注.この議事録は、「市民参加懇談会inかりわ」における参加者の方々のご発言内容を忠実に再現しておりますが、実名を記載させていただいている方もいらっしゃいますので、議事録の複製及び転記等をされる場合には、十分ご配慮くださいますようお願い申し上げます。この議事録の複製、転記等を行う場合には、小林直樹さんより、実名使用は拒否するとの意志が表明されておりますので、この議事録の複製、転記等を行われる場合には、ご留意下さい。

(実名を使用させていただいた方々の参加経緯)
 実名でご発言いただいた方々については、事前に品田村長・土田智明さん・吉田大介さんよりご依頼させていただきました。ご協力どうもありがとうございました。

(品田村長)___小林直樹さんへご依頼

(土田智明さん)_三宮政邦さん、横田信子さんへご依頼

(吉田大介さん)_近藤昇さんへご依頼



 なお、小林直樹さんには、品田村長からの強い参加要請でご承諾していただいた上に、報道関係者の取材があることや議事録が広く公開されることについて、ご承諾いただかないまま、実名でご発言いただくこととなったことについて、ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

【土田智明氏】 皆さんこんばんは。今日は市民参加懇談会ということで、大勢の方にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。私は下高町の土田と申します。そちらにいらっしゃいます吉田大介さんと一緒に地元の有志として、今日の会のお手伝いをいろいろとさせていただきました。今日は、吉田さんと2人で進行係的なこともさせていただく予定ですので、よろしくお願いします。
 今日は、原子力委員の木元教子さんをはじめとして、市民参加懇談会の企画メンバーの方にも、遠いところからお越しいただいております。今日の会は、国の説明会という形ではありません。私たちの刈羽村が全国的に非常に有名になりましたが、原子力の立地点である刈羽村民の声を聴きたいというお話ですので、いろんなお話が出ると思いますが、忌憚のないご意見をお願いしたいと思います。
 それから、今日は、実は反原発グループの方にもお声がけをしましたが、一部の方を除いて不参加です。
 国のエネルギー政策とか、原子力行政について、特に疑問等をお持ちの方は、是非いろいろご意見を述べていただきたいと思います。
 それでは、今日の市民参加懇談会の経緯等につきまして、木元教子さんの方からお願いしたいと思います。


【木元原子力委員】 木元教子です。実はこの経緯は、古くなって恐縮ですけど、私のところに去年の6月22日に、刈羽からお出しになった速達が封筒で来ました。開けてみました。後ろには、「新潟県刈羽村 私たちの声を村政に届ける会 事務局」とありました。そこにいろいろ書いてありまして、タイトルが、「新潟県刈羽村の村民と東京都で暮らし働く人々との対話集会」というご案内でした。これは私も願ってもないことなので、是非出席したかったのですが、7月7日ということで決まっていて、吉田さん、残念、遅かったです。ギリギリで、私は行かれなかったのですが、中に5月27日の住民投票のことが書いてありまして、いろんな新聞に、こういうことが書かれた、ああいうことが書かれた、ということがあって、ご自分たちの村の中でも、これでいいかなという思いがあると書いてありました。
 後半のところに、こう書いてありました。「事業者の電力会社と計画を進める国は広報を繰り返してきました。住民投票は4年半の議論のあとに、地方自治法に基づいた手続きで、住民投票条例を直接請求し、議会が承認して、村長が実施したものです。刈羽村民にとって、結果が出てから、村外から一方的にとやかく言われることは心外です。」つまり、結果のことを、あの時は外側からいろいろな立場で、テレビでも新聞でも報じました。そのことをおっしゃっていらっしゃるんだと思います。それはそのとおりです。
 そのあとに書いてあることが、私が、あっ、これだ、と思ったことなのですが、「しかし」とあって、「住民投票を通じて、原発立地地域と大都市圏の人たちと対話ができるのならば、それも住民投票の効果と考え、対話集会を計画いたしました。貴職には、この対話集会にご参加いただいて、是非ともご意見を賜りたいと思います。」と書いてありました。これは、大変に、一歩も二歩も前に出たお考えだと思って、私はある種の感動すら覚えました。
 私も5月25日にこちらに伺うことになっていたのですが、村長から、間接的に明るくする会を通じて、ご連絡がありまして、「村民の投票である。村の民主主義を守るために村外の方は入らないでいただきたい。ご遠慮願いたい。」というメッセージが来ました。私も、是非行きたいな、という気持ちは強かったのですが、これはとても重要なことですし、村がそうご決議をなさったのならば、と思って、伺うのをやめました。そのあとのことは皆さまもご存知だと思いますが、電力も行ってなかったと思います。ただ、少し反対派の方がいろいろなさったということをあとで聞いて、行けばよかったかなと実はちょっぴり思いましたけれども、私は村の民主主義という言葉にとても重要なメッセージを感じました。
 それで、私はお返事を書きました。「5月25日は村長のご意志を尊重して、刈羽へ伺うのは控えさせていただきました。今回のような良識を踏まえた対話集会は大賛成です。原子力委員会も市民参加懇談会を立ち上げました。立場は違っても、日本のあり方、国民はどんな生活を望むのか、その上で、エネルギーの自給はどうあったらいいのか、そういうことを現実的に冷静にお話し合う機会は、これからどうしても必要です。冷静に大人の会話で。」そういう集会が持てたらいいな、ということを吉田さんにお出ししました。そして、「反対の立場でも、あるいは賛成の立場でも、エネルギーを考えるという立場は同じ」、だから、意見が違っても同じテーブルで話し合い、じゃあどうしたらよいか、ということが話し合えて、ご意見を伺えれば、まずワンステップ前進だと感じたわけです。それで、吉田さんにこういうお返事を出してから、しばらくして、共同でやりませんか、とご連絡を差し上げたという経緯です。
 その後、11月まで、市民参加懇談会のここにいらっしゃるメンバーの方たちと一緒に、2回、市民との対話というのはどういうことなのか、どういう方法があるだろうか、エネルギー行政に自分たちの意見を反映して、ある程度のお互いの理解のもとに、日本のあり方を考えていくにはどうあったらいいのか、ということなども話し合いました。いろいろな立場の方がいらっしゃいますから、いろいろな意見がありました。
 でもその中で、やっぱり刈羽が、投票をなさって、結果があって、それなりに日本のあり方、あるいはエネルギー行政に一石投じたという感じがありますので、そういうホットなイシューを持っているところで、市民参加懇談会を開催することは意義があるだろうと思いました。
 本当に素朴な形で刈羽のご意見を伺うのはどうあったらいいのか、ということで、吉田さん、土田さんをはじめ皆さまにお会いし、ご相談を申し上げることで村長にも同席いただき、11月18日、日曜日でしたが、伺いました。これも公開の席で、プレスの方もお見えいただきましたけれど、お話を伺わせていただきました。
 プルサーマルに反対の女性の方も数人いらっしゃいましたが、私と話したいということで、中には入られませんでした。国の人たちとテーブルを一緒にしたくないというお気持ちがあって、それも1つの姿勢だろうと思い、廊下で30分ぐらい話し合いました。そこで、こういう形の対話集会をやりたいと伝えましたら、「意味はわかる。こういうことがあったら、自分は前の席には座らないかも知れないけれども、会場には来たい。」とおっしゃってました。今、お見えになっているかどうかわかりませんけれども、そうおっしゃってくださいました。
 その後、刈羽の方たちとご相談しながら共同開催したいので、プレ懇談会ということで、こういう会合を持つためにはどうしたらいいのか、12月13日に、前に座っていらっしゃる碧海さん、中村さん、井上さん、吉岡さん他5人と刈羽に伺い、こちらでお話をさせていただきました。その時には、前回の3人の方もご一緒にテーブルを囲んで、いろいろなご意見をおっしゃいました。
 その中で、刈羽村は、もう選挙で、プルサーマルをやらないと決まったんだ、なんで騒ぐんだ、という声もありました。それから、国が核燃料サイクルの政策を白紙撤回しない限り、同じテーブルで話すことは拒否するともおっしゃいました。国の人と一緒のテーブルで話す気はないということもおっしゃいまいた。そこには、深い不信感があるなと思いました。
 しかし、私の考えでは、そういうご意見があるならば、白紙撤回してほしいということがあるならば、やはりそのことをフラットな場で、同じテーブルの上で話してほしい。私はこういう考えを持っている、あなたはこういう考えを持っている、その中で、どこか接点があるかも知れない、ということも申し上げてあります。ですから、私はあの方たちを信じたいと思っています。
 ただ、いろんな誹謗中傷・デマが飛び交うことは不毛だと思いますし、そうじゃない前向きの会話が刈羽からできるんじゃないかと思い、期待感を持って今日も伺っておりますし、私どものメンバーもそういう気持ちで伺っているはずです。


【吉田大介氏】住民投票が終わってから、刈羽村内で、例えばしこりが残るんじゃないか、とか、いろんな話があったんですけど、私は、住民投票が終わってから今までいろんな人とお話する中で、まったくしこりがないと言うと嘘になるかも知れませんが、結構みんな前向きにこの問題について直面してくれているんじゃないか、と思っています。
 その後、木元さんや、こういう集会を持つことで、いろんな人とまた話をしましたけれど、人それぞれで自分の価値観を大事にしていて、それがゆえに意見が衝突する場合もあるし、食い違いもあるんだろうなと。でも、いつまで経っても、相手の価値観を切り捨てて、自分の価値観だけを主張するのでは、一歩も二歩も前進しない。とりあえず、こうやって人が集まって、自分が思うことを正々堂々と発表する。それを、人の話をよく聴くということが、刈羽村という地域を良くする、あるいは、大きなことを言えば、日本がいい世の中になるんだろうなと思います。
 今日も、この会場作りは、いろんな人と相談しながら、どういうのが本当にいいんだろうか、誰かが住民の代表で何か意志を伝えるということではなく、本当にまったく個人の刈羽村民として、忌憚のない意見を出せるようにするにはどうしたらいいのか、ということで、土田さんとも何回も相談し、木元さんとも相談し、こういう形にさせていただきました。
 ですから、今日は、この内側に座っているメンバーがみんなの代表ということではなくて、前も後ろもない、こういう席を作ったのも、皆さん一人ひとりが自由に意見が出せるように、ということで、是非とも思いっきり思うことを言っていただければ、と思います。


【木元原子力委員】 今、吉田さんが言ってくださったように、本当に何回も相談しました。お電話でもメールでもやりとりしたりして、村にも随分ご協力いただき、企画広報課長さんからもメールをいただいたり、私も、お名前を出して恐縮ですけど、《村民A(不参加)》さんにもお電話を差し上げたりして、お話し、考えを伝えました。ですから、個人的には、今日、ストレートに言ってくださったほうが気持ちがいいなと思っているんです。皆さまがいろんな気持ちを持ちながら集まってくださったことに、とても感謝しています。また、村も協力してくださることになって、とても嬉しいです。


【土田智明氏】 そうですね。それでは、品田村長の方から一言ご挨拶をいただければと思います。今回、刈羽村の方ではいろいろ協力をしていただいておりますので・・・。


【品田村長】 皆さん、こんばんは。今日は、こういう催しに、準備、案内が不足だったかとも思いましたが、これだけ大勢の皆さんに集まっていただいて、エネルギーについて、我が刈羽村でいかに関心が高いか、というところが証明できたのではないかと思います。
 時間がない中で、拙速にバタバタと段取りを決めてしまいまして、パネリストと言いますか、この中にお集まりの皆さんにも十分に意が伝わらなかったところもあるかと思いますし、また、もっともっと大勢の皆さんがこの会場に来られたかったのかも知れない、そんなことも思っているわけですが、今日は是非、真ん中のマイクのある皆さんだけではなくて、お集まりいただいた皆さんそれぞれが発言者ですから、どうか遠慮なく、様々な意見を言っていただきたいと思うわけです。
 今日は午前中まで非常にいい天気でポカポカとしておりましたが、夕方になって、風雲急を告げてまいりました。急に寒くなってまいりましたが、これだけの皆さんに集まっていただいて、熱気あふれる中で、日本のエネルギーの将来を考えようということであります。非常に有意義な会だと思いますし、どうか2時間経ったあとに、みんな良かったなと思って帰れるような、そんな発言をお願いしたいと思います。
 どうか会場の皆さん、遠慮なくどんどん発言をしていただきたいと思います。進行は、木元さんはプロですので、うまく取り仕切っていただけるものと思います。


【木元原子力委員】 はい、今日は3人でやりますから。


【品田村長】 そういうことで、何なりと発言をしていただきたい、というお願いをして、東京から、大阪から、県外から来られた皆さんには歓迎の意を表し、地元の皆さんにも心から感謝を申し上げる次第です。ありがとうございます。


【土田智明氏】 それでは自己紹介を兼ねて。


【木元原子力委員】 お手許に市民参加懇談会のメンバー表はいっていますか。○が付いているのが今日の出席者です。


【碧海委員】 碧海酉癸といいます。酉癸という名前は、生まれた年の干支でして、昭和8年生まれなんです。その干支をひっくり返して、「ゆき」と読ませているんです。ですから、私は太平洋戦争も経験している世代です。東京に生まれて、戦争中もずっと東京におりました。今も東京におります。ですから、まったくの消費地の人間です。戦争中は10アンペアという契約が平均だった時代から、今は30アンペアに変わっていますけど、その間ずっと東京で暮らしてきました。
 消費生活アドバイザーという肩書きは、企業と消費者、あるいは、行政と市民をつなぐパイプ役という役割です。エネルギー問題に関しても同じような立場で関わっています。
 先ほどの、刈羽村が住民投票のあとで有名になったというお話ですが、パソコンでは前から「かりわ」でちゃんと変換します。そういう意味では、刈羽村の存在というのは、もちろん前から承知していました。
 私はエネルギー問題を自分の生活との関わりで考えたいとずっと思っていますので、今日もそういう目で参加しています。
 今日、女性の方も何人か参加していらっしゃいますが、つい最近、「くらしと放射線」というテーマでアンケート調査をさせていただきました。刈羽村の女性も何人かお答えいただいています。この場を借りて、どうもありがとうございました。


