各委員からの意図表明について

 

 

 

平成11年10月

長期計画策定会議 第二分科会


平成11年9月6日

長期計画第2分科会への参加に際して

石井 保

 世の中はリサイクルブームですが、リサイクルする価値があるものと、リサイクルしてもあまり意味がないか、却って無駄なものさえあります。価値判断の一つの尺度としてエネルギー的なメリットの有無ということが挙げられると思います。リサイクルに投じるエネルギー量が、それによって得られるものの価値を越えてしまったのでは意味がないでしょう。リサイクルが経済的に引き合えば自ずとその道は開けるのですが、たとえある時点で経済的に引き合わなかったとしても、エネルギー的にメリットがあるものは、潜在的に経済性が成り立ち得る要素を持っていると言えるのではないでしょうか。このような観点からすれば、原子力は最もリサイクルに適したシステムだと思います。
 原子力発電で取り出したエネルギーを使うにあたり、その一部で核燃料サイクルというリサイクル機能を働かせることによって、新たな、しかも強力なエネルギー資源を得ることができます。したがってこのリサイクルに使うエネルギーは、元を取ってお釣りが来る、という計算が成り立つのです。
 では私たちはこれまで原子力の利用にあたってこのような特長を生かす努力を十分してきたと言えるでしょうか。原子力開発の経緯を振り返って見ますと、残念ながらそのような利点を生かす指向に欠けていました。大量のエネルギーを瞬時に吐き出し、多くの放射性物質をまき散らすことを目的とした爆弾のような使用の仕方が第一の誤りでした。原子力の威力はこうした形で示されることによって、人々の心に却って恐怖の対象として印象づけられてしまいました。
 このようなエネルギー源を人間の知恵でコントロールして使おうという発想は卓絶したものでしたが、開発初期においてはその使い方はどうしてもアンバランスに成りがちです。原子力発電の場合も、まずは電気エネルギーを安く取り出すことに目が向けられ、全体の整合性をとることは後回しにされてきました。取り出した電気エネルギーの大部分を生産活動に使い、後始末にまわす分が不十分だったのです。これでは従来の化石燃料の使い方と何ら変わりはありません。そもそも使用済燃料は新たな核燃料の原料を内蔵しているという天性有為な素質を持っているのですが、それを生かす努力が不十分では天性は発揮できません。後始末をきちんとすることと、その後始末をすること自体が新たなエネルギー資源を生み出すことにつながるという核燃料サイクルの特徴は、以前から認識されてはいたのですが、結果として目先の利益優先ということで発電技術のみが先行し、原子力そのものの特徴を生かす努力が伴わなかったということは不幸だったと言えるでしょう。
 このように、原子力は、エネルギー源としての量の大きさと、リサイクルによって生じるメリットとにより、これまでの化石燃料主体のエネルギー利用体系とは大きく異なり、自ら整合性のとれたシステムをつくり出すことが可能なのです。さらに進めて言えば、これまでの化石燃料の利用で生じた環境破壊要因を減少させて行く余力まで持ち合わせていると言ってもよいでしょう。
 このようなポテンシャルを持った原子力と今後長い間付き合っていくためには、現時点ではどのように取り組むべきなのか、ということを整理するのが今度の長計の課題だと考えています。


 原子力長期計画策定会議
 第2分科会御中

 本分科会においてとり上げられる予定であるテーマのうち、ここでは主として、私の専門に比較的近い放射性廃棄物処分について述べます。
 原子力のバックエンドの中で放射性廃棄物対策が最も重要な課題と考えます。この部分がうまく進められないと、これがボトルネックとなって核燃料サイクルが閉塞状態となり、原子力発電そのものが立ち行かなくなる可能性があります。従来、この面での対策の遅れが指摘されてきましたが、ここ1、2年原子力委員会バックエンド対策専門部会等での議論が進み、着実な進展が見られます。しかし、これは未だ出発点に過ぎず、更に最終的な廃棄物の処分等に向けた対策を強力に進める必要がありますが、難問が山積しているように感じます。
 放射性廃棄物対策の中で最も重要である高レベル廃棄物については、現在地層処分に向けた実施主体の設立や処分費用の積み立ての準備が進められていますが、この路線を一歩一歩着実に進めていくことが重要と思います。しかし今後の最大の問題は処分場の立地ができるかどうかであります。このために、先ずは国民一般の理解を得ることが不可欠で、地層処分は安全に実施することができ、現時点で最も合理的な処分方法であることを分り易く説明し、理解を求めていくことが必須ですが、これだけで立地が可能になるとも思われません。地域との共生をどのように計るかが大きな課題です。廃棄物の発生者、処分の実施主体及び国の各々の役割分担を明確にして、各々が何をなすべきか、相当つっこんだ議論が必要と考えます。
 高レベル廃棄物の地層処分に関連する問題として、群分離・消滅処理や再とり出し可能性の問題についても議論を尽くしておく必要があると考えます。
 高レベル以外の廃棄物対策も極めて重要な課題です。現在、このカテゴリーの廃棄物は発生源別に検討が進められております。確かに問題点を整理する上では、発生源別に考える方が便利ですが、具体的処分を考える上では、全体を見渡した包括的な処分を考えることが合理的であり、この視点での検討が今後必要と考えます。
 これまでの放射性廃棄物対策は処分を中心に検討が進められてきましたが、処分による環境への負荷の低減を目指す廃棄物の再利用についても検討が必要と考えます。この問題に関連して、放射性として扱う必要のないレベル区分値(クリアランス・レベル)の問題があります。現在原子力安全委員会で、クリアランス・レベル値の設定が進められていますが、今後はその制度化を推進し、社会的にクリアランス・レベルが受容されるよう検討を進める必要があります。
 放射性廃棄物に関連して、廃止措置の問題があります。現在、東海発電所(ガス炉)の廃止措置が目前にせまっており、規制や制度の整備が進められておりますが、これらが遅滞なく進められることが必要です。廃止措置の問題の多くは廃棄物に関連するものであり、クリアランス・レベル等の廃棄物対策が着実に進められることが、廃止措置にとっても重要な課題となります。
 実用発電炉の廃止措置については既にその標準工程等が定められ、これにもとづいた制度の実施が計られつつあります。この標準工程等は約15年前に策定されたものであり、将来の軽水炉の廃止措置を考えるとき、環境負荷の低減や新しい技術の発展を視野に入れた、より合理的な廃止措置のあり方について、再吟味を行う段階に来ていると考えます。
 最後に、試験・研究炉の廃止措置のあり方についてはこれまで、ほとんど検討がなされておりませんが、使用済燃料の扱いなど実用発電炉とは違った問題を含んでおり、この分科会で検討しておくべきと考えます。

