高レベル放射性廃棄物処分懇談会(第12回)
− 議 事 録 −

 

1.日 時  平成10年2月24日(火) 13:30〜16:30

2.会 場  サンケイホール(東京都千代田区大手町1-7-2 サンケイ会館5階)

3.出席者
(1)高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
  近藤 座長,森嶌 主査,粟屋 委員,石橋 委員,川上 委員,木元 委員,塩野 委員,下邨 委員,
  鈴木 委員,竹本 委員,野口 委員,松田 委員,南 委員,森 委員,

(2)原子力バックエンド対策専門部会構成員
  大桃 委員,田中(靖)委員,徳山 委員

(3)説明員
  鷲見 説明員, 坪谷 説明員

(4)意見発表者(8名)
  大原 武光  会社員*
  川島 国敏  自営業*
  篠崎 昭彦  経済団体連合会 資源エネルギー対策委員会 委員長
  清水 鳩子  主婦連合会 会長
  高木 仁三郎 原子力資料情報室 代表
  竹並  孝  会社員*
  築地 道夫  会社員*
  吉村 作治  早稲田大学 人間科学部 教授
               (50音順、敬称略、*公募による意見発表者)

(5)原子力委員会
  藤家 洋一  原子力委員会委員長代理
  依田  直  原子力委員会委員
  遠藤 哲也  原子力委員会委員

(6)事務局
  加藤 康宏  科学技術庁原子力局長
  有本 建男  科学技術庁原子力局廃棄物政策課長
  岡谷 重雄  科学技術庁原子力局廃棄物政策課長補佐

4.一般傍聴者  164名(応募者425名,うち当選者200名)

5.報道関係者  29名(19社,うち放送関係4社)

6.議事内容

(森嶌)
 森嶌でございます。それでは、ただいまから司会をさせていただきますが、大変恐縮でございますけれども、質疑を合わせて15時30分までにこの意見の陳述を終わらせていただきたいと思います。一応事務的にお一人6分ということで、大変短い時間で申し訳ございませんけれども、お願いをしたいと思います。もちろん6分以内に終わられる場合には、問題ございませんけれども、一応事務的に、5分経ちましたところで「ここで1分前」ということを事務的に出しますので、適宜よろしくお願いをいたします。
 それでは、東京都の大原武光さん。お願いをいたします。

(大原)
 はい。私は建設会社に勤務するものであります。古墳や遺跡、自分の住んでいる地球環境に大いに興味があります。私は地球温暖化防止のためと炭酸ガスの排出量を減らすため、個人的な用事では車を使わず、できるだけ歩くなど工夫をしております。さて昨年、地球温暖化防止京都会議COP3で、温室効果ガスの削減目標が決まりました。日本にも厳しい削減のノルマが与えられたように思います。また、これから発展し高度成長を狙う開発途上国に向かって「炭酸ガスを出す化石燃料は使わないようにしましょう」などと言える立場にないと思います。「さんざん化石燃料を使い発展した国が何を言うか」と反発を買うことは当然だと思うからです。そこで、高度な技術を持つわが国は、エネルギーの問題の解決と地球温暖化防止問題の解決のためにも、原子力による発電は必要不可欠だと思います。一方、最近山内丸山遺跡や吉野狩遺跡で発掘された翡翠やガラス類は六千年から四千年の長い眠りから覚め、しかも、全く変形も腐食もせず、永久不滅のごとく元のままの形、色、つやで発見されているのを見ますと、ガラスの変質しない強さに驚くばかりです。私はこのガラスの性質を利用し、かつ人間の生活に遠く隔離し、地下の深いところに埋めて処分される高レベル放射性廃棄物の深地層処分に賛成いたします。ここで今後の進め方について五つのお願いがございます。
 一つ。高レベル放射性廃棄物の発生量は、日本人一人が一生の間に消費する電気の半分を原子力で賄ったとして、ゴルフボール3個分のガラスのようになると説明されています。この根拠を含め、ガラスの持つ放射線の影響を分かりやすく国民に説明していただきたいと思います。
 二つ。一般の産業廃棄物炉をイメージしています。高レベル放射性廃棄物の反応を加速、促進させる原子核的な意味での焼却炉の開発をお願いいたします。中間保存として、30年から50年間保存されると聞いております。これを一挙に一桁少なくし、3年から5年にする研究を進めていただきたいと思います。原子炉の中で核反応をさせ、半減期の長い物質を半減期の短い物質に変える焼却炉の研究をお願いいたします。
 三つ。ガラスは半永久的に変化しないと言われています。地球上の自然放射線では確かに半永久的に変化しないと思います。しかし、資料によりますと、高レベル放射性廃棄物は1立方センチメートル当たり10の11乗ベクレルオーダーの放射線を持つと換算されます。この高い放射線でガラスを照射しても変化しにくいことを加速実験等で研究され、我々素人が分かる形で説明していただきたいと思います。
 四つ。広報のあり方についてお願いいたします。一般に情報を公開し安全なことを分からせることが大切だと思います。しかし、分かりたいレベル、知りたいレベルがいろいろだと思います。広報資料を、例えば興味を持ち始めた人、もう少し知りたくなった人、さらに専門家並みに詳しく知りたい人のために、三段階に分けた広報資料をつくるなどきめ細かい資料作成を検討していただきたいと思います。
 五つ。最後のお願いですが、この息の長い大事業を達成するにあたりましては、国が主導権を握って推進していただきたいと思います。最終処分地に国有地を提供するなど、思い切った施策をとっていただきたいと思います。こうして我々庶民が安心して同意できるように、今後も関係者の努力をお願いいたします。以上です。ありがとうございました。

(森嶌)
 どうも、ありがとうございました。それでは、引き続きまして東京都からおいでいただいた川島国敏さん、お願いいたします。

(川島)
 ご紹介にあがりました川島です。私が書いたものがお手元の方にないかも知れませんから、場違いな発言になってしまうかも知れませんが、あらかじめお詫びしておきます。
 先日、国立劇場で歌舞伎を観た際に思ったことなんですが、観ていますと「紀伊国屋」ですとか、「待ってました」ですとか、かけ声が後ろからかかります。それと似たことが今回のバックエンドの対策のような形でも言えると思うのですが、国が進めていることが舞台であるとすれば、周りからのかけ声は人々の声であるような形が見えるような気がします。それは大した問題ではないのかも知れませんが、今後も続けて行って欲しいなというふうに個人的には思っております。具体的にこちらの処分する際のことについて考えを述べさせていただきます。
 まず、財源的な問題が一番大きなことになるんじゃないかと思います。処分場をつくるにあたって、無税措置が適用されるかどうか。これは個人的に調べてはみましたが、ちょっと微妙な線だと思います。結果的に建設国債なり何なりの形で、資金を集めてつくったとしますと、つくる際のコストは賄えるかも知れませんが、その後の管理費用についてちょっと財政的にくっつけていくのが難しいのではないのかなあというふうな感じがいたしました。私が書いたものの方に、ちょっと北方四島のことについて書いてしまった点がありまして、その中で、現在日本人がいなく、仮に返還された際にそこを処分地にしてはどうではないかなんていうことを書いてみましたが、実際にこれについては若干難しい面があると思います。まず、地盤的な問題が何といっても問題になると思うんですが、その他にも現在2000年を目途に平和条約を締結しようというふうに日ロでやっておりますので、その際に、かたち上、政治的に何かそういう実務的な問題を通り越して物事が決められてしまったりすると、ちょっと心配ではないかなというふうに考えております。それと、全く放射性廃棄物自体のことについてなんですが、放射性廃棄物自体を管理する際に熱が出るのはご存知のことと思います。それを、仮に燃料電池のような形で使ったことを考えてみましたが、燃料電池のような形で使いますと、まず管理の問題と安全性の問題で非常に大きな不利な点が出てくるような感じがいたします。事例と言いますか、新聞などで見たことで申し訳ありませんが、93年度の北海道新聞の5月の記事中に載っていたことですが、その当時のソ連が使ったという形なんでしょうが、燃料電池を北極点の開設と言いますか、電源として使ったというようなことで、それが管理が行き届いておらず回収もなかなか難しいというような記事だったと記憶しておりますが、そのようなものを見た覚えがあります。それで、実際にこれを例えば国内で使うような形でつくったとしても、まあ難しいというのもあるんですが、そんなことも考えてみてはどうかなというふうな、個人的な意見です。さらに、こちらの処分場自体の問題ですが、こちらの処分場をつくる際に、大都市と処分地という形での対立の構造があるような形で言われておりますが、実際には、それ以上にそこの維持するためのコストなりリスクなりというものを考えていった際に、そこの処分地自体で採算のとれる方向に持っていくために、例えば、海外の放射性廃棄物なりそれに類似するものというのを中国なり、アジアの各国がこれから先原発をいくつか所有する際にあたって、その際に起きた廃棄物だとかを仮に国内で受け入れるような形で持っていった際に、その収益というものが仮に国内のものを処理するだけの場合よりも上がるかどうか。また、それをした際に、安全性の問題というよりもテロ行為などに対する管理の問題として日本がどれだけのことができるか、今のうちに検討しておかれるのもまた良いのではないかと思っております。最後に、この放射性廃棄物の問題は、普通の一般のゴミと違って、非常に時間の長いものですから、そこの最終処分地となる方がそこから出たい、転居したいというふうに考えた際には、法的措置によって優遇措置がとられるべきではないかと思います。以上で終わります。失礼しました。

