第5回長期計画策定会議における「国民・社会と原子力」に関する議論の概要
第一分科会事務局
1.太田座長プレゼンテーション要旨
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○国民の信頼感醸成のための要件
- 国民の信頼感醸成のための要件として、安全運転の実績の積み重ねとそれに向けた努力、安全文化を社会全体が共有し、原子力に携わる者がその規範に則り行動すること、十分な情報公開、以上の3点が挙げられる。
- 情報公開については、原子力に関しては現状でも他に率先して情報公開がなされていると信じるが、一方、一層の情報公開が必要との声が大きいのも確かである。情報の提供方法の問題なのかとも考えられる。
情報公開の目的は何なのか、透明性の確保なのか、結果のみならず政策決定のプロセスの明確化が求められているのか、この他にも情報公開の目的はあるのかということを、原子力に対する国民の信頼確保の観点から検討する必要がある。
- 情報公開に関する議論においては、現実の問題としてその負担の問題も考慮する必要がある。
- ○合意形成とは
- 合意形成については、「立地地域における合意形成」と「国民の合意形成」とに整理して、議論を行う必要があるであろう。
- 「立地地域における合意形成」とは、原子力施設の立地により、地域住民が何らかの形で全員にがプラスになることだとの意見もあり、一方、結局は議会における多数決であるとの意見もある。またその意味では、原子力発電に関する住民投票についても、議会の判断のもとで適法に実施された結果であれば、法的な意味合いの如何にかかわらず、真摯に受け止めることが必要であるということになる。
- 「国民の合意形成」とは、第一義的には原子力の意義を理解してもらうことであると考えるが、実際の大部分の国民にとっては専門的な理解よりも、事故がない、あるいは放射線は日常的に存在しているといった、ある種の「慣れ」の状態ではないかとの指摘もある。
- ○意志決定のあり方
- 意思決定における第三者の役割については、第三者の参加が閉塞的にならないために有効であるとの意見が大勢を占める一方、第三者の限界についても指摘されている。やはり専門家、また責任者としての第一者が第一義的に主体となるべきであるとの指摘もあり、第三者の適切な役割と活用法を十分に見極める必要があると考える。
- 時代の趨勢として、意思決定と住民との関わりについては、従前のパブリック・アクセプタンスから、初期段階から住民が意思決定プロセスに参加するパブリック・パーティシペーションへ移行しつつあるとの指摘もある。
- パブリックコメントのあり方については、早い段階での募集や、コメントに対する回答の必要性に関する意見が多く出されている。
- 第三者の活用、パブリック・パーティシペーションに関連して、声の大きな人に引きずられ、公正な政策決定ができなくなるとの危惧もあり、意思決定に参加する「市民」としての十分な教育が必要との指摘もなされている。
- ○安全と安心
- 安全の確保の基本として、「セーフティカルチャー」の重要性を実感している。安全文化を社会全般に浸透させ、組織としてトップから担当者にいたるまで、共有された安全文化の中で行動することが必要である。
- 「国の規制」と「事業者の自己責任」について、過剰なリクワイアメントによる遵守意識の低下も考慮すべきであり、事業者自らのモラル・遵守意識の確保を大前提として、事業者自らによる安全の維持・向上の整備が大切ではないか。
- 「リスクコミュニケーション」については、潜在的な危険性の存在を共通認識として認知した上で、リスクについて個人がそれぞれの立場から議論、比較衡量し、リスクと正面からつきあう社会を形成することだと考える。
- 国民の信頼感や合意形成とも関連して、リスクをありのまま伝えるという姿勢がまず大事ではないか。
- 人間は、リスクを心理学的な影響のもとにしか知覚できないものであり、技術的確率論は安心につながらないとの指摘もあり、これらを十分に検討した上でのコミュニケーション方法を探る必要がある。
以上
- 2.第5回長期計画策定会議で出されたご意見の概要
- ○情報公開・提供について
(情報公開の目的・意義)
- 原則的に情報が全て公開されているということそのものが信頼につながっていく。
- 原子力での情報公開は積極的に情報を知ってもらうこと。国民が情報を共有できる仕組みや、わかりやすくする方法などを検討すべき。
- 情報公開法でいう「情報公開」は透明性の確保のためのものであり、国民の原子力に対する理解のために情報を知ってもらう「情報提供」とは区別して議論すべき。。
- 情報提供を含めた「広報」とは組織の戦略であり、「公開」とは組織のシステムに関わることであり、両者は共に必要であるが、異なるものである。
- 合意形成のためには判断材料として必要な情報は全て出すべき。
- 情報公開法の運用については未だ不明確であり、原子力が良き範例をつくっていくことが望ましい。
- やはり原子力の情報公開に関しては特別法が必要である。
- (非公開情報について)
- 核物質防護や外交問題等に係る情報についても、住民の安心のためには安全性や健全性に直結するデータは公開すべきであり、そのような情報の扱いを議論すべきではないか。
- 情報公開というと無条件で良いものと受け止められるが、場合によっては逆に情報公開しないほうが良いものもあのではないか。
- 情報公開できない場合はその理由をきっちり提示すれば国民の納得が得られるのではないか。情報を開示しない場合もありうるが、その前提は、何か問題が生じた場合の責任の所在が明らかされることである。
- 秘すべき事項はあらかじめ明示し、ルールを設けるべき。
- (第三者機関の活用)
- 当事者間で守秘義務契約を結んだ上での第三者機関による監査も信頼を得て行く上で有効であり、そのためのルール作りが必要ではないか。
- (情報提供方法その他)
- TVで原子力チャンネルをもつことは意義があるのではないか。
- 情報を出す際には、その理解を助ける情報をあわせて出すべきではないか。
- 住民がデータにアクセスできるよう手続きを確立することにより、国や電気事業者が緊張感を持つのではないか。
- ○意思決定のあり方
- パブリックコメント、パーティシペーションについてはなるべく早い段階で行うべき。
- ○安全と安心の確保
- リスクコミュニケーションは重要。(特に放射線の影響に対する社会の認識)
- セーフティーカルチャーの定義の整理が必要。
- ○その他
以上