東京大学大学院 教授
 石榑 顕吉  


平成11年10月7日

意図表明(第二分科会)
伊藤 和明

 日本のエネルギー政策を進める上で、原子力に期待するところが大きいことはいうまでもない。だが、原子力事業の推進にあたっては、大多数の国民による信頼が確保されているということが、必須条件であろう。しかし近年、国民の信頼を失墜させるような重大な事故が、相次いで発生していることは、まことに憂慮すべき事態である。
 9月30日、茨城県東海村のウラン燃料加工施設で発生した臨界事故は、まさに国民の信頼を裏切るものであった。調べが進むにつれ、この会社が、原子炉等規制法に違反して勝手に手順を変更し、しかも現場の作業員が、変更された手順さえ守っていなかったという、二重三重の人為的ミスが、事故を発生させたことが明らかになった。
 原子力発電所をめぐっては、防災対策、事故対策が積極的に進められてきたが、今回のような原子力関連施設で、臨界事故が発生するとは、政府はもちろん関係者も予想していなかったという。まさに、安全対策の盲点を突かれた事故であった。
 事故後、毎日新聞が実施した原子力開発に関する電話世論調査によると、今回の事故を契機に、原子力開発に対する考えの変わった人が、全体の45%を占めるとともに、「原子力開発を一時ストップし、安全策を講じるべき」31%、「他のエネルギー開発を急ぎ、原子力から切り替えるべき」38%、「原子力開発をいまのままストップし、新たな開発はしない」5%と、原子力開発に対して、批判的あるいは慎重な態度を示した人が、ほぼ3/4にあたる74%を占めている。この数字は、原子力政策に対する国民の不信と不安が、一挙に高まったことを意味している。
 これまでにも、1995年、敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」で、液体ナトリウムが漏れての火災発生、1997年、東海村の再処理工場での火災発生と37人の被爆、同年、敦賀市の新型転換炉「ふげん」での放射能漏れなど、さまざまな事故が発生していたのだが、今回は、レベル4という日本では過去最大の原子力事故が発生してしまった。
 このままでは、原子力事業に対する国民の信頼は、ますます失われていく一方である。しかも、今回露呈した原子力関連施設の構造的背景は、ことによると氷山の一角ではないかという疑いさえ生じつつある。
 政府は、原子炉等規制法の改正や、新法の制定を検討しているというが、関連施設が、JCOのように裏マニュアルをつくるなど、違法な対応をするのであれば、事故の危険性は一向に去らないことになる。
 原子力を、日本のエネルギー政策のなかに着実に位置づけるためには、まず国民の不信と不安を払拭しなければならない。そのためには、原子力関連施設を含めた安全管理の基本をいかに確立していくかが、いま問われているのである。


平成11年9月13日

分科会委員に就任して
(財)電力中央研究所 内山洋司

 私は電力中央研究所に入社して約20年間、エネルギー技術評価の研究に携わってきました。この間、技術、経済、環境、資源など様々な視点から火力、原子力、再生可能エネルギーといったエネルギー技術を評価してきました。研究を通して、常日頃思っていることは、すべてに万能なエネルギー技術など無いということです。どの技術も、経済性、環境性、安全性、供給信頼性などで何らかの問題を抱えています。最近の電力需要の停滞や規制緩和の流れは、世界の原子力開発にとって順風とはいえません。また、原子力施設の安全性と放射性物質の取り扱いについても、まだ国民の理解が完全に得られているわけでもありません。
 私たちは、普段、水や空気のように大量のエネルギーを無意識に使っています。エネルギーは、現代の産業だけでなく私たちの暮しを支えています。水や空気がなければ人間が死んでしまうように、エネルギーがなければ現代社会は崩壊し、多くの犠牲者を出すことになります。エネルギーの安定供給は大切なことです。水や空気は自然の力で安定に供給されていますが、エネルギーの安定供給は容易でなく、常に対策が必要になります。石油についていえば、中東の政治情勢が悪化すれば供給は途絶えてしまうため、備蓄が必要です。安定供給は、燃料の供給途絶だけではありません。エネルギーは、産業や消費者が必要な時に必要なだけのものを供給しなければなりません。特に電気の場合、停電すると社会が大混乱に陥るため、電力の最大負荷に合わせて設備を常に備えておかなければなりません。自然任せで間欠的に発電する太陽光発電や風力発電は、設備価値が小さく、電気を安定に供給できません。
 原子力発電は、燃料の供給途絶に対する不安が小さく、かつ出力の変動がない電源で、社会に電気を安定に供給できる優れた特性を有しています。それは、また、発電コストの変動が小さいため経済的にも安定しているだけでなく、地球温暖化の防止にも大きく貢献できるエネルギー源です。21世紀は、開発途上国がエネルギーを本格的に消費していく時代です。それを化石燃料で供給すれば、世界のエネルギーセキュリテイと酸性雨や温暖化などの環境問題が益々深刻になっていきます。世界の持続可能な発展を考えると、エネルギー問題は私達だけでなく、グローバルな視点でそれに子孫を含めて、その望ましい方向を検討していくことが大切です。21世紀の安定したエネルギー供給を実現する上で原子力が果たす役割は大きいと考えられます。それには、化石燃料にまだ余裕がある今から信頼性を向上する技術基盤や平和利用に向けた国際間の協力関係を確立していく必要があります。問題の先送りで責任を回避しようとするモラトリアム的な発想は将来の危機を増大することになります。今回の委員会が、日本だけでなく世界の持続可能な発展に繋がるシナリオ造りの場になることを期待し、微力ながら私もそれに貢献していきたいと思っています。


