(神田長期計画策定会議委員)
- 高レベル廃棄物についての議論は行うが、動力炉の核燃料サイクルが中心。第四分科会から審議を求める意見があれば検討する。第二分科会では日本原燃の竹内社長が委員なので、処理機関に日本原燃を想定したり、全く関係ない第三の機関を想定することも可能。ただし、第二分科会で扱うには第四分科会で議題となった事実が必要であろう。
(座長)
- この問題については扱いが難しく、結論を出すのが困難である。
(神田長期計画策定会議委員)
- 結論を出すことを望んでいるのではない。第四分科会がこの問題を認識せずに第二分科会で独自に議論を進めることはできない、という意味である。
(原子力委員長代理)
- 原子力委員会では平成9年からバックエンドや高レベル廃棄物の問題の議論を進めており、かなり結論に近づいている。その中で研究炉の問題も認識している。
- 原子力委員会の基本的な見解は(廃棄物、使用済燃料の)共同墓地構想である。これは、発生者責任ということはあるが、日本に何箇所も施設をつくって対応することは困難なためである。議論は前向きに進んでいると思う。
- 研究炉の個別ケースが十分に見えない状況でどこまで取り上げてよいか不明。研究炉の将来に大きな発展可能性が見えず、従来の問題の解決に苦労されているように思える。かつて大学が無理をしても独自に研究炉を持とうとした意欲が喪失されている状況で、次をどう考えるかという発想で議論をしているのではないか。今日提案があった研究炉機構もその現れと思える。研究炉の将来展望が現時点で明確になれば、これから永く使い続けることを想定して、研究炉の在り方を考えていきたい。
(神田長期計画策定会議委員)
- 2006年までに炉心に入った原研と京都大学の米国籍の使用済燃料は全て米国に引き取られるが、武蔵工業大学、立教大学、民間の東芝と日立製作所の研究炉については米国の引取条件から外れており、廃棄物が取り残されることが大きな問題。2008年以降をどのように考えて現在を進めるかという観点で意見を述べた。
(原子力委員長代理)
- 提案があれば出してもらうのはよいが、個別の問題については個別で対応すべき。必ずしも長期計画全体の議論にする必要があると思わない。
- 研究炉の役割として教育・人材育成は重要。東北大学では毎年三年生から希望者を募り、東京大学原子炉「弥生」での原子炉実習と東海・大洗地区の原子力施設の見学を行っている。今年度はJCO事故により参加者の減少を心配したが、昨年度と同様30名近い学生が参加する。事前に原子炉の運転があることも説明しており、教育・人材育成の必要性を学生は理解している。研究用原子炉は、実習に必須であり、それが関係者の努力で可能になっていることに感謝している。
- 中性子利用研究を研究炉で大々的に展開する提案がある一方で、加速器を使う大々的な要求がある。将来、研究炉から加速器にユーザーが移る印象があるが、どうか。
(岡委員)
- 中性子の利用にはいろいろあり、加速器中性子源と原子炉は相補的。全てを加速器に頼ることができると考えるのは現実的でない。原子炉の特徴を活かして高度化することが必要。現在の原子力事情や必要性に鑑みても、将来、研究用原子炉がなくなることは考えられない。
(神田長期計画策定会議委員)
- 医療用の中性子利用に関する国際学会に加速器部会の設置を提案し、説明したが、医者は、いつでもビームを取り出せて出力が安定した研究炉がよいと思っている。
- 冷中性子をつくるために加速器から出る高エネルギー中性子を冷やすのはたいへんではないか。
- 冷中性子、超冷中性子の発生には線原中性子の密度(束)が高い方が重視され、この点は加速器を使った方が有利。
- 前回、中性子散乱のプレゼンテーションで、数MWの加速器ができたら、原子炉のよう
に定常の中性子で同等の中性子束が得られることを報告した。今の加速器はまだ160kWが最高強度であり、原子炉よりも定常の中性子束は低い。
- 冷中性子モデレーター(減速体)の技術が発達し、冷中性子専用に中性子束の高いものができるようになった。数MW以上の加速器ができれば、原子炉を代替できると思っている。
(伊藤説明員)
- 加速器中性子源について、原子炉より中性子束が二桁高いと言われているのはパルス幅の時間の中のことで、パルス中性子を利用する中性子散乱研究等には適しているが、直流ビームを必要とするRI製造などの場合は原子炉の方が中性子束が高く、より適する。
(3−4)革新的な中小型炉の開発について
○大瀬委員より、資料6に基づき、プレゼンテーションがあった。要旨は以下のとおり。
- IAEAの目安では30〜70万kWの出力のものが中型炉、30万kW以下が小型炉とされている。経済性、安全性、運転保守容易性、核不拡散性の4項目が特徴的な革新的技術である。炉型には、軽水炉、高速炉、高温ガス炉、溶融塩炉がある。
