域への垣根は低いことを述べればよいと思う。
- 現在、各々の研究開発が世界的にどの位置にあるのか、計画している研究が達成されると世界でどんな状況になるのかということに視点を置くことが重要と思う。この視点は、評価の上で重要な判断要素になるし、タイムスパンやマイルストーンの観点ではどの時点までに計画が達成されなければ時代遅れになるのかもわかると思う。
- 研究分野は新発見、理論、公式の発見につながる純基礎的研究と新材料、新産業に役立つ目的基礎研究に大きく分けられる。研究分野が各々、どちらに属するのか、両方にオーバーラップしているのかを分類すると国民にわかりやすいと思う。
- 研究用原子炉の1つの大きな役割として中性子利用があるが、加速器よりの中性子と区別するのか。中性子利用として括り、加速器と研究用原子炉を入れることもできるため、未踏領域と持続可能という分け方がよいのか疑問である。
- 今までの日本では、ある1人のリーダーに強い権限と明確な責任が与えられていなかったことを反省し、リーダーの育成の必要性を謳う必要がある。
- 政策文書であるので、21世紀のいつ頃を指す話なのか読む側がわかるように書く必要がある。未踏領域への挑戦と持続可能な発展という並べ方ではわかりずらい。(1)研究用原子炉は未踏領域への挑戦の面と原子炉開発の一環という工学的な側面もあわせもっており、現在から続く流れの中にあること、(2)中小型炉は、いつか新しい時期に、世界に広げていくもの、(3)核融合はさらにもっと先にあるもの、というように、読む側に時間差が見えるように整理する必要がある。
- 新しい発見を求める純基礎的な研究開発とエネルギー源開発との必要性を21世紀における人口の増減との関係で、はっきり分ける方がよい。
- この分科会に期待されている視点として、「原子力とその目的」と大きく捉えれば、基礎研究と基礎技術開発が最初からインテグレート(集積)されている点を入れたい。ここでいう目的とは、エネルギーがあってそれに付け加える他の部分という意味である。報告書の構成としては、「原子力とその目的」の次に、この目的を果たすためという位置づけで、政策と研究システムについて述べることがポイントである。
- プライオリティーを決めるつもりでデータを集めて議論すれば、プライオリティー付けは難しくない。ただし、この分科会ではそのようなデータの収集をしなかった。今までの政策では、いろいろな場所でプライオリティー付けがされてきたが、どれが本当に意味のある決め方なのか明確でないことが問題であり、誰が、何に基づいて最終決定しているのかわからない。プライオリティーを決める場所や手段を明確にしなければならない。
- 基礎研究の在り方や現状については、分科会で聞いた興味深いことや有用なことを示し、研究システムと政策に関する留意点、議論されたことを最後にまとめればよいと思う。
- 今までの原子力で隅にあった基礎研究がこんなにおもしろいこと、重要な基礎開発の科学技術があり、それは基礎研究とインテグレートされたものであること、基礎研究を進める手段とシステムのプリンシプル(原則)が見える形になればよい。
- 谷畑委員の案は永宮座長の骨子案と重なる部分が多いと思う。谷畑委員の構成案の「原子力の在り方」は「進め方」と読めばよいし、各論的なことも対応している。「研究の在り方」を「研究の進め方」と読めば、互いに似ている。「新しい政策と研究システム」が我が国から国際的に新しいシーズを見い出す環境、基盤づくりのシステムのことを指すならば、骨子案の「強いリーダーの育成」とか、「フロンティア科学技術の継続的発展」といったことは内容的にかなりつながっていると感じる。うまく調整すれば、まとまると思う。
- 伊藤委員の提案も骨子案と同じ内容と思う。ただし、「セレンディピティー」、「ポート・フォリオ」など専門用語が多いのでやさしい表現に変えたい。「デマンド・プル」という言葉でも、(長期計画)策定会議では難しいとの注意を受けた。
- 書くことだけを切り離して個別にみると、骨子案での議論と同じだと思う。どんなところに視点を置くか、摺り合わせて、パンチのある報告書にしたい。
- 各々の案で、概念、項目の立て方、具体例の書き方がバラバラになっている。括り方や分け方をもっときれいにしなければ、全部の文章がうまくまとまらないと思う。