【吉田大介氏】 刈羽村の方にも、事前に、発言をお願いしますということで、何人かお声がけしたのですが、もっとたくさん声はかけたのですが、なかなか人前で何かを代表してということは嫌だという方が多くて、今日も実は無理を言って座っていただきましたけれど、特に何かグループを代表してという意味ではなくて、刈羽村の個人として、前に座っていただきました。そういう意味で、話のきっかけ作りということで、皆さんそれぞれ座っていただきましたので、刈羽村の方からも口火を切る形でお願いします。


【近藤昇氏】 近藤昇です。今原子力発電をしているところが、僕の畑だったわけです。何号機だったか。そういうことで原子力発電所とは関わりが深いというのと、あとこの刈羽村を出たり入ったりと言うか、よそにいたものですから、そういう中で30年間、しっかり刈羽村も見たり、原子力発電所のやり方も見たり、というふうなことで見てきたつもりです。
 今日はこういう機会ですから、現地の雰囲気と東京の中央の方との議論の「ズレ」をここで浮かび上がらせて、皆さんに認識をしていただきたいな、そういう機会として頑張って話したいと思います。皆さんも、会場のほうからそれぞれの意見を出していただきたいと思います。


【中村委員】 中村浩美です。刈羽の皆さんには、一連のプルサーマルに関する討論会とか、国の説明会とか、関連の出来事でコーディネーターをずっとやらせていただいていましたので、柏崎と刈羽にも2回ぐらい来ていますので、近藤さんにはお会いしていますし、他にもお目にかかっている方もいらっしゃると思います。
 私はテレビの仕事もしていて、科学ジャーナリストという肩書きで仕事をしていますけど、コーディネーターの仕事で、原子力発電、特にプルサーマルの問題には深く関わりまして、福島、福井でもやはり同じような役割で皆さんとお会いしているんですけど、特に柏崎刈羽は回数も多かったですし、スタートが柏崎の文化会館だったでしょうか、私自身としても、原子力立地の中でも、やはり柏崎刈羽に非常に思い入れがあると言うか、関心があります。
 柏崎市あるいは刈羽村で討論会やご意見を聴く場を持ったときに、コーディネーターをしながらいろいろ感じたことがありました。原子力発電というものについて、ご意見はいろいろあったにしても、多分共通しているな、と感じたのは、地元の皆さんの思いとか考え、声というのが、消費地、さらには国に届いていないんじゃないか、というもどかしさ。これは、反対の方はもちろんそうですけれども、受け入れて推進するというお考えの方にもあったというふうに、僕は感じたんです。
 これが非常に気になっていましたところに、たまたま昨年、市民参加懇談会というものが作られる、ということで木元さんからご案内がありました。一体どういうものですか、と聞いたときに、原子力行政あるいは日本のエネルギー政策について、国民一人ひとりの方がどんなことを考えているかということを原子力委員会や国に伝える、そういう仲立ちをできるような役割の、今までになかった組織を作りたい、というお話だったんです。それで、先ほどお話したような、私自身が皆さんとのフォーラムなどで感じたことと接点があったものですから、そういう役割ができるなら、ということで市民参加懇談会のメンバーになりました。
 そして、市民参加懇談会をどうやって、どこでやるのか、というのがだいぶ議論になったんですが、やはり日本のエネルギーとか原子力のこれからを考えるのは、本当は大消費地でやるのがいいのかも知れません。大消費地の人がやはりいちばんエネルギーはどこから来るのか、電気はどこで作られているのか、と本当に真剣に考えなければいけないと思います。ですから、東京や大阪でやることがまず第一義なのかも知れませんが、私自身はそういう柏崎刈羽とのご縁もあったこともありまして、そして、住民投票が終わったあと、皆さんはどういうふうに考えていらっしゃるのだろう、まだ声は届かないと思っていらっしゃるのか、もしそうだったら、その声を是非メッセンジャーとして運ばせていただきたい、そのためには柏崎あるいは刈羽へ行って皆さんの声を聴かなければいけない、ということで、市民参加懇談会のミーティングの中で、始めるなら第1回はやっぱり刈羽にすべきだ、といちばん言い張ったのは私です。
 それが、地元の皆さんのご協力で今日実現できたので、とても嬉しく思っています。どういうふうに皆さんが感じていらっしゃるか、考えていらっしゃるかを是非教えてください。そして確実に市民参加懇談会、原子力委員の方も出席する会合ですが、その場でちゃんと発言をして、報告いたしますので、是非お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。


【三宮政邦氏】 上高町の三宮です。エネルギーを考えるときに、やはり日本にはエネルギーが減少するようなことがあってはならないと考えたときに、原子力発電はどうしても必要なものであると考えている者です。住民投票につきましても、本来、刈羽村でやるべきではないという立場で運動をしてきた者です。
 今日、こういう懇談会に出させていただいて、今までどうして反対の意見、賛成の意見が平行のままで、結論を見ないで流れているのか、という部分を非常に残念に思いますし、今日またそのへんのことをいろいろ話し合ってみたいと思っています。


【小川委員】 WIN−Japanの小川順子と申します。皆さま方の資料には「WIN」というのが書いてありますが、「Women In Nuclear」という原子力の仕事をしている女性のグループです。ネットワークのようなものです。私は原子力広報の仕事をしておりまして、コミュニケーションの専門職として働いています。今は原子力発電会社で働いていますが、以前はウランの燃料工場で、現場に皆さま方をご案内するという立場で働いていました。柏崎刈羽原子力発電所が運転開始するときには、たくさんの刈羽村の皆さまもお迎えしましたので、会場にいらっしゃる方にも、横須賀市のウラン燃料工場でお会いしたかも知れません。
 私は生まれも育ちも横須賀ですが、横須賀と言いますと、今ちょっと話題になっていますが、極東最大のアメリカ海軍基地があります。国防のために海軍基地がふるさとにあるわけですが、そういう意味で、国のエネルギー政策の最前線で刈羽の皆さま方が原子力発電所を受け入れてくださっているというのと、横須賀の立場は、一部相通じるものがあるのかなと考えています。
 今年は午年ですので、馬の耳に念仏では困るのですが、私は原子力をやっている者の一人としては、一般の皆さまの声を本当に聴いてきたのだろうか、という非常に深い反省があります。ですから、今日は聴き上手に徹して、皆さま方の声を原子力委員会の方にうまくフィードバックするように、その本意をフィードバックできるように、皆さまの声をしっかりと胸に受け止めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


【木元原子力委員】 村のお一人、ご欠席の方がいらっしゃって、お仕事がのびてお見えになれないようですが、もしかしたらお見えになるかも知れませんが。


【加藤委員】 加藤秀樹と申します。構想日本という変な名前の団体を主宰しています。何をする団体かと言うと、政策を作って、それを提言して、言うだけではなくて、自分でちゃんと汗をかいて実現できるようにキャンペーンをして、運動していくということをやっています。
 5年前までは、私は大蔵省という役所にいました。20年間ほどやっていました。役所の中にいて、この原子力も同じだなと思います。今の物事の決め方、決める中身、長期的な視野がいかに欠けているか、ずっと考えて、それを何とかいい形にできないかという思いで、構想日本を何人かの仲間で始めました。
 私は、恐らくこの中で、皆さん、いちばん外の列に座っておられる方も含めて、ひょっとして最も原子力に疎いのではないかと思いますが、この会になぜ誘われたかというと、行政はどんなものか、どうでないといけないのか、行政とか政治の意思決定の仕組みが今、問われているわけです。私はそう思っています。それを変えていかないといけない、また、変わらざるを得ないのです。そういう目からいろんなことをやっている人間がこういう中に入ってもいいのではないか、ということで声をかけられて、お誘いを受けて入りました。
 実は私は来ることが決まったのが最近だったのですが、妙な言い方ですが、とても楽しみにして、予定が随分入っていたのですが、全部キャンセルして来ました。
 というのは、私は香川県の出身ですが、近くの徳島県の吉野川の可動堰の問題、長良川の話、そういうものを私は役所にいるときからいろいろな目で見てきて、全部同じだと思うんです。やはり国が何を決める、地元の人がどう考えるか、そういうことで、今、日本の仕組み全体が問われていることについて、今日伺えるいろんな話をもとにして、是非自分なりに考えていきたい。
 物事の決め方、誰が何をどうやって考えて決めていくのかという面から、今日はおおいにお話を伺いたいと思います。
 私は実は、数人の仲間と構想日本で、日本のエネルギー政策をきちんと考えていこうということを、ほぼ1年ぐらい前から議論し始めています。一緒にやっているメンバーは、日本を代表する研究者が中心です。私自身は素人ですが、日本のエネルギー政策というのは今までなかったと思っています。その中で、原子力についても、長期的な戦略に基づいた政策と言えるものであったか、原子力委員の方には誠に申し訳ないのですが、それが基本的な考えです。そこでの最大の問題というのは、役所が中心になって、東京のまん真ん中で、これがいいんだということを決めて、それをとにかく実行させるだけというやり方を真っ先に変えていかなければいけないのではないかと思っています。
 今、私の主宰する構想日本で、ここ半年ぐらい、何をいちばん熱心にやっているかというと、特殊法人改革です。道路公団改革なども同じなんです。まったく同じです。この中には、原発は反対だけど、道路公団はもうちょっと道路を作ってくれた方がいいとお思いの方もいらっしゃるでしょうし、逆の方もいらっしゃるかもわからない。しかし、いろんなところで共通する仕組みがあると思います。そういうことを考えたいと思います。


【木元原子力委員】 ちょっとフォローさせていただくと、私も加藤先生とあまり一緒に話したことはないんですが、私が原子力委員になったのは珍しいんです。今までの原子力委員に民間で女性で素人はいなかったから。だから少しずつ原子力委員会もいい方向に変わっていると思いたいです。私だけでなく、事務局もみんなそう思っていますので、先生の視点はとても重要だと思っています。


【加藤委員】 私も、この懇談会、今日が2回目なんですが、村の方にも証言者として言いたいのですが、何かをここで押し付けてこようとか、説きふせに行こうとか、そんな振りをせずに実はやってしまおう、という雰囲気がまったくなかったから、私は今日は楽しみにしてきた、というのが本当のところです。


【木元原子力委員】 あの時の雰囲気がわかっていただけるといいですね。


【小林直樹氏】 小林と言います。今日ははっきり言うと、だまされたという心境です。しゃべることは何も考えてきていませんので、ここで今、とりあえず言うことはありません。


【吉田大介氏】 また、あとで何かあったら是非。


【井上委員】 皆さんこんばんは。井上と申します。関西の宝塚に住んでいます。今日は、私は国でもないし、もちろん行政でもないし、地元でもないし、原子力に関する仕事を何かしているわけでもない、まったくの一市民、しかも大消費地、関西一円で私たちの生活が成り立っているのは何なのかということを、消費地の女たち、生活をしている者たちでいろいろ勉強をしていましたところに、7年前になりますが、阪神・淡路大震災がやってきて、今生きてるのが幸せという、命があったら何もいらないと実感したところにおりました。そのあたりに、生活を支えてくれる非常に大事なライフラインという言葉、水、ガス、電気というものを空気と同じように忘れてしまっていたということを思い起こして、そこから、一体誰がこれを支えてくれているんだろうという思いから勉強を始めた者です。
 私たち関西の者は、福井県に15基の原子力発電所がありまして、そこにも女性たちが生活し、いろんな仕事をし、いろんな思いを持ちながらも消えることなく電気を送ってくれているということに、地震のおかげで気付きました。地震がなければ気付きませんでした。そういうショックを受けて学び始めたところに見えてきたのが、立地という言葉でひとくくりみたいに言われますが、立地とかではないんです。そこに生活している人たちがいて、その人たちが、例えば美浜、高浜、大飯という発電所があるんですが、事故が起きると、あそこの魚はいらないとか、野菜はいらないとか、あそこの道路は通るなと言われる、と言うんです。初めて交流してみて、そういうことを勝手に言いたい放題言う大阪の女性たちとか消費者というのは何なのかと、本当に涙を流さんばかりに言い寄られたことがあるんです。それで、私たちはいかに知らなかったか、そういうことを頭にも描かずに消費をどんどんやってきて、24時間眠らない街などと言って生活してきたことに初めて気が付きました。
 でも、私たちの町には発電所はできない。明日から皆さんのお米は作らないから自分たちで作ってくれと言われても、私たちは作れないわけです。原子力発電所をあなたたちの近くに作ったらいいじゃないか、ということも言われました。でも、それもやっぱり無理なんです。それならせめて、地元へ行って、皆さんの気持ちをひざを交えて、ちょうど今日のような形で聴こうじゃないかということを始めて、5年目に入りました。
 それで、いろんな話を聴いて、この頃は、どこに住んでも一緒よね、私たちの人生、子供を育てて、年をとって、福祉の問題とか、まちづくりの問題とか、一緒よね、何かいい知恵があったら頂戴ね、というような関係のところまで来ました。原子力発電そのものの問題とか、立地のいろんな事故の問題に関しては、私たちは肩代わりはできないんですけれど、少しは交流することができるようになったかな、と思っています。
 そういうことで、この市民参加懇談会に、そういうまったく国でもない、事業者でもない、地元でもない、第三者の使うだけの人間という立場で、少しはお話も聴かせてもらったり、私たちはこんな思いの状況なんだということを言えたらな、と思って参加しました。刈羽にやって来るのは今日で2度目です。どうぞよろしくお願いします。