- 従来は、スケールメリットによる経済性向上と立地地域が限られた中での有効利用を目指した大型軽水炉の開発の結果、単基出力は136万kWのものがつくられるとともに経済性と安全性の向上が図られてきた。今後も大型軽水炉が電力供給の柱になるだろうが、経済成長と地球環境問題・資源問題の両立、遠隔化する立地・立地難、開発途上国を中心とするエネルギー需要増大、若い世代の原子力離れによる優秀な研究者・技術者の不足などの背景から、21世紀には、電力供給・エネルギー供給の多様化、立地の多様化、多くの国への原子力普及の協力、若い世代への魅力的技術分野提供といった新たなニーズが出現すると思われる。こうしたニーズを満たし、経済性、安全性、プラント容量の柔軟性、運転・保守容易性、熱利用、核不拡散性の要件を実現する革新的な中小型炉の開発が必要。
- 安全性を中心とした中小型炉の特徴は、炉型に応じて異なるが、非常用炉心冷却系に用いられる重力や自然循環などの静的安全技術、冷却水を使わない大気循環による原子炉冷却、負の反応度温度係数による炉停止などがある。また、システム構成機器と炉心の一体化等によるシステムの簡素化により、経済性の向上も期待される。
- 単位出力当たりの建設費用及び運転要員費用の増大、いわゆるスケールデメリットの克服や多くの発電所の分散配置に伴う核物質の管理が今後の課題である。スケールデメリットについては安全特性に基づく安全系統簡素化、システム簡素化、標準化、量産効果など革新的な中小型炉の特徴によりその克服が期待できる。
- 海外の開発状況については、単純化軽水炉や小型軽水炉は米国やアルゼンチンで設置認可やその検討段階、高速炉は米国、ロシアで概念設計中。高温ガス炉は予備的安全審査を経て、ロシアが2009年を、南アフリカ共和国が2005年を、それぞれ運転開始目標として建設計画を発表している。
- 我が国の開発状況については、小型軽水炉、高速炉は概念検討中、単純化軽水炉は概念設計を終了し、高温ガス炉はHTTR(高温工学試験研究炉)が運転を開始したところ。
○大瀬委員のプレゼンテーションに対する議論が行われ、主な意見は以下のとおり。
- 発電用原子炉は今後も軽水炉が主力と考えることに異論はないが、他電源の技術革新を考えると、それとは別の次元で動力用原子炉の技術革新を検討すべき時期にあると思う。例えば、今後、東南アジアのエネルギー源の中東地域への依存度が増大する可能性もある。核分裂エネルギーがこれから人類に役立つよう、様々な技術革新を検討すべきと考える。技術革新を考える1つの機会として、中小型炉が検討されるのはよいことと思う。
- 中小型安全炉という言葉から安全を削除したことには賛成。安全性は多様なものである一面だけをとらえて安全というのは適当でない。
- 本来、技術革新の追求では原子炉の出力の大小が「目玉」であるのはおかしいので、中小型にとらわれず、原子力の技術革新を進めていくべき。
- 100万kWの電力需要がある際に、大型炉1基で賄う方法に対して、20万kWの中型炉を6基用意し、1基が定期検査を受けても残りの5基で常時100万kWを生産する方法を考えると、量産によるコスト削減が図れるし、2,3基毎に運転要員を付けるので済めば、総合的に評価して中型炉が大型炉に比べて経費が高くなるとは限らないのではないか。ことさらにスケールメリットを強調せず、中小型炉の特徴を活かした研究をし、大型炉との比較検討をきちんとしてコストを評価することが必要である。
(大瀬委員)
- 工場の製作における量産効果、設計・安全審査の標準化、静的安全性を利用した軽装備化などが経済性の向上につながると思う。
- 中小型炉の開発ではどこまでが国策で、どこからが商業ベースと考えられるのか。
(大瀬委員)
- 実用化するには10年、15年という長期間の経済性、安全性に関する革新技術の実証が必要。このような長期間にわたる投資回収を考えると民間企業での対応は困難であり、また核燃料サイクルとの整合性もあり、国の政策的、財政的支援が必要となる。
- 外国でもそうなのか。
(大瀬委員)
- 米国のNERI(原子力エネルギー研究イニシアチブ)計画は政府が新型炉の開発を支援する形で進めている。長期的なプロジェクトは国の支援なしに進まないと思う。
- 安全性が重要だが、中小型炉の安全性を定量的に説明できないのか。
(大瀬委員)
- 個人的には、大型軽水炉も中小型炉も十分に安全という意味で、安全性に大差がないと思っている。事故が起きる確率までは分析していないが、中小型炉は、一般の人々に安心感を与える可能性があるのではないか。
(4)その他
○座長より、次回(第5回)会合について以下のとおり説明があった。