(森嶌)
 どうもありがとうございました。委員の先生方、ご質問おありかも知れませんけれども、全部意見の発表をいただいた後で一括してお伺いいたしますので、それまでお待ちいただきたいと思います。それでは、次に経団連からおいでになりました篠崎昭彦さん、お願いをいたします。

(篠崎)
 経団連資源エネルギー対策委員長の篠崎でございます。産業界の意見を申し上げたいと思います。
 まず、総論的に申し上げまして、昨年7月発表されました、原子力委員会の処分に関する基本方針についてでございますが、これは処分問題の現状と特質、あるいは技術的、社会的、制度的問題、国民の理解を深めるための透明性の確保や、情報公開、立地問題、地域との共生の取り組みと非常に多面的な問題につきまして、配慮の行き届いた検討がなされておりまして、妥当なものと評価いたしております。以下、各論的な意見を申し上げたいと思います。
 まず、処分の場所でございますが、危険なものは管理の届く場所で管理し続けるべきであると、現世代が管理責任を放棄すべきではない、というご意見もございます。まあしかし、地上と比べまして深地層の方が地震や、あってはならないことですが戦争やテロといったものに対しても安全でありますし、地層処分に致命的な欠陥があると、問題があるということでない限りは、先進の欧米諸国も既にそういう方向で進んでいることでありますし、今後も万全の技術的研究開発検討を進めまして、そういう成果の上に立って深地層処分を採用するということが、むしろ我々の世代の責任ではないかというふうに感じております。
 次に、使用済燃料をそのまま処分する、いわゆるワンススルーによるか、再処理して繰り返して長期的にエネルギー資源として回収し最終処分するかという問題でございますが。まあワンススルーで行った場合には来世紀後半にウラン原料は枯渇するであろうという見方もございます。アメリカでは、国内に豊かな化石燃料を持っておりまして、さらに短期的でありますが経済的な問題、さらには核不拡散という立場もありまして、ワンススルーの方針を採っておりますが、資源が極めて乏しいわが国におきましては、やはり他に代替する資源がない限りは、安全上の問題をさらに常に今後とも研究、指示、対策を講じながら、核燃料リサイクルという方針を採るのが妥当であろうというふうに考えております。
 次に重要な問題は、処分場の立地でございます。立地を決めるのは処分の長期的な安全性、必要性という問題と共に処分事業等地域との共生、共存、共栄へのあり方等について、本当に国民に具体的に分かりやすく示す必要があります。今回の案は十分にその趣旨に適うものと評価いたしております。
 さらに、今後の具体的な取り組みにつきまして、四つほど要望を申し上げたいと思います。
 第一は実施主体であります。処分事業全体の流れとしては、第1ステップが、住民の理解の上で処分地を選定し確定し、そして共生への枠組みをつくっていくということであります。第2のステップは、設計し建設し、これを運営、オペレーションしていくということになりますが、この第2の段階は、新しい実施主体が、民間主体となると思いますが担当するのは、効率性、機動性に優れておりますし、内容にも血の通った経営がなされるということで、地域社会と共存、共栄をするだろうと思いますので、よりベターであろうと思います。しかし、第1ステップにつきましては、やはり国が前面に出られまして、もちろん電力会社や実施主体も手伝うことになりますが、自治体、住民に説明をして、共生対策なども決めてまいりませんと、これは民間だけでは限界があると思います。全体を通じて、自治体が住民が本当に日本全体のためにお役に立っているんだという喜びや誇りを持ってもらうというふうな進め方、あり方が大事ではないかと思います。
 次は、地層処分の安全確保でありますが、この件については申し上げるまでもなくわが国の権威者が知恵を絞って、各面に渡りまして、先進諸国とも交流して技術的可能性が明らかにされたと考えております。したがって、今後、よりわが国の地層その他の条件に則した具体的、実証的な技術研究開発を実サイトに近い条件で地下研究施設の設置が望まれるわけであります。
 時間がまいりましたのであとちょっと端折りますが、次は、国民とのコミュニケーションの問題でありますが、これは、フランスなどでもミニテルという各家庭に普及した端末を利用して情報を公開し、非常に的確に早くやっておりますが、これからの情報社会に備えてそういうものも大事じゃないかと思っております。
 その他処分費用の問題につきましては、諸外国の例も参考として、受益者負担を原則として適切な対応がされると望みます。以上私の意見陳述といたします。