- 原子力の先端技術開発は大切な活動で、投資が必要であることが国民に理解できる内容であること。これは、アカウンタビリティーに相当する。
- 原子力に関連する技術が有効であり、容易に破綻しない柔軟性があることが理解されることが重要である。
- 原子力の先端技術は研究者の新しい発想が進歩の源泉となり、それに基づいて中核技術が形成されることが如実にわかる実例を挙げると効果的である。新しい着想となる物理、化学が表面に出て、サイエンスと密接に結びつくことを示したい。
- 原子力に関係する先端技術開発、あるいは、より一般の研究にはセレンディピティーが最初から存在することが期待される。もしかしたら新しい発見があるといった曖昧な表現ではなく、必ず付随する発見があることへの期待を前提とすべきである。
- プロジェクトを興して進めるスピードを向上させるためには、個々の研究者の働きの量よりもシステムの効率を上げることが重要。強いリーダーとあわせてシステムの効率化が必要なことが理解できる内容にする必要がある。
- 産官学協力による相互乗り入れが必要である。ただし、技術を移転する場合、Aの土俵で有効でも、Bの土俵では必ずしも有効とは限らないので、Bの土俵でもよく適用できるようなシステムの相互乗り入れが必要である。
- 全体の大きな狙いを理念的に書いて、ロジックが各論に滑らかに入るような報告書がよい。
- 第1回の第四分科会で、原子力委員長代理から「大きく議論して、大きくまとめる」という話があったことを踏まえ、まとめでは、研究開発の理念がはじめに書かれ、次に研究開発の進め方の議論にかなりのスペースがさかれるべきと思う。今回の長期計画の最も大きな目的の1つは国民の理解(社会的認知)を得ることにあると思うので、原子力長計計画に基づく原子力研究開発の全体像を示すことが大事だと思う。
- 理念、研究開発の進め方については、以下のことを示すべき。(1)長期計画で示された理念に基づき、どう研究の実施計画がなされるか、(2)実施された研究に対する定量的な評価と、その反映の仕方、(3)研究の成果を産業界、国民に反映する仕組み。
- 文部省の学術審議会の原子力部会で、原子力関係機関等における今後の中・短期的な連携、協力の在り方について、省庁統合も視野に入れた議論を行い、昨年の4月に報告書を出した。その内容とこの分科会での議論が似ている。学術審議会で議論された基礎科学の検討の重要性、相互乗り入れ、研究開発の進め方、国際競争・国際協力の在り方などを引用するとよいと思うが、どうすればよいか。
(座長)
- 学術審議会の原子力部会での議論の内容は知らないが、基本的によいものは入れてよい。ただし、この分科会で全く議論しなかったことを入れるのは困る。
(原子力局長)
- 原子力長期計画に係る審議は我が国の原子力全般をカバーすることが主旨なので、他のところで議論されているデータは全て審議の場に出すべきと認識している。関係するところと相談して、必要であれば、次回の分科会に出すようにしたい。
(原子力委員長代理)
- 学術審議会の報告書はこの分科会の審議内容とコンフリクト(矛盾)するものではないし、整合性があるものと思う。ただし、この分科会にとって有効でないものを報告書に入れることは問題である。
- 第1回会合の際にした質問に対して事務局が指針を確認したように、学術審議会とバッティングしてはならないが、独立な委員会として、リゾンデートル(存在意義)があると思う。後で、行政上の不都合がないようにして、まとめればよいのではないか。
(座長)
- 報告書に入れておくべき、よい提案は入れるようにしたい。しかし、全く議論されていないことを盛り込むことはできないというのが原則である。藤井委員が学術審議会の報告書から引用したいことがあれば、この分科会の議論の場に出して欲しい。
- 他の分科会と関連することについても遠慮せずに触れて欲しい。例えば、小型高速炉のことも比較表のような形で少しでも報告書に入る方がよいと思う。第六分科会で議論されている核不拡散の一連の動きについて、研究開発における国際協力の問題が顔を出してもよいと思う。
