「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第4回(名古屋)
− 議 事 録 −


1.日  時  平成9年12月11日(木) 13:00〜17:00

2.場  所  名古屋国際会議場 国際会議室(名古屋市熱田区西町1番1号)

3.参 加 者(◎は議事進行役)

(1)地域参加者(16名)
  飯田 克平  元金沢大学がん研究所助教授
  井上 敏夫  高レベル放射性廃棄物を考える多治見市民の会 代表
  大泉  讚  陶人*
  大竹由紀子  総務庁行政相談委員
  奥野 信宏  名古屋大学経済学部長
  尾尻 洋介  会社員*
  金澤 正明  名古屋商工会議所常務理事事務局長
  刈田 陽一  会社員*
  河田 昌東  名古屋大学理学部助手
  佐脇 芳子  三重県新生活運動推進協議会会長
  田中  剛  名古屋大学大学院理学研究科教授
  夏目 雅子  原子力モニター(主婦)
  橋本 弘士  会社員*
  蓮見 洸一  中部電力株式会社代表取締役副社長
  森村  桂  作家
  山内 達彦  農業*
                [*:公募による地域参加者(5名)]

(2)原子力委員会関係(9名)
 @原子力委員会
  藤家  洋一  原子力委員
  依田   直  原子力委員

 A高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
  粟屋 容子  武蔵野美術大学教授
  石橋 忠雄  弁護士
 ◎木元 教子  評論家
  下邨 昭三  高レベル事業推進準備会会長
  松田美夜子  生活環境評論家

 B 原子力バックエンド対策専門部会構成員
  鈴木 篤之  東京大学大学院工学系研究科教授
  徳山  明  常葉学園富士短期大学学長

(3)事務局
  有本 建男  科学技術庁原子力局廃棄物政策課長
  岡谷 重雄  科学技術庁原子力局廃棄物政策課長補佐

(4)一般傍聴者  182人(応募者307名,うち当選者220名)

(5)報道関係者  29人(13社,うち放送関係6社)

4.議  事
(1)開 会
(2)概況説明
(3)地域参加者による意見発表
   <休 憩>
(4)意見交換
(5)一般傍聴者からの意見聴取
(6)閉 会

5. 配布資料
  ○
「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(案)」
(平成9年7月18日,原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会)

  ○
「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について」−参考資料−(案)
(平成9年7月18日)

  ○
「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」
(平成9年4月15日,原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会)

  ○
高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書案に対する意見募集について

  ○
高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書案「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(案)」に対する意見記入用紙

  ○
国民の皆様へ―今なぜ高レベル放射性廃棄物処分についての議論が必要なのか―

  ○
高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する地域での意見交換会の開催について

  ○
「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」意見記入用紙

6.議事内容

(岡谷)
 開会5分前になりました。場外にいらっしゃる方、できるだけ早く中の方へお入り下さい。開会に先立ちまして三点ばかりお願いごとがございます。まず第一に、場内は禁煙でございますのでご協力をお願いいたします。二番目に、携帯電話それからポケットベルなど、こういうものの音は、恐れ入りますが消していただきますようお願いいたします。三番目に、議事の円滑な運営のために、ご協力をよろしくお願いいたします。皆様のお手元にこういう「意見記入用紙」というものをお配りしていると思いますが、これにどうぞご記入の上、休憩時間の時に回収ボックスの方にご提出下さい。この会議の一番最後の時点でご紹介することになると思います。これは議事録と一緒に添付して公開されますので、氏名、連絡先、職業等につきましては、きちんと書いていただきますようご協力をお願いします。あと5分少々でございます。しばらくお待ち下さい。


(岡谷)
 皆さんこんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第4回の「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」を始めさせていただきます。私、総合司会をやらせていただきます岡谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 先日私、家の方で夕食を食べていた時に、小学校二年生になる長男がいるんですけれども、この長男が私に申しました。「パパ、秋につくったおみこしね、この間焚き火にしたよ。焚き火にした時にね、プラスチックがいっぱい付いていたんだ。でもね、それは一つ一つ全部剥がしたんだよ。何でか知ってる?プラスチック燃やすとね、ダイオキシンというのが出るんだってね。ダイオキシンて毒なんだってね。パパ、知ってた?」と、こういうふうに言われました。すかさず私が「そうだね。燃えないゴミっていうのはちゃんと分けて捨てなきゃいけないよね。それはそうと、君はお父さんがやっている仕事、何か知ってる?パパはダイオキシンよりもっともっと危険な核のゴミについてね、お仕事やっているんだよ」と、思わず長々と自分のやっている仕事について話させてもらいました。小学校二年生ですから、どれだけ分かったか分かりません。最後に息子が、「うーん、そうか」ということを言ってましたけれども、さあどれだけ分かったことやら。皆さんも、ここにいらっしゃる方々も、同じような経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。COP3もまとまり、21世紀への環境に向けてみんなが、若い人も含めて、一生懸命考えなければならない時代に来ていると思います。このようにして今日皆さん来られて、意見をここで聞かれます。そのことを、どうぞそれぞれのご家庭に持って帰っていただいて、分かち合っていただきたいなと、切に思う次第であります。
 それでは開会に当たりまして、原子力委員の藤家さんからご挨拶があります。

(藤家)
 皆さん、今日はご多忙の中、この名古屋国際会議場に足をお運びいただきましてありがとうございました。原子力委員会は平成7年9月に、高レベル放射性廃棄物処分に対するこの取り組みを強化していくことを決定いたしまして、高レベル放射性廃棄物処分懇談会と原子力バックエンド対策専門部会を設置いたしました。それぞれの部会でご審議が続いてまいりましたが、まず専門部会では、本年4月に「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」という報告書をとりまとめていただきました。この報告書を踏まえまして、現在関係機関において研究開発が進められているところでございます。また、懇談会では、このたび「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方」の報告書案をとりまとめ、現在国民の皆様からご意見を求めているところでございます。お配りしております資料の中にそれぞれ入ってございますが、その中に処分懇談会座長の近藤次郎先生のメッセージがございます。この近藤次郎先生のメッセージにありますように、今現に存在しております廃棄物については、原子力発電による便益を享受した我々の世代が処分の対策を立てるべきであって、次の世代に先送りするわけにはいかない問題でございます。また、この問題について国民の皆様の間で議論していただくことが大変重要でございます。このような状況の中で、高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関しまして、地域の方々、原子力委員ならびに専門部会、懇談会の先生方のご参加をいただきまして、地域において意見を交換する場を設けてまいりました。第1回大阪、第2回札幌、第3回仙台と、これまでに開催してまいったところでございます。この意見交換を通じまして、国民の皆様へのこの問題の周知を図るとともに、本日ならびに今後の議論を踏まえまして、高レベル放射性廃棄物処分に取組んでまいる所存でございます。どうぞ本日は皆様の忌憚のない意見交換をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

(岡谷)
 どうもありがとうございました。すみません、写真をお撮りになっていらっしゃる方がいらっしゃると思いますが、限られた領域というのがありますのでどうぞそれを守っていただきますようよろしくご協力をお願いいたします。それでは、本日出席されていらっしゃる方をお一人お一人ご紹介したいと思います。
 向かって一番左から、高レベル放射性廃棄物処分懇談会委員である松田美夜子さん。原子力バックエンド対策専門部会の鳥井さんがご出席、と皆さんのお手元の資料にありますが、本日急遽ご欠席ということになりました。同じくバックエンド専門部会の委員の徳山明さん。処分懇談会とバックエンド専門部会の委員の鈴木篤之さん。処分懇談会委員の下邨昭三さん。農業を営まれている山内達彦さん。作家の森村桂さん。中部電力副社長の蓮見洸一さん。会社員の橋本弘士さん。原子力モニターで主婦の夏目雅子さん。名古屋大学大学院の理学研究科教授の田中剛さん。三重県新生活運動推進協議会会長の佐脇芳子さん。名古屋大学理学部助手の河田昌東さん。会社員の刈田陽一さん。名古屋商工会議所の常務理事の金澤正明さん。会社員の尾尻洋介さん。名古屋大学経済学部教授の奥野信宏さん。総務庁行政相談委員の大竹由紀子さん。焼き物をやっていらっしゃる大泉讚さん。高レベル放射性廃棄物を考える多治見市民の会代表の井上敏夫さん。元金沢大学がん研究所助教授の飯田克平さん。処分懇談会委員の石橋忠雄さん。同じく処分懇談会委員の粟屋容子さん。同じく処分懇談会委員の木元教子さん。原子力委員の藤家洋一さん。同じく原子力委員の依田直さんです。
 本日は議事の運営を木元教子さんにお願いしております。どうぞ、木元さん。

(木元)
 よろしくお願いいたします。木元でございます。テレビで長いこと司会進行の役を仰せつかっておりまして、私が一番慣れているだろうということで第1回からこのお役目を承っておりますけれども、なかなか大変な懇談会であるし、なかなか興味があるし、なかなか今までなかったようなことをやっているなという感じが、今4回目を迎えてしきりにしております。今私の隣に座っていただきますが、こちらの岡谷さんは「こんにちは」から始まって「僕の息子が」なんて、こういうことをしゃべるのはどういう方だろうと、心の隅に疑問をお感じになったかもしれませんけれども、れっきとした科技庁の廃棄物政策課の方でいらっしゃいます。ですから、人っていうのは大変おもしろいもので、その人に固定的なレッテルを貼ってしまい、そのレッテルに偏見を持ってしまいますけれども、今日の会場はオープンに、右とか左とか真ん中とかはなく、それぞれ一人一人が、その人がどう考えているかということを正直に披露する場であり、肩書きであるとかあるいは主義であるとか、そういうことは抜きにして、真摯に考える場であるということをここで再認識させていただきたいと考えております。今日は、皆様のところに高レベル放射性廃棄物処分懇談会が基本的な考え方について報告書案というのを出しております。今日ご参加いただいた方には事前に資料を全部お送りして読んでいただいております。今日はこの案に基づいて討議をさせていただきたいんです。ですから、原子力発電所があって、そこから最終的にこういう高レベル放射性廃棄物が出ている、私たちが使ったもののゴミの処理を、じゃあどうしたらいいんだろうかと、その部分に私どもは集中してお話しをしたい。ですから、基本的に辿っていけば、原子力発電の存在の有無ということも入ってくるんですけれども、今日はその議論はいたしません。それはそれでまた別の場所でさせていただきたいと思いますので、今日は私たちが出したゴミをどうやったらいいんだろうか、そのことについて考えさせていただきます。ここで意見の集約を行うとかあるいはここで結論を出すとか、そういうことは一切ございません。ですから、自由にご意見いただいていると、先ほど岡谷さんがおっしゃた通りなんです。今日もここでいろいろご意見をうかがうわけなんですが、今日で4回目で、実はいろいろな反省がありました。会場にいらしている方から十分にご意見を承ることができないとか、それから、今日は実は初めてなんですけれども、参加者を公募させていただきました。いつも11人とか12人なんですが、今日は5名プラスされてますから全部で16人になっています。そういうふうに公募でご意見をいただいて、そして抽選をさせていただいて5人入っていただいたと、こういうわけでございます。そうなってくると人数が増えて、ご発言の時間が足りなくなるんです。前回やらせていただいた時も、強引に30分延長させていただいたんです。この前はその場で「延長させて下さい」と言ってしまって、それが通ったものですから今日もそうしようかと思ったんですけれども、今日はおとなしく事前に延ばそうということでご相談し、1時間延ばすことにしました。本当は3時間の討論会、というか意見交換会なんです。しかし今日は4時間やります。ですから17時までかかります。ただし休憩時間を取ります。それから出入りも自由にさせていただきます。たばこはだめですので、外で、お吸いになる方は吸って下さい。トイレも自由ですから、ひっそりとお出になってひっそりとお入りいただければ大変よろしいかと思います。それから、これは私がいつも申し上げていることなんですが、これからご意見をそれぞれ承る時に、どうしてもここのところをもうちょっと明確にしていただきたいとか、おっしゃっていることの意味がよく分からないという時には、私の方から司会の権限でご質問させていただくことがあります。それはご了解をいただきたいと思います。そういう前提のもとに始めさせていただきますが、まず事務局の方から、この「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方」の報告書案がありますが、ここに至るまでの経緯だとか、状況が現在どうなっているか、概要の説明をお願いしたいと思うので、有本課長にお願いいたします。時間がないので、なるべく手短にという感じなんですが、よろしくお願いいたします。