(森嶌)
 はい、どうもありがとうございました。それでは、主婦連の清水鳩子さん、お願いをいたします。

(清水)
 ただいまご紹介いただきました主婦連合会の清水でございます。それでは、これから高レベル放射性廃棄物処分についての意見を申し上げたいと思います。
 まず、この書き出しのところで、一般の国民は原子力発電にともなって発生する高レベル放射性廃棄物や処分について、知識がないとかさし迫った認識が欠けているんじゃないかというふうな文言がございます。しかし、私ども暮らしの場からこの原子力発電とそこから生じる廃棄物の問題を考え始めましてからもう三十年以上経つのではないかと思います。原子力発電の導入の時には、私ども暮らしの立場におりますものがまず申しましたのは、例の「トイレ無きマンション」という言葉で象徴されるように、後始末を考えないで、やはり「安いから、クリーンだから、便利だから」ということでよいしょ、よいしょと進めていいんでしょうかと、やはり、その後始末をまず先に考えて、そして原子力発電を進めるべきじゃないか、というのが大方の共通の認識でございました。そして、私は現在もその認識は変わっていないというふうに思います。したがいまして、この認識は、知識がないとか、さし迫った問題だという認識が国民の中にない、というこの書き方は問題がある、というふうにまず申し上げておきたいと思います。
 それから、それではなぜ今日までこの廃棄物に積極的に手を着けないで放ってきたかと。特に、国民に対して、その問題が大変重要であるということをなぜ言ってこなかったのかということですけれども、やはりこれは、ご批判があるかも知れませんけれども、やはり原子力先にありきで進める、促進する方が非常に力が入りまして、後のことは、まあそのうち何とかなるさというふうに思っておられたんじゃないかなあというふうに私はずっと見てまいりました。こういう方針というのか、こういう考え方をもしこれから高レベル放射性廃棄物の処理に対して、国とか電力会社がもし仮に持つのであったら、これは国民の合意というものは非常に得にくいし、また、却ってせっかくこれだけの地方の方たちの貴重なご意見が生かされないことになるというふうに思います。したがいまして、なぜ対策が遅れたのか、いろんな研究開発があったというふうに存じてますけれども、それがなぜ具体化できなかったのかということについても、やはり国民に知らせるということが非常に大事じゃないかということが、まず一点です。
 それから、次にこれはちょっとこの分野でふさわしくないのかもしれないんですけれど、現在、電源開発促進税という目的税を私どもは電力消費量に比例して納めております。領収書に目的税をはっきり書いて欲しい。電気、ガス税のようにきちっと書いて欲しいということをずいぶん運動いたしましたけれども、今だにそれが実現されていないので、一般の消費者の人は、電気をたくさん使えばたくさん電源開発促進税を払っているということに気が付かないでおられると思います。この法律ができて、それから途中で代替エネルギーの促進にもこの税金が使えるという法律改正がありましたときに、私も大蔵委員会で参考人で出たのでよく覚えているんですけれども、その時にこの税の使われ方を調べました。非常に無駄な使われ方をしております。何でこんな貴重な税金をこんなところに使うのかと。むしろ、電源開発促進税という名称がいいか悪いかは別としまして、むしろ、もう少し風力、太陽光という、そういう新エネルギーの研究開発にもっとお金を使う、もしくはその廃棄物の処理にお金を使うというふうに、この税金の使い方は時に従って見直すべきじゃないかというふうなことを申し上げたいと思います。総額いくらぐらいになるかちょっと伺いましたら、現在年間3千億とかバブル期には4千億ぐらいの税収があっているわけですね。これだけ廃棄物問題が深刻だというのに、その半分は今だに立地促進に使われている。いい加減にもうこの辺でこの税金の使途を見直すべきじゃないかということが、第二点です。
 それから、ちょっと今1分前というのが上がってしまいましたので急いでおりますけれども、この6ページでしたか、そこに書いてありますけれども「廃棄物処分について社会的理解を得るためには、制度的に外部からチェックできる仕組みを設ける」それから、少し行をおきまして「公平な第三者がチェックを行うこと」というふうに書いてございますけれども、具体的な指摘がないのでどういう内容を指しているのかよく分かりませんけれども、この人選、それからその仕組みを含めまして、このあり方もやはり国民の意見を十分聞くということが必要だと思います。条件としては、放射性廃棄物の発生者とそれからチェックをする機関とは、全く別のものでなければいけないということです。
 それから、最後に申し上げますけれども、現在は原子炉等規制法の中で廃棄物を指定しておりますために、廃棄物に対する政策的な法律がないと。ここはやはり「廃棄物政策法」というような法律をきちっとつくって、そして、原子力発電推進と、それと処分とをきちっと分けた規制法をつくる必要があるのじゃないかなというふうに思います。以上です。

(森嶌)
 ありがとうございました。それでは、原子力資料情報室の高木仁三郎さん、お願いをいたします。

(高木)
 私は十本くらい報告書案に対して意見を出したんですけれど、そのうち今日は、四つの柱に沿って、これも6分ではとても時間がないでしょうから、意見要旨というものを書いてきましたので、お手元に渡っているかと思いますので、それに従って、特に、その一、二の問題について重点的に議論しようと思ってまいりました。
 今一つの問題は、清水さんが期せずしておっしゃったのでほとんど重複になるので簡単にしたいと思いますけれども、高レベル廃棄物について議論を避けてきたのは政府と電力事業者であり、それから、あるいは議論した場合でも、その簡単に処分できるというような形で一行で済ませる場合が多かったんですね。くどくど言ってもしようがない。一つだけ例を挙げてみたいのですけれども、これは当の科学技術庁が出しているパンフレットで、円卓会議の時に私もらったものですけれども。したがってこれは、もんじゅの後と言いますか、平成8年4月というふうになっております。これに放射性廃棄物の処分の問題、一つも、一項目もないんです。あるのは唯一、再処理をやると直接処分よりましだという再処理の推進論として廃棄物がひとこと出てきます。そして、廃棄物問題が大変な問題で国民の理解を求めるというような項目が21項目あるうちの1項目もないんですね。全くそれが大変な問題だというのがないという、こういうふうに意識が欠落しているということは、ちょっと申し上げておかなければいけない。そういう態度ではとてもちゃんとした議論はできないだろうというふうに思いますね。
 概して言えば、この二番目の問題に入ってくるんですけれど、原子力を推進するという枠組みでしか処分の問題を考えてこなかったんじゃないかと思うんですね。それは、やっぱりそれだと本当に今これは大変な問題なので、というように、処分懇はそういう趣旨で開かれたのだと思いますから、安易な問題ではないと考えるとすれば、本当に全国民的な議論が必要なので、その最初が非常に大切だと思うんですね。ですけれど今ある処分懇の報告書もそういう傾斜があるような気がするんですけれども。やっぱり、原子力長計の路線ていうのはもう敷かれていて、それを国民にどう納得させるかという趣旨で書かれている部分が非常に多いという印象を受けました。そういうやり方だと、それは嫌だという人はもう最初からこの議論に入ってこないと思うんですね。私はちょっとそういう議論の仕方の話だけは今日ちゃんとしておきたいと思うんですね。処分の選択肢はどうのこうのと、その先の議論まではちょっとあんまり技術的にも入ってもしようがないと思いますので。それに関して言うと、ずいぶん今の時点でちゃんとした議論の軌道に乗せないと、私としてはいけないと思います。そのためには、先ほどからも各地の意見も出ているようですけれども、全ての選択肢を議論する、まず処分を実施すべきガラス固化体がここにあって、という議論から始めないで、そのバックエンドのいろんなオプション、それから、管理とか処分とかいう廃棄物をどうやっていくかということについては、その技術的なオプションというのがいろいろあるわけです。そういうことも含めて、きちっと議論しないといけない。それから、世代責任の問題についていろいろ言われていますので、ひとことこれははっきり言っておきたいんですけれど、私は、放射性廃棄物に関して、私たちの世代で発生させたことに関して言えば、ちゃんと議論してちゃんと安全を確保する、まあどっちみち次の世代に負担が残るような気がしますけれど、私たちがベストのことをやるという世代責任ははっきりあると思っています。ですから、こういう場にも出てきたり、そういう問題に今までいろいろ取り組んでいるつもりですけれども、なおかつ、この問題を世代責任があるからすぐ処分すべきだというふうに言うのは議論のすり替えだと思いますし、矮小化だと思います。世代責任を問われるような重要な廃棄物を発生させているということであるならば、そういう認識があるならば、その発生すること自体を世代責任の問題として問う人たちが出てくるのは当然だと思います。そこに原子力反対という根拠があるわけですから、そういう議論もきちっと含めて、あるいは本当に廃棄物が深刻な問題だと私も思いますが、そうだとすると、どう省エネするかというようなことは廃棄物の発生量を下げるという意味でも非常に大きな議論になってくるかと思うんです。そういうことも含めてきちっと大きな開かれた議論をしていかないと、私はダメだろうというふうに思います。
 時間がありませんので、3、4の問題ですけれど、ちょっと3を置いておきまして4の問題ですけれど、これはちょっと言葉が足らない、いずれにしてもこのレジメは言葉が足らないところがあるかと思いますけれども、その点はご容赦願いたいと思いますけれども、放射性廃棄物そのものは、私は共生の対象にはならないと思います。処分懇の報告書案の19ページに確か共生、環境基本計画ですか、その言葉で共生というのがあるんですけれども、これは、物と人間の営みとか相互作用を通じて共生できるというふうに書いてあります。そういう意味での共生というのは廃棄物ではありえない。やっぱりこれは、絶対的な隔離を必要とするものですから、したがって処分事業そのものも共生という言葉は使わないほうがいいと私は思います。これは、やはり今の公金ばらまき行政はダメだという認識はあるんでしょうけれども、いずれにせよ、そのある種のバリエーションでもっとそれをソフィスティケートしたって言いますか、洗練された形になるかも知れませんけれども。いずれにせよ何か別の方策で、地域にお金を還元するというようなやり方でしかなくて、それを共生というべきではない。むしろ、やっぱりどこかにそういう負担が最終処分の時に被ってくるので、それは正面から「しかしそうするしかないんだ」という議論をしていって、それを何か別の計画を地域に付けることによって納得させるというやり方は本来ではないというふうに思います。もちろんその計画にともなって、その後いろいろ地域に対してやらなくてはいけないことが出てくると思いますけれどね。それは、共生ではないと思います。
 それから、3のほうに戻りますけれども、私は実施主体は電気事業者であるべきだと思うんです。これは、発生責任ということを曖昧にしないためです。現在でも、例えば青森にあるいろんな廃棄物について、これは日本原燃が管理することになっているということで、我々は電力会社からは情報を取りにくい。「ああ、それは日本原燃に聞いて下さい」という話になるんですね、いろいろ言うと。しかし、それはちょっとおかしいんではないかということもありますし、負担の問題も含めて発生責任をはっきりさせる意味で電気事業者が取るべきであると思うんです。なおかつ、もちろん国はしっかりとした監督であるとか、規制であるとか、その評価であるとか、それから私は研究も中立的な研究が行われないとこれは絶対人々の納得が得られないので、事業者は事業者でもちろん研究しなくちゃならないでしょうけれども、それとは別に国の研究機関がきちっと必要であると思います。しかしその役割は別で、処分懇談会を見ると何か事業者に対して後方支援をするような国の役割が、民間の実施主体に対して、そういうふうに読めるんですね。そうじゃない。もっと独立な、積極的な国の役割が必要だというふうに思います。
 このことに関連して、それからさっきの長計の敷いた路線ということに関連して、一つ補足したいんですけれども、それを今日私に同行しております西尾を通じて行うことをちょっと許していただきたい。それは、彼が私よりもずっと、ほとんどの意見交換会に全部出てフォローしていて、そこでの意見を踏まえてひとこと補足発言をさせていただきたいというふうに思います。お願いします。