原子力長計第二分科会「意図表明」

東京電力株式会社         
常務取締役・原子力本部長 榎本聰明

 エネルギー資源に乏しい我が国にあって、エネルギー資源の確保は、国家の枢要な課題として、計画的に取り組まれてきた。
 その中でも、原子力は、技術立国である我が国にふさわしいエネルギーと考えられてきた。すなわち、原子力の利用は、原子力の持つ潜在的な危険性を制御して初めて、その奥にある無限の可能性を引き出すことができるからである。しかるに、現状化石燃料は予想を超えて供給力も価格も安定しており、加えて化石燃料の利用技術の革新はめざましく、経済性向上が著しい。化石燃料が限りあるものであることを誰もが否定しないのに、誰もがそのことを忘れてしまうような状況である。
 一方、技術的には、ようやく成熟期にさしかかった原子力発電ではあるが、その経済性は、バック・エンド費など環境対策費を内部化していることもあり、化石燃料、とりわけ天然ガスをベースとする最新鋭の電源コスト等と比して安閑とはしておれない状況にある。
 また、原子力も、所詮燃料であるウラン資源は輸入に頼っており、長期的にみて資源確保の問題が必ずしも解消されているわけではない。しかも、資源の需給状況は、あまりにもいろんな要素が複雑に絡み合っていて、誰にも確かなことは分からないのである。我が国は今、先進諸国と同様、電力の自由化が進みつつあり、電力供給が市場原理に任されるならば、資源の選択は基本的には、各資源の利用システムの経済性に委ねられることになるだろう。
 このような状況の中で、エネルギー・セキュリティとは何かを改めて考えてみる必要がある。今日のように、先行きが不透明で、不確実性の高い時代において、資源の多様化がセキュリティ確保のうえで肝要なことであるにしても、その利用動向は、経済性の影響を避けて通れない。では、資源をほとんど持たない我が国のエネルギー・セキュリティとは一体何なのか。
 突き詰めて考えると、確実なこととして、国際的に信頼されること、エネルギー資源を買うお金がある(売れる技術がある)こと、いかような資源についても、環境と調和しながら、効率的かつ安全に、それを利用する技術を保有していること、などが思い当たる。
 原子力についても、環境対策の面から期待する声が高まってきているが、上述のような視点から、世界最先端の原子力利用システムの開発に絶えず挑戦していくことが肝要であり、そのためには、発想豊かに技術検討の巾を広げ、選択肢を広げることが必要である。それが不確実性に対応する道でもある。
 原子力が他のエネルギー資源と本質的に異なるところは、ウラン資源のリサイクル利用によって、ウラン資源の利用価値を何十倍にも拡大できることである。その技術を開発することが、とりもなおさずエネルギー・セキュリティの確保だと考えるものである。限られた資源と人材を有効に活用するべく、国際協力も含め、国と産業界が一体となって、研究開発に取り組むことが重要と考える。


長期計画策定委員会 第2分科会 第1回資料

平成11年9月13日
株式会社 日立製作所 川村 隆

1.原子力産業の必要性
 原子力は既にエネルギー供給の柱であり、開発途上国を中心とする人口増加及びそれに伴うエネルギー需要の増加、地球温暖化防止の観点からも不可欠と考える。我が国でも総発電量の約3分の1を占めるに至り、エネルギー政策の中の原子力利用のあり方並びにこれを支える核燃料サイクルの確立が益々重要な課題となっている。
2.原子力産業を取り巻く環境の変化
 先回の長期計画策定時と比べ環境の変化等もあり、過去の延長線上で論じられないことを認識しておく必要がある。
  • 経済成長の鈍化と規制緩和等による設備投資抑制、価格水準の大幅低下等の国内市場の低迷
  • TMI、チェルノブイル事故以来の原子力に対する逆風の継続、欧米の原子力産業の低迷、国内原子力立地の遅延
  • アジア特に中国でのエネルギー消費増大と原子力への期待の高まり
  • 環境問題に対する世界的な取り組み拡大
3.日本の原子力供給産業界の役割
 日本の原子力供給産業は国、電気事業関連の方々の支援をえて世界のトップレベルの実績を持つに至っているが、今後とも優れた技術を開発・発展させ、日本、並びに、アジアのエネルギー安定供給と環境問題の解決に貢献する。
  • 高い安全性・信頼性の製品を供給し、原子力設備に対する社会の信頼の確保。
  • 官学産が一体となったフロントランナーとしての原子力技術開発への寄与
  • 国際的レベルの市場競争力の実現
  • 原子力安全の輸出を基本的なスタンスとした、ソフト・ハード輸出による国際協力の推進
4.原子力政策への要望
 厳しい環境下、日本の原子力供給産業界の役割を果たしていくため、長期的な計画に基づく国による環境整備が不可欠である。
  • 国のエネルギー政策の確立、例えば、コストと負担及び供給の安定を総合的に加味したエネルギー基本戦略の制定等
  • 国民的理解獲得への国の支援
    −軽水炉発電の立地推進
    −新型原子炉、高速増殖炉及び中間貯蔵を含む核燃料サイクル開発の推進
    −放射性廃棄物処理・処分の着実な推進
  • 軽水炉長寿命化と原子炉解体に関する技術の確立と法整備の推進
  • 放射線利用の促進、新知見に基づく合理的な放射線防護基準の確立のための研究促進
  • 原子力技術開発力の維持と若手の育成・確保のための基盤整備、及び、基礎研究の充実、公正な情報に基づく教育
  • 輸出、並びに、アジアにおける原子力協力体制のための融資、保険、技術協力、法整備(原子力平和利用協定、原子力損害賠償法等)などの基盤整備及び政府の先導的な施策の推進
以上


99.9.3

第2分科会 意図表明メモ

京都大学 神田 啓治

 現在、京都大学原子炉実験所では原子炉安全管理部門核燃料管理学担当。一方、京都大学大学院ではエネルギー科学研究科エネルギー社会・環境科学専攻エネルギー政策学担当の教授をし、15人の大学院生を抱えている。変わったキャリアとしては、国際ガン中性子捕捉療法学会会長を務めガン治療に当たっている。

 さて、本分科会の3つの論点のうち、それぞれについて一つずつ関心事を述べる。

1.COP-3(京都会議)で、日本は温暖ガスの6%削減に合意したが、その前提に2010年までに20基の 原子力発電プラントの増設があった。報道機関は敢えてそのことを国民に知らせなかったようであるが、原子力関係者に課せられた責任は重い。

2.原子炉からでる高レベル廃棄物は再処理によって生じるものであるが、その量は他の産業に比べて少量であり、かつ処分後の管理が容易で他へ与える影響は少ない。ということを国民に理解して貰えないのはなぜか、という問題を掘り下げて議論したい。