(有本)
 それでは、概況をご説明させていただきます。科技庁の廃棄物政策課長の有本でございます。ちょっと見えにくいところがあろうかと思いますが、よろしくお願いします。
 まず、今日の会場においでいただきました傍聴の方々のご紹介でございますけれども、非常にありがたいことに307人の応募を得まして、会場の都合で抽選をさせていただきまして、220人ということでございます。全体の年齢構成は、40代、50代の方が多ございます。それから、今木元さんからご紹介がありましたように、本日このパネルにご出席いただいている方のうち、16人ほど応募がございまして、5人ほどは公募によりご出席いただいております。
 日本の原子力活動は1965年に最初の原子力発電所が運転を開始しまして、三十数年経ってございます。それで、当時1965年の段階でどういう日本の国情であったかということを少しここに並べてまいりました。人口、GNP、使用電力、自動車等々でございますけれども、それが30年経ちまして、人口は1億3千万でGNPが14〜15倍ぐらいだと思います。使用電力は5倍ぐらいでしょうか、自動車は10倍になってございます。けれどもその中でいろんなことが起こってまいりまして、先ほど冒頭にございましたように、我々もこれを書くときに苦労していたんですけれども、1997年のところで、95年の阪神大震災の後、今日の地球温暖化の締約国会議で6%から8%にでしょうか、温暖化ガスの排出削減目標というのが決まったことは非常に歴史的なものではないかと思います。ぜひ次からそれをつけ加えたいと思います。それから、ここの地元で今日聞きましたところによりますと、1988年に中日ドラゴンズが優勝いたしてございます。それから92年にきんさん、ぎんさんが百歳を迎えておられるようであります。後ほども議論があろうかと思いますけれども、この高レベル放射性廃棄物処分の事業というのは、21世紀の百年につながる話でありまして、彼女たちの年齢の百年ぐらいのスパンで考えないといけないというところでございます。ちなみに、原子力発電は三十数年経ちますけれども、高レベルの廃棄物、ガラス固化体に換算しまして、現在1万2千本ほどの廃棄物が発生している状況でございます。最近の標準型の100万kWの原子炉で年間30本ぐらい発生しているということで、日本全体で申しますと、多分1,000本ぐらいのガラス固化体が発生しているという状況でございます。
高レベルの廃棄物が、先ほどはガラス固化体換算ということを言っておりましたけれども、今どういう形状になっているかということで集約してみたのですが、日本は今再処理ということをやってまして、それも現在は大部分を海外に、フランスとイギリスに委託しているという状況でございます。再処理前の燃料集合体の形状で1万1,000トンウラン(tU)という、「トンウラン(tU)」という分かりにくい表現でございますけれども、いずれにしましても国内の原子力発電所のサイト、それから炉内にこれだけたまっています。海外に持ち込んだものが3千3百トンということであります。それから、再処理もプロセスの中に入っているというものが4千3百トン、国内と海外でございます。それから、実際にガラス固化体という形状になって日本にため込まれておりますのが百数十本あります。合わせまして全体で換算すると1万2千本という状況でございます。
それでは、この高レベルの廃棄物をどういう形で最終処分して行くのかということで、海外、日本も含めまして大きな考え方というものが、現在こういうふうになってございます。世代間それから世代内の公平ということをベースにしまして、貯蔵よりも最終処分方策ということを考えていく方がいいだろう、それからいろんな選択肢がありますけれども、地層処分というものが現在最も好ましい方策であろうというコンセンサス、これはOECDでの集約意見ということになってございますけれども、現在こういう考え方が各国で採られているわけでございます。
これは内外含めて、なぜ地層処分なのか、ということで、過去二十数年にわたりましていろんな議論がございました。宇宙にロケットで打ち上げて宇宙に放棄してしまう、あるいは海洋に投棄をするという考え方、氷の下に埋め込んでしまう、それから先ほど言いましたような地層処分、現在この地層処分というのが大きな考え方になっているわけでございます。
内外で、それではどういう形になるかといいますと、原子力発電所で燃料を燃やしまして電力を取り出し、その使用済み燃料というものが出てまいります。これをそのまま冷却し貯蔵し、地層処分で埋め込んでしまうという考え方、それからフランス、日本等でやっております、再処理をしましてウラン、プルトニウムという有用資源を取り出し、それから残りました核分裂生成物を中心とするものをガラスと一緒に混ぜてがっちり固めて、それを冷やして最終処分を行うということでございます。この二つの大きな考え方がございますけれども、いずれにしましてもこういう制度、体制、これは後ほどご説明申し上げますけれども、実施主体、事業資金を集め、いろんな事業のプロセスをきちっと考えた上で地層処分をやるということは各国共通しているわけでございます。
各国について大まかにまとめたものでございますけれども、アメリカからカナダ、スイス、スウェーデン、ドイツ、フランス、日本ということで、最終処分をやります実施主体、これはアメリカを含めまして各国、全部設立されてございます。日本の場合には、2000年を目安に設立しようということで準備を今始めているところでございます。それから事業の資金、これにつきましては70年代の後半、80年代の前半にわたりまして、すでに事業資金を積み立て始めている国でございます。日本は残念ながらこれが非常に遅れていたわけでございまして、この処分懇談会の議論を契機に、来年度からきちんと制度化しようという検討を今始めているところでございます。それから地下の研究所、これは何といっても地下に最終的に埋設をするということで、しっかり地下のデータを押さえておかないといけないということで、各国は90年代にはすでに地下の研究所を建設しているということで、日本も早期に実現しようということであります。それから処分の開始時期、2010年、2008年等々ございますけれども、日本の場合には2035年頃を目標としているということでございます。処分の形態としましては、使用済み燃料そのまま、それからガラス固化体という2つの形状が、各国でそれぞれあるわけでございます。
それで先ほど申しましたように、日本は各国に比べまして、処分懇談会の報告書にも書いてございますけれども、取組みが10年から20年遅れていたという反省を踏まえまして、いつ、どこで、誰が、何をどうするという行動方針をきちんとしないといけないということで、二つの部会が始まったわけでございます。
処分の事業、研究開発、安全規制、この3つの大きな流れがございます。処分懇談会は、今報告書案をまとめ、来年の1月まで国民の方々にコメントを求めている最中でございます。その一環として、今回のこの全国での地域の意見交換会もあるわけでございますけれども、いずれにしましても処分の事業、実施主体のあり方、それから損害賠償とか選定のプロセスの制度をどうすべきかということで、これを2000年に確立し、それから処分の研究開発についての技術、これの信頼性等々につきまして、国際的なレビューを受け、国の評価をして技術的な信頼性を明示するということを2000年前にやろうと。それから安全規制ということで、安全の基本的な考え方をこの時期に出すということで、私ども二、三年先、2000年頃にいろんなものを一斉に確立して行かないといけないということで、この下準備を現在進めているということでございます。もちろんこの処分の事業は非常に段階を追ってまいりますので、最終的に埋設を始めるのは2035年頃ということでございます。  先ほども申しましたが「原子力バックエンド対策専門部会」という技術的な側面を議論する部会がございます。これは阪大の総長の熊谷先生が座長でございますけれども、ここで2年ほどの議論をいただきまして、日本の地質環境の中でそういうきっちりした岩盤が見つかるか、そういうデータを積み上げないといけないという方針を、この中で議論していただいているわけでございます。それから技術的なよりどころ、仕様といいますかそういうもの、それから何といいましても成果の公表、あるいはレビューの透明性、こういうところをきちっと維持し、どんどん透明性を高めながら研究開発をやっていくという指針ができているわけでございます。今年の4月にまとまったわけでございます。
それから先ほどから出ております社会的な側面、経済的側面、事業というところでございます。これはお手元の資料にもございますように、非常に多面的な大きな仕事だとしましても、なぜ今議論をする必要があるのかという根本のところから始まりまして、社会的な理解を得るための課題とは何か、処分技術の理解と信頼を得るためにはどうするか、それから資金の問題、事業主体のあり方、諸制度、それから立地地域との共生、プロセス、最後にこの処分懇談会の「今何をしなければならないか」という提言があるわけでございます。
その章立てにつきまして少し付言いたしますと、まず議論をするということで先ほども冒頭で触れましたけれども、やはり我々が30年間、人間にとって一世代、この中でエネルギーを使い、それによって出てきた廃棄物という問題については、これを処分する制度、体制というものを我々の世代に確立しておく必要があるであろうという基本でございます。
それから「社会的な理解を得るために」ということで、透明性、情報公開、いろいろ書いてございます。誠実な対応、それから繰り返し繰り返しこういう意見交換会でも出てまいりました透明性の確保、情報公開、それから、小さいときからの教育、学習、あるいはいろいろな関連の施設を公開しどんどんそこに行っていただく。訪問し現場体験をするということが非常に大事になるであろうということでございます。
それから事業資金の確保につきまして、処分の経費につきましては受益者負担ということから電気料金の原価に算入し、電気利用者が負担するということが適当であろうという考え方でございます。
それから実施主体、2000年頃に設立しようという実施主体のあり方ということで、これは非常に長期的にわたりますので、いろいろな経営、あるいは技術的、マネージメントも含めての安定性、確実性、それから国・電気事業者のそれぞれの役割というのを記述してございます。
それから、この最終処分場の立地地域との共生ということで、持続的な共生関係ということで、住民、産業のみならず、その地域の自然環境との共生ということ、それからやはり今までの電源立地のあり方も含めまして、その地域の主体性のボトムアップと言いましょうか、そういう主体性の尊重が重要であるということでございます。それから電力の大消費地と立地地域との連帯関係、相互理解と言いましょうか、そういうところが非常に重要になるであろうというご提言でございます。
中部地方の原子力の発電量と消費地との関係ですが、中部電力の場合ですと、今浜岡に原子力発電所が4基ございますけれども、ここの総発電量と名古屋の近郊の消費電力とがどれくらいか。もちろん浜岡の電気がそのままこっちに行っているわけじゃありませんけれども、大体ご理解いただけないかということであります。それから北陸電力の関係ですと、志賀原子力発電所の発電量とちょうど金沢周辺の人口密集地帯がコンパラになっているという状況でございます。
それから、処分地を選定する場合のプロセスでございまして、これを法令できちっと明確化し、それぞれの役割、国それから電気事業者の役割をきちっとすべきであろうということで、特に地域レベルでも、これはフランスでもカナダでもスウェーデンでもいろいろな経験がございます。いろいろな地域、あるいは当事者も含めた検討の場が設けられておりますけれども、こういうものをよく参考にし、日本の国情にあったものを設置すべきであろうというご提言であります。住民の意見の反映ということでございます。
それから、深地層の研究施設でございますけれども、これはカナダ、アメリカ、それからベルギー、スウェーデン、スイス、世界各国の先進国では、大体先ほど申しましたように建設がもう終わっているところが多ございます。そういうことで、非常に国際的なそれぞれの特徴のある地盤でやっておりますので、そういうデータ、あるいは実際に研究者が長期滞在をして、相互に国際共同研究をやっているということでございます。日本の場合には残念ながらまだ超深地層の研究所がございませんので、海外に出ています。アジアの地域ということで、こういうものが日本に実現すれば、国際協力あるいはアジア協力という意味で非常に有益であろうということでございます。
最後に、処分懇談会報告書案の主な項目を選んでございますけれども、最後に我々は何をしないといけないのか、ということで、一つは、やはりこういう課題があるのだということの認識を広げ、それから身をもってその問題のご検討をそれぞれいただくということがまず最初であろう、それから情勢の変化に柔軟に対応しながら事業資金、実施主体、深地層の研究施設の早期実現、準備ということ、それから最後に政治の場と書いてございますけれども、現世代の意思を立法の形でいろいろな制度、体制も含めまして、確立を早期にしていきたいという処分懇談会のご提言ということで締めくくっているわけでございます。大まかな高レベル最終処分に向けてのアウトライン、以上でございます。

(木元)
 どうもありがとうございました。本当に駆け足でご説明いただいたわけですけれども、これからお一人お一人ご参加いただいた方にご意見を頂戴いたします。簡単にご説明いたしますと、第一部の方でお一人6分ずつぐらいご意見をいただきます。第一部の方で、どうしてもこのことは聞きたいとか、この先生に質問したいだとか、こういうことを私は問題視しているので答えてほしいとかがあると思います。それはその時にその場でお答えいただかないで、休憩をとった後、第二部の方でその特定の先生にお答えいただく、あるいは、こういう話をもう少し論議を深めていただきたいというご意見があれば、第二部の方でたっぷりやらせていただこうと思いますし、また後半、ご意見があったり、会場からご質問があれば、紹介させていただいて、そのご質問なり何なりに、それこそディベートさせていただこうと思ってますし、またどうしても会場からのご発言というのもあるかもしれません。それも後半でなるべく時間をとってご発言いただくようにしたいと思っておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。それではお一人お一人、本当にざっくばらんに、ご自分の今お考えになっていらっしゃること、この高レベル放射性廃棄物についてのご意見を頂戴いたしたいと思います。
 まず最初に飯田さんから、よろしくお願いいたします。

(飯田)
 ただいま紹介いただきました飯田です。座って恐縮ですが、よろしくお願いします。私は愛知県の出身で、名古屋大学で学びました。それから金沢の方へ来ました。金沢に来ましてからは地域の人たちとの交流、能登半島や白山の麓の人たちとの交流もありますので、そういう点では大都会や中都会、あるいは地域の方々の心情などもある程度は理解しているのではないかと思います。そういう点で、今日はできるだけそういう研究というか、科学の目と地域の人たちの心情等、両方を混ぜた形で私の見解を発表したいというふうに思います。今も紹介がありましたように、原子力委員会の高レベル廃棄物の取り扱いについては、三つの柱が立てられております。一つは発生させた我々の世代に責任がある。二つはそのためには早急に着手しなければならない。三つ目が世界的には深地層処分というのが最も望ましいものだと判断されている。そういう三つだと思います。一方、1982年には、ご承知の方も多いかと思いますけれども、国際学術連合というところが高レベルの廃棄物に関しまして、四つほどのポイント、私の整理した四つですけれども、指摘しております。その第一は、そこでは数千年という言葉を使ってますけれども、数千年の管理を要請されるという点です。第二が、こういうようなことを科学では今まで取り扱ったことがない。千年を越えるような予測、判断をしたことがない。その点から言うと、真に科学的で科学的な予測を広範な科学の分野の力を結集して下す必要がある。それから最後に場所の選定に関しては、安全と科学性を基本にして考えなければならないという、この四つです。その後、いろいろな個別的な見解は深められてきていると思いますけれども、私は基本的にはこの精神に地域の人たちの感情、心、そういうものを加えた政策がとられないといけないだろうというふうに思ってます。実際、今図でも示されていましたように、石川県には志賀原発というのがありますし、それから新聞で時々出ますように能登半島の突端の珠洲では、関西電力と中部電力の原子力発電所の建設計画があります。そういう点で、原子力発電の問題は石川県民にとって一つの大きな課題となってきました。今申しましたような二つの両面から見てみますと、原子力委員会が今考えておられる線というのは、ちょっと狭すぎるのではないかな、それからここまで来てしまっているのか、という印象を受けます。今ここで国民の意見を聞いてどうするんだろうという気もするわけです。もうちょっと幅広い選択を残しながら対応できるような考え方をとるべきではないかという印象を、第一に受けました。原子力委員会が今出されているような方向で、本当に国民的な合意が得られるだろうかという疑問です。私は少なくともその点から第一に指摘したいことは、原子力政策全般のこの30年についての反省が必要だろう、つまり高レベル放射性廃棄物は今まで取り扱ってない問題だから、それは新しいから、それ自身に完結的な結論が得られればいいというような形では、国民は受け取れないだろう。原子力政策全体としてどういう問題があったのかという基本的な反省と、それに基づく具体的な改善、それに加えて、これから原子力をどうするのか、今までと同じようにどんどん拡大していくのか、それとも縮小していくのか、そういう基本的な方針に関する国民的な合意を同時に得ようとしない限り、高レベルに関する対応も非常に困難だろうというふうに思います。その点で、少なくとも次の三つの点を今までの原子力政策の推進から反省しなければいけないだろうと思います。それは、第一には立地における地域の住民の主権の尊重です。最終的にはどういうような地域にするか、そこでどういう生活をするのかということに対する選択権は、地元の人に与えるべきだろうと思います。これは私が長い間、先ほど建設されました志賀町の住民の方々や、あるいは珠洲の住民の方々と意見を交換しながら感じた点です。実際に原子力発電を誘致するというような為政者の方にしても、決してそれが最善の道だと思ってやっているわけではありません。漁業を中心とする形で生産や生活が発展できるならば、そうしたいだろうと思っていると思うんです。そういう点から言えば、地域の生活をどうするかという点で、基本的には私は住民に選択権を与えるべきだろうと思います。選択権を与えたらどこにもできないではないかという反論が出ると思いますが、実際に志賀原発が建設されるまでは20年以上かかってます。それから珠洲の原発にしても、今すでに20年を越えています。つまり今ではもう住民にそういう選択権を与えようが与えまいが、基本的にはそういう年数がかかるんです。もう終了ですか?そうしたら結論だけ言います。途中端折りまして失礼ですけれども、一つは、そういう点から言うと今急いで結論を出すことはない、もう数年基礎的な研究を加えながら、本当にどういう選択ができるのかということを考えるべきだろう。そういう中には、処理をしないでそのまま監視をしていくという選択もあるだろうということであります。それからもう一つは、このことに関しましては国民や専門家、つまり原子力に関わってないような専門家の意見も十分に聞いて、それを制度的にも保障する対応をしていくべきだろう。どうも長くなってすみません。

(木元)
 ありがとうございました。ちょっとフォローさせていただきたいのは、そうすると基本的にこういう出したゴミを処分することは当然しなければいけないんだけれども、今ここで考えている処理・処分の仕方、それはちょっと早すぎるのではないか、それで基礎的な研究をもっとしようと。それで今おっしゃたのは、1次使用のままで処理をしないで地上で管理するというようなお考えでよろしいんですか?

(飯田)
 そういうこともあり得るだろうと。原子力委員会があまりにも狭く考えているんではないか、両方の可能性を検討していくべきだと考えている。

(木元)
 それに対しては、皆さんのお手元の資料の29ページをご覧いただきたいのですが、ここでは専門家だけではなくて、かなりいろいろな人間が入ってものを言っています。それからちょっとフォローさせていただきたい点がもう一つがあるんですけれども、今「地元の住民の方がどういうふうな自分たちの生きる場所にしたいかということは自分たちの選択に」というお言葉があったんですが、これは私ども28回やった中で一番論議を呼んだというか、いろいろやり合いました。その結果は、大変恐縮ですけれども、お手元のこの報告書「基本的な考え方について」案の19ページに第三章があります。「立地地域との共生」、それで「1.基本的な考え方」、ここのところの段落下の(1)の4番目の行を読まさせていただくと、「このような共生関係を考えるにあたって、まず、立地地域の主体性を尊重しなければならない。共生の方策は立地地域に対して押しつけたり一方的に与えるものであってはならず、地域の持っているビジョンやニーズに応じて、地域の特性を活かした方策を地域が主体となって企画・選択する仕組みをつくることが必要である」と、このように案として書かせていただいているんですけれども、これではまだ足りませんか?

(飯田)
 これは「処分地を建設することが前提」ではないんでしょうか?そうではないんですか?全くそれは要らないという選択もあり得ると考えるべきである。それから「尊重する」というのは言葉としては非常に曖昧で、基本的にその人たちが決定できるんだというふうに考えるかどうか、そこまで突っ込んでやっぱり議論していただく必要があるだろうと。

(木元)
 今拍手がありましたが、多分同じお考え方の方だろうと思いますけれども、そういうような考えがあるということもとても大事なことです。ですから、ここで書いた案がそういうふうな解釈も行われるということが今日分かったわけです。私たちは、そこも含め一生懸命議論しているんですが、そういうご意見がまたあったということが今日の記録にとどめられると思いますので、また反映することは当然だと思います。ご意見、また後でうかがわせていただきますが、大変ありがとうございました。
 それでは次に井上さん、よろしくお願いいたします。

(井上)
 高レベル放射性廃棄物を考える多治見市民の会の井上と申します。意見を申し述べます。この報告書の背景になっているのは、動燃事業団の研究開発に基づいて、第2次レポートが出され、実施主体がつくられるということなわけです。私たち東濃の者は、日本で初めての高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する地下研究所の立地が一昨年決まりました。超深地層研究所という地下研究所です。その動燃の研究開発ということが今この東濃でどのように行われているのかということを、私が、お手元にあると思いますけれども、資料として出しているものを中心に説明させていただきたいと思います。そして、動燃事業団がこの高レベル放射性廃棄物の地層処分の研究開発に携わるのはふさわしくないということを意見として申し上げたいと思います。お手元の資料の最初のページにありますように、現在東濃地科学センター、動燃は、30km四方の領域を対象とした調査を9月に終了しました。そして10km四方の領域を対象とした調査が五つの項目によって幅広く行われています。一部はもう終了してますし一部は中止になっているものもあります。次のページをごらん下さい。この広域地下水流動研究とは別に、超深地層研究所計画の現状と平成9年度の予定というのは、こうした広域にわたる地下調査とは別個のものとしてあるということです。その次の地図を見て下さい。これは東濃周辺において…、

(有本)
 ちょっとすみません。今、井上さんが読み上げておられる資料、外にありましたので大至急取り寄せて、少なくともパネリストにはお配りします。

(木元)
 私どもいただいてないので、「いただいてない」ということを申し上げていたんです。

(有本)
 すぐ配ります。すみません。

(木元)
 井上さんがお配りになったのは、これですね?

(井上)
 「地域参加者 井上敏夫の発言資料」というのです。それは玄関のところに置いといてほしいと言われましたので。では今の分、時間として引いて下さい。

(有本)
 少しお待ち下さい。

(岡谷)
 入口に置いてありますが、パネリストに配ってくれという指示がなかったのでパネリストには配ってないので、それは今から揃えます。

(木元)
 時間がもったいないですけれども、私の方も知りませんでしたし、事前に全員に配れというご指示があれば事務局でお配りしたと思うんですが、ちょっと申しわけございませんでした。

(井上)
 全員に配ってもらうということで係の方にお渡ししましたけれども、よろしいでしょうか?