【横田信子氏】 刈羽村に住んでおります横田信子と申します。専門知識も何もありません。本当に一主婦、仕事を持ちながら、親であり、主婦をやっている者です。
 女性の意見を聴きたいということで、こんな大それたところに出る者でもないんですが、昨年、プルサーマルの住民投票があったわけですが、今までですと、女性の方なんかは、井戸端会議ではいろんな意見が出ますけど、なかなか表に出て発言するということはほとんどなかったのですが、結構、皆さん、考えていらっしゃる方が多くいたものですから、そんな中で、私が代表ということで、女性の会なども立ち上げました。
 また、最近ですと、去年の暮れに、終わったことをいつまでも言っていられない、みんなでこの村が良くなるにはどうしたらいいのか、ということで、賛成、反対もない、本当に一住民として、皆さんが頑張ってきた、今までの緑豊かな自然のあふれる、私はこの村が大好きなんです。だから、そういった村に戻ってもらいたいです。エネルギーはここでできていますので、本当に率直に考えれば、明日からでも、クリーンで、それこそ危険のない安全なもので代替できるなら、私は是非ともそういうふうにしていただきたいと思いますけれども、それができない以上は、私たちは、この中で、電力さんと共存しながらやっていったらいいのではないかな、という思いがちょっとあったものですから、そんな仲間を集めまして、こんな大それた場に、何かご協力ができればと思いまして、やって来ました。どうぞよろしくお願いします。


【吉岡委員】 九州大学の吉岡です。私の専門は歴史学です。対象は現代科学技術を中心とした歴史研究者です。歴史研究者にとっていちばん重要なのは、適切な歴史認識を持たなければいけないということで、当然、私なりの原子力に対する歴史認識がありまして、それに基づいて、いろいろ本を出したり、マスコミを騒がせることも少なくないわけです。批判派としてマスコミを賑わせています。
 私の歴史認識というのを、今日の話に関係することについて2点だけ言いますと、1つは、政府はどうも口先だけの説明だけをして、なかなか本音の議論をしないということ。
 2点目は、一度決めた方針は最後の最後まで変えたがらない、あくまで押し通すという傾向が、ここ10年ぐらいの日本の原子力開発の歴史を見ていても明らかだということ。
 4年前、98年の秋に、プルサーマルフォーラムとかで柏崎に批判派代表で来ました。そこで、ウランの節約のためにプルサーマルをやるのだと政府が説明しましたが、それは違うだろう、余剰プルトニウムを減らすためだろう、と言って、なぜそう考えるかの証拠もいろいろ提示したつもりです。
 それと、私は、六ヶ所村の再処理工場は運転せずに廃止するのがいい、と思っています。英仏で、すでに出てしまったプルトニウムについては、プルサーマルにするか、高レベル放射性廃棄物と混ぜて貯蔵をするか、どちらかの道について、あらためて国民的に検討すべきだという意見です。
 こういう形で原子力政策を転換するべきだと思っています。それを今述べたような私の歴史認識から言うと、政策が不合理になったら勇気をもって変えること、そのための説明を実状にあったものにすること、この2点が重要だと思っています。是非このきっかけをつかみたいと、いろんなところで狙っているわけですが、刈羽村の投票というのは、その意味で、非常にいいきかっけになり得る事件であったと思います。福島県も一時受け入れ凍結になっているわけですが、これをきっかけに政府が説明の仕方を変える必要がある。説明の仕方を変えると、当然、内容自体もある程度修正することになりますから、その修正案を持ってきたら初めて、対話が成り立つんだろうなと思っています。それをどうやって実現するかということがなかなか難しくて、審議会の中で議論していても、それはどうにもならないことです。だけれども、市民参加懇談会というのは、ある程度、中立的な立場から政府に物申す権限があるということで、今の政策をどう変えたらいいか、ということに関する国民の皆さんの意見をフィードバックして、実際に変える。変えることによって市民参加懇談会は存在意義を発揮するだろうと思いますので、そういうチャンスがプルサーマル問題に関して到来していると思いますので、是非、これについての皆さんの意見をお聴きして、できるだけ反映をさせるよう、できるかどうかの保証はないですけれども、私個人としては努力したい。よろしくお願いします。


【木元原子力委員】 今日、実は反対派の方がチラシをお配りになったようで、私はストーカーと書かれてしまったのですが、しつこく追いかけてきて、プルサーマルを推進しようということを押し付けに来るというニュアンスが書かれていたのですが、今こうやって、メンバーのご発言をお聞きいただいたら、おや、おもしろい、吉岡さんはこういう考えと立場なのか、こんな人が入っているの、とわかっていただけると思います。
 そういう意味で、このメンバーは各分野の優れた方にお集まりいただいていると思っています。今日は聴くことに徹して、その中で私たちが原子力委員会で反映するなり、報告するなり、また私たちの中でも討議はしなければいけない、と思っていますので、よろしくお願いします。
 それから、今日、私の後ろに2人の原子力委員が座っています。遠藤委員です。委員長代理をなさっています。それからお隣が竹内委員です。今日はお2人とも発言はしません。聴くことに徹するとおっしゃってくださいましたので、今日は耳だけで参加していただいています。
 ひととおりお話を伺ったのですけれど、そろそろバッチリ本心を語っていただきたいのですが、誰か、口火を切っていただく必要があるかも知れませんが。 【中村委員】 さっきの感じだと、まず近藤さんのお話を聴きたい。


【木元原子力委員】 やはり行政と刈羽の「ズレ」があるとお話がありましたが、その「ズレ」を教えていただきたい。


【近藤昇氏】 時計を見ると、8時10分前です。2時間の予定で、挨拶と自己紹介でこれだけ時間を使っている。発言の内容を聞いていても、我々の刈羽村よりも皆さん方の発言の時間が圧倒的に多い。これで目的は刈羽村の意見を聴きたい、住民の意見を聴きたいと言ったところで、反原発の皆さんは今日参加していませんけど、その皆さん方がセレモニーだ、セレモニーだと言って、今日は参加していないわけです。今のここまでの進め方を見ていると、これは明らかにセレモニーじゃないかなという感じがします。


【木元原子力委員】 ここまでがセレモニーです。初めての会合の紹介でしたから。ここから聴かせてください。


【近藤昇氏】 では、時間が少ないから本論に行きましょう。今までの原発やプルサーマルの論議の中で、いちばん問題だと思うのは、エネルギー政策というような国の大事な政策を刈羽の村民に判断をさせるがごとき論調が、マスコミを通して盛んに流されている。これは、恐らく政府の意図しているところではないか、と考えています。こういうふうな大事な問題を刈羽村の村民に考えさせるということは、非常に暴力にも近い、脅迫にも近いことではないかなと思っています。刈羽村は、プルサーマルをやるかやらないかということについて、住民の生活が脅かされるのか、良くなるのかという点で、プルサーマルを考えているわけであって、国がプルサーマルをやるとか、原子力政策をどうするかということに対して、NOともYESとも言える立場でもないし、資格もない。そこのところが、この議論の中で、国のエネルギー政策なのになぜ反対するのか、というふうな議論が出てくる。ここのところで議論が食い違っている。そして、反原発の皆さん方も、原発そのものに反対なのだから、これは思想の問題。そういう思想をそれぞれが持っているんですが、原発そのものをやることが悪だという思想を持っていることが、ここで運動をしても刈羽の村民の中に深く浸透していない、ということは事実だと思う。ただ、今、プルサーマルに対して過半数の意思表示があった。これは僕の解釈では、なかなか本音は出せないけれど、そして、反対の運動は難しい。だけど、たまたまここで反原発の運動をしている人がいるから、そこで上手に手を握って便乗して自分の気持ちを表した、ということではないかなと考えています。だから、相当にこの反プルサーマルということに対する住民感情は根強いと思います。ですから、反原発運動というものは、東京に本部を置いて、前線基地がこの刈羽村、柏崎にあるというふうに思っていますし、村民も明らかに反原発運動と一線を隔しているんです。しかし、結果においてプルサーマル反対というふうに出てきた。なぜそういうことになったかということを考えてみると、反原発ということではなくて、東京電力がここで原発を運営している中で、地元対策というものがあるわけです。今日も2人の幹部の方がお見えになっていますけれど、常に情報を収集して、地元対策をすることは大事な仕事だと思いますが、この地元対策のやり方に問題があったのではないか。今までの地元対策のやり方が住民から見ればNOだということ。公平を欠いているというようなものがあったのではないか、と思っています。隣におられる中村さんが、刈羽に来てフォーラムの司会をされていました。そのときに指名を受けて短い時間ですが話をしました。そのとき僕が言ったのは、プルサーマルをやるかやらないかというのは、プルサーマルがいいか悪いかということについては、刈羽村民は専門的な知識を持っていないから、それに対しては判断のしようがないということ。だけど、東京電力がやってきた対現地政策については、みんなが生活の中でしみじみとわかっている。だから、東京電力の原子力政策の信任投票になるだろうと、3年ほど前のここの会場で申し上げました。明らかに、僕はそういうふうな展開でプルサーマルの問題を捉えています。このへんが、今僕が感じているところです。


【木元原子力委員】 あまりおたずねするのはどうかと思いますが、東京電力への信任投票であったとおっしゃいました。やり方がまずかったと言うか、とても自分としては受け入れられないと。どういう点でしょうか。教えてください。


【近藤昇氏】 これは端的にこうとかああとか、1+1が2になるような明快な説明をできるような問題ではないと思うんです。これは、非公開のところで、お互いにマンツーマンで話をするとか、あるいは少人数の中で議論を進めていって本心を伝えていくべき問題だと思うんです。ここで言ったら、正確にそういうのが伝わらないと思います。ただアジ演説になってしまって、非難、中傷の泥仕合になると思う。


【中村委員】 マンツーマンで話をできるような機会を作ることはできますか。東京電力と住民の皆さんで。


【近藤昇氏】 これは、東京電力さんの方がやり方として失敗しているということ。今、東京電力さんは刈羽村の中へ来て、理解活動ということをやっていて、反原発の人たちから反感を買っているわけですが、理解をするというのは、刈羽村の人たちの理解が足りないということではなくて、僕に言わせれば、東京電力さんの方が地元感情の理解の仕方が足りないのではないか。だから、住民を理解するために、あそこに拠点をもってきたという形で活動していったらいいな、というふうに見ています。


【吉田大介氏】 今、住民投票のプルサーマルの話になっているが、あくまでも刈羽村でやった住民投票は、プルサーマルを刈羽村で受け入れるかどうかの住民投票であって、プルサーマルがいい悪いの住民投票ではないんです。近藤さんがおっしゃった、東京電力の接し方がどうこうとか、それから、国の宣伝の仕方がどうこうとか、あるいはいろんな要素があって、それが近藤さんの中では東京電力の広報の仕方、そういうものに問題があったということだと思う。
 いろんな人間が、5000人が、いろんな判断の中で、プルサーマルを刈羽村に受け入れるかどうかの判断をしたということが、あくまでも間違いないこと。国策に対してYES、NOを言ったわけではなくて、刈羽村に受け入れることのYES、NOだったということは、村内外で意外と誤解している人が多いのではないかと思いますから、あまりそっちの方へ話が一極に行くよりも、もっといろんな意見を出してもらった方がいいと思います。今回のプルサーマルの住民投票のことの総括ではない気がします。


【中村委員】 そうですね。ただ今の近藤さんのお話の中で、おっしゃられることはわかります。それを生に伝えるためには、マンツーマンで、あるいはもうちょっと小さな場所で、当事者同士で話し合えるような場がないと思ったのですが、チラッともらされた中で気になったのは、公平を欠いているという表現がありましたよね。ある種、地元との接し方に不公平感があるということですか。


【近藤昇氏】 住民感情にしてみれば、不公平感が非常に強いと思います。それをプルサーマルのエネルギー問題とか、そういうふうなものにすり替えた議論をしている。だから、なかなか住民感情としては納得はし難いということだと思います。


【木元原子力委員】 接し方が公平じゃない、問題をすり替えているというのはどういうことですか。


【中村委員】 村民の方が受け取るときに、そこがズレたということ。


【木元原子力委員】 公平感を欠くというのは、具体的にどういうことなんでしょうか。


【小林直樹氏】 その公平だと言う根拠はどこにあるんですか。


【木元原子力委員】 わかりません。公平じゃないとおっしゃるから、そこを教えてください。


【小林直樹氏】 簡単に言えば、ネガティブな情報を何も流さないんです。そう思いませんか。プルサーマルの件でもそうです。プルサーマルは要はリサイクルのためにやっているんだ、というポジティブな話だけしか出てこない。その代わりに、出てくるゴミの問題は全然話として出てこない。それを私は公平だとは思えないんです。近藤さんとはちょっと違う意見だけど。


【木元原子力委員】 例えば、東京電力にどうなんだと伺ってみては・・・。


【小林直樹氏】 東京電力が言わないのは当たり前でしょ。企業なんだから。


【木元原子力委員】 当たり前だと思わないで聞いたらどうかな。


【小林直樹氏】 いや、それは聞いたって、そんなことは言いませんよ。国の政策に従うだけです。でも、行政の方がネガティブな情報を出さないというのは、行政の方がまずそこで公平じゃないと思うからです。


【中村委員】 いろいろあって、近藤さんと小林さんとちょっと論点が違うんだけど、ただ、キーワードとして、不公平感と言うか、公平を欠いているというのは、いろんなところですごく大事な感じがしてきました。


【木元原子力委員】 国とか電力さんに聞けば情報は出していると言うし、私も資料を見せていただいたりしているんですけど。


【小林直樹氏】 それは、やる前に、宣伝をする時に、そういうことをちゃんと行政の方は、お互いにポジティブな資料もネガティブな資料も出さないといけないじゃないですか。国の方が片方の資料しか出さないんだから。