3.軽水炉の役割の重さから、軽水炉の長寿命化や長期サイクル運転の必要性及び可能性などを議論したい。


原子力委員会 長期計画策定会議 第二分科会
第一回会合に於ける「意図表明」

作家 神津カンナ

 長期計画策定会議に於ける第二分科会のテーマは、「エネルギーとしての原子力利用」ということである。エネルギー政策の中での原子力利用のあり方を考える分科会であり、ある部分では原子力の根幹を考える、重要な分科会と言えよう。
 私はエネルギー問題に関しての専門家ではない。エッセイや小説を書く「ものかき」という仕事をしているにすぎない。本来ならば、このような会議に参加するのは場違いという気もするのだが、現代生活が多大なエネルギー消費の上に成り立っていることを思うと、この問題に関しては部外者、門外漢がいないのだという思いを日毎に強めている。しかしながら、原子力問題が難解であるということもあって、こういう問題に関しては、素人や一般市民は参加しにくいのが実状である。そのために単なる感情論的な意見や、好き嫌いを問うような感覚的意見ばかりが世論となってしまっているような気がする。
 21世紀を前にして、私たちはさまざまな分野に於いて、正と負、清と濁、プラスとマイナスを背負いながら考えなければならない状況にいる。政治、経済、民族、宗教、教育・・・。なにもかも、ただ単純には論じられないような複雑な絡み合いの中にあり、その中である種のコンセンサスを得るのは至難の業となるだろう。けれどもそれを今しなければ、すべてを先送りすることになる。たとえ微力でも、今を生きてしまった私の、ささやかな任務と考え、この分科会に参加することを決めた。
 具体的には、3点の問題を勉強したいと思う。
 一つは「白馬の王子」のような存在になっている新エネルギーを、冷静に判断することである。原子力利用反対の感情は理解できるが、その根底には新エネルギーへの過大な夢がある。新エネルギー開発には力を尽くすべきだとは思うが、理想と現実を明確に表すことは重要である。
二点めは原子力発電に関する情報公開。この部分がクリアにならない限り国民を味方にはできないだろう。
 三点めは廃棄物に関してである。ものごとはすべからく「終始」によって完結する。原子力の弱みはその廃棄物の存在によって、今の段階では一つのものとしての完結が見られないことにあるのだろう。
 冷静な判断、的確な選択。それを得るための、実りある審議を期待したい。


1999年9月13日
近藤駿介

第二分科会における検討課題についての考え方

1.我が国ではエネルギー供給は民間産業活動に委ねられており、需要家は自らの需要に適した技術やサービスを市場で産業家から購入している。ただし、エネルギー供給・利用過程にはハザードポテンシャルが内在すること、その供給は健康で文化的な国民生活の維持・発展に深く関わっていることから、国はその安全性の確保(通常時の環境影響、事故リスクの管理を含む)、供給安定性、量的充足、経済性の確保、波及効果の管理に公益性を見出し、これを目標として様々な公的介入、具体的には、安全規制、供給力が大きく供給安定性の高い技術の開発・利用の誘導、市場における競争条件の確保、国際交易条件の整備等を含む安全保障上の配慮等を行ってきている。さらに近年に至り、エネルギー利用に掛かる地球環境問題が注目されるに至り、この観点からの規制(まだ誘導の段階か)も行われてきている。本分科会に付託された第一の課題は、多様なエネルギー供給の選択肢をこれらの視点から評価してエネルギー政策における原子力の位置付けと所要の公的介入の基本的考え方を明らかにすることである。

2.原子力エネルギーを利用するための原子炉や燃料サイクル方式とその技術には様々な種類がある。これらの選択は基本的には産業家に委ねられるが、その選択結果がエネルギー政策における原子力の位置付けを左右する面がある。そこで、この観点から望ましい選択のあり方を放射性廃棄物管理を含む核燃料サイクルの面から明らかにし、その実現に向けての公的介入の具体的課題(技術情報の生成支援、開発利用リスクの軽減、制度整備等)を明らかにするのが付託された第二の課題であろう。

3.エネルギー供給・技術産業は、先進国では総体として成熟産業(成長率=人口やGNPの伸び)あるいは衰退産業(成長率<人口やGNPの伸び)化しつつあるが、途上国では成長産業であり、国民経済形成に寄与する存在に育成されるべき状況にある。このため、先進国企業間ではコストと品質が重要な意味をもつ分野でリーダーを目指し、柔軟性と変化を重視した経営を実現すべく、世界規模で提携、パートナーシップ、合弁が進行しつつある一方、途上国との間では技術移転のあり方が重要な課題になってきている。そこで、我が国でもグローバルスタンダードに沿った規制など世界的ネットワークの拠点となる条件整備が各方面で進められている。第三の付託事項は、こうしたエネルギー産業の国際動向やエネルギー間競争の実態を踏まえつつ、原子力産業に係る必要かつ有効な公的介入のあり方について課題分析に基づき選択肢を用意し、その採否を検討することであろう。

4.原子力長期計画は2030年頃までを見通して当面の10年間にとるべき行動を明らかにするものであるとされている。しかしながら、一般に経営計画は、三つの時間的枠組みに基づく行動計画を有するのが合理的とされる。その三つとは、既存資産をできるだけ有効に使うための行動を定める短期行動計画、近い将来に予想される新しい経営環境下でのあるべき姿(経営においては引き続き利益をあげ得ることであろうが)を実現するための設備投入(廃止)活動を定める中期行動計画、そして不確実な未来に備えて新しい市場を開拓したり市場構造を変える可能性のある新技術の開発活動を定める長期行動計画である。この考え方によれば、原子力の位置付けについても、当面10年間においてどう考えるのか、ついで20年ないし30年後の経済社会環境の予測に基づいてどう考えるか、さらに超長期の観点からどう考えるかというように、計画期間を変えてこれを議論し、その結果としての位置付けに応じた三つのカテゴリーの行動計画を明らかにしていくことが望ましいことになる。

5.なお、原子力はエネルギー供給ミックスの一つであって全てではない。そこで、エネルギーとしての原子力の位置付け、そしてそれに基づく行動計画を議論する際には、エネルギー供給に係るポートフォリオ管理という視点(ベストミックス論)を忘れては行けない。上の行動計画はそれぞれ、エネルギーに係る短期行動のベストミックス、中期行動のベストミックス、そして長期行動のベストミックスの一部であることを常に意識して議論を進めるべきである。


原子力長期計画第2分科会の参画に際して

柏崎市長 西川正純

1 参画における私の立場

2 第二分科会のテーマ「エネルギーとしての原子力利用」についての私の意見
(1)原子力発電所は不要のものか

(2)原子力発電所は危険なものか
(3)各種の新エネルギーは期待できるか
(4)それなのに何故原発が「期待の星」としてもてはやされないのか
(5)それらの諸課題は、どうすれば解消できるか
   この分科会の議論の中で考えます。


原子力長期計画第二分科会の参画に際して

佐和隆光(京都大学経済研究所)