(木元)
 はい。

(井上)
 それでは、この資料の説明のところから入らせていただきます。広域地下水流動研究の現状と平成9年度の予定というのが、東濃で動燃によって配られています。それは、一つは30km四方の領域を対象とした調査であり、これは9月に終了しています。そして二番目の約10km四方の領域を対象とした調査が現在行われています。一部は終了しています。次のページをごらん下さい。日本で初めての地下研究所である超深地層研究所の計画の現状と平成9年度の予定というのは、この広域地下水流動研究とは別に出されています。3枚目の地図をごらん下さい。これは東濃の実際の地図です。ここの一番中心になっている円形の部分は、超深地層研究所のある瑞浪市明世町月吉と土岐市泉町河合が中心になっています。その周りに先ほどの10km四方の区画が、実際に地図上に落とされて精緻な調査が計画されています。その外が30km四方の領域を設定した動燃の資料です。その次の資料をごらん下さい。この地図は今の円形部分の土岐市泉町河合に設定されている2.5q×1.6q、面積としては4kuの区画です。これは賤洞には実際に住民が住んでいるところに動燃が引いたものです。この4kuというのは先ほどの説明にはなかったんですけれども、高レベル放射性廃棄物のガラス固化体4万本、平面上に埋設する場合の処分場の概要と全く同じ広さの面積です。全く同じ面積が、実際に東濃で人が住んでいるところに引かれているということです。その次のページがその4kuをヘリコプターで飛び調査する計画があったわけです。これは中止になりました。私たちや土岐の市議の申し入れによって中止になりました。その次に処分懇談会の最終処分場の4kuのことが書かれている資料があります。その次の地図は、超深地層研究所と実際の処分区画の関係を示したものです。協定書第1項の「放射性廃棄物を持ち込まない、処分場にしない」というのは、この超深地層研究所の範囲の中でしか適用されなくて、外のこの区画には適用されないわけです。最後のページが、動燃が今行っている電磁調査の150ヶ所を示す地図です。だからこれらの資料を見ていただくと分かるように、現在私たちは高レベル放射性廃棄物の地層処分について、実施主体やそれから処分地の選定プロセスについて幅広い国民の意見を取ろうとしているその最中に、東濃の現地ではこのように実際の処分場区画と全く同じ区画を設定して動燃が研究しているわけです。これは全くふざけたことというか、あり得てならないことだと思います。そういう意味で、私はまず東濃におけるこの調査を全面的に中止してほしいということ、そして動燃事業団はこの高レベルの地層処分を担う研究機関としてはふさわしくない、そのことを言いたいと思います。そして最後に、動燃事業団が高レベル放射性廃棄物の地層処分の中核推進機関として指定されている国の原子力長計を見直すことを、直ちに行っていただきたいと思います。その上で、地上管理も含めて、本当に国民の安全や命を大切にするという観点から幅広い選択肢を挙げながら、この高レベル廃棄物に対する問題に対処しなければいけないと思います。そして同時に、発生源を問わないでこれを行う限り、次の世代も同じようにこの高レベル廃棄物の処分を行わなければいけないし、その脅威にさらされるわけです。だから発生源とともに、現にある廃棄物の処分問題を考えて行くのが正しい方向だと思います。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。今最後におっしゃたように、発生源の問題とともに処分についてこれから考えて行くという姿勢は報告書案と全く同じです。ただ、今ご意見が出まして、動燃の方からお答えいただいた方がいいのではないかという部分があり、これは第二部で井上さんのご疑問の方にお答えをいただくようにいたします。それでは時間ですので次に行かさせていただきます。大泉さん、お待たせしました。

(大泉)
 瑞浪から来た焼き物をやっている大泉です。最初に、皆さん、世界の地震のマグニチュード4以上の1970年から85年の地図(発言者注:国立天文台が出している理科年表に出ている)を見て下さい。これは日本の外郭が見えるでしょうか?木元さん、見えるでしょうか、日本の外郭見えますか?

(木元)
 何となく。世界地図で真ん中辺にオーストラリアがあって、黒く沿岸に沿って色が濃く見えますね。それが地震の起きているという意味ですか?

(大泉)
 はい。ほとんど日本の地図の上は真っ黒く、地震の巣というか、巣窟になっているわけですね。これはマグニチュード4以上の地震です。ということは、チェルノブイリのあの事故が地震であったということがこのごろ報告されています。そういうふうな観点から見ても、非常に危険なところに我々は住んでいるわけです。神戸の地震でもお分かりのように、これからああいう地震が起きないということは全く言えないということを皆さんご存じだと思います。それで、先ほど井上さんがおっしゃった、超深地層研究所を瑞浪につくるという協定書を結びましたけれども、あれはこの会議の後にやるべきことです。こういう会議をやってから、超深地層をつくるかあるいは処分するかということをやるべきだと思います。こういう会議をやる前にああいうことを決めて、それでみんなをこういうふうに集めて会議をしますなんてということは、とても私は納得いきません。順序が逆です。それで近藤座長も「日本中のいろいろな人の意見を聞いてやる」というふうに言ってます。言っていることとやっていることが違うということです。全く私は納得いきません。それに、あの動燃さんが瑞浪でいろいろお仕事を、あるいは土岐市でなさってますけれども、全く住民は信用してないのです。それで科学者だと皆さんおっしゃって、科学的な調査あるいは地層の研究だとか言ってますけれども、処分のための研究ということは言わないんです。超深地層研究所は地層の純粋な研究だというふうな言い方をするんです。でも処分のための研究は当たり前のことだといって後で開き直るんです。そういう人たちの科学的態度というのは住民は信用しません。それから、これはコアですね。これは私の家の裏とか日吉の山に落ちているんです。こんなことがあっていいんでしょうか?これは動燃さんに聞いたら探査のコアだというんです。もし探査のコアだったら最も重要なコアではないでしょうか。小学生でも大事に、何ですか、サンプルとしてとっておくようなものを、山にごろごろ置いておくような人たちを誰が住民の人が信用するでしょうか。それで私は、この会議をやるのはいいですけれども処分場を強引に決めて、処分場をつくりますと決めてからこの会議を開いているというのは逆ですね。だから私は納得できません。この会議に仕様がないから来ましたけれども、順序が逆です。それで出てくるゴミをどんどん出しておきながら、さあトイレをつくろう、出てくるゴミをどうするかということを言わないで、のべつまくなし出てくるゴミを、とにかく処分しなければいけないんだからみんなで会議を開きましょう、というのは、何か子供にもこういうことは言えないなと思ってね、矛盾し過ぎてます。だから私は、この会議そのものに参加しましたけれどもあまり思わしくない。近藤座長が言っている「十分に時間をかけて議論する必要がある」というのは、最初にもう高レベル放射性廃棄物処分のための超深地層研究所を、これしかないんだといってつくると決めてから、それからみんなで議論しましょうなんて集まっても、全然逆です。これはもう小学生でも分かる原理ですよ。だから、何というんですか、小学生や中学生で理解できないようなことをいろいろこねくり回して言って、それで何か会議を開いた、あるいは書類ができた、研究をしたというのは納得できません。それで、もしこの会議を真剣に考えるのであれば、高レベル放射性廃棄物処分のための超深地層研究所は白紙に戻してから、こういう会議なり議会を開いて国民の意見を聞くのが筋だと思います。それで、時間はあと何分あるのか知らないけれども、最後に言いたいんですけれども、キューリー夫人という人がこのラジウムというものを発見していろいろ研究したわけです。キューリー夫人の夫ピエールが亡くなる時、あるいはキューリー夫人も白血病で亡くなりますけれども、世界で初めて放射線による流産をしたという悲しい人だと思いますけれども、キューリー夫人が亡くなる時に、このラジウムを犯罪人の手に渡すことの危険から守らなければいけないということを非常に心配して亡くなられたんですね。ということは、犯罪者というのは一体誰になるのでしょうか?私たちなんでしょうか、あるいはそういうものをつくり出した人なんでしょうか、それをいじる人なんでしょうか?日本ではまだ高レベル、あるいは原子力発電所から出るプルトニウムとか、ウランを持った犯罪者というのは余りないですね。京都かなんかでちょっとあったみたいですけれども、いわゆる大きくいじっている政府の機関の人が犯罪者にならないとは限らないと思うので、私は非常にそういうことを心配しています。それでこの会議そのものに僕は異議を申し立てます。以上。

(木元)
 ありがとうございました。今、ご発言いろいろおありになったんですが、処分地は決めてないんですよね?

(大泉)
 いや、高レベル放射性廃棄物処分のための超深地層研究所です。どういうふうに処分を研究するかということをみんなで議論しないで処分地を決めたんです。処分地じゃない、こういうふうに高レベル放射性廃棄物処分のための超深地層研究所で研究するというふうに決めたんです。

(木元)
 私がお答えするよりも、後でご専門にやっていらっしゃる方々にお答えをいただきますけれども、今のキューリー夫人の引用もなかなかいいと思いました。人間というのは文明、科学文明は特にそうかもしれませんけれども、凶器の部分と利器の部分があって、それを利器にするか凶器にするかというのはあくまで人間にかかっている。だから核兵器ができたりということもあるんですが、それを利器として使うことによって、例えば放射能一つでも利器として使ったり凶器として使ったりという部分がある。その英知をみんなが出し合う、あるいは理性で話し合うという場所が必要だと。それから、今こうやって会議を開いておりますが、例えば地震の問題にしても、私の認識ではこの懇談会が始まる以前にかなりの労力を掛けてご審議があったし、研究もされている。それに私たちがアクセスしたり、あるいはいただいている資料もあるんですが、それを見聞きしたということも申し添えておきます。

(大泉)
 私たちには何も知らされないで、急にこういうことが決まったんです。

(木元)
 ちょっと待って下さい。私は司会進行で、ここでのご発言に誤解が生じないように明確にするということを申し上げました。

(岡谷)
 一般傍聴の方、静かにして下さい。

(木元)
 そういうことで、ご議論の中でそういうご疑念を確認させていただきましたので、第二部の方でお答えをいただくことにいたします。それでは大竹さん、お待たせいたしました。

(大竹)
 大竹でございます。総務庁の行政相談委員をさせていただいております。本日は、どちらかと言えば一市民、一主婦としてこの会に参加させていただきました。それで、私がこのシンポジウムに参加することになりましたことで周りの方からうかがった情報をお伝えすることと、そこの話し合いの中からいろいろな提言とかアイデアとか出てまいりましたので、それを申し上げて意見発表とさせていただきたいと思っております。
 まず周りの方たち、特に女性を中心にいろいろなお話をうかがってまいりました。そうしまして気がついたことは、非常に二極化しているということでした。よく知っている人はもう本当に詳しくご存じなんですが、関心を持たない、関心が全くないという方がかなり大勢いらっしゃるということ。なぜ関心がないかというと、今現在特にそれが必要なこととは思われない、話題にする必要はないというようなこと、それから用語が難しすぎて、何かその資料を読む気持ちにもならないというようなことをおっしゃいました。それと同じように、深く関心を持っていらっしゃる方も、用語がやはり難しすぎるということもおっしゃってます。これは共通しておりました。両者に言えることは「明日の地球よりも今日の生活」の方が大切で、特にひっ迫した気持ちは持たないというような感じを受けました。ただ、そこでとても議論が出てきたところとしては、用語が難しすぎて私どもに伝わってこない。情報は多分たくさん流されてはいるんでしょうけれども、それがこちらのアンテナに引っかかってこない。ではどうしたらいいか。例えば本日のテーマの「高レベル放射性廃棄物」というのは聞き慣れない言葉ですから、私ども主婦の立場からいけば「ゴミ」ということで言っていただきたい。「高レベル」。何に対して高いか、何に対して低いのかということが分からないわけです。私どもが使ったことによって出てきたゴミを処分することは分かる。ただ、そのゴミは危険度があるのかないのか、それをゴミ危険度1とか危険度2,危険度3というような形でもってランク別に言葉を直していただけないものだろうかという意見が出ておりました。リサイクルできるものであれば、リサイクル度1,リサイクル度2というような形でも結構なんですが、そういう分かりやすい言葉で情報を流していただきたい。それを年に5回なり6回なり、トップニュースで国民のところに、テレビ、ラジオ、新聞を通してお話を流していただきたい。今朝NHKの「生活ホットモーニング」というテレビ番組でもやっておりましたが、大型の家電製品、テレビとか冷蔵庫とか、それが2010年までには2千万台廃棄処分されるということで、その最終処分地がいっぱいになってしまってどうしようもないということをやっておりました。だからリサイクルについても関心は深まっている。リサイクルに対して国民の中でこれだけ関心度が深まっているという中では、リサイクル度1,2,3という形で、高レベルなり低レベルなりという言葉をやめてお話しをしていただいた方がいいのではないか。それでトップニュースで流すことと、また一方で私どもの生活に身近なところで回覧板というのがあるんですが、これは主婦ならではの発想だと思うんですが、ゴミについてこういうものが今どこでどういうふうに処分されているのか、または保留されているのか、どこに貯蔵されているのかというようなことを、回覧板という形で流してみてはいかがでしょうか。これはできるかできないかはまた別の問題、いろいろな問題点もあるかもしれませんが、今回のこのシンポジウムの一番の目的である「議論を沸騰させる」ということがあるとすれば、一番身近な回覧板というところで、分かりやすい言葉でお話しをして下されば、みんなの中にも「難しいから知らないわ」ではなくて、「やっぱりそうなのか」という意見が起こってくるのではないかと思います。ですから、それを少し検討していただけたらどうかなと思います。それで皆さんとお話をしていると、やはり問題点は二つあって、一つはこういうゴミの管理がちゃんと確立されるような技術開発がなされれば、私たちも理解をするでしょう。もう一つは、エネルギーが残ったまま処分しようと思うからいけないのであって、エネルギーを使い切ってしまうような技術を、専門家のところで技術開発をしてほしい。その二つの問題点さえ確立されれば、私たちは専門的なことはよく分かりませんけれども、そういうことを身近なところに情報として流されれば理解もできるし、応援もできるかと思います。ですから、こういう議論が女性の間で広まりますように、この会議の成果が得られますことを期待しております。ありがとうございました。

(木元)
 大変よいご意見というか、情報というのは出ているんだけれども、用語が難しいとか、それは私も実感しますよね。それと今おっしゃった中で一つおうかがいしたいのは、使い切ってしまうというのは、今はガラス固化体にして高レベル放射性廃棄物を処分するという形だけれども、それも使い切っちゃうということですか?その中にエネルギーがあるから。

(大竹)
 「結局、ゴミを出さないためにはどうするか」ってみんなで話し合ったんですけれども、「使い切ってしまえばゴミにならないんじゃないか」という、単純な発想なんですが。

(木元)
 それは後でうかがいますけれども、技術的なことでできるかもしれないと?

(大竹)
 かもしれないですか。じゃあゴミがなくなればそれで使えるんじゃないかなという。ちょっと具体的なことはわかりませんけれども。

(木元)
 なるほどね。ありがとうございました。
 お待たせいたしました、奧野さん。お願いいたします。

(奧野)
 名古屋大学の奧野です。私は大学で、経済学の中でも私どもが「公共経済学」と呼んでいる分野を専攻しております。社会資本の整備、公益事業の料金問題、規制問題、そういうようなことを勉強してまいりました。今日は放射性廃棄物の処分の制度と費用負担の問題につきまして、考えております基本的な点を述べさせていただきたいと思います。
 原子力発電所から出てまいります、あるいはすでに出てきております放射性廃棄物の処分コストは現在の我々が負担すべきだ、ということは当然のことであろうと思っております。我々が廃棄物の原因者でありますし、廃棄物が将来に残るということは物理的にはやむを得ないことでありますけれども、将来世代に影響が出ないように管理する技術の開発、そのための費用負担、処分の費用負担、それは我々がしなければいけないと思います。これまでの費用負担の方法は、私の理解しておりますところでは、研究開発は、特に動燃だと思いますけれども、国が中心になって行う、処分の費用につきましては、これまでは特に事業資金の確保が図られてきていないと理解しております。費用負担のあり方でありますけれども、研究開発に要する費用は、私は基本的には公的負担で行くべきだと思っております。放射性廃棄物に関する開発されました技術は人類共通の財産でありますし、国際的にも幅広く利用されるということが望ましいものであると思います。民間企業でももちろんできないことはないわけでありますけれども、幅広く公開して行くという意味では公的負担に馴染みやすいと思っております。もう一方の処分費用でありますけれども、これは受益者負担の原則、料金に算入して負担させるということが原則ではないかと思っております。先ほどの説明にありましたように、原子力発電が始まってから30年余り経っているわけですが、これまで事業資金の確保が図られていなかったということがあります。この間の経緯については十分に承知しているわけではありませんけれども、技術が確定していなかったとか処分が始まっていなかったとかいろいろな理由があったと思いますが、私は、現時点で今ある技術を前提にして可能な限りコストを試算して料金に算入すべきではないかと思っております。まだ処分の事業主体ができていないわけでありますけれども、今基金として積み立てておいて、事業主体ができたらそちらの方に移管していくというふうなことが考えられるのではないかと思っております。したがいまして、研究開発についてはその費用負担は公的負担を原則とし、処分の費用については料金で受益者が負担していくということを原則として考えて行くべきではなかろうかと思っております。簡単でありますが以上であります。