【木元原子力委員】 出ていると私は思っていたけど、出ていなかった。


【小林直樹氏】 出ていないですね。安全です、という言い方しかしないですから。


【木元原子力委員】 それは、安全じゃない部分はあると思う。言い方が良くないのかも。


【小林直樹氏】 資料として出して。


【木元原子力委員】 じゃ、もっと出せばいいのでしょうか。


【小林直樹氏】 いや、そうじゃなくて、例えばこの間の住民投票の時もそうですけど、ネガティブな資料もポジティブな資料も対等に出してやれば、そういう論議は避けられるんじゃないですか。だけど、さっき反原発派の方がものすごく運動したという話をちょっとされてたけど、その逆もありなんです。


【木元原子力委員】 それは、当日じゃなくてその前のことですか。


【小林直樹氏】 お互いにやったんですよ。村長がせっかく村外の人に入るな、という話をされたのに、お互いにやったわけですよ。そこにまず公平感がなかった。もうあの住民投票というものを本当に価値あるものにしなかった。それでも行きましたけどね。


【碧海委員】 さっき近藤さんがおっしゃった、住民に理解してもらうのではなくて、住民を理解すべきなんだということは、実は刈羽村だけの問題ではないですよね。私たちも常に言っていることです。つまり、広報活動にしても、理解をしてもらうための広報活動なんじゃなくて、まずは相手を理解することだということを私たちも主張しているんです。だから、そこのところはまったく同じです。


【近藤昇氏】 原発の問題というのは、危険があるというのが前提だというのはおわかりだと思います。それを十分な管理技術でコントロールして、事故がないように防いでいるということですよね。そういうことで、もともと危険なものなんだから、危険なものをここへ持ってきてやるために、いわゆるマイナスの部分を補てんするということで、電源三法だとか、補助金だとか、刈羽村にはラピカということもあるわけです。そういうふうなマイナスの補てんの部分というのがうまく機能しているかどうか、というのが不公平感を持たせるいちばんベースのところにあるわけ。要するに、電源三法の金の使い方、ラピカのああいう問題、これでもって村民が公平だとはまず思っていない。ですから、ああいうふうなことになる。
 例えば、言い古されたことだけど、茶道館なんかを見ても、素人が見ても、これは明らかにおかしいと思うような作りになっている。それが問題になかなかなりにくいというあたりに、刈羽村の中の倫理観が欠如しているものがあるだろう。その倫理観をなくしたものは一体何なんだ。反原発の人たちに言わせると、金がジャブジャブ降りてきたからということを言っていますけど、僕はそうじゃないと思う。金はなんぼあっても、それを使うための倫理観がない。たくさん持ってきても、ここで就職するとか、事業をおこすための基盤整備ができているかと言うと、何にもできていない。だから人口は減っていくし、会社は逃げていく。これが刈羽柏崎の現状ではないか。
 そうすると、ここに対して降りてきている交付金とかそういったものに対して、しっかりと使うためにどういうふうな手だてが必要なのか、そういうふうなことまでやっぱり考えないといけないと思う。基盤のないところに金だけ持ってくるから、倫理観まで狂ってしまう。僕は、これが今ラピカの問題だと思っている。だから、そこのところをきちんとしないといけない。金の使い方にもいろんな制限が出てくるということになってくれば、なかなか電源三法とか原発の補助金というのは、住民の生活のところに直結してこない。刈羽村は今、財政的には全国指折りの豊かな団体ですよ。だけど、村民がその豊かさを感じているかというと、村の予算の中に百何十億という金だけがダブダブとあって、村民は別に感じていない。どこかの会社が刈羽村はいいところだから事業をおこすなんて誰も思っていない。むしろここから逃げていく。こういうふうな状況にあるということは、やっぱりベースが狂っているということ。


【木元原子力委員】 これは何も刈羽だけの問題ではなくて、交付金の降りるところはみんなそうだし、農業の生産者保護の助成金とか補助金とかもみんなそうだと思うんですけれども、何のためにそういう補助金なり交付金があるのか。外から見ていると、やっぱりその村なり町なり市なりその地域なりが自立的に発展していく、自分たちが自分たちのビジョンを持って自分の村を育てていく、ということに使われると期待しているんです。そういう刈羽のビジョンはどうなっているんでしょうか。


【近藤昇氏】 そこの先の議論というのは難しいと思うんです。資質の問題ですから。資質とか体質の問題ですから、村の風俗、習慣の問題もからんでいるし、こういう場で議論できる問題ではないと僕は思います。


【木元原子力委員】 でも、いずれは描いていただきたいなと思うんです。


【三宮政邦氏】 近藤さんが言われる不公平感というのを、ここにいるみんながそういうふうに感じているかどうかというのが私には疑問です。東京電力が一部の人にしか与えていない、というのは、私たちは直接利益があるとかそういうことはないんですけれども、それでも不公平感というのは私は感じていません。多分ここにいる方の多くがそんな不公平感を感じることはない、と私は思っています。
 それから、倫理の問題と言われると、今、刈羽村の予算がある中で、そういう教育の面を伸ばしていくしかないかなと思います。ただ、刈羽村の倫理が悪いと言われると、どうなんだろうという疑問は残ります。


【中村委員】 でも、片方で、もし悪くなったんだとしたら、悪くしたのは何で誰かというふうには感じますよね。


【三宮政邦氏】 刈羽村の倫理が低下しているということですか。


【中村委員】 自らそういうふうになるはずはないですよね。


【三宮政邦氏】 それは刈羽村だけですか、全国的に見てどういうふうになっていますか。多分それは日本の問題であって、刈羽村という一部の問題ではないと私は認識しています。


【吉田大介氏】 私は、全国の市町村の中で、こういうことが刈羽村で行われて、住民投票がいいか悪いかは別としても、そういうことを真剣に考える村は、倫理的には上のレベルだと思っています。


【木元原子力委員】 私は見事だと思う。


【小林直樹氏】 しかし、村にはビジョンはないですよね。


【土田智明氏】 今の話にからむんですけど、東京電力さんが、30年ぐらい前から、いろんな広報活動を含めて地域活動をやってきていますよね。それを批判するのは簡単だと思いますけど、今の東京電力さんの幹部の方は50代だと思いますから、30年前は20代の方ですよね。村民というのは、30年前からずっとここに住んでいて、同じ人間がいるわけですけれど、東京電力さんの社員の方はどんどん替わっていくわけです。それは企業として当然のことだと思うんですけれど、その中で、いろいろと努力してきている面も私は感じていますので、そういうところはやっぱり評価してあげないといけないと思うし、ただ、それが村民の感覚とズレてきているのかも知れない。
 でも、それを言うのであれば、村民の方ももう少しそのへんを考えて、無理な要求、無理なお願いをするというのか、東電さんばかりを頼りにすること自体が、結局、電源三法の交付金になり、東京電力という大企業が来ていることとからんで、ある意味では主体性がなくなった面があったのかも知れないなと思います。村民としての責任というのもやっぱりあるのではないか。


【吉岡委員】 私は都会の住民ですけれど、皆さんに電源三法の話をお聴きしたい。私は電源三法廃止がいいという意見です。なぜならば、原発というのは、他の競争相手の電源に比べて、総合的な特質において劣っています。すでにできたものについては、特に問題がない限り否定はしないけれども、これからどういうタイプのものを作るかということでは、原発というのは恐らくかなり悪い選択肢になるだろうと思っています。電源三法交付金は、火力にも水力にも出しますけれども、原発を特別に優遇するという仕組みは、非常に劣った電源に対してまずいのではないか。これは政策の問題です。
 つぎに、都市住民の立場から言うと、原発が他のものよりも迷惑施設だと言われているわけです。電源三法交付金というのは電力消費者が出すわけです。都会の人が大部分を出すわけです。都会の住民が、迷惑施設を地元に、特定の地域に押し付けるために加担をしているという側面のある形で税金を払いたくない。ですから、できれば自分の近郊に発電所を作らざるを得ない場合は引き受けたいと思う。私はそのような意見です。都会のお金を使って、住民に迷惑をかけるというような補助金の作り方、使い方というのはまずいのではないか。ただし、すでにある原発については、それは一定の危険なものであると思うので、それを引き受けてくださっているということに関しては、当然、償いはしなければいけないと思っている。ですから、新規立地について金を出すというのは迷惑を増大させるので嫌だなと思いますが、すでにあるものについて出せばいいのではないか、ということを私は思っている。そういう意見ですが、皆さんはどうですか。


【土田智明氏】 その前に1つお聞きしたい。電源三法交付金というのは立地のために作られたものなんでしょうか。それとも、すでに原子力発電所ができたところの地域の要望とかで始まったものなのか、そのへんの始まった経緯がよくわからないのですが。


【吉岡委員】 歴史的には、地元が、すでに原発があるところが、もっと手あつく金銭的に支援しろというところで始まったと思うのですが、法律ができるプロセスにおいては、石油危機のあおりで法律が成立したのだけれども、電源立地をとにかく進めたいという中で、石油火力の増設は難しくなるので、原発を特に増やしたいという意図が働いた。高度成長はまだ続くだろうという前提のもとで、原発を中心に大増設をするということを目的にお金を付けたと私は認識しています。地元としては、原発を増やすことにお金を欲しかったのではないと思うのですが、政策目的としては増やすことに出すという、お金の出し方が明らかにそういうふうになっているわけです。


【村民B(男性)】 もうそろそろ時間がなくなってきているが、住民の皆さんはまだいろいろ意見があると思うんですけど、まだなのか。


【木元原子力委員】 ひととおりお話を伺ってから。横田さん何か追加があれば。


【横田信子氏】 私なんか本当にただの主婦という立場で思いますのは、30年前にいろんな問題の中で議会で賛成が多くて、こういうふうな立地ということでやってきたわけです。今現在、交付金が百何十億とあると言いますけれど、今年あたりから奨学金とか、これからの子供たちのためや地域のためにお使いになるというお話なんです。村民にとって、そういった面で、刈羽村はすごく裕福な村のようで、各個人にはどれほどお金が多くあってもメリットとなるのではないでしょうか。私は途中から入ってきたのでよくわからないんですけれど、そんな中で、そういう交付金を、これから先、行政として、有意義に、村が活気づくために使っていただければと思います。
 それから原発というのは、例えば車でもそうだと思うんですが、メリットがあればデメリットもどこにでもあるし、日本のどこかでそれを引き受けなければいけないのがたまたま私たち刈羽村だった、ということだと思いますが、その中で、私たちは、電力さんに、少しでも危険度を少なくしていただくような危機管理を本当にうまくやっていただきたいということです。
 それから、前に返りますけれども、プルサーマルの住民投票のときには全国各地で事故でしょうか、トラブルでしょうか、そんなのが頻発した部分もありまして、新聞のコラムにちょっと載っていたんですが、同じ能力といいますか、知識を持った価値観で投票がなされた上での結果であれば許されるんですが、そうじゃない方たちにしてみれば、わからないような、お年寄り、若い人、私たちもそうですが、専門知識はありませんので、ただ不安をあおったような部分もあったのではないかな、という部分がありました。ですから、非常にその結果について、反対派の方は、結果が出たのは賛成よりも反対が多かったから、それに従うのは当然だ、と言われますけれども、私は、それは少し違うんじゃないかなと思います。同じ価値観、理解度があった上でなら許せますけれども、そこらへんがちょっと疑問視されるところです。


【木元原子力委員】 いろいろご意見がありましたけど、さっき会場からもお声がありましたので伺いましょう。


【土田智明氏】 会場の方から是非。


【吉田大介氏】 手をあげていただければマイクを回します。


【村民B(男性)】 原発がいい悪いじゃないんだ。それはもうできたものだから。今、今日配られた資料を見たら、新潟県かどこかが出しているものだと思ったら、日本原子力文化振興財団発行となっている。新潟県も確か出していると思うが。私は、だいたい最後の処理はどうなるか、最後の2〜3ページしか見ないんです。作るのはいいんです。今、電力が足りないとか何とか言っていますけれども。ここへ来ている方は皆さんみんな最初から読んだ方で、よく知っている方ばっかりだと思うんですけれども、僕はそんなもんです。
 去年の暮れに、刈羽の皆さんで六ヶ所村へ参加させていただきました。4〜5年前にも行って、その時は私も全然そういうのはわからなかった。施設ができたと同時にやっても、なぜそうなるのかわからない。私が行った最初の頃は、土台を作るか何だか、そんなような調子でした。それで、昨年の10月にまた参加させていただきましたが、少し鉄骨のようなものが立ち始めたなという感じでした。
 あなたたちと違って弁士でも何でもなく、本当に刈羽村の道ばたのはしっこにある小さな石ころの1つでありますので話が前後しますが、私は、いいとか悪いとかじゃないんです。こんなに立派になんだかんだと書いてありますけれども、そういうことも、もうできたものは仕方がない。それをいかに継続してくかということ。そして、それをどのようにやるのか。何十年もたって、ガラスの容器に入れて地下に置くというが、その地下はどこなんだ。やっぱり、そこまで皆さんが知っておいてもいいのではないか。
 少し雑談になって、皆さんのせっかくのいい討論の中をじゃまして申し訳ありませんでしたが、何か参考になれば、私は嬉しい。


【木元原子力委員】 ありがとうございました。いいご意見を伺いました。国が一生懸命になってやっていることも事実なんですけれども、そういう法律もできたし、原子力発電環境整備機構というものができて、今、地層の研究をして、そしてどこに埋めるかと、手をあげていただこうと、各地でご説明をしてるんです。だから、今のご意見は重要だと思います。
 さっき近藤さんからもありましたけれども、今日は1回目なんですけれど、これで、何分で終わり、さようなら、というのではなくて、継続的にやる必要があると思います。また来ていただきたいです。