 エネルギー需給の今後を見通すに当たって、また原子力発電の必要性を論じるに当たっては、次のような論点について、十分な議論が尽くされなければならない。  第一、10年先、20年先の日本経済の姿形。経済成長率の見通しもさることながら、産業構造の変化をも的確に見通さなければならない。国内総生産に占める第三次産業の割合が高まることは、否定すべくもない確実な趨勢と見てよい。その結果、エネルギー需要の対GDP弾性値が低下することもまた確実である。乗用車の大型化、家電製品の普及は、すでに「飽和」状態に達しつつある、と私は考える。だとすれば、民生部門、運輸部門のエネルギー需要が、今後、これまでのペースで増え続けるとは思えない。したがって、21世紀のファースト・ディケードにおけるエネルギー需要の伸びは、大方の予想を下回る、と私は考える。
 第二、電力自由化の進展は、二酸化炭素の問題を抜きにすれば(抜きにしないのは難しい)、少なくとも当面は、電力供給「不足」の可能性をほとんどゼロにした。その結果、これ以上、原子力発電所を立地させる必要性にも、疑問符が付されかねない。そこで問われなければならないのは、30年先、40年先を見通して、原子力発電の必要性につき、国民的合意が形成されるのなら、いったい誰が原子力発電所を建設し経営する主体となり得るのか、またなるべきなのである。電力の地域独占体制が解かれ、電力供給の自由化がさらに進展すれば、電力会社から分離した発電部門が、私企業として原子力発電所を立地させることは困難になるものと予想される。したがって、原子力発電所の立地は、何らかの形で国によって遂行されなければなるまい。
 第三、自著『地球温暖化を防ぐ』の中でも書いたように、私は、原子力発電のパブリック・アクセプタンスを高めるには、次の三つが必要であると考える。一つは、原子力行政を透明化して、国民の信頼を回復すること。二つは、太陽、風力等の新エネルギーの開発・普及に十分な資金を国は投じて、それらの可能性を国民の目に明らかにしなければならない。三つは、バックエンド対策について、開かれた議論の場を設けるべきである。核廃棄物処分の問題は、今すぐ原子力発電所を閉鎖するにせよ、避けて通れぬ問題なのだから、この問題について、推進派と反対派は同じテーブルについて議論することができる。
 第四、温暖化対策としての原子力の役割を考える際、他の様々な対策とのコスト(限界費用という意味での)の比較がなされなければならない。限界費用の安いものから順々に諸対策を講じてゆくのが合理的なのだから、そうすることによって、温暖化対策としての原子力発電のプライオリティーを評価すべきである。


エネルギーとしての原子力・・・・論点のいくつか

1999.9.13  宅間正夫

1.原子力の得失・賛否が問い直されている現在、「原子力とは何か」をとらえる試みの一つとして、19世紀から20世紀という時代を背景として「科学」から工業技術にまで目的的に急発展した原子力を今一度振り返ってみて、技術、社会、経済、人間、人心、環境などいろいろな角度から

2.自由な経済行動を基本とする市場経済の展開に伴う様々なひずみに対して、セーフテイネットが様々な形で同時並行的に準備されなければならないであろう。グローバルにも国単位でも、トリレンマといわれる「経済、エネルギー、環境」のバランスの重要な要素の1つであるエネルギーについて、自由化、とくに電力市場の規制緩和・自由化時代におけるエネルギーのセーフテイネットとして原子力エネルギーをとらえることも重要。

3.原子力に特徴的な、「世代をまたがる長期・超長期的な結末を予測・評価しつつ現時点・現世代が決断を迫られる課題」に対する考え方を整理しておく必要性について。受益者・受益世代のやるべきこと、やれること、はどこまでか。後世代に託すものは?
また生産者・消費者、発生者・受益者の別なく時代・国境を超えて考えるべきものは?


平成11年9月13日

第二分科会「エネルギーとしての原子力利用」に対する意見

日本原燃株式会社      
代表取締役社長  竹内 哲夫

第二分科会における審議に関して、以下の2点が重要と考えております。

1.原子燃料サイクルについての一般の方々の理解を進めること
当社は六ヶ所村にて、既に国の方針として推進が決められている原子燃料サイクル事業を進めているところであるが、サイクル事業に対する国民の関心や理解のレベルは、原子力発電と比べてかなり見劣りするのが現状である。
本分科会では、まず、サイクル事業の要であるプルトニウム利用は21世紀における我が国の長期的なエネルギーセキュリティ上、必須であることについて議論をしていただきたい。
これにより、サイクル事業に対する国民の理解向上と合意形成を図る場となることを強く期待する。

2.原子燃料サイクルの技術開発や事業の進め方において関係機関の分担と方向性を検討すること
これまで、国における開発成果を民間が引継ぎ、事業化を行うという形で技術開発が進められてきている。しかし、現在実用化されつつある技術についても、経済性・信頼性の面での更なる高度化に向け開発を継続していく必要がある。
このため、我が国全体として技術開発における官・学・民の分担と方向性について本分科会で審議することとしていただきたい。
特に、ウラン濃縮技術は国のエネルギーセキュリティ上重要であるとの考えのもと、国が相応の係わり合いを持って遠心法やレーザー法の開発が進められてきた。今後、開発が民間主体で行われるとしても、この考えに沿って、技術開発における国の係わり合い方、民間主導での開発のあり方・方向性について再度整理し、議論していただきたい。
また、高レベル放射性廃棄物の処分事業は、民間が事業主体となり進めるにしても、特に、最初に直面する立地問題において、国が長期的な安全性担保に責任を持つという形で積極的に関与することが、国民の安心感を醸成し、アクセプタンスを得ることにつながると考える。

以上


1999年8月31日

原子力長期計画第二分科会「意図表明」メモ

三井物産株式会社
寺島 実郎   

以下の問題意識で第二分科会に参加することを考えています。

1、日本のエネルギー需給構造の国際的位置づけ

2、エネルギー需給安定化に向けての制約条件

3、エネルギー需給における原子力の位置づけ

4、エネルギー長期戦略の重要性

以上


長計策定会議第2分科会論点メモ

平成11年9月13日
日本原子力研究所 理事
飛岡 利明

1.我が国の軽水炉路線はいつまで続くか。
1.1 資源論的には陸上ウランで約70年(ワンススルー路線)。
    もし、55億トンの海中ウラン回収に成功すれば?
1.2 ワンススルーでも2050年は大丈夫。
1.3 日本のLWRは2020〜2040年で60年を迎える。これ以上の寿命延長は経済的に困難。
1.4 その交換のストラテジー
@新サイトはあるのか?
Aないなら、現サイトでのreplacement
Bそのキーファクターはコストか?受容性か? C受容性なら新型炉(運転経験のない新型炉は少なくとも1桁以上の安全性向上が必要)
コストなら、ABWR−II、APWRの再現か?こういうスケールメリットをどう考えるか?
D新型炉、中小型炉をいかに位置づけるか?
  • 日経新聞の鳥居氏提案をどう考えるか?
  • ニッチねらいとして、現サイトに追加として考える。
    (特にサイトの制約の強い関西でどう考えるか?)
  • スケールメリットを「固有の安全性による安全系の簡素化」で克服し、コストとしてABWR−II、APWR等と競合できるのか?新型炉の持つデメリットに対するストラテジーが必要。
  • 特に、2010〜2020年にかけてニーズがあると思われるベトナム、タイ、フィリッピン、インドネシア等に対する輸出戦略と考えるのか?導入国もprovenな最新技術を要求する。それに対処できるのか?(本件は、該当するのはABWRだけと考える。これについては、台湾、中国、ベトナム等で検討が始まっている。)その場合、先方のインフラ整備(軽水炉の場合大きな負担)の必要性をどう考えるのか

