「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第5回(福岡)
−議事録−

1.日時  平成10年1月14日(水)  13:00〜17:30

2.場所  アクロス福岡 大会議室(福岡市中央区天神1-1-1)

3.参加者 (◎は議事進行役)

(1)地域参加者(14人)
  石窪奈穂美  消費生活アドバイザー
  大谷 鮎子  女性の暮らし研究所所長
  木原 省治  原発はごめんだヒロシマ市民の会代表
  児玉 英男  九州電力株式会社取締役副社長
  田崎 耕市  愛媛大学理学部教授
  福留  清  しまねフォーラム・エネルギー問題協議会参与
  堀江以喜雄  元高校教師*
  益田 義孝  原子力モニター(元公務員)*
  松岡 信明  会社員*
  森  賢士  農林業*
  山口 榮智  速記士*
  山中富由美  原子力モニター(主婦)
  山本 華世  フリーキャスター
  吉岡  斉  九州大学大学院比較社会文化研究科教授
                   [*:公募による地域参加者(5名)]
(2)原子力委員会関係(11人)
 @ 原子力委員会
  遠藤 哲也  原子力委員
  藤家 洋一  原子力委員会委員長代理
  依田  直  原子力委員

 A 高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
  石橋 忠雄  弁護士
 ◎木元 教子  評論家・原子力委員
  下邨 昭三  高レベル事業推進準備会会長
  深海 博明  慶應義塾大学経済学部教授
  松田美夜子  生活環境評論家
  森嶌 昭夫  上智大学法学部教授

 B 原子力バックエンド対策専門部会構成員
  小島 圭二  東京大学大学院工学系研究科教授
  鈴木 篤之  東京大学大学院工学系研究科教授

(3)事務局
  有本 建男  科学技術庁原子力局廃棄物政策課長
  岡谷 重雄  科学技術庁原子力局廃棄物政策課長補佐

(4)一般傍聴者 132名(応募者214名,うち当選者150名)

(5)報道関係者 16名(10社,うち放送関係2社)

4.議事
(1)開会
(2)概況説明
(3)地域参加者による意見発表
<休憩>
(4)意見交換
(5)一般傍聴者からの意見聴取
(6)閉会

5.配布資料
○「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(案)」
(平成9年7月18日,原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会)
○「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について」−参考資料−(案)
(平成9年7月18日)
○「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」
(平成9年4月15日,原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会)
○高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書案に対する意見募集について
○高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書案「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(案)」に対する意見記入用紙
○国民の皆様へ―今なぜ高レベル放射性廃棄物処分についての議論が必要なのか―
○高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する地域での意見交換会の開催について
○「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」意見記入用紙


6.議事内容

(岡谷)
 皆さんこんにちは。開会数分前になりました。開催に先立ちまして四点ほど注意事項をお知らせしたいと思います。まず、第一に場内禁煙になっておりますので、お煙草の方はご遠慮下さい。二番目にポケットベル、携帯電話、このようなものをお持ちの方は、恐れ入りますが音は鳴らないようなモードに設定をして下さい。お願いをいたします。それから写真などをお撮りになられる方は、恐縮でございますが、後ろの方にエリアがございます。黄色い線が引いてあると思いますが、その中で写真などを撮っていただきますようご協力お願いいたします。最後になりますが、円滑な議事運営のためにどうぞご協力の程よろしくお願いをいたします。それから会場の入り口の所にお飲物などをご用意いたしますので、どうぞご利用下さい。本日ご意見等あると思います。そのような場合、皆様のお手元にこのような意見記入用紙というのをお配りしていると思います。恐縮でございますがこの意見記入用紙にご記入の上、休憩時間がございますので休憩時間に回収箱の方にお入れ下さい。この会の終わりの方でご意見をご紹介することになると思いますので、よろしくお願いします。なお、その際この住所覧、連絡先等、こういうところをしっかり記入しておいていただければ幸いです。この記入用紙そのもの自体が公開されますので、どうぞご協力の程よろしくお願いをいたします。あと数分ほどございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

(岡谷)
 定刻になりましたので、ただいまから第5回の高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会を始めさせていただきたいと思います。私、全体の総合司会をさせていただいております岡谷と申します。一つよろしくお願いいたします。
 意見交換会、これで最後になりました。私たち、北は北海道から南はこの九州まで、本当にいろいろな方々とお会いすることができ、いろんな議論ができました。厳しいご意見もございました。激しい議論もございました。だけれども、厳しいご意見を賜っていただいた方々も意見交換会が終わった後には、そうっと私の所に寄って来られまして「今日はきついこと言うた。とってもきついこと言うた。だけど気にするな。それは、それ。君ら若い者がこうやって一生懸命やろうとしている、これが大事なんだ。このやり方をずっと続けて欲しい。へこたれるな。どんどん頑張ってやれ。」こういうことを言ってくれた時には、私本当に涙が出てきました。このように、立場を越えて、主義主張を越えて、あるいは考え方を越えて多くの方々がこの高レベル放射性廃棄物という難しい問題について一緒に考えようと、そういうコミュニティーがどんどん広がっていくのを本当にこの5回を通して実感することができました。今日この会場に来られている方お一人お一人も、ここで聞かれること、感じられること、それをぜひ帰られてご家族の方々、特にお子さんにお伝えいただきたいと思います。本当に私たちが自分達の子どもに何を残して行くことができるのかということを、真剣に考えていきたいと、このように思わされる次第でございます。
 開会にあたりまして、藤家委員長代理からご挨拶がございます。

(藤家)
 皆さん本日は雨の中多数お出かけいただきまして心から御礼申し上げます。原子力委員会の藤家でございます。文明を享受する上でエネルギーは不可欠でございます。日本も原子力開発に着手しましてから40年を過ぎております。こういった文明を享受する一方で、原子力発電から出てくる放射性廃棄物をどうしようかというこの問題は、主義、体制を越えて世界の原子力発電国の共通の課題でございます。原子力委員会も当初より深い関心を持っておりましたが、平成7年9月に原子力バックエンド対策専門部会と、それから高レベル放射性廃棄物処分懇談会の二つを設置いたしまして、前者については専門的な観点からのご議論、後者については、広く社会一般のご意見を承るというようなことも含めて検討を進めてまいりました。幸い皆様方のご協力を得まして、報告書ができる段階になってまいりました。原子力委員会は、開かれた原子力委員会をモットーにしておりまして、広く国民の皆様と直接お話し合いをするということを心掛けてまいっております。特にこの高レベル放射性廃棄物の問題は、まさに国民合意の中に進めていく必要があると思いまして、多くの場所でこの会合を開いてまいったわけであります。この基本的な考え方は、皆さんにすでにお配りいただいているはずですが、この懇談会座長の近藤先生がこの中に「国民の皆様へ」ということで書いておられますが、ここで尽くされております。特に私、ここで注目しておりましたのは、この合意が「我々の世代で現にある廃棄物の処分の方策を立てるべきであって、決定を次の世代に委ねるのはよくない」という大変なご決意のもとにこの報告書案がまとめられたとうかがっております。これまでこのご意見を承る会は、大阪を皮切りに、札幌、仙台、名古屋と続けてまいりまして、今日は5回目の会合でございます。ご出席の皆さん、さらに今日ご意見をお述べいただく皆さんには、これからの4時間どうぞ精一杯お考えになっていることをお示しいただきまして、私どもがこれからこの報告書を決定し、さらには政策の中にこれを取り入れていく時に十分参考にさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

(岡谷)
 それでは、本日ご出席いただいている方々をご紹介したいと思います。向かって左側からご紹介させていただきます。高レベル放射性廃棄物処分懇談会の委員、松田さん。同じく処分懇談会委員の深海さん。処分懇談会委員の鈴木さん。同じく処分懇談会委員の下邨さん。原子力バックエンド対策専門部会委員の小島圭二さん。処分懇談会委員の石橋さん。九州大学大学院比較社会文化研究科教授でいらっしゃいます吉岡さん。フリーキャスターの山本さん。原子力モニターの山中さん。速記士の山口さん。農林業を営んでいらっしゃる森さん。会社員の松岡さん。元公務員、原子力モニターでいらっしゃいます、益田さん。元高校教諭の堀江さん。しまねフォーラム・エネルギー問題協議会参与の福留さん。愛媛大学理学部教授の田崎さん。九州電力株式会社取締役副社長の児玉さん。原発はごめんだヒロシマ市民の会代表の木原さん。女性の暮らし研究所所長の大谷さん。消費生活アドバイザーの石窪さん。処分懇談会委員の森嶌さん。処分懇談会委員であり、また評論家である木元教子さん。1月1日に原子力委員に就任されてます。それから、同じく原子力委員の依田直さん。原子力委員会委員長代理の藤家さん。原子力委員の遠藤さん。以上でございます。なお、本日ご出席を予定されていらっしゃいました、佐賀大学の上原さんは、体調を崩されましたので急きょご欠席になりました。本日の議事進行は、木元さんにお願いしております。それでは木元さん、よろしくお願いいたします。

(木元)
 はい、木元でございます。座ったままで議事進行させていただきたいと思います。今まで1回から4回までも、私がさせていただきました。今までの私の仕事の中身からいって、一番このメンバーの中で慣れているのではないかというご配慮があったかも知れません。この重責を頑張って務めさせていただきたいと思って今日までやってまいりました。今日5回目で、福岡が最後なんですけれども、先ほど岡谷さんがおっしゃったように、一生懸命やってきたけれどもまだまだやり足りないなと、私自身も非常に感じております。やはりこういった会がいろんな形で開かれて、皆様の目に触れて、マスコミの方々も注目していただき、その中でいい進展が見られればと期待しております。私個人としては、こういった会をもっともっと続けていかなければならないと思っております。いろいろな省庁の内部からでも、画期的だということをおっしゃって下さる方もあり、それはいい意味でも悪い意味でもそうかも知れません。いい意味としてとらせていただきたいと思っております。それから、皆様にご配布した資料がありますけれども、あくまでも、高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書案ということで出させていただいたわけで、28回ほどこの両側にいるメンバーの方々とご一緒に討議させていただきました。それ以外にこういうような参考資料が入っておりますので、今はご覧になれないと思いますが、これがたたき台です、あくまでも。これをもとにしてお話し合いを進めようということです。ですから、ここで意見の集約を行うだとか、あるいは結論を出すとか、そういう性格の会ではございませんのでご了解いただきたいと思います。それからもう一つ、ここでチェックさせていただきたいのは、今日本の電力の供給は30%以上原子力によってまかなわれているわけですけれども、この電力を供給する際に出たゴミ、これは電力側、国側だけが考えればいいことではなくて、私ども一人一人、使用者側だって責任があるじゃないか、そういう立場でものを考えたい、と思っているんですね。私たちの暮らしの結果から出たゴミではないか。こういう考え方が基盤にあります。ですから、ここで、原子力発電の有無だとか、あるいは功罪だとか、それからFBR・高速増殖炉の問題であるとか、その是非論などはまた別途の形で論議する場があると思いますので、そこでさせていただきます。ですから今日は、あくまでも私たちが使って出したゴミの処分について、どうあったらいいか。それを中心にお話しをさせていただきます。それから、先ほど用紙のご説明が岡谷さんからありましたので、ぜひ今でもご意見がありましたらそこでお書きになっていただければと思います。あとでそれは集積いたしまして、その中から問題ごとに分けて発表させていただきたいと思います。実は、1回目が大阪で始まったんですけれども、以来いろんな反省がありまして、時間が短いということで時間を延長したり、参加者の方々をもっと増やしたらどうかとか。こちらからお願いする方以外に公募の方にも入っていただこうじゃないかということで公募をさせていただいて、今日も5名の方がお入りになっています。新聞記者の方に立ち会っていただいた上での厳正な抽選の結果お入りいただきました。ですから、人数が、今日お一人ご欠席ですけれども、遠藤さんの方から松田さんの方まで、「おーい」という感じの横長の形です。また今日は時間を延長いたします。1時間延長いたしますので、5時までさせていただきますので、大変恐縮ですけれどもお付き合いいただきたいと思います。出入りは自由です。ひっそりと出てひっそりと戻ってきていただきたいと。休憩はとりますので、よろしくお願いしたいと思います。事務的なことに加え、ちょっとお話しさせていただきました。そろそろ本題の方に入らせていただきます。まず事務局の方から、今日のこの高レベル放射性廃棄物、今までどういうふうに取組んできたか、どういう考えを持ってきたのか、この概況の説明をしていただきたいと思います。OHPを使わせていただきます。有本課長、ご説明をお願い申し上げます。

(有本)
 それでは、しばらく私からご紹介申し上げます。まず今日ここにお集まりの方々、一般の傍聴の方々、日本全国から214人ほど応募いただきまして、会場狭くて申し訳ありませんけれども、150人ほど抽選で来ていただいております。それから、公募によりましてパネルの方々に20人応募いただきまして、5人ほどご参画いただいております。後ほど、それぞれご発言があろうかと思います。
 日本の原子力発電が開始しましたのが1965年でございまして、すでに33年、人間で言いますと一世代経っているわけでございますけれども、この65年の時と95年、ちょうど30年、日本でどういうことが起こって来たか、というのを見ますと、人口で2割ぐらい増えている、GNPで14〜15倍くらいでしょうか、使用電力で5倍くらい、自動車で10倍、消費者物価指数、国民所得で12〜13倍くらいだと思いますけれども、こういう形で進んでまいりまして、その間に、この当地の近くでは、岡山まで新幹線が延びた、あるいは博多まで、75年、20数年前にすでに完成をいたしております。高度成長からこのへんでバブルが崩壊をいたしまして、雲仙普賢岳、それから福岡ドームの完成が93年ということでございます。それから、昨年の12月には地球温暖化防止の京都会議がございまして、先進国では6〜8%という2010年におけるCO2の排出量減ということで、我々のライフスタイルに大きなインパクトを与えるであろう会議も催されたわけでございます。こういう30年の中で今来てございまして、処分懇談会の報告書の中にも書いてございますけれども、今までガラス固化体に換算いたしまして1万2千本ほどの高レベルの放射性廃棄物が発生をしている、それから、年間にいたしますと、100万kWの最近の標準型の原子炉で30本ほどのガラス固化体が現在発生をしている。だいたい日本中全体で申しますと、たぶん1,000本くらいが年間発生している状況が今あるというところでございます。
 日本のエネルギー、電気を使った後の高レベル放射性廃棄物が、今どういう形態でどこにあるかというのを一覧表にしたものでございまして、再処理の前のまだ原子炉で燃やす燃料の形態のままで1万1千トンぐらいがございます。まだ原子炉の中で燃えておるものも含めてでございます。それから、日本は現在海外に、イギリスとフランスに、再処理、本格的な再処理は委託をしておりますので、そこに持って行って燃料集合体のままのものがございます。それから、再処理という化学的なプロセスがございまして、この中で今処理中のものが国内、海外でございます。それから、実際に最終処分に向けてのガラス固化体という完成品で、日本の国内に百数十本が貯蔵されている。全部合わせて、先ほど申しました「ガラス固化体換算で1万2千本」という状況になっております。
 OECDの先進各国の、原子力発電をやっております国が集まりまして、この高レベル放射性廃棄物についてどういう考え方で取組んで行くかという意見を集約したものでございます。先ほど出ましたような、世代間あるいは世代内の公平ということ、それから、貯蔵よりも最終的には処分という方策がいいであろうということで、現段階では地層処分というものが最も好ましい方策ということで各国のコンセンサスというふうになっておるわけでございます。
 この地層処分というものにつきましては、もう20年以上のいろんな技術的な検討が進められてきたわけでございまして、最初の頃は、地層にガラスのどろどろのものを、液体を注入していくというような案もございました。それから、宇宙へロケットで打ち上げて、もう地上から去ってしまうというような案。それから、海洋に投棄する、あるいは海洋の堆積物の中に埋め込むというような案。それから、氷河あるいは氷の下に埋め込むといういろいろな案がございましたけれども、最終的には、先ほども申しましたように、現在先進各国とも地層に処分をするということで、制度体制あるいは技術的な検討を進めておるという段階でございます。
 廃棄物の発生から地層処分までの大きなシナリオになるわけでございまして、原子力発電所から使用済燃料が出まして、それを日本、フランス等は「再処理」ということで、有用資源であるウランとかプルトニウムというのをもういっぺん取り出してリサイクルをする、一方の廃棄物については「ガラス固化体」というものにして30年から50年貯蔵した後地層処分をする。それから一方では、先ほどご紹介しましたけれども、先進国のうちでは使用済燃料をそのまま冷却をした後地中に埋め込むという政策を採っている国もあるわけでございます。いずれにしましてもこういう両方の政策がございますけれども、共通しておりますのは、制度とか体制、実施主体をつくり、事業資金を集め事業のプロセスというのをきちっと確立をした上でこの地層処分に取り組むということで行っております。  先進各国の動向につきまして、アメリカからフランスまで表にしてございます。地層処分の実施主体というものが、アメリカは連邦のエネルギー省、スイスでは協同組合方式、スウェーデンは民間会社、いろんな形態がございます。それから事業資金につきましては、すでに各国とも10年から20年くらい前から資金を集め始めているという状況。それから、地層処分にあたりましては、なんとしてもそれぞれの国土の地下の研究データをきちっと蓄積をしておくということが大事でございまして、ここ10年くらいで各国とも地下の研究施設というのをどんどんつくり、研究を始めておるというところでございます。それから地層処分の開始が、早いところでは2008年ぐらいを目標に準備を進めているというところでございます。先ほども申しましたように、廃棄体の形態としましては、使用済燃料をそのまま廃棄をする場合と、再処理をした後ガラス固化体という形状にして廃棄をするという両方があるわけでございます。残念ながら我が国におきましては実施主体はまだできてございません。2000年を目安にということ、それから事業資金もまだ確保できておりませんで、処分懇談会でのいろんな議論を踏まえまして、1998年度から制度確立をする準備を進め始めたところでございます。それから、地下の本格的な研究所もまだ出来ていないということでございます。最終処分の廃棄物を埋設するというターゲットとしましては2030年代から遅くとも2040年代、2035年頃ということが、一つの今の目標値になっているわけでございます。
 そういうことで、日本は非常に、各国に比べまして取組みが、いろいろな検討は行われておりましたけれども、実際の検討はかなり遅れていた、ということは処分懇談会の報告書案にも書いてございますし、やはりその背景には立地あるいは原子力発電所の安全と安全運転というところに相当ウェイトがかかって、この問題への取組みが遅れたということは率直に反省し現実を直視しないといけないだろうということを、処分懇談会では報告という形で書いてございます。いずれにしましても、いつ、どこで、誰が、何を、どうして、こういう全体の枠組みというのを早急につくる必要があるだろうという問題意識のもとに、今原子力委員会の各部会で検討が進められているわけでございます。
 これが、高レベル放射性廃棄物処分懇談会、それから原子力バックエンド対策専門部会という廃棄物の問題について技術的なことを検討します各部会での報告書をもとに、大きな今後のマイルストーン、大きなスケジュール、それから、何が今からそれぞれ大事なのか、ということをまとめたものでございます。一番左側が2000年、それから2030年というのがあります。それから処分事業と研究開発と安全規制、この三本の流れが有機的に連携をとりながら進まないとこの全体が進まない、こういうことかと思います。高レベル放射性廃棄物処分懇談会、それから原子力バックエンド対策専門部会は1995年9月に設置されまして、すでに2年半を経過しておるわけでございますけれども、その間大体の見通しとしまして、2000年に、先ほど申しました実施主体を設立する、それから事業資金あるいは損害賠償、処分地選定プロセス、こういった制度を法律等できちっと確立をするということでございます。ここが出発点になるわけでございます。その上で、それぞれ処分地の選定のプロセス等をきちっと段階を追ってやりながら、2035年の埋設開始というところまで行くということでございます。その間に、技術的な日本の国土での、「本当に処分が出来るのか」ということをきちっと確認をするということが非常に大事になるわけでございまして、これも2000年前には各研究機関、それから国の評価というものを経た上での信頼性の検証、安全評価指標の確立等、体系的なデータベースの構築ということがございます。それから、安全規制側での安全確保の考え方、安全基準、こういうものがきちっとその技術的な根拠に基づいて確立をして行くということが大事になるわけでございます。
 そういうことを背景にしまして、先ほども申し上げました原子力バックエンド対策専門部会、高レベルのみならずいろいろな種類の放射性廃棄物全体を受け持っていただいております専門部会、大阪大学の熊谷前学長がこの部会長であらせられますけれども、平成9年4月にこの高レベル放射性廃棄物の今後の研究開発のあり方という指針を示されております。特に、一番きちっと長時間かけまして議論がありましたのは、日本の地質環境の長期安定性というところでございました。それから2000年にレポートを出す場合のいろんな技術的な基準、それから、その間の技術開発上の透明性、あるいはその国際的なレビューも含めてのきちっとした第3者のレビュー、チェックというものが非常に大事になるだろうというご指摘でございます。
 それから先ほども出ました、高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書案。これは、1年半がかりの28回の議論で、現在案の段階でまとめられているわけですけれども、非常に多面的な、経済的あるいは社会的、あるいは本当の社会的な需要性まで含めて、なぜ議論をするのか、それから社会的な理解を得るためにはどうすべきか、技術の社会的な理解を得るための方策とか事業資金、実施主体のあり方、制度の整備、立地地域との共生、処分地選定プロセス、ということでございまして、今お手元の報告書案の最後の「今何をしなければならないか」というところまでが包括的に書いてございます。
 その中の各章のポイントだけ申し上げますと、一つは「なぜこれを議論する必要があるのか」ということで、先ほども触れましたような、日本の原子力発電30年一世代、その便益をこうむってきたというここの時点で、きちっとその処分に関する制度を確立しておく必要があるであろうと、後世代に負担を残さない、ということが我々の責務ではなかろうかというご指摘でございます。
 それから「社会的な理解を得るために」という章では、透明性の確保、情報公開、それから分かりやすい情報の、あるいは双方向型の情報提供、それから、この4回にわたる地域での意見交換会でも再三にわたりご指摘を受けております、教育、次の世代の子供達を踏まえた長丁場での議論ではありますけれども、エネルギー、環境、それから原子力とこういう教育をきちっとやることがこの問題を社会に定着する、という意味で、非常に重要ではないかというご指摘でございます。
 それから、事業資金の確保。先ほども申し上げましたように、各国が10年20年にわたってやっているわけでございますけれども、この問題につきましては、受益者負担の考え方から電力料金の原価に算入をするということが適当であろうというご指摘でございます。  実施主体のあり方につきましては、民間を主体とした事業ということではありますけれども、国がまず立法によってこの実施主体をつくり、行政による監督という位置づけでございます。それから、実施主体をつくるにあたっては、いろんな技術的な能力、非常に長い事業になりますので経理的な安定性、それから運営管理能力等々、こういうご指摘がなされているわけでございます。それから、処分地の選定にあたっては、国、電気事業者、実施主体が一致協力して進めるべきであろうというご指摘でございます。
 それから、処分場を確定する場合の立地地域との共生ということでございます。これにつきましては、持続的な可能な共生関係ということで、住民、自然環境、産業という、その地域のいろいろな観点からの調和というものを図る必要があるだろうということと、それから、上から、というよりもボトムアップ型で、地域の主体性を尊重しながらこの問題に取組んで行くという基本哲学が書かれてございます。
 そういう観点から、ちょっと新たなデータとしましてまとめてみました。この九州の中では九州電力が、今玄海と川内、玄海発電所が確か4基、川内が2基、原子力発電所があろうかと思いますけれども、この年間の総発電量が、大体福岡が九州では一番人口密集地帯だと思いますけれども、ここでの電力消費量と同程度ぐらいになってございます。電力にはもちろん色がついていないわけでございますけれども、確か九州電力は、総発電量のうち今44〜45%ぐらい原子力が占めているはずでございますので、そういう観点から見ていただければいいと思います。今日お集まりの方には四国、それから中国地方からもおいでの方もございますけれども、ちなみに申しますと、島根の原発の総発電量が山口県の電力消費量と同じぐらい、それから伊方の原子力発電所の発電量が大体香川と愛媛の消費電力量と同じくらいになるということでございます。
 従来から、東京はどうなんだ、ということをさかんに言われますので、急きょまとめてみまして、東京電力は福島の第1、第2、それから柏崎の原子力発電所を持ってございます。その年間の総発電量が大体東京と神奈川、まさしくその日本の人口密集地帯の電力消費量とほぼ同じ程度の電力を供給しているという状況が分かっていただけるかと思います。  処分懇談会の報告書案に戻っていただきますと、処分地の選定のプロセスというものを法令によって明確化し、そのプロセス自身をきちっとその国民の方々に、あるいは地域の方々に、その透明性を高めた上で作業を進めるべきであろうということでございます。それから、地域レベルでの参加の検討の場というものが非常に議論があったところでございまして、いろいろカナダ、フランス等々で地域の情報検討の場というものが非常にうまくいっている例もございました。こういうものを参考にしながら今後きちっと詰めて行こうということでございます。
 深地層の研究の施設の早期実現というのが、我が国でも非常に要請されているわけでございますけれども、ベルギーそれからスウェーデン、スイス、ドイツ、アメリカ、カナダ、それぞれすでに建設の着手をし、これは穴を掘りながらどんどんデータを集めていくという性格のものでございますけれども、非常にグローバルベースでの国際協同というものが行われてございます。残念ながら、我が国はまだ本格的なものはございませんので、この8国に長期研究者を派遣しながら日本もやっておりますけれども、アジア各国では非常に日本の国内での動向というものが注目をされておるわけでございまして、情報の発信、双方向というところが今後非常に重要になるということで、国際的に非常に大きな取組みがなされておるということでございます。
 「今何をしなければならないのか」ということで、まず国民の方々の各層の十分な議論が一番大事であろう、それから、非常に長い事業になりますので、情勢の変化に応じた柔軟な対応ということ、それから事業資金の確保、実施主体の設立、それから深地層の研究施設の早期実現、それから施設の公開、それから、政治の場でこの立法をきちっとしていくということでございます。
 まさしく今日5回目で最後ということで、まとめてみました。第1回、先ほどありましたように大阪で9月19日に行いまして、あと札幌、仙台、名古屋、福岡ということで半年にわたって議論を進めてきたわけでございます。ちなみに、処分懇談会の報告書案の国民の方々からの意見募集というのが1月の末日までになってございますので、よろしくお願いをしたいと思います。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。有本課長から駆け足でお話しいただきましたけれども、高レベル放射性廃棄物の処分についての取組みがどういうふうな形でここまで来たのか、その概要をお話しいただいたわけですし、また私たちが今置かれている現況も、このご説明の中に入っていたなと思います。
 それではお一人お一人からご意見を頂戴いたします。ここでちょっとお断りさせていただきますが、大体6分位お話をいただこうと思っております。テレビ的なんですけれども、目の前に1分前とか表示を出すようになっておりますので、それを目途にお話をいただければと思います。それよりオーバーしますと後ろの方から、チーンとベルを鳴らすことになっていますので…、これです、これです。「これが限度だよ」というベルでございます。それから、おっしゃっていることの意味が私たち素人には分かりにくいとか、もうちょっとそこのところを教えてということが出てまいりましたら、私はずばりお聞きいたします。問題の論旨と言いますか、それを明確にしたいなと思いますので、途中で質問させていただくことがあるかも知れませんので、ご出席の方よろしくお願い申し上げます。
 それでは、1番バッターというのはとてもやりにくいんですけれども、あいうえお順になっておりますので、まず最初に石窪さんからご意見を承ります。