【村民C(男性)】 実は古い話をして恐縮なんですが、木元先生に2点だけ質問させていただきたい。昨年の5月22日に、この場で討論会がありました。私も出席させていただきました。河野長官以下の面々が来た。どういう討論会かというと、原発の地域の発展とプルサーマルの安全性の問題の討論会だった。私は、いつか機会があったら、この問題を国に言おうと思っていたのですが、今日は木元先生もいらっしゃいますし、原子力委員の方もいらっしゃいますので、あえてお伺いします。
 河野長官はこういうことを言いました。今、電源関連の交付金はバラまきだと言われていると。最初、私は違うと言った。電力の消費の立場からすれば、それを支えている人たちへの感謝の方法としては、交付金がいちばん具体的だということを申し上げている。かたや原子力資料情報室の人がこういうことを言っている。MOX燃料に関連して、刈羽の人は頼まれれば嫌だと言わない、聞いてくれると。その中で、電源地域の発展は信頼性の問題だと。これは自ら国が破ってきたのだと。
 それはさておいて、吉岡先生に反対意見を申し上げたいのですが、私は今、河野長官がそういう感謝の気持ち、サイクルの1つというのは刈羽村のことを指しているんですが、私はそうではないと。具体的にいくつかあるんですが、時間がありませんので申し上げませんが、1つは、今、電源立地促進対策は、これはまさに電源三法の中核をなすものだが、刈羽村の216億円、67事業、ラピカが51億6千万円、これでお世話になっているのは事実です。しかしながら、これが5年の制限時期です。7号機がいちばん最後に完成したのですが、9年7月、今14年で5年経ちましたから、すべて終わったと。このことは、まず申し上げておきたい。
 もう1つは、建物、施設の固定資産税。償却期間が15年ですよ。15年過ぎたらどうなるかと言いますと、当初の15分の1、まさにないよという時代なんです。どなたも心配されているように、44年6月に刈羽村が議会決議をして、33年が過ぎたんです。そういう中で、今、原子力発電所について刈羽村の住民が原発を容認しよう、反対しよう、と問わんとしている。このことについては、私は素人ですが、50年はもつという専門家の話がある中で、なぜ15年で終わりかということを申し上げたい。
 もう1つは、長期発展計画。これは期限付きじゃないですから、これがよりどころになってくるだろうと思います。それが、単価が安いという。今、5号機、6号機、7号機とあって、6号機と7号機は135.6万キロワット。1つの区分割りとして、我々としては、100万キロワットから200万キロワットというのは、1億6千万円なんです。単価がこれでいいのかということ。
 それから、もう1つ大事なのは、電力の生産と消費の問題です。大変失礼ですが、みんな東京へ流れているんです。地元は建設が終われば、建設の道なのか消費の道なのかというときには、吉岡先生が言うように、建設の道だということは事実わかっている。そういう中で、私は今、東京から地元産業に企業を誘致すること、これに対してこそ、電気料を安くせよ、ということを訴えたいんです。
 何もないに等しいようなこと、若干やっていますが、東京へ電気を送っていることで東京は栄えるわけだから、その東京の開発利益の一部を立地村、刈羽村とは申しませんが、電源、原子力、火力、水力を含めて、そこに還元すべきだと。で、お互いに共存共栄でやるということを私は申し上げたい。
 ついては、今、刈羽村住民が本当に苦労しているわけです。いろいろ事件、事故がありますから。これは原発の安全性の問題。それから防災計画を一体どうするんだということ。これが今一段と県民感情として高まっていることは事実です。ですから、私は今、国民的合意として、国民の一人ひとりがこの合意に達すること、そこをきちんとしてもらいたい。このことにつきまして、木元先生が、私が申し上げたことが間違っていると言うなら、私が思っているのは、河野長官がなぜそういうことを言っていながら、建設のときの議員立法でやってきたのか、というところをお伺いしたい。
 それが終わったら、木元先生にちょっと苦い質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。


【木元原子力委員】 ありがとうございました。今、たくさんご注文が来て、私自身は非常勤ですが原子力委員会の人間で、原子力行政にはたずさわっておりますけれども、今のは、たぶん経済産業省のエネ庁のお答えだったと思うんです。原子力基本法なり、長期計画というのが厳然としてあるのは事実です。ですけれど、もしかしたらその中に矛盾を抱えているようなものがあるのだとすれば、今日伺ったようなお声を原子力委員会に報告します。その上で、お答えが出るかも知れません。だから、私は今、なるほど、そういう考え方もあるのか、というのはよくわかりました。ただ、一つ基本的に言えるのは、先ほどちょっと申し上げましたように、交付金なり補助金なりが出たときに、それは、そこの村なり、市なり、町なりが自分たちの力で生きていく土台を作るために使われる、というのが本来の姿勢だと思うんです。これが、いつまで経っても5年やって10年に延ばせ、15年をもっと延ばせ、と単に言うのではなくて、これだけやった、しかし、ここの部分が足りないから、ここの部分を出してくれよ、という村のビジョンをもう少し描いてほしいなというのは事実です。私見ですが、そういう気持ちがありますので、今のたくさんご質問というか、お願いというか、そういうものをいただいたので、これは徹して審議し、考えたいと思います。
 この市民参加懇談会は、碧海さんもさっきおっしゃいましたけれども、最初、国民理解という言葉を国で使っていたんですけれども、これは国民を理解させるということではない、為政者として国民を理解する、そういうことだと。それで、広報ではなくて広聴であると。広く聴くということを先に持ってきました。広く皆さん方のご意見を聴いた上で、こちらもまた案を出す。お互い歩み寄って何か一つの方向が見えてくれば、いいはずなんです。それは手間ひまかかります。民主主義というのは本当に手間がかかります。でも、それが我々が選択した政治形態ならば、それをやっぱりやる必要があるだろうと思っているんですけれども。
 あと、何かさっきちょっとおっしゃったのは。
【村民C(男性)】 言いたいことはあるんですが、どうも私の一言が伝わっていないようです。それはそれで結構ですから、これはきちんと原子力委員として、このことを経済産業省に申し出願いたい。


【木元原子力委員】 はい、原子力委員会を通して。


【村民C(男性)】 はい。それから、今の体面の話はいいですから、本音の話を聞かせていただきたい。今、原子力委員会のそうそうたる委員の皆さんがご苦労なさっているが、これについても、原子力基本法の中に、委員の皆さんが一生懸命努力されていることが任務の中に書いてある。要するに、原子力の研究開発、そしてまた、利用に関する云々ということが任務として与えられている。


【木元原子力委員】 平和利用のもとで進めているかということをチェックする機能として。


【村民C(男性)】 そうですね。私がそこで言いたいのは、原子力委員会の皆さんが、本当にプルサーマルの連絡協議会の中間まとめの中に3ページに書いてある。見てください。私は嘘を言っていないですから。これは、こういうことを言っている。累次の国会、閣議了解、および原子力委員会の原子力基本法・・・。


【木元原子力委員】 長期計画。


【村民C(男性)】 そうそう。皆さんがわからんから言ってるんですが、要するに研究開発、長期計画、これを今、原子力委員会が確認をしているんですよ、ということが書いてある。その中で、最近のものには何があるかということをいくつか書いてある。4つあげます。もっとあるんですけど。
 1つは、核燃料の推進を促進するというのが原子力委員会のいちばんだということ。もう1つは、長期計画はすでに原子力委員会が決定しましたということ。それから、中身は書いてませんが、緊急メッセージとは何なのかということ。もう1つは、原子力の災害特別措置法がようやく今できたということ。
 その中で、冊子を見まして、どうしても原子力委員会の責任というか責務という、ここに国がどうも欠けている感じ。果たして原子力委員会がこれで機能しているのか、ということを木元先生からお伺いしたい。
 なぜかと言うと、11年のサミットが東京であったんですが、私も参加しましたが、その中で見てくださいよ。どういうことが書いてありますか。今、原子力委員会の抜本的な見直しを必要とするということ。これは、全国の原子力議会議員のサミットの中で、宣言しているんです。それはなぜかと言いますと、要するに原子力委員会は政府の機関の下じゃないよと、独立したチェック機能として、強烈な権限を持つべきだと。これは改革をするべきだと。それに対して、木元先生の本音の原子力委員会というのは、私は若干木元先生のうわさは聞いていますから、あなたの言うように本当に機能しているのかどうか。


【木元原子力委員】 機能していない部分があるから、私は頑張っているんですよ。そこのところをお認めいただきたい。今おっしゃったことは、去年、鹿児島のサミットでも言われました。原子力委員会が今、機能していない部分があると。やっぱり原子力委員会というのは、企画し、審議し、決定するという権能も持っているんですね。ご存知のとおり。だから、それを生かしていかないと。例えば、長期計画を平成12年11月に出しました。それから、原子力基本法も厳然としてあります。その中で、国の政策の形の中に自分たちがコミットして、原子力政策を推進する、あるいは、ご理解をいただくという立場ならば、もっと広く社会の流れを知った上で運動する、あるいは、逃げることなく行動することをしなければいけないだろうと。
 そういうことで、私事で恐縮なんですけども、去年から、定例委員会を休み、原子力委員会に必要なことをやろうと思いました。それでいちばん大事なのはこういった市民参加の会合で、市民参加懇談会を立ち上げました。だから、本当に今おっしゃったような、原点に立ち戻ってやり始めているんです。ですから、そこのところは是非とも《村民C》さんに理解していただきたいのです。信じてください。
 今日はお二人原子力委員も来て、ちゃんと聞いてくださっています。私のモットーは、見える原子力、逃げない原子力、行動する原子力で、その中でご批判なり何なりを伺いながら、今、近藤さんのご意見もありました、そういうお考えをフィードバックさせながら進めていき、いい形を作るというのがいちばんいいんじゃないかと思っています。ご質問がありましたので、答えさせていただきました。


【村民C(男性)】 是非、機能するように頑張ってください。


【吉田大介氏】 どうでしょうか。他に。《村民D》さんありますか。ぶつぶつ言ってないで手をあげて。


【村民D(男性)】 私は今、ぶつぶつ言っていると言われましたけれども、《村民C》さんが言っていることも、まったくそのとおりだと思います。私は九州へ行って、それを木元先生からお聞きしましたから。川内市へ行きまして、本当に感心してきました。


【木元原子力委員】 ありがとうございました。でも、本心つらいです。


【村民D(男性)】 私が刈羽で思っていることを言ってくださったので、本当にありがたく思っております。そして、ラピカのことも言ってくれました。あの文化ホールの舞台のことも言っていただいて、本当にありがたかったんです。それを、全国の方に、立地市町村の方ですけれども、聞いていただいて、本当に気が清々して帰ってきました。そういうことで、まず御礼を申し上げます。
 先ほどから、ラピカ、ラピカと出ていますけれども、刈羽村独自の力では、あれほどの施設は作れません。本当に、大変問題になっておりますけれども、せっかくいただいたお金で恥ずかしいことになっておりますけれども、本当に刈羽村としては、あのラピカばかりではなくて、向こうの源土というところに立派な施設、野球場とかがありますけれども、刈羽村のこの小さな村でそんなことなんかとても夢みたいな施設です。そういうことで、私はやっと今、刈羽村が他の市町村に比べて、やっとその水準に達したと思っています。今まで本当に施設自体が、体育館でありましょうが、本当にみじめな体育館です。そういうことで、各地区には集会場というのがありますけれども、他の町村に比べたら、今までは、よく刈羽村は我慢してたなという思いでいます。本当に今できたものを見ると、ぜい沢なようなことを思われますけれども、今まで我慢してきた水準がやっと人並みになったと思っています。そういうことで、本当に私はありがたいと思っています。ご覧のように利用者もものすごくたくさん、もう40万人を過ぎておりますし、そういうことで、本当に刈羽村としては、ありがとうございました。満足です。何かしゃべれと言うのでそれだけ。


【木元原子力委員】 ラピカは村外の人も利用できるのですか。


【村民D(男性)】 もちろん村外の人も来ております。


【木元原子力委員】 東京の人が使ってもいいんですか。私たちみたいなのが使っても。


【村民D(男性)】 もちろんです。一部お金を取るところもありますけれども。


【近藤昇氏】 《村民D》さんが言い忘れていることが1つある。あなたは村会議員だということを、最初に肩書きを明らかにしなければいけないと思う。


【村民D(男性)】 《村民C》さんも同じこと。


【吉田大介氏】 今日、皆さんのところに1軒1軒お配りしたテーマの中に、木元さんのほうから提案いただいたのが、私たちがエネルギーを大切に使うためにはどういう暮らし方がいいのか、というすごく大切な問題が含まれており、あと20分ちょっと、多少延長してもいいですけれども、是非このへんの話を、今までの話はどっちかと言うと手段の議論ばっかりだったというような気がして、刈羽村のビジョンは何なんだというような話もありますけれども、その根本的な目的と言いますか、原子力発電もエネルギーも目的ではなく手段だと思うんですが、どういう暮らし方がいいか、というような問題で、何かありましたら是非ご意見をいただけたらと思います。


【加藤委員】 1つ希望なんですが、今、お2人とも村会議員ですか。えらい方が発言すると、それで黙っておこうかというほど刈羽村の方は元気がないとは思っていないんですが、どっちかと言うと、もう少し若い方とか、是非もっと他の方のご意見も伺いたいなと、もう少し他のご意見があるのではないかなと思っています。


【吉田大介氏】 《村民E》さん、そこで派手なシャツで目立つんですけれども、この前おじゃました時に、そういうような話、これが大事だよなというふうなことをおっしゃってたと思いますけれども、よかったら是非、若い人から。