1.5 プルサーマルの位置づけと高転換軽水炉の位置づけ。特に、後者に関しては、今後の技術課題の明確化。
1.6 LWR路線が2050年まで続いた時の使用済燃料の再処理、長期保管を含む核燃料サイクルのストラテジーへの提言(その時、FBRをどう考えるのか?無理とした場合にはどうするのか?)

2.LWRの寿命延長とそれに係る研究課題
何を誰が何時までに研究すれば、60年の寿命が延びるのか?それよりも余寿命推定の技術はどこまで確信性をもって言えるのか?IASCCなどの問題の解決、ケーブルなどの余寿命、特にPSCVの寿命など、いくつか難しい問題がある。

3.人材の養成・確保と技術の継承
新しい展開が乏しく、しかも開発リスクが大きく、タイムスパンの長いエネルギー開発において、優秀な研究者/技術者をいかに養成・確保するのか?新規プロジェクトなしにそれが可能か?その時の官民分担の思想は?

4.LWRについて、本気に熱利用を考えるのか?その可能性は?現行は北欧の地域暖房やIAEAの海水脱塩プロジェクトなどが進行あるいは計画中と考える。これを更に拡大する方策はあるのか?

5.〜2050年以降の原子力発電延長の路線。熱エネルギーへの拡大の路線。COP3を対処してどのように考えるのか?そのためのキーストラテジー。

6.超小型炉、推進用原子炉については何か提案する必要は?宇宙用原子炉の開発はどうしても必要と考えている。

7.LWR2030年、2050年の前に今後ありうべき燃料サイクルの案はあるのか。いかにFBR/LMFBRにつなぐか?高転換炉をどう位置づけるのか?一路線に拘泥する必要はない。COP3その他、何を最適化するのか?評価関数は何か、など種々ありえるであろう。

以上


「第二分科会に参画するにあたって」

核燃料サイクル開発機構 中 神 靖 雄

 私は昨年6月迄、機械製造業で発電プラント製造の事業責任者として、石炭、石油、天然ガス等を燃料とする火力発電設備の高性能化と共に、太陽光発電、風車等自然エネルギー有効利用の為の製品開発に係わってきました。昨年後半からは、21世紀社会に貢献する核燃料サイクルの技術開発に携わっています。
 21世紀の世界のエネルギー事情は不確定要素をいろいろ抱えています。石油メジャーは、これから開発していく埋蔵量も含め化石燃料は十分需要に応じられると言っています。一方、現在世界の人口の3分の1の約20億の人たちは電気など商業エネルギーに無縁であり、今後の世界の人口増加と、多くの発展途上国の人たちがより快適な生活を求めていくであろうことを考えると、20−50年の間に安価で良質な化石燃料は供給不足になるとの予測があります。また、地球温暖化と二酸化炭素(CO2)の排出抑制は日本をはじめ世界の多くの国(但し、先進国の課題である)の合意である削減目標数値の達成は容易なことではなく、あらゆる角度から極限的努力が必要とも言われています。
 自然エネルギー利用技術の開発にも係わってきた一人として、この分野での大幅な開発支援や関係者の努力が必要と思いますが、経済性、環境、設置場所への適用性等の克服すべき難しい問題は沢山あり、20−50年先にどれだけ飛躍的拡大がありうるか、過大な期待は無理と思います。 一方、原子力の役割が重要であることは多くの人に認識されているのですが、克服すべき課題は沢山あります。
 当面、軽水炉による発電が主流ですが、それだけに頼るのは長期的にはリスクがありますし、核燃料サイクルとしての課題もあります。高レベル廃棄物の処理・処分は避けて通れない重要課題です。また現在はウラン価格が低廉ですが、将来は使用済み燃料も有用なエネルギーリサイクル資源として現在以上に見直されると思います。今後とも原子力に携わる者はいずれの分野でも安全性、経済性を高める努力をつづけ世の中から信頼と安心の観点で十分評価されるような活動が重要と思います。
 我々は地球的視野に立って将来のエネルギー事情の不確実さをどう認識し、その為にどのような選択肢を予め準備しておくのか十分議論し国の政策に反映していくべきと考えます。
 私の所属する核燃料サイクル開発機構(旧・動燃)は原子力の将来にとって必要な技術開発のフロントランナーとしての役割を従来から担ってきたと思いますし、今後とも次のような核燃料サイクル研究開発に大きく貢献できる素地を持っていると確信しています。また、この第二分科会においても議論の材料を提供していけると思います。

(1)核燃料サイクル確立
軽水炉では有効に使われていないウラン資源(未燃分)を高速増殖炉(FBR)の実用化により、ウラン資源利用の度合いは60倍以上になりうるのであり、将来に備えて、安全性、経済性、信頼性トータルとして「競争力あるFBRサイクルの実用化像」構築のための研究開発を進めています。また「もんじゅ」を発電することによるFBR発電プラント技術の確立を図るべく努力しているところです。更に、使用済み燃料中で半減期の長い超ウラン元素をFBRの燃料としてリサイクル利用していく先進リサイクルの研究開発にも取り組んでいきます。
(2)高レベル放射性廃棄物の処理・処分技術
東海村の高レベル廃棄物のガラス固化体製造プラントを運転中であり、この成果は六ヶ所村の民間再処理施設へ技術移転することとしています。処分技術については廃棄物の地層処分技術の確立に取り組んできており、今後設立される高レベル放射性廃棄物処分の実施主体に技術移転するとともに、国の安全基準の策定に技術面で貢献していきます。
(3)軽水炉再処理技術
東海村再処理施設ではこれまで約940トンの軽水炉燃料の再処理を行い、その成果を六カ所村の民間再処理施設へ技術移転しています。今後とも高燃焼度燃料、プルサーマルMOX燃料について、再処理、燃料製造・加工等でその技術的ポテンシャルを役立てることが出来ると考えています。
(4)ウラン濃縮技術
人形峠のウラン濃縮プラントの運転成果を六カ所村の民間濃縮施設へ技術移転しています。
以上