(木元)
 ありがとうございました。先生は名古屋にいらして、この東濃地区はかなりお歩きになっていらっしゃるのですか?ちょっと唐突で恐縮ですが。

(奧野)
 歩いているのは別に廃棄物処理の問題で歩いているわけではありませんので、私はその他の社会資本の問題、水、ダムの管理でありますとか、あるいは交通施設等々の問題で歩いております。

(木元)
 そうですか、ありがとうございました。続きまして尾尻さん、よろしくお願いいたします。

(尾尻)
 私はこの会場から北方、約15qですか、先ほどからの話題にあります敷地からも南の方へ15qの春日井市に住んでいます、尾尻洋介でございます。本日木元先生のお顔を拝顔できればと思って応募したわけでございまして、今は傍聴席に入っていればよかったなと反省しております。こういう場には私は慣れてませんので大変緊張しております。したがって支離滅裂になるかも分かりません。先ほども話がありましたが、報告書を送っていただきまして読ましていただきましたけれども、情報公開から立地、資金調達など、政策面から埋設の方法の技術面まで、非常に幅広い内容で、昨夜も12時まで勉強してみたんですが、さっぱりよく分かりませんでした。総論で言えることは、具体性に何か欠けているような印象を受けました。本日の先ほどから話を聞いていますと、意見を述べられている方は非常な専門家ばかりで、私のような素人は、「高レベル」に対して非常に「低レベル」だなと、こういう人間も参加して本当にこの意見交換会がまともに議論できるんだろうかと、こう思っております。私は自動車やテレビのつくり方は全く知りません。しかし、こういうものは必ず利用しております。専門的なことを全部知れというのは無理でございますので、専門的な議論は専門家に任せて、私ども「低レベル」の素人は、それを判断するだけの知識を持てばよいのじゃないでしょうか。その面で、今回送られた資料は私に何を要求しているのか苦しみました。大竹先生も女性の立場で理解しがたいと言いましたけれども、私も男性の立場では理解できませんでした。その面で、中身について読んだ結果、三点ばかりについて意見を述べさせていただきます。
 まず情報公開にあたっては、専門的情報は専門家以外に理解できないんだから、簡単にしとけや、という話で、私どもには余り説明はされませんけれども、できたら分かりやすく丁寧に行っていただきたいと思います。私見でございますけれども、やはり大学生には大学生にふさわしい情報、我々幼稚園児には幼稚園児にも分かるような情報、こういうものをつくっていただいてはどうかなと思います。漫画を使って分かりやすくしていただくのも一つの方法かなと思います。我々、まあ「低レベル」の国民の底上げをするというか、やはり重要なことはみんなが理解することで、一部の議論じゃないと思います。そういう面で情報をできるだけ多くの国民に知ってもらうために、それを国民に関心を持たせることが重要なことではないか、そうすれば多くの国民の理解と信頼の向上に結びつくと思います。一方、データなどよこせという非常に高度な方もおられると思いますが、それにも拒否しないことだと思います。今回の報告書にはマイナス面が記載されておりません。自動車とか飛行機、私もよく利用いたしますけれども、近代技術には必ずプラス面とマイナス面があると思います。プラス面とマイナス面のどちらが大きく作用するかということで、我々は有利な方向、やはり歩いて行くより自動車を使った方がいいとか、こういうふうに判断しているわけでございます。専門家の皆さん方は、何かデータを出すと揚げ足を取られるといって恐れるせいですか、余り出されませんけれども、勇気を持ってマイナス面の情報も公開して議論すべきだと思います。例えばこの事業に対するやはり何らかの被ばくとか悪影響があると思います。4、5年前ですか、ロシアの潜水艦が沈んだ時の海水の汚染状態、これよりも大きな影響があるのかないのか、あるいは自動車とか飛行機に比べて今回の問題は我々に危険性をもっと与えるのか与えないのか、こういうことをもっと身近な例を引き合いに出して私どもに説明していただくようにすればもっと分かりやすくなるんじゃないかと思います。まあ二つ目は事業主体と資金についてでございますが、今朝は大変寒うございました。女房が電気ストーブを簡単につけるので、昔は私は練炭を寒い中でおこしたんだよと言ったら、時代錯誤だよと笑われちゃいました。電気はこのように我々日常生活においてはもう欠かせないものであります。また長期にわたり重要なエネルギーになっていると思います。今朝の新聞にも、京都の温暖化防止会議でCO2の6%削減が合意されたと記載されておりました。次の新エネルギーを学者先生方に考えていただくんでしょうか。当面は原子力もその一つの選択肢に入っているのではないかと、そういうことを考えますと、この事業は早期に実用化技術の開発に取り組むべきだと思います。もう時間経ったんですか?

(木元)
 あと一言おありですか?

(尾尻)
 そうですか。ちょっと時間がかかりました。こういう面で結論的に申し上げますと、二つ目の問題は、事業主体に関してはやはり信頼性と透明性、効率性を考えれば、国が逃げずに取り組むべきだと思います。三つ目の問題が一番言いたかったところでございますが、簡単に言いますと、立地の問題については最も難しい問題だと思います。だからこの報告書に書いていることは、都会に住まれる先生方が考えた発想ではないか、損害賠償とか生活水準の向上、こういう面ばかりを主張しても、地元における皆さん方は理解できないんじゃないでしょうか。そういう面で、これから取組まれる皆様方も情熱と誠意を持って取組んでいただく人たちを集めていただくことを期待して、私の話は終わらせていただきます。

(木元)
 ありがとうございました。今のお話の中で、例えばロシアの潜水艦の問題で、海水がどれぐらい汚染されてそれがどういう影響があるか、今回のこういうような事業がどういう影響があるのか、というのは、後でご専門の先生にお答えいただくことでよろしいですよね?

(尾尻)
 はい、結構です。

(木元)
 それと、お話の中の「情報公開を分かりやすく」というのは、私もその通りだと思います。きめ細かくするのもいいと思いますが、一つ「関心を皆さんに持っていただかなければならない」というご発言があったんですけれども、「突然来た」とか「知らなかった」というふうにならないために、関心を持っていただく何かうまい方法というのはありますか?やる方は一生懸命やっているとおっしゃるんですけれども、受け取るところは聞こえないとおっしゃるし。

(尾尻)
 この報告書に書いているように、「関心を持たせるべきだ」と言うことは簡単だと思うんです。しかし、皆さん方に情報に関心を持たせる方法ですね、どんなにやさしい情報を書いて、漫画を描いても、読まないという人間は読みたがらないんですね。教育をやることも必要でしょうけれども、いろいろとアプローチの方法を考える、これをぽいと渡して「読め」というのではなくて、解説するなり何らかの方法があるんじゃないかと。やっぱり人それぞれによって違うと思います。画一論で強制することには私は反対です。

(木元)
 いろんな手段を講じて、とにかくきめ細かくやる以外にないと?

(尾尻)
 はい、そう思います。

(木元)
 ありがとうございました。
 それでは次のご意見うかがわせていただきます。金澤さん、お待たせいたしました。

(金澤)
 私は名古屋商工会議所の金澤と申します。早速ですが、高レベル放射性廃棄物の処分にあたっての基本的な二つの目標と申しますか考え方、一つは「将来のいかなる時点においても人間とその環境に影響を与えないようにする」ということ、二つ目は「将来の世代に過大な負担を与えないようにする」という、この二つのことは大変に重要であると存じます。特に一つ目は極めて重要でございまして、それが可能であるのかどうかということについてはできる限り科学的な根拠を公開していただいて、広く国民の理解を得ていただくことが必要ではなかろうかと存じております。ただし、専門的に勉強されている方はともかくといたしまして、私ども一般人は、深い地下に埋没いたします場合にはどのような条件の場所が適当なのか、またガラス固化体やオーバーパックの耐久性などについても評価することはとても至難のことでございます。不可能であります。今回の報告書案のとりまとめにあたっては、いろんなお立場の専門家の方々に幅広い観点からご議論をいただいて意見の集約がなされたとうかがっております。しかし、国民のうち一体どれだけの人がそのようなことが行われて来たのかということを知っておられたのかということについては、私は少し疑問を感じます。ほんの一握りの人しかご存じなかったのではないかと思います。各申す私も、今回のこの意見交換会に参加をさせていただいて勉強をさせていただく機会を得たわけでございます。このような機会を与えていただいたことは大変ありがたいと存じますけれども、ブロック別に全国を大きく分けて開催されるのではなくて、できれば全国各地できめ細かにこうした交換会を持っていただいたらいかがなものかと存じます。そしてさらにできるだけ多くの専門家の方の意見を聞いていただくことが重要であろうと存じます。オールジャパンの英知を集めて「これがベストだ」というお答えをお示しいただければ、私ども国民も何とか安心できる方向に進んで行くのではないかと存じます。基本的な二つ目の考え方でございます「将来の世代に過大な負担を与えないようにする」ということを併せて考えますと、この問題は慎重の上にも慎重を期して結論を出していただきたい重要なテーマであると考えます。もう一つの重要な問題は、すでに原子力が我が国の電力の3分の1を賄っているというのにもかかわりませず、一般の国民がどの程度原子力のことを理解しているのか、ということがございます。それを考えますと、この廃棄物の処分について議論をされる前に、先ほどもご意見がございましたけれども、多くの国民に対して原子力発電の仕組みとか、あるいは原子力発電の燃料がどのようなプロセスでつくられているのか、発電後はどのようなプロセスで処分されるのか、また、さらには安全性の問題などをきちんと理解してもらう、さらに一層の努力が必要不可欠ではなかろうかと存じております。例えば、国のエネルギーセキュリティを担って地道に研究開発を行って来られた動燃の存在が、残念ながらあのような事故を機会に初めて多くの国民の方に知られたということに象徴されますように、我が国の原子燃料サイクル政策のことについては、一部の方にしか理解されていないのが現状ではないかというふうに思っているわけでございます。高速増殖炉の開発につきましても、欧米の多くは開発をストップしているそういう時になぜ我が国だけが開発を進めようとしているのかについて、国民に理解が得られているということは言いがたいのではないかと考えます。したがって、そういうこともぜひ積極的に国におかれて周知を図っていただきたいと存じます。今までも政府におかれては、いろいろな問題について正しく理解をしてもらうよう、大変な努力を払って来られたと思いますけれども、なお不十分な面があったということは否めない事実ではなかろうかと存じます。それと、先ほどもご意見が出ましたけれども、一般の国民には「原子力」という言葉を一つ取ってみましても大変理解しにくい問題でございます。こうしたことにつきまして、何とか分かりやすい言葉で分かりやすく表現をしていただく、そういうこともお考えいただいて国民の理解を求めていただきたいと思います。また、現在学校教育の中で、原子力発電の仕組みは言うまでもなく、エネルギー問題あるいは環境問題を体系的に取り上げている時間はないというふうにうかがっております。このようなことでは、国民に今この問題について理解を求められましても、なかなか理解をすることは難しいのではないかと思います。したがってまず第一に、地球環境問題とともにエネルギー問題の重要性とか、あるいは我が国のエネルギー政策、原子力政策につきまして、政府に先頭に立っていただいて、国民に分かりやすい言葉で説明していただくことはもちろん、学校教育の中でこれを縦割行政ではなくて、総合的な国のエネルギー教育体系としてつくり上げていただく必要があるのではないかと思います。これはこれまでのこうした意見交換会でも再三出された意見だとうかがっております。改めてここで私からもお願いを申し上げたいと存じます。いずれにいたしましても、この高レベル放射性廃棄物の処分につきましては、議論の緒についたばかりというふうに私は考えております。一般の方も多分そういう認識ではなかろうかと存じます。したがって、この問題につきましては急がずに、我が国のエネルギー政策、原子力政策、あるいは先ほど科技庁の方からもお話の出ました行動方針等々について、国民的なコンセンサスを得ることから始めていただくべきではなかろうかというのが私の結論でございます。時間の関係で大変早口で端折って申し上げました。ご理解をいただきにくい点があったかと存じますが、以上私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。

(木元)
 ありがとうございました。大変整理されたご意見を承りましたが、集約しますと、基本的には今出ているものは我々が責任を持って、ちゃんとそのゴミの始末は考えなければいけないというお立場ではあるわけですよね?

(金澤)
 そうです。

(木元)
 分かりました。そして学校教育とか、それから分かりやすい情報公開ということが、もう少しなされなければいけないということになりますね。ありがとうございました。
 それでは刈田さん、お待たせいたしました。

(刈田)
 私は日本ガイシに勤めておりまして、私どもの会社というのはセラミックスをやってますが、そのほかに産業廃棄物の焼却とか下水場の水処理あるいはその汚泥の焼却のようなことをやっております。私自身は放射性廃棄物の焼却とか減容について、二十数年来研究開発をやってきました。そういう観点で、この高レベルの地層処分については多少なりとも勉強しているつもりでございます。その中でいろいろございますが、報告書を見れば詳しいことが書いてございますけれども、地層で安全に処分することは可能だなというのが、私は実感として持っております。一つの失敗例でございますけれども、ガラス固化体というのはセラミックにかなり近いんですが、それを処分する時にセラミックを使ってオーバーパックをやったら非常にいいんじゃないかということでちょっとやってみました。ところがいろいろ評価していると、こんなセラミックを使わなくても、地下の水にガラスとかオーバーパックであるカーボンスチールだとかあるいは周りのベントナイトだとか、そういうことで防護できると、残念ながらこれは失敗例でございます。ただし現在、先ほども話が出てますけれども、動燃さんの方で東濃とかあるいは釜石なんかでの研究、私は海外の研究も知っておりますが、ただ日本はあそこでも確か200mぐらいだと思います。もっとやはりこの高レベルというのは500m、1,000m、このデータの蓄積の上に処分場をどうするかということで、その前段階の研究をいかに進めるかが重要でございます。ただ、技術的には私はそういう面から行けると思っておりますけれども、これは証明する必要があります。現実にはもっと社会的なもの、こういう方が十分重要で、今回の報告書でもそちらの方にウェートがあるんじゃないかと、私は技術者からそう思っております。それで三つほど、私の意見を言わせていただきたいと思います。
 ここにはいろいろな廃棄物、発電に伴って発生する廃棄物があります。これらについてどういうふうにやっていくのか、あるいはそれはコストとしてどうなっているのか、電気料金はどうなっているのかということを、私なりの理解で書いてあります。高レベルの地層処分という観点では、TRU廃棄物、これをやはり入れて考えるべきじゃないか、それから後のものは、お金は大したことはないかも分かりませんが、全体像を明らかにしていただいて、高レベル処分のコストはこうだと、あるいは電気料金の透明性、やはり原子力によるコストはこうなんだということをはっきり言っていただきたい。これは研究の方は随分やられていると聞いておりますので、後でおうかがいできればありがたいと思います。それから二つ目でございますが、やはり先ほどございましたが、人類が管理として経験したことのない期間をやることに漠然とした不安があるわけです。それには、報告書ではどうも民間主体という表現なんですが、国が後ろに引いた状態で本当にうまくみんなが納得して事業主体を信用できるかと。私は国は責任はあると思います。ただ、アメリカの電気会社じゃないから分かりませんが、アメリカでは電気会社がどんどんつぶれるんですよ。そういう意味で国が何か関与する、国、地方それから発生者ですね、これを考えていただきたい。いろいろありますが、やはり人が大事です。ほとんど立地というのは人間と人間との関係なんですよ。1年2年、2年3年で変わるような人が責任を持っていてはだめだと、これはお願いしておきたいと思います。最後に言いたいのは、推進と規制の分離、チェック・アンド・バランスです。報告書ではチェック・アンド・レビューと書いてあります。これはある身内といっては失礼ですけれども、その中でやるには非常にまじめな機能をしていると思います。しかし、やはりバランスがない。従来は推進者側、供給者側の責任というか、エネルギーを供給するという使命の上にやっています。しかし今足りないのは、消費者、国民の立場に立ったチェックをする、まぁお役人でもいいんです、あるいはほかの人でもいいんです、そういう方々に声がうまく届かない。我々は、先ほど話がありましたが、とても高レベルの処分の細かい、いろいろな地下の状態、地震、そういうものをみんな理解しろといわれても無理です。私は、代表選手を送って両方でディスカッションしてもらう、それを見る。アメリカではよく公聴会というのがありますが、すばらしいディベートをやっているわけです。そういう中で、初めて我々はそれを通して理解できる。それが一つでございます。それからもう一つは、これは現在の行政の仕組みと違うかもわかりませんが、この処分というのは環境汚染につながる可能性のあるもの、当然その観点から処分というのは研究されています。欧米中心に地下深く研究をやっているわけです。それでいかに人類の生活圏から隔離するかというそのフィロソフィーがあるわけです。管理すれば大丈夫だということはPCBの例を見て下さい。管理しましょうといっても、そのうちにもう分からなくなるんですよ。それを隔離しようというこういう考えが非常にいいんだと思います。それで私は環境行政の中で一つチェックする、アメリカでいえばEPAですね。原子力安全委員会、これをもうちょっと強化し、独自性を持たせていただきたい。それにEPAですね、あれに似たようなもので環境サイドからチェックする。これがこちらの代表であるわけです。その結果、そういうようなことを考えていただきたいと思います。

(木元)
 ありがとうございました。あと1分の表示が出て、ベルが鳴って、ほとんど皆さんその範囲内で終わっていただいております。ありがとうございました。
 一つ、安全委員会のお話の後にEPAというのが出てまいりました。日本語で言えば何になりますか?