【村民E(男性)】 私はプルサーマルの活動していて、ずっと素朴な疑問ですね。国の政策、先ほど加藤さんがどういうふうに政策が決まって、よく見えてこないと、最初の自己紹介で言われていましたが、どうも私もそのへんがよく見えてこないで、国民は本当に電気を必要としているんだろうか、これ以上もっとほしいんだろうか、これ以上いらないよ、今の現状でいいよ、というような考え、このへんがすっかり明確に出てきていないんじゃないか。そこがはっきりすれば、プルサーマルの問題、原子力の問題、すべて明確に出てくるんじゃないかと、いつも素朴な疑問でプルサーマルの活動をやっていたんですが、どうもそのへんがはっきりしていないんで、先ほど三宮さんが言われるように、いつも反対派と賛成派が平行線で交わるところがないというのは、ここなんだろうなといつも素朴な疑問に思って活動をしていたんですが、そのへんは、今後、エネルギー政策というのは、国民はどこをどういうふうに求めているんだろうか、というのが明確になっているんだろうか。一国民がね、すべての日本国民が、そのへんははっきりしているんだろうか。大多数の人がもっと電気ほしいよ、もっと成長しようよ、高度成長の時みたいにもっとどんどん豊かになろうよ、と思っているんだろうか。国民のニーズですね。そのへんのマーケティングがしっかりしているんだろうかというのをいつも疑問に思いながら、刈羽村を走り回った1人なんですが、そのへんを聞きたいな。いつも疑問に思っていることを明確にしてもらいたいなと、思っています。


【木元原子力委員】 それはこちら側からお答えした方がいいですか。


【吉田大介氏】 《村民E》さん自身はどういうふうに思っているのか。


【村民E(男性)】 私はもっと豊かな生活。電気がないとやっぱり、これからは生命にも関係する問題もあるし、産業の問題もあるし、もっとほしいなと思って、賛成の方で活動したわけですが。


【木元原子力委員】 私からお答えして申し訳ないんですけれども、私は原子力委員もやっておりますけれども、非常勤という立場なものですから、総合資源エネルギー調査会の中の省エネルギー部会の部会長をやらせていただいて、きびしい省エネの報告をしました。一方で新エネルギー部会で発言し、雪と氷を新エネとして認めてもらいました。その上で、総合資源エネルギー調査会は需給見通しの報告を出しています。
 それを見ますと、やはり国民が省エネルギーをいくらやっても、もうこれ以上は無理という国民の声が来ているんですね。それならば、例えば自動車、今、運輸が伸びていますから、自動的にアイドリングをストップするとか、それから、エコカーがあります。そういうのをもうちょっと安くして推奨しようとか。それから、家を建てる時、室内の温度あるいは湿度をきちんとコントロールするシステムを組み込んだ家の構造にする。とか、自分がケチケチしなくても、システムで省エネができるというほうを推進しようと。5700万キロリットル、これは1年間、我が国の家庭が消費している総エネルギー量を上回る量ですけれども、それを省エネルギー対策でやらないと、COP3(注:気候変動枠組み条約第3回締約国会議)でお約束したマイナス6パーセントは達成できないんですね。
 今の日本を考えると、高齢化ですよね、そして少子社会である。そうすると、人口は減ってくるんだけれども、世帯数が増えちゃうんです。夫婦と子供2人がいて車1台だったのが、子供が世帯を持つようになると、車が3台になるとか、電気がまも3つになるとか、ということで、エネルギー消費は構造的に増えるんですね。そこで省エネタイプの機器で、それもエコマークを貼ったものを買いましょうと。しかし、なかなか国が考えるようにコントロールできないんですね。だから、需要は伸びますね。車を筆頭に。家庭の電気も伸びてますね。
 そういうような中で、私たちが電気というものをどうコントロールしていくのか、どういう供給の形を作っていくのか、ご一緒に考えたいような思いです。
 もう一方では、ガスも、家庭内は電化するという方向がありますね。そうするとまた電気の需要が高まる。井上さんはその研究をしていらっしゃるから教えてください。


【井上委員】 ときどきすごく疑問に思うことがあるんです。電力会社、私たちは関西電力さんなんですが、関西電力さんから省エネのおすすめというのが来るんです。去年は暑かったです。ものすごく暑い夏でした。関西は特に暑いんですけれども、省エネのおすすめということがあって、電力会社さんが省エネのおすすめというのは、一般の物を買う感覚から言うとおかしいんですよね。企業なら、どんどん電気を使ってくださいと言うと思うんですけれども、なんでと聞いたら、COP3、CO2による温暖化というのもありますけれども、立地の、福井の皆さんたちのニーズとして、私たちがこうやって発電所を引き受けるのは、そしてどんどん大型化していくとか、もう1号機いるんじゃないかというのは、もう無節操に大消費地が使うからだと。だからもうこれ以上使わないでくれ、それならば現状維持でいける、現状維持はOK、というのがあるので、とにかく消費地の皆さんは省エネに頑張ってください、と言って、去年あの暑い中でしたけど、私たちのグループでやったんですよ。それで、頑張って頑張ってやったら、最大2割ぐらいは減るんです。特にクーラーあたりが。ですけど、その結果、3ヶ月やって2割ぐらいは減りそうかと喜んだんだけれども、終わってみて言われました。私たちは戦後生まれで、散々子育てをして、貧しい中から、一部屋に電気、家に1つの部屋だけに電気をつけていた暮らしから、今やっと、どこの部屋も明るくて、目がだんだんかすんでくる高齢化になるときに、お部屋を明るくしておきたいという、だから、私たち高齢者には、省エネという消灯してほのかな暮らしでということを言わないでほしいと。若い人たちが朝から晩までインターネットをして、シャワーとかシャンプーとかは、やっぱり気を付けないといけないけど、せめて今やっと快適な暮らしができるようになったのに、床暖房もほしいとおっしゃったんですね。すごく矛盾がありますけど。
 もう1つ、少子化になりますでしょ。今までだったら家族がいろんなことをやってくれたけど、もう家の中に誰もいなくなって、夫婦2人で何もかもやらなきゃいけなくなった。そのときは、寝たきりになっても電気で起きるような形になるだろうと。そうやって快適な暮らしを確保したいというのがあって、すごく矛盾を感じますね、暮らしの中では。


【碧海委員】 ただ、今のお話というのは消費地だけの問題じゃないと思うんです。だから、吉田さんちょっと皆さんに聞いてみていただきたいんですけど、例えば刈羽村の場合、ここに参加されている方の家庭では、どのぐらいのアンペア契約をされているのか。それから、温水便座付きのトイレというのがそろそろ普及し始めていますよね。ああいうのはどのくらい普及しているのか。これはいわゆる消費地も生産地もなしに、1軒1軒の生活者の使うものというのは同じなんですよね、実を言うと。もちろん寒い地域と暖かい地域とは違いますけど。そのへん、どうなんでしょうか。


【吉田大介氏】 多分、今、皆さんにどうですか、どうですかと聞いたら、ほとんど都会とそんなに変わらない割合だと私は思いますよ。返って田舎の方が建物が広くて、暖房だとかいろいろかかるのかも知れないと思いますけれども。そういうことに関連することで、皆さんから何かお考えとかあったらお聞きしましょうか。


【村民B(男性)】 電力のことになるんですけれど、私は、恥ずかしいことですが、冬季間は俺と家内だけですから、子供はみんな旅に出ています。2日に1回です、お風呂の水を替えるのは。そこまで倹約して、うちの女房には言っているんですけれどもね、その水は荒洗い使って捨てて、だけど面倒くさいと言って、そのまま水道を出すこともありますけれども。そうして、うるさい、うるさいと俺とばあさんと2人が言いながら、神経質に医者にも通っているんですよ。そして今度は俺が運転できなかったら、柏崎に診察に行きたいと言っても、ちょっと話がそれましたけれども、8千円、9千円かかるんですよ。それが今、俺がずっと心配しているのと、子供たちが今、リストラのこの時代にいつうちへ帰ってくるんだか、と思うと、本当に寝られないですよ。


【吉田大介氏】 どうですか、電力の消費というか、エネルギーの消費ということで。


【村民F(男性)】 今日初めて、こういう懇談会に参加させてもらったんですが、ここに3つのテーマがあるわけですね。私たちがエネルギーを大切に使うにはどういう暮らしをしたらいいか。今、私こうして電気を見ますと、本当に明るくてね、皆さん素晴らしい顔に見えるんですが、この電気のありがたさ、私もランプの生活をちょっとしたことがあるので、なおさら電気というのを大切にしたいと思っているんです。
 家庭でも、私は4人暮らしですけど、子供は今、社会人になっていますけれども、いらないところをね、階段もつけてある、部屋にいながら、そういうところに無駄な電気を使っているわけですよね。私は貧乏人に育ったもので、やはり子供たちには、いらないものは消せ、と絶えず言ってますが、子供たちはこういう生活に慣れますと、それが当たり前と思っているんですよね。そのへんが、私自身、家庭的なことなんですが、それをいかに子供たちに、電気というものがどういうふうにして作られているのかというのを説明していかないと、そして、エネルギーはどういうところから来ているのかとか、どのぐらいまであるのかとか、それぐらいのある程度のおおまかな説明ぐらいは、やはり親が子供に説明していくことも大事なことかな、とそんなふうに私は感じているんです。
 それから、第二番目に、エネルギーの供給のあり方はどうあったらいいか。これは、今、原子力はウランをほとんど輸入で賄っていると思うんですよね。これがいつまであるのか、私なんかは素人ですから、実際わかりませんが、これがなくなったときに、それからさわいだのでは、私は間に合わないと思うんです。やはり何事も余裕のあるときに、会社でもそうですが、話があちこち飛んで悪いんですが、会社も少しずつ余裕のあるときに縮小していく、リストラもする、これが生きる会社の大事な手段だと思っているんです。だから、そのへんも、東京電力さんも、やはり今、余裕のあるうちに、できるだけ次の燃料を、恐らく東京電力さんだけじゃないかも知れないけど、政府、日本そのものがそういうことを考えていると思うんです。それで、こういうプルサーマルというものを実施しようという考え方が生まれてきたかと思うんです。いつまでも外国が日本に輸出しようという気持ちであってくれればいいんですけれど。いずれ日本は人口も減ってくる、少子化時代で減ってきます。だけど電気は、今、木元さんが言われたように、やっぱり夫婦で年寄りでいても電気は使う。若手が離れても当然電気を使う。そういう生活があるわけですから、できるだけやはりエネルギーをいかにうまく使うか、これが、我々がこういう電気を使える大切なことだと私は思っています。
 それから3番目の、今、原子力発電に求められるものは何か。これはどういうテーマなんだか知りませんが、やはり、まず安全性。第一に安全性。これは我々住民としては絶対守ってもらわなければなりませんし、それは、専門家がいらっしゃるんだから、専門家にお任せして、いかに住民が、やはり皆さん、こういう問題はできるだけ早くに、近い将来に結論を出さないと、いつまで経っても、今度は刈羽村は最後にしようということになった場合に、住民が大変なことになるんじゃないかなと、私自身は個人的なことですが、そんな考えを持っております。ですから、電気のありがたさを、今、こうやって明るくなっていると何とも思わないですが、やはり暗くなると電気のありがたさがわかってきますので、電力というのは大事なものだと、これから生きていくには、大事な1つのエネルギーだと思っていますので、そうじゃないと、昔みたいに薪を焚いたり、そういう時代も来ないとも限りませんが、今はもう物を燃やしてはだめだという時代になってきていますので、電気でできるだけ物を大切にして、豊かな生活、電気だけが豊かさではありませんが、やはり、豊かな生活をするにはお互いに村民が1つになって、明るい村づくりをしていかないと、これからだんだん取り残されていく村になるのではないのかなと、私は大変心配しているんです。


【木元原子力委員】 もう1人、お手をおあげになった方。


【村民G(男性)】 皆さん、難しい高度な話なので、私はそういうのをちょっと理解できないので、簡単なことを、脈絡はなくなるかも知れませんけど、木元さんにちょっと聞きたいんですけど。
 鹿児島県の川内で、原子力委員の方々は事務方が資料を出したのに対して言うだけで、意味がないとまで言われたか言われないか、テープがないのでわからないんだけれども、自分たちの発案もなく満足に審議してないとボロクソに言ってたんですけど、すごいことを言う勇気のある女の人だなと思ったんですが、その時に、原子力委員の方は小泉純一郎総理大臣と同じぐらいの給料をもらっているとこう言ったわけだ。で、私は非常勤なので、3万8千円だと。


【木元原子力委員】 いや、違う。3万2千7百円。


【村民G(男性)】 ごめんなさい、記憶違いでした。それはね、あなたは大変安いという意味で言ったんだと思うんだけれども、私はものすごく高いと思っている。一日で3万2千円ですよ。他の面倒なことは忘れたけど、それだけ引っかかって何とか言おうと思って、今日は来た。
 今、みんなリストラされて職がないところもあれば、ワークシェアリングなんてなことが本格的になってきて、それはすごく高いんです。だから、それは認識を改めてもらいたい。それから、原子力委員の方が2人いますから、自分の給料はわかると思うので、年収いくらなんですか。僕はそれが聞きたい。
 要するに、あなたは、木元さんは、原子力委員会は実は大したことはないんだ、いい加減なことばっかりやってるんだ、と言ってましたよね、あなた。絶対言ったですよ。そんな者に、内閣総理大臣と同じ給料を払うことがあるのかと。俺はそれは実に疑問なんで、そのへん、本人がいるのですから、聞かせてください。  それからもう1つは、肩書きが長いので、最近記憶力がどんどん減るのであれなんですけれども、江越さんという方の、これは原子力委員会とは関係ないんですけれど、経済産業省の方だと思うんですが、江越さんは何でしたっけ。