東京大学空間情報科学研究センター

 

〒113-0032東京都文京区本郷7-3-1   Tel&Fax:03-5841-5631

東京大学経済学部総合研究棟401号  Email:tatsuo@hatta.net

 

1999年9月10日

原子力委員会長期計画策定会議第二分科会御中

前略

 第二分科会にはじめて参加させて頂くに当たり、一言ご挨拶申し上げたいと思います。
私は、元来ミクロ経済理論の専門家でありますが、この10年間に渡って、ミクロ経済学の現実の経済政策問題への応用に携わって来ました。最近は電力自由化の問題を研究しています。特に、規制を緩和し、自由な競争を導入する際に、どのような条件と環境を整えなければならないか、ということに研究の重点を置いてきました。
原子力発電に関する長期計画の策定にあたっては、原子力発電の費用を、他の代替的なエネルギー源の費用と、できるだけ客観的に比較し、それを国民に提示することが必要だと思います。この比較の枠組みを作る上で、私の持っている経済学の知識を、微力ながら役立たせていただきたいと思っています。
以上簡単ですが、私のご挨拶とさせていただきます。

不一   

八田 達夫
教授   


原子力長期計画策定第2分科会参加に当たってのメモ

藤目 和哉

1.今後の会議の進め方についての意見

 事務局からの説明、資料説明はできるだけ短く要領よくやってもらい、議論の時間をできるだけ長く確保されたい。委員は組織の代表としてではなく、個人としての意見を自由に発言できるようにし、特定の人だけに発言が片寄らないような進行をしていただきたい。

2.会議場で特に主張したい点

@エネルギー政策におけるエネルギー安全保障確保の重要性、特にエネルギー資源に乏しく、海外依存度、中東依存度の他の先進諸国に比べて著しく大きい日本におけるその重要性、そのために果たす原子力の役割の重要性
A再生可能エネルギー等新エネルギーの技術的、経済的評価を通しての役割と原子力の役割との関係
B地球温暖化防止における原子力の役割の重要性
C核燃料サイクルの確立の重要性
D原子力の役割についての国際比較(先進諸国間)と日本での重要性
E原子力(軽水炉)と競合する複合ガス化発電の評価・比較

3.参加に当たっての抱負

 客観的データ・資料による意見の裏付けをきちんと行いたい。
 原子力の役割・評価に当たっては悲観的にもならず、楽観的すぎることも避け、いかに一般国民にわかってもらえるかを考えながら参加、意見表明をしたい。


1999.9.13

第2分科会の進め方について

関西電力(株)
前田 肇

第2分科会における検討項目
(1)エネルギー政策の中の原子力利用のあり方
(2)放射性廃棄物を含む核燃料サイクル政策
(3)原子力産業のあり方

1.議論の進め方

2.議論のポイント

以上


1999.9.13

第二分科会の委員となって

委員 松田 美夜子
(生活環境評論家)

 日本の清掃工場の現場で働く人々や、自治体の廃棄物処理の体系作りをしている職員の方々、また国で廃棄物処理の政策作りをしている人々とともに、これまで廃棄物処理法の改正、容器リサイクル法の制定、家電リサイクル法の制定、産業廃棄物処理ガイドラインの制定などに国の委員として10年来かかわってきました。私の特技は、清掃工場の規模、建造年月日、焼却炉の型、分別のシステムをうかがえば、その町の清掃カルテがほぼ描けることです。それはこの20年間に800個所以上の日本の現場を訪れているからです。また国際社会の動きを知るために、10年前から毎年自費で欧米を訪ねて、環境政策の動きを定点観測しています。関係の著作は13冊になりました。この体験を見込まれて、平成8年からバックエンド専門委員、高レベル廃棄物処分懇談会委員に招かれ、原子力の猛勉強が始まりました。
 原子力の委員になって始めたことは、国際的な廃棄物の処分施設や研究施設を訪ね、現場を見、国際的な研究者と語ることでした。
 今年はスイス(2回目)、フランス、ドイツ、ベルギーを訪ねました。スウェーデン、カナダ、アメリカを含めて今年でほとんど全ての機関と施設を訪ねたことになります。
 その中で強く印象を受けたことは、日本のすばらしい研究技術が海外から高く評価され、大変期待されていることです。しかし、その反面、日本では地層処分の研究施設を作るとか、実際の処分場を作るために、国民に理解を求めていく努力については、まだまだ海外の先進国に学ぶことが多々あります。
 私の役割は、放射性廃棄物の管理の必要性を国民の方々にきちんと正しく理解していただくためのパイプ役になることだと思います。
 原子力廃棄物は、一般廃棄物の応用問題だとこのごろ考えるようになりました。
「ごちゃ混ぜにすれば廃棄物、きちんと分ければ資源」と言うことです。
廃棄物を汚いとか、邪魔と考えていては、物事は解決に進みません。人間が生きているときに出す廃棄物は、私たちがきちんと管理しなければなりません。
 長期計画の中で、放射性廃棄物の処理について、きちんと道筋がつき、人々の理解が得られるように、具体的な提案をしていきたいと思います。


1999年9月13日
新日本製鉄株式会社
取締役経営企画部長 宮本盛規

長期計画策定会議第二分科会への参加にあたって

1. 現在電気事業審議会においては、今回の電気事業法改正の趣旨を踏まえ、我が国の電力コストを国際的に遜色のない水準まで中長期的に引き下げるため、ユニバーサルサービス、環境、セキュリティ、信頼性等と両立しうる部分自由化の制度設計について詳細検討が行われているところである。

2. 当社としても電力の大口需要家としての立場およびIPP事業に携わっている立場を踏まえ、産業界として我が国における電力コストのあるべき姿という観点から、専門委員会等の場を通じて意見を表明してきた。

3. 今回、原子力委員会が新たに策定される長期計画の検討にあたって、特にエネルギー政策としての原子力利用の在り方、放射性廃棄物処理を含むバックエンド対策等を検討する第二分科会への参加の機会を得たが、原子力がこれからの我が国のエネルギー供給の中で果たす役割の重要性を考えた場合、一方で地球環境問題、あるいは安全保証問題等への対応とのバランスをとる観点も踏まえ、適正なコスト負担のあり方も含めた議論を行うことが基本であると考える。特に、今回の部分自由化による電力コスト削減という社会的要請を踏まえた議論が必要ではないか。

