第一分科会における論点整理(案)
(原子力と立地地域との共生)
平成12年4月13日
第一分科会事務局
T.国、自治体、事業者の関係の在り方
1.国、自治体、事業者、住民が立地地域において果たす役割
- 立地地域における住民の最大の関心事は、安全の確保であり、何ものにも代え難いものである。
- 原子力施設の安全確保については、事業者が一義的に責任を有し、自己責任による安全確保が基本であり、これに国の安全規制が相まって達成されるものである。また、このような安全確保への取組状況を国民に示すことが重要。
- 地域住民の生命・健康の維持は、地方自治体の任務であり、原子炉等規制法の趣旨に反しない程度で、独自に連絡義務や立入検査を行うこともありうる。
- 国民全体が原子力の意義や安全性を正しく理解し、日本のエネルギー選択における位置づけを判断するために必要な公正かつ客観的な情報をわかりやすく提供するとともに、国としての包括的な考え方を明確に提示する。
- エネルギー安定供給確保、地球環境保全の観点から、原子力の役割は、今後一層高まるものと考えられ、原子力を国として確保する意思を示していくことが重要である。
2.地方分権、国全体としての課題と個別地域の事情との調和
- 地方分権の推進と原子力発電所の立地の両立ないし調和については、今後検討すべき重要な課題の一つである。
- 地方分権を推進すべきとの地方主義は、原子力、エネルギー問題のみならず、国の作り方として根本的に誤った考え方である。原子力問題に関しては、インターリージョナルな関係でしか処理できないものである。
- 地方が自ら決定すべき事項と、国全体で議論し、方針決定すべき事項とを仕分けし、適切に分権を進めるべきではないか。例えば、日本のエネルギー確保における選択肢と原子力の位置づけなどは国全体で議論し意思決定すべきものであり、分権や住民投票の対象とするには不適切であろう。
- 安全の規制については、一般的には国に規制権限があり、安全規制の性格上、地方分権の議論においても、権限委譲の検討対象とはなっていない。
- 国土の総合的開発・利用との整合性、国土の保全等の視点による政策調整の手続や、さらには、電源確保の意思を高いレベルにより示す手だてを、どのように確保するかが今後の課題といえる。
- エネルギー政策は、国レベルで意思決定を行うべき事項であることから、広く国民の合意形成を図っていくことが重要である。
- 地域における住民の意思表示手段として実施される住民投票制度は、対象事項、争点の設定等、今後検討されるべき大きな課題を有している。
- 何らかの住民の意見表明の場が設けられることが今後ますます重要であろう。ただ、これを原子力特有のものとして、原子力のみについて行うことは不適当である。
3.立地地域と消費地域の意識の格差の解消
- 電力消費地と生産地の意識の隔たりが大きく、風評被害をなくすためにはこれを解消する必要がある。
- 電力生産地と消費地の相互理解の促進対策として、相互の意見交換を行うシンポジウムや消費地の方を招いての見学会を行うなど、人的・物的交流、双方向コミュニケーションについて、国、事業者、地方自治体が一体となって更なる取組を行うことが重要である。
U.長期的な地域の発展に向けて
1.自立的な地域発展の在り方
- 立地以前と立地後では地域のニーズが大きく変化することに留意すべきである。
- 発電所の立地により、経済構造が公共事業依存型あるいは発電所立地依存型となり、地域の産業構造全体が発電所に大きく依存するものと変化してしまっているのではないか。電源立地の時点での産業構造の延長線上ではなく、もっと異なる視点から地域振興策を定義していく時期にきているのではないか。
- 立地により地域の得た収入をどのように使い、地域の発展を図っていくかということは、地域住民自身の問題であり、それをもとに新しい地域を創るという観点で検討していくべき。
- 地域の中で再生産を行い、自前で産業を起こせるようにしなければならない。
2.国、地方自治体と事業者の役割
- 立地地域との共生は企業経営の基本理念である。共生を円滑に進めていくためには、事業者は、地域のニーズを汲み上げる必要がある。
- 電気事業者は、地元からの雇用、物資の調達、業務の発注などにより地域への貢献を行っている。
- 国は、国民の理解に向けて、原子力の位置づけを明確に提示するとともに、立地地域の果たしている役割、原子力施設の立地が地域社会に及ぼすプラス・マイナス両面について適切な情報を、特に新規に立地を計画する地域に示す必要がある。
- 電源三法交付金も、自治体・地域住民の「地域づくり」のソフト面にも軸足をおいた形へ検討していくことが必要である。また、国の種々の施策については、柔軟な対応が可能な制度とすることが重要。
- 地域の自立的発展への協力として、電気事業者は、その資源・ノウハウを活用し、新しい企業の創生や、地域の将来像を描くなどの試みにも、協力・参画すべき。
- 国は電源三法などに基づき支援を行い、事業者はこれら国の政策の補完等を行うべきではないか。
- ハード面とソフト面の配分については、自治体のニーズに対応できるような運用を可能とするべきではないか。
- 現行制度は立地促進の観点から設けられており、長期的、広域的、総合的な電源地域の振興策とは言い難い面があり、地域の状況に即した振興策を検討する必要があるのではないか。