(石窪)
 こんな時ぐらい自分の名前を恨むことはないんですけれども、最初に発言させていただきます。この雰囲気にまだ慣れる間もなく、何か試運転の状態でお話しをしますので、十分な意見が言えるか分かりませんけれども、よろしくお願いいたします。原子力発電所のある電源立地、立地県からまいりました消費生活アドバイザーの石窪と申します。何でこういうふうに戸惑っているかと言うと、こういうことを言ったことがないからなんです。というのはどういうことかと言うと、川内にいたら原子力発電所の電源生産地であるという自覚があるような気がしますけれども、私は鹿児島市に住んでおりますと、同じ県でありながらそういう地域ギャップがあるということ、これは大変反省しなければいけないことだなと思って、まず申し上げたいと思います。それから、私自身はいろんな機会を通じて、国内の各地のいろんな施設や原子力発電所等を、実は拝見させていただく機会を何度か持たせていただいております。ただ、私の回りではそういう機会がない人達もたくさんいますので、短大で非常勤講師をしたり、それから消費生活アドバイザーの養成講座をしたり、いろんな各種講座等でいろんな方にお会いする機会のたびに、エネルギーの問題とかそれから原子力の問題とかいろいろとお話しする機会がございます。そうしましたら、その時に大体原子力発電に関しては、いつも出てくるのが廃棄物の問題に関する不安が数多く出てまいります。どうしてかという話をしていくと、大体他のことは(もちろん難しいんですけれども)、少しずつ分かってきたと。ただ、廃棄物、特に高レベル放射性廃棄物の問題については明確な答えがいつも返ってきていないというようなことが出てまいります。それは今回この会に出席させていただくことになって大変実感いたしました。どうしてかって言うと、方向性がまだ決まっていないから、それで明確な答えが返ってきていなかったんじゃないかなあというふうに思いました。そう考えると、原子力発電の是非を考える上でも、ある意味で一つのネックになっているのがこの廃棄物の問題でないかなと思っておりますので、最初に結論から申しますと、1日も早くこの問題の方向性をお示しいただいて、また計画の実践が図られることをまずは望んでおります。そこで、今回基本的考え方について報告書案を見せていただいた感想なんですけれど、まず、第一に地層処分という考え方についてですが、これが今の国際的なコンセンサスでベストな方法と言われると、素人の私にはああそうかと信じるしかないんですけれども、誤解を恐れずに申し上げるとすれば、まず感じたことはこれだけ科学技術が発達しているわりには、ある意味でシンプルだなあというふうに感じました。出たゴミは完全に封をして埋めるという方法が、危険性のあるものだけに逆にシンプルな方が良いのかも知れないんですけれども、まあそれにしてもシンプルだなというのが実感です。私にとっては遠い将来ですけれども、半減スパンなどのレベルで考えると、近い将来になると思うんですけれど、ゴミ処理場がパンクしてあわててリサイクルし始めた一般のゴミのような、二の舞にならないかなということだけは大変心配しております。そうなってくると、やはり同じレベルで語っては不謹慎かも知れないんですけれども、限りなくゴミを減らす努力というか、高レベル廃棄物の更なるリサイクルは出来ないのかなということが一番思うところです。もしくは、今回勉強して分かったんですが、核種分離とか消滅処理等によって電気のゴミとか、それから半減時期を少しでも極力減らしていく努力をより積極的に進めていく、その方面での研究に力を入れていただきたいというふうにまず思っております。それから、高レベル廃棄物というのはまだもしかしたら低利用の資源とか未利用の資源であるかもしれない、という発想も、将来的には持つべきだと思います。あと欧米諸国に比べて10年か20年遅れているということは、危機感を持つべきだとは思うんですけれど、後発ということは、私はある意味ではより効率的に、よりよい処分の方法を短い期間で取り戻せるのではないかなという気もしてます。ただ、その際もう一つ気になっているところがあります。先ほどのご紹介でもいただいたんですけれど、「将来に向けて諸事情勢の変化に出来るだけ柔軟に対応できるように」とか「後の世代が諸事情勢の変化に対応できるような枠組みを設けておく」というような、柔軟性に対する配慮に関しては大変評価できるんですけれども、じゃあその柔軟という言葉をどういう形で柔軟に対応していくかという、例えば柔軟な方向転換を行うプロセスとか、その決定権をどうするのか、見直しをいつやったらいい、フォローをどうやるのかという体制についても、できれば各論の中で明記する必要があろうかと思います。でないと、言葉だけに終わってしまいそうです。

(木元)
 まだおっしゃりたいことありますか?

(石窪)
 あと、一つくらいよろしいですか?上原先生の時間をいただいて…。

(木元)
 では、大急ぎで。

(石窪)
 ちょっとだけお願いします。「我々国民一人一人が、自分のこととしてこの問題を考えていくべき時ということであれば、できれば消費者の責務ということを(今、リサイクル法なんかでも出てきますが)、自己責任を明文化してもいいのでは、と、思い切ってそこまでしていただけたらと思います。あと最後に、教育の問題なんですけど、これは皆さんがお考えの通り大切だと思います。何となく今まで出ていなかったことで考えると、カリキュラムの問題とか教材の問題も大切だと思うんですけど、教える側の問題も重要です。エネルギー教育とか環境教育とか消費者教育というのをできれば教育課程の中で、教職課程ですね、教師が教職の免状をとる時の、できれば必修科目に、できなくても選択科目の中に入れていただいてトータルなバランスのとれた発想をする、教える側をまず育てていくということが大切なのではないかなというふうに思っております。安全と安心は違うと思います。安全というのは、サイエンスの問題のような気がします。どうも供給する側は、安全だよ、安全だよ、と言われるんです。私たち一般のものが求めているのは安心という信頼感でして、どうもこのギャップがあるので、ここを埋める作業を大変分かりやすく進めるためには両者を結ぶ翻訳機能がより大切になってくると思います。

(木元)
 はい、ありがとうございました。おっしゃりたいことこれでほとんど分かったと思います。安全と安心の件については、前の円卓会議でも随分論議しました。そして、安心ということは、いつも申し上げることですけれど、どんな形で、誰が、どんなふうにしゃべったところに安心と感じてその安全を信じることができるか、という基本的に信頼関係があるわけでしょう?また動燃みたいなことをやられると、安全だって言われても安心できないですよね。そのことをおっしゃったんじゃないかと思うし、それからもう一つ、今地層処分にしますけれど、その中にまだ未利用のエネルギーがあるんじゃないか、もっと科学技術が進歩して行けばそれをもっとリサイクルという発想もあるんじゃないか、と、そういうことですか?まあそれが柔軟にという範疇に入ってくるだろうと解釈しましたけれども、そういうことでよろしいですね?
 大谷さん、お待たせしました。よろしくお願いいたします。

(大谷)
 はい、大谷です。こんにちは。私は、もしも私が科学技術庁のトップであったならば、この問題に対してどのような政策をしないといけないのかなぁというふうなことで考えてみました。その中で、技術的なこととか専門的な知識というのは全くありませんので、国民が、というか、私たち生活者が、どんなふうにしたら高レベルの廃棄物ということが分かりやすくて、しかも、こっちが何か質問があったり意見があったりした時には、すぐに、こういうことどうなのと、聞けるような、そういうシステムが、まず、できたらいいんじゃないかなぁというふうに思ったわけです。それで、廃棄物処分について、社会的な理解を得るためにどうしたらいいか。その部分だけ、私が考えてみようかなというふうに思ったわけです。その時に、ずっと考えていた時に、1989年に私はフランスに行きました。各家庭に、イミテルという電話機にテレビの端末がついて、入力キーが付いたのが各家庭に全部あるということを聞いたわけですね。これは、フランスの政府が無料で全所帯に配布した。その当時、1989年に日本で電話機を買うとしても、借りるとしても、無料ではないわけですね。今でもそうなんですけど。そういった面で、フランスというのは、その市民の理解を得るためには大変な税金を使うけれども、そのために、公社としての信用は大したものを培うための労力を払っているんだなぁと。それは、もうすごい強力な、私にとって強力なショックを受けたわけなんですけど。そのミニテルで何ができるかというと、大体8千種類くらいのサービスができるんですね。そのサービスのもともとの最初は、電話帳を紙の印刷をするのがもったいないというようなことから始まったらしいんですけれど、その中に、原子力情報だとか、いろんな情報が入っているわけです。それをいつでも見ようと思ったら、エンドレスで、いつでも流れてますから、何でも取れる。それから、もちろん列車の予約だとか、ホテルの予約、天気予報、ニュース、もう何でもあるわけですね。これはいいなぁと思ったんですけれど、じゃあさて、私が科学技術庁のトップになって、こういったミニテルのようなものが日本ですぐにできるかというと、できないわけですね。今だったら、皆さんの頭の中にはおそらく、インターネットがあると思われるかも分かりませんけれど、インターネットではちょっと難しすぎて、誰でも使えるというわけにはいかないと思うんです、しばらくですね。これは早く考えないといけないということですから、なかなか難しいということであれば、何かないかなあと私は考えてまして、今、難聴者のための文字放送と言うのがあります。これを少し勉強してみたんですけれども、この文字放送は、テレビの中に内蔵しているものもありますけれども、難聴者のために国がお金を出して、補助金を出して、中に取り付ける、その部分だけ取り付けるチューナーというのが、3万円くらいなんですけれど、それが付けられるようになっているわけです。それで、全国に、今から日本は高齢化社会になっていって、だんだんと本当の難聴というよりも歳取って難聴になっていくというような人も入れますと、600万人以上になるだろうと。そういう人達のために、その文字放送というのがあるんですけれど、これもテレビの画面で見られて、スイッチを押すだけで、チャンネルを変えるだけで出来ますので、誰でも出来る。しかも、双方向なんです。こちらからも言える。そして、記録性もあります。プリンターで、自分で「この部分はいる」と思えばポンポンポーンと出てきますので、そういったふうな形で分かりやすい情報を継続的に提供する。エンドレスですから、これももうずっとできますし、それから多様な展開ができる。そういったふうなことを考えますと、私は、今から文字放送を大いに使って、そしてその中で、例えば高レベルの廃棄物の問題にしても、いろんな私たちがいつでも仕事をしていると、何かニュースがあったりしても見損なうことがいっぱいあるわけですね。そういった面で、できるだけいつでも暇な時に、夜中でもいつでも取れて、そしてそれを「あぁこれは控えておこう」と思ったらプリントアウトもできるというようなことですね。そういったふうなことも踏まえて、私は、大いに国民のコンセンサスを得るための廃棄物処分についても、こういう番組をつくったらどうかなあというようなことを提案させていただきたいと思います。

(木元)
 ありがとうございました。本当に長官気分でお話しいただいて。ちょっと質問させていただきたいのですが、今回報告書案ということで大谷さんの所に送らせていただいて、お読みいただきましたよね?こうやって日本が、原子力発電をやり、リサイクルの形をとる。最終的にガラス固化体にして地層処分をする。そのことについてはどうですか?それはそれでいいとお思いになりますか?この「基本的な考え方」というのは、先ほど有本課長からもご説明ありましたけれども。

(大谷)
 そうですね。私は、技術者の力というのは信じていいと思っています。だから、日本の技術者が「これでいいよ」と言うことであれば、私は信じていいんじゃないかと思っております。

(木元)
 そうすると、その方向で進める。そういったことを踏まえて、国などが情報公開をやろうとしていますけれども、もっともっと親身に、普通の言葉でアクセスできるようなシステムがないといけない?

(大谷)
 そうです、そうです。だから、お年寄りでも、それから、子供でも、誰でも、いつでも、どこでも、取り出せる情報。しかも、そのミニテルでは、例えば何かどっかの発電所で事故が起こったというような時でも、もう2時間後にはそれがミニテルの中に入っているということなんですよね。で、文字放送もすぐに書いて、ワープロで打って、そのままパッと流せば、本当に1時間もかからずに出せますので、右往左往しなくて、それを見れば現在の状況はこうですと。阪神大震災の時でもそれができたと思います。

(木元)
 またフォローさせていただくと、良いことだけじゃない、悪いことでも、現実に起こっていることをそのまま報告するシステムが、庶民のレベルにはないと。報告にアクセスするレベルのものがないと、そういうことになりますよね。それと、もう一つは、大谷さんがおっしゃりたいのは、あちらから送ってくる情報だけではなくて、こちらからアクセスして、そこでまた質問をしてお答えをいただくみたいな双方向のシステムの意味もおありなのかなと思ったんですが。

(大谷)
 そうなんです。

(木元)
 そういうことですね?

(大谷)
 はい、双方向ができますので、やっぱりそういうふうなことに税金は使っていただきたいと思います。

(木元)
 なるほど。ということで、今度は次に行かせていただきます。木原さん。大変お待たせいたしました。よろしくお願いします。

(木原)
 こんにちは。広島からまいりました木原省治と申します。ご承知の通り広島は、8月9日の長崎と同じく、53年前の1945年8月6日に原子爆弾が投下され、大きな被害を受けました。私事ですけれど、私の家族も、両親と二人の姉が爆心地から2キロ少しの所で原爆にあいました。二番目の姉は母親のお腹の中で被爆をした胎内被爆です。
 原爆から53年が経過し、広島の街も普通の都市と変わらないように大きなビルが立ち並んでいます。しかし、原爆の放射能障害は、今だに多くの被爆者を苦しめています。そして被爆者の子供である、被爆二世、三世にもその遺伝的な影響があるのではないかと心配され、その影響については、現在でも厚生省などにおいて、調査研究がなされています。  このように、放射能はその時だけでなく、後々の人や自然についてまでも悪い影響を与えるということを、どうしてもこの高レベル放射性廃棄物問題を考える時に、頭の中にたたき込んでおかなければならないと思います。
 でき得るならば、否、絶対に放射能物質を人間社会に出してはならない、そして放射能の影響ではないかと心配するような事態を起こさせてはならないということです。あえてこのことを言いますのは、被爆者とか被爆者の子供であるという、ただそれだけのことで、いわれなき差別を受けるということが、私たちの聞いたり見たりした中でも、何例かあるからです。
 さて、昨年7月18日に出された「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的な考え方について」を読ませていただきました。その文章の中で「避けて通れない課題」とか、「懸念を持ちながら」とか、「廃棄物処分問題への対応を十分にしてこなかった」「ツケを後世代に残さない」「廃棄物自体は世代を超えて存在」という言葉が特に目に止まりました。もっともなことです。そこで私が言いたいことは、このような言葉で表現される問題が起き得ることは最初の最初から分かっていたではないかということなのです。アクセス道路の目途が全く立たないのに、山を削って大きな団地を建てて売り出した不動産会社のようなものです。だが、ことは放射能問題を含むことであり、団地の乱開発と同一問題で捉えることより、より深刻であります。
 「後は野となれ山となれ」「今さえ良ければ」という、とっても無責任な姿勢で原子力発電所をつくり、これからもつくり続けようとしていることこそ問題にされなければなりません。廃棄物の問題を含め、トータルな部分でその是非を議論してこない原発問題にこそ大きな課題があるのではないかという思いを強く持つのです。
 こういう発言をすると、あなたも現実として、原発の電気を使っているではないか、というふうなことを言われます。しかし、今の電力会社が独占状態である以上、私の住む広島では、どうしても中国電力からの電気の供給を受けることができないのです。でき得るものなら、高レベル放射性廃棄物のことを心配しないでよい電力会社の電気が欲しいと思っても、現実問題としてそれは不可能です。
 ここに今年の正月元旦の毎日新聞を持ってまいりました。この中で、仮想的な新聞として2028年1月1日の新聞というものがありました。「一足早く、想像力をたくましくして制作した」と断りがありますが、この中に「自衛隊が原発管理」という大きな見出しが目に止まりました。記事では「二酸化炭素排出量を抑制する手段として、前世紀末に当時の政府は、原子力発電所の建設推進を掲げた。しかし、燃料電池の実用化や、地熱、風力、波力などの新エネルギーで、電力需要がまかなえるようになったため、原発は次第に不要となり、逆に、核のゴミが詰まった原子炉を隔離することが、原子力行政の課題となっている」とあります。私には、この仮想新聞の書いてあることが、これは2028年、今から30年後なんですけれども、30年後の現実の姿のように思えてなりません。
 繰り返しにもなると思いますが、放射性廃棄物を増やしてでも原発を続けた方が良いのか否かをまず議論し、原発の廃止時期を定めて、今までの放射性廃棄物の総量の全体量を決めて、その後始末を考えなければなりません。高レベル放射性廃棄物がガラス固化体に換算して約1万2千本相当あると言いながら、実際に現に国内にあるのは、130本。現実はほとんどが再処理前です。将来約7万本程度になるだろうと言ってますが、その前提は、放射性廃棄物は再処理し、そして高レベル放射性廃棄物が出るという路線です。この路線を決めておいて「意見を述べろ」と言うのにも無理があるのではないでしょうか。原発をこれ以上増やすのかどうか、再処理はするのかしないのか、そこが議論の出発点です。
 そして、世代責任論というのがあります。一見もっともなように見えるのですが、放射能というやっかいなものについて、性急な世代責任論は、結局はゴミの押しつけになってしまいます。また、放射性廃棄物と地域との「共生」ということが言われますが、私はどう見ても放射性廃棄物と地域の共生などということは考えられないのです。言いたいことはたくさんあるのですが、あと2点、発生者責任を明確にすること。それは、電力会社の責任です。そして、この放射性廃棄物について、議論、研究、管理、規制などを行う枠組みを、原子力推進の利害から完全に切り離してつくるべきです。その上で、完全な情報公開と、押しつけではないく、言い方を変えれば、私たちの意見が政策に反映される柔軟性が必要だと思います。
 これ以上放射能被爆という苦しみを受ける人のいない社会をつくること。このことが、私たち広島に住む者としての強い願いであります。その上に立って議論がなされることを強く望んでおります。ちょっと時間がオーバーをいたしまして失礼いたしました。

(木元)
 はい、ありがとうございました。お立場から、おっしゃりたいことの意図は十分に私どもに響いたと思いますけれども。また、パネリストの他の方々からご提示いただいた様々な案については、ご議論があるところではないかなと思います。一つだけ伺いたいのは、私どもは、おっしゃったような、過去の原子力発電の推進の時にちょっと置き忘れてきた問題があったんじゃないか、という過去の反省の上に立って、今こういう高レベル放射性廃棄物の処分懇談会をつくって、そして、こうやって意見交換会をやっているんですが、こういうやり方は、いかがですか?

(木原)
 こういう場がつくられるということは、良いことだと思います。私は中国電力の所に住んでいますけれども、こういういろいろな立場の人を含めて話し合う場をつくることに対し、地方の電力会社ほど頭が堅いのではないかと思うことが多いですね。
 いろいろな問題、電気料金とかそういうことを含めて、我々を交えて率直に話し合う場をつくろうと提案しても、ほとんど受け入れられません。今回原子力委員会によってこういう場がつくられたことは、地方の電力会社を変えるためにも良いことだと思います。
 だから今日は喜んで、喜んででもないですけれども、参加させていただきました。

(木元)
 私も喜んでお迎えしたんですよ。よかったですね。たぶん国が今までこういうのをやっていないから、各地方の電力会社が、おやりになるということにちょっと遠慮があったのかも知れない。良くとればね。これからはこういうのやりますよ。私も行きますよ、中国電力に。やりましょう。

(木原)
 ぜひ中国電力にもそういう意見を伝えたらどうですか?