(森嶌)
 はい、それは事前に伺っておりましたので結構でございます。西尾さんですね。それでは、どうぞ立ったままでいいですか?では、ちょっと入れ替わって。

(西尾)
 すいません。ちょっと補足ということで、ごく短い時間だけお願いをしたいと思います。
 いま高木の方からも言われましたけれど、意見交換会5回のうち4回参加をさせていただきました。それから、今回の報告書の案についても十何点か、二十点近い意見を出させていただきました。本日もこういう形で参加をしているわけですけれども、正直言ってちょっと空しい感じをむしろ持ってしまったということがあります。今日本当は電力会社の責任について、もう少しきちんとしたことを言いたいというふうに思ってきたんですけれども、先週北海道新聞に、これは2月21日の新聞ですけれども、科学技術庁が26日に、深地層の試験場をいわゆる貯蔵工学センターの計画と切り離して新しく提案をするんだという記事がありました。これは「工学センターを撤回」というふうに書いてありますけれども、今出ている来年度の予算でも、工学センターを前提とした予算が出ているわけで、非常におかしな話だと思いまして、こういう形で何かまたもう一回北海道民を騙すのかという気もいたします。さらに大きな問題は、今ここで処分懇談会で議論しているその議論を待たないで科学技術庁が勝手にこういうことを進めていくということが、いいのかどうかということだと思います。意見交換会の中でも、研究施設のあり方について、何を目的とした施設なのか、どんな形の研究開発というのが必要なのか、いろんな意見が出ました。私自身もいくつかの意見を募集に応じて提出をさせていただきました。処分懇談会でこれから、そういうものが検討される、それを無視する形で、こういう形で科学技術庁は勝手にやっていきますということであるとすれば、意見交換会で今までやってきたこと、あるいは意見の公募をしてきたこと、さらに言えば、この処分懇談会自体が、多少きつい言葉を使って言えば、茶番になってしまうんではないか、そういうことを非常に強く危惧しております。とりわけ高レベル廃棄物の発生責任がある動燃事業団というものが国の行う研究開発の中核になるということについては、先ほどからの何回かの説明の中でもずいぶん大きな反対の声があったと。にも関わらず、しかも今現在動燃事業団法の改正案というものが国会に出ているそういう中で、そういうものと全く関係なしにこういう計画が進められていこうとするということであるとすると、そのことに非常に強い懸念を覚えざるを得ないということを、すいません、補足意見として言わせていただきます。ありがとうございました。

(森嶌)
 はい、ありがとうございました。それでは、次に神奈川県からいらしていただきました竹並孝さん、お願いをいたします。

(竹並)
 私は、高レベル放射性廃棄物の処分方針を早く確立していくべきだと、そういう立場で三点ほどご意見を申し述べさせていただきます。
 初めに、なぜ早く方針を確立すべきかということについてひとこと触れさせていただきますけれども。わが国がエネルギー政策の一つの柱として原子力発電を今後も維持発展させていくという確固たる政策の選択をされているのであれば、私はそうだと理解しているものですが、核燃料サイクルは早く国民の方々に見える形として、示すことが大変重要だというふうに思っております。原子力に批判的な方々が、いろんな人に原子力発電についての否定的な発言をなされますけれど、先ほどちょっとお話がありましたように、「トイレ無きマンション」という表現がございましたけれど、一部のマスコミの方や実情をよく理解されていない一般の方々は、やはり危険な核のゴミである放射性廃棄物の処分方法も決まっていないし、処分場もまだ決まっていない、ということについてはこれから国民の合意を得ながら国の原子力政策を進めていくということを考えた場合、望ましい形にはなっていないと言う印象を持つからであります。
 さて、その処分問題の解決を図るために、私はまずやるべきことは、第一に財政的な裏づけを持たせた責任のある実施主体を早く決めるべきだと思います。やってもらうべき仕事を明確に示して、責任と権限をきちっと持たせた実施主体ができて初めて机の上の空論ではない、本当の意味でのスタートになるというふうに感じております。その際、ご承知のとおり本処分事業は次の世代にもまたがる長期の事業となるわけで、世代間の公平を図ると、そういう意味からも早急に資金の確保をやはり行っていくべきだという見解を持っております。その際は、今まで経験したことのない事業をやるといういう特質を考えまして、その事業主体のあり方や運営等について検討されておりますけれど、その集めた資金の運用の仕組みみたいなものをやはり論じておかなければいけないのではないかというふうに思います。
 次に、立地の問題なんですが、この問題は先ほど来お話されているように大変難しい問題だと思うんですが、私の感想的意見を述べさせていただきますと、やはり立地選定は国の確固たるエネルギー政策に基づいた国の動きが主体にならないと難しいのではないかなあという印象を持っております。地域住民の方々、これはどういう地点になるか分かりませんけれども、地域住民の方々や地方自治体の行政の担当の方々、こと原子力に関する意志決定の段階では、やはり中央行政当局の最終的な拠り所を求めるという現実的な風潮があるわけで、実施主体の精力的かつ誠意ある行動の積み重ねのみではなかなか計画的な立地の推進は難しいのではないかというふうに思います。
 三点目は、施設のコストに関わる研究開発の問題です。処分には応分の費用がかかるということがレポートにも出ていますが、当然受益者負担の資金で建設されるということになるかと思いますが、安全を考慮した上でできるだけ低コストで施設ができあがって運用されるということに越したことはないわけであります。そのためにも、すでにいろいろな計画的に実施されている基礎的な研究に合わせて、低コストによる建設技術の研究開発とか運用システムの研究も行っていくことも必要なことではないかと思っております。
 終わりになりますけれども、最初にちょっと述べさせていただいたように、私は資源小国であるわが国が、昭和30年にいち早く原子力エネルギーの平和利用を決断して研究開発に着手して、その後、昭和40年代初頭に電力会社が軽水炉による発電方式を採用した時点で、核燃料サイクル路線の道を国は選んでいるんだと考えております。まあ少し、今日吉村先生がいるんで表現がしにくいんですが、情緒的表現をさせていただければ、紀元前49年にローマを目指したカエサルと同じように、わが国は同じようにすでに、あの有名なルビコン川を渡ってしまっているんだと考えるべきだと思います。関係者の皆様、その道は大変かと思いますが、やはりカエサルがローマを目指したときのように堂々と核燃料サイクル路線を切り開いて歩んでいただくことが必要だというふうに思っております。以上で私の意見は、終わらせていただきます。ありがとうございました。

