(1)開会について
○太田座長より本日の審議の進め方について、説明があった。
- 前回の会合では、第一分科会報告書骨子(案)について審議を行い、様々な意見を頂いた。さらに、その後、各委員から個別にご意見を頂いている。本日は、これらを基に第一分科会報告書(案)を用意したので、第一分科会として報告のとりまとめに向けた審議を行いたい。
○事務局より、本日の配布資料の確認があった。
(2)第一分科会報告書(案)について
○太田座長より、本日用意した報告書案及び本日の審議の進め方について、説明があった。
- 本報告書案は、前回の骨子案に対する各委員からの意見を踏まえ、以下に示すような観点から作成した。
- 報告書の冒頭に「はじめに」を追加し、第一分科会の審議の目的と範囲を明確にした。
- 報告書として、「誰」が「何」を行うよう提言しているのか、できるだけ明確にした。
- 第T章において、現在、我々が置かれている地球規模での厳しい現実を踏まえ、我が国にとっての原子力の意義や役割を明確にした。
- 国、事業者、立地地域、住民に加え、特に都市部の消費者が原子力の問題をどう考えていくべきかとの視点も踏まえた記載とした。
- 報告書に記載されている内容が、より具体的なイメージとして理解できるよう、参考データを添付した。
- 審議の進め方については、第一分科会の報告書(案)を、「はじめに」及び「T.文明と原子力」(1〜8頁)、「U.国民・社会と原子力」のうち安全、国民の信頼感・安心感、政策決定に関する部分(9〜26頁)、「U.国民・社会と原子力」のうち国、地方自治体、事業者等の関係のあり方、立地地域の主体的な発展に関する部分(26〜32頁)の3つに分け、各々、事務局より特に前回の骨子(案)からの修正部分を中心に説明を行った後、個別に審議を行うこととしたい。
@「はじめに」及び「文明と原子力」について
| ○ | 事務局より、資料2の第一分科会報告書(案)に基づき、「文明と原子力」の部分について、説明があった。
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○主な質疑応答及び関連する意見は以下のとおりである。
(河瀬委員)
- 全国原子力発電所立地市町村協議会の総会の審議において、長期計画について話し合ったが、長期計画に対する立地市町村の期待は大変大きなものがある。国民に対するいわばメッセージ的な存在であるということで、特に注目している。
- 全体的な話を申し上げれば、立地市町村は様々な場面でのマイナス面を実際に経験している立場であり、国民合意を得るとの課題について、長期計画の中で解決に向けた指針が示されるものと考えている。特に、様々な状況を掘り下げて根幹的な要因を発見しつつ、それに対する解決方法を見いだし、長期計画の中で見解を示すことが必要である。
- 報告書案の表現については、全体的に少し実感が湧きにくいものと思われる箇所がある。
- 報告書案の5頁2〜6行目の原子力の影の部分の記述について、放射能の潜在的な危険性などが取り上げられているようだが、事故や、事故が起きた場合の放射線の人体への影響、未だ未解決であり国民の懸念となっている放射性廃棄物の処分の問題など、より詳しく具体的に触れた方がよいのではないか。
- 報告書案の6頁24行目の太陽、風力など再生可能なエネルギーについての記述があるが、例えば原子力は100であるが太陽光や風力は1といったように、数量的に比較ができるような形で記述すれば、国民の理解につながるのではないか。
(太田座長)
- 影の部分については、報告書案の4頁に記述があり、その部分を受けた表現である。総論部分の記載はこの程度ではないか。具体的な記述であれば、参考資料等への記載などが考えられる。御指摘の趣旨は承った。
(石橋委員)
- 村上委員より文明と自然の関係についてプレゼンテーションがなされ、自然と文明との対立から、河瀬委員の指摘のような問題も生じており、それらをどのように克服していくかが、21世紀に向けての課題であるとの趣旨を述べられている。河瀬委員の意見と合わせて、そういった内容を加えれば、より理解につながる文章となるのではないか。
- 全体として、もう少し詳しく掘り下げ、審議やプレゼンテーションで述べられた内容を、報告書の中に盛り込むようにすればよい。
(太田座長)