【木元原子力委員】 参事官。


【村民G(男性)】 確認しておいてもらいたいんですが、刈羽村が12万8千円の畳を買えるようになったのは誰のおかげだと思っているんだ、という発言をしたというので、証人もいますので、事実確認を指示してください。


【木元原子力委員】 それは、ご説明に伺ったと私は伺いました。


【村民G(男性)】 あんまり大衆的になっていないんだよ。コソコソしたってだめだから。はっきりしてください。


【木元原子力委員】 擁護でも何でもなくて、事実を伺いました。そういうような言い方はしていないと。何かの会に呼ばれたんですね。


【村民G(男性)】 部屋で飲んだときに言ったって。まあ、俺ばっかりしゃべっても何だから、以上で終わりです。


【木元原子力委員】 私の3万2千7百円というのは、税込みです。原子力委員会の仕事はその日だけでやっているんじゃなくて、出勤日以外に、例えば夜・夜中だの、別の日に行かなくても仕事をしていますね。それは換算されないんですね。愚痴でも何でもなくて。高い安いというのは、労働への対価だから、何をもって高い安いというのかはわかりませんけれども、せめて常勤分の日割りにしてほしい。かなりの労力を使うから、ということもあるんですけれど、でも私は自分がやっぱり使命を持ってやろうとしていますから、それが安い高いと言うよりも、こういうものなんですよということをお話したので、わかっていただけると思うんですが。


【村民G(男性)】 さっぱりわからないよ。3千8百円なら、ああこれは安いなと思うけど、3万8千円は高いと思うよ。


【木元原子力委員】 私の労働の質を見ていただければと思いますが、代ってくださいよ。


【村民G(男性)】 質は、あんたボロクソ言ったじゃないか。ろくなことやってないって。


【木元原子力委員】 原子力委員会の現状は、ちゃんと立て直すのであれば、質は向上しますよ。


【村民G(男性)】 じゃあ今まで払ったものは何だったんだ。払い戻しして、それからやり直しだよ。


【木元原子力委員】 やり直しましょう。


【村民G(男性)】 はい。いや、払い戻ししてからだよ。


【木元原子力委員】 ええっ、私の?それはもうだめよ。税金も収めたし。


【村民G(男性)】 総理大臣の給料はいくらなんですか。あんたそう言ったんだよ。


【木元原子力委員】 総理大臣。150万円ぐらいですね。           (*事務方より、150万円ぐらい、の声あり)


【村民G(男性)】 150万円もいくの?


【木元原子力委員】 月収ですね。そのぐらいですよ。


【村民G(男性)】 まあまあ、いいです。私はベラベラしゃべりますので、やめます。


【土田智明氏】 もう9時をまわりましたので、他に会場の方で、いろいろ国の方に言いたい方とか、いらっしゃいませんか。特に批判的な意見のある方、どうぞ、せっかくの機会ですので。


【近藤昇氏】 ちょっとだけ。1分で終わります。いちばん最後の電力をどれぐらい使っているかという話、それから必要かどうかという話。これは電力が必要なのは当然ですよね。なかったら困るんだから。それを短絡的に刈羽村でプルサーマルをやる話とイコールにしてしまうところに問題があると、僕は最初に申し上げたわけで、そこのところは1つの意見として受け止めていただきたい。


【小林直樹氏】 私もその意見に賛成です。


【加藤委員】 最初に近藤さんがおっしゃった、刈羽村の人たちは、プルサーマルがどうだとか、原子力がどうだとか、それほど詳しくわかる必要はない、私はそれはまったくそのとおりだと思います。ですから、そんなことではなくて、刈羽村の人がどうしたいかだけでいいんだと思うんです。私は、日本中の3300の市町村で、みんなが自分のことを考えて、その結果、原発ができなくなった、では国はどうするかというのは、そこから始まるんだと思います。ですから、私はそこがいちばん大事なところだと思います。そこは、私はむしろ、我々東京から来た人間は謙虚に考えないといけないところだと思います。原子力委員会がいちばん考えないといけないところだと思います。


【木元原子力委員】 今日、私は痛切にまた感じている原子力委員会の存在なんですけれど、それは逆に言えば、そういう期待のされ方があるんだということなのですが、自分たちの職務と言いますか、そういうものをどれだけ自分たちが認知しているだろうか、ということがあるだろうと思う。


【加藤委員】 村の中での人間関係ですとか、自分の利害ですとか、そんなのは日本中にあるわけですよね。ですから、そういう様々な条件のもとでの意思決定がどうなるか、をよく考えることがいちばん大事なわけだと思います。日本人全員に専門家になってくれなんてことはどだい無理な話ですから。


【木元原子力委員】 例えば、専門性を要するような決定の場合はどうなんでしょうね。今、こういうことで住民の方々が投票をなさったということはとても大事なこと。だけれども、プルサーマルを導入する、しない、というのは、エネルギー政策の一環ですよね。それに対して、受け入れるか、受け入れられないかということは、少なくとも、それに対してYES、NOをお答えになったということはありますよね。そこはどうなんだろう。


【加藤委員】 私は、その専門性というのを狭く解しすぎているんじゃないかと思います。ここに住んでいる人は、ここに住むということにおいて、いちばん専門性を持っているわけですよ。よくダムとか堤防で、反対があります。必ず土木の専門家がそこに出ていって、これだけの幅の堤防を築けば、100年に1回の洪水が防げる、という専門家としての答えをするわけです。だけども、その村においては、そのへんには住まないほうがいいとか、あるいは、まあ洪水はどうせ出るから、出たときはどうするか、というようなノウハウはあるわけです。そういう人のノウハウとか、そういうことも含めたYESとかNOとかというのが、今大事なのではないかと思う。


【木元原子力委員】 もうすでに話し始めていると思うのですが。


【加藤委員】 住むことにおける専門家としての住民の意見がまだ十分出ていないから、国の専門家を含む判断、議論というのが、非常に甘くなっているんじゃないかと思います。


【木元原子力委員】 そこにさっきおっしゃった、行政側と刈羽との乖離があるんじゃないか、「ズレ」があるんじゃないかという論議と重なるのかなと思うんですけれども、例えば、エネルギーの自給率と聞いても、なかなかみんな納得できないですよね。わからないですよね。食料の自給率は40パーセント(カロリーベース)だと。これも低いから50パーセントまで上げようというので、セーフガードをやったりなんかしていますよね。自分の目に椎茸だの葱が見えると、わかるんですよ。ところが、電気って見えないから、自給率どのぐらいと言っても、調べないとわからない。20パーセントですよね。しかも、原子力を国産エネルギーとして入れて20パーセントですよね。ウランは全部輸入だとすれば、4パーセントしかない。この自給率の中でどうしていくか、という議論も本当はしなければいけない。


【加藤委員】 自給率の前に、そもそもどれだけ必要かという議論が行われなければいけない。


【土田智明氏】 1つお伺いしたいんですけれど、国というのは、国民が自分たちで責任を持てないところを先々まで読んで政策を立てているべきだと思うんだけれども、すべてのプルサーマルなり原子力が否定されてから考えてたんじゃ、遅いんじゃないでしょうか。


【加藤委員】 その後にあるのではないんです。平行してあるんです。だけども、専門家のほうが優位にあって、それぞれの人が自分のところだけを考えているのはより下のほうにあるということではない、ということを私は言っているんです。国の政策の基本は国民=住民の生活じゃないですか。


【土田智明氏】 でも、 Not In My Back Yard という言葉は、非常に失礼な・・・。


【加藤委員】 もっと国をギリギリギリギリ追いつめないと、国は非常に甘い判断をずっとやってきているということを私は言いたいんです。すべてに関してそうです。


【中村委員】 だから、最初に加藤さんが言われた、戦略がなかった、というのはそういうことですよね。ただ、さっき吉田さんが言われたように、プルサーマルについては、あの住民投票というのは、刈羽村にプルサーマルを導入しませんという結論が出たということですよね。そのとらえ方の問題じゃないかと思うんですよ。国はやっぱり何か勘違いしているんじゃないか、という気もしないでもないんです。つまり、日本のエネルギー政策を刈羽村は否定したのか、ということではないんですよね。皆さんの住民投票の結果というのは。


【吉田大介氏】 いろんな考えの人がいます。すべてがそうではないということです。中には、国の政策そのものを批判している人もいますけど、すべてがそうではないということです。


【中村委員】 もちろんそうですね。


【加藤委員】 それはまたね、マスコミがそういうふうにするんですよね。


【中村委員】 報道のしかたが確かにね、これで日本の原子力政策が決まるような報道のしかたは、確かにありましたからね。


【中村委員】 もう時間でしょうから、最後に是非皆さんから聞かせていただきたいのは、我々にとっても、この市民参加懇談会はこれが第1回なんですよね。いろんなところでこれからやっていきたいと思っているんですけれども、刈羽もこれが最初で最後ということではないというふうに私は考えているんですが、また我々がやって来て、一緒に話をしていただけますか。あるいは、皆さんが東京へ来て、今度は消費者の人と話すような機会があったときに、来ていただくか。我々がまた来るか。いずれにしろ、この市民参加懇談会というものを、何て言ったらいいのかな、もう簡単に言います。ある程度、今日、評価していただけましたか、それとも全然評価しませんか。


【木元原子力委員】 こんなのはいらないとか。


【中村委員】 これだけ最後に聞かせていただけないと帰れない、という感じもするんですけど、皆さん本当に貴重な時間を2時間以上もさいていただいたんですが。また来たら、一緒に話をしてくれますか。


(複数の参加者より「はい。」「賛成。」の声あり。)


【中村委員】 ありがとうございます。それを最後に聞きたかったです。


【吉田大介氏】 嫌だという人いませんか。


【小林直樹氏】 争点がボケすぎていてよくわかりません。


【中村委員】 特に今日は1回目で、争点というものも浮き彫りにしなかったですからね。


【小林直樹氏】 ある程度、やっぱりそういうものを具体的にしぼって話すべきじゃないんですか。


【木元原子力委員】 そうすると、次のときに、何にしぼればいいでしょうね。例えば。


【小林直樹氏】 何にしぼってもいいんですか。何を聴きたいんですか。


【木元原子力委員】 では、こちら側から質問すればいいということでしょうか。


【小林直樹氏】 今日いちばん問題になったことでいいんじゃないですか。


【木元原子力委員】 例えば、今の原子力に求められること、というのがあれば、それでもいいし、それからもう1つは、刈羽村がこういう結論を出したことに対して、日本のエネルギーの自給のあり方とか、暮らしのあり方とか、それはどうあったらいいかということを刈羽だけの問題じゃなく考えたとしたら、どういうことができるかとか、そういうことも話しますか、一緒に。


【小林直樹氏】 それは少し争点が大きすぎるんじゃないですか。


【中村委員】 例えば、原子力広報について、というのならば、どうですか。


【小林直樹氏】 それはそれでいい。


【中村委員】 それは僕らも聴きたいんですよね。原子力広報が、皆さんに、消費地あるいは産地に、どういうふうに受け取られているかというのはおおいに知りたいところだし、自分でも考えたいところなんですけどね。


【吉岡委員】 それと、私はもう1つ要望があって、是非聴きたいというのは、政府と自治体と電力会社の三者の適正な関係はどうあるべきか。あるいは、その中で政府というのが果たすべき役割というのがどうなのか。今まではでしゃばりすぎなのか、それとも足りないのか。あるいは、政府と電力の互いの独立性についてはどうなのか。今までは相互に一体となって行動したんだけれども、政府は電力を拘束すべきではなく、それぞれの論理に従って独立に動くべきだし、自治体の自主性というのはもっとずっと高くなってもいいと、私は思っています。その三者関係について具体的に政府はどうあるべきか、というふうなことを、要望を出していただければ、我々は政府に提言する権利があります。


【吉田大介氏】 原子力の立地点が全国に、いくつの自治体があるかわかりませんが、50何基あるわけですよね。刈羽村がその中の1つだということでは、きっと今言ったような、もっと掘り下げた具体的な話というのは、物理的に無理なんだろうなと。反対派の人たちの、ストーカー行為だとか、あるいは、実績作りじゃないか、というようなものに対しても、本当にいくつもあるうちの刈羽はたった1つなんですよ、ということではなくて、本気でやるのであれば、刈羽でシリーズでやるべきなんだろうなと。たぶん、今日1回やって、また1年後にもう1回ぐらいやりましょう、ではきっとそういう議論はできないと思います。


【木元原子力委員】 詰めていきましょう。それも相談し合いながらやっていかないといけない。


【吉田大介氏】 例えば、1回目は反原発の人は来なかったけど、5回目ぐらいには来てくれるかなと。そういうことも必要なのかも知れない。


【近藤昇氏】 俗に言う、隣に蔵が建てば腹が立つ、というのは村ではよくある話。感情として非常に濃厚にあるわけ。それを乗り越えるような理論を、あなた方は、要するに机上の理論を組み立てようとしているんですよ。そういうロジックを。それはおのずと限界があると思うんですよ。だから、その理論で乗り越えるというふうなことじゃなくて、住民の中にある感情というものをつかむということになれば、僕はこういうフリースタイルのものはだめだと思う。なぜかと言うと、5000人の村で4000人の有権者。ここでもって選挙が、90何パーセントの投票率を持つような選挙が行われているわけです。僕も選挙に出て落っこって、泡沫候補になっちゃったんですけど。
 そういうふうな村ですよ。そうすると、発言してる皆さん方が、それぞれ政治的な背景を持っているわけ。東京の日比谷で人を集めて話をする時は、その人の個人的な政治的背景はまったくわからないです。そういうところで話が成り立つんだけど、ここの村でこういうことを繰り返したって、本当のことは出ないと思う。難しいと思うけど、何らかの形でやっぱり探っていく、住民感情を探っていく。そしてプルサーマルをここでやるのであれば、どういうふうな状況を整えればプルサーマルができるのかと。要するに、賛成、反対の話ではなくて、国としても絶対にここでやりたいんだということであれば、それに対する条件というものはどういうふうになっているのかと。過去の原発政策はどうだったのかと。僕が最初に申し上げたように、東京電力の地元対策は一体良かったのか、悪かったのかと。ラピカはなぜ起こったのかと。そこのところまでしっかり分析して、対策を立ててくる。どなたかおっしゃったように、非常に戦略としてはまずい。そういうことだと僕は思いますよ。