(刈田)
 環境庁に似たようなものなんだと思いますが、ただ中身はちょっと日本とは違うかも分かりません。要するに、どの程度の権限、それから向こうの仕組みですね、それは詳しくは知りません。

(木元)
 今日は公募でご参加いただいたわけですけれども、「消費者の立場に立った声が反映されない」というご意見があったんですが、例えばこの会のような、これも一種の公聴会のようなものですけれども、こういう会の継続ということでもあるわけですか?

(刈田)
 それはある程度周知するためには必要だと思います。先ほども出ましたけれども、専門家がやったことをチェックできるんでしょうかと。要するにチェック・アンド・バランスというのはチェック・アンド・レビューじゃないんですよ。やはり、戦ってどこかで妥結しなきゃいかん。要するにやり過ぎは困るんですよ。私は、放射性廃棄物でいうと、外から叩かれないために金をかけてしっかりやればいいんじゃないかと思うんです。それはそれでいいんですけれども、それが電気を使うという観点から本当に市民権が得られるのかと。やり過ぎたらまずい。それをチェックしていただく。また手を抜いたらまずいわけですね。それもチェックしていただく。それはやっぱり対立する使命を持った人が、何かお役人でも使命を持った人が戦ってほしい、そういう仕組みがぜひ欲しいと、これはもう行政の問題かもしれません。

(木元)
 分かりました。ありがとうございました。
 それでは次にまいります。河田さんお待たせしました。

(河田)
 放射性廃棄物の問題は、もう皆さんご存じの通りだと思うんですけれども、日本で原子力開発が始まって以来、最初からある意味では分かっていたことだと僕は思います。1970年に大阪万博があった、そして美浜1号と敦賀1号が本格運転を始めたあの年から、今日の問題はずっとあったわけです。そして我々はそう言ってきた。しかし政府、科技庁は放ってきたじゃないですか。それがまず第一の問題です。一方で、今でもですよ、今でも原子力発電所は毎日毎日その核廃棄物をつくり続けている。東海地方でいえば浜岡原子力発電所というのがありますが、今4号まで動いている。なお5号をつくり、それから芦浜原発も新しく推進しようとしている。そういうその一方でどんどんゴミを出し続けるような体制を維持しながら、ゴミの問題はゴミの問題で別に議論をしようというのは、これはおかしいんです。今産業廃棄物は御嵩町の問題が大きな転機になって、あらゆる産業分野で発生源からリサイクル可能なように、もう物をつくる段階から考えようという流れが大きく出来つつあると思うんです。そういうことから見れば、原子力発電というのは本当に遅れている。原始的なエネルギーだと言ってもいいかもしれないです。ですから、まずそのゴミの発生と処分を別の問題と考える、そういう考え方をやめるべきだというのがまず第一です。それに関係して、例えば費用負担の問題が先ほどからも何人かの方から出ました。これはもちろん今まで出てしまったゴミをどうするかという問題はあるわけですよ。何人の方もおっしゃっていますけれども、この問題は絶対にあるわけです。しかし、その時に何人かがおっしゃいましたけれども、我々「受益者負担だ」と。そうかもしれません。しかし、私はこれには一つの留保がある。なぜならば、私には電気形態を選ぶ権利がなかったじゃないですか。アメリカでは水力、火力、原子力、それぞれいろいろあります。みんな独立してやっているから、受益者というか、消費者が、ある幅はありますけれども、選ぶ権利がある。嫌な電力は使わない権利がある。そういう上で受益者負担なら、これは仕方がないでしょう。しかし、我々は否応なしに原子力の電気を3分の1今使っているじゃないですか。それでどうして受益者負担を我々が負わなければならないのか、私はこれには今言いましたように全面的には賛成できません。電力会社がかなりの部分を負うべきです。それから二つ目、三つのことを申し上げたいのですが、今のが一つ目ですね。それから二つ目は高レベル廃棄物処分、これは今あるものをどうするかということはもちろんです。しかし、その処分に関して言えば、もう頭から地層処分が前提となっているのはおかしいと思います。今刈田さんがおっしゃったんですけれども、何かある段階で地層処分ということが決まって、そこから先は研究というのはみんなそうなんですけれども、それなりに精緻に、細かく、綿密に進んでいくものなんですよ。後から見ると、何か屈しにくい堅固な要塞をつくってしまうわけですね。しかし、果たしてその地層処分という形態を採ろうというふうに決めた段階で、果たしてどれだけパブリックな議論がなされて、いろいろな意見を聞いた上で決めたのか僕は疑問に思います。そういう意味で、今からでも遅くないと言いますけれども、もっとその原点に立ち返って、高レベル廃棄物を本質的にどうすべきなのかということは考える必要がある。なぜならば、今高レベル廃棄物処分というと、ガラス固化体、地層処分と皆さん言ってますけれども、例えば日本の原子力政策がですね、再処理−プルトニウム利用という路線を放棄したとしたらどうなりますか。状況が全く変わってしまうじゃないですか。もんじゅ以降、再処理路線というのはかなり変わりつつあると、私は思います。これは世界の流れもそうです。ですから状況はどんどん変わっていくわけで、地層処分はもう変えがたいものだという観念は、まず取り払うべきではないかというのが二点目です。それから三つ目は、皆さんがおっしゃっている国民のコンセンサスの得方だと思うんです。とかくこういう場というのは、実施主体、まあ政府、科技庁や動燃や推進側の方々が理解と説得をする場となりがちです。これは原子力発電所の建設のときの公開ヒアリングなんかの経験からもそうなんだと僕は確信していますけれども、そういうことではやっぱり納得させられないと思うんです。やっぱりその納得というのは、本当に自分が分かって、そうだと思わないと納得にならないわけですね。そのために、皆さんどうしたらいいかということのいろんなご意見を言っていらっしゃる。その一環としてこの会もあるというふうに評価します。今まで何もして来なかったんだから、そういう点では評価しますけれども、ただこれが「一応皆さんの意見を聞いた」という形でゴーサインを与える場になってはならないというふうに思います。どうするかということがあるんですね、いろいろな意見がありますけれども、今も刈田さんがおっしゃったように、チェック・アンド・バランスは非常に大事だと思うんです。例えば、テレビ討論会でもいいです、専門家同士で闘わせたらどうですか?それから全国各地でもっときめ細かくいろいろな意見を聞いたらどうですか?私は、個人的なことですけれども、検察審査会の委員というのをやった経験があるんですよ。あれは大変おもしろい。権限はあるんですけれども権力はないんですね。調査の権限というのはすごくあって、しかも選挙人名簿でランダムに選ぶから、国民の意見を非常に正直に反映します。一から勉強してやっぱり決定を下すわけで、例えばそういうシステムを考えてもいいかもしれません。すみません、長くなりました。

(木元)
 いろいろなご意見が出て、なるほどなるほどと思いつつ、地層処分の件ですが、私はニュースキャスターをやっている時に、かなり海洋投棄の話も出ていたんですよね。その流れの中で私自身も勉強して、あっ地層処分に落ち着いた、というか、こういうふうに固まっていったのは世界中がその流れに行き着いたなという感触を持ったんですけれども、そういう情報は届いてなかったというか、届きにくかった?

(河田)
 それは国民大衆にとっては全然届いてないと思います。

(木元)
 そうですか。それからもう一つ、私たちの国が今、核燃サイクルをやって、最終的に地層処分となりますけれども、そうしますと、処理しないで、再処理をしないで行った時に、1次使用だけで処分する。今各国は、この使用済み燃料、これも高レベルですけれども、それも地層処分という形を採ってますよね。

(河田)
 まあそうなるかもしれませんよ。しかし、今日本でやろうとしているようなスタイルに、仮に地層処分でもなるのかどうか、やっぱり変わって来ざるを得ないじゃないですか。

(木元)
 今さっき課長がお話しになったのとは全部同じですよね?

(河田)
 いや、僕は細部では同じと思いません。

(木元)
 でも形は向こうの方が大きいんですよね、1次使用の。

(河田)
 もちろんです。

(木元)
 それは後でご専門家にうかがいいますけれども、いずれにしてもワンススルーでも地層処分であるということでした。河田さんにまた納得する形など教えていただきたいと思いますけれども、時間がないので。佐脇さんお待たせしました。よろしくお願いします。

(佐脇)
 三重県の生活学校連絡会という活動の中で、私たちは昭和31年から省資源・省エネルギーに取り組んでまいりました。そしてその中で、最近では温暖化の問題でゴミについて、現在活動中なんです。高レベルの廃棄物というのは、ここへ出るについてちょっと勉強させてもらったんですが、全然聞かされていなかったというのが第一印象なんです。それで私の意見として三つばかり申し上げたいと思うんです。一つは安全性の問題、それから教育の問題、もう一つは情報公開です。そういう問題で少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 こういう高レベルの廃棄物の処分というのは、平成7年からということですが、私たちはそういうことはあまり聞かされていなかったんです。というのは、原子力を設置する立地条件のことばかりに力を入れて、廃棄物の処分というのは全然聞かされておりませんでした。ですから関心はありましたけれども、そういう問題はさておき、ゴミの問題というのに取り組んでいたのですが、考えてみれば、つくったら必ずゴミは出ますし、破損は来ますから、当然考えなければならないという問題だと思います。それと、やはり原子力というのは必要だと思います。しかし、その必要性を発揮するには安全性というのをはっきり知らしていただきたいと思うんです。最近の動燃の悪いニュース、盛んにニュースが悪くなってきまして、もう国民は一層不安に思っております。ああいう情報の流し方というのも一つは問題があるんじゃないかなと思っておりますが、やはり一番気になるのは、いわゆる動燃関係の方たちの上層部の方は知ってると思うんですが、下部の方への指導方法はどういうふうにやってるんだろうかなというのが一つの疑問点なんです。そして皆さんは技術の方で経験があるんですが、ただ慣れから、そういうふうなずさんな態度に出ているのがあるんじゃないかなと思うんです。ですから、そういうちょっとしたミスが大きな責任になるということを認識していただきたい。安易な気持ちで取り組んでいただいては困るということを申し上げたいと思います。それから、一般の人が知らないというのは、知らされていなかったから知らないということであって、やはりもっと教育の場でPRをしていただきたい。中学校、高校、まあ小学校でもいいですが、そういう年代の方にもっと重要性を説明していただきたい。それで大学生の中にははっきりと理解してみえる方もたくさんいらっしゃると思います。が、やはりまだまだそこまで行ってない方もありますし、もう一つ懸念するのは中高年の方、我々の年代です。そういう方が、原子力と原爆との勘違いと言うと言葉が悪いか分かりませんが、やはりそれの錯覚を起こしているということもありまして、原子力というと原爆というふうに取られる方もありますので、そういう認識を改革するようなPRをしていただきたいと思います。それから、やはり情報公開というのは、いいことも悪いこともしていただきたい。最近は悪いことだけの情報公開で、いいことは少しもしてない。ですから、ちょっとしたミスでも何でもいいですから、「今日はこの高炉が悪くなったから修理に入ります」というぐらいのことを言って下されば、皆さんは安心してできると思うんですが、大きく取り上げてああいう報道をされますと、やはり市民としては一番気になると思います。ですから、情報を公開する場合は、隠さずに、本当のことを、情報の方へ流していただきたい。それが一つです。それから、最近のように技術の進んだ日本ですので、廃棄処分と考えないで、それを何とかゼロにするような技術を考えて下さる方はいないんでしょうか?そういう方があれば、そういうふうな問題もなくなるんじゃないかなというふうに思っております。ですから、ゼロにしていただければ一番ありがたいんですが、やはり地域によっては電力の必要性、そういう格差もありますので、そういうことも考えて、情報公開をきちっとしていただくということと、それから教育の場でやはりPRをしていただく。それから安全性、どういうふうにすれば安全性が一般の市民にも分かるかということも、一つのこれPRとしてやっていただきたいと思います。電力会社の人は少し怖じ気づいているというか、勇気がないんですね。何か会話をしましても原子力の話は少しも出ないんです。ほかの電力の話だけして、水力、火力、風力の話はしますが、原子力の話はしません。遠慮することないと思うんです。自分らが正しいと思えばはっきり話をして納得していただく。そこまでやらないと、一般に知らすということは無理かと思います。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。最初ちょっと分からなかったんですが、情報がいいこと…。

(佐脇)
 いいことは少しも聞いておりませんが、悪いことは「どこそこが悪くなった」とか。

(木元)
 そういう意味ですね?

(佐脇)
 はい。

(木元)
 悪いことばっかり報道されて、いい面が報道されないという意味だったんですね。ちょっと私、そこを確認させていただきたかったんです。

(佐脇)
 ということは、「いいことはない」というふうにも取る方もありますので。

(木元)
 そういう意味ですね?

(佐脇)
 はい。

(木元)
 それと、今おっしゃった「電力の方々もっと堂々と」というのは、それは実感としておありになるわけですね?それから、教育の場での重要性というのは、これは小さい時から、例えばエネルギー全般についての非常に公正中立な知識としての教育という意味ですか?

(佐脇)
 はい、そうです。

(木元)
 ありがとうございました。放射性廃棄物をゼロにするというのか、その能力を使い切ってしまうというか、その技術について後でまたご説明、先ほどもご質問がありましたので、お話しをいただこうと思います。

(佐脇)
 お願いします。

(木元)
 では田中さん、お願いいたします。

(田中)
 田中と申します。私は名古屋大学で地球化学の教育と研究に携わっております。地球化学というのは地学の一つの分野で、岩石や水の元素の分布や同位体を用いて、いつ頃どのようにして月ができて、地球ができて、日本列島ができて、火山が噴いて、これからどういうふうになって行くんだろうかというところを研究する分野です。ここで意見を申し上げなければいけない放射性廃棄物の地層処分と直接関係している分野ではありませんが、地質時代という長い時間を考えたときの元素や同位体の挙動が研究のキーポイントになるというところに、共通点があるんじゃないかと思っております。そのようなバックグラウンドでこの基本的考え方の冊子を読ませていただきました。地層処分に関する今後の取り組みについて、二つの感想を述べさせていただきます。
 まず、実務的な面から申し上げますと−OHPをお願いします。この基本的な考え方を、より実際のフィールドに近づけた場で、より具体的な評価技術やフィールドそのものの評価、検討を進めて行くことが大事かと思います。これは放射性廃棄物と関係が今のところ全くありませんが、私どもは愛知県の東部で地面の化学環境評価に関する研究を進めています。このOHPで示した地域は愛知県ではありませんけれども、このようにたくさんの元素、資源になる元素もならない元素も、それから有害な元素も有害でない元素もたくさんありますが、何十ものたくさんの元素の分布地図をつくっております。これを地球化学図と言います。この地球化学図は、それぞれの元素が、地面の中にどのくらいの量安定に存在しているかを示すもので、地面の一般的な環境評価を目的としているものです。ですけれども、この冊子を読ませていただきまして、廃棄物処分サイトの何か評価にも使えるようにも考えます。またもう一つ、私の研究の一つとして、天然の岩石の中に含まれる放射性元素、例えばルビジウム87というのがありますけれども、400億年ぐらいの長い半減期を持っております。その壊変を利用して、岩石がいつごろつくられたかという年代を調べています。この場合、岩石の年代が古くなれば古くなるほど、岩石の中に放射性元素のルビジウム87からできたストロンチウム87というのがだんだん増えて行きます。緻密な岩石ですと、何億年という古い岩石でも、どういうところを分析しても同じ年代になります。けれども、ちょっと目に見えないほどの風化が起こってきましても、ストロンチウムが溶け出すと、そこだけ若い年代を示すようになります。もしサイトとして考えるならば、そういうところは適さないということになると思いますが、残念ながら天然の放射性元素の同位体を用いた処分サイト評価の研究はありません。これは私の専門分野の地球化学というところだけで申し上げましたけれども、地質学でも地球物理学でも、それ意外の分野でも、従来はそのような見方はされないんだけれども、放射性廃棄物の処分サイトの評価という目で見たら実はリファレンスにしなきゃいけない研究はたくさんあると思います。多様な考えを取り入れた評価技術の研究というものを、やはりこれから拡大する必要があるんじゃないかと思っております。これが一つ目のことです。二つ目は、これは考え方についてであります。いろいろお話をうかがっておりますと、処分サイトをつくる場所としては、国を単位にしても、あるいは個人を単位にしても、自分が今住んでいるところから離してつくろうというのがよりベターであろうという気持ちが心の底にあるようです。しかし、廃棄物の隔離を必要とする時間、10万年とか20万年とか言われておりますけれども、それと人間の移動速度というのを考えてみて下さい。私の祖先も数千年の昔には東南アジアにいたか、モンゴルにいたか、あるいはシベリアにいたかということは分かりません。ここにおいでになる皆様方も次の1万年の間、多分世界中の人たちと遺伝子の交換をされていると思います。そのときに廃棄物が今どこにあるかというのが、最も大事なことでしょうか。私の100代先の子孫の人たちにとっては、以前台湾が北朝鮮に保管を依頼したとされる廃棄物サイトの隣が私の子孫の自宅だった、ということも考えられるわけです。実は私はどこに捨ててもいいじゃないかということを言っているんではないんです。日本はその義務として、発展途上国を含む世界の廃棄物が適切に処分されるよう、これは手助けしなければいけないと思っております。地球は一つで、どこにあっても安全に処分されていると、これが恐らく基本ではないかと思います。それを含んだこの基本的な考え方であってほしいと思っております。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。ご専門のお立場のお話で、随分遠い時代のことのお話もうかがわせていただいたんですが、先生は地層処分を前提にして今お話をいただいたと考えてよろしいですか?