- 論旨は盛り込まれているのではないか。多くの議論やプレゼンテーションを報告書案にそのままの形で盛り込むことは難しいだろう。審議やプレゼンテーションの内容を、いわば材料として、報告書案が作成されている。全体の流れの中で、各委員の合意が得られる部分は、報告書に盛り込むこととしたい。
(石橋委員)
- 文章は、用語を含め、良くまとまっているが、今一つ訴えるものがない。原子力の関係者に対してのみならず、一般の国民に対してのメッセージということであれば、抽象的な表現や将来への賛美ではなく、負の部分の記述をはじめ、よりわかりやすく詳細に記述してはどうか。
(太田座長)
- 本日の審議では、できるだけ具体的な修文案を提示していただきたい。
(山崎委員)
- 報告書案の8頁21〜22行目に「着実にその研究、開発、利用を進めて行くべきものと考えられるのではないだろうか。」と記載されているが、表現が明確ではなく、「考えられる。」で結ぶべきである。
(太田座長)
(住田委員)
- 率直で飲み込みやすい文章であり、環境問題等にも目が配られており、個人としては全体的に満足している。
- 本日の審議においては、具体的な指摘がなされるほうが、かみ合った議論ができるだろう。
A「国民・社会と原子力」のうち、安全、国民の信頼感・安心感、政策決定に関する部分について
| ○ | 事務局より、資料2の第一分科会報告書(案)に基づき、「国民・社会と原子力」のうち、安全、国民の信頼感・安心感、政策決定に関しての部分について、説明があった。 |
○主な質疑応答及び関連する意見は以下のとおりである。
(岡本委員)
- 報告書案の10頁21行目「安全は最も重要度の高い価値の一つ」との記述があるが、安全は最も高い価値と述べておきながら、一つとすれば、利潤や効率の追求と並ぶものと解釈される恐れがあり、意味がなくなってしまう。「一つ」との言葉は削除していただきたい。JCO事故の調査委員会の報告書にも、最も高い価値と記載されている。
(太田座長)
(神田委員)
- 報告書案の22頁の原子力の教育に関して、今週京都大学で博物館法の改正についての審議が行われ、その後、教授間で博物館のあり方について議論する機会があった。その体験から述べると、同頁25行の最後などに、資料を保存することを主眼、目的とした博物館から、子どもたちが積極的に体験できる科学館、博物館へ転換させる努力が必要であるとの趣旨の文章を追加してはいかがか。
- 従来から、博物館には学芸員がいるが、その資格試験の項目は、物を保存するとの側面に限られており、開示や説明に関する項目がない。それにもかかわらず、全国に存在する220館程度の博物館の現況を調査した結果、積極的に開示することで大成功している例もある。大阪にある科学技術庁のサイエンス・サテライトであり、子供達が体験できる展示を行っている。連休中には1日3千人、年間30万人が来館している。
(伊藤原子力調査室長)
- 今の御意見に関連して、23頁2〜3行目に体験型学習の充実について記述があり、この部分に追加してはいかがか。
(太田座長)
(河瀬委員)
- 報告書案の12頁に「3.国民の信頼感、安心感の確保に向けて」とあるが、「信頼、安心の確保」とする方が、より語感が強く適切ではないか。また、不信とか不安は感じるものであろうが、信頼や安心は感じるものというより、むしろ一つの確立したものであると考える。従って、2箇所の「感」を削除してはいかがか。
(岡本委員)
- 今の御指摘に関して、「信頼」と「信頼感」は異なるものであり、信頼できるものでも主観的に信頼感を持てない場合もある。それについてはプレゼンテーションで申し上げた。その趣旨を受けての表現であり、私は「感」は残しておいた方がよいと考える。
(太田座長)
- より深い意味で、使い分けがなされているとのことで、現在の表現でよろしいか。
(河瀬委員)
- 報告書案の18頁には「4.国民と信頼と安心の確保のための具体的取組」と記載されており、12頁については現在の表現を了承する。
(下平尾委員)
- 報告書案の13頁28行目に「正確な事実の把握とその伝達が信頼の基本である」とあるが、そのあとに「そのための制度の確立」を入れた方がよい。信頼感が得られないとの場合には、感覚的な反対、経験的な反対、理論的な反対の3つの段階が存在する。それらの順を追って状況を変えていくためには、正確な事実の把握や伝達の必要を述べるだけでなく、そのための制度を検討する必要がある。