(森嶌)
 どうもありがとうございました。それでは次に、やはり神奈川県からいらしていただきました築地道夫さん、お願いをいたします。

(築地)
 はい。今紹介いただきました築地でございます。高レベル放射性廃棄物処分につきまして意見を述べさせていただきます。
 まず、私の意見の前提になります基本的な考え方でございますが、私は日本の現在及び将来におきますエネルギーの自給の問題、あるいは地球環境、特に炭酸ガスの排出量規制の問題等々、特にこの二つの問題は非常に重要なことはもちろんですけれども、その対応策といたしまして原子力発電の利用は、現時点では非常に有効な手段であるというような認識を持っているものでございます。したがいまして、日本におきます原子燃料サイクルの早期の確立、これは非常に重要な課題でありまして、今日ここでこの課題の一部であります高レベル放射性廃棄物処分の問題について論議が行われているのは、非常に大変有意義なことと考えております。以下、この問題につきましていくつかの意見を述べさせていただきます。
 まず一点目は、放射性廃棄物の取り扱いを議論する場合の枠組みと言いましょうか、フェイズと言いましょうか、そういったものでございます。放射性廃棄物には、この懇談会のテーマとなっております高レベル放射性廃棄物、また原子力発電所から発生します低レベル放射性廃棄物、その他病気治療で利用されます医療機関を発生源とする放射性廃棄物などいろいろなものがあります。これらは、どうも各々個々の問題が発生した時点で個別に論ぜられているようなことが多いと感ぜられます。全体としてどういう位置づけにあるかというような問題点と論点が分かりにくいように思われますので、全体的な見地から問題解決の方向が見やすいような区分け、区分でしょうか、そういったものを明確にした上で進めたらどうかと考えます。
 第二点目は、情報の公開でございます。本日のテーマを含めまして、原子燃料サイクルの事業を推進するためには、それぞれが社会的に十分な理解を得ると、これが基本的な条件じゃないかと考えます。そのためには、関連します情報、これを徹底して公開する姿勢で臨んで欲しいと思います。この事業を推進するための基本の政策ですとか研究開発等々、広い範囲の情報を的確に開示していただくということでございますけれども、その手法といたしまして、各界各層と言いましょうか、言い替えますと一般向けの情報、非常に簡単な情報で分かりやすいということでしょうか。それから、いろんなデータ等々載りました専門家向けの情報といったように、それぞれのニーズに応じた十分な情報をタイムリーに公開していただきたいと思います。これは言い替えますと、多様なニーズへの対応を基本にしていただきたいということでございます。それから、特に素朴な質問、あるいは疑問に対しても誠実に答えるような姿勢を貫いて欲しいと思います。
 三点目は研究開発でございます。研究開発が今まで相当数実施されてきているとは思いますけれども、今後もその研究項目につきましては、必要の視点から徹底して厳選していただきまして、その実施にあたりましては、成果が事業推進に与える効果を十分考慮していただきまして、各々節目節目では徹底したチェックを入れていただきまして、時間、経費、マンパワー等々、能率的効率的な推進を図って、得られた成果は先ほど申し上げましたように迅速に分かりやすい形で公開をしていただきたいと、こう考えます。こういう点では、地下の研究施設の設置、これは技術的な内容が具体的に分かる、理解できるというようなことで、非常に重要なことだと考えます。早期の設置が望ましいのではないかと考える次第です。
 四点目は実施主体でございます。組織形態につきましては、技術的能力ですとか、経理的基礎ですとか、いろいろな諸条件があるとは思いますが、この事業の推進が長期の安全確保、これが絶対条件でないかと思います。私ども国民が安心感を持てる永続的継続的な責任体質のもとで推進するものでなければならないと考えます。今回の報告では民間が基本というような書かれ方をしておりますけれども、この事業が非常に高いレベルの放射性物質を長期間扱うというようなことになりますので、国が長期的な安全確保と万一の場合における措置を講ずるというような立場で管理をしていただければと考えます。さらには、立地が難航することも予想されます。立地に際して、国が自治体の説得に積極的に参加しないと、自治体の協力が得にくいような状況になっているのではないかと考えます。特に最近自治体が、原子力に関しましては国が前面に出て欲しいというような発言をする状況でございますので、ぜひ国が主導的な役割を担って欲しいと思います。以上です。