(田中)
 すべてに地層処分を前提にしているわけではありませんが、二つ目に申し上げましたことは、地層処分が前提になって、どこに処分されても安全であるようにすることが基本であるという意見で、一つ目の話は、もし地層処分を考えるのだったら、今までにある一つの考え方ではなくて、もっと広い意見を聞いてみたらどうでしょうか、多分それを進める側にとっては随分役に立つ考え方もあるんじゃないでしょうか、という言い方です。

(木元)
 その研究というのは、今いろいろ問題になって、皆様もそれぞれご意見があるわけですけれども、ある場所で研究しなければならないわけですね?岩を掘って。

(田中)
 それは必要であると思います。一つになるか複数になるか、それはたくさんの場所が恐らく必要じゃないかと思います。

(木元)
 たくさんの場所で研究しなくてはいけない?

(田中)
 その方がベターだと思います。というのは、この会場の廊下にも展示されていましたけれども、たくさんの岩石については、私もやっておりますが、一つのところですべての状況が判断できるわけではありません。それはいろいろなところでやることによりより確かなものになると思います。

(木元)
 それは「世界的な」という意味で申し上げてよろしいわけですね?

(田中)
 はい。

(木元)
 ありがとうございました。それでは続きまして、お名前が本当にわあっと思ったんですが、夏目雅子さん。よろしくお願いいたします。

(夏目)
 夏目と申します。一主婦として原子力モニターに参加しておりますので、一主婦としての経験や感想をお話しさせていただきます。先ほど佐脇さんが原爆と原子力との錯覚ということをおっしゃってましたけれども、まさに私がそうでした。あの広島の原爆資料館を見学したり、あとチェルノブイリの事故を報道で見聞きしたりして、もう何て恐ろしいものだろうと思いました。そんな怖いものをなぜ使うのかも理解に苦しんで、本当に嫌悪感だけが膨らんでいました。ですけれども、この原子力モニターに参加しまして、六ケ所村とか東海村とか見学しまして、あと講演会を聞いたりして、いろいろな知識を少しずつ得ていく中で、何かそんなに毛嫌いするばかりでなくていいんだなということが、何か形では表わせないんですが、少しずつ分かってきたような気がしました。なぜそんなふうに恐怖感を抱いてしまったかと考えてみますと、やはり子供時代から原子力に対する正しい教育を、何も受けてこなかったということに気が付きました。金澤さんとか佐脇さんもおっしゃってましたけれども、学校教育の中のカリキュラムとしてきちんと取り入れていただきたいと思います。実は小学校の教員を経験しているんですけれども、現行の教育課程のままで土曜休みが取り入れられまして、学校行事とかがどんどん削られています。原発とかそういう施設はすごく辺ぴなところにあって、遠足とかで行きたくてもとても行ける距離ではありません。身近になければ授業に取り入れることもできませんし、また今入試一辺倒の教育に偏ってしまうところもありまして、入試に出ないものは排除されてしまうんですね。教師自身も忙しいですし、こういう教育をやると思想教育と勘違いされる面もあったりします。ですから子供だけではなくて、今の大人たちもやっぱりそういう教育を受けて来なかったので、その結果が今の状況じゃないかなという気がいたします。六ケ所村でちょっと貴重な経験をしました。たまたま隣に座った方が三沢市の出身の方でした。それで「みんな電気を使いたいだけ使って、ゴミが出たらそちらへ持って行って申しわけないですね」と言ったら、その方は「地元の方は意外とそうでもないんですよ」という話をされて意外でした。農林水産業のような自然のお仕事に従事されている方々はどうしても反発されているそうですけれども、何もないところに大きな会社が来て、そこに働き口があるということ、そして人が増えて町が活性化するということで、地元の方が必ずしも反対しているんじゃないということを知って、それもちょっといい意味でショックでした。原子力がなぜ使われているかということを理解してくると、賛成か反対とか、嫌とか言っているレベルではなくて、実際に核のゴミが出ている状況では、もうこれ以上先送りできないと思います。主婦ですのでワイドショ−で例は悪いんですけれども、ゴミ出しの日が守れなくて、家の中にゴミをためて、結局それでメタンが発生して爆発して大やけどを負ってしまったという会社員のお話を聞いたことがあります。今実際に出ている核のゴミをそのままにしておけば、やっぱり危険だと思います。それを少しでも安全な形にして、技術的な方法はわかりませんけれども、一日も早く解決していただきたいと思います。以上です。

(木元)
 ありがとうございました。同感、というか正直なお話が随分出たように思いますが、学校教育で、お子さんは今何人いらっしゃるのですか?

(夏目)
 私ですか?子供はいません。

(木元)
 先生してらしたんですか?

(夏目)
 はい、そうです。

(木元)
 そのお立場から、今おっしゃって下さったんですか?

(夏目)
 そうです。

(木元)
 ありがとうございました。それでは続きまして、橋本さん。

(橋本)
 岐阜県の多治見市に住んでおりますが、橋本と申します。大変お忙しい先生方を始め、いろいろ政府のご担当の方が、このように各地をお回りいただいて、いろいろな意見を交換をされるということで、改めて敬意を表する次第でございます。また、幸い応募をいたしましたら、なかなかこういうのに当たった経験がないんですけれども、今回運よく当てていただきまして、貴重な意見を申し述べるという機会を得ましたことを、心から感謝をいたす次第でございます。私は先ほど「岐阜県の多治見市に住んでいる」と、こう申したわけですけれども、実際にはこの会場から近い名古屋の港区の出身でございまして、会社に入ってから茨城県の東海村ですとか、あるいは福井県の敦賀市ですとか、あるいは静岡県の浜岡町に長らく住んで、いわゆるそういう原子力施設に勤務した経験を持っております。その中で主に放射線防護ですとか、あるいは放射性廃棄物の処理に関します基本方針、まあ基本計画の立案ですとか、あるいは実際現場に出ていろいろ実務に従事して来たという、強いて言えば技術屋の一人ということになります。また現在は、ある医学系の大学で診療放射線学科、こう言えば皆さんお分かりと思いますが、診療放射線学科の学生を相手に、いわゆる放射性廃棄物処理論ということで、放射性廃棄物の処理および処分に関していろいろ講義をやっているという、まあ講師でもあるわけです。今日、私ごときがこの高レベル放射性廃棄物の処分懇談会でおまとめになられました基本的な考え方の案につきまして、あれこれ申し上げるというのは大変僭越ではあるんですけれども、全体としては私自身の判断から行きますと、よくおまとめをいただいているということで、この報告書に関して全く異論はないわけでございます。あとは国民の皆さんの疑問が早く解消されるように、一日も早く高レベル放射性廃棄物の処分が開始されることを望むわけでございます。本日は長年にわたりまして原子力発電施設の勤務の中で、今まで得てきました作業者との接触、あるいは地域施設周辺の住民の方々との交流を通じて得ました経験から、また先ほど言いました学生たちとの数多くのやりとりの中から得られた経験から、いわゆる今回の問題で最も重要なものの一つということかと思いますが、社会的な合意の形成、教育問題に関して、少し意見を述べさせていただきたいと、こんなように思っております。もともと先ほど言いました技術屋が、技術的な話を差し置いて、社会的な合意の形成ですとか、あるいは教育に関して意見を述べるというのは、少しおかしいという向きもあるかもしれませんが、あえてそのようにさせていただくのは、主に次の二つの理由からということになります。まずその理由の一つは、今回の高レベル放射性廃棄物の処分ということに関しましては、恐らく処分場の確保が最大の問題となるであろうということ。そのためには社会的な合意の形成ですとか、あるいは立地予定周辺の住民の皆さんを始めとした国民の皆さんの理解と協力が不可欠になる、このように考えられるわけです。先ほど申しましたように、私の経験から得られました意見がこの社会的な合意の形成、あるいは国民の皆さんの理解と協力を得るのに少しでもご参考にしていただければというのが一つ。もう一つは、このような高レベル放射性廃棄物の処分の実施に際しましては、技術的には当然安全の確保が最優先されなければならないわけですが、我が国の技術者の水準から見て、また私自身なりの判断から見ても、技術屋さんにとって安全の確保は十分に達成可能であろうというふうに思われますし、またそのように期待をするわけです。仮に困難が横たわっているとしましても、十分克服されて下さるというふうに期待をしているわけです。しかしながら、放射線に関連しました安全問題は往々にして知識が不十分であったり、あるいは誤解などから、社会的に不必要な不安感が生じやすい。こういうことから正しい知識や正確な情報の普及の必要性を痛感しているからであります。先ほども少し出てましたが、「十分な論議が必要」ということですけれども、やはり十分な論議をするには、十分な情報ですとかあるいは知識に裏づけられた論議が必要になる、このように思うわけでございます。さて、私は先ほど言いましたように、ある大学で放射性廃棄物に関する講義をいたしているわけですが、また学生は診療放射線学科の学生ということでございますので、卒業後はほとんど医療関係の検査技師となるわけです。こういう検査技師は、恐らくこの放射線の検査ということを通じて、いろいろな患者さんと接触をするということになるわけです。また、今やっていますのは三年生ということですから、大体20歳ぐらいでしょうか、理解力、判断力も深まっている時期であるということですけれども、この学生に講義を日頃やってますと、原子力発電ですとか、あるいは原子燃料サイクルといったことは、ともすると誤解をしていることが非常に多い。情報が行き届いているようにみえてかなり不足している。こういうことですので、社会に出た場合に、社会の人から見ればいわゆる医療関係者の専門家ということになるわけで、このあたりで少し大きく情報を与え、教育をしていく必要があるんじゃないかというのが一つ。それからもう一つはまず地域住民の皆さんへの対応のご参考になればということですが、日頃よく「情報公開」ということが言われますが、情報公開とともに心も開く必要があるということかと思います。分かりやすい言葉で言うのは当然ですが、説明をするまでもなく、専門的なことはお任せしますということを言っていただけることが非常に多いということで、そういうことだけでも心を開いて接すれば安心していただける、こういうことでございます。最後に、こういった国民の合意の形成は、時間がちょっと超過して恐縮ですが、政府がまず第一に先頭に立ってやっていただくと非常に効果が大きいということを身をもって実感いたしております。ぜひ政府を始め、実施主体の皆さんが一丸となってそういう合意の形成に努めていただければ幸いです。大変ありがとうございました。

(木元)
 ご体験からお話が出たと思うんですが、疑問が早く解消されるようにと、解消される方法ということで、「情報をもっと分かりやすく出せ」ということと、それから「こちら側がもっと知識を持った上で議論しなければならない」、そういうふうなことが趣旨と考えてよろしゅうございますか?

(橋本)
 はい、そういうことでございます。

(木元)
 ありがとうございました。
 それでは続きまして蓮見さん、お待たせしました。よろしくお願いいたします。

(蓮見)
 中部電力の蓮見でございます。先ほどもご紹介がありましたが、日本では原子力発電がいよいよ大きな役割を果たす時代になってまいりました。全国的には電気事業者の3分の1が原子力、中部電力、私どもの会社ではまだ4分の1でありますが、これからも大変原子力のエネルギーというのは重要な役割を果たして行くと思っております。原子力発電をする上で先ほどもお話がありましたが、日本ではリサイクル、再処理してプルトニウム、ウランは再利用するという政策を採っているわけであります。我々もそれがよろしいと思ってやっているわけですが、これは、山でせっかく掘ったウランを少しでも有効に、たくさんのエネルギーを出すということで、資源のない日本ではぜひこういうことが必要であります。再処理してできたプルトニウム、ウランを再利用しますと、その結果として高レベルの放射性廃棄物が発生してまいるわけです。これは再処理してもしなくても、再処理しない使用済み燃料というのは、やはり高レベルの廃棄物でありまして、いずれにしましても原子力をやって行きますと、高レベルの廃棄物が出て来ることになります。こういう高レベルの廃棄物は、やはり原子力発電に伴って発生したものですから、ぜひとも我々の世代の間に処理処分をしていく必要があると考えております。先ほども世代間の公平というようなお話もありましたが、私もその通りだと思います。この高レベルの処分を進める上で、やはり最も大事なことは、技術的に安全に処分できるかどうかということが一つ。それからもう一つは、そういう方式が広く国民に理解され、またそういう処分地に選定するような場合には、その地域の人たちの理解が得られるかどうか。安全に技術的に処分できるかどうかということと、そういう社会的に理解、信頼されるかどうかと、この二つが一番大事なことかと思います。そういう面で、現在安全にできるかどうかの技術開発は、動燃を中心にして国また我々電力会社もいろいろ研究開発をしているわけであります。高レベルの研究はごく最近しかやってないではないかというようなご意見も先ほどありましたけれども、日本で再処理を始めた昭和50年代の初め頃、この頃から再処理して高レベルの廃棄物が出てくるわけでありまして、その頃から我々も高レベルの廃棄物をどうするかという研究を20年余りしてきているわけであります。これは私どもだけでありませんで、動燃事業団でもやっておることであります。いずれにしましても、技術的な研究開発は、国、動力炉・核燃料開発事業団、電力−電力は特に発生者でありますから、そういう面でそれぞれ役割を持って進めなくてはいけないと思っております。それから、社会的に受け入れられるようにということで、信頼のある、あるいは理解される方法で進めなくてはいけないわけでありまして、これは先ほどから何人かの方がおっしゃっておりましたが、透明性を維持する、でありますとか、情報の公開を進める、でありますとか、また地域の方々の意見をよく吸い上げるとか、いろいろな方法が考えられているわけでありまして、そういうことでやって行かなくてはいけないと思っております。特に、この処分に関する関係で重要な問題を二つ三つ申し上げたいと思いますが、やはり実施主体をどうするかということがあります。今、2000年頃に実施主体を設立しようということで進めているわけでありますが、やはりこの実施主体がやることは、立地の選定もありますし、処分の事業は非常に長期間にわたってやるわけでありますので、長期間の継続性と言いますか、安定性と言いますか、そういうものが非常に必要であろうと思います。それから、先ほども言いましたけれども、国民から信頼されるということが第一でありますので、どういう形態のものがいいかということであります。処分懇の報告書では、民間を主体にしてというような表現になっておりますが、なかなか民間だけでそういう信頼、ご理解が得られるか、ということがあります。そういう点からしまして、実施主体のほかに我々電力会社はもちろんですが、国も大いに関わってもらって実施主体への支援をしていただかないとこういうことをやって行けないんではないかと、このように考えます。それから次は、資金の確保の問題ですが、これは現在は電気料金の中に確かに入っておりません。金額的にはそれほど大きな金額ではありませんが、やはり世代間の公平という点からも、早く制度をつくって、現在の電気料金の中で処分費を入れて処理するということが必要であろうかと思います。それから、三点目は処分地の選定でありますけれども、これは大変難しい問題だと思います。地域の皆さんのご理解を得て、こういうことをもちろん進めるわけですが、そういう点から言いまして、信頼性と言いますか、民間だけでなかなかやるのは難しかろうと思います。敷地の選定、プロセスにつきましても、国の指導、協力ということが、ぜひとも必要ではないかと思っておりますので、これを進めるにあたってもよろしくお国の方にもお願いしたいと思います。時間が来たようですので以上でございます。

(木元)
 ありがとうございました。お立場上、いろいろお話が出ましたけれども、この報告案はお読みいただいて、大体この流れでご納得なんですが、実施主体の点でもう少し国が入ってほしいと、そういうことになりますか?

(蓮見)
 そうですね、はい。

(木元)
 分かりました。それでは森村さん、長々とお待たせしました。よろしくお願いします。

(森村)
 私は、この会にとても興味を持ったのは、私の場合は、昔からレントゲンを受けると放射線障害を起こすんじゃないかと思って、そしてレントゲンとか検査とか、そういうのをとても怖いと思っていました。ところが今回事情がありまして、レントゲンで造影剤を飲んで検査をしたんですけれども、そうしたらば何か造影剤が出てこなくなってしまった感じで、それで腸が詰まってしまったような感じで苦しくなっているわけですけれども、そういうことで、高レベルだか低レベルだか分からないけれど、体の中にそういう廃棄物が詰まっちゃったような気がして困っております。それでそういうふうに、原子力というのは思わぬことがいろいろと起こるんじゃないかと思いますけれども、本当に原子力発電は避けられないのか。例えば、今中国ですごく大きな川をせき止めて、水力発電を全中国の8分の1だかどのくらいでしょうか、相当なものになると。あれだけの人口の中国に、乾いている中国に大変な水を供給するわけですけれども、例えばインドもこれからそうなってくるでしょうし、15の国に分かれたソビエトもそうなってくるでしょう。それからいろいろな島々も淡水に変えたりとかそういうことでいろんなことが行われる時代に、果たしてどうなのかなということを考えてみてからでもいいんではないかなと思うのと、それからもう一つは、原子力を行う時に廃棄物の問題を一緒に、本当に先ほどおっしゃったように、ゼロにできないかどうかを考えてから、それの一つが開発研究であったのではないか。それらを併せて、開発であって、発明であって、そしてそれを実現ができなかったのかなと、そんなふうに思います。取りとめのないお話でごめんなさい。

(木元)
 ありがとうございました。森村さん、今日軽井沢から車で来られ、ちょっと体調がよろしくなくて。私、昔から森村さんとお友達だったんだけど、あなた造影剤が詰まっちゃったの?