- 文章全体として、「すべきである」というべき調になっている。それが適当な場合もあるが、従来怠っていたようで読み手が抵抗を感じる恐れがある。「する」としても、「すべき」との意味は含まれる場合もあろう。
(太田座長)
- 「べき」を残すか否か、個々に再度検討する。制度の確立との記述の追加については、採用させていただく。
(飛岡委員)
- 報告書案の24頁17行目に原子力委員会について、専門部会等の原則公開を定めていると記述されているが、原子力安全委員会も同様に原則公開を定めており、安全委員会はそうではないとの誤解の無いよう、例えば16頁の「安心感のもてる安全確保体制の確立」などに、安全委員会も情報公開を推進しているとの表現を書き加えた方がよい。
(高橋委員)
- 報告書案の26頁17行目に「原子力委員会の公聴機能の一環」との記述があり、原子力委員会は内閣総理大臣から政策決定にあたり幅広い意見の聴取を委ねられているので、それをより発揮すべきであるとの趣旨だと思われるが、公聴機能というのは耳慣れない表現である。公聴機能と簡単に表現してもその趣旨は明確とならない。
- 具体的には、16行目の「果たしている」で一旦区切り、その上で「原子力委員会は内閣から幅広い意見を聴取して政策を考える機能を付託されているので、それを発揮するためその新しいあり方を検討すべきである」とすればよい。
(太田座長)
| B | 「国民・社会と原子力」のうち、国、地方自治体、事業者等の関係のあり方、立地地域の主体的な発展に関する部分について |
| ○ | 事務局より、資料2の第一分科会報告書(案)に基づき、「国民・社会と原子力」のうち、国、地方自治体、事業者等の関係のあり方、立地地域の主体的な発展に関する部分について説明があった。 |
○主な質疑応答及び関連する意見は以下のとおりである。
(石橋委員)
- 報告書案の27頁6行目の「地域住民の意見の反映」について、宇賀委員がパブリック・インボルブメントやパブリック・パーティシペーションとして、政策の計画段階から情報公開や住民参加が望ましいとの説明があったが、そうした考え方についても記述していただきたい。
- また、住民投票に関しては、国民の大きな関心事にもかかわらず、記述も少なく、通り一遍なものである。巻町の住民投票は、JCO事故と並んで、エポックメイキングな事件であり、そうした現状の分析も含めて、住民投票に関する記述を充実させるべきである。
- 報告書案の30〜31頁での記述の中に「処分場立地地域と電力消費地域との間で住民が連携するなど、両者が共生」とあるが、従来述べられてきたのは原子力施設と立地地域の共生であり、共生との言葉の使い方がおかしいのではないか。共生とはあたりまえであり、共生というのであれば、どういう考え方に基づく共生なのかを示さなければならない。
- 従来、共生とは電源三法交付金を利用した地域振興策などを指していたが、今後はお金や振興策ではなく、消費地あるいは国民全体が痛みを共有するとの考え方が新たに必要なのではないか。
(下平尾委員)
- 共生とは、本来、将来にわたって共存共栄するとの生物学上の用語である。原子力発電所を立地をすれば、40〜50年にわたり電力を供給し続けるにもかかわらず、一旦立地が済んでしまえば地域への波及効果は少なく、不安や安全確保の問題は常に伴うことになる。電気事業者と地域が50年間共に栄えていくためには、事業者は自らの持つ資源の提供を行い、農業や漁業などへ支援を積極的に進めるべきとの意味で、共生という言葉が使われた。
- 現在はそれに加え、電力供給地と電力消費地が共に栄えるとの議論に発展してきた。原子力に反対が強いのは、供給地よりもむしろ消費地であり、それでは供給地はやっていけない。従って、消費地も理解を示していこうとの趣旨となっている。
- よりよい表現とするために、共生という項目を設けて、共生の種類を整理するとの御指摘であれば、理解できる。
- 電源三法交付金は、立地を促進するための制度であり、一旦立地を終えてしまうと、地域振興上多くの制約がある。現在の電源三法交付金や固定資産税の制度は、広域的、長期的かつ総合的な地域の発展のためには問題が多いので、改めていくべきとの趣旨であり、共生とは意味が異なるのではないか。
(神田委員)
- 住民投票について、報告書案では十分に踏み込んだ記述がなされている。京都大学大学院の一般の学生による意思決定に関するレポートでは、住民投票に対する反対が非常に多い。国家の意思を決定するのに、住民投票などときれいごとを述べていては、国の方針を誤ってしまうとの意見が大勢である。
