高レベル放射性廃棄物処分懇談会(第2回)議事要旨

  1. 日 時
  2. 平成8年7月17日(水)13:00−15:00

  3. 場 所
  4. 科学技術庁第7会議室(通商産業省別館9階)

  5. 出席者
  6. (原子力委員)
    伊原委員長代理、田畑委員、藤家委員、依田委員
    (専門委員)
    近藤委員(座長)、荒木委員、粟屋委員、石橋委員、加藤委員、茅委員、川上委員、木元委員、熊谷委員、佐和委員、鈴木委員、竹本委員、中村委員、野口委員、林委員、深海委員、松田委員、南委員、森嶌委員
    (説明員)
    木佐木 高レベル事業推進準備会事務局長
    (科学技術庁)
    興官房審議官(原子力局担当)、有本廃棄物政策課長、村田原子力調査室長
    (通商産業省)
    伊沢資源エネルギー庁原子力産業課長

  7. 議 題
  8. (1)原子力全般及び原子力政策円卓会議の進捗状況
    (2)高レベル放射性廃棄物の処分について

  9. 配布資料
  10. 資料(懇)2−1 高レベル放射性廃棄物処分懇談会(第1回)議事要旨
    資料(懇)2−2 「もっと知りたい、もっと考えたい、原子力のこと」
    資料(懇)2−3 原子力政策円卓会議の開催について
    資料(懇)2−4 高レベル放射性廃棄物対策について
    資料(懇)2−5 原子力バックエンド対策専門部会における審議状況について
    資料(懇)2−6 高レベル事業推進準備会中間とりまとめ(平成7年度)について
    参考2−1    高レベル放射性廃棄物処分に係る政策の変遷
    参照資料
    高レベル放射性廃棄物処分への取組について  
    (平成7年9月12日、原子力委員会決定)
    高レベル放射性廃棄物処分懇談会の設置について
    (平成7年9月12日、原子力委員会決定)
    原子力バックエンド対策専門部会の設置について
    (平成7年9月12日、原子力委員会決定)
    高レベル放射性廃棄物処分事業に関する検討「中間とりまとめ(平成7年度)」
    [基礎的検討](平成8年5月、高レベル事業推進準備会)
    原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画 
    (平成6年6月24日、原子力委員会)
    高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発の重点課題と進め方
    (平成元年12月19日、放射性廃棄物対策専門部会)
    高レベル放射性廃棄物対策について
    (平成4年8月28日、放射性廃棄物対策専門部会)
    高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の進捗状況について
    (平成5年7月20日、放射性廃棄物対策専門部会)

  11. 概 要
  12. (1)近藤座長より開会宣言が行われ、引き続き事務局より配布資料の確認が行われた。

    (2)資料(懇)2−1に基づき、事務局より、5月8日に開催された高レベル放射性 廃棄物処分懇談会(第1回)の審議の概要について説明があった。

    (3)議題(1)について、資料(懇)2−2及び資料(懇)2−3に基づき事務局より、原子力政策円卓会 議の開催状況、今後の予定、参加者からの主要な意見等について説明があった。

    (4)議題(2)について、事務局より資料(懇)2−4に基づき、地層処分の概念につい て説明があった。引き続き、熊谷委員(原子力バックエンド対策専門部会長)及 び事務局より資料(懇)2−5に基づき、原子力バックエンド対策専門部会におけ る調査審議の状況について説明があった。更に、林委員(高レベル事業推進準 備会会長)及び説明員(木佐木高レベル事業推進準備会事務局長)より資料(懇)2−6に基づき、高レベル事業推進準備会「中間取りまとめ(平成7年度)」について、説明があった。

