「エネルギーセキュリテイと新エネルギー」に関するプレゼンテーションに対する
質問への回答(内山委員作成)

@エネルギー消費について
 将来のエネルギー需給を正確に見通すことは、これまでの経験からみて大変難しい問題であり、第2回の委員会で説明したU.S.DOEの需給見通しも、単なる予測の1つに過ぎないものかもしれません。しかし、社会インフラ施設が未整備で耐久消費財の普及率がまだ低い開発途上国では、経済成長に伴ってエネルギー消費が増大していくことは間違い無いものと思います。特に石油や天然ガスの資源に乏しいアジアにおいて、途上国の大半が経済発展と人口増によりエネルギー消費を増やしていくと、わが国がたとえエネルギー消費を増やさなくても将来は深刻な需給逼迫が予想されます。21世紀は、自国の問題にだけ目を向けるのではなくアジアを含めたグローバルな視点から、エネルギーセキュリテイの確保を考えるべき時代かと思います。
 もちろん、エネルギー漬になっている日本を始めとする先進国は、できるだけエネルギー消費を増やさない、むしろ減らしていくように社会を変革していく努力が必要かと思います。省エネルギーは、口で言うことは易しいですが、いざ実行となると我慢や経済負担が要求され、また経済活動や雇用へも影響を与えることになります。いずれにしても、インフラが整備され耐久消費財が一通り行き渡った日本では、将来のエネルギー需要は年率1〜2%以下で推移していくものと思われます。

A風力発電の国内導入試算例について
 今の導入ペースからみると、2010年までの政府目標である30万kWは少なすぎるかもしれません。補助政策なども含めて、できるだけ導入を図る努力が必要かと思います。

B自動販売機について
 確かに自動販売機は、大変な電力消費の1つになっています。今の世の中には、自動販売機だけでなく、生きる上で無くても平気なものは沢山あります。25年前の電力消費は、今の半分でしたが、現在より1割少ない人口が生きていました。問題は、エネルギーを消費することで得られる利便性と快適さを大半の人々が求めており、その要求を満たすために様々な商品が開発されていることです。できるだけエネルギーに依存しない産業の発展が望まれますが、その新しい産業の姿はまだ明確になっていません。

C燃料電池について
 最近、マイクロガスタービンや燃料電池など小型発電技術の開発が注目されています。その理由としては、先進国において電力需要の伸びが停滞している、規制緩和により電力の自由化が進んでいる、環境問題から天然ガスへの燃料シフトが進んでいるといったことです。こういった小規模技術は、大型による規模の経済性を追求する技術と違って、量産化でコストを削減しようとする技術であります。しかし、発電効率は現在のところ大型技術の55%(ACC:Advanced Combined Cycle)に比べて30%程度であるため、発電だけでなく排熱を同時に利用するコージェネレーションとして性能向上が必要になります。寿命は、ガスタービンについては維持保守によって数年間は駆動できますが、燃料電池はまだ2000時間程度であり今後の課題となっています。燃料電池の中で、固体高分子(PEFC)は、自動車用の動力源として注目を浴びており、世界の主要メーカが開発競争に凌ぎを削っています。電力用としても、業務用や家庭用に導入が検討されていますが、マイクロガスタービンが先で、燃料電池はその後の導入になると考えられます。

D風力、太陽光発電について
 風力発電と太陽光発電の年間設備利用率は、主に立地点で決まります。同じ太陽電池であっても、日照条件に優れているカリフォルニアに設置すれば、日本に設置するよりも2倍の電力量を得ることができます。技術進歩によって年間設備利用率を向上することも可能ですが、太陽光発電ですと光電効果の光の吸収帯領域を広げる工夫(例えば、結晶系とアモルファス系との積層)、風力発電ですと発電領域を低風速(5m/s以下)にまで広げる工夫(例えば、多極式発電機)が考えられますが、今のところ経済性も含めて大きな技術進歩は見られていません。
 発表では、日本に設置したとき、現在得られる年間設備利用率から判断すると、原子力発電1基分(135万kW)の電気を得るには、風力発電で540万kW,太陽光発電で900万kWの設備が必要になることを説明しました。そして、それだけの設備を建設するには、今の年間導入量から計算すると風力発電で100年、太陽光発電で300年かかることを示しました。風力発電のの電気出力は、技術の進歩に伴い若干向上が期待できますが、基本的には立地地点の自然条件で決定されてしまいます。