気候変動に関する国際連合枠組条約及び京都議定書

(気候変動枠組条約:United Nations Framework Convention on Climate Change)
(京都議定書:Kyoto Protocol to the UNFCCC)

平成12年3月
外務省地球規模問題課
気候変動枠組条約室

1.気候変動枠組条約の概要

(1)条約の作成・締結・発効

 気候変動に関する国際連合枠組条約(通称:気候変動枠組条約)は、1992年5月に作成され、同年6月リオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED、地球サミット)において署名のために開放された。我が国は同年6月13日に署名し、1993年5月28日に締結(21番目)。その後1994年3月21日、条約は発効した。
 なお、2000年1月25日現在、条約の締約国数は、180か国と1地域(EC)。

(2)目的
 大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること。(そのためには、温室効果ガスの排出量を抑制または削減することが要求される。)

(3)条約上の義務
 条約の附属書Tに掲げる国(我が国を含む先進国及び市場経済移行国。通称:附属書T国)が負う主要な義務は、以下の二つ(条約第4条2項)。
(イ)温室効果ガスの人為的な排出を抑制すること等によって、気候変動を緩和するための政策を採用し、これに沿った措置をとること。
(ロ)上記の政策及び措置、並びに温室効果ガスの排出及び除去に関する詳細な情報を、条約事務局を通じて締約国会議に送付すること。(我が国は、1994年9月に第1回の、及び1997年12月に第2回の情報をそれぞれ送付した。)

2.第1回締約国会議(COP1)から第5回締約国会議(COP5)までの経緯

(1)第1回締約国会議(COP1:1995年3〜4月:ベルリン)

 2000年以降の地球温暖化防止のための国際的取組を内容とする議定書または法的文書を第3回締約国会議(COP3)までに採択することが決定された(ベルリン・マンデート)。
(2)第2回締約国会議(COP2:1996年7月:ジュネーブ)
 COP3で採択する議定書の数量目的を法的拘束力をもつものとすること等を盛り込んだ閣僚宣言が締約国会議により留意(takenote)され、会議文書の附属として追加された。

(3)ベルリン・マンデート・アドホック・グループ(AGBM)
 COP1の結果、ベルリン・マンデートにつき協議するアドホック・グループ(AGBM)が設置され、COP3の準備会合として1995年8月から1997年10月まで計8回の会合が開催され、議定書の内容について交渉を行った。

(4)第3回締約国会議(COP3:97年12月:京都)
 会議の最終日に、2000年以降の地球温暖化防止に関する議定書(京都議定書)が採択された。

(5)第4回締約国会議(COP4:98年11月:ブエノスアイレス)
 今後のタイムフレームを伴う目標及びそのための具体的取組を規定する行動計画である「ブエノスアイレス行動計画(The Buenos Aires Planof Action)」が作成された。
 この中で、最大の交渉の焦点であった京都メカニズム(共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM)、排出量取引)について、その原則、手続き等につき、COP6で決定を行うことを目指すとの作業計画が決定された他、資金メカニズム、技術移転等についても具体的作業計画が決定された。また、遵守問題については、COP6における決定を目指して検討作業を進めることが決定された。

(6)第5回締約国会議(COP5:99年10〜11月:ボン)
 次回第6回締約国会議(COP6)において主要論点について結論を得ることを目標とした「ブエノスアイレス行動計画」を閣僚レベルで再確認し、今後、交渉の促進に向けて国際的取組を強化することで一致。
具体的には以下の成果が得られた。
(イ)COP6を2000年11月にハーグで開催すること、及びそれまでに2回の準備会合、各種ワークショップを開催することを決定し、COP6に向けた交渉の段取りが確定した。
(ロ)最大の論点たる京都メカニズムについて、「交渉用テキスト」を作成することに合意した。
(ハ)閣僚級会合(我が国より清水環境庁長官及び山本外務政務次官が出席)をはじめとしたあらゆる機会に、我が国をはじめ多くの国が交渉の進展の重要性、特に2002年までの議定書発効の必要性を強く訴え、COP6に向けた政治的弾みの維持・強化を図ることができた。

(了)


「京都議定書」の骨子

1.数量目的
 ●対象ガスの種類及び基準年
 ●吸収源の扱い
 ●約束期間
 ●先進国及び市場経済移行国全体の目標
 ●主要各国の削減率(全体を平均すると−5.2%)
 ●次期約束期間への繰り越し(バンキング)
 ●次期約束期間からの借り入れ(ボローイング)
 ●共同達成
 ●排出量取引
 ●共同実施
2.途上国の義務の実施の促進
 ●途上国を含む全締約国の義務として、吸収源による吸収の強化、エネルギー効率の向上等詳細に例示。
3.クリーン開発メカニズム
 ●先進国とのプロジェクトにより、途上国の持続可能な成長に資すると共に、右プロジェクトにより生じた温室効果ガス排出の削減を活用することにより、先進国の数量目的達成にも使えることとするもの。
4.資金メカニズム
 ●条約で規定された資金メカニズム(地球環境ファシリティー(GEF))が引き続きこの議定書の資金メカニズムであることを確認。
5.発効要件
 ●議定書を締結した国数が55か国以上であり、かつ締結した附属書T国の1990年におけるCO2の排出量が同年における附属書T国によるCO2の総排出量の55%を越えることを発効要件として規定。