(森嶌)
 どうもありがとうございました。それでは、意見発表者の最後に早稲田大学の吉村作治さん、よろしくお願いいたします。

(吉村)
 どうも、吉村です。高レベル放射性廃棄物処分懇談会というところで原子力発電がいいか悪いかというようなことを話すのは、基本的にちょっとお門違いかと思いますけれど、私は地球温暖化問題の中心的物質、石炭とか石油のエネルギー源としての使い方に規制をつけるべきだと考えている人間として原子力発電をもっと陽の当たるところに出すべきと考えています。もちろん原子力発電の安全性とか、核融合の問題とかもっと考えるべきとは思います。21世紀、22世紀には避けられないエネルギーだと思います。そうすると、当然この高レベル放射性廃棄物問題というのは出てくるべきものです。これが出てくるのが分かっているのに今までやらなかったのはなぜだ、よくないと言う議論がありますけれど、これは「覆水盆に返らず」の論と同じで無理難題というものです。
 一方、「だから今やっているんだ」と言う方が説得力があるのではないでしょうか。逆に言うとですね、今の段階でこういう懇談会みたいのをやられているというのは、今までのいろんな国のやり方の中ではかなり僕は民主的であるし、進んでいるというふうに思います。私自身正直な話、今回この話をしろと言われるまで、この問題を真剣に考えませんでしたし、認知していませんでした。それは、主婦連の方の「みんな国民は知っているんだ」というのとズレがあります。私はここに来る前に学生にも聞いてみましたけど、学生もそういうことは全く考えたことはないと言っていました。それから、私の友人の主婦とかサラリーマンにも聞いてみましたけれど、全くそういう認識はないと言っています。例えば今回たくさんの方がいらしゃっていると言いますけれど、実際は本当に国民の数から言ったら非常に小さなパートだと思うので、こういった機会をもっと増やすべきと思います。これをもっと広げるということが非常に重要だと思います。
 次にいくつかの点について私の意見を述べます。研究開発についてですが、これは非常に重要なことだと思います。研究開発をぜひとももっともっと予算をつけてやっていただきたい。そして、それもただ単に高レベル放射性廃棄物ということだけを目的にした研究開発だけじゃなくて、原子力発電、はたまた核分裂だけじゃなくて核融合のことも含めた、原子力に関する全ての研究開発を複合的にすべきだと思います。それをやっていかないと、やはり高レベル放射性廃棄物だけをいくら研究しても、僕はあまりいい効果は望めないと思います。もちろん効果はあるのかも知れませんけれども、もっと複合的にやらないとダメだと思います。処分の方法についてですけれども、いま宇宙処分、海洋−海の底に処分する−とか、地層処分などありますが、その中で、地層処分が一番いいんだというふうにご発表されていますけれども、その辺りの決定的な説得力がないように思われます。もちろん専門家が考えたのでしょうからそうなんでしょうが、私たちにももう少し分かるように説明して欲しいのです。例えば、地上はなぜダメなのかという、その辺のところの少し説明が欲しいなというふうに思うんです。どうしてかと言うと、やっぱり我々は阪神・淡路大震災のことも考え合わせ、地震国という国の中で、地震のとき地下においてどういうふうにやって守って下さるのかなあと心配してしまうのです。しかも密閉してしまいウォッチングしないということらしいんで余計心配になってしまいます。不安というものは重要なことで、人間にとって一番大事なのは現実より不安感でございますから、現在の経済不安も日本の今の現状、経済が悪い悪いと言っていますけれども、不安感が先立っているということは、皆さんもご存知だと思いますね。ですから、不安というのをどうやって取り除くのかということを考えてもらいたいのです。これは後に申し上げますが、広報の問題ではないかと思うんですね。
 それから経済的な点で言いますと、やはり研究開発までは国が出すべきであろうと、僕は思うんですね。その利益をもたらすものではないものは国がやるべきであろうと私は思っております。十分にお金を使って、銀行を救うのに公的資金であれだけのお金を使うことを考えますと、もっと大事な次世代まで必要と思われるものですから、ぜひとも公的資金を使っていただきたいと思います。それから、処分費用は当然、みなさんがおっしゃっているように受益者負担ですから、電力料金の中に入れるべきだと思うんですね。ただ、そこで先ほどおっしゃられていた電源開発税というものがすでにあるんだとすれば、それをもう少しパーセンテージを増やして、電源開発のためだけではなくてその処分のための費用も入れるべきです。税金の意味というのは、やはり普通の税金から取りますと、まあ中には電気使っていないのにそんなの取られるの嫌だと言う人もいるでしょうから、そうじゃなくて「使ったものに対する比率として払うんですよ」という方が、僕はリーズナブルだと思うんですね。
 それから、処分地選定のプロセスですけれども、これはもう無人島だとか他の国だとかということは考えずに、日本国内の環境に適合した場所にすべきではないでしょうか。そこに選ばれた自治体は安全性を強く求めながらも自益から受け入れるよう国サイドが誠意をもって説得すべきではないでしょうか。首相クラスの方の直談判とかで。これはちょうど基地の問題と同じと考えていいと思うんですね。基地だって、それはみんな誰だって嫌なわけですけれども、そういうものがないと国が守れないんだぞということで、他に逃げるのではないということですね。
 それから、法律をつくるべきだというご意見、僕は大賛成でございまして、ぜひとも法律改正と言うのか新しくつくるのか僕は分かりませんけれども、法律をまずつくっていただきたいと思います。第五番目に、やっぱりPRの問題なんですけれども、先ほど言いましたように、ここで「国民各層における十分な議論」と書いてありますけれど、議論をするときに、知識もなければ見識もない人が議論をすると、本当にばかばかしい議論になるんですね。そういう傾向が、この意見を見て、大変申し訳ないけれどあります。私自身あまり高レベル廃棄物の問題を考えてから間もない輩ですが、この意見書の欠如すら感ずるものもあるのです。もちろん立場上主張しているものもあるでしょうが、もう少し前向きの議論をすべきではないでしょうか。ですから、そうなると学校における教育から変えていかなければいけないと。だから、小学校、中学、高校、大学のカリキュラムの中に将来の日本のエネルギーを考えるものを組み込まないとダメなのではないでしょうか。
 それから、情報公開、それを然るべき公開の仕方でもってやっていただきたいと思います。例えば、インターネットだっていいでしょう。例えば私がやっているエジプト関係ですら月に1万件ぐらいアクセスがあります。ですからインターネットを使うということもあると思いますし、その他、もっと電力会社のPRにお任せするだけじゃなくて、テレビのコマーシャルもあるだろうし、新聞でも打つ手があるだろうし、雑誌での対談を載せることもあると思います。現在テレビでも政府広報をいろんなことでやっていますから、そこに入れてもらえばいいのです。そこで高レベル放射性廃棄物というものは一体どういうものかを知ってもらえばいいでしょう。また、テレビのいろんな番組、情報番組でも取り上げてもらうことが難しければ、その時だけでも国がスポンサーになるとか、やられる努力は絶対必要だと思いますね。税金をそういう形で重要に使われないと、やはり我々としては疑心暗鬼になるということしかないと思うんですね。実は、その一番大事なことは、人間知ると少し安心するというのがあります。ですから知らされずにいつの間にか不安になるというものが一番いけないわけですね。特に原子力に関しては動燃のあのやり方が非常に残念です。そういった経緯から、私たち日本人はあれ以来原子力アレルギーになってしまいました。これをどう取り除くかがんばるべきでしょう。ですから、あれはあれとして、あの失敗をうまく転化して今後この高レベル放射性廃棄物の処分というものについて、国民が安心したコンセンサスをつくれるような広報活動の努力をしていただきたいと思います。以上です。

(森嶌)
 ありがとうございました。それでは、時間がほとんどありませんけれども、約15分でございますが、各委員どなたからでも結構です。また、どなたに対する質問かは明らかにして、どなたに対してでも結構でございます。お一人お一人というわけには時間的に許しませんので、どうぞどなたからでも。はい、木元さん。

(木元)
 何か私からで恐縮ですが、吉村先生。今いろいろとお話を伺っていて、吉村先生のご専門の「発掘」のお立場で、地層処分されたいろんなものが、先生のご研究の中で出てきますよね?

(吉村)
 はい。

(木元)
 もちろん、ガラスも出てきますよね?

(吉村)
 はい。

(木元)
 ガラスというのは安定しているものですか?先生のお立場からご覧になっても。

(吉村)
 ガラスはすごく安定した物質です。例えば、いま我々が発掘する一番古いガラスで言いますと、1万年ぐらい前のガラスが出てきたとしても、それは土に埋もれていますから、土の影響が非常に大きいので、こういう空洞の中に入れていったら空気の影響力は弱いですから、ほぼ間違いなく安定した状況で残っていると思います。1万年ぐらいは問題ないと思いますね。1万年ぐらい経つと、人類がそこまで生き残れるかどうかということがまず一つの問題ですが、他の問題として次の氷河期が来ると思いますので簡単には言えません。ともあれ、ガラスで固定化するというのはいい方法だと、考古学者として私は思います。

(木元)
 ありがとうございました。

(森嶌)
 他にどうぞ。はい、石橋委員。

(石橋)
 大原さんにお伺いしたいのですが、原発の必要性にCOP3とかエネルギーの確保を挙げられておられたのですが、一方では通産省なんかで新エネルギー大綱とか、最近電力会社以外の会社が電力を売っていると、それも相当の量になってきているということですが、今わが国では、欧米から見て、代替エネルギーと言いましょうか、電力会社以外のそういう事業者が開発する代替エネルギーなどについての助成というのは、相当まだ低いんですね。清水さんもさっき比べておりましたけれども、一方で、そういう原子力に対する公的な支援というものが相当ある。そういう新エネルギーとか代替エネルギーに対する公的支援開発、そういうものについてどのように見ておられますか?