(森村)
 詰まっちゃった。そう。

(木元)
 造影剤ってバリウムか何かなの?

(森村)
 いえ、何か透明なニスみたいな液で、それが何か詰まっちゃって。

(木元)
 まだ詰まってるんですか?

(森村)
 まだ詰まってる感じで困っています。何か、これをお医者様にご相談したんですけれども、お医者様は「そんなことはあり得ない」とおっしゃって。私は、これはもう、何と言うか、人間が考えられる範囲以上のことなので、これは誰も治して下さることはできないんじゃないかなというふうに思っています。どうもごめんなさい。

(木元)
 いえいえ。つまり、いろんな立場の方が、この高レベル放射性廃棄物のこういう会に出て下さるということでお出ましいただいているわけなんですけど、今回の廃棄物に関する中のご意見としてはとっても短くお話が終わってしまったんですが、ゼロにできないかと、つまり原子力発電所を、社会党も一緒になってかなり前に始めちゃったんですけれども、その段階のときから、例えば廃棄物まで考えてゼロにする研究を同時に、「併せて」という言葉をお使いになったけど、併せて開発研究して原子力発電をすればよかったのにと、そういうことになりますか?

(森村)
 はい。

(木元)
 ありがとうございました。大事にして下さいね、本当に。

(森村)
 ありがとうございます。

(木元)
 大変お待たせいたしました。山内さん、よろしくお願いいたします。

(山内)
 最後の意見発表でございますが、どうぞ一つご参考にしてお聞き取り下さい。最初に申し上げますが、発言の機会を与えられ本当にありがとうございます。科学技術庁あるいは原子力委員会がもくろまれました今回の会議には、参加すべきかどうかというようなことでためらったわけでございますが、それでも今日参加いたしまして、私は真剣に訴えたいと思います。私は、学問も思想も背景も格別なものはございません。東濃鉱山の本当の近辺の一介の老住民と思っていただければ間違いございません。限られた時間で科学技術庁の意見書、その原稿から進めてまいりたいと思います。皆さんもどうぞご賢察をよろしくお願いします。
 初めに申し上げます。実際申し上げまして、深まるばかりの疑問、不信、不安を言わざるを得ませんが、この五点申し上げます。まず第一点。早くから産官学一体で高レベル放射能廃棄物処分の大方針があったわけでございます。これ調べてみればすぐ皆さんも分かります。今なお私どもの町も、多くの人はその中身が分かっていません。また、これもちょいちょい新聞に出ますが、私どもも大事な問題だけども分かっていないのは、もうすでに廃炉問題というのは出て来るでしょう。出て来つつあると思います。この問題はどうなるのか。この問題も分からないのが現状でございます。二つ目。動燃ですね、先程来いろいろ出ておりますが、功罪の功の方も言え、という話ですが、功はあまり知りません。東濃鉱山というのはウランの発掘場所として日本で二番目に出たところです。これは私のところのそばです。東濃鉱山を焦点に先ほど地図が出ていましたようです。4ku、100ku、900ku、この調査がこのごろ明るみになったわけです。どなたかさっきも話が出たように、飛行機を飛ばすとかどうとかいう話でございます。そうして1,000mのボーリング、500m、30mといろいろあるようですが、これは私が聞くところでは、今まで済んだものを入れますと1,000本近いようですが、これから130本とか100本とかいう話です。どちらにいたしましても、穴だらけの山になるということをまず念頭に置いて下さい。これらについて私どもいろいろ聞きます。当局にも問いただしました。しかし関係者らは、そんな将来埋めることはないという否定をしておりますが、それにもかかわらず、私どもは今疑いをどんどん強めております。それは第2次報告というのがやがて出されるでしょう。その時には東濃鉱山が最適だと出されると私は思うわけでございます。これ、なぜだと。これは私が一人で考えたのではございません。あなた方の報告書の中に、例えば東濃鉱山は日本でも有数な地盤安定でということを書いているじゃないですか。例示だ、例えばですね。それから、あなた方の中には、すでに研究所と処分場は一体だという内部からの情報も出ています。いずれにしてもそういうこと。三番目です。持ち込まないという、皆さんには直接関係がございませんが、四者協定というのがあります。梶原岐阜県知事、塚本土岐市長、彼らはいろいろ聞きますと、体を張って止めるんだとか、実力で止めるんだとか、勇ましい話が出ております。これも私は心配をしておるわけですが、地元対策というものがあります。こういうものの中でやがて空文化は必須であろうと言わざるを得ません。これも報告書の中で、共生事業とか、あるいは沖縄の例を一つ考えても疑わしいですね。それから日頃の言行からもこの問題は疑わざるを得ないし、そうなるに違いないと判断するわけでございます。四番目です。キャニスターとか人工バリアとか書かれていますね。こういうものの安全性と耐久性ですが、この廃棄物はいろいろな話も出て来ていますが、私もこれ全然専門は知りませんよ。専門は知りませんが、だんだん自分の命というものを考えますと、読んだりいろいろしますが、数千万年という長寿命核種を持っているということは、先生方も否定をなさらぬと思いますが、実証なき安全性は神話か幻想か?ある大科学者は「分かったことはこれだけ」と言って言葉を残したそうです。今の先生は分かったことが全部のようなことをおっしゃる。地震予知連ですね、現段階では予知できないと。これは私は勇気ある、本当に学者としての発表だと思いますが、私が不安を申し上げるのは当たり前でしょう。皆さん、いかがですか?五番目。地層処分は次世代への負担の軽減というようなことも報告書の中にいくつも書いてあります。これも、私は決してそうじゃないと思います。負担の解消の名のもとに新たな負担の押しつけではないかと思うわけです。これは断言いたします。それから、そういったことで、そこで私は提言と要望を二点申し上げます。まず第一に、ここに先生が見えます。この先生には、2年前に私は要望として言ったことがあります。非常に、もう物理的には完成したとおっしゃいましたので、私はそんな人は困ると言ったんですが、この方がどうも座長のようです。地中へのバックはエンドにあらずと、私は今言いたいのであります。結局、バックエンドという基本がございますね。そのことを言うわけです。これは私は、新たな恐怖と不安の始まりになってくると思います。これに目を背けるのではないか。ある人は言いましたよ。泥んこの手を後ろに隠す子供の姿だと。地球上で唯一の被ばく国、この日本こそ高い理想と、あえて道徳と申しますが、原子力関係者に強く望みたいものです。二番目。原子力関係の先生方、すでに十分ご存知だと思います。強固でない日本列島、こういう自然への国の危険な挑戦ではないかとさえ思います。日本国憲法成立の理念からも、あるいはこれは犯罪行動であるとさえ私は疑わざるを得ません。ゆえに原子力に携わらない学究者と広く意見交換を図り、大学に独自研究テーマ化するなど、若き学究者が自らの時代の課題とすべく、成熟するまでスケジュールとバックエンドの考え方と呼び方の撤回を要望するものです。結びとして、地層処分は有史最大のミスだ。資本を巻き込み、国を挙げ、結論を急ぐ姿は、これまた無敵日本軍誤算の歴史を思わずにはおれません。取り返しのつかない深地層廃棄は、急がず思いとどまるべく、21世紀の学問と進歩を期待し、例えば困難でもこれには書かれております。わずか5行ですが、核種分離、消滅処理など、世界の人類の誇れる研究開発で、国家の総力と科学の総力を結集すべきで、それまでは地上で分散、永久管理すべきである。例え労力、それに費用がいくらかかろうとも、臭い物に蓋であってはならないと私は思います。時間まだありますか?

(木元)
 さっきから超過しているんですが。

(山内)
 もうちょっと言いたいことあったけど。後でいいです。また機会があったら。

(木元)
 いろいろとご意見が出ましてちょっと時間が超過ぎみです。ですけれども、それでもまだ十分ではないと思いますが、これから10分間休憩をいただきます。今のご議論の中でご質問がありましたので、鈴木先生、どうもお名指しのようですので、鈴木先生のお答えの方から始めさせていただきたいと思いますが、では10分間休憩いたします。ありがとうございます。


<休 憩>


(木元)
 時間になりました。お揃いでいらっしゃいますでしょうか。始めさせていただきたいと思います。この休憩の時間にも、ここの中でいろいろな意見交換会がありましたことも大変成果があったと私は思いました。今いろいろ両側におります高レベル放射性廃棄物の委員の方たちのお話を聞いていて、ちょっと言いたいことがあるという方も二、三人いらっしゃいますけれども、鈴木先生にお答えいただく前に、一番遠くにお座りの松田さん、ご意見、お考えがおありのようで、そこから始めていただきたいんですけど、よろしいですか?

(松田)
 私、こういう会で発言するのが初めてでございますので、ちょっと緊張しておりますけれども、私の方から、私の考え方は正しいかどうかを、飯田先生と井上先生と大泉先生の方にちょっとお尋ねしてみたいと思います。私はこれまで一般ゴミや産業廃棄物の政策づくりに委員としてかかわってきました。その観点から私の考えを述べさせていただきたいと思います。先ほどの先生方のお話を聞きながら、長い間活動に取組まれた理論派の先生方のお話に全く共感でございます。そしてこれは、私の立場から見てみますと、原子力政策だけでなくて日本全体の政策にもかかわることだと思っています。残念ながら日本の中で現在まで欠けてきたことが、トータルの中でものを考えて、その中で結論を出して行くということをせず、いつも政策が対症療法になってきたことです。廃棄物の政策そのものも対症療法になってきたところに原因があると思っています。私は廃棄物の分野からこの原子力の分野に入ったわけですけれども、まずびっくりしたことは、原子力の高レベル廃棄物に対する予算が全くゼロであったということなんです。これはびっくりしました。だから、先ほど何人かの方が、国民は知らなかった、とおっしゃいますが、これは知らないのが当然であって、知らせるためのその予算がなかったからです。もちろん少しパンフレットは出ていましたけれども、そのパンフレットというのは、これはつけ焼き刃的なパンフレットであって、オーソライズされたパンフレットは予算がなかったからできなかったわけです。国民に理解を得ていく方法について何をしなければならないかを考え途方に暮れた私は、とにかく先進国だと言われるヨーロッパを見てみようと思いまして、自分のお金でスウェーデンとスイス、それからアメリカとカナダを約1カ月ぐらい回って見てまいりました。その中で感じたことは、よその国は原子力政策が始まったときから、廃棄物は出るものだ、ということでお金を積み上げているんです。そのお金が何百億円にもなっていて、そのお金で啓発活動をしながら、そのお金で研究開発をしていました。日本のこの委員会の委員になって気付いたことは、日本の原子力の技術者は優秀です、けれども予算がないから十分に活かされてないこと、それから国民はあまりにも無関心であり過ぎること。先ほどの3名のご立派な先生方のような方たちというのは、日本の中で0.01%もいないと思います。0.1%で12万人ですから、そんなにいないんです。それと私、各国回ってきて現場を見て思ったことは、素人かもしれませんが、管理をしていけばものすごく管理のお金はかかるけれども、英知を使っていけば管理していくことによって安心はできると思いました。管理しないで放っておくよりは管理した方が安心ができる、基金づくりは急がなければいけない、という結論に達したんです。それは、0.01%ぐらいの人しか原子力について関心がない中で、研究施設もないのに「安心しろ」と国民に言っても無理です。スウェーデンの場合だったら、700万の人口なのに一年間に3万人から4万人が現場に行って見て、そしてチェックしてます。国民がチェックしてます。研究施設がないと無理です。それも地層処分の400m掘った本格的なものがないと国民は納得できません。そのためにはお金がないといけないんです。私がこの答申の中でどこに力を注いだかというと、まず研究施設のための技術開発。本物の研究施設をつくって、どれだけお金がかかっていいのか、それを企業、電力会社の方たちと一緒に国がつくって、国民を安心させてほしいということと、あとは政策というのは積み上げ方式でないと解決できません。総論をいくら言い合っていてもだめです。一般ごみの廃棄物政策のとき、最初私たちは清掃工場の反対運動からスタートしました。そして、勉強していくうちに、やっぱり発生源から少なくしなきゃだめだというところへきて、やっとここで法律が四つできました。一歩一歩積み上げてきました。現在の高レベルというのは、あのゴミ問題よりももっともっと人々の関心の低いところからのスタートです。ですから、先生方にお知恵を借りたいんです。私のこの考え方、積み上げて政策をつくっていく中で、チェックをきちっと国民がやっていきながら政策をある程度バックアップしていく、という考え方は間違いでしょうか?以上です。

(木元)
 お三人のどなたかにお答えいただき、意見交換ですね、はい。

(松田)
 最初は、飯田先生と井上先生と大泉先生です。

(木元)
 大泉先生からお手が挙がりましたね。

(大泉)
 先生ではないですけど。

(松田)
 教えて下さい。

(大泉)
 今おっしゃったのを聞くと、ここで処分の研究をする、というか、研究所をつくるというのは、またまたつけ焼き刃という感じがしますね、これを急げば。

(松田)
 いいえ、そうじゃないんです。もう一つ言い忘れました。もう一つ言い忘れたのは、私自身がいわゆる先ほど原子力モニターの方がおっしゃったように、原発と原子力と区別がつかないくらいの人間でした。けれども、現場に行ったことによってきちんと分かりかけています。今はまだ勉強中です。だから、委員会の中では闘いの連続です。けれども、勉強し続けて行けば分かるんだということも分かりました。だからあきらめていません。そういう意味では、先生方もボランティアがお金を出し合って、大泉さんもご一緒にスウェーデンに行って見ていただきたいと思うの。

(大泉)
 スウェーデンは行ったことないですけれども、皆さんスウェーデンは2010年に原発は全廃するということを国会で決めているんです。日本は、全廃すると決めて処分の問題とか考えるんじゃなくて、ずっと出し続けるのをやめないで、それで処分の問題を研究するという。スウェーデンと同じふうに日本は考えたらまずいと思います。

(松田)
 違うの、違うの。私が申し上げたいことをよく聞いていただきたいんだけども、政策をつくるときに、つくっていくときのつくり方というのがあるんですけれども、本質の議論はきちっとやらなきゃいけないです。原発のテーマではやめるかやめないかという議論のところもありますけれども、今出てくる廃棄物を放っておいたらもっと危険だ、という分野もあります。この二つの分野をごちゃまぜに議論するというのは危ないですよ、ということなんですよ。だから、どっちもやらなきゃいけない、真剣にやらなきゃいけない。どっちもやりましょう。

(大泉)
 もちろん真剣にやらなきゃいけないし、今こうやって困っているから、困った結果こういうことで僕なんかにまで意見を言ってくれなんていう状態になったわけですよ。もっともそれは30年前にやるべきことだったんです。それをやらないでずっとやってきて、今こういう状態になって、それでまた今、先に研究所をつくるというのを決めちゃってから、そしてこういう会議を開くというのは、筋違いですよ。

(松田)
 違うの。この答申の中で、研究所をつくるというのはお金がかかることだから、みんなの意見を集約させて委員会の中でやっとここまで積み上げてきたの。それをつくらなくていいという議論だと、これはまたもっとおかしくなっちゃう。

(井上)
 意見があるんです。

(松田)
 どうぞ。ごめんなさい。

(井上)
 今のことですけれども、私たちが問題にしているのは、研究所が処分場につながるということを危惧しているわけです。それは、事実私がこの資料で示しましたように、国民に幅広く意見を聞くということをやっている過程に、処分場の区画と全く同じものが、実際に人が住んでいるところに地図が引かれているわけです。これは住民や議会には知らされてないんです。そういう信用とかがなければ、この事業はできないんです。高レベル放射性廃棄物というのは猛毒なわけです。数千年から1万年、その毒性が続くわけですね。そのことをやるためには、諸外国に遅れていると言われますけれども、遅れているのは施設じゃなくて、そういう信用のあること、すなわちオープンであること、オネストであること、クラリティーであること、そのすべてにおいて、日本のこの研究開発をしている動燃事業団は、それと正反対のことをしているということを、私は言っているわけです。

(木元)
 松田さん。

(井上)
 それを学んで下さい。施設じゃないんですよ、問題は。

(松田)
 私ばっかりしゃべっていけないから。

(木元)
 ちょっと粟屋さんがおっしゃりたい。

(松田)
 お任せします。

(木元)
 今に関連して。

(粟屋)
 今の問題に関しまして、私自身多少混乱しております。それで今の問題に関して、動燃の方なり関係者なりがいらっしゃるのでしたならば、この段階でちょっとご説明いただきたいと思っています。私は非常に基礎的な原子核とか原子の研究をしてまいりました。それは、いわゆる原子力というエンジニアリングのファクターの入る以前の基礎研究です。今はその経験を生かして美術大学で物理や自然科学系の講義をしています。それはさておきまして、私どもが処分懇談会で議論してきたことと言いますのは、バックエンド専門部会の方が結論として出した一つの処分法がある、これが最高のものであると今現在は考えられる、だからそれをベースにして、これから先それをどういうふうに進めて行くか、そして社会的に皆さんの合意をどうやって得るか、ということだったと私は思います。そのための地下の研究施設をつくることや、そこでの処分のための一層の研究が進められることも必要ですし、経済的な準備も必要です。ですからそういうことに関しても議論しました。私は現在の東濃の研究所を一度拝見したことがあります。でもあの研究所でこの地下処分についての十分な研究をすることはできない、これまでに見たスウェーデンやスイスの研究施設とはレベルもスケールも違っていると理解しています。それなのに、その処分地そのものが非常に現実的になるのではないかという、そういうご意見がいくつか出たんですね。そのようなことを前提にして処分懇談会は議論してきたのでは決してないので、非常に現実味を帯びてここで話しをされますと非常に困ります。