(了)


気候変動枠組条約関係主要会議一覧

外務省気候変動枠組条約室

3月9日〜11日   気候変動枠組条約第4条8、9項の実施
          (気候変動の悪影響)に関するワークショップ[ボン]

3月13日〜15日   気候変動枠組条約第4条8、9項の実施(対応措置
          の実施による影響)に関するワークショップ[ボン]
3月14日〜16日   京都議定書第5、7、8条関連事項
          に関するワークショップ[ボン]

4月7日〜9日  G8環境大臣非公式会合
          [大津]

4月11日〜13日   政策及び措置のベスト・プラクティス
          に関するワークショップ[コペンハーゲン]

5月1日〜8日   気候変動に関する政府間パネル第16回会合
          [モントリオール]

6月12日〜16日  気候変動枠組条約第12回補助機関会合
          [ボン]

9月11日〜15日  気候変動枠組条約第13回補助機関会合
          [仏]

11月13日〜24日   気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)
          [ハーグ]

(了)


COP5の概要

要 旨
(1)今回の会合では、来年11月のCOP6において主要論点について合意することを目標とした「ブエノスアイレス行動計画」の実施を閣僚レベルで再確認し、これへ向けての取り組みを強化することで一致した。

(2)具体的には、以下の成果が得られた。
 (イ)COP6を来年11月にオランダ・ハーグで開催すること、及びそれまでに2回の準備会合、各種ワークショップを開催することを決定し、COP6に向けた交渉の段取りが確定した。

 (ロ)最大の論点たる「京都メカニズム(排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM)の三つ)について、「交渉用テキスト」を作成することに合意した。

 (ハ)閣僚級会合(我が国より清水環境庁長官及び山本外務政務次官が出席)をはじめとしたあらゆる機会に、我が国をはじめ多くの国が交渉の進展の重要性、特に2002年までの議定書発効の必要性を強く訴え、COP6に向けた政治的弾みの維持・強化を図ることが出来た。

(3)また、閣僚級会合では、今後の交渉を加速化するため、我が国より「特別調整官」を設けるとの提案を行うなど議論をリードし、今後の交渉プロセスの強化が確認された。この提案は、少数の反対があったものの、先進国、アフリカ諸国などから支持を得て、議長サマリーにも今後検討すべきアイデアの一つとして言及された。


主要論点別の概要

(1)閣僚級会合
 我が国を含む多くの国が、京都議定書を2002年までに発効することが重要であるとの見解を表明し、発効に向けた一つの具体的目標について共通の認識が得られた。また、今後の交渉を促進するために、我が国から「特別調整官」を設けるとの提案を行うなど議論をリードし、先進国、アフリカ諸国などから支持を得た。最終的に採択された決定には、今後の交渉プロセス強化のために、「議長に必要なあらゆる措置をとることを要請する」旨の規定が盛り込まれた。

(2)京都メカニズム
 議論のベースとなっている議長作成の「第2次各国提案統合ペーパー」について各国の意見交換が行われ、すべてのメカニズムについての一通りの検討を終えた。今後この統合ペーパーに加え各国の追加的提案をもとに「交渉用テキスト」を作成することに合意が得られた。

(3)遵守問題
 我が国は、議定書の改正を必要とするような「法的拘束力を持つ結果」を有しない制度を構築すべきとの観点から具体的提案を提出し積極的な評価を受けた。今回の会議では、産油国がCOP6での合意を遅らせる可能性を示唆しているのに対し、他の主要国が協調して対峙する構図となった。

(4)途上国問題
 「小島嶼国などの気候変動に脆弱な地域、産油国などが被る影響への対処(条約4条8項、9項の履行)」は、交渉が難航したものの、2つのワークショップの開催を含む具体的な行動が決定された。特に温暖化による悪影響は進行中の深刻な問題であるとの共通の認識があり、現在行っている先進国による支援を強化することが合意された。また、対応能力の強化(キャパシティ・ビルディング)及び技術移転についても、途上国の具体的なニーズを特定し、先進国の支援を効率化することが決定された。

(5)吸収源(シンク)
 COP6での最終的な決定に向けて、各国の意見、国別データの提出、ワークショップの開催など、具体的な道筋が決定した。

(6)共同実施活動(AIJ)
 試行期間(パイロットフェーズ)を、99年末以降継続することが合意された。

(了)