- レポートでは、主に沖縄県と巻町の住民投票を取り上げたものが多いが、国が国家の重要な問題を、人口においてわずかな割合を占めるにすぎない一地域に委ねてしまうのは、責任回避であるとの批判がかなり見受けられる。こうした状況からすれば、報告書案の記述は十分すぎるほどである。
(高橋委員)
- 住民投票の制度化に向けての議論では、多様な意見が存在しており、私がプレゼンテーションで示したのもそのひとつであり、個人的な意見である。そうした状況を踏まえれば、報告書案ではこの程度の記述が適当ではないか。
- 前段の住民の意見表明についても、この程度の記述でよいのではないか。
(住田委員)
- 住民の意見の反映についての記述は、高橋委員の記述を基に、それをかなりやわらかくしたとの印象を受けた。これは重要な論点であり、大学の先生の記述を基に双方の立場の意見を反映することにより、良いものとなったと思う。
- 報告書案の23頁の「政策決定の在り方」において、国民の合意形成についても、かみ砕いた記述がなされている。政策責任者の説明責任を含めて論点をきちんと提示しており、こうした記述は従来あまりなされていなかったのではないか。「政策決定過程において、合意が形成されるための適切なプロセスがどの様になされたかということが重要である。」とのスタンスは重要な論点であり、住民投票も含め住民の意見の反映について、論点を示したことは意義深く、報告書案については満足している。
(石橋委員)
- 私自身も、住民投票については否定的な考えであるが、住民参加の意識の拡大の中で、原子力反対の運動は今後高まっていくであろう。そうした場合に備え、住民参加のプロセスを明確にしておかなければ、高まる住民投票の要求に対抗しきれないのではないかとの懸念がある。従って、本報告書が5年、10年と活用されるのであれば、住民投票について十分に整理する必要があるとの趣旨で申し上げた。
(岡本委員)
- 報告書案の23頁「政策決定の在り方」及び27頁「地域住民の意見の反映」の部分の2箇所は相互に対応しており、微妙な問題について適切に記述されている。あまり修文せず原案のままで採択していただきたい。
(太田座長)
- 各委員の了承がえられたようなので、このままの文章とさせていただく。
(下平尾委員)
- 10年後には原子力発電所52基のうち、20基が運転年数30年以上となる。このような状況を踏まえ、ある程度運転年数の経過した発電所をどうするのかについて、調査、研究を行うべきとの記述を追加した方がよいのではないか。
(太田座長)
- 事業者は個々の発電所について、安全を第一に、放射線の照射などによる機器の劣化をモニタリングし、劣化の進んだ部分は適時交換を行っている。火力プラントなどは、定期検査毎に部品を交換し、数十年の運転の後には全て交換され新品のようになる。原子力プラントも、経理上は耐用年数16年として計算しているが、格納容器など交換が困難なものを除き、交換を進めれば40〜50年は十分運転に耐えうる。ただし、その前に技術が陳腐化し、もっと安価で性能に優れたプラントに取って代わられるということもあるだろう。経済的にも技術的にも十分に使用に耐えるものを、一律30年で停止するとの議論は適切ではない。
(山崎委員)
- プラントの高経年化については国でも検討がなされており、安全上の優先度に応じて、各設備の経年変化を詳細に検討した結果、適切に手入れを行えば、60年程度は十分運転に耐えるであろうとの結論が導かれた。事業者はそれを忠実に実行しており、30年をめやすにして定期安全レビューに含めて実施し、また10年程度毎に繰り返しながら進めていくこととしている。またそうしているうちに、技術が陳腐化し、もっと経済性や安全性に優れたプラントが開発されれば、国や地方行政の理解を得ることがもちろん前提条件であるが、経営判断により選択をおこなうこととなろう。
- 地域振興について懸念されているようだが、発電所がある限り永続的に地域振興がなされるような、バランスある制度を実現することが本報告書案でも述べられている。
(長見委員)
- 報告書案の23頁「消費者としての国民の幅広い理解」は3段落に分かれているが、収りが悪い。2段落とし、前段では立地地域と消費地の認識の格差の存在について、大量の電力を使う消費地が電力がいかにして作られているか理解していないなどと述べ、後段では消費者の理解を求めるための取組を行う記述とすればよい。