4. 以上のような観点から、今回分科会に参加させていただきたいと考えています。何分これまで原子力政策とは比較的縁遠いところでの仕事中心であったため、今回の参加を機に勉強しながらということになりますが、何とぞよろしくお願いいたします。あわせて、初回の会合に海外出張のため参加できずご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします。

以上


1999年8月3日

原子力委員会 長期計画策定会議 第二分科会長殿
委員 森嶌 昭夫

 9月13日開催予定の第二分科会に出席できませんので、書面をもって意見を申し述べます。
 エネルギー源としての原子力については、これまで原子力発電の安全性の確保を前提として、他のエネルギー源と比べて、安定供給性、経済性の面で優位に立つと言われてきました。そのさい、新エネルギーと言われる風力発電、太陽光発電等については、供給における安定性に問題があるばかりでなく、供給量においても我が国の莫大な需要量を到底まかないきれないと説明されてきました。先回の策定会議においても、資源エネルギー庁からそのようなご説明をいただきました。しかし、ヨーロッパにおいては、風力発電などの積極的な導入が政策として採用されています。太陽光発電についても、研究者の中には原子力発電に投資されているだけの額を投資すれば、十分原子力に代替しうるだけのエネルギー源になると主張している人もあります。
 私は、事前科学者・技術者でないので、これらの議論の新否を判定するだけのデーターとデーターを評価するだけの能力を持ちあわせていませんが、このような異なる議論の狭間で、国民の間にはエネルギー源としての原子力の優位性について疑問を持っている者が少なくありません。長期計画が国民の理解をうるためには、今回の長期計画において、これまでの政府の説明にとどまらず、異なる評価の持ち主に対しても説得性を持つデーターを提供して、科学的・技術的な検証に堪える説明をできるだけ平易な言葉で展開する必要があります。まず、原子力発電があり、他のエネルギー源は(技術開発にこれ以上の投資をしないという前提で)供給量の点で問題にならないというアプローチではなく、現実的に見て最大限の開発投資を他のエネルギー源に対し行ったとして、なお原子力発電で賄わなければならない発電量はどれだけなのかというアプローチをする必要があると思います。さらに言えば、原子力長期計画策定会議のマンデートを超えることになりますが、エネルギー需要見通しについても、この際もう一度検討しておく必要があります。需要見通しの見直しをするというではなく、エネルギー需要見通しの前提となっている諸元がどうなっているのかを明らかにしたうえで、今後温暖化対策の諸政策の結果、産業構造や国民のライフスタイルが変わっていくシナリオをとったとしても、これだけのエネルギーが必要で、したがってこれだけの原子力発電が必要となる、という透明性のある説明をすることが望ましいと思います。


参加にあたっての抱負

湯川れい子

 まず、私自身の立場を明確にするならば、私は原子力発電の積極的な推進派ではありません。かといって何が何でも原発反対という反原発の運動家でも、また原子力というものについて、学術的な、あるいは専門的な知識やデータを持つ者でもありません。あえて言うならば、ごく一般的な一市民であり、環境問題に深い関心を持つニュートラルな立場にある人間だと考えています。
そして、もうひとつ言えることは、総理府の調査に見られるような、原発に対して何らかの不安を感じている国民の68%のうちの一人であり、省エネルギーをもっと積極的に進めるべきであると考える60.5%のうちの一人であると思っています。
 原発に対する不安の内容については、今後第2分科会においてその都度発言していくつもりでいますが、その前に、まずこの会の在り方そのものについて、幾つか不安と疑問があります。
そのひとつは、この分科会および原子力委員会におけるさまざまな発言が、どのくらい国民的な議論の場に提供されて、長期計画の中に組み入れられていくのか、ということですが、それ以前の問題として、すでに科学技術庁や資源エネルギー庁の基本的な方針が、「原子力発電の積極的な推進」にあるのではないか、という点です。
 ここに資料として頂いた科学技術庁の「原子力、今日そして明日」というパンフレットがありますが、このパンフレットを読む限りにおいて、

@原子力はなぜ必要なのか?その1
「準国産エネルギーととらえられる原子力が、わが国のエネルギー政策の中で果たすべき役割はますます大きくなると考えられます」(P.2)

A原子力はなぜ必要なのか?その2
「原子力発電は、発電の過程で二酸化炭素をまったく排出しません。この特長を考えると、原子力が、二酸化炭素排出量を削減し、地球温暖化を防止するために、大きな役割を担うものと期待されます」(P.4)

B「原子力発電は、他の電源と比べて価格の安定性に優れています」(P.6)

C高速増殖原型炉の建設
「今後とも安全の確保を第一に、地元の理解のもと、段階を踏みながら着実に進めていくこととしています」(P.20)

 とあるように、基本的に原子力発電はCO2削減には絶対不可欠な現在ほとんど唯一のエネルギーであり、他の国々がその危険性と経済性において凍結、ないしは完全撤退を表明している高速増殖炉に関しても、今後開発を進めていくということを表明しています。
 つまり、原子力の積極的な推進ということが、まず前提にあって、そのことに国民的合意をどう取りつけていくか、というのが、この委員会の基本にあるということだと思うのですが、その点はどうなのでしょうか。国民的な議論によっては、例えばスウェーデンのように、「2010年までに原子力発電所を全廃する」というような結果も、日本においては起こり得るということなのか、もしそれが起こり得ないのだとしたら、何のための委員会であり、分科会なのか、非常に無意味に思われるのですが、果してその点はどうなのでしょうか。
 次に分科会の構成員の顔ぶれですが、共同座長のお一人が、日本の原発52基中、11基を有する関西電力の副社長であり、構成員の中には最大手の17基を持つ東京電力の常務取締役原子力本部長もおいでです。つまり、全原発の半分を所有する株式会社からの代表と考えていいわけで、その他の顔ぶれを見ても、日本原燃(株)、核燃料サイクル開発機構、(社)日本原子力産業会議など、原発事業に関わる方々が多く、私が知る限り、NGOレベルで原発の問題に発言したり提案したりしてきた市民を代表するような人の顔がひとつも見えないことに強い不安と不満を感じています。それらの人々の意見はヒアリングの場で汲み上げればいいということだとしても、この顔ぶれでは68%の不安を抱く人々の理解と納得を得る前提条件として、まず強い不信感に結びついてしまうのではないかと思わざるを得ません。
 そのような基本的な問題を感じる分科会の中で、私のような専門的な知識を持たない一市民が、どれだけ説得力のある発言をしていけるかは疑問ですが、その議事録の中に発言が残るという意義からだけでも、納得いくまで「68%の不安」と疑問を提出していければと考えています。どうぞ私のような素人にもよく解る言葉で、透明性のある論議が行われますことを期待しております。