平成12年3月3日

エネルギーの未来を考える

消費科学連合会 伊東依久子

 第一分科会も既に6回開催され、それぞれの立場から、原子力の安全性、マスコミの報道のあり方、学校での教育について、また放射能を理解し馴れることの必要性といったことが討議されてきました。
 一般消費者の大多数は、日本の総エネルギーに占める原子力の割合は無論のこと、そこから出される「高レベル廃棄物」を30年から50年、長いものは数百年もの間地中深く埋め、見守っていかなければという事実を知らないと思います。にもかかわらず、世論は、先の東海村での事故もあり、今以上に原子力発電を増やす方向にはいっていないことは確かです。
 とはいえ、絶対安全とは言い切れない原子力に頼りながら、私達は現在の便利で快適な暮らしに馴れてしまい、今の生活レベルを下げることもできないというのが現状です。
 太陽熱や風力、地熱といった自然エネルギーは安定した供給が難しく実用的ではないといわれておりますが、現在新設を予定している原子力発電所の経費および万一の事故の対応に使われる費用などを、自然エネルギー利用に振り向けるとどれくらいのエネルギーが足りなくなるのか、あるいはその開発にどれくらいの時間を要するものなのかといった具体的なシミュレーションを見せてくださると、私達は「始めに原子力ありき」といった押し付けではない合意をすることができるように思います。
 何回目かの分科会で、朝のウォシュレットに使用する電力が原子力発電所の一基分に相当するというお話を伺いました。また先日リサイクルに関する講演会でアルミ缶1個作るエネルギーで八畳間を10時間38分照らすことが出来るということも聞きました。
 便利ということで開発されたワンウェイの製品がゴミとしてではなく、その作る過程からエネルギー問題に繋がっていることを、具体的な事例・表現で私たち消費者に知らせていく必要があるのではないでしょうか。行政や電力会社が教育や情報公開に力を入れていることは承知しておりますが、具体例こそ消費者には分かりやすい情報と言えます。
 昨年、私どもでは、エネルギーに関する講座を開催し社会経済生産性本部から講師をお招きしました。その時参加した方たちに、簡単なアンケートを実施しました。その結果、エネルギーの将来について不安を感じている人の多いこと、生活レベルを下げても省エネに取り組むべきと考えている人もかなりあることが分かりました。参加者数が少なかったのでデータとしてお示しするほどのことではありませんが、過日の科技庁のアンケート結果とほぼ同じようなものでしたが、記述回答を幾つかをご紹介しますと、
○福島第二発電所や六ヶ所村を見学したが、いいことしか説明しないのでかえって不安を覚えてしまった。
○使用しなくなった原発施設や何十年・何百年も地中に埋めなければならない廃棄物などを思うと、次世代へ大きな負の遺産を残すことになるのではないか
○核燃料廃棄物の扱い(高レベル・低レベル共に)の難しさを指摘する声
○地球にやさしい新エネルギーの開発促進
○身近な生活のなかでなにに気を付けたらエネルギー問題解決に繋がるのか知りたい
○住宅や企業のあり方をもっと考えるべき
といった意見が多く寄せられていました。このアンケート結果から考えましても、原子力だけに依存するのではなく、自然エネルギーをどう取り込むのか、また私たち一般消費者はどのように省エネのための努力をしたらよいのか、エネルギー問題を含め社会全体が無駄の多い文化を改め、どんな未来を選択するかを問われている時だと考えております。また、エネルギーの消費量を減らし、再生循環型の社会に変えてゆくことこそが今の課題だと思います。

以上