(木元)
 何か単独の電力会社だけの名前だけが出て恐縮ですけれども。そういうことで、お話し合いをする場を認めていただいたし、これからもご出席いただけるということで、大変良かったと思います。次に、ちょっとやりにくいですね、児玉さん。

(児玉)
 たぶん、木原さんの解釈では、九州電力もかなり堅いんじゃないかと思われておられると思いますが、私はかつて川内原子力発電所の所長もいたしましたが、柔軟に対応させていただいたつもりではありますので、今から、電力としての立場で、九州電力の児玉でございますが、電力としての立場を申し上げたいと思います。先ほどご説明ございました通り、日本の発電電力量、そのうちの約3割以上は原子力発電でございます。それから、ここ九州におきましても、先ほど図面で玄海と川内という二つの発電所のご紹介ございましたけれども、これによる発電電力量、約4割ということでございまして、平成9年度になりますと、これが5割に近づくということでございまして、現実に電気を安定して供給する立場にあります私どもといたしましては、大いに自負を持ってやっているわけでありますが、いろいろとご批判の多いのは、もちろん、受けて立たざるを得ない、ということでございます。この高レベル廃棄物処分の問題も原子力発電所をとりまく情勢問題の中で、非常に大きな問題と自覚をいたしておりまして、そのためには、再々国の方からも申し上げておる通り、国民のご理解をいただきながらこれに取組んで行かなければならない、ということでございまして、私どもも発生者としての責任は十分に考えておる、ということでございます。また、欧米諸国に比べまして、体制づくりが遅れておるというのも、これも事実でございまして、こういう懇談会を含めまして、いろいろと議論をいただいて、前へ一歩でも進んで行きたいというのが、私ども電気事業者の願いでございます。この高レベル廃棄物処分を円滑に進めて行くためには、先ほどから安全という言葉と安心という言葉がございましたけれども、私どもも原子力全てに共通する問題といたしまして、技術的な安全と、それから社会的な安心とこの二つの面から十分に皆さんのご理解をいただいていく必要があろうかと思っております。技術的な安全というのは、これは、技術開発を通じて積み重ねて行った研究の成果を積極的に情報公開をして、処分の安全性を国民の皆様に理解いただくということが大事だと思っておりまして、そういう意味では、先ほどもお話がございました、深い地層での研究施設、深い地層でどういう地層が適合するか、あるいは地下水がどう動くかというようなことを十分に研究をして、その成果を皆さんに開示して行くということが必要であろうと思います。それから、社会的な安心ということでございますが、これについては、高レベルというものの処分が極めて長期にわたるということは、これは事実でございまして、そういう非常に長期にわたる管理をどうするかということについての皆様の心配にお答えをしていく必要があろうかということでございまして、以下、実施主体、それから事業資金をどうやって確保していくか、それから処分地を選定していく上でのプロセスで大事なことは何かということを重点的に申し上げたいと思います。まず第一に、実施主体でございますが、これは、先ほども申しますように、極めて長期にわたって処分を見届けていくという必要がございますので、長期の安定性、信頼性ということを考えますと、実施主体そのものは、報告書案にも書かれておりますように、民間を主体とする事業というのは必要でございますが、電気事業者がもちろんこれに関わるのは当然でございますが、国も、実施主体の設立、その運営にあたりましては、やはり積極的に対応をしていただきたいというふうに考えるわけでございます。そのためには、国で定められます特別な法律によって政策にそって、それを遂行して行くんだということを明確にするために法人の形態が好ましいのではないかと私は個人的には考えております。それによって国民の方々の信頼がより増すのではないかとというふうに考えているわけでございます。第二に事業資金の確保でございますが、これもすでに議論が出てまいりましたけれど、私はやはり現在の原子力発電からの廃棄物の処分費用については、やはりその利益を受けている現在の世代の方々にご負担いただくのが妥当ではないだろうかと、後世代にツケを廻さない方がよろしいのではないかというのが私どもの考えでございまして、現在の電気料金の中にそれを組み込まさせていただくというのが必要ではないかと思います。この場合にはやはり制度の確立が必要でございまして、例えば租税特別措置法だとかいろいろな法律、法令等によって制定することも考えられますが、そういった制度の確立が必要でございまして、国と電気事業者がそういった制度の制定に向けて努力すべきであると考えます。それから第三には、処分地の選定プロセスでございますが、これはやはり情報公開というのが非常に大きなウェイトを占めると私は思っております。したがいまして候補地を選定していくその中で予備調査をやって、さらに本格的な調査をやるという段階がいろいろあるわけでございますが、その間の事情を極力情報公開して皆様に納得をいただきながらステップを進めて行くということが大事であろうと思います。立地につきましては、実施主体ができますとこれが主体になって行うというのが常識的であると考えておりますが、電力会社それから国も一体となっていろいろなことを考えていかなければならないと思っております。以上私ども電気事業者としての責務は十分考えておりますが、国も一緒になってやっていただけるとありがたいというふうに考えております。以上でございます。

(木元)
 ありがとうございました。まあお立場からこの意見交換会にのっとったご意見を頂戴いたしました。いろいろな面で努力をする方向がこの案の中に盛り込まれたと思っておりますけれど、基本的にはこの案をお認めいただいているわけでございますよね?実施主体のところで「もうちょっと国がコミットして欲しい」というご意見もありましたけれども。

(児玉)
 まだ報告書の中では、例えばこういうやり方、こういうやり方という例示が示されておりますが、それを今後詰めていかなければならんというふうに思っています。例えばお金をどうやって集めて行くかというのも、この報告書の中ではいろいろな引当金だとかあるいは基金にするかというようなことも議論して行こうということになっておりますので、そういう議論を十分これからも尽くしていただきたいと思っております。

(木元)
 もうちょっと深めてですね。はい、分かりました。それでは続きましてお待たせしました、田崎さんよろしくお願いいたします。

(田崎)
 私は、愛媛大学理学部の、専門は地質学です。ですからある人から「今度の意見交換会は、地層処分のことが問題だからお前行け」ということを言われまして急きょ勉強いたしました。まあ正直言いまして、地質研究者というのは地質学会で5,000人いるわけですけれども、その中で、みんながみんなこの原子力の問題あるいは廃棄物の問題について非常に関心を持っているわけではございません。どちらかと言えば、なるたけ触れないでいたいなというのが正直なところです。私もどちらかというとそういうところにいたわけですけれども、今回こういうことになりましてしゃかりきで勉強いたしました。それで今回ここで地層処分の研究開発の問題、それから必ずしもここのテーマに合わないというふうに言われましたけれども、高レベル放射性廃棄物の前提にある核燃料サイクルの問題、それから研究施設と貯蔵施設と処分場、それから一般論としての住民に対するリスクの問題、こういう点について述べてみたいと思います。資料を読ませていただきまして、バックエンド対策専門部会で述べられてることの中に、「第2次取りまとめに向けて、変動帯に位置する日本においても地層処分にとっては十分に安定な地質条件が存在し得るということを明らかにすることが肝要である」というふうにこの報告書の5ページに述べられております。それから「動燃事業団は2000年までに関係研究期間の協力を得て研究開発などの成果を取りまとめて公表し、国はその報告を受けて我国における地層処分の技術的信頼性などを評価することになっている」というふうに述べられています。要するに、2000年というのはもう2年先のことです。そこまでにかなり具体的に地層処分についてのイメージが描かれなければならないというふうになっているわけです。ここで問題なのは、あくまでも変動帯に位置する日本においても地層処分にとって十分に安定な地質条件が存在し得ると、そのことを明らかにしなければいけない。絶対そういうものを見つけるんだ、ということが要請されているということです。さらに、この基本的な考え方では、「2000年を目安に実施主体を設立し、ガラス固化体の発生時期とその後の冷却期間を勘案して、2030年代から遅くも2040年代半ばまでに処分事業を始めることが予定されている」となっております。それでは、地球科学研究者レベルではどういうことになっているのかと言いますと、1993年に日本学術会議の第15期の地質研連、それから地質学応用研連、そういうところで放射性廃棄物地層処分に関する討論会を開いております。そこでは、日本列島の地質構造の特性、地下水の流動と特性、岩石と水の相互作用、地下処分の現状、こういう課題について報告が行われて、その結果について厚い一つの本になって刊行されています。それで、こういう討論については応用地質学会、動燃にいる地質研究者、それから地質調査所、そういう所の方々が中心になって、シンポジウムや討論会が現在もいろいろな形で行われています。今年も5月に地球惑星科学関連合同学会というのが東京で開かれますけれども、そこで地層処分に関する地球科学的課題というテーマでシンポジウムが開催される予定になっております。要するに、研究者の現状というのは、何回も何回もシンポジウムや討論会を繰り返して、地層処分というものが一体どういう内容なのか、どういうことが具体的にフィールドと実験で分かっているのか、ということが現在討論されているという状況です。その中で、この2000年というのがかなり重い課題じゃないかなあというふうに思うわけです。それから、この高レベル資料の中に、深地層の科学的研究施設というものを建設するというふうになっています。これは、現在動燃が主体になって瑞浪の付近に深地層の研究施設をつくるということが何か進行しているか、計画されているかのようなんですけれど、こういうことについては、これは私自身の個人的な見解ですけれども、あくまで動燃とか電力会社、そういう利益に関係した団体とは独立した機関が管轄すべきだ、というふうに考えます。それで、今の日本のようなところで可能だということを前提として探すということで、ナチュラルアナログという問題が調査の対象になっています。ここで、非常に急ぎますけれども、東濃のウラン鉱床ですね。そこで、断層に沿って、ウランには核種が移動した形跡が全くない、というふうに述べられているわけです。このことが、あたかもガラス中に人工的に封じ込められた高レベル放射性廃棄物が、地中に埋められても安定だということと、何か同じレベルで議論されているんではないかと思うわけです。しかし、東濃のウラン鉱床で安定しているものは、ウランが黒雲母の変質とか黄鉄鉱のそういう粒間に、ウラン鉱物として存在しているのであって、ガラスの中にあるような高レベルのイオンではない、ということです。これを同一議論することは全く間違っているのではないかというふうに思います。それから、すいません。あとは討論の中で述べたいと思います。

(木元)
 よろしいですか?まだ。まだいっぱいございますか?では、一言。

(田崎)
 要するに、高レベル放射性廃棄物というのを考えなきゃいけないと。非常に国民的な課題であるということは分かるんですけれども、その前に、この前提になっている核燃料サイクルというのが非常に大きな問題になるんじゃないかと思うんです。それで、核燃料サイクルというのをそのまんまにしておいて、すでに、いまだに原発を増設する計画もある。一方では、もんじゅというものが、いくつか技術的に未解決な問題が出て来たということがあります。これはもう多くの方が議論されているわけですけれども、少なくともこういうことで、どんどんどんどん廃棄物を増していくような状態で、一方で廃棄物の議論をして行く。それでどういう結果が出てくるか、なかなか難しいという状況。これはやっぱり具合が悪いんではないか、というふうに思います。それから、ちょっと飛ばしまして、一般論としての住民に対するリスクの問題を考えます。「核廃棄物は自国内で処理」という国際通念。これは、良く分かるんですけれども、住民に対するリスクというのは、排出される核廃棄物の量と国土の面積、それは、例えば平地と山地の割合なんかも入ってきます。それから人口。こういうものが全部複雑に絡んできて、それによってリスクの程度というものが全く異なってしまうわけです。例えば、それは日本とカナダというものを比較してみれば細かい議論をしないでも全く明瞭です。そういうことを考えると、やはりこれ以上、先ほど述べたように、とりあえず増設は止めると、そうして、できてしまったものについて考えよう、ということにしたらいいのではないかというふうに思います。それから、最後ですけれども、貯蔵関連施設というものもすでに動いているわけなんですけれど、これの立地とか安全基準というものはどのように決められているんだろうかと。考えようによれば、高レベルの状態で30年から50年貯蔵されるというのは、処分場よりももっともっと危険ではないかというふうに思うんです。ただ、それは、ここのテーマに合わないと言われれば、また別のところでぜひ討論していただきたい。

(木元)
 バックエンド専門部会でも高レベル放射性廃棄物のこの処分懇談会でも、かなりそういうご議論はなされたということは、報告しておきますけれども。そうしますと、東濃の地科学センターの例をお挙げになりましたけれども、そういうところは動燃がやるんじゃなくて、国が管理をして、そして、研究はやっぱり進めた方がいいということですね?そして、今論議している地層処分という考えが一つある、世界的な趨勢として。それは進めていい、というお立場ですね?ただし、地質に関しては問題があるというお立場でよろしいんですか?そうしますと、処理して最終的にガラス固化体にする部分と、欧米で一部やっているように、ワンスルー、一次使用だけで埋める部分と、両方考えた方がいいと。あと、先生がさっきおっしゃった会議なんかは、小島先生や鈴木先生もご一緒にお出になっていらっしゃると思いますので、あとでご討議いただければと思いますので、ありがとうございました。
 それでは、福留さん、よろしくお願いいたします。

(福留)
 私は、島根県からまいりました福留でございます。私はまず、増大するこれからの21世紀のエネルギーを安定的に供給、確保していくためには、原子力発電は必要不可欠と考えております。各種世論調査等を見ましても、今、国民の多数がその必要性は認めておりますが、反面、私どものような電源立地地域におきましては、住民がいろんな不安を抱いていることも、また事実であります。特に先般のような動燃の不祥事が連続して起こりますと、ますますその不安感、不信感を増大させる結果になるわけであります。従って、これから廃棄物処理の中核的推進機関として、また、研究開発を担当する動燃には、十分その責任の重大性を自覚して研究開発の成果とか、問題点についても包み隠さず情報を公開して、透明感を高める努力をして欲しいということを、まずもって強調しておきたい。情報の全面公開、分かり易い説明、誠実な対応こそが社会的理解を得る前提であるということを申し上げておきたいと思います。情報公開のあり方はいろいろあると思いますけれども、私は二つほど考えております。先ほどフランスの話がありましたが、私もフランスへまいりまして感じたことでありますが、フランスでは 電源立地地域、原子力施設のある地域には法律で「地方情報委員会」というものが組織されている。そしてこの委員会には定期的に情報を公開するなど、透明感を高める努力をしている。日本政府も法律でこうした組織をつくれば透明感を高め、理解を得るのに非常に役立つのではないか、廃棄物処理にしても外部からの第三者的チェック機関としての役割を果たすのではないか、ぜひこうした組織がつくれないかと考えております。それと今一つはマスコミ対策であります。最近、原子力報道について、しばしばマスコミ批判を耳にいたします。私もマスコミ出身であり、いろいろ感じ、また残念に、遺憾に思っている次第であります。読売新聞の論説委員をしておられた中村政雄さんが、正確な原子力報道について訴えておられますが、私も同じように感じております。この点、もっとマスコミ関係者にも積極的にエネルギー情報を提供したり、原子力についても共に考え、共に論議していくという場をつくる必要があると思っております。それから本日の主要テーマであります高レベル放射性廃棄物処理について、先ほど説明にもありましたように、処理法はいろいろございますが、私ども素人が考えたり、聞いたり、勉強した結果では、やはり生物圏、人間環境から隔離するためには、地層処分が、現段階では技術的にも一番実現性があり、また信頼性が高い方法ではないかと感じておるわけであります。10年も15年も諸外国に遅れをとっている高レベル放射性廃棄物処分について、日本も地層処分システムを早急に確立していかなくてはならない。そのために国民のコンセンサスを得る努力は当然のことですが、そうでないといつまで経っても議論だけで、また同じことの繰り返しになってしまう、と思うのです。ただ申し上げておきたいのは、地層処分だけが絶対唯一の方法ではない。消滅処理法であるとかその他各種の研究開発も進めて選択肢を広げておくことが賢明だということです。客観情勢、価値観の変化によりただいま現在、ベストだと思われていることが、近い将来、それよりも良い方法が見つかるということもありますから、先ほど申しましたように選択肢は広げ、柔軟性を持たせておくことが文明国のあり方だと思います。選択の幅が狭くなると、どうしても極論に走りがちになりますから、それは避けるべきだと思います。
 それから処分地の選定と地域共生についてですが、私ども素人は無人島でもあればそこを考えてはどうだろう、というように思っているのですが、実際にこの問題は、長期にわたること、迷惑施設という暗いイメージがあります。また電源立地の際のような経済的メリットも少ない。雇用面でも一時的なものではないか、というような考え方がありますから、なかなか、おいそれと、受け入れてくれる自治体は現れて来ないのではないかと。したがって報告書案の中にありますけれども、実施主体がどういう形であれ、民間主導で処分地を選定することは難しい。ですから、この問題には、国が前面に出て、責任を持って積極的に進める必要があると思います。終わりにもう一つ。地域との共生。なかなか耳ざわりのいい言葉ですが、電源立地の際のような三法交付金によるお金を与えて、地域振興という名の”箱物”をつくるような一過性、利益誘導型の従来方式では難しい。私は電源三法交付金制度を抜本的に見直し、廃棄物処分場選定にはもっと長期的視点に立ってその地域の振興、住民生活に貢献するようなものに改めなければ難しいと思っております。まだ申し上げたいことがありますが、時間がありませんので、ここで終わります。

(木元)
 またあとでご発言の機会があればフォローしていただければと思いますけれど。今おっしゃったところは、処分懇談会の中でも、その地域にビジョンがあるならば、自分の地域をこうしたい、あるいは、こういうものが欲しいという考えがあれば、それを十分に取り入れて行こうと。電源三法でもだいぶ柔軟性が出てきていますので、それをもっともっと積極的に進めて、本当にその地域が「はい」と手を挙げるような状況をつくらないといけないんじゃないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思いますが、その地層処分だけでない選択肢ということは、他も考えろと言うことですね?また、新しい技術が出るかもしれないし、ということですね?そこが、先ほど石窪さんがおっしゃった柔軟性という範疇にね、たぶん入ってくる部分じゃないかと思いますが。またご議論いただければと思います。それでは、山中さん。ごめんなさい。堀江さん。よろしくお願いいたします。

(堀江)
 今までいろいろと処分についての案を皆さんおっしゃいましたので、そうしたことは、私前提として、ちょっと考えの違う部分だけ説明させていただきたいと思います。前提として、地下に埋蔵するということが、まず前提になっているようですが、今までの話では、全てそういうふうに話されておるわけでございます。ですけども、アメリカとかフランスとかといったような広大な砂漠等を持っているような国においては、そういうふうな地下に埋蔵する、埋めるといったこともかなり可能ではないかと思いますけれども、なにぶんにも日本は狭い国であるということ、言うなれば、廃棄物を地下に埋蔵するということが、5年くらいやればそれで終わるとか、10年やればそれで終わるとかといった問題ではないわけでございます。原発は、それこそ未来にずっと続いていくことになるわけでございますので、当然の措置としてそういったことをするということになりましても、必ず問題を先送りするということになってくるのではないか、ということでございます。私は、発想をちょっと変えてみまして、地下に埋蔵すると、埋めるということではなくてですね、突飛な考えかもしれませんけれども、日本の太平洋側には日本海溝というものがあるわけでございますね。1,000m以上の深い、いわゆる海溝ですね。そこの日本海溝というのは、いわゆる1,000m以上の深いところでございますので対流はありません。光も入ってきていない。まあ、そうしたところですので、私はむしろ雄弁な地上を掘って埋めるということではなくて、ガラスの固化体にして、そこへ持って行くというふうな形。生物もいなければこの海流との影響もない、といった所でございますので、永久にそれは葬られてしまうという形の場所になるわけでございます。ですから、私の考えとしては、日本海溝へ持って行って、そこに全部捨てると言っちゃ何ですが、管理すると。そういったようなことを考えていったらどうだろうか、というふうに私は思っておるわけでございます。今までのところでかなり話がございましたので、その結論だけを私申し上げまして、私の意見として終わりたいと思います。

(木元)
 ありがとうございました。だいぶお時間を節約していただいたような気がいたします。海溝に埋めるという発想は今までもあったろうと思うんですが、それは、先ほど有本課長からも、そこを踏まえて地層処分がベターという選択になった。そのへんは、もうちょっと私どもも知りたいところですので、あとでまた鈴木先生、小島先生にご説明いただければと思います。で、処分に関しては、一生懸命みんなで考える姿勢は、これからも取りたいんですが、こういう会は必要ですよね?こういう話し合いの会合というのは、堀江さん。

(堀江)
 はい。

(木元)
 実は、堀江さんはご応募いただいたんです。ぜひご出席して、ご意見を出していただきたいということで。日頃からお考えていただいていたようで、本当に嬉しく思ってますので、ありがとうございました。また、ご発言の機会があれば、お願いしたいと思います。

(堀江)
 失礼します。

(木元)
 はい。それでは、やはりご応募いただきました益田さん、お願いいたします。

(益田)
 はい、益田でございます。私の考え方を申し上げます。ここに、一つの長期需給見通しというのがあるんでございます。これは、総合エネルギー調査会、1990年6月21日でございます。これは、原子力関係でもこの長期需給見通しは援用なさって、あちこちのパンフレットに載っております。これによりますと、1992年から2010年までの間の消費と供給、それぞれトータルで117%増加をしてバランスすると。その前提には、二酸化炭素排出量規制の目標を2000年以降、概ね1990年レベルで安定させると。すなわち、0%と、こういうものが含まれておるわけでございます。それによりますと、原子力発電の供給のシェアは、2010年で16.9%。電力だけで申しますと、さっき申し上げましたように、お話がありました、34〜35%という具合に、現在なっているわけでございます。ところが、ご承知のように、昨年12月気候変動枠組み条約京都会議というのがございました結果、思いのほか厳しい規制が先進各国に加えられましたこと、ご存知でございます。すなわち、1990年の水準では、日本は-6%と。アメリカは-7%と。EU諸国は-8%に二酸化炭素等の排出量を規制すると。これは、2012年までの国際的な約束であり、目標は示されたわけであります。従いまして、総合エネルギー調査会が出しておりましたこの長期見通しは、これから先急速に変更し、かつ対応を迫られる問題でございます。先般の統計によりますと、やはり石油、石炭に依存するエネルギー源の数量は、資源エネルギー庁の調査では、2010年で約二つ合わせて50%を越える供給シェアだと。これは、そのまま2010年まで突っ走っては、国際的にも約束を違反すると、大変な事態になったわけでございます。このようなことを考えます。また、先般来示された処理案というものを拝見いたしますと、やはり、この処理案にも京都会議における大きな圧力が加わって、より地球に優しいエネルギーの供給体制、すなわち原子力、水力はもう拡大の余地がございませんけれども、そういう地球に優しいエネルギーの供給体制というものが、ますます確立をしていかなければならないことになってきたのでございます。そのような段階でございますので、衆知を集めて、そのお求めいただきましたこの案、原則的には賛成でございます。しかも、京都会議等のことを考えますと、もはや、あまり猶予はしておられないと。なかなかプロセスがたくさんございまして、大事なプロセスは全て踏んで行かなければ国民が納得するものではないのでございますが、この最終処分に行き着く問題は、一県民、あるいは一地方民の問題ではなくて、国民全体で考えるべき問題だと、このように考えるわけでございます。それから、ついでに安全と安心の問題が出てまいりました。安全とは、先ほどのお話のように、よりテクニカルな、あるいはメカニカルな問題でございます。人工でつくられたものは、決して全く壊れないということは言えないのでございます。それを、100%に近い、その安全なものにするのは、技術でございます。また、安心っていうものは、一般国民の受け取り方でございまして、よりメンタルなものでございます。いかに安心させるかということは、それぞれの段階における問題。こういうことでございます。また、もう一つ、時間がございますので、付け加えますと、いろいろ事件があります度に、原子力関係の重役さん、あるいは理事長さんが、いろいろとテレビ等で陳謝をなさっておられます。しかしながら、あの中に私は一つ欠けていることは、その原子力関係の各種事故と言いますか、トラブルについては、国際的な一つの尺度が決められておるわけでございます。例えば、それによりますと、チェルノブイリは、最高ランクの7度。それに比べまして、先般のもんじゅの事故は、0ないし1度と。このようなこともしっかりと踏まえてご発表いただくと、大変マスコミ等の書き方、あるいは国民の受け取り方も優しい受け取り方になるのではないかと、このように考えております。終わります。

(木元)
 ありがとうございました。あの、大変熱弁をふるっていただいたと思います。今のおっしゃったことは、そうしますと、例えば、先ほどの教育の問題も出てまいりましたけれども、国際的な事故、あるいは事象の評価のレベルは、一般的には知らないわけですよね。で、そういうものも、もうちょっときちんと教育の場でも言わなければならないし、マスコミの場でも、そこをきちんと踏まえなきゃいけないと、そういうことですね?