- 特に「このような電源立地の有する公益的側面を踏まえ、現行制度においては、様々な立地促進のための制度が整備されている。」とのー文は文脈になじまず、削除するか、あるいは前項目の「原子力施設の立地をめぐる状況」に移動させるべきではないか。様々な対策を実施しても、あまり立地に進展が見られないのは、消費者の理解がないからだと言いたいことは理解できるが、論旨を明確とするためには整理が必要である。
(太田座長)
- 立地促進のための制度についての記述が、消費者としての国民の幅広い理解の項目になじまないとの指摘は理解した。検討させていただく。
(河瀬委員)
- 高経年化対策については、安全であればよいのは言うまでもないが、誘致の際、自治体は20〜25年の運転を想定して、地域振興策や税制を理解し受け入れてきた経緯がある。それをいきなり安全だから50〜60年運転といわれると受け入れ難い面もある。高経年化に伴う地域振興についても、検討すべきであろう。本報告書の表現についてはこれでよいが、今後長期計画の策定の中で議論されることと思う。
- 報告書案の29頁5〜8行目の「このような観点から」との一文について、シンポジウムや見学会等、人的・物的交流、双方向コミュニケーション活動の充実も大切であるが、それだけでは不十分であり、立地に伴う苦悩は消費地も含め国民全体で分かち合う、またそれをカバーするための地域振興策を実施するとの記述を追加していただきたい。
- 報告書案の30頁8行目に原子力損害賠償制度の記述がある。この制度は大変有り難いものであるが、この部分に風評被害についても記述を追加するべきではないか。立地地域においては、従来直接の被害はほとんど存在せず、むしろ風評被害を問題としている。一例であるが、「風評被害の損害賠償の方法が未確立で、立地地域の不安の一因となっており、その標準方式を制度化すべきである。」などと記述してはどうか。
- 報告書案の31頁13〜15行目に「地方自治体にとって、安全の確保と並び、立地により地域振興と住民福祉の向上が図られることは極めて重要である。」との部分について、趣旨は同じであるが、より明確に「地方自治体は、安全の確保と並び、立地により地域振興と住民福祉の向上が図られることを基本的な目的としている。」と修文してはどうか。
(神田委員)
- 滋賀県では、原子力災害対策特別措置法の成立に伴い、通報対応などの業務が発生するため、原子力防災についての検討を開始している。立地市町村を有する都道府県の隣接都道府県という隣接県の定義と、その果たすべき役割が、今回明確となったが、その意義は非常に大きいとの声もあることを指摘しておきたい。報告書案の29頁28行目に「同法では併せて隣接県の責任も明確となった。」などと記述を追加することも、検討していただければ有り難い。
(岡本委員)
- 風評被害について、法的になじむように定義するには困難であり、原子力損害賠償制度と併せて記述することには反対である。風評を是正するのも、人文科学や社会科学の役割のひとつである。
(住田委員)
- 昨年原子力損害賠償制度の改正が行われ、現在実施されている経緯のがあるが、結論として表現はこれでよいと考える。現在どのような制度が存在しているのかについて、周知徹底する機会がなかったため、この場を借りて説明する。
- 保険では直接損害と間接損害という区分が存在しており、風評被害は間接被害の中に入るものと思われるが、かつては諸外国の例にならい間接被害は賠償しないとの基準があった。JCO事故が発生し、現在は調査や研究に基づき、新たな基準が設けられており、具体的な案件はこの基準に照らして審査されることとなっている。その基準は、風評被害は全部認めるとか、全部認めないという性質のものではない。日本では、英米法の考え方とは異なり、相当因果関係が認められば賠償するという制度が、判例として既に確立している。風評被害についても、誰もが認めるような因果関係が存在すれば、賠償がなされることなっている。今後このような制度の存在について、周知徹底することは、関係者の責務であろう。
(興原子力局長)
- 河瀬委員の御指摘は、JCO事故が発生し、原子力施設を抱える地域の皆様の素直なお気持ちであり、それに応えることなくしては、原子力行政は進めていけないと考えている。住田委員の御指摘の通り、原賠法については審査会を設置し、また、研究会を設け、風評被害に対応する標準的な指針の作成について検討してきた。その結果については、近日中に公表したい。