【村民C(男性)】 吉岡先生がおっしゃった政府と自治体との関係は、どういうふうなつながりがあるのかということですが、私はさっき申し上げたように、11年のサミットで、原子力委員会の抜本的な見直しということが、政府と自治体がどういう役割を持つか、この点は木元先生はお答えにならなかったですが。11年のサミットですよ、11月に東京でやったんですから。そのことがどこまで反映されているのか。原子力委員会というのは政府のあくまでも下なんだと、独立の権限は、依然として今も政府の配下にあって、木元先生も原子力委員会のやり方、方法を一生懸命考えている、これは理解できるんです。そういうのがね、今、吉岡先生が言いましたから、それにもちょっと11年の原子力委員会の抜本的な見直しという、これがどこまでどういうふうな形で進んでいるのか、若干時間がないんですが、一言だけお願いします。


【木元原子力委員】 その1つの表れ方が市民参加懇談会だと思うんです。だから、私は鹿児島に行ってもどこに行っても、原子力委員会で審議している8×8の燃料棒が9×9になるとか、どこそこに何が建つとか、誰が外国に行くとかを審議するんじゃなくて、おっしゃったような、もっとマクロの立場から基本的なことで物を言う委員会だと思うんですよ。そして内閣に意見を言えるんですね。だから、そういう自分の権能をきちんと自覚し、行動していきたいんです。だから今、私は、原子力委員会の中で、批判したりします。自覚症状がないとか、危機感がないとかって。それは本来の姿に立ち戻ることを私なりに望んでいるからです。


【村民C(男性)】 それはわかるんです。今、吉岡先生がおっしゃった・・・。


【木元原子力委員】 自治体との関係ね。


【村民C(男性)】 その中に原子力委員会が位置づけている権能というのはどうだ、ということをおっしゃったと思うんです。


【木元原子力委員】 その意味で、こういう懇談会の中で、自治体とどういうような付き合い方をしていったらいいのか、あるいは、この懇談会を自治体との話し合いの場として、もっと確立したものにするのか、そのへんはこれからの問題だと思います。


【吉田大介氏】 時間の方がだいぶ過ぎまして、皆さんご予定のところをいらっしゃっていただいているので、最後、今後も含めて、木元さんの方から。


【木元原子力委員】 どういう結果になるかわからない、だけど、お話を伺い、ご意見を伺い、聴きたいと思ってここまでやって来て、通ってきた甲斐があったと私は思います。いろんなご意見もあり、まだまだ言い足りないと思いますので、これからも続けていきたいし、意味があるとかないとかというご意見があるかも知れないけども、私たちなりには把握したものは随分あったと思うので、吉田さん、土田さん、今後も続けていきたいと思うんですけれども。


【吉田大介氏】 私としては、皆さんもご存知だと思うんですが、明日の刈羽を語る会というものを、土田さんも、ここにいるメンバーの中で作って、是非、刈羽村の将来について語り合いたいと、それは刈羽村の、さっき言ったビジョンとかにつながっていくと思うんですが、それとは、今回の市民参加懇談会とは、また別なものですけれど、刈羽村は刈羽村で話し合う、それについて、国なり委員会の方でどういうことを聴きたいんだというものの橋渡しは、是非できれば今後もやっていきたいと思います。


【土田智明氏】 今日は説明会ではないと最初に言いましたけれども、今まで住民なり市民の声を聴くという姿勢は、やはり反対グループがよく言うんですけれども、セレモニー的であったり儀礼的であったりというのがあったと思います。そういう意味では、本当に住民の声を聴きに来ていただいているんだなと思いました。ただ、ちょっとやっぱり、小林さんがおっしゃったように、ちょっとテーマがしぼり切れていなかったかなと。第1回目だからある程度はやむを得ないと思いますけれども、2回目以降、そのへんを検討していただきたい。


【木元原子力委員】 そうですね。やはり総花的にならざるを得なくて申し訳なかったと思いますけれども、さっき小林さんがおっしゃったように、広報、原子力広報なら具体的ですよね。例えばそういう形で。


【中村委員】 僕はそれがいいと思いますね。


【木元原子力委員】 じゃあ、また日取りを決めて、伺わせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。


【村民H(女性)】 私は初めて来たんですけれども、今日の議題に期待して、原子力がどうしているのかとか、どうなのか、というものが議題だと思って来たんですけれども、そうじゃなくて、こうやって聞いていると、何かわからない給料の話とか、何のために私は参加したのかなと、今、ふと、この2時間の間をね、紹介とかいろいろあったけど、そういうものじゃなくて、みんな原子力って大事なんだよ、じゃあどうやって大事なんだろうか、じゃあ皆さん、原発があるんだけど、どういうふうに考えていますかとか、そういうふうに聴く会だったらいいんですけど、今日のこの会というのは何の会だったのかなと、ただそれだけが私に心残りがして、次にこの会があったときには、こんな会であったら私は参加しなくても、新聞を見て、木元さんの国会の話を知ればいいことであって、本当に知りたかったのは、この3つの中の、原発というのはどうして大事だったか、そして、これからもその原発がなくて、またどうやっていけばいいのか、そして、プルサーマルってなぜ必要なのか、そして、何からできて、どうなって、どういう仕組みでもってそういうものがいるのか、そういうものをみんなに聞かせていただいて、危なくないんだよとか、いるんだよとか、そうしていけば安くあがるよとか、そうやって今、子供の小学校からコンピューター時代に入って、皆さんが電気が必要ということは身に染みてわかっているはずなんです。でも、だからこそ、それじゃあ、エネルギーの大事なことって原子力で保っていかなければならないのかな、水力よりも原子力の方がいいのかな、っていろいろ考えている最中だけど、今日は全然そういうものに・・・。


【木元原子力委員】 ああ、そうでしたか。


【村民H(女性)】 皆さんはどう考えたかわかりませんけども、私としては、残念な会に思って、宿題を持って帰ります。


【木元原子力委員】 今お伺いして、すごく残念なのね。最初、なぜ原子力かとか、なぜプルサーマルかというのも、実はテーマに書いていたんです。ですけど、刈羽村は、もうそれは広報ができていると。今まで耳に何度となく、なぜ原子力が必要かとか、なぜプルサーマルをやっているとかは知っていると、そういうことを伺ったんです。それで、原子力は事実、現存していると、じゃあ、この原子力について何が問題なのか、こういうことになったんですね。だから、さっきの自給率の話が実はそこから始まるんでしょうね。その中で、原子力が国産エネルギーになったのはなぜかとか。なぜ原子力なのか。私は常に自分に対して、なぜ原子力なの、と原子力委員になってからも問い続けているんです。自分で納得するために。そのあたりを別の形でやりますか。


【村民H(女性)】 私は個人でこういうことを申し上げて、ただ来て、反省したり、いろいろなことを今思うには、なぜ自分がここへ来て、立って、皆さんからいろいろな話を聞いたのか。聞かなくてもいい嫌なものを耳にしたり、ああ、つまんない会議に私は参加しちゃったという思いがあったから、皆さんの前で悪いですけれども、もっと有意義な、原子力をみんな知って、原子力はなぜ必要なのか、そして刈羽に来た原子力を、世界の人が見つめている原子力を、もっとみんなの気持ちで考えて、栄えてほしいと、こう思っています。


【木元原子力委員】 次の広報の話につながると思うんですけれども、今まで、なぜ原子力か、なぜプルサーマルか、という会はなかったですか。


【村民H(女性)】 ある一部ではそういうのがあったんだろうと思いますが、私たち村民は、あんまりこういう会というのはなかったと思います。前にも1回お会いしてますけど、なんかほら、反対派と賛成派というのがあって、それにも出席したんですけれども、私の個人的な理解力で申し上げて申し訳ないんですが。


【木元原子力委員】 皆さん、すでに知識がおありだと思っていたんですが、じゃあ、やっぱりもう1回でも2回でも3回でも、最初からやった方がいいということ。


【村民H(女性)】 目的に向かって、みんながそれに向かって発言するということを勉強してきた方がいいと思います。


【木元原子力委員】 そういう勉強会も考えるということですね。


【加藤委員】 ただ、それであれば、原子力委員会あるいは我々関係者だけではだめですよね。それに真っ向から反対。それは、刈羽村の中で反対ではなくて、なんでエネルギーがこんなにいるのとか、世界中にこんなに自販機がある国はないではないかとか、いろんなことがあると思うんです。そういう人と合わせて議論しないと、所詮ね、狭い議論なんですよ。


【村民H(女性)】 でも、お宅たち、おいでになったのはエネルギーの3つですか、ここに書いてあるの。それを、皆さんの話を聴いたり、しゃべったりしたいためにおいでになったんでしょ。


【加藤委員】 私は今、あなたにそれを申し上げたんじゃなくて、木元さんに申し上げたんで、この会の設定を考えないと、この顔ぶれで何回来ても同じではないかなと。


【木元原子力委員】 これを読んでいただいたんだと思いますが、刈羽村は1つの決断を出しましたよね。プルサーマルは受け入れない、NOだと。過半数を占めたという現実がある。皆さんはプルサーマルをよく知っていらっしゃる。その上で投票された。日本はエネルギーを大切に使わなきゃならない。そのためには日本人の暮らしはどのレベルにしたらいいでしょうか。まずそれを考えよう。それならエネルギー供給のあり方はどうか。もし原子力発電が嫌ならば、何で代わったら良いのか。刈羽村では、何をもって日本はやったらいいのかとお考えなのか。そういうことも伺いたかったということ。今、現在、原子力発電所はありますから、それに対して何をおっしゃりたいのか。この3つだったんですね。だから、基本的な、なぜ原子力が日本で必要かというのは、その前段階の話だったんです。すでにそのような話はやったと伺ってたから、何度も何度も。


【村民H(女性)】 今おっしゃった木元さんのご意見は、皆さんから伺われましたか。


【木元原子力委員】 ええ、聞いています。かなり知識をお持ちで、本音が入っていましたから。


【中村委員】 1つだけ言えるのは、是非これからも皆さんと話をしたいと思うんだけれども、準備の皆さんは大変だと思いますけど、やはり、何をする会かということを周知していただきたいですね。
 我々の市民参加懇談会というのも、立ち上がったばかりですから、まだまだ知られていなくて、何しに来るのかということもなんかよく伝わっていないような気がするんです。それは、もちろん我々も発信しなければいけないけど、それを是非オーガナイズする皆さんは、村民の皆さんに伝えていただいて、それで、出席してください、参加してください、というふうにしていただかないと、やっぱり、常に完全に満足できるということはないと思いますけれど、不満足の方が先に立つんじゃ、ちょっと残念だから。


【吉田大介氏】 これは市民参加懇談会なんですよ。我々はただ参加している。私も土田さんも参加している。


【木元原子力委員】 私はこれでいいと思っているわけ。知識の学習は懇談会のすることではなくて、やっぱり国なり電力会社の方が中心になって今までやっていらしたことだし、また、これからも続けてやらなければいけないことだろうと思う。もし市民参加懇談会の中で、原子力の必要性とか、なぜプルサーマルなのかということをやったら、それこそ押し付けに来たと同じになっちゃうんですよ。だから、それではないのです。とにかくこういう決断を出した村が、どういう考えを持っていらっしゃるのか。それがエネルギー政策の中にどう反映できるのか。そこのところが知りたいんですよ。だから、この次のときも、是非参加してください。


【吉田大介氏】 タイムリミットが来ました。そろそろ締めないといけません。


【村民I(男性)】 今、狂牛病とかいうのがありますよね。皆さん、あれから牛肉食べてますか。


【木元原子力委員】 食べてますよ。


【碧海委員】 私も食べてます。


【村民I(男性)】 私の意見だけど、消費者というのは全然今、食いませんよね。非常に牛肉は売れませんよね。要するに、少しでも不安をあおれば、いらないって言うんですよ。それが、刈羽村のプルサーマルのいいか悪いかなんです。


【木元原子力委員】 例えば、正確な情報があれば・・・。


【村民I(男性)】 そんなものない。


【木元原子力委員】 伝わっていないということ。そこの部分ですか。


【村民I(男性)】 だから狂牛病と一緒だと思うんですよ。そのために非常に迷惑がかかる者もいるんだけど、一般の消費者というのは、そんなもんだと思いますよ。だから、もっと作りたいなら、もっと知識を与えてやらなきゃいけない。
 今くだらない話が出ていたから、こんなもん関係ないんじゃないかと思うような話をしてて、議会の中での反対派と賛成派のやりとりをこんなところでやってもらっちゃ困るなという、我々一般村民の考えなんだけど、だから、まわりの者はしゃべれないし、もういい加減にしてくれ。それだけです。


【木元原子力委員】 ありがとうございました。本当にタイムリミットを過ぎてしまいました。では、吉田さん、お願いします。


【吉田大介氏】 今日は、皆さん、本当に遅くまでありがとうございました。次回、もしやりましたら、是非また参加してもらいたいと思います。ありがとうございました。


(以 上)