(益田)
 私モニターをしておりますが、モニター一同には、原子力関係の皆さんが、資料としてお配り、あるいはご説明をいただいて、十分認識しておるわけでございますが、非常にその認識をしている範囲が少なかろうと思いますね。もっと堂々と公表なさって、そのランク付けに基づいていろいろ記者会見、あるいは陳謝をなさると、大変受け取り方もよろしいのではないかと。そういう点が、大変欠けていると思います。

(木元)
 厳しいお言葉ですけれど、「もっと堂々と謝れ」ということなのかも知れません。

(益田)
 はい、そういうことでございますね。

(木元)
 では、この地層処分は「早くやれ」というお立場ですね?

(益田)
 はい、京都会議等々のこともございまして、国の政策もかなり、また優しいエネルギー源にシフトしてくると思います。ですから、このテンポはもっと早めて、ところが、プロセスが多いのでなかなか難しい問題でございますけれども、できるだけ早めて、はい、そう思います。

(木元)
 はい、ありがとうございました。では、続いて、ご意見伺います。松岡さん。やはり、公募していただきました。ありがとうございました。

(松岡)
 松岡でございます。私は、環境問題を扱ってます会社に勤めております会社員ですけれども。今日は、そういう、普段環境問題を扱っている立場から、原子力の高レベルの廃棄物についての、持っている感想というものを述べてみたいと思います。利用可能な電気エネルギー源としていつも言われる、火力、原子力、水力、地熱、太陽熱、風力などがあるかと思いますけれど、これらは、それぞれ長所もあるし、短所もあると思いますけれど、現時点の我々は、これらを上手に使っていく、そういう必要があるのではないかというふうに思ってます。原子力を維持していく、あるいは今後のエネルギー需要の増加に応じて少し増やしていくというような状態を考えますと、原子力から出てくる廃棄物の適正処分については、当然真剣に考えていかなきゃいけないと思っています。廃棄物の問題は、原子力だけではなくって、例えば、太陽熱をやるにしましても、例えば太陽パネルが劣化するとこれは当然廃棄物になるわけで、これを処分したりすると、可能性としては、昨今問題になっているようなダイオキシンの問題とか、そういったこともでるわけでございまして、何をやっても廃棄物については相当の処分コストがかかるというふうに私は思っております。現時点で、原子力が抱えている大きな問題点というのは、廃棄物、特に高レベル廃棄物の処分をどうやっていくかということだというふうに思っておりますけれども、私が心配しているのは、先ほど児玉副社長の方からもありましたけれども、経費負担のルールがまだ確立されていないと、そういうことがあると思います。まあ、一般の廃棄物を考えてみますと、例えば、私たちの家庭から出るゴミとか、事業所のゴミとか、まあそういったものを福岡市で言いますと、途中で焼いたり砕いたりして、最終的には市内数カ所にあります処分場に埋めてしまうわけです。これはもう、実質的には受益者である私たちの税金という形で負担しております。それから、福岡市では昨年の12月から粗大ゴミ−テレビとかたんすとか、あんなものについては、1個500円とか1,000円とか、そういった料金を取って処分をするようなシステムになりました。これは、今までの税金だけでは足りなくなったから新たに条例をつくってそんなふうにしたわけです。こういった具合で、我々がいつも出している普通の廃棄物というのは、そういう処分する金銭上のルールがもう確立されております。産業廃棄物につきましても、産廃業者に私たちが産業廃棄物を出すと、料金を取られます。ですから、これも税金ではありませんけれども、実質的にルールが確立されているというふうに思っております。しかし、原子力の高レベルの廃棄物については、こういったルールが、先ほどからありますように、まだないということであります。この原子力の高レベル廃棄物についてルールを作る場合に、例えば、税金でやるという形もあるかと思いますけれども、受益者負担の原則に立てば、私は、電気料金の中に含めて考えるべきじゃなかろうかというふうに思っておりますので、ぜひこういうルールの確立を望むところであります。あと、少し環境問題をやっている中で、廃棄物ということについて、少し考えていることを言いますと、廃棄物という言葉は日本国民にとっては非常に、何と言いますか、非常に特別な感情を持っているという人が多いと思います。原子力の高レベル廃棄物についても、とんでもないやつがあると、そういう感じで国民の方は考えておられると思います。私が最近、ダイオキシンをどうやって分解しようかとか、処分しようかという方法を考えた時に、いろいろ文献を調査してみました。アメリカでは、使用済核燃料とか高レベル廃棄物から出てくる放射線、これでダイオキシンを分解しよう、やっつけようという研究をやっています。真剣に考えています。私が言いたいのは、廃棄物ということで全てやっかいものということで考えるのではなくて、何かこういろんな可能性があると思いますので、そういう広い視野で考えていただいたらいいんじゃないかなというふうに思っております。ちょっと話が変わりますけれども、30年前のカネミライスオイルの事件で問題になりましたPCBですけれども、このPCBにつきましては、当時は処分する方法がなくて、焼いても、燃やした時にはダイオキシンが出るかも知れない、なかなか分解しないというようなことで、いろんな事業所の中に保管して管理されています。だけれども、つい最近ですけれど、微生物で分解できたりとか、あるいは超臨界水という技術が新しく出来ていますけれども、そういったもので分解できる可能性が出てきました。ですから、今はやっかいなものであっても、将来の技術革新で何とかなるという可能性もいろいろあると思いますので、まあそういったことも、高レベル廃棄物を考える時にいろいろ考えていただきたいなというふうに思っております。あと1分ということですけれども、あと一つだけ。私、環境の関係の仕事をしていますけれども、仕事の傍ら、年に10回ほど九州各地に出かけまして、中学生とか、小学校5、6年生の子供さんを相手に「おもしろ科学実験」というのをやっております。朝から晩までいろんな実験をやります。その中では、硫酸を扱ったり、ものすごく冷たい液体窒素を扱ったりするのですけれど、放射線も一部使って実験をしております。子供さんたちは、硫酸でも過酸化水素でも、液体窒素でも放射線でも、全然、何て言いますか、区別なく面白がっていろいろ実験します。ところが、その子供さんに付き添って来ている親御さんたち、ちょうど40歳代ぐらいなんです、40前後なんですけれども、親御さんたちは、硫酸とか液体窒素とかそういったものは面白く実験するんですけれども、放射線となると一歩下がるんですよ。だから、やっぱり、私いつもそういう実験をしていながら、この親御さんたちは、小学校とか中学校の時には今の子供さんたちと同じように何でも受け入れて実験したと思うんですけれども、その人達が40ぐらいになるまでに何があったのかなあということをいつも考えております。いろんな問題があるかと思いますが、教育とかマスコミとか。今日、この場で私に、「それはこういう問題があるんだよ」というようなことを教えていただければ幸いだと思っていますけれども。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。大変、多岐にわたっていたような気がしますが、廃棄物がダイオキシンをやっつけるなんてなかなか面白いですね。将来はこの高レベル放射性廃棄物の研究の対象に組み込んでいければ面白いですね。

(松岡)
 あの、びっくりしたんですけれども、そういう研究をやっている例が、アメリカではたくさんあります。

(木元)
 そうですか。

(松岡)
 日本では全然ございませんですね。

(木元)
 日本ではどうしてできないんでしょうね?

(松岡)
 やはり、発想が違うんじゃなかろうかと思いますけれど。

(木元)
 そういうことですか。じゃあ、ユニークな発想をする方をぜひ、国も考えた方がいいですね。国というか事業者もね。

(松岡)
 はい、よろしくお願いします。

(木元)
 よろしくお願いします。ゴミは有料であるということがよく分かりました。福岡も、粗大ゴミにお金を付けて捨てるということですね。我々の仲間も誤解する時があるんですが、この頃、ほら「粗大ゴミ」って別のこと言いますから、そっちの方もお金付けて捨てようかって言うんで、まあ困っちゃっているんですけど。冗談はさておきまして、放射線のお話も非常に重要だったと思います。日常的に放射線は飛び交っていますし、私たちに被害を与える場合には、その量とかその与える時間だとか、その放射能の質だとか、そういう問題になることが教育の中ではなされていない。有効利用の放射線がたくさんあるということも知らなければいけないということも、お話しいただけたのではないかと思います。では、続きまして、森さん。森さんもご応募いただきまして、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

(森)
 森でございます。昨年、玄海原子力発電所を見学させていただきまして、また、原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会等の二つの案を読ませていただいて、特に私は、国に対して、科学技術庁も含めますけれど、国に対しての提言ということでお願いしたいと思います。産業や経済が発展し、人々の毎日の暮らしの中で文化的な生活を営みますと、電力の需要も右肩上がりになって行きます。資源の少ない我国では、約34%の電力源を原子力に依存しており、これからも年々電力の需要の増加は予想されます。原子力発電をすれば、これにより、どうしても高レベル放射性廃棄物が出てきます。外国では、20年も前からこの問題についての取組みをしておるのに、我が国では、2年前から懇談会が設置をされたということです。原子力発電所の見学などで聞くところによりますと、相当量の高レベル放射性廃棄物が出ており、中間施設で30年ないし50年程度の冷却保管され、放射能の半減したガラス固化体を、最終的には岩盤の堅い地下数百メートルから千メートルの地中に埋設して、厳重に管理されるそうですが、その最終処分の議論がまだ緒についたばかりで、外国に比べて大変な遅れがあることを認識する必要があると思います。動燃のもんじゅから東海発電所までの事故や故障で2年が経過しており、その報告や事故後の各関係機関への対応のまずさから、結果的には虚偽報告や隠ぺいをしたことで、原子力に対する国民の不安感、不信感が渦巻いており、今まで原子力についての関心の少なかった人々にも、原子力発電がにわかにクローズアップされている時期でもあり、「災い転じて福となす」のことわざもあります。国、特に科学技術庁におかれましては、電力会社や動燃事業団などに任せっきりにせずに、主体性を持って21世紀のエネルギー構想の主力である原子力発電のメリット、高レベル放射性廃棄物処分の必要性、放射能や地震に対する安全性、とりわけアメリカのスリーマイル島、旧ソ連のチェルノブイルの原子力発電所の事故原因と、我が国の現在稼働している軽水炉、原子力発電所の30年間の実績や、事故との比較、高レベル放射性廃棄物の処分場選定までの手順、処分後の管理、監督体制などを分かりやすく情報公開し、政府広報で新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどマスコミを通じて広汎な国民に周知を徹底、議論をしてもらい、原子力発電に理解と認識をされ、処分場選定が容易にできる環境整備に一層の努力をしていただきたいと思います。

(木元)
 コンパクトにおまとめいただきまして、ありがとうございました。今、お話を伺わせていただいておりますと、日本がこうやって廃棄物を出していくことに対しては、当然のことながらちゃんと自分達が責任を負わなければいけない。そして、それへの理解というものは、まあ私どもマスコミを通じておもに知るわけですけれども、マスコミとか、あるいは文部省との話もあるかも知れませんが、その教育の場で、もうちょっとその事実をはっきりさせて、そして自分のクリーンな頭で考えると。こういうことをやっていかないと将来明るく展望できないんじゃないかと、そういうお考えと解釈したんですけれど、そんなことでよろしいんでしょうか?

(森)
 はい。もんじゅの事故から2年と1ヶ月くらい経ちまして、いろいろマスコミを通じて、国民は事故の状況を知っていることが多いと思うんですけれど。しかし、実際、原子力が稼働して30数年の歳月も過ぎて、そういう実績もあるわけですから、そこらへんもまた認識もして欲しい。いろいろ反省をしなきゃならんこともある。今、木元さんが言われたように、教育についても小さい時から原子力について体系的に教えていく、というようなことも必要だと思います。

(木元)
 そうですね。その場がちょっとないような気もするんですね。またあとでご意見を承りたいと思います。ありがとうございました。では、続きまして、やはりご応募いただきました。山口さん。お待たせしました。

(山口)
 鹿児島県の山口でございます。ただ今、鹿児島におりますが、私、前身は、長崎県の県庁に奉職いたしておりまして、定年退職まで23年間の県議会、議事調査課に勤務いたしてまいりました。その後、同県町村議長会事務局長を3年余り、現在は鹿児島市議会の特別委員会、四つございます特別委員会の概要、会議録を任されておりまして、作成いたしております。そういう関係で、地方住民と直接、あるいは、間接に非常に長年携わってまいりました経験から、実は、賛成推進の立場で極めて幼稚なご意見を申し上げたいと存じます。ただいまモニターもいたしておりまして、先年、六ヶ所村の原子力関連施設をつぶさに見学をする機会を得ました。その折りに、モニターである私が、誠に不覚でありますが、最終処分場の処分地の選定がまだできていないと、決まっていないというのをその折りに知りまして、愕然と、実はいたした次第であります。ことの善し悪し、原発を賛成であるか反対であるかではなくて、すでに現実問題として40%が九州では稼働して電力が使用されておる、それから毎日廃棄物が出ております、そのゴミの最終の受け皿ができていないというのは、どういうことであろうかと。そのように考えます。帰りまして、住民の誰彼、有識者ともいろいろとお話しをしますが、私どもの県に川内原発がございまして、ここに、婦人代表のグループと一緒に参観にまいりました。一昨年でしたが。もう、等身大の模型を使っての懇切丁寧な説明で、婦人の方々も了解をします。そして、安全性について問題があるというようなご意見というのは、全くございません。それが大半の国民の考え方であろうと、認識であろうと思うものでございます。そこで、長崎県におきまして、実は、原子力に携わる機会が2、3ございました。例の、原子力船むつが大湊に係留して放射線漏れを起こして動けないという折りに、長崎県の佐世保市の造船所で修理をしてくれということになりまして、私、担当しておりまして、議会運営委員会が、全員大湊に係留中のむつの船内の原子炉の中まで入って調査をしたことがございます。その折りの人たち、みんな今、代議士になっておられますが、皆さん、非常にあの隔壁をくぐり抜けて、原子炉の中まで入りまして、いろいろと説明を聞いて、了解して、県議会としても了承しよう。そして、佐世保市の重工業に3年半修理に入ったわけでありますが、その折りに当然反対派のものすごい議会への阻止行動があったものでございます。それらを通じて私もいろいろ考えてみました。しかし、やはり原子力利用はなければならないものであると、昭和50年の第3回定例会で被爆県である長崎県が決議をいたしております。平和利用を推進すべきであるという決議をなされておりますし、その後起こったむつの入港に際しても、これを了承すると。核抜きではありましたが、了承するという立場を取った。そういうことがございまして、核アレルギーの強い長崎県でさえも、大半は原子力利用やむを得ない、というのが、率直な地方住民の素朴な認識であろうと思っております。そこで、昨今、産業廃棄物の処理場、あるいは、外交に関するような基地問題についてでさえ、住民投票という手法が用いられておりますが、この住民投票に私はいささか疑問を感じておる次第でございます。一地域の何千人しかいない住民の反対で国家的な国策であるものが、その重要案件が決定されてしまってよいものであろうか。そのためには、どうすればよいか。私なりに考えますのは、住民投票の結果もよろしいですが、できれば、隣接市町村全部にそれをなんとか義務づけるような、そして、当該都道府県の議会の承認も当然得なければならないと。法的な拘束力のない住民投票によって何事も決せられるようでは、ちょっと困ると。従って、先ほどご意見があったような、教育の問題。これらも、同和教育を盛んに地方ではやりますが、あのような形での原子力教育というようなものも必要ではないかと考えておる次第でございます。時間がございませんので、以上を申し上げて終わります。

(木元)
 ありがとうございました。多岐にわたってお話しいただいて。今度は、住民投票の問題とか原子力の平和利用の問題とか。朝まで生テレビかなんかでやる時にはぜひご出演いただきたい、と思ったわけですけれども。今回の高レベル放射性廃棄物。六ヶ所に行って初めて処分場が決まっていない日本の現状をお感じになった。これはもうこういう状態にあるのは、生ぬるいぐらいだという感触をお持ちなんでしょうか?

(山口)
 もう、驚きまして、直ちに取り組むべきではないかと。そのためには、まず、数カ所の候補地の選定をすることが、大事であろうと。そうして、その候補地について、地層の調査研究を進めながら、決定をしていくプロセスというのを踏むべきであろうと考えております。

(木元)
 そうなんですが、住民投票とまではいきませんが、地元の方々のご反対があったり。

(山口)
 当然、反対があるであろうと、予想されますが。

(木元)
 そこは話し合いで、もうじっくり話し合いでご了解いただくということでしょうか?

(山口)
 ええ、話し合いが結構ですが、国も国策である以上、国会の決議なりをして、少し特別法でも設けるぐらいの気持ちで推進をされなければならんのではないか、と私は考えております。

(木元)
 はい、ありがとうございました。それでは続きまして、今度は山中さん。お待たせしました。

(山中)
 こんにちは。大分からまいりました山中と申します。原子力モニターを始めて2年ほどになります。それまでは、私は原発というものに対しては、ただ、漠然と放射能を含む危険なものだ、というぐらいのものしか思っておりませんでしたが。いろいろと送っていただく資料を拝見したり、玄海原子力発電所、六ヶ所村の原子燃料サイクル施設の見学等を通しまして、原発に対する考えが、最近では少しづつ変わってきたように思います。今日の議題であります高レベル放射性廃棄物の処分についてですが、現在、日本では、例えば九州でももう4割以上が原発に頼っているという現状で、まだ一時的な貯蔵地しか決まっておらず、最終的な処分地が未だに決まっていないということは大変な問題だと思っております。確かに、日本国内のどこに決まろうと、そのもしもの危険性を考えると、それが、永久的に、永久的ではないものもあるみたいですが、放射能を出す以上、その最終処分地の近隣の人々はとても嫌なことと受けとめるかも知れません。最近では、動燃をはじめ、もんじゅの事故のように、原発で起こったいろいろな事件を隠ぺいしたことにより、国民の皆さんは、たぶん、原子力発電に対して大きな不信感を抱いていると思います。だから、原子力委員会の方が地層処分の方法が安全であるとおっしゃられても、なかなか信じられないのではないでしょうか。しかし、原子力発電に頼らなくては現在の経済をとても維持できない以上、先ほどからおっしゃられている、地層処分という、いま一番安全であろうと思われる処分法を行うべきだと思います。原発に対しては、現在、安全性とか増設問題等については、マスメディア等でも頻繁に取り上げられ、そういった面では国民の意識も随分高くなって来ていると思います。しかし、それらにより必ず発生する核廃棄物に対しては、まだまだ国民の関心というものは低いように思います。しかし、これは現在の私たちのみならず、私たちの子供や孫、その先々の世代まで、ずっと引き続いて関わっていく問題である以上、たとえ核廃棄物が目をそむけたいようなやっかいな問題であろうとも、私たちは、もっと責任を持って後の世代にきちんとした形で引き継いで行くべきことだと思います。現在でも、廃棄物の利用や処分については、研究者の手で日進月歩進められていることとは思いますが、今以上に、もっともっと早急に進めていって欲しいと思います。そして、先ほどから言われている、もしその費用が不足しているのであれば、国家的な予算をもっと取り入れたり、一番の利用者である私たちの月々の電気料に加算してでも、緊急に取組んでいって欲しいと思います。そして、考え出された案は広く国民に知らせ、本日のようなこのような意見交換の場で、もっともっと討議していって欲しいと思います。ところで、今の原子力行政は、国民の理解を一層深めるといった意味から考えると、情報の提供の機会がとても少ないと思います。そのため、国民は、原発に対しやたら賛成論を論ずる電力会社のPRと、ちょっとしたミスでもさも大惨事のごとく取り立てるマス・メディアとの狭間で悩んでいると思います。これらを解消するためにも、国民に、原子力というものをもっと分かりやすいレベルでたくさんの媒体を使って届けて欲しいと思います。最後に、現在子育て中の母親の立場からもう一言言わせていただくとすれば、原子力によって電気の利益を受けた私たちから、その廃棄物の処分を委ねられる子供たちには、小さい頃からもっと教育の中でエネルギーのことをきちんと教えるべきだと思います。それは、ただ単に「省エネしなさい」とか「節電しなさい」とかいうことにとどまらず、現在、原子力にほとんどの発電を依存しなければならないということや、その電気には、常にとてもやっかいな放射性廃棄物が付きまとっているということを子供の頃から教育として教えていって欲しいと思います。また、子供の教育として、現在でもある各種PR館の数を各地に増設したり、子供たちが親しみやすいようなマンガ形式のパンフレットなどを増やしてみるというのはいかがでしょうか。そうすることにより、原子力に対し子供たちも小さいうちから興味を持ち、原子力についてのより多くの優秀な技術者が育っていくのではないでしょうか。

(木元)
 ありがとうございました。お子さん、お小さいんですか?まだ。

(山中)
 いえ、小学生がおります。

(木元)
 ご一緒に話すことあります?

(山中)
 ええ。以前はなかったんですが。原発とは話が違いますが、戦争というものがすごく、誰しもそうでしょうが、反対でして、子供に原爆については、すごく小さい時、もう幼児の頃から、毎年広島に連れて行って、大した現状のものはないですけれど、見させております。そういった関係で、放射線ていうのか、原発とかいう、放射線については子供も少しは、子供なりに考えを持っているんですが。玄海原子力発電所や六ヶ所村の原子燃料サイクルに行った折りにいただいた資料などを見せて、私なりに分かる範囲で子供に説明しております。

(木元)
 というと、原子力爆弾と、それから原子力の平和利用との違いみたいなものもお話しになって、そして、お子さんなら今おっしゃったような原子力発電所や、今日のテーマの、こういうような廃棄物が出るというところまで、お話し合いはなさっていらっしゃる?

(山中)
 はい。それで、今まではそこまでは余り突っ込まなかったんですが、今回またこれに出席するというので、自分で勉強し直したものですから。そういうことをしていたら、子供が横に来ますので、私なりの分かる範囲で、子供はどこまで理解しているかよく分かりませんけど、話しております。

(木元)
 そういうことは意味があるし、とお考えになっていらっしゃる?

(山中)
 そうですね。

(木元)
 で、処分についての報告案をお読みになって、その通りご納得いただいたような解釈を受けたんですが。

(山中)
 はい、そうですね。

(木元)
 それに関してのPRと言いますか、国民に知らせるところがちょっと物足りないと。そこですね?