- JCO事故に関する損害賠償については、事故直後の被害の全貌が明らかでない段階で、当面の資金の手当をどうするのかとの問題が発生した。9月30日に事故が発生したが、12月中には50数億円の仮払いを行い、なんとか年を越せることとなった。3月末には約90%、現在は約95%の支払いが完了している。
- 放射線の影響を受けた方々の問題と風評被害対策をきちんと解決しなければ、国の責任を十全に果たしたこととはならないとの指摘は十分に認識している。報告書に記載することより、むしろ、これらの課題に対する対策を実践していくことが重要であり、具体的な対策を講じていくことで御理解がいただけるものと考えている。
(桝本委員)
- 住田委員、岡本委員に賛成でこのままでよいと考える。経済の分野での風説の流布など、風評を起こしている側の中には、反社会的な行為につながる悪質なものも存在する。風評被害の補償を行うことの重要性は言うまでもないが、意図的に誤情報を流し、あるいは重要な情報が流れるのを阻害することは反社会的な行為であることを、よく認識すべきである。
(山崎委員)
- 事業者は立地自治体と安全協定を結んでおり、その中で風評被害についても、もし発生すれば誠意を持って対応する旨を、文書で約束している。JCO事故のように普通考えられないような場合には、国レベルでの対応をお願いすることになるが、原子力発電所で一般的に考えられる事故であれば、安全協定の中で述べられている「誠意を持って対応する」という範ちゅうで対応していくことができるとの自信を持っている。
(河瀬委員)
- 皆様の御支援いただけるとの発言もあり、また従来からも対応に努めていただいているため、報告書の文面については、原案を了承する。ただ、JCOのような燃料加工施設と原子力発電所は全く別の施設であるにもかかわらず、原子力発電所が危険なものとみなされ、敦賀の魚が売れないといった事実も存在しており、地域を預かる立場として大変苦慮していることを理解していただきたい。なによりも安全確保が大前提であり、引き続きそれに向けて努力していただきたい。
(太田座長)
(興原子力局長)
- 原子力損害賠償法にとどまらず、風評被害に対しては国としてきちんと対応していく。その際には、住田委員御指摘の一般的、常識的な尺度がひとつの目安となるであろう。また、昨年12月15日に、衆議院の本会議において、JCO事故の損害賠償について国はきちんと対応すべしとの国会決議が、全党一致で採択されたことも、補足させていただく。
(石橋委員)
- 敦賀発電所の放射性物質放出事故の際の判決でも、住田委員が御指摘されたような考え方が適用されたように記憶している。また、JCO事故を受けた関係省庁の危機管理についての会議においても、風評被害対策に関するマニュアルが作成されたように聞き及んでいる。
(興原子力局長)
- 風評被害については研究会でガイドラインを作成しており、適当な時期に公表することとしたい。風評被害のみではないが、関係省庁において危機管理マニュアルが作成されている。関係省庁を含めた風評被害対策については、近日中に国会に報告することとしており、報告に合わせて公表したい。
(長見委員)
- 報告書案の28頁の「消費者としての国民の理解の上に立った立地」との標題はやや奇異に感じるが、良い案が浮かばない。
- 報告書案の28頁の消費者としての国民の幅広い理解と、同頁下の電力消費地と電力生産地の項目は、順序を入れ替えてはどうか。
- 報告書案の29頁5〜8目の「シンポジウムや見学会等、人的・物的交流、双方向コミュニケーション活動を更に充実」とあるのは、それほど簡単な問題ではないのではないと思う。従来は立地地域対策に重点がおかれており、報告書案でも立地地域が重視されているが、消費地には十分な情報の投入がなされてこなかった。それなくしては、この問題は解決しないだろう。立地の苦しみ以前に、エネルギーの現状の理解あってこそ、立地に対する理解につながるのではないか。そうした趣旨を踏まえて、この部分を修文していただきたい。
(太田座長)
- エネルギーの現状を理解した上ではじめて、原子力の意義や役割の理解が存在しうるとの御指摘であり、文言を追加することを検討する。
(伊藤原子力調査室長)
- 河瀬委員の報告書案の29頁5〜8行目及び31頁13〜15行目に関する御指摘について、どのように修文するか御指示いただきたい。
