高速増殖炉懇談会報告書のポイント
平成11年9月20日
第三分科会事務局
- 1.はじめに
○背景
- 「もんじゅ」ナトリウム漏洩事故後の「原子力政策円卓会議」における意見を受け、原子力委員会が平成9年1月末に本懇談会の設置を決定。
- ○本懇談会について
- 広く我が国各界各層からの有識者から構成。
- 地方自治体代表、海外専門家、批判的な意見の方、他から話を伺った。
- 審議、配布資料は公開。
- 2.エネルギー情勢と原子力
- 資源の乏しい我が国として、原子力を今後ともエネルギー供給源として持ち続けることが妥当。
- 省エネルギー、新エネルギーには量的限界。複数の選択肢を将来世代のために維持する努力は我々の責任。
- 上記のとおり、原子力を21世紀のエネルギー供給源として引き続き維持発展させることが妥当。但し、平和利用、安全確保は重要。また、省エネルギー、新エネルギーの開発・利用は積極的に進めることが重要。
- 3.高速増殖炉研究開発の意義
○高速増殖炉の特性と内外の研究開発状況
○高速増殖炉研究開発の進め方
- エネルギー需要の見通しとウラン資源の有限性については、異なる意見はあるものの、FBRの研究開発を進めることは長期的エネルギー源の確保の観点から重要であり、人類に対する義務との意見が多数。
- 経済性などの実用化見通しが得られていないとの意見もあったが、実用化の可能性を探求し、課題を着実に解決すべきなどの意見が大勢。
- 安全性、核不拡散についての懸念を指摘する意見が出たが、技術的に解決できる見込みがあり、また、リサイクルを基盤とする21世紀社会の技術の有るべき姿を実現する観点から高速増殖炉は開発意義を有するとの意見が出た。
- 以上をまとめると、将来の非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢として、高速増殖炉の実用化の可能性を追求するため、その研究開発を進めることは妥当。
- 4.今後の課題
今後、研究開発を遂行していくにあたっての留意事項は以下の4点。
○安全の確保
- FBRの研究機関は、安全確保を最優先にできる体制であること。
- 事故の発生を未然に防止するための万全の対策を講じ、仮に起きたとしても人体・環境への影響を与えないという謙虚かつ懸命な姿勢が必要。
- ○立地地元住民及び国民の理解促進と合意形成
- 動燃の一連の事故、不祥事により、立地地元住民には強い不安、不信。
- 動燃改革を着実に進め、実効性のある安全管理策を立て、それを着実、誠実に実行し、地元住民の理解を得るための努力を。
- ○コスト意識の醸成と計画の柔軟性・社会性
- 研究開発自体の経済性(投資対効果)、FBRの経済性向上、炉とサイクルの調和などからの計画の定期的見直しが必要。
- 柔軟な対応が可能な計画とし、定期的に評価して適切に軌道修正を行う仕組みを制度化する必要がある。
- ○核不拡散の努力
- 適切な保障措置、核物質防護技術を開発・利用することにより、今後とも各国からの疑念を抱かないように努力することが必要。
- 5.「もんじゅ」による研究開発の実施
- 動燃の抜本的な改革が必要。
- 「もんじゅ」を中断し、今後必要な時に再び研究開発を始めることは費用面、人材面から大きな損失。
- 地元地域社会の理解を得ることが必要。研究開発段階にある原子炉であることを認識した慎重な運転管理が行われることを前提に、「もんじゅ」での研究開発が実施されることが望まれる。
- 「もんじゅ」における研究開発に当たっては、増殖特性の確認を含む燃料・炉心特性の確認、ナトリウム取扱い技術や高燃焼度燃料開発など原型炉としてのデータを着実に蓄積するとともに、マイナーアクチニド燃焼など新たな分野の研究開発に資するデータを幅広く蓄積すべき。
- 6.実証炉以降の開発
- 「もんじゅ」及び実証炉設計研究の成果を十分に評価した上で、実証炉の具体的計画について決定。
- 実用化にあたっては、実用化時期を含めた開発計画について、安全性と経済性を追求しつつ、将来のエネルギー状況を見ながら、柔軟に対応。
- 7.おわりに
- 将来の非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢として、FBRの実用化の可能性を追求するために研究開発を進めることが妥当。
- 柔軟な計画の下に、国民の意見を反映して定期的な評価と見直しを行う。
- 原型炉「もんじゅ」は、この研究開発の場の一つ。
- FBR研究開発の意義や進め方について、広く国民に理解を得る努力を。