(山中)
 そうですね。私も、モニターをするまでは、あまり原発に対して私自身があまり興味がなかったと言うのか、目をそむけていたところがあります。どうしても、原子力発電所から、住んでいるところが遠くまではいきませんが、離れてますから。

(木元)
 電気は来ているけれど、どこから来ているか分からないという。

(山中)
 そうですね。電気を実際は使っているんですけれど。

(木元)
 色が着いて「これは原子力発電所からです」といえば分かるけど、分からないですものね。

(山中)
 興味を自分から示さなかったんですね。

(木元)
 では、高レベル放射性廃棄物というのは、あまり聞いたことなかった?

(山中)
 新聞で読む程度でしたね。はい。

(木元)
 それでも、読む程度ならいいですよ、まだ。「高レベル」っていうと、分からないこといっぱいですし。

(山中)
 今回私がこれに出席するというので、ちょっと周りの人に、「何に出るの?」と言われたんですけれど、「原子力発電のことでね」って言うまでは周りの人もは「あー」って言っていたんですけれど、そこで「それにね、高レベル放射性廃棄物っていうのがともなうの」って言ったら、ちょっと私の周りの人は、レベルが低いのかも知れないんですけれど…、

(木元)
 なるほど「低レベル」ね。

(山中)
 「それって何なの?」っていうぐらいになって、また、そこからちょっと説明となるとやりにくいなあと思って。でも、それをやっぱり、そんな会話を通して、「はあ、一般の人ってこんなに原発に対しても、また、放射性廃棄物となったら、もっと関心が薄いんだなあ」としみじみ思いました。

(木元)
 そこですよねえ?

(山中)
 はい。

(木元)
 私だってそうでしたからねえ。今日は高レベルの話ですから、レベルが高い。中身も。はい。次にまいります。山本さん、よろしくお願いします。

(山本)
 今ちょっとお話にもありましたように、赤いラインが原子力というふうに分かれば、私たちも何か、もう少し考え方が深まるんじゃないかなあと。また、特に私は、現実主義なところもありますので、例えばこの廃棄物の問題にいたしましても、実際に電気を使ったら、まあ家庭であればゴミとして、ちゃんとこう生ゴミよりも臭くて、とかっていう感じで、手に負えないなあというような状況が分かれば、もっと、それこそ、この問題は非常に困難な問題として取り上げてありますので、もっと深刻に皆さんが考えられんじゃないかなとは思うんですが。まあ、私自身は、ここ2、3年でそういう問題を知ることによって、感じたことを述べさせていただきたいんですが、まず、知れば知るほどに、どうしてこんなに夜間照明をみんな使うのかなあという、特に都市部に関しましては、道路の問題にしてもそうですけれども、時々、車に乗っていても、電気をつけ忘れててもへっちゃらなぐらい、道路でも走れるような夜間照明というのが、ばっちり、これは、防犯上の問題もあるのかも知れませんけれども、まあそういう基本的なところももう一度考え直さなきゃいけないんじゃないかなあ、と思うんですが。私は、この高レベル放射性廃棄物の処分についてというところで、いろんな資料なども見ながらというところで、感じることを言わせていただきたいんですが、私の場合は、この原子力というものは本当に人間がつくったもので、私は、日本で原子力を利用し始めた頃に生まれましたので、原子力と共に育ったということになるんですけれど。私たちにとっては非常に救世主だったと思うんですね。でも、本当に手に負えない、手に負えるはずのない廃棄物ということで、モンスターエネルギーという感じで、私は言わせていただきたいんですが。しかし、根本的に考えれば、もともと全ての地球の鉱物の操作によって全てのエネルギーがつくられたわけですから、私は、地球そのものの根本エネルギーは全て地球で吸収できるんではないか、というふうに思っております。ですから、これはまあ想像を絶する人間の科学サイズをはるかに超えた、一つの地球が自然原子炉、原子力発電所というふうに私は感じております。まあ、一つの原子力発電所の構造物の屋上に私たち人間が存在しているんじゃないかな、というふうに思っております。その星、星、惑星の単位で、違う寿命があると思うんですけれども。この人造発電所レベルでの廃棄物というのは、本来存在しないんじゃないかなあ、なんて思っているんですが。ただ、今、地層処分というところでの地表での処分。まあ、埋蔵だったりとか貯蔵ということで研究をされているようですけれど、できればもっと掘り下げたところでの、コア。コアというと地表から2,900mになりますので、マントルでいけば、大陸からでだと30〜50kmぐらいですので、こういうこと自体も、さすがに今の研究の中でははるかにスケールを超えたところなので、私がそういう意味で専門家ではありませんので、経費の問題だとかプロジェクトの問題などというのは、ちょっと無視したところでしゃべらせていただいているんですけれども。私は、そういう点では、根本的に、その原子というものは融合できるんじゃないかな、というふうに思いました。そういう点では、人間というものは、もう地球そのものが何億年の歴史があるわけですから、その歴史の中で創造、維持、破壊のずっと繰り返しをされているわけで、その根本的なものは、食べたり飲んだりしたその排泄物は自然に戻っていってというその繰り返しが、ずっと、人間のその生きていく中では、そういうエネルギーの中で生きてきているわけですから。それが、今、人口が増えて、そのゴミの問題にしても、いろいろ問題、生ゴミの問題もあるようですけれども、その原子力に関しては、人間というのは本来地球で生まれたものですから、全ての人間はその地球の子供という考え方をさせていただくと、日本人は素晴らしい言葉を残しております。「母なる大地」という言葉がありますので、地球は母というところで言わせていただくと、地球のコアというのが母に当たるんじゃないかなと思います。その母の底力というのをもう少し掘り下げたところで研究、計算をしていただけると嬉しいなあとかって思うんですけれども。まあ、そういう点では、かなりのシミュレーションも必要だとは思いますけれども、地表近くに貯蔵するのではなく、もっと掘り下げた、スケールのはるかに違うような、地球のコア的な内面世界に吸収するというような考え方が、一つあってもいいんじゃないかなあとかっていうところで、感じるところをしゃべらせていただいたわけなんですけれども。私が、結局、一番必要だと思っていることは、例えばアメリカの航空宇宙局、NASA的な考えに基づく取組み方ですね。そういう点では、月までの距離というのは38万キロくらいの距離なんですけれども、NASAは既に25年前に有人の旅でそれを往復しているわけですから、その地球の内面的なところというのは30キロぐらいでございますので、その内面的な宇宙にちょっと目を向けてもらえたらなと。そこで、ちょっと勝手に私は、日本地底宇宙局とも言うべきようなですね、特別機構の設立があって欲しいなと痛烈に感じております。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。伺っているうちに「SFかなあ」と思ったりしました。現実的に考えることは可能かも知れませんよね?すごい頭の科学者がいて…。そう思っていらっしゃる?

(山本)
 そうですね。とても極端な言い方をしちゃうと。

(木元)
 今日の中で一番スケール大きいんですよね、お話が。

(山本)
 すごく生意気なことになっちゃうかもしれないんですけれども、天文学から地動説に移った時のようなですね、感覚でちょっと皆さんが笑い話にならないようなところで考えていただけると、ちょっと面白いんじゃないかな、とは思うんですが。

(木元)
 コアのお話なんか…。マグマでしょう?あそこに埋めちゃうわけですか?

(山本)
 そこらへんが、私は、全然ちょっと専門家ではないので、その質量対質量の部分だとかっていうのも、あるとは思うんですけれども。

(木元)
 そうなってくると本当にSFっぽくて…。マグマ大使とかね。

(山本)
 特に、私はSFXの映画が好きだというところもあるかも知れないんですが。外に向けるっていうのはちょっと考えられないからですね。ですから、ちょっと内面的に考えてみました。

(木元)
 まあ、お金もかかるでしょうけれどね。

(山本)
 そうですね。

(木元)
 ええ。でも、ユニークな発想が地球を救うっていうこともありますから。良いご意見を、ユニークなご意見をありがとうございました。

(山本)
 どうも。

(木元)
 吉岡先生、お待たせいたしました。お願いいたします。

(吉岡)
 OHPを使わせていただきますので、そこへ行って話しますので、準備の期間は、持ち時間から取り除いて下さい。

(木元)
 はい。

(吉岡)
 私、吉岡です。高速増殖炉懇談会の委員を先月までやっていたんですけれども、随分いちゃもんを付けて、報告書には少数意見を反対意見として書いたんですけれど、それでもこの会に呼んで下さったという、科学技術庁及び原子力委員会の心の広さということに、まずは感謝いたしたいと思います。できれば、また、呼んで欲しいと思っています。今日は、簡潔にまとめるためにOHPを使いました。簡単に述べます。論理的な順序にそって述べて行くわけです。私は宇宙物理をやるつもりだったんですけれど、大学時代は。大学院になって科学技術の現代史に転じました。しかし、学者であることには変わりがないもので、ある種のオリジナリティーがこういう報告では欲しいだろうということで、広義の発生者責任という、こういう概念を立ててみました。この精神に基づいて高レベル廃棄物政策をつくって行けばよろしいのではないかというふうに思ってます。発生者というのは、まず原子力発電の事業者。第一義的にはそうですけれども、その他に、日本では、多くの国では違いますけれども、日本では原子力発電が国策になっているから、政府にも責任がある。それだけじゃなくて、電気を消費する人々にも責任がある。「世代」という概念がありますけれども、社会人の世代だと、私はとりあえず理解しております。それと、電力消費地域の人々。これらが発生者として責任を分担するということですね。他の地域の人や後の世代の人々に責任は押しつけられない。もし押しつけるようならば、原子力発電はやはり止めた方がいいかもしれないという点です。
 ところが、どのような質と量の廃棄物に我々は取組まなきゃいけないのか、処分しなきゃいけないのかというのは、これからの原子力発電の規模ですとか、炉型戦略、核燃料戦略、つまり、直接処分か再処理かという戦略。この三つの要因によって非常に大きく変わってくる。それだけじゃなくて、地域によっても変わってくる。これはあり得ることだと思います。関東は原子力を続けて九州は止めるとか。そういう選択があり得ます。日本全国一律でやるという必然性はないと思います。そういう形で、将来については、地域の違いも含めて、様々な柔軟な形で展開されていくことが予想されるというふうに思います。で、すでに発生したものは、全部再処理をしたと仮定しますとガラス固化体で1万2千体というのが報告書案の付属資料にありましたけれども、これについては、とにかく今までつくってきたところが何とかしなきゃいけないわけです。この資料によりますと、2030年までに7万体にそれが増えるという、今のペースで行けば。そういう仮定をしています。この仮定というのは、本当に7万体で済むのか分からないですけど、2030年には、今の長期計画では1億kWの設備容量−今の倍以上の設備容量にすると言っている。その場合、ガラス固化体に換算して7万体で収まるかどうかは極めて疑問なんですけれども。とにかく、この現存の1万2千体と、7万ないしは10万体というのを区別して、これからどの様な方向に原子力利用が動いて行くかということを考えて、柔軟な対応をとっていかなきゃいけないと思います。「走りながら考えるアプローチ」とは、そういうことです。時間的、空間的に高度の柔軟性を持って、処分システムを構築するということを申し述べているわけであります。これは、わりあいオリジナルな主張だと自画自賛はしているわけですけれども。この高度の柔軟性を持った処分システムという考え方と、先ほど言った広義の発生者責任、この二つが言わば公理ですね、この公理に基づいて、どの様な方針が一番合理的なものとして出てくるかというのを述べます。これが報告の一番のポイントです。処分場は、第一点ですけれど、全国に一ヶ所、大規模で田舎に置くという、どうもそういう前提に立ってこの報告書案が書かれているように思えるんですけど、小規模分散型の方がよいと思います。例えば、9地域に分けて、できるだけ大電力消費地域に近いところで、9電力会社の本社所在地、つまり九州では福岡ですね。福岡も含めて、小規模分散型で立地するというのが、それが発生者責任という観点からは重要であろうと思います。あるいは、地域ごとに違う路線を採るとなれば、地域ごとの最も合理的な戦略というのがあるわけでありますから、そのためにもこういう小規模分散型というのを考慮する必要があるだろう、というのが一点目です。二点目は、処分場の規模はミニマムのものにするということです。例えば、20年先は原子力はどうなっているか分からないわけです。ですから、とりあえず20年位を目途に、予想される量、その規模でつくってみて、将来はどうなるか分かりませんけれども、私としては、再処理は中止されて、原子力発電も緩やかな縮小に向かうものと想定いたしますけれども。仮にそうなった場合には、発生者責任にもとづく処分場の規模というのは、将来については変える必要があるわけで、それに応じた柔軟な対応をとる必要があると思います。終了時間なんですけれど、最後の5枚目が残っています。すいません。とりあえず、一応、ちらっとでも見せなきゃいけないわけです。廃棄物問題の場合は、原発の場合には大事故を起こすと、多量の死者、傷害者が発生するわけですので、リモートサイティングの思想といって、原発は都市近くには置かないというのが原則です。けれども、廃棄物の問題では放射能がじわじわと出てきたところで土地を放棄するというようなことをすれば、人の障害というのはミニマムにとどめられますので、立地思想が同じである必要がない、というのが一点です。まあ、ただ、経済性については、厳格な評価を行うというようなことが必要です。結論を言いますと、具体的、建設的な提案を頭をひねって考えましたので、まあぜひ懇談会にも持ち帰って慎重な審議をお願いいたします。以上です。ありがとうございました。

(木元)
 ありがとうございました。また、第二部の方で、お話しになれなかったところをフォローしていただければと思いますけれども。
 今、先生がお話しになった中で、例えば「小規模分散で地層処分」ですが、地層処分だけではないんですね?「地上で管理することも含めて」ということでよろしいんですか?あとのお話、ちょっと切れましたけれども。例えば福岡でね、九電の本社あたりというと、地層はどうなっているか分かりませんよね?そういう場合はどうするんですか?地上で、何かうまく管理するって、そういうことも考えられるんですか?

(吉岡)
 9電力ごとにつくるということを書いてみたわけですけれど、別に9ヶ所である必要はないと思います。ですから、まあ九州に適地が全然ないという場合には、なるべく近くの所に統合するとか。まあ、その代わり、ただ単にお金を出すだけで、迷惑だけは他に引き受けてもらうというような、そういうやり方は通用しないと思う。それなりの保障措置をとりつつ、まあ統合するということも、現実的には考えられるだろうと思います。地上に置くということについては、、地層処分が相対的には最良であるというふうにこの報告書案では出ているわけですけれど。相対的には最良である。おそらくその通りだと思うんですね。しかし、相対的であって、それが絶対的な基準において容認できるかどうかということは分からないわけです。これから、研究をしてみなきゃ分からないわけであって、絶対的な意味で果たしていいのかどうかということについて、じっくり研究した上で、実証されると。実証するまでは、やはり、直接目の届くところに置くべきだろうな、というふうに思っております。

(木元)
 実証されるまでは、さっき東濃地科学センターの話なんかも出ましたけれども、そういう研究施設は必要であると?

(吉岡)
 まあ、研究は必要だと思いますよ。ただ、日本の、日本だけじゃないですけど、原子力関係の施設の立地というのは極めて難航していますから、結果として、研究という名目でつくった施設から廃棄物の行き場がなくなるかもしれない。ある地域が、少しでもすきを見せて研究施設として受け入れたら、それが実用施設に化けるというような、そういう可能性は現実問題としてあると思いますので、それをそうならないような歯止めを、法的な歯止めをきちんとした上でならばやってもよろしいかな、というふうに思っています。

(木元)
 私も、ちゃんと法的な歯止めを付けてやった方がいいと思うんです。そこは、先生、一緒ですねえ。ありがとうございました。

(吉岡)
 はい、ありがとうございました。

(木元)
 ということで、一応ご発言いただく方にご意見をいただきました。ちょっと時間は、やはり超過をいたしましたけれども、ここで休憩に入って、第二部の方では、今のご意見に関して、それぞれまた、ご質疑なりご意見交換をさせていただきたいと思います。何分ぐらい休憩を取りますか?10分ぐらい取らせていただきたい。約3時35〜36分くらいまで。はい、お休み取ります。よろしくお願いいたします。

(岡谷)
 すいません。その間、一枚お配りしました、これ、回収箱の方によろしくお願いいたします。休憩時間の間に、回収いたしますので、ご意見書いていただいて、回収箱の方によろしくお願いします。


<休憩>


(木元)
 ちょっと時間が過ぎましたけれども、全員揃いましたので、また再開させていただきたいと思います。先ほどご発言いただいた中で、これはちょっと伺ってみたい、ご専門の方々のご意見はどうだろうかという部分がありましたので、まず、小島先生と鈴木先生に、交互にお答えいただければありがたいと思います。例えば、田崎さんの場合、地質学者のお立場からいろいろご意見がありました。地質のことについて。で、また、一次使用のものをそのまま埋めてはどうかとか、地上管理とか。それから、固化体にして埋めないというようなご意見。それから、堀江さんの方から、海溝というお話が出たんですけれども。では、海溝のことからちょっとご説明いただけますか?小島先生。日本海溝という案が出ました。

(小島)
 実は、海溝のお話をしばらくぶりで聞いたと言いますか、これ昔、たぶん、田崎先生、非常にご存知なんですけど、地球物理で上田誠也先生という有名な先生がおりまして、その先生が、地層処分を始める頃から、その海溝に入れたらどうかという話を私の所に持ってきまして、随分議論して、あの頃のいろんな雑誌にたぶん出ていると思いますので、ぜひ参考にお読みになるといいかと思いますが。その時の議論は今のと違っていまして、海溝というのは、実は地殻が動いている一番最先端なんですね。それで、太平洋の方の地殻が沈み込むところで、そこでへこんじゃって海溝ができているんです。ですから、そこへ入れるっていうことは、上田先生の話では、そこへ入れて行けば地下深くにどんどん潜っていってくれちゃうから、こんなにいいことないじゃないかと。人間が埋めなくたって、どんどん埋まってくれるという話だったんですが、これにもいろいろ、科学的、技術的にやりますと、いろんな問題があって、結局は地層処分の方がいいな、ということになっている現状でございますけど。で、先ほどお話しになったように、海溝というのは、動かないところ、生物がいないところ、海流がないところっておっしゃいましたけれど、実は、みんなありまして、海流も結構ありまして、それから、生物が、特に、前どこかで私、これ言ったことがあるんですが、海底のなまこというのは深いところにもいるんですね。それが、そういう放射性物質を含んだどじょうを食べたら云々というんで、本当は、実は、生物サイクルをするよ、なんて言う話もございまして、実は海溝というのは、本当は一番地質的には動くところでありまして、それから、深いところと言うのも、水っていうのは意外に動いていたり、それから、温泉みたいなものがよく出てきたりもですね。それから、深いなりに生物がいるんですね。ま、そういうところでございますので、これ、いろいろ議論した末に、やはり海溝というのは、一つの考え方はあるけれど、そういう不確定要素は、やっぱり固体の中の地面と違うなということで、それで、今は、やっぱり、だんだん地層処分というところに、地面の中だということになっている。その動機が、1980年代に、そういう話がありましたということをご紹介させていただきます。

(木元)
 あの、ついでにですね、さっきSF的な話も、そういえば、ありましたね?

(小島)
 はい。

(木元)
 コアの所まで、という。

(小島)
 SFだって言うと怒られちゃうんですが、実はジューヌベルグっていう有名なSF作家がおりますけれど、その人は全部書いているんですね。地下も書いている、それから海底何万里っていうのも書いているし。それから宇宙も書いている。みんな書いているんですね。ところが、他全部、実現しちゃったんですよ。宇宙も人間は行ったし、それから深海底も人間は行ったし。ところが、今だに実現されていないのが地下だけなんですね。それほど、地下っていうのは、難しいっていうか、あの、固体空間っていうのは、やっぱり人間としては、おばけみたいにすうっと入って行けないものですから、そういう難しさがあるんですね。それでもう一つ、地球のコアに入れるっていう話ですが、残念ながら、我々、地球を下に掘ってっていうのは、どれくらい掘っていると思いますかね、皆さん方。1万mがやっとなんです。10kmですね。それで、これは今、ロシアですけれど、あそこで掘って、1万mちょっとですね、そこまでやるのがやっとで、1万m超えたっていうので祝杯挙げたっていう、これが現状でありまして、地下を掘るというのは、実に大変なんですね。で、今、地層処分で考えているのは1,000mくらいですから、それくらいまでは人は入って、鉱山もありますし、いろんなもので使っています。だけど、1万m、10倍になるととたんに難しい問題になっちゃうんですね。ですから、発想として、入れられればいいんですけれど、まずまず今の技術、しかも、こういうふうに固化体、廃棄体がたまっちゃって、もう数十年で入れなくちゃならないという時には、とても技術開発が間に合わないというのが現状でございまして。ですから、我慢して、少し浅いところでも地殻表層だけれど、1,000mくらいのところで何とかと。そこでもまだ地面のメリットがあるということで考えているのが今の地層処分なんですね。

(木元)
 簡単に素人が考えると、さっきおっしゃった海溝というのは、片方が沈んで行くと片方が上がって来るようなことを聞きました。そうすると、もし仮に埋められたとしても、何万年ぐらい経つとぽかっと上がって来るようなことだってあるわけですか?

(小島)
 そうですね。

(木元)
 でも、時間はものすごくかかる。

(小島)
 それよりも、上田先生の発想は、そのまま廃棄体は重いですから中に沈んでいってくれると。例えば、ちょっと軽い石灰岩の珊瑚礁ですね。ああいうものは、浮いちゃっているんですね、今。だから、他のもの沈んじゃっているけれど、あの珊瑚礁だけは沈まないで、ぽこんぽこんとありますから、海溝のそばには珊瑚礁だけが浮いて残っているというところが、日本のすぐそばに幾つかございます。

(木元)
 そうすると、発想はあったにしても実験するわけにもいかないし。

(小島)
 そうですね。それと、不確実性、不確定性が多くて、とても1万年ていう−地球にしてみれば非常に短い時間なんですね、千年、1万年ていうのは−、これくらいの間にどうなるかっていう細かい予測はとってもできないので、これは、一般の人はやはり、納得させるまでにはとてもいかないというところが現状で、残念ながらそういうことであります。

(木元)
 はい。それと、そのコアの方の話ですけれど、仮に埋められたとする、もうすごい技術が出来て、とことん下の下の下の、もう芯の方まで仮に行っちゃったとしますよね?ほら、チャイナシンドロームなんていう話もあったわけですから。で、行っちゃったとすると、火山が爆発する時にぴょーんとそこから出てくるとか。それだって考えられないことはないですね?

(小島)
 火山ていうのは、ものすごく浅いところでございまして、今のコアからいきますと。コアっていうのは、もう中は本当にどろどろの流体だとされていますけれども、そういうところなんですけれども、今の火山のマグマっていうのは、本当に我々の手の届くところなんですね。だから、浅いマグマは掘れば掘れるかもしれないというそれくらいの深度、だから、せいぜい10km以内と言いますかね、数十kmのところですね。

(木元)
 ああそうですか。

(小島)
 はい。

(木元)
 でも、今の。

(小島)
 数千キロとはわけが違うということで。

(木元)
 格段に違うわけですね。そうすると、逆にマグマのところまで行って、マグマに入れたらまずいですね。「ぴょん」ですよね?