    (5)以上を踏まえて、以下のとおり意見交換が行われた。

    ○処分場の長期監視について

    • 準備会の意識調査の結果からも、長期監視を行うかどうかは地層処分の社会的な受容の観点から重要と考えられるとの意見があった。これに対し、説明員より、意識調査にあたって、処分に関する情報を与えた場合と与えない場合では、前者では不安が解消する結果が出ていること、また長期監視については、超長期の監視は不可能ではないかとの漠然たる不安はあるも、長期監視が不可欠である、とまでの意見はなかったとの説明があった。
    ○広報について
    • スウェーデンでは10年間で処分に対する国民的理解が深まったとの準備会の調査結果に対し、理由が問われたところ、説明員より、国、電力、事業主体が最長10年の広報プログラムを策定し、パンフレット、テレビ、実物模型(キャニスター)展示等による広報活動が1989年まで行われた結果、意識調査における「処分に賛成」の回答が、以前は30パーセント前後であったが、その後増加し、1995年には58パーセント程度になったとの説明があった。
    ○立地促進策に関する調査について
    • 欧米では、立地促進策が存在しない場合や、むしろ中央政府や地方自治体は手厚い立地促進策を行うような政策を基本的にとるべきではないとしている国(カナダやイギリス等)もある等、日本とは発想が異なる国もあることに留意し、立地促進の方法について検討すべきとの意見があった。
       これに対し説明員より、海外調査の結果は多様であるが、将来世代に負担をかけないという倫理的側面での観念と、広報、理解活動の方法論の必要性が感じられたとの意見があった。また、スウェーデンでは、高レベル放射性廃棄物を電力利用に伴う生活廃棄物であるという捉え方を広報プログラムに入れたこと、カナダでは、国策としての処分の必要性を強調し、処分研究施設をマニトバ州に立地したこと、米国では、特別立法に基づく立地促進策の法制度化を図っているが、日本におけるこの様な制度の適否については充分な検討が必要と考えられるとの説明があった。
       また、別の委員より、カナダでは処分場の立地が経済的な波及効果があると考えられ、波及効果のモデル等を用いた立地促進活動がなされているとの説明があった。
       これに対し説明員より、処分研究施設の立地において、スウェーデンの調査では施設の経済波及効果で充分と考えられているようであるが、更に特別な配慮が有効と考えられている国もあり、各国の考え方は一律ではないとの説明があった。
    • カナダでは、マニトバ州政府が自ら地域振興になると考え、処分地にならない条件で、研究施設を誘致したとの委員の発言があった。加えて、今後、地域振興策や処分場の閉鎖後の監視の議論だけでなく、地元の了承がなければ閉鎖はできないであろうから、その手順等について本懇談会が議論すべきであるとの意見があった。
    • 事務局より、フランスでは、原子力発電については法律に基づかない民間交付金制度があるものの、処分研究については、2年前から立地促進に係る法律を整備したことによる推進が期待されていること、イギリスの再処理工場の周辺では、地域振興策が期待通りに行かず、研究施設等の地域を活性化させるものが備わってこないことに懸念の声があること等の説明があった。
    ○原子力発電と処分の相関関係について
    • 意識調査等において、高レベル放射性廃棄物処分への理解と原子力発電に対する理解との相関関係が見られるのかとの問いがあったところ、事務局より、フランスでは、処分については廃棄物法により立地推進策が講じられており、原子力の推進との関連では捉えられていないのではないかとの見解が示され、また、この分野の先進国であるスウェーデンにおいて、原子力の推進と処分への理解との相関関係を調査することは重要との意見があった。
    • スウェーデンでは、2010年迄に原子力発電を廃止することとしているモラトリアム政策が現実的ではないとの考えから、国民投票を行うべきとの動きがあり、1995年3月のアンケートでは、原子力発電の廃止を2010年以降に延ばすべきとする回答(廃止すべきでないを含む)が約55パーセントである一方、2010年までに廃止すべきとする回答は約40パーセントと以前より減少してきているとの発言があった。
       また、電力料金から処分費用としてキロワットアワー当たり2オーレ(30〜40銭)が徴収されていることへの国民の反対が見られず、国内での処分について合意が得られている等、同国における最近の情報の紹介があった。
    ○処分事業の形態について
    • 実施主体が民間であっても、単一であれば国が実施主体となることと差はないとの発言があった。また、実施主体の要件として、営利性、効率性、信頼性のどれが優先されると考えられるのか、基本的には信頼性であろうとの意見があったところ、説明員より、実施主体は非営利目的で電力料金から運営コストを回収する形態が妥当と考えられ、実施主体の要件としては、国民に信頼されることが優先されるべきであり、従って、実施主体が多数存在することは考えられないとの説明があった。
    • 処分費用の徴収形態について問いがあったところ、説明員より、原子力発電の便益を享受している我々が、今から必要な費用を積み上げて、そこから支 払うことが適当であるとの説明があった。
    ○処分に対する国民的理解について
    • 処分についての検討においては、処分を義務というネガティブに考えるのではなく、跡地や周辺地域に大学や研究施設を設置すること、処分が高度の科学技術を駆使する面等、若い世代を啓発するような夢が語られることが大切であるとの意見があった。

    (6)座長より、本懇談会の審議の公開について、第1回の決定とおり、審議自体は公開せず、議事終了後プレスレクを行うこと及び議事要旨の公開により審議の透明性の確保に努めたいとの確認がなされ、了承された。

    (7)次回を8月27日(火)13:00-15:00に開催することとし、閉会した。

                             以上

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