- 私立大学と民間の研究炉が首都圏に立地して既得権があるという意見もある。研究炉の一括りでもよいが、このようなニュアンスでそれらの研究炉の意義を提案してはどうか。
- 核融合を支える法体系がないので、法整備が必要ではないか。核融合研究を謳うのであれば、研究が進んで何か発生したときに法的にも何らかの形で対応できるようにしておくことが必要と思う。
- 中小型炉はなぜこの分科会のカテゴリーなのか。
(原子力委員長代理)
- 従来の長期計画では、中小型炉は加速器、核融合と同様に先端的技術開発として扱ってきたので、今回も、中小型炉は光、荷電粒子と中性子を使った先端分野として第四分科会に入れた。中小型炉はかなりの歴史をもっているので、先端的でないという議論もあるかもしれない。21世紀の潮流としての中小型炉の定義をもっとしっかりして欲しい。まだ定義が曖昧なので、どう位置づけるのか難しい。中小型炉は第四世代の原子炉として重要と思う。主語がまだ明確でないので、誰が、どうやって取り組むのかという線をはっきりさせて、議論して欲しい。
(座長)
- 中小型炉は第二分科会で若干取り上げられたが、技術的問題は第四分科会で議論すべきことと理解している。
(原子力局長)
- 第二分科会では、現在の核燃料サイクルの中における今後の展開という切り口で議論しており、第三分科会では、高速炉技術を軸として技術開発の在り方にメスを入れている。中小型炉の問題が今後大きな展開をもたらす可能性があるならば、第四分科会では技術的可能性という観点でメスを入れて欲しい。
- 昭和30年来の長期計画の議論では、どちらかというと日本でどうエネルギーを安定に供給するかを切り口としていたので、当初、基礎研究に対して報告書の紙面をさく割合がとても小さかった。基礎研究、科学技術投資については、昭和56年、昭和62年の長期計画から少しずつメスが入れられて、前回の平成6年の長期計画で比較的強く出された。今回の長期計画の策定では科学技術の位置づけをどう考えるかという点で、いろいろな検討をお願いしている。中小型炉のもつ問題や潜在的可能性について、積極的に自分がやってみようという観点で扱って欲しい。
- 革新的小型炉の中には、小型軽水炉と高温ガス炉の両方とも包含されるのか。
- 基本的に両方とも包含される。高温ガス炉には「小型」という文字が付いていないが、現状では大型炉志向でないので、小型の分野に入る。
- 中小型炉を「革新的炉」と分類を変えるとわかりやすいのではないか。
(座長)
- 議論によっては、表現を変える余地があると思う。
- 新しいエネルギー・プロダクション(生産)方式についてもっと強調しなくてよいのか。例えば、10年後にできるとは思えないが、加速器駆動型原子炉は重要な開発課題と思うので、これも革新的炉の中に入れてはどうか。
- 加速器駆動型原子炉については、第三分科会において核変換というテーマで議論していた。革新的という点では重要な課題になると思う。
- レベルが違うものを同一の視点で評価するのはよくない。評価の物差しとしては、一定量予測可能な理論がしっかりしているかどうか、技術的な経験やその背景技術があるかどうか、コスト面を含めて実用化される見込みがあるかどうかなどがあろう。技術革新において、発電はワットの時代から蒸気タービンを使っているが、火力のボイラーは40年〜50年のスケールでみると、どんどん発展している。進化する先は、あらかじめ決まっているわけではなく、競争の結果、決まるものであり、このような技術革新を追求すべきである。先ほどは、このことをグローバルの中での競争性と述べた。
(4)その他
○座長より、報告書をまとめるに当たって、以下のとおり、各委員に対して発言があった。
- 報告書に記載すべき各項目の視点、すなわち、何を目指し、それをどう実現し、原子力科学技術にいかなる貢献をするのか、ハイライトとなることを1ページくらいにまとめて欲しい。必要なら図をつけてもよい。括り方に意見があれば、それもあわせて、今週末から4月25日くらいまでに出して欲しい。
- 各委員の意見については、電子メールによって、直接、座長及び事務局あてに送ってほしい。
- 4月27日までに報告書のドラフト第1案を作成し、各委員に送信したい。
(5)閉会
○座長より、次回(第8回)会合について以下のとおり説明があった。