(小島)
 「まずい」っていう説と「いい」っていう説がありまして。

(木元)
 あら。

(小島)
 マグマの中に入って行って、どんどん中で掻き回されちゃって、希釈されたままぼーんと出てきてもいいじゃないかとか。こうなりますと、今度は、定量的にはそういうのが要りますけれど、まあそんな、極論といいますか、話もございますということですね。

(木元)
 はあ。

(小島)
 いずれにしても、本当に、今、10年かいくらで、技術的に確立というとこまでは、とてもいかないので、そちらへやはり、火山がぼーんと来るところには地層処分をしないよというぐらいの、そちらの防災上の安全を考えた方がいいなというぐらいのが、まだまだ現在の科学技術でございます。

(木元)
 なるほどね。発想はいいけれども現実的にはちょっと難しい点がある、ということのようですが。では、田崎さんの方から、その地質のお話が出て、十分に安全な地質というのは本当にあるだろうか、探せるだろうかっていうご疑念もちょっと出たような気がしますけど、鈴木先生。

(鈴木)
 先ほどの話は、かなりご専門的なお話も混じっていたので、今日の一般の方々の話としてやりますと、一つは、よく、この今の報告書にも書いてあるわけですが、「変動帯」というのが出てくるわけですね。要するに、何でも地殻が動いているよという感じの。まあ、確かに地震もあります。火山が爆発します。それに対して、もう一つ、「安定地塊」というのが反対語なんですね、対立する言葉で。要するに、いかにも安定しているみたいに見える、それがカナダとかスウェーデンとか、そういうところの地層なんですね。それから、スイスとか日本とか、それから、アメリカでもヤッカマウンテン、カリフォルニアですね、ああいう所は変動帯っていう、地面が動いているとこって言うんですけれど、今ここで、地層処分で考えている、先ほど時間空間の話がありましたけれど、ある時間帯とある広さの空間で考えると、場合によってはどちらも変わらないところがあると。と言いますのは、例えば安定地塊というと、スウェーデンってもう全然動かないように思えますけれど、じゃあ、地殻の変動、上下変動ですね、どっちが大きいかと言うと、スウェーデンは今でも1年間1cm上昇しています。それから、日本は、こんな変動帯で地殻変動が激しいというんだけど、1mmしか動いていないんですね。だから、それはもう本当に今の我々の生活からいくと、1cmの方がはるかに問題で。だから、スウェーデンでは地盤沈下っていう問題はないんですけれど、地盤隆起で建物がこう曲っちゃうんですね。それを困るっていうことがあって、実はそう言われているけど、本当の生活に密着した時間、スケール、空間、スケールでいくと、場合によってはそういう問題もあるっていうことをちょっとご理解いただいた上で、じゃあ変動帯はどうかっていうと、その変動帯の中にも確かにいろいろ、今みたいに小さいスケールで見ると立派な石切り場もあるわけでして、日本国産の墓石、いっぱいあるわけですね。そういうところで、空間を区切って、それから、ある時間帯だっていうと、非常に地球の速度、今言ったみたいに上下動年間1mmですからね、それくらいしか動いていない段階で、それじゃあ1万年の間の安全性と考える時と、それから地球の歴史45億年という中でどれだけ動いてこんなに山になって、というのは、話が違うわけで。そのへんがやっぱり、日本の方々、特に地球科学とか地質学とか知らない方が多すぎるんですね。だから、さっきも教育問題が出てましたけど、今、地学教育受けている方、ほとんどいないんです。受験勉強っていうと物理か化学なんです。ということもございまして、欧米に比べて一般の方の、地質が耳に入ってきてすぐ分かるのは、ものすごく隔たりがあるんですね。そういうものもあって、非常に誤解があるということで、まあ、詳しいいろんな問題、また、ございましたら、いつでもご質問いただければいいんですけれど。全体として、変動帯とかそういう問題っていうのは、今みたいの時空間で区切って考えると、それぞれの国、それぞれの問題があるだけで、特に、変動帯とか安定地塊とかということで、一般論、地球全体の一般論にならないということですね。で、我々がやるのは、その一部を区切ったところに、地層に穴を開けて、今みたいなことをやろうかという話ですから、そういう、工学をやる立場とサイエンティフィックに、長い間に動いて、掘りに自信もあって、火山もあってという話とは違うんだっていうところなんですね。そこんところが、やっぱり、地層処分を分かっていただく上で一番難しいところなんですね。少し易しい解説書を仲間でみんなで協力してつくんなくちゃいけないとは思っていますけど。そういった感じです。

(木元)
 あの、本当に分からないですよね。あの、考古学で、よくテレビに出ていらっしゃる、髭の吉村作治さん。あの方の考古学のレベルからいっても、我々が、例えば「変動」という言葉一つ使うにしても、スケールが何か違うような気がしますね。変動帯だと伺うと、もう何か、がちゃがちゃがちゃがちゃ動いているような気がするんですけれど。その単位の違うことを、我々が日常使っている言葉の中でしか解釈できないので、このへんが難しいんですね。で、先ほどお話が出た田崎さんの中にも、ウラン鉱床ですよね。東濃のは特に、ウランが動かない。何億年か動かないということですから、この地層は安定している、と判断するというように、私は解釈したんですけれども。そういうものをもとにして、今研究していらっしゃるわけですよね。そういう解釈でいいわけですか?

(鈴木)
 先ほどの、いろいろ専門的なご議論がありましたけれど、あの場合に、ウラン鉱物が安定しているところ云々という話がありましたよね。まあ、それは別として、要するに、非常に、長い間起こったことというのは、地面の中に情報がいっぱい隠されているんですね。例えば、地震で、このごろやりました、活断層というのもそうですね。何回動いたっていうのが、年代測って、ズレが場所によって深いところの方がズレが大きくなって、浅いところで新しい地層はズレが少ないというようなことから、何年に1回地震があったっていうのが分かるんですね。そういう具合に、地層の中に地震の痕跡がちゃんととどまっているんですね。で、そういうものをどんどん探していけば、我々今せいぜい実験やったって、それから過去のデータ見たって、計測してあるのは100年ないんですよね。だから、それを10万年とか1万年とか言う単位で、どう動いたかっていうところまでに延ばせると。ただし、精度はそんなによくないですね。ですから、だけど、いっぱいそういうのを集めていくと、これくらいだなっていうのは分かってくるっていうのは、一つのアースサイエンスの手法でして。そういうものを地層の中にいっぱい見つけていこうと。それで、その中から「ここはわりと安定かな」あるいは「だめかな」というようなところを判定していくっていうのですね。そういう手法は、やっと地層処分という研究の中から出てきたんですね、これ。で、ナチュラルアナログというのは、この研究の中から出てきた言葉なんで。まだ、歳が若いんですね。だけど、その前から、地震なんかでよく使っていたと。そういうものを集大成すると、さっきのウランも一つですけれど、さっき、おもてにも展示されてましたけど、火山ガラスっていうのがありますね。で、ガラスがいつ出来てからどれだけ溶けていくかとかね。そういうことが、やっぱりガラスの中に痕跡が残されている。そういうものを一生懸命探す。それと、探せるハイテク技術が、分析技術がいっぱい出てきた。それから、年代を測る技術も出来てきたというとこで、まあ、昔よりはかなり言えるようになったというところですね。それで、一つの、長い間を考えるのに有力手法だなと思って、今研究が、どんどん進んでいるところの一つを先ほど先生から紹介していただいた、ということだと思いますけれども。そういうことでございまして、一つ有力な長期の傍証の道具だと思っております。

(木元)
 ありがとうございました。だけども、まあそういうことで、地層処分のためにどういう地層が埋めるのに適しているか、という研究センターみたいなものを頑張ってつくりたいなと思っても、やはり、そこが情報不足なのかどうなのか。鈴木先生、なかなかご理解をいただけないんですけれども、先生のお立場から、今回のこういう処分懇談会のいろんなレポートの中で、せめて研究させて下さい、といつもおっしゃっていますよね?そのへん、もう一度おっしゃっていただけますか?

(鈴木)
 はい、どうもありがとうございます。その、小島先生も今おっしゃったようにですね、地下数百メートルから、まあせいぜい千メートルぐらいと想定されているこの空間については、これは専門の方々はよく分かっていらっしゃるんだと思いますけれども、普通一般の人にとっては、やはりよく分からないわけですね。ですから、そういう空間について、どのような調査技術が実際に使えて、また、その調査した結果がどういうことなのか、ということを実際に見ていただくということが、やはりこの高レベル放射性廃棄物を地下に埋設して行く計画を進めていく上では、非常に重要なのではないかと。外国に例があるというふうに申し上げると、外国と日本は違うというご意見もあるんですが、そうであったとしても、やはり多くの方々にご理解いただくという意味では、これは、外国においても、そういうその手法が使われ、また、そういうことが実際に効果を上げているわけでございまして、そういう観点から、研究という立場から見ても、そのような研究施設が極めて大事であるんですが、それ以上に、多くの方々のご理解を得ると言いますか、あるいは多くの方々が、こういう処分のやり方について、それを適切と考えられるかどうか、そういうご判断をいただく上でも、やはり具体的に、そのような場所がある必要がある、というふうに私は思うわけでございまして。そういう意味で、こういう場でも繰り返しお願いしてきているわけであります。それで、一つ、先ほど使用済燃料のままも考えられるのではないかとか、異論なんですね、こういうものがありきと。ガラス状にガラス質に固めたこのガラス固化体と称するものありきというのがそもそもおかしいというご意見があるんですが。これは、使用済燃料のまま処分することも、これは、私は考えてみる方がいいと思うんですね。それは、十分そういうことも可能かどうかを検討する必要があると言いますか、そういうことを大いにやるべきだと思うんです。ただ、一番最初に、石窪さんだったと思うんですが、廃棄物というとこれはもうやっかいもので、すぐ捨ててしまうと言いますか、そういうことよりは、やはり出来るだけ活用する、リサイクルするとか、あるいは、松岡さんだったでしょうか、その、そこから出てくる放射性で、例えばダイオキシンを分解するというような研究も外国ではなされているから、そういうことも考えたらどうかという、いろんなご意見が出たと思います。そういうような可能性は、確かに検討されている例もございますし、あるいは、消滅処理ですね。消滅処理というようなことも考えたらどうかというご意見もございました。これも確かに検討されています。そういうことをいろいろ可能性として検討していくことは大事だと思うんですが、私が感じていますのは、そういう研究は進めるとしても、少なくとも、少なくとも、ガラス質に固めた廃棄物を現在考えられているような方法で地下に埋設することも技術的に可能だということをかなり具体的に示し、またそれをできれば、そういうことを実行できるようなことにも、していく必要があるのではないか。で、これが、唯一であって、全てをそうするということではなくて、将来的には、もっといいものが出てくれば、そうしてもいいと思うんですが、しかし、今の時点では、そういうことが実際に、可能だと。技術的に可能であるということを、できれば具体的に進めていくということの方が、やはり、これは、その将来の可能性、可能性というだけで、何と言いますか、具体性があまりないものばかりを議論するよりは、やはりそういう一歩一歩進めていくということも大事なのではないかと。これは、諸外国でも同じように語られていると。で、その点で、ガラス質に固めたものと、使用済燃料がどういう関係にあるかと言うことなんですが、これはちょっと話が飛んでしまったんですが、石窪さんがおっしゃったように、もともとは使用済燃料のままでもいいのかも知れませんが、その処分をするという観点から言うならば、できるだけ少なく、資源を回収した方がいいわけで、そういう意味では、再処理をしてガラス質に固めるという考え方が、もともと捉えているんだということも、あるいは、そういう考え方が、今、我々日本で考えられて、考え方であるということも、ご理解いただけるとありがたいかなあと、そう思います。

(木元)
 今のお二人の先生に対して、こちら側の方からまたご質問とかございませんか?石窪さん、第一部でおっしゃったんだけれど、もしかしたらガラス固化体にするまでもなく、そこにまだエネルギーがあると、それももっと利用したらということ?

(石窪)
 それも含めて、私は科学的なことは分かりませんので、本当にレベルが違う話で申し訳ないんですけれども、よくいろんな市町村に行くと、未利用資源とかですね、低利用資源を活用して特産品をつくろうとかいう話が出て来るんですね。そういう考えからいくと、高レベルの廃棄物、そういうエネルギーをたくさん持っているものを逆な意味で、そういうものは、先ほど出た「やっかいもの」という考え方だけではなくて、未利用な資源とか、まだ低利用でしか使っていない資源という捉え方もあるんじゃないか、そこも含めてはどうかということです。

(木元)
 埋めちゃう前にもっと使ったらどうか、ということですね?そうすると、リサイクルというか、一次使用でそれを処理して、繰り返し使いますよね?いわゆる核燃料リサイクルということで。それで最終になったものをもう一回使え、とそこまで行っちゃうわけ?

(石窪)
 はい、それもできればやれないかという…。

(木元)
 鈴木先生、それ、できます?先ほど消滅処理っていう話も出ましたけれども。「ガラス固化体にするにも、まだエネルギーがあるからもっと使え」っていうことです。

(鈴木)
 ええ、ご質問の趣旨は、私理解しましたのは、使用済燃料のままということをまず考えた時に、これはまだ未利用の資源ではないか、という考え方があるわけですね。そういう考え方に立ちますと、その、やはり再利用して、できるだけリサイクルすると。その残ったものが、今の我々が考える、日本で想定している高レベル廃棄物というのは、できるだけ未利用の資源は資源として利用し、まあ最終的に残ったものだ、というふうな、そういう考え方なんですね。しかし、なおかつ、それも、もっと何か利用できるんじゃないか、という考え方があり得るわけですよ、それは。従って、例えばその放射性を利用したらどうか、ダイオキシン分解できるんじゃないかとか。あるいは、さらにそれを高度に分離しまして、短半減期のものに消滅させるということも、これは考えられてまして、そういう研究もされてます。されてますが、そういう将来的な技術にだけ期待をしているのも、これも私の立場からするとやや無責任かなあと。つまり、現状でも一応こういう方法で皆さんに安心していただける方法があるはずだと思っているもんですから、そういう方法についても具体的に示していけるような、そういうそのプログラムも進めさせていただけないでしょうか、と。まあ、こういうことなんですね。

(木元)
 まだ、何か。

(石窪)
 すいません。それで、私は処分方法が大変シンプルだって申し上げたのは、先生がおっしゃった意味も含めて、今後の研究開発や研究に柔軟に対応するためにも、今ここでシンプルな状態で置いておくことがベストだなというふうに、まあ実際、実感するところなんです。

(木元)
 それもおっしゃってましたよね?

(石窪)
 ええ。あまりいじらないで、変な言い方ですけれど、今現状でできる範囲で置いておくという方が。

(木元)
 ゴミって、捨てようかなと思っても、ああまだ使えるかなあという感覚がありますからね、みんな。資源ゴミとして見ようじゃないかと思うから、どうしてもそういう発想になるかも知れませんね。それともう一つ、ついでに鈴木先生に伺いたいのは、今日のお話にも若干あったんですが、いわゆる一回使用しただけの使用済燃料と、それから最終的に処理して、固化体にした高レベル放射性廃棄物がある。固化体にするとすごく高レベルで危険で、一次使用の場合はそうでもないみたいな感覚があるんですね。でも一次使用で埋める場合も、これも「高レベル」と諸外国では言っていますよね。その違いをちょっと教えて下さい。一次使用の方が安全だからそれを埋めろ、という論もあるわけで、そこの誤解をちょっと解いていただければ。

(鈴木)
 まずですね、二種類の高レベル放射性廃棄物があると。普通、言われている場合にですね。そういうことは、今木元さんが言われた通りで、使用済燃料のまま、そういう場合と、使用済燃料を再処理して資源のリサイクルを図ろうとした結果最後に残ったものをガラス質に固めたもの、これを高レベル廃棄物と言う場合と、二通りあります。で、ですね、その二通りのものを直接比較しますと、その資源のリサイクルをするためにウランとプルトニウムを回収するわけですから、その分は、これはその分だけはガラス質に固めて、最後に残ったものの方が、例えば放射能で比較すれば低いということは、まず明らかなわけですね。

(木元)
 ガラス固化体にした方が低いんですか?

(鈴木)
 低いですよね。そういうわけです。ただし、その、そういうものだけを比較して、その妥当性。どちらがよいのか、という議論も、これもやや、単純過ぎまして、つまり、リサイクルをし、その再処理をしてリサイクルをするために、いろんなことをやるわけですから、そういうことを通じて、二次的に発生する廃棄物についてはどう考えるんですかということを当然考えなくちゃいけないんですね。で、そういうことについて、もうこれは、いろんな技術開発がされてまして。過去においては、その二次的に発生する廃棄物が、かなり量も多くて大変だったんですが、最近は、そういう廃棄物についても非常に量を減らせるようになってきていまして、そういう技術開発と言いますか、そういう面も含めて、どちらがいいかというふうに、まあ、廃棄物の面で言えば、考えていくべき問題なんですね。ですから、これかなり、総合的に捉えなければいけないということだと思います。しかし、いわゆる高レベル放射性廃棄物に限って、これをどうするんですかという考え方だけで言うならば、これは、通常は使用済燃料自身は、ガラス質に固めたものの方が取り扱いはやり易いと思います。

(木元)
 何かご質問、こちらから…。はい、木原さん。

(木原)
 再処理をして何に使うか、ということですよね。高速増殖炉の議論はしない、ということのようですけれども、その高速増殖炉での使い方というのが実際問題として可能性が非常に薄くなってきています。使用済燃料としてそのまま処分するのと、再処理して処分するのとでは、再処理する方が「死の灰」の危険性はより高いですよね。
 高速増殖炉が実際に可能性がない以上、仮にあったとしても高速増殖炉からもっと危険なものが出てくることを思えば、できるだけ再処理しないという世界の流れが正しいと思うのですが。

(木元)
 はい、鈴木先生。

(鈴木)
 今のお話はどういうことをベースにおっしゃっているのか、まだ私は分からないところがあるのですが、まあ普通の考え方からすれば、今「死の灰」と表現されてましたが、死の灰が再処理をすると増えるということはないんです。もともと使用済燃料の中に、今おっしゃった死の灰というものはあるんですね。これを分離しているだけです。だから、そのプルトニウムを資源として回収しこれを利用するならば、その部分だけはやはり環境への潜在的なインパクトは少ないと考えていいと思います。回収されたプルトニウムは資源として利用しますので、その効果がどの程度か、ということを考えますと、これは将来的には高速増殖炉を使えるようにすればその効果が大きくなりますが、現在の発電所でリサイクルをすることでも節約にはなりますし、結果的にはそれによる廃棄物の発生は減ると思います。そういうふうにご理解いただいていいと思います。

(木元)
 吉岡先生から手が挙がっています。では、今に関連して、はい。

(吉岡)
 今に関連してですけれど、直接処分か再処理か、どちらがいいか、というような議論は今日の主題ではないので、なるべく簡単に言います。私が今日配った資料をご覧下さい。直接処分の方が総合評価からいってはるかに合理性が高い、という私としての暫定的な評価を示してますので、それをご参照下さい。それと、鈴木さんがおっしゃった「再処理をした方が放射能が減る」というような言い方ですけれども、減るかどうかということは現在論争の種になっていることであって、つまり、それぞれの工程でどのような高レベル、中レベル、低レベルすべて含めて、あるいは放出される放射能も含めて、どのような放射能がどれだけ出るかということについて、推進者も反対者も一致できるような客観的データにもとづくライフサイクルアセスメントの研究を進める。できれば、違う立場の複数の機関がそれぞれ独立の評価をして、相互に、その客観性、信頼性について詰めていくという、そういう作業が必要だと私は思いますし、鈴木さんもそのことを同意していただきたいと思います。

(木元)
 はい、では一言。

(鈴木)
 確かに、これはメインテーマではないと思いますので、簡単にしたいと思いますが。私、先ほど、繰り返しと言いますか、何度か注意して申し上げたつもりですが、放射能で比較しておりますのは、高レベル放射性廃棄物と呼ばれているものに限って比較すれば、そうだということを申し上げているわけで。そこは、ぜひ、混同されないようにしていただけたらと思います。それから、冒頭おっしゃったことは、経済性の観点からおっしゃっているわけで、先ほどから、ご質問が出てますのは、経済性の観点ということではなくて、この廃棄物の面でみてどうかということで、申し上げたわけでございます。

(木元)
 あの、このご議論の中だと発言者がそことここの方だけになっちゃうんで、議論をちょっと広げたいと思います。あの、今のお話ではまだまだ不十分ですか?田崎さんの方は。

(田崎)
 僕は、ガラス固化体についてちょっと疑問、というか、教えていただきたい。

(木元)
 固化体そのもの?

(田崎)
 そうです。

(木元)
 では、鈴木先生、固化体のご説明をちょっと。「どういうものか」っていうことをです。

(田崎)
 よく例に使われているのが、高校の資料なんかで曲玉が出たりということで、そういう、だから何千年もガラスは安全だというふうになっているわけなんですけれども、実は、ここに高レベルの放射性物質を入れたガラスを作るわけですね。そうした場合に、要するに、放射線が、ガラスというのはもちろんアモルファス(非結晶)かも知れないけれども、その中の部分的にある結晶構造をどんどん壊していくと思うんですよ。そうした場合のガラス固化体の劣化というのはね、何にもそういう放射性物質が入っていないものと全く違うんではないかと。で、そういうことについて、かなり、そういう見込みとかね、それから見積もりとか実験とかがすでに始められているのか、っていうことが一点。それからもう一つは、この参考資料の案の8ページに付いている、ガラスを製造する−固化体ができる、この図があるんですけれども、このマンガの図が。これ見てて私が素人なりに「これどういうことかなあ」と思ったのをちょっと質問したいんですけれども。溶融ガラスのところに高レベル放射性廃液を入れますね?これ、かなり強烈な酸ですね、おそらく。酸性溶液ですね。で、それを溶融ガラスというのは、おそらくこれは1,200℃ぐらいのところに入れるんだろうと思うんですけれど、そうして溶かしていって、ガラスは下へ出て行くんだけれども、ここで問題なのは、廃液っていうのがあるんですね。だから、これは気化する温度が比較的低いようなものを、それで放射性物質が排気中にかなり出るんじゃないかと。で、そういうことが、例えばフランスとかそういう再処理工場を持っている所で、その地域の所で、子供が、例えば白血病になる子が多いとかね。何かそういう問題と絡んでいないかどうかということ。それで、日本の再処理工場の場合にこの問題はどういうふうになっているのかということを、これは僕が知らないから教えていただきたいということなんです。

(木元)
 ええ。では、鈴木先生お答えいただけますか?

(鈴木)
 それでは、二点ご質問があったと思いますので、簡単にご説明させていただきたいんですが。まず、第一点目はですね、その放射性物質をガラス質に固めることについては、どの程度の量まで混ぜることができるかということについて、相当その、各国の研究者がある時期集中的に調べまして、そして、大体10%ぐらいの場合が多いんですが、まあ多くても20%ぐらいだと思います。それでなおかつ、そこから出る放射性あるいは放射線を出したことによって、そのアルファ粒子がどのようなその構造に影響を及ぼすかということも、これは一種の加速試験ですね。つまり実際に想定される条件よりもさらにきつい条件でいろいろ調べてみました。その結果として、現在我々が考えているようなものについては、そのようなことはそんなに大きな問題にはならないだろうということで、現在その各国がそのような方法を考えているわけです。これが一点です。第二点目が、ここに出てくる排気系はおっしゃるように非常に大事でして、したがって、ここの絵にはございませんが、この後に、この装置よりも何倍も大きな装置が排気系に装置として付いています。そして、吸着させたり吸収させたりする装置がついています。で、これの方が余程この溶融装置よりは大きな装置になるわけでございまして、そういうガス中に放射性物質が出てきて、それが環境に影響を及ぼすということはないように、これは非常に慎重にそういうことに配慮してつくってあります。

(田崎)
 そういうモニターというのは、常時やられているわけですか?