- 報告書案の31頁1〜8行目の記述については、高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書に基づいており、処分場立地地域と電力消費地域の共生と、処分場と処分場立地地域の共生という2種類の共生について記載されていることを補足させていただきたい。
(興原子力局長)
- 補足であるが、高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書において、原子力の世界に共生との言葉を持ち込む際にも、本来生物学用語であるため、脚注を設けようとの議論があった。その話題については、前回の第三分科会なども披露された。
(太田座長)
- 下平尾委員の考え方によれば、共生の観点からは、原子力施設が存在する限り、地域と共存共栄を図っていくこととなる。原子力発電所の場合は建設が終わっても、定期検査等により地域に経済的波及効果をもたらし、共生の一環となりえるが、処分場の場合は廃棄物を収めた後は、施設に手を加えることがないため、処分場と地域の共生については別途検討が必要である。そのような観点から、「処分場との共生のための具体的方策などが、予め提示されること」とあるのは、大きな意義がある。
(下平尾委員)
- 共生という項目を設けて、電気事業者と地域、消費地と供給地、処分場と地域など、共生の種類毎に整理すればよい。
(太田座長)
- 項目が多くなり、かえって複雑となるのではないか。また、電気事業者と地域の共生といってしまうと、必ずしも電気事業者のみでないといった問題が生じる。処分場との共生についても、地域とのやりとりの過程の中で、具体的な方策が現れるのであり、非常に長いスパンで検討するため国の役割が重要となるであろう。従って、実際の場合には、係る当事者の間で共生について十分検討することとし、報告書案については原案程度の表現でよいのではないか。
(下平尾委員)
(太田座長)
- 報告書案の31頁13〜15行目について、地方自治体が立地により地域振興と住民福祉の向上を図ることを目標としているのは、文面から明白であり、表現についてあえて変更する必要はないのではないか。
(河瀬委員)
- 立地地域の思いは非常に強いため、敢えて申し上げたが、報告書全体として私共の申し上げたい趣旨は十分にくみ取れるため、全体の整合性を保つとの観点からも、原案の表現でよろしいと考える。
(伊藤原子力調査室長)
- 報告書案の29頁5〜8行目のとの一文に、立地に伴う苦悩を分かち合うなどとの記述を追加する件について、御判断いただきたい。
(河瀬委員)
- 消費地の方は生産地からの電力で快適な生活を営んでいるにもかかわらず、原子力に反対なさるというように、両者の意識に非常に大きなギャップが存在する。何とか消費地の方に原子力について理解いただきたいと、歯がゆい思いを持っている。また、生産地は国策に貢献しているわけで、苦労するものが報われることが重要であろう。そのためには地域振興が必要であるとの趣旨で申し上げた。文章の流れもあり、全体として今述べた趣旨も十分にくみ取れるので、原案で結構である。
(3)閉会について
○本日の審議を受けて、太田座長より発言があった。
- 報告書案については概ね了承いただけたようであるので、本日の各委員の指摘を踏まえて事務局にて修正することとし、表現ぶりの調整等は座長一任として、本日で第一分科会の審議は終了することとしたい。
| ○ | 事務局より、その場合においても、本日の指摘を踏まえた修正ぶりについては、各委員に送付し確認いただく旨の補足説明があった。 |
(石橋委員)
- 本日資料に添付されているが、私が書面にて提出した意見も参考にしていただきたい。
| ○ | 第一分科会の審議の終了について、各委員より了承があった。また太田座長より発言があった。 |
- 本報告書は座長預かりとし、分科会の会合については、本日をもって終了させていただく。
- 各委員におかれては、JCO事故が発生するなど困難な状況の中、約一年に渡り議論いただいたことに対して、深く御礼申し上げる。
- 本報告書は、5月31日の策定会議に報告する予定としている。報告の方法については、私共座長に一任いただきたい。
- 策定会議は本年一杯継続する予定であるので、第一分科会も本日で解散するわけではない。今後とも引き続き御支援を賜りたい。