(大原)
 分かる範囲でお答えしたいと思います。と言いますか、私は専門家ではありませんが、いろいろな研究は今なされているんだと思います。太陽エネルギーから風力、それから地熱、それから潮力発電だとかいろいろ研究されていると思います。それは21世紀にはどんどん日の目を見てくるというふうに考えますが、トータルでも全て合わせてもまだ1%に満たないオーダーというふうに理解しております。そういう意味で、今30%から40%になっている原子力に頼らざるを得ないと。これは、21世紀の中ごろには太陽エネルギーも相当、数%あるいは10%に近いようなオーダーで発電されるかと思いますが、今は、まだトータルでもまだ1%未満だというふうに理解しています。以上です。

(森嶌)
 他にどうぞ。はい、野口委員どうぞ。

(野口)
 高木さんにお聞きしたいんですが。先ほど吉村先生も処分の場所について地上もあり得るんではないかと、お話をされました。高木さんはいろいろなオプションを含めて全ての選択肢を出すべきだと言うご意見ですが、具体的に、と言いますか、例えばでも結構なんですが、その処分のあり方としてどんなものが考えられるか、ご意見聞かせていただければと思います。

(高木)
 私はいろんなオプション出してきちっと議論するのが大切だというので、今ここで一つピンポイントするという立場でいま発言したわけではないんですけれども。お求めですので、例えばという言い方で言えば、まず、核燃料を、使用済燃料を再処理するかしないかというここでのオプションがあるわけですよね。その再処理しない場合は、使用済燃料の形、多少の手を加えるんでしょうけれども、コンディショニングということはやるんでしょうけれども、それを使用済燃料のまま管理して最終的な処分をするかどうかということがあって。処分するか、その長期管理をするかということについて言うと、その管理の方についても最終的に地上で管理するという意見もオプションとしてあると思うんです。それから、当面は地上管理を続けて、もう少し地層についてとか、百年かかるかどうか分かりませんけれども、認識を深めて、これでいいということで達したらという意味での暫定的地上管理を続けるという案もあると思うんです。それから、その暫定的なものかも知れませんけれども、長期を考えても両方ありうると思うんですけれども、地下に貯蔵して、しかも、先ほど吉村さんが言ったことと関係があるんですけれども、常に監視している状態に置くという地下貯蔵ですね。長期に回収可能な状態に置いて管理するという、地下貯蔵するというような。今の処分というのは埋設してしまったらもう回収しないし、チェックもできないという状態にしてしまうんですから、そういう非科学的なことは避けるという管理と言いますか、貯蔵と言いますか、そういう仕方もあると思うんですね。それと、最終的に処分してしまうという、そういうオプションがあると。それぞれ特質があると思いますし、それから経済的なことも違うと思いますし。だからそれをきちっと出して、材料を出して、検討するというところから議論を始めるべきだというふうに私は思います。
(森嶌)
 他にございますか?はいどうぞ。

(吉村)
 高木さんに質問したいんですけれども。この二番目のところに「最初に地層処分ありきではない、開かれた議論を。原子力推進を前提としない、推進を前提としない議論を」とありますが、原子力は推進しないんだということを前提として議論になりますかね?その議論というのは、例えばこの地層処分という問題に関してこれだけの議論をやってきて、なおかつこれに持ってくるまでに専門家がいろいろ議論して、そうやってある程度精度の高いレポートが出てきて、それをまた一般の人に、知識もばらつきのある人も全部含めて議論してもらって、それでなおかつ議論するっていうことは、止めろっていうことだっていうことが、ここのところに衣の下に鎧が見えているように、原子力推進を前提としない立場からくる議論と取られても仕方がないのではないかと思うのですが。しかもこの論の根底には、高レベル放射性廃棄物はどうするんだということの終結の責任を全く放棄しているわけではないでしょうか。にも関わらず、次世代の世代の責任の問題についてっていうことを言っているのは、自分自身の中に矛盾したものを持っていると言えないでしょうか。そういう立場から、あなたはどういうふうに解決したいのか。私はそれを聞きたいですね。

(高木)
 いや、全く矛盾していないですね。

(吉村)
 もちろんお立場からはそう言わざるを得ないでしょうが、一般的には納得されないと思います。

(高木)
 そういう議論が一番よくないと思うんですね、私は。もうあるんだし、原子力やっているんだから、テーブルに着けと。それで、もう推進はもうしようがないんだという形で、議論をすれば非常にそれは一方的な議論にしかならなくて。それだったら、何言っても反対だというレベルの反対と推進を前提とした処分論というのしか残らない。二分化してくる。それだと議論にならないと、むしろ思うんですね。

(吉村)
 では、こういった議論は必要ないんですか?じゃあ、あなたは、石油が中心となって電力をつくるために起きる環境問題はどう考えているのですか?その問題をちゃんとクリアできますか?

(高木)
 いや、それはまた別の問題でしょう。

(吉村)
 いや、別じゃないですよ。

(高木)
 私たちは「石油はどんどん焚け」というようなことを議論しているわけではない。それは非常に乱暴な議論で、いかに、例えば先ほど私ちょっと言いましたけれども、いかに省エネルギーをしていくかということを本当にやっぱり合意して、例えば石油を焚いていることによる廃棄物が二酸化炭素だと思うんですね。それから、原子力をやることによる廃棄物が放射性廃棄物、特に高レベルだと思うんですよ。この両方をきちっと議論しないで、ここは今高レベルっていう議論ですから高レベル放射性廃棄物の問題をやっておりますけれども、だから「二酸化炭素はいい」という議論は一つもやっていないですよね。それで、それを含めてやる必要があればやるべきだと思うんです、それは。だから、私は答えとしては、省エネルギーという方向に行くべきだと思いますし、放射性廃棄物だけではなくてあらゆる廃棄物の被害が一番少ないエネルギーのあり方と生活のあり方というのはどうなのかということを国民全体が参加して議論すると。それが、みんな実際消費しているのは国民全体なんですか、そういう人たちが参加して、そういう放射性をとっていくと廃棄物が今後の世界でどうあるべきなのかということをきちっと議論に乗せなかったら、それは二酸化炭素の問題だって放射性廃棄物の問題だってどっちも本当に片づかないと思うんですよ。これは、かなりここで時間かけて、周到な議論をしてそれで納得が得られるのかどうかという難しい問題もあるかと思います。しかし、そういう心掛けできちっとした議論を展開していかなかったら、僕はかなり時間は非常に時間がかかってもいいと思うんですけれど。いかなかったら、最終的にこのことで廃棄物問題何らかの納得が得られるなんてことは、絶対僕はないと思うんですね。それはもうそう思うから言っていることであって、吉村さんの今の言い方はちょっと違うと思うんですけれど。

(森嶌)
 他にございますか?川島さんどうぞ。この意見陳述者の間の議論ということで、ちょっと予想しておりませんでした。どうぞ。

(川島)
 いや、委員の方にお聞きしたかったんですが。

(森嶌)
 ああそうですか。はい、どうぞどうぞ。

(川島)
 いいですか?鈴木委員か、お分かりになる方に教えていただきたいんですが、ロシアとアメリカで太平洋上で無人島に処分場をつくるというのはどうなっているんでしょうか?
(森嶌)
 鈴木委員。

(鈴木)
 いや、私はそういうことについてはほとんど知識を持ち合わせていませんので、どなたかご存知の方いらっしゃればお答いただきたいと思いますが。

(森嶌)
 あるいは、事務局でそういう情報を持っておられますか?ロシア、あるいはアメリカで無人島で。

(有本)
 海外の新聞で載ったことはありますけれども、それが政府の方針としてどんどん進められているということではなくて、単なるプライベート、あるいは、一カンパニーのアイデアということではないかと思いますけれども。

(川島)
 ありがとうございました。

(田中)
 森嶌先生、よろしいですか?