(鈴木)
 やられてます。

(木元)
 ごめんなさい。次に進まないと。会場からもご質問をいただいているので、ご紹介したいと思います。
 次に、費用負担のことで吉岡先生からもご提示があったし、それから松岡さんの方からもその廃棄物には福岡もお金を払うというお話も出たように思います。で、深海先生、この費用負担についてこの処分懇談会でも随分議論いたしましたよね?また、右肩上がりの経済成長の中で、というご発言もあり、我々の中でも議論していましたから、よろしくご紹介下さい。柔軟性を持って、というご意見も出ましたし。

(深海)
 非常に今議論されております費用負担の問題というのは、ここにも、この報告書にも書いてありますけれども、まあ、大体、原子力発電、そのバックエンドの費用はいくらぐらいかというと、数銭から十銭程度だと。ある計画に基づいて、こういうプランでやるとしたら、どうなのかという、まあ、そういうことで。これは、原子力発電1kW当たりですから、これは、全電力になべてやるということにすれば、まあ、その1/3、30何%ということですから、その1/3ぐらいになると。ですから、そのわずかなお金だ、ということになっているわけでありまして。ですから、現在の先ほど木元さんから説明がありましたように、現在の一応考えられている形で、それで処分をすると。それから、また、現在の常識論に従って行うとすれば、そうなるという、こういうわけですね。なぜ、そのだんだんテクニカルな話になって恐縮なんですが、なぜそんなに安いんだろうか、と思われるかも知れない。で、実は、これは、計算の仕方は、将来の投資と、ですから、今お金を貯めていけば、利子率分だけ、どんどんどんどん、その基金は増えていくという考え方。逆に言うと、将来価値というのは、社会的な割引率で現在価値にする時には、例えば、利子率が、今、非常に低いですけれども、一般的には、3%から5%、場合によっては7%という形で将来価値を割り引くと、現在の、いわば必要とされる資金というのは非常に少なくて済むわけですね。ですから、そのことであって、ところが、今の一つのチャレンジというのは、本当に右肩上がりで成長していって、そういうふうに割り引くことが出来るのかどうかと。で、割り引く必要性はないんだと。将来の価値と現在の価値は同じだということになると、これはもう膨大な積み増さなくちゃならなくなる。ですから、私が申し上げたいことは、要するにこれから社会はどう変わって行くのか、あるいはどういうふうに我々の生活、あるいは世界がなっていくかという、そういうことによるわけで、今の常識論から言えば、先ほどの計算は、非常に正しいと。これは、今、言いましたように、将来価値というのは右肩上がりで成長していって、利子率もある程度高い社会的な割引率で、現在価値に割り引くためには、その3%から5%とか7%。これはもう、3%か5%によって、実は、30年後、50年後の必要額というのは、その指数関数的になりますから、非常に、その3%か5%か7%かで変わってくるわけですが、ですから、そういうような意味で現在の社会状況が続き、今までのような形で経済計算が出来るということであれば、ここに書かれているものは正しい。で、社会が全部変わっちゃう、というようなことであるとすると、また新しい発想で考えざるを得ないということになると思うんですが。ですから、従って、その、今のような意味で、ここでの経済計算、それでまあ十銭とか数銭のオーダーだというようなことは、現在のような経済の運営原則、あるいは経済システムが今後も続いていくという、そういう想定のもとに計算されているということが言えるんではないかと思いますが。

(木元)
 そういう方向でこの報告案もお読みいただければ。はい、石橋さん。

(石橋)
 費用の関係ですけれど、深海先生のご意見で若干付け加えると言うか、申し上げたいと思いますけれど、今各国で積み立てている、あるいは法律−アメリカなんかでですね、法律に基づいて積み立てているというような金は、これは主として廃棄物の処分事業に使うためにそういう制度ができているのか、と思うんですね。で、この報告書ですと、建設とかそういう建設事業だけでなくて、候補地の選定とか予備的調査ですね、そういうものを含めた事業全体の費用が確保できるように、そういう制度にすべきであると、こういう提案をしているわけなんですね。先ほどから、準備とかいうのは早くやった方がいいんじゃないかと、欧米からの遅れを取り戻すようにやってもらいたいというようなご意見もあるわけですけれども、仮に、研究所の調査とか建設なんかにも早急に取組むということになると、そういうものにも費用を使うということであれば、これはやはり、先ほど説明にあった、あるいは深海先生の方から言われた費用ではとてもまかないきれないのではないかという懸念が一つあると思います。それから時期的にも、これから議論してそしていつ積み立てるのか、あるいは、法律がつくられるのか分かりませんけれども、それからやっていたんでは到底間に合わないという問題、これも出てくるだろうと私は思いますね。そこで、児玉さんでしたですか?先ほど費用のことで「現世代の負担で電気料金に組込む」とそういうご意見だったわけですけれども、まあ、もう少し電気事業連合会とかで制度の改革とかいう以前の問題として、自主的に、そういう緊急にやって行かなければならないための、事業のための費用というものを手当て、そういう必要もあるんではないかと私は思います。

(木元)
 児玉さん、何かございますか?はい。

(児玉)
 実は、電気料金というのは認可制度になっておりまして、料金をどういうふうに算定して皆様にお使いいただくかというのは、国の方で認可をいただくようになっております。したがって、費用の算定につきましても、これを電気料金に織り込むとすると、そういう面で、法令とかあるいは政令とか知りませんけれども、そういうものの整備があって初めてそういう明確な形になるんではないかと、我々思っているわけでございます。それと、もう一つはやはり、研究開発という要素が当初は非常に強く出ますので、今までもやっていただきましたけれども、研究開発の段階では、国の方で先行投資していただくことも考えていいんじゃないかというふうに、私どもは判断いたしております。もちろん、事業化以降は、さっき申し上げた通り、制度を私どももちゃんと国とご相談しながらさせていただきますが、そういう法令、政令その他の整備をしていただいて、ちゃんと電気料金の中に織り込まさせていただくと。現実に、例えば廃炉の費用とかそういうものは、すでに引当金で織り込んでいただくとか、そういうことはできているわけで、残っておりますのはこの「高レベルの処分のお金をどうするか」ということでございます。そういうところでよろしゅうございますか?

(木元)
 深海先生何か?

(深海)
 それは、私どもこの懇談会でも、今のご議論はある程度したんですが。ただ、やはり、金と言うのは、一番大事なんで。もうちょっと、もう一工夫、お願いしたいなあ、と思っているわけなんですね。
 ちょっと皆様方に、さっきの計算の論拠というか。それは、皆様のお手元に配られております参考資料の方の21ページをちょっと、お開けいただきたいと思うんですね。それで、今、私が申しました、あるいは、そういう形で説明されております、処分費用の試算というところに、21ページにあるんですが、どれくらいの規模で、こうした場合に、大体そこにもございます、2.8兆円から、5.2兆円ぐらいだというような、このオーダーのものをまあ、割り引いて電気料金に入れるとしたらどうなるかという、まあこんなような形で計算されているわけですね。従いまして、その今、石橋さんがおっしゃったような意味で、例えば、他の費用を積みますと言うようなことであれば、その分が付加されてくるという形での計算が出てくるわけでありまして。ですから、今、私が説明したのは、ただ、処分場の建設、あるいは、こういう形での想定のもとで大体1kW当たり、まあそこにも書いてありますが、数銭から十銭。それで、原子力発電が占める比率が、まあ1/3程度であるとすれば、その全電気料金にかぶせるとしたら、数銭から十銭の1/3程度のものになると。それで、先ほど石橋さんが、言われたようなものを付け加えて。それで、そういうものの必要性ということが考えられるとすれば、その分がまた加算されてくる。で、どの範囲でどうなってくるかということが明らかになれば、今のような意味での費用計算は、まあ一応は出来ますけれども、先ほど言ったような意味での、いろいろな想定上、どう考えるかということでありまして。ですから、むしろ重要なことは、数字が一人歩きしないように、それから、皆さんが合意をして、大体こういう形でやろうと。あるいは、こういう費用も入れ込んだ形で、ということになるわけでありまして。ですから、そのような意味で言えば、むしろ、経済計算というのは、どういう形で、どうやっていくかということの具体的なイメージがいるんですが、同時に、それでやって、どんどんどんどん先延ばしていきますと、手当が出来なくなる。で、確実に分かるものだけをまず、やってみようという形で、早急に、電力料金に積みます形で、現世代ができるだけ早い段階で、そういう積み増しを始めようということでありまして、これも、フレキシブルに取組んでいくし、皆様方の考えが変わってくれば、この費用計算も変わってくるというのが、現在の状況ではないかと思います。

(木元)
 松田さんも手が挙がりました。はい。

(松田)
 私も今日のモニターさんと同じように、この委員会に入った時は全く原子力の廃棄物のことについて知らなかったのですが、海外を、自分のポケットマネーで現場を拝見させていただきまして、今の日本で一番急がなければいけないことは地下の研究施設をつくることだということの確信を持って帰ってまいりました。ゴミ処理の清掃工場の反対運動が20年前ぐらいに非常に激しい時代がありました。その時私たちは真剣に学習し、現場を見、いい清掃工場を見て納得をし「いい清掃工場を見たら安心だ」ということで、やっぱり清掃工場はなくちゃいけないものだから、これは安全なものをつくりましょう、というふうに、運動が行政とパートナーシップを取る方向へと変わっていきました。単に批判だけするんではなくて、合意点を探しながら日本の国のために良い方針を出して行こうという形に、一般ゴミだとか産業ゴミの分野ではなってきたわけです。私は、この原子力の廃棄物についても同じ考え方が適用できることが分かりました。ですから私たちは、この委員会の中で、地下研究施設を早くつくって欲しいというふうに提案をし続けているんです。国民の方の世論としてバックアップしていただければ、もっと早く研究施設が出来ていくでしょう。それから、深海先生がおっしゃったように、費用はなるべく早く積み立てないといけません。お金がないと何も出来ません。調査費もなかったら何も出来ません。他の国は35年前の原子力発電所が出来た時に、もう電力会社は積み立てを開始しているのに、日本はやって来なかったというところからも、1日も早くこの基金の積み立てと地下研究施設のことは、世論として応援していきたいと思いますので、皆さんもぜひご理解いただきたいと思います。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。松田さん、常日頃の持論の展開ということでお話しいただいた。教育とかね、マスコミの対応とか、そういうことでもご意見があれば続けておっしゃっていただけますか?

(松田)
 それでは、日本の反対運動のあり方っていうのとヨーロッパの場合のNGOのその運動のもって行き方っていうところで、全く違っているのは、その日本の場合は、まず反対という極論からスタートすることです。けれどもヨーロッパの場合は、双方がお互いの主張をよく理解し、反対するんだったら代案を出して、双方が合意点の中で政策を、吉岡先生がおっしゃったように、歩きながら走りながら考えていきます。政策が失敗のないようにブレーキをかけて行く国民の姿というのが一番理想的だというふうに思うようになりました。ですから、今出て来ている高レベル廃棄物は、何らかの形の処分をしなくちゃいけないのですから、今の段階で考えられる最高のものを技術によって成し遂げていく責任というのを国民全体で考えていきたい。そのためには、絶対に反対ではなく今の時点でベストと思われるものを選択したい。そのために研究施設と基金は必要です。高レベル廃棄物の処理に費用がかかるんであれば他のエネルギーに転換するという選択肢があるだろうというところの選択が出て来るだろう、というふうに私は思っています。

(木元)
 そういう松田さんのお考えも、教育、あるいはマスコミの現場で正しい情報が伝わった場合に、理解され易いということでしょうね?

(松田)
 ヨーロッパでも、原子力発電所については様々な国で原発を「止める」とか「再開」だとか議論があります。それらの国の政府は、それは国民が決めるというふうに国民に決定を委ねています。そのように政府が自信を持って発言できるというところには、生まれた時からの、いわゆる環境教育の中のエネルギー教育というのを、やはりやってますね。これをやらなくて急に国民に「判断しろ」と言っても無理な話だと思います。そのためにも基金としてのお金が欲しいわけです。ヨーロッパの場合はそういうお金を全て基金から出しています。日本の場合は、全くゼロだったということを、私はこの委員会に入って初めて知りました。

(木元)
 発言は自由ですし、いろんなことに対して反対でも賛成でも、ご議論は大事だけれども、それに対しては、きちんとした教育があって、自己責任のもとに、「それならどうするか」という、その責任を持った案が出てくる、ご提言が出てくるということをおっしゃった?

(松田)
 はい。

(木元)
 今、一つね、ごめんなさい。ちょっと堀江さんがさっき手を…、教育のことですか?はい、じゃ、お一言。

(堀江)
 科学技術庁さんに、ちょっとお聞きしたりお願いしたりということでございますが、現在、中学校、高等学校でこの原子力の問題、廃棄物の問題が、こうして社会ではかなり論議されたりするんですけれども、学校教育の方では全くそれがなされていないということ…、

(木元)
 堀江さん、すいませんマイクをonに。それから、科学技術庁の方はこちらにいらっしゃるので、すいません。

(堀江)
 そうですか、失礼しました。皆さん、聞いていただければいいんですが、いわゆる教育の面では、例えば、高等学校の当然取り扱う範囲としては、物理の教科書を例えば見てみますと、「ウランが核分裂をする」ということだけは書いてあるんです。それ以外一切書いていないんですね。そこで終わっているんです。で、その教科書は昭和の20年代から全く変わっていないんです。そこまで書いてあったことが。だから、こういったことは、今社会で、放射性廃棄物の問題とか、一般に原子力発電の問題とか、かなり進んで来ているんですが、やはり科学技術庁さんの方と文部省あたりが、多少検討される必要があるんじゃないかなという気がしております。

(木元)
 やっぱりそれは、田崎さんが今日ご出席の時に、「なるべくこの原子力には触れないようにしようと思っていた」、というご発言と似たところがあって、教科書もなるべくそうしない方がいいかなというのはあるんだろうとは思うんですが。有本さん、一言。

(有本)
 この高レベル処分の意見交換会の第1回の大阪の時以来ずっとこの教育の問題がご指摘を受けておりまして、特に大阪の時には、京都の教育大学の先生が、非常に的確に各国、アメリカ、イギリス、フランス、先進国と日本の原子力のみならず、環境とかエネルギーの教育のカリキュラム、それから教科書の分析をやられておりまして、それをこういうパネリストの一人としてご発言をいただきました。これ、ぜひ、大阪の詳細議事録を公開しておりますので読んでいただきたいんですけれども、非常に日本が断片的、決してその方はその推進とか何とかというんではなくて、中立的にきちっとした情報を小学校、中学校、こういう世代のところでインプットすることが、まさしく、今日言われた通りでございまして、判断をしていく時の大人になって非常に重要なことになるということでご指摘を受けまして、私どももそこのところは非常に重要だというふうに感じておるところでございます。それで、実は、たまたま3年後には文部省と科技庁と行革で、そういうこともあります。もちろん、そのいろいろ課程というのを変えるということはなかなか困難なことでありまして、今までも原子力の教育の問題につきまして、折りにつけ、科技庁と文部省との間で相談をしてきたところでありますけれども、ますますそういうことで近しい間柄になるところも踏まえて、この問題はまさしく非常に的確な事実をきちっと若い時からお伝えする、というような仕組みを、なんとか今後は非常に重要な検討課題だというふうに認識をして、行政ベースでも何とかやって行きたいと考えております。

(木元)
 はい、ありがとうございました。はい、どうぞ。

(木原)
 教育についてですけれども、次世代に大きな負担を強いて、そして、処分方法も確立のされないものを残しながら、括弧付きの豊かさを追い求めるというような今の生き方をしている教育こそ、そういうことを改めることこそ、教育の一番大切なことではないか、というように私は思います。一点はそれ。
 それと、もう一つは結論しか申しませんけれども、処分地を実際に日本の国の中で受け入れる所があるだろうか。この狭い日本列島、さっきも誰かが話されましたが、受け入れる所というのはないと思います。
 研究をしていると言いますけれど、非常に秘密裏に、東濃にしても、岡山県でもジオトピア構想とかいう形で地下研究を行うとしていますが、これは決して高レベルの問題というふうには言ってきません。
 岡山と鳥取の両県をまたがる問題としてウラン残土のことがあります。これはいわゆる俗に言えば「低レベル」ですけれども、持って行き場のない問題が10年以上経っても、いやもっと言えば昭和30年代からいえば30年以上経っても解決されていないわけですから。それを二点目に思います。
 もう一つは、多くの方々がマス・メディアのことを批判されました。私の手元にも、「原子力報道を考える会」の呼び掛けの文書がありますが、なぜか集中的にマス・メディアに対する攻撃がされようとしていることに強い懸念を持っております。

(木元)
 マスコミのことに関しては、また別の機会にやらせていただきたいぐらい重要なことです。今のようなご意見もありますし、まるっきり正反対のご意見もあるわけですね。で、それの弊害みたいなものが教科書にも出るということになるだろうと思うので、これも重要なご提案だと思います。森嶌先生、今、処分地ができないだろうと、もう時間もあんまりないんですけれども、私どももいろんなことで処理処分のことを考えて、処分地の選定プロセスのこと、研究施設のことなどをいろいろ考えましたよね。で、先ほど、山口さんでしたか、実施主体もはっきり決めろと。で、それから、制度を国が、ばっちり法律なり決めて、処分地をばっと決めらたらどうだ、という大変インパクトのあるご意見をいただいたんですけれども。森嶌先生、おまとめになったお立場で。

(森嶌)
 わざわざ見ていただくことはない。今ここで見ていただくことはありませんけれども、どういうふうに処分地の選定をするかということにつきましては…、

(木元)
 お手元に配らせていただきました資料ですと…、

(森嶌)
 22ページの所に…、

(木元)
 報告書案の方ですね。

(森嶌)
 そうです。「基本的考え方について」の案の方でございます。これは、あとでご覧いただければと思います。それをちょっとこれも、どれくらい分かりやすいかはともかくとしまして、一応、例えばこういうふうなチャートとして考えたら、例えばこういうふうなことが考えられるというのが、28ページにチャートとして出ております。確かに、今のご意見のように、私も長年環境問題をやっておりますけれども、原子力の問題は、よく言うんですけれども、「環境行政は原子力行政に立ち入ってはいけない」というのが従来の日本の政府のあり方でしたので、そこで原子力に関わることについては、私は普通の市民としての知識は得ようと思いましたけれども、特にこういう懇談会などでやってきたわけではありません。今回、やはり今までのそのやり方に問題があるのではないかと。例えば先ほど木元さんがおっしゃいましたけれど、動燃のあり方とかいろんな点で問題があるのではないかと。そこで、全く今までとは違った観点から一度考えたらどうか、というのがこの懇談会の方でありまして、そこで、懇談会の座長は近藤先生という、この先生も環境の大家ですが、この先生、それから私、それから今日いろいろ来ていらっしゃる方。これも、多くの方は従来の原子力行政に直接発言することのなかった方です。そこで、そういう観点から、今まで何が問題だったのだろう、ということですけれども、先ほど木原さんのおっしゃったことは、そのままなのかどうかは私は分かりませんけれども、少なくとも私どもの印象でも、別にわざわざ隠したのかどうかは分かりませんけれども、あまり、それが皆さんの地元、あるいは対外的に理解されないままに、いろんなことが、事実進んできたと。そのことは他の事件などとも、それが存在した、あった、ということもあって、不信感を持たれているということがあって、私は、今の状況の限りでは、仮に原子力についてかなり積極的にお考えの組長であっても、自ら不人気になるようなことを申し入れるという方はなかろうと。で、そして、市民の中には、全体としての数はともかくとして、かなり強力にそういうことに批判的な方はいらっしゃることは、どこの町でもそうだろうと思います。そこで、やはり一番の原因は、両方のそれぞれが、誰がきちっと責任を負っているかということがはっきりしていなかったこと。それから、何かあった場合に、誰が責任を負うかということについてもはっきりと、何かあった時の対応の仕方についてがきちっとできていなかった、ということ。それからさらに、何かをするにあたって、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、その地元の人、あるいは、近隣の人、あるいは、議会との間のコミュニケーションが十分に出来ていないと。何か問題が起きた時に、初めてそこの地域の住民なり、あるいは議会が問題を提示した、ということであろうかと思います。で、私は、じゃあ新しい方式を出したからといって、すぐに皆さんが不信感を持たなくなったり、あるいはただちに、「うちにどうだ」ということを言うとは考えておりませんけれども、少なくても、そのへんのところを制度的に明らかにし、法律によってその責任のあり方、あるいは民意の汲み上げ方について十分透明性をもって手続きを決めるということは大事ではないかと。さらには、先ほど電源三法のお話がありましたけれども、それが地元にとって迷惑施設ということではなくて、単に地元に金が来るということではなくて、地元の将来の町づくり、あるいは、産業でもいいと思いますけれども、そういうものにとって真に役に立つというようなことも、実施主体の方から言っていくのではなくて、これこれどうだって言うんじゃなくて、むしろ地元とも対話の中で生み出していく。それが、言葉は最近はやりの言葉で「共生」ということになっておりますけれども、そういう仕組みを考えるべきだというので、これはあとで読んでいただければありがたいと思いますが。あの、全体についての枠組みは、国が責任を持って全体の枠組みをきっちりつくると。そしたら、安全性にしろ基本的な科学的な条件については国がきちっとやると。その場合には、単に科学技術庁がやるというだけではなくて、まあいわば、第三者的な機関が絡んで国がきちっとした仕組みをつくると。そして、具体的に選定をするような場合でも、まず、最初に予定の候補地ということになりますが、候補地があるかないか。この際には、やはり、どんなことをやるんだ、どういう危険性がある、どういうふうな共生策がアウトラインとしては考えられるということを提示して、そして公募する、あるいは、申し入れてもらうという形で次のステップへ進んで。そこで、まあ条件に合うかどうかということをチェックすると。しかしその場合にも常に地元との合意、というのも実際何をもって合意と言うのか難しいところもあります。でも、少なくとも情報を公開した上で地元の意見を十分聞くという仕組みをそれぞれのステップでやって行くと、そして実際に候補地としてある程度の調査が始まるとなると、そこに地元の委員会を置いて、フランスなどでやっているような形で地元の人がチェックができる、あるいは地元の人が参加できるというような仕組みをきちんと置いて情報を出すと同時に意見を汲み上げるという新しい仕組みをまず国として責任をもって出すべきだと。その考え方が先ほど申し上げたところに書いてあるつもりです。それもあまり易しくないかもしれません。髭の吉村さんのようにはいかないと思いますけど、そういうことをやるところから始めていかないと問題がときほぐれていくきっかけができないのではないか、というふうに思っています。それを提示したからすぐさま自分の所へ来てくれという人がでてくるというふうには私は楽観はしておりません。

(木元)
 今お答えいただいたように、頭から「できる」と言ってもいないのだけども、のっけに「できないだろう」と言ってもいない。できるだけ今の世代で解決する方法があるのならば自分たちの責任として解決しようと、そういう案が書いてありますので、またあとでもご意見いただける状況がありますのでぜひいただければと思います。
 実は会場からもご意見いただいたんですけれども、第二部の前にご意見をいただいた方かなと思うんですけれども、太田さん、いらっしゃいますか?ご質問で「地層処分が安全であることの基準はどうなのか」とか、それから「欧米でどういう理由で地層処分にしたんでしょうか」、それから「原子力発電が電力供給の唯一か」これは唯一ではありませんね。この三つのことが書いてあって、太田さん?第二部の方でお答えがあったんですけれども、これで解決した部分というのはありますか?前にいらっしゃっていただけますか、地層処分の件で。「技術的レベルでの地層処分の安全性については、どういう基準でよいとされているのか」というのはさっきお答えがあった中の部分ですね。それで、お答えが出たと思うんですけれど、あと「欧米ではどういう理由で地層処分にしたんでしょうか」。では、そこだけお答えいただきますか?太田さん、その方がいいですか?

(太田)
 「地層処分をするっていうことはいい」というお話が、とりあえずここでは述べられてまして、それでその方向でのお話というのは非常に「?」いう感じがしたんですけれども、「なぜそこに行ったのか?」ということがよく分からない。だから、例えばいくら原子力発電をやってて、その処理物が危ないと言いましても、今のところ地層処分をするという以前に、今のところ出来てしまっているものをどうにかして今置いといているわけですよね?その方法というのは今はもう続けて行かれない状態になっているんですか?どれぐらいもう続けられないから、こういう話になったのかということが分からないということと、今までそういうのはどういう方法で処分していたのかということと、それをこれから後どれくらいしか続けて行かれないからこういう話になったのかということと、それから、ずうっと地層の処分をするためには地層学的な研究を進めなければいけないということがありまして、最初の方でお話を聞いていたら、その研究は大変難しいという、2年以内にはなかなか難しいんじゃないかという話があって、研究できる場所がなかなかないとか、いろいろとかで。実際出来る出来ないというお話でいくと、今の状態でのその処分の仕方というのは、あとどれくらいしか続けられないからこれからどれくらいのうちに地層処分に切り換えたいという話なのか。

(木元)
 2030年くらいまでに目途を付けたいということですけれども、そうすると、ちょっとまとめちゃうと、「今なぜ地層処分までやらなきゃいけないのか」と。「今のままで貯蔵しておいた方がいいじゃないか」と、一次使用で。それとも、「リサイクル」というか「核燃料リサイクル」、再処理して使いきりますよね?そこのところ、「なぜそうなったか」ということですか?

(太田)
 いえ、いくらダメだダメだと言われていても、じゃあ「今までどうやってやっていたんだろう」というところが全く分からないんですね。だから、それで「なぜ今までやっていたので続けられなくなってしまったのか」という理由が。

(木元)
 今までの計画の流れの中の今、なんですけれども。

(太田)
 そうそう、それが全く分からないんですよ。

(木元)
 やっぱり情報不足ですね。

(太田)
 で、いきなり今「地層処分」と出てきているから、それがみんな疑問なんじゃないかなあと思って。そこから話が出て、「今までこういうふうにやっていたんですけれどもダメだって分かってしまったのでこうしました」という話になったりしたら、きっとみんな納得が行くんじゃないかと思うんですが。

(木元)
 とても長いお話になっちゃうんですよね?

(太田)
 そうですよね。はい。

(木元)
 実はね、そういう情報はたくさんあるし、もう何十年も前からやっていることなんですよね。

(太田)
 できますか?

(木元)
 日本のエネルギー行政、というか原子力行政に関わることなんですけれど。長くなっちゃいますね。

(鈴木)
 私よりもたぶん科学技術庁の方の方がご説明を上手にやっていただけるんじゃないかな。

(木元)
 じゃあ、科学技術庁の方にお願いできますか?

(有本)
 今のご指摘のところですが、さっき私申しましたように、本当に日本で高レベルの廃棄物を最終的に埋め込み始めるのは2030年頃であるわけですけれども、ということは、次の30年、次の世代の終わり頃ということになるわけでありますけれども、そういうのを踏まえた上で、実際に今日の議論でいろいろたぶんそれぞれの政策のタイムスケジュールが非常に長いもので、それから、それぞれがどういう具合に有機的に連携しているのかというのが非常に分かりにくいことだと思いますので、そういうことに今ご指摘のところがあるんじゃないかと思っておりますけれども。だから、今こういうことをやって、やれ電力料金に事業資金を確保していこうとか、そういうことをやり始めて、まさしく走りながらいろんな政策を考えていかないと…、

(森嶌)
 有本さん、僕は素人ですから僕の方がかえっていいかもしれません。私はまったくの素人ですから、かえって今のご質問がよく分かるんですけれども。

(有本)
 はい、すいません。

(森嶌)
 現在使用済みの燃料は、そのまま冷えているわけではないんで大変に温度が高いものですから、何メートルか放射能が出ないような水深の中に置いて、いわばプールの中で今温度を下げているわけですよ。それが、何年かかかるわけですけれども、しかしプールの中に置いておいて温度が下がった段階で、いつまでもそういう状態でプールに置いておくのはいいかどうかという問題があるらしいんですね。そこで、それが安全であればそれでもいいんでしょうけれども、やはり現在の貯蔵状況は地層なり何なりに処分する前の段階を今までやってきたけれども、もうぼつぼつ時間的にそうではなくなったということは、しかももっと前からそういうことを考えておくべきだったんでしょうけれども、さっきから話が出ているように、原子力発電の安全性ということを一生懸命やっておられたわけで、こっちが手抜きになったというんですけれども、どうもそれもあんまり説得性がないんですが。とにかくこっちはやっていなかったことは確かなんですね。ですからもうぼつぼつそういう、その今まで冷やしているものをどこかへ移さなければならない、というのが話の始まりだと思うんです。で、私は素人ですからたぶんご質問はそういう趣旨で聞かれたんだと思いますが、定性的にはお答えできませんけれども、定量的にはそういうことだろうと思います。鈴木先生も有本さんも専門家だからかえっていろいろ分からなくなって時間がかかるんでしょうけれども。そんなことではないでしょうか。

(木元)
 16通ぐらいご質問いただいたり、ご意見いただいたりしております。お一人で複数をお出しになった方もいらっしゃるんですけれども。ちょっと紹介させていただくと、松永さん、32歳の方ですが、「立地地域の理解を得る努力が必要である。誠意とお金をかけて行う」ということが書いてありまして、あとは「技術の確立。情報公開は徹底しろ」と。「早く確立へ到達しなきゃいけないのではないか。情報公開にはマス・メディアの有効な利用が不可欠である」というようなことも書いてあります。
 トヨシマさん、てお読みするんでしょうか、お若い方のようですが、「立地選定が今も大変難しいと言われていますが、この日本全土から消去法でやったらどうか」と。実はフランスなんかでも手を挙げて、候補地があって、消去法みたいな方法で、各地域から出た人が議論して消去していくというような方法が採られていたようですけれども、そういうのをやったらどうかと。それから「予算」。これは「核融合関連予算を利用したらどうか」と。”イーター”という言い方で核融合の研究が3年延びましたよね?これはお金かかるんですよ。で、それを廻したらどうかというご意見がありまして。これは科技庁内部のことですね。内部でやると出来るのかしらね。まあそういうご意見。それから、「情報公開というが原子力に不利な情報を提供しているではないか」と。これは私もマスコミにいてよく分かる部分もあるんですね。例えば、こういう会議があった時に、仮に大阪でありましたけれども、反対派の方が騒ぎます、こういうフロアで。なんかバアッとかぶったり、横幕をバッと広げたりするとやっぱり絵になるんですよ、騒ぐのが。ワアッとやって手を叩いたりすると、そこが騒ぎますから、人間の本能として撮りますよね?で、撮ってそこだけがニュースになるんです。『犬に咬まれるのはニュースにならないけれども、人間が犬を咬めばニュースになる』という類。そういうようなことがあるので。それから「原子力教育、大学のカリキュラムを変更したらどうか」というご意見。  それから綾田さん。綾田さんちょっとご説明いただけますか?40歳の方ですが「技術開発の推進」ということで、「今後日本が技術立国として発展していくうえからも処分技術の開発をその実証に力を注いでいくべき。その際には、政策や選択する技術の柔軟性とコストダウンに配慮を」という、これで全てかも知れません。何かご発言ございますか?補足して。綾田さんいらっしゃいますか?やはりそういうことですね。  それから、山口さん、「国民一人一人が責任を自覚すべき。分離、消滅技術の研究開発」。それから「原発と原爆が語感が似ている。言葉を選んで用いるべきだ」ということで、これは以前から言われていることでありますが、あと補足しておっしゃることあります?いらっしゃいますか、山口さん。これだけでよろしいんでしょうか?たくさん書いてあるんですよ。あ、すみません。5時までと申し上げましたが、ちょっと時間延長してます。これ、山口さん、いっぱい書いて下さいました。

(山口)
 一つ、信頼関係の構築というのが非常に大切だと思います。それはやはり、いろんな意味で、政治家なり専門家なりが責任を全うしているかと言えばしていないところがあるのではないかということです。例えば前の通産大臣、山口県出身ですけれども、地元では何も話をしない。マスコミ報道にいろんな問題点があったにしても、電力業界なりは、例えば問題があると分かっていながら、「マスコミというのはあんなもんだ」ということで、そのまま何も言わない。まあそんなことで、例えば専門家にしても、先ほども「第三者機関をつくって検討」というのがありましたが、専門家の方がよく言われるのが「諮問機関をつくりましても、官僚主導でやられて自分が言いたいことが言えない」、「結論が先にあってそっちに持って行こうという部分がある」と。科学技術庁はそうじゃないと思いますけれど、そういう面で、今回の委員会の方に聞きたいのは、そういうふうに一つの方向性が決まった上でしか論議されないということではなくて、もっと自由な論議をされているんだと、専門家として責任ある発言をそれぞれしているんだ、ということを確認をお願いしたいなと思います。それともう一点ですね、先ほど危険性について、「放射能についてもいろいろなレベルをちゃんと論議して絶対量をちゃんと確認して」ということがありましたが、いわゆる可能性についても、例えば太陽光にしても非常に可能性があるということで現実無視みたいな形で論議をされていますけれども、例えば核種分離なり核融合の技術についても、どの程度の可能性として我々の感覚として捉えたらいいのかということも合わせて教えていただければ助かります。

(木元)
 ずいぶん質問ありましたよね?

(山口)
 すいません。

(森嶌)
 懇談会のことについてだけ申し上げますと、この懇談会は科学技術庁が今までの手法ではダメだということで開かれたわけですから、その意味ではこういうふうな結論を出してくれというのはもともとないわけです。そこで、20何回かいろいろな分科会をつくったり、合同会議をやったりしてやりまして、その意味では皆さん言いたいことを言っていたというのはちょっとあれですが、責任のある発言をそれぞれの立場からされまして、私は、座長は近藤先生ですけれども、実際のワーキンググループの座長をやっておりまして、皆さんの意見をどういうふうに取りまとめるかというのに困るぐらい皆さん真剣に議論をなさいました。またいろんな異なった意見も出ております。ですから、ここでは断定的に書けなかった、つまり「こういうことも一つの考え方である」というような書き方をしているところがあります。少なくともこの懇談会に関していえば、これはもう十分に委員の方は、専門家というかその委員としての責任を十分に果たされたというふうに思います。他の質問については私はお答えする任にありませんが。

(木元)
 はい、ありがとうございました。もしあれでしたらちょっとあとで個人的にお答えさせていただいて。
 それから、ご批判のご意見ももちろんあります。「公募の5名の選考に疑問があり」ということなんですが、坪井さんからいただきました。「選考に疑問がある」と。「原発推進派を集めたような選考は、この会の公正さを著しく傷つけるものです」、とお書きになっていらっしゃいますが、20名の応募がありまして、これは事務局からご報告してもいいんですが、一番最初に申し上げましたようにプレス立ち会いのもとに抽選しております。ですから、これはいくらでもこのことに対してお答えできると思いますので、ご懸念はございません。
 それから、「これ以上出さないこと」というのは廃棄物を出さないこと。それから「この会を儀式にするのでは」という懸念、タイトルで書いてあるんですが沢村さんからもご意見をいただきました。ちょっと読ませていただくと、「原発がトイレのないマンションと言われ続けてきた理由は、この廃棄物の問題であった。しかし国や電力会社はとにかく反対意見を押さえつけて原発建設一途に走ってきた。今になってご意見を伺うと言われても素直に協力しましょうという元気になれない。まずこれ以上廃棄物を出さないという方向性をとること、深地層処分−処理処分でしょうね−以外の案を示すことが必要。このまま行くと処分地の人々に、もう原発反対派の人々のご意見も聞いた上での国民的合意ですからと言う根拠にされるのではないか、こうした会が」と懸念するご懸念をいただきました。これはありがたいご意見として承って、しっかり反映させていくことをお約束いたします。
 それから今川京子さん、「現在は地上管理がベストじゃないか。それから同じようにこれ以上出さないようにすべき」と。前に出ていらっしゃること可能でしたらおっしゃっていただいてもいいんですが、いかがでしょうか?はい、恐縮です。「費用は国、電力会社、消費者で出すしかないが、それも原発をやめていく前提がないといつまでもお金を出し続ける体力がない。」

(今川)
 もう国も経済も体力がなくなって来ていると思うんですよね。こんな時にどれだけこれからお金がかかっていくか分からないような、そしてそれだけじゃないもうちょっと他にも、例えば本当に地層処分がもう絶対安全であると言い切れるまでは地上に置いておくという方法もあるわけですから、こんなにお金がなくなっていて、まあ国がなくなるわけはないと思うんですけど、例えば会社だってどうなるか分からないような時に、ちょっと危険かなあと。そして、地層に入れてしまえばもう完全に人の目から離れてしまうわけですから、何かあった時にももう対応できないわけですから、危険性がちょっと大きいかなと思っています。

(木元)
 そうですね、今日その話出なかったですよね。さて、地上で管理するのと地層で処分するのとどっちが安全かということですね。

(今川)
 それと、先ほどの太田さんですけれども、「今までどうしていたんですか?」というけれど、今まではフランスとかイギリスに全部出していたんです、再処理するということで。で今やっと六ヶ所の方にガラス固化体になって戻って来ているんです。その今まで出している分がすごくたくさんあるし、それもだんだん返ってくるし、それらのことを考えたら本当にこれから経済ももうどうなるか分からないのに、家の経済もどうなるか分からないような状態で、いつまでもこれ以上廃棄物を出していく方向で行きながらお金も出して下さいと言われると、保つかどうかが不安です。

(木元)
 お気持ち分かりました。ありがとうございました。本当にお答えいただいちゃってよかったなって思います、太田さんへのご質問。鈴木先生すいません。一言で、地上で管理したらどうかと。これは安全の面でもコストの面でも、地層処分よりいいじゃないかというご意見もあるようなんですが。

(鈴木)
 今現在は地上で管理されてますね。これからも当分の間はそういうことになるわけで、したがってそのことは、私は安全に出来ていると思いますが、しかし、非常に長期にわたってより合理的な状態に置こうとするならば、これはやはり地下に置いておいた方がいろいろな意味で妥当、合理的だというふうに思います。

(木元)
 はい、また詳しいことは残ってでも、あとでお答えさせていただいて。
 それから、西尾さんから。もう皆勤賞差し上げたいくらい来ていただいているんですが。「意見交換会のこれまでの評価と議論継続の必要性について発言させて下さい」。西尾さんどこにいらっしゃいます?ぜひ発言して下さい。

(西尾)
 東京から来ました西尾と言います。5回のうち4回、名古屋だけ抽選にはずれましたけれど、おそらくこの中で一番収入は少ないんじゃないかと思うんですけれど、全部自前で来ていますので、ちょっとぐらい発言させてもらってもいいかなあと思っています。
 この交換会の評価という話をしている時間が、たぶんないんですよ。これでさっき沢村さんの意見みたいなことを考えると本当に、「もうこれで聞きました。あとは懇談会の中で議論しますからあなた達は関係ありませんよ」ということになってしまったら何にもならない。もっとちゃんとした議論をこれからも続けて欲しいというのが一つです。で、その時にはもっと、今日の感想を言っているとあれですが、もっと詰めた現実的、具体的な議論もしなくちゃいけない。もう一方で、高レベル廃棄物って何だか分からないという一般的なところにどう訴えていくかということも含めてやらないといけないんで、より大変な議論をしなくちゃいけないと思うんですけれど。そのことをきちんと、そういう議論ができる体制をとって欲しい。木元さんも原子力委員になられたし、原子力委員の方何人かいらっしゃっているので。これは、あの、言っていいかどうか分からないんですけれど、廃棄物政策課、人数も少ないし、ひょっとしたら間違った情報に基づいて言っているかも知れませんけど、予算もあんまりない、それから人も半分ぐらいは銀行とかいろんなところからの出向の方がいらっしゃっているということをちらっと聞きましたけれども。そんな状態でできる筈はないだろうと。もっとちゃんとしたことをできるような体制をつくって、きちんとした議論ができるようにして欲しいということを、中身としてはもうちょっと言いたいことたくさんあるんですが、とりあえずそれだけにしておきます。

(木元)
 いいご意見をいただきました。特に予算の点は。はい、ありがとうございました。これからも私たちの仲間でも継続して行きたいと思ってますので、よろしくお願いいたします。
 それから、私さっき大変失礼しました。「立地選定法は消去法でやったらどうか」という、とよしま よしてるさん。お若いんですよね、22歳って書いてあるんですが。いらしたの?ごめんなさい、飛ばしちゃって。前にいらっしゃいますか?最後に、マイクがありますのでぜひ…。四つ、ちゃんとご提示があるんです。

(豊嶋)
 ちょっと風邪気味なんですいませんけれども。さっきメディアが原子力を批判しているというのは、それは僕の本意ではありませんで、科学技術庁の方からそういう不利な情報を提供しようと。良いセールスマンというのは商品の悪いところを言うからお客さんから信頼されるわけで、そういう例えば事故が起こった時に半径500m先に一番放射性の降下物が多くなるとか、そういう具体的なことを説明した上で原子力の長所を述べていけばいいのではないかと。さっきから話を聞いていますと、やっぱり反対派の人の意見を聞いていますと、全ての誤解はそういう情報の不足から生じているのではないかと思いまして、例えばゴールデンタイムを科学技術庁とか電力会社が買い取ってテレビでこういうことをこういうことが行われているようなことを紹介するとか、行ってはどうかなと思ったところです。

(木元)
 はい、ありがとうございます。ゴールデンタイムにキムタクなんかが出てメロドラマやってますよね?あの時間帯でもいいですか?
 いろいろご提言いただきました。深いところまで突っ込めなかった歯がゆさもありますけれども、でももうこうやってご議論いただくことが大変意味がありましたし、そしていろいろなお立場の違いがあっても自由にフランクにご発言いただくことが大変よかったと思います。先ほど申し上げましたように、継続というご意見もありますので、また私どもの方もさせていただきたいなと思っております。
(会場から手が挙がる)はい?今から2分くらいで出来ます?

(深江)
 さっきから手を挙げていたんですけれども。ご意見ばっかり読んでいらっしゃったんで。
 福井の方から手紙が来まして、ぜひ福岡の会場で指摘をしてくれというふうに言われましたんで。深江といいます。

(木元)
 福井の深江さん。

(深江)
 福井から手紙が来て、今日の会場でぜひ…、

(木元)
 ああ、お話をして欲しいと、はい。

(深江)
 この処分案のドイツの高レベル放射性廃棄物の処分の状況についてということで、5ページ3行目に、「2008年に処分を開始する予定である」というふうに書いてあって、先ほども説明があったんですけれども。ミヒャエル・ザイラーさんという人が、ドイツの応用環境学研究所の人なんですけれども、福井県で最近講演をしまして、この資料を見たところ非常に驚かれたと。ドイツではこういうことは決まっていないということを言われまして、発言をそのまま言います。「ゴアレーベンの高レベル廃棄物最終処分場は、2008年に稼働すると日本のパンフに書かれているのを知って驚きました。調査を2008年に終え、建設の可否はその後ということで建設に15年はかかり、うまくいったとしても2023年にしか稼働できません。岩塩層の洞の中に処分する計画は、地質論議が20年も続き、反対運動も起きています。」しかも、土地所有者が反対しており運動は全国化、処分場建設は困難、というふうにドイツの物理学者が言っておりますので、ぜひこれは確認して、もし間違えであれば訂正していただきたいと。

(木元)
 物理学者の方ですね?あとで資料いただけますか。

(深江)
 ザイラーさんという…。

(木元)
 それは、政府の何か、委員か何かやっていらっしゃる方のご発言ですか?

(深江)
 ここに書いてあるのは、ドイツの応用環境学研究所原子炉安全問題の専門家、というふうに書いてあります。

(木元)
 ああそうですか。

(深江)
 ドイツ政府公認の批判者である応用環境学研究所というところにいるそうです。

(木元)
 ああそうですか、はい。それはたぶん私どもの方の手持ちにはないと思いますので、あとでお教えいただければ。大変貴重なレポートありがとうございました。

(深江)
 で、意見を述べさせていただいていいですか?2分で。

(木元)
 これから?はい、2分で。

(深江)
 今日のテーマで、世代間の責任ということがメインテーマになっていて、今なんとしても決めないといけないということを言われているんですけれども、私が思うに、世代間の責任、後世代に負担を残さないというのは、性急に地層処分を決定するということではなくて、いかに安全に千年、2千年長い時間をかけて管理ができる方法を見つけるかということを決めることだと思うわけです。だから、六ヶ所に置いている高レベルのガラス固化体を30年、50年あそこに置いておいて、その次どこか場所を選んで地下に埋葬するという安易な方法。先ほどシンプルというふうに言われましたが、まさに安易な方法で捨てるのではなくて、千年経っても放射能が漏れないような研究を続けて行きながら私たちの目の見えるところで管理すると、それが最もベターだと思います。それは確かにお金はたくさんかかります。埋め捨てるんじゃないから。でもそれは私たちの責任として電気代から払っていくことが、私たちの責任だと思います。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。ちょっと引っかかったのですが、石窪さんのシンプルという意味は違うと思うんですよね。深江さんの意味はイージーだと思う、今のは。彼女が言っているのは、「シンプル」ってやり方が「単純」だということだった。そこだけちょっと。
 はい、すいません。ということで、なかなか終わりそうで終わらなかったんですけれども、簡単に閉めさせていただきますが、さっき申し上げましたように1月末までご意見いただくことになっておりますので、ぜひ今日ご意見を言いたいと思ったけど言えなかった方、お書きになってお寄せいただきたいと思います。それから、今日のことをぜひマスコミも報道して下さい。お近くの方々、職場とかご家庭の中でも、「こんなことやっているぞ」ということをお広めいただければ幸いだと思いますし、それから先ほど申し上げましたが、5回やったんですよね、意見交換会を。でもまだ足りないと思っています、正直。西尾さんも言われましたけれども。今度首都圏で1回やろうじゃないかということになりました。意見交換会というよりも、もっと広げて処分懇談会の特版バージョンのようなことを企画しておりますので、またその時にはご意見を存分にお寄せいただきたいと思います。2月24日、東京でやることにいたします。ぜひご関心を持ってご参画いただければ幸いです。準備を進めておりますので。私5回やらせていただいて、早く終わればいいと最初思ったんですが、今はまだやりたいというような気分が残っています。それだけ問題が大きいということと、話していけば一つはどっちか道が付くんじゃないかということも感じておりますので、そういうことで皆さんと会を重ねるごとに時間を延長したり、公募にさせていただいたりいろいろ勝手なことを申しましたけれども、こういうことが通る時代になったということも大変嬉しいことだと思っています。科技庁の廃棄物政策課が予算がないとか人間が少ないとか、でもこれだけでもできるんですよ。ということにまで結論をぶつけちゃいましたけれども、本当に長い間お付き合いをいただいてありがとうございました。これからも熱心に誠心誠意、正直にお互いにオープンに意見を交換していきたいと思います。本当に長い間ありがとうございました。これで終わります。