(森嶌)
 田中委員、それから南委員、どうぞ。

(田中)
 今の高木さんと吉村さんのご意見、おそらくウェートの置き方でご意見の相違が出たと思うんです。ただ、現実論的から言えば、炭酸ガスの排出をゼロにすることもできないし、それから、今さら原子力をゼロにすることもできないわけですね。ですから、やはり当面は化石燃料と原子力の両方を両立させながら供給を増やしていかなければならない。ところが、化石燃料からも原子力からも、必然的に廃棄物が出てくるわけですから、廃棄物同士のトレードオフ、CO2と放射性廃棄物のトレードオフをどうしていくかということを決めるということが一番大事なことです。原子力を全然止めてしまうというそういうオプションはあるけれども、そのオプションは、僕は個人的、日本人としては極めてアンリアリスティックだと思うより仕方がないと思うんですね。これは、日本だけがアンリアリスティックであるんではなくて、どこの国でもそういう議論はあるんだけれども、国民が最終的に選択するときは、環境を破壊するといわれる温暖化現象などを抑制するためのCO2の排出を規制するということと、それからもう一方では、原子力のバックエンドのところの問題であるところの高レベルの廃棄物の安全性が確立されていなければならないと思います。安全性についていえば、科学技術的に安全性を確保するということだけではなくて、かなり長期間にわたるであろうところの、廃棄物を処分する制度の永続性と、さらにそれに付帯して安全感を確保していくというメカニズムをどのように設定するかということだろうと思うんですね。ですから、原子力の議論は、両極端のオプションは理論的にはあり得るけれども、非現実的であって、実際にはそれは採るべき正当な理由がないということをはっきりさせる必要があると思うんです。

(吉村)
 ひとこと言っていいですか?私は別に「石油やめろ」なんてひとことも言っていませんから。十分にご理解をお願いしますよ。議論を分離させないで下さい。

(田中)
 それは十分了解しています。それは大丈夫です。で、むしろ私は、エジプト学者の吉村さんに伺いたいのは、エジプト学のご専門であると同時に中近東のご専門でもあるので、歴史を紐解くまでもなく、パーレビ国王の時代にはイランも原子力開発を一生懸命やっておりましたしね。それから、現在ではエジプトもかなり原子力開発に関心を持っていると聞いています。それから、インドネシアでも21世紀に向けて原子力開発あるいは原子力発電の計画を政府が推進しています。その辺のこともいろいろ教えていただきたいと思います。それから、高木さんには、…

(森嶌)
 恐れ入りますけれども、予定されている時間がありますから、簡潔に何をお聞きになりたいか言っていただけますか?

(田中)
 はい。それからもうひとこと、高木さんに。私は高木さんのインターネットのファンなんですよ。ですが、今ここでメモにお書きになったようなことも、ぜひ我々素人に分かりやすくインターネットに流していただきたい。情報環境というのはしょっちゅう変わりますから、それにあったような新しいバージョンをどんどん流していただいたら我々もずいぶんいろいろ学ばせていただけるだろうと思います。どうも、議長ありがとうございました。

(森嶌)
 ええ、どうも。

(高木)
 ちょっとひとこと。ひとこと、田中さんの。

(森嶌)
 はい、どうぞどうぞ。

(高木)
 私は非常に長期的な、30年、50年、100年というようなレベルで、要するに将来を考えて廃棄物問題をちゃんと議論しなくちゃいけない。その時に私は、きちっと原子力のないシナリオというのを、あるいは石油を減らしていくシナリオというのもオプションとして書いていくことは十分可能だと思いますし、そういうことをちゃんといろんなシナリオを書いてそれを議論するということが、望ましいということをここでは言っているつもりなので。

(森嶌)
 はい、ここで議論の仕方について議論をしようとは思っておりませんので。あの、南委員どうぞ。

(南)
 清水さんに。最初ちょっと私の意見を言いながらお願いと言いますか…。

(森嶌)
 あのちょっと、マイクのところでお話をしていただけますか。

(南)
 ご意見を伺いたいんですけれど。先ほど、30年ぐらいですか、30〜40年前に原子力発電所などの研究所などが発足した時に、すでにもうその廃棄物の問題を非常に憂慮しておられたというのは、一つには清水さんの聡明性があるとは思うんですけれども、もう一つはあの時代生きていらっしゃる方はお分かりだと思いますが、戦後原子力爆弾、原子爆弾のためにいろんな問題が起こっていて、極度のアレルギーが私どもは持っていたのも事実だとは思うんですけれども、それをきちっと覚えていらっしゃってというのは素晴らしいと思うんですね。今みんなが理解している、ほとんどの人がしているとおっしゃいまして、私は、私の理解でも自分の専門分野ではないんですが、理解できる基本的な勉強をしておきながら、分かっていない部分がものすごくあるんですね。若い方、もちろん私とか、清水さんの年齢の人たちが、分かるためにより広く賛成でも反対でもどちらでも結構ですけれども、それを通しながら基本的なことを少しでも勉強する機会であるとか、そういったものに関して何かいい方法とか、まあ現実にやっていらっしゃることとか、あるいは、やりたいけれどもできないとかということがあれば、ちょっとこの場で長くはお話にはなれないと思いますが、ちょっとお聞きしたいと思いました。

(森嶌)
 どうぞよろしくお願いします。

(清水)
 直接お答えになるかどうか分かりませんけれども。先日、私福井へまいりまして、やはり環境・エネルギーのトークアンドトーク、500人くらいの規模の婦人団体の会合があって行ったんですけれど、そこで感じたのは、やはり原発をたくさん抱えている地域の消費者の方と、それからたくさんエネルギーを使っている大都市との消費者との学習のレベルがかなり違ってきていると。私たちの方が、学習がちょっと怠ってきてたということをすごく実感して帰ってきたんです。それで、前から先生にはいろいろそういうアドバイスもいただいたことがございますので、私は今日こういう機会に改めていろんな資料を読ませていただきまして、自分の過去の運動も振り返りながら、やはり今COP3との関連しますけれども、やはり高木さんがおっしゃったように、暮らしの中でどういうふうにエネルギーを無駄なく使った暮らしができるかということでは国民的な共通の認識があるというふうに思います。それから松田さんの廃棄物の問題でも、やはり無駄な資源を使ってゴミにしていってエネルギーを使うということが問題だっていうそういう幅広い共通がありますので、原発の廃棄物だけでなくって、やっぱりかなり広がってきているということで、こういう機会はとてもありがたかったと思います。それから、ちょっと申し上げたい。「認識がない」と言ったのではなくって、「認識がないというふうに思いこむと、やはりその広報は上から押しつけになる」ということを申し上げたかったんで、私の言い方が下手でございましたけれど、そこら辺はそういう気持ちで申し上げた。「分かってないから」というと、どうしてもお上が下々に何か言って聞かせるみたいに、「まだ分からないんですか」っていうふうに広報が押し付けがましくなると。それでは合意は得られないというふうな意味を言いたかったんです。いつもありがとうございます。

(南)
 いえいえ。

(森嶌)
 どうもありがとうございました。たぶん、まだご質問もおありかと思いますし、たいへん時間が短かったためにご意見の発表をお願いした方々のご意見の発表もですね、十分でないと隔靴掻痒の感をお持ちだと思いますが、これに懲りずに今後とも私どもの懇談会の活動、あるいは私どもの書くものについてご意見をお寄せいただきたいと思います。今日は本当に8人の意見の発表者の方々、ありがとうございました。