(井上)
 いやいや、だからその前に、動燃事業団の方が見えるわけですから、説明してもらったらいいでしょう。

(粟屋)
 だから、この時点で説明してもらうことを提案します。

(木元)
 ちゃんと来ていただいておりますので、ご説明いただきます。

(会場からの発言「勘違いされているんですけれども、研究所はまだできてないんです。」 に対して)

(粟屋)
 できていません。「違うレベルのものだと認識している」と言ったのはそういうことです。

(木元)
 そういうことですね。だから、「諸外国でやっているのとスケールも内容も違う」と、そういうご発言です。それで動燃へのご質問が随分ありましたので、木村所長でいらっしゃいますか、恐縮ですが。マイクがこっち側を向いています。あちらの方を向いてか、半身ぐらいになって、すみませんが。

(木村)
 動燃事業団東濃地科学センターの木村でございます。先ほど地域参加者の方からこのような資料をお配りになられました。これに基づきまして、私どもがどのような仕事を今やらせていただいているか、かいつまんで申し上げさせていただきます。この資料、右上をごらん下さい。1ページ目です。右上。平成9年5月と書かれてございます。これは私どもが、ここにタイトルにありますように、広域地下水流動研究、これに関しまして、今までどの程度進んできたのか、今年9年度はどんなことをやるのかということを、地元の方を始めとしまして、関係者の方にご説明するためにつくった資料で、これを用いてご説明しております。この中に、まず私ども東濃地科学センターでやっております仕事は何かということが書かれてございます。左側の1行目の終わりから2行目でございますが、地層処分研究開発の基盤となる深部地質環境の科学的研究、題しまして地層科学と呼んでおりますが、処分技術の基盤になります深部の地質環境を研究すると、このような仕事でございます。これは目的としますと、いわば日本全国で通用しますようなモデルをつくり上げようと、このようなことを目的としております。細かいことは割愛させていただきますが、9年度はそのために、右側のページをごらん下さい、主なものとして以下を予定しております、とこう書いてございます。一番目、30km四方の領域を対象にしまして、飛行機を飛ばしまして磁気を調べる。こういうことで地下の構造が分かります。ただ非常に荒っぽい分かり方でございます。それをやった後、二番目でございます。10km四方の領域を対象としていくつかやることになってございますが、その中の@ヘリコプターによる空中物理探査、これをやろうとしておりました。ただ、これをやるのもヘリコプターの高さ、これがどのぐらいがいいのかとか、飛ぶ間隔でございますね、100mおきがいいのか200mおきがいいのか300mおきがいいのかとか、それから飛行の方向でございます、東西方向がいいのか、はたまた南北方向がよくこの地域の地下が分かるかと、こういうことを調べるために、予備的に調査しようということで、ここは10km四方と書いてございますが、予備的には2.5q×1.6q。このエリアを先ほど申し上げましたように、高度を変えるだとか、方向を変えるだとか、こういうことで飛行してデータを調べようと。得たデータでもって10q×10qの領域を一番合理的に調査する、こういうことを目的としていたわけでございます。しかしよく考えてみますと、2.5km×1.6kmというのは、確かに掛け算してみますと4kuでございます。今日の資料にもございますように、処分場の一例ということで2km×2km、4kuというのと、2.7km×2.7km、7ku、この二つのケースが、本日の資料にも書いてございます。そのうちの2km×2km、4kuと同じではないかと、こんなご意見があったわけでございますが、私ども決して処分場探しなんかをやっているわけじゃございませんで、地層科学研究の一つとして広域地下水流動研究、これをやろうとして、一部やってございます。これは平成4年度から広域地下水流動研究をやっているわけでございますが、そのような関係にございます。以上でございます。

(井上)
 いいですか?今の回答について。私が聞いているのは、実際にこの超深地層研究所とは別に、広域地下水流動研究の現状と平成9年度の予定というのは出ているわけですね。皆さんが言われる研究所の計画ではないんです、これは。その中に、実際に4kuという中心が実際の地図上で、ここは人が住んでいるところです。そこで行おうとしたわけです。これは言われなかったんですけれども、土岐市の議会の人にも、瑞浪の議会の人にも、この地域は河合地区といいますけれども、河合地区の人にも、月吉の人にも、この地図は全く明らかにしてないんですよ。それでその調査をしようというのが、あなたたちはよく言われるけれども、情報公開とか言われますけれども、情報公開に全くなってないわけです。住民がこの区画を見れば、あなたたちがたまたま4kuみたいになったと言われますけれども、そんなたまたまなることはないんですよ。4kuを選ぶには、もう無限大の数字の中から、あなたたちは4kuを選んでいるわけですから、ここには間違いなく処分場区画を設定したとしか考えられないわけです。さらに、その周りに10km×10km、これは100kuですよ。膨大な地域ですよ。その周りにさらに900kuですよ。こんな中に位置づけているのは、バックエンド専門部会が出したガラス固化体を埋めた時に、その周辺に、ニアフィールドにどういう影響が出るか、精緻に調べなければならないというふうに、バックエンド専門部会は4月15日に出しています。そのことを実際の処分場区画をつくってやろうとして、それも住民に本当はこの資料は出なかったわけです。これは良心がある人がいたから、この資料が出たわけです。初めて私たちも手に入れることができたんです。誰もあなたたちは、全くこのことは何も明らかにしないままやろうとしたんですよ。それを本当に良心がある人たちが、この地図を出したんですよ。そこのところをよく考えて、今の所長さんの答えでは、たまたま4kuになったというふうなことぐらいで、ここの地図上に落とされた住民たちは生活しているわけです。あなたたちは高レベル放射性廃棄物の中核推進機関でしょう。それが本当に信用ある態度ですか?スウェーデンの態度ですか?そのことを私は言いたい。

(木元)
 もう一度すみませんがお願いできますか。やはりご疑念がたくさんあおりになるようです。

(木村)
 続けます。先ほど900ku、100kuと、こんなお話ございました。その下には住民も住んでいる。もちろんのことでございます。私ども900kuと申しましょうか、30km四方、それから10km四方、これを決めましたのは、広域地下水流動の一つの単位と申しましょうか、これが東濃地域ではいくつかの断層で囲まれている地域がございます。この断層で囲まれて、いわば独立している地域が30km×30kmでございます。それからもう少しセンターに寄りますと、地下水自体はこれまでの知見からおおよそ10km×10kmのところで一つの地下水の流動系統をなしていると、こういうことから10km×10kmと、こうしているわけでございます。もちろん住んでいらっしゃる方、いらっしゃいます。したがって、住んでいらっしゃる方の土地に入っていろいろ調べさせていただく、こういう時には事前にそのようなご説明をして、ご了解を得てからやっているわけでございます。

(山内)
 地元の住民に先にそれをやらなきゃいけないんだよ。

(木村)
 もちろん地元の住民にもやってございます。

(山内)
 知らんよ。だから、協議会でね、特別委員会も開いておるよ。

(木村)
 嘘ついておりません。隠しておりません。

(井上)
 どうして出さなかったんですか、この資料を。

(木元)
 ちょっとお待ち下さい。会場からのご発言がありますと、なかなか当事者のご発言が聞こえません。今、こちらからのご質問に答えています。

(木村)
 続けます。先ほどの、例えば30km四方の調査をやるにあたりましては、これは非常に多くの地域が関係いたします。私、自治体の名称を個別で列挙するつもりはございませんが、この30kmの上空をセスナが飛ぶということに関しまして、きちんと各自治体にご説明してございます。10kmになりますと、自治体に加えていわゆる公共施設もございます。それから市当局もございます。そういうところにももちろんご説明して、ご理解を得ているというところでございます。

(木元)
 ありがとうございました。

(井上)
 私が聞いているのは、4kuというのをどういう根拠で出しているかと聞いたことに、何も答えていませんよ。

(木元)
 その根拠。会場からのご発言は、すみませんが、こちらからのご質疑とダブる場合には黙っていて下さい。

(木村)
 4kuのご質問にお答えいたします。先ほどの繰り返しになりますが、私ども本調査においては10km×10km、これを調査しようと考えております。ただ調査するにも、高さ、ヘリコプターの高さ、これが何mで飛べば一番いいのか。それから飛行間隔、何mおきがいいのか。それからさらに方向、これらを最適に選ぶ必要がございます。それと、それで飛んで得たデータが本当に実態と合っているかどうか、これを照合する必要がございます。私ども東濃鉱山近くには、過去数十年ウラン探査等を通じまして、いろんなデータを持ってございます。それらのデータのある範囲と合わせるためには、おおよそ2.5km×1.6kmぐらいがいいだろうと。ただ縦横ちょっと寸法が違っておりますが、それはなるべく低いところを飛ぶ場合もございますので、可能ならば騒音の迷惑をおかけしないようにというようなことで、1.6kmと幅を狭めたというところでございます。したがいまして、最適な本調査における飛行の条件と、それから裏づけとなります現実のデータ、これの照合できるところということで選んでいるわけです。

(粟屋)
 ちょっとよろしいですか?

(木元)
 ちょっと待って下さい。「ちょっとよろしいですか」ということですが…。

(河田)
 さっきから手を挙げているんですが。

(木元)
 ちょっと待って下さい。今のご議論の中で私も把握できない部分が若干あるんですね。それを整理させていただいていいですか。粟屋さんが今整理して下さるわけね?

(粟屋)
 整理と言いますか…、私が説明をお願いした点をこのように理解してよろしいのですか?今ある地下の研究所で何がしかのデータをお取りになった。それは地下200mか150mの深さに対応する。そのデータを裏打ちするためにはある面積の水流、水脈とかのデータをもとに議論しなくてはいけない。それを実際の地下探査をしないでも、例えば地盤の地質などを測定することによって推定することで得ようとなさった。そういう意味でしょうか?

(木村)
 今ので大体は正しいのでございますが、ちょっと違いますのは、ヘリコプターで調査しようと、調査するために、単にヘリコプターを飛ばしてデータだけ得ても、実態がどうなっているのかというのと照合がつかないと、あまり意味がないわけでございます。いわばデータの確度の問題と申しましょうか。そのためには、すでにボーリングをやっているだとか、いろんなデータを持っているとか。

(粟屋)
 そのデータを持っているところを飛んだということですか?

(木村)
 そういうところをチェックして初めて、例えば値としてこう出れば地下はこうなっているんだなと分かると、そんな目的でございます。

(木元)
 そのために、そういうさっきのような数値の指定をなさったと?

(井上)
 それでどうして4kuになるんですか?4kuにどうしてそれがなるんですか?

(粟屋)
 偶然の一致にように思われますが。

(井上)
 そんな偶然の一致なんてあり得ません。このことについては一つ言いますけれども、現地の瑞浪市議会の特別委員会に動燃さんが持って行った資料には、この賤洞の2.5km×1.6kmの資料は持って行ってないんですよ。あなたたちはわざわざ外して。だからこの図を見て下さい。私がつくった資料の3枚目の地図の真ん中に円形があるわけです。その周りに10km四方があって、30km四方があって、この真ん中の円形が中心だということは誰の目にも明らかなんです。ここに瑞浪市月吉側には、超深地層研究所がつくられる予定なんですよね。今度の企画はこの左側なんですよ。土岐市側ですよ。それに4kuがたまたま合致したというよりも、あなたたちがここを一番しっかり、東濃鉱山を中心にして調べてきたところなんですよ。だから、そこを中心に、そこに処分場区画を設定していて、その周りに10km四方、30km四方という膨大な広域地下水流動の名目のもとに、地下調査をしようとしたのであって、たまたま4kuになったわけじゃないんですよ。具体的なあなたたちのこの間の活動を考えてみなさいよ。そのことを反映しているじゃないですか。それと、こういうことをあなたはみんなに知らせてきたみたいに言われますけど、嘘ですよ。土岐の議会に知らせましたか?土岐の特別委員会、わざわざあるんですよ。瑞浪の人にも知らせましたか?

(木元)
 今河田さんにもうかがいたいと思うんですが、ちょっと待っていらっしゃっていてすみませんでした。河田さん、ご発言いただけますか?

(木村)
 いいんですか、今のことは。

(木元)
 今のお答え、なさいますか?

(木村)
 議会にご説明したかというお話がございますが、まず議会に関しましては、私どものこの資料そのものではございません。それはなぜかといいますと、議会の議題が超深地層研究所の事業計画ということでしたために、今回の広域地下水流動研究は別な議題だろうということでやっておりません。それは事実でございます。いや、報告するつもりではございません。

(木元)
 会場、すみません、黙っていただけますか?ちょっとご説明を続けさせていただきます。

(木村)
 したがいまして、私ども、議会にダイレクトに報告することができませんので、執行部を経由してご判断をお願いして、それでこれらは必要だと言われるものだけ報告していると、こういうことでございます。

(木元)
 河田さん、お待たせしました。

(河田)
 今の議論は非常に重大な問題があると思うのですけれども、まず第一に、地元の方がなぜこのことを問題にされるかということを恐らく皆さんは分かっていない。私なりの理解で申しますと、まず一番の問題は、地元の方々は高レベル廃棄物に関して、これを地層処分しても大丈夫だというふうには誰も思っていないということなんです。そういうことの理解が得られていないということがまず第一。だから、先ほど松田さんがおっしゃるように、政策はきちっと積み上げていかなければならないと、これはその通りです。だから今後、今ある高レベル廃棄物をどうするかということを考えた場合に、研究は絶対必要です。必要ですよ。しかし、地元の人たちが心配するのは、超深地層研究所をつくることがそのまま高レベル廃棄物処分場に移行してしまうんじゃないかという、その心配があるからです。これはまだ解けていないと思います。科技庁だって解けていない。地元の方がどうやったらそれを納得するのか。絶対に研究所しかつくらぬと、高レベルは絶対に持ってこないと誰が保証するのか。それを地元の人たちが納得すれば、僕は研究所そのものは反対されないんじゃないかと思います。にもかかわらず、そういう状況にありながら、動燃はこういう地図なんかで見る限り、研究所のためと言いながら、限りなく処分場建設のために必要な調査をやっているわけです。それがますます不信を呼ぶ。

(木元)
 やっているというか、やっているように見えてしまうわけですね。

(河田)
 当然ですよ。だってそうでしょう?だから、ますます最初の疑いというのは実感として持たれる、これは当然じゃないですか。だから、この懇談会が我々の責任で、あの地域にはやれませんと、僕はそんなこと信用できませんけれども、仮に言って、絶対責任を持つという人がいれば、それは納得する人がいるかもしれませんけれども、それは国がそう言えばということですけれどもね。ただ動燃も科技庁もつくらない、それは動燃の敷地内にはつくらぬというふうにおっしゃるんですよ。動燃の敷地内にはつくらぬと。だけど、今の調査範囲は敷地をはるかにはるかに越えているわけです。そこが問題です。

(木元)
 その辺のことをはっきりさせた方がいいと思うので、ご発言をいただきたいと思うんですが、その前に森村さん、さっき短い時間でご発言をいただいて、今、ずっと手が挙がっているのですが、待っていただけますか?

(飯田)
 ちょっとすみません。議事に関する提案ですけれども、その問題に関しては、フロアからの発言というのは後の予定ですけれども、この問題に関してはやはりある時間限って、フロアからも一、二受けて議論をすべきじゃないかと思います。あとパネラー同士の議論もありますけれども…。

(木元)
 フロアの人は後でとらせていただきたいのです。これは代表としてね。

(飯田)
 規則としてそうはなっていますけれども、私、質問受けていますから発言はしたいんですけれども、ここで発言をしてはしようがないし、後でいずれにしてもフロアからこの問題が出て来ちゃうと思うのです。だから、そういう点から言えば、臨時にこの問題に限ってフロアから二、三の発言も聞いて、あるいは向こうの方の発言も聞いて、このことをここでまとめて議論することを提案したい。

(木元)
 今河田さんがいいことをおっしゃって下さったのは、基本的に処分場がここに来てしまうんではないかという懸念といいますか、疑問といいますか、疑いがどうしてもぬぐい切れないし、そしてもう一つは、地層処分というのは怖いんだと、嫌なんだというのが根底にあって、地層処分に対する知識というか、理解というか、それは形成されていないと、そういうことがあったんですよね。だから、それをベースにきちんとお話しして、今までのこっち側、東濃のここのところと現地と動燃がどうこうやったというのは、後にさせていただいて、今のお話のことを基本にして少し進めます。
 森村さん、お手が挙がっていたのですが。

(森村)
 私、貴重な時間があと40分だと思うんですけれども、せっかく皆さんこんな非常に純粋にお話をなさっているんですから、本音でお話しなさっていいんじゃないかと思うんです。ですから、あちらにいらして、そこでお話しなさったお立場上、本当のことは言えないという立場の方なのかもしれないけれども、でもやっぱり本音で言ってしまった方がいいんじゃないかと思うんです。

(木元)
 ありがとうございます。本音でおっしゃっているんだろうと私は思ったんですが、坪谷さん、何かおっしゃいますか?今の。一言だけ。

(坪谷)
 動燃事業団の坪谷と申します。このような貴重な時間をちょっと頂戴させていただきます。
まず、先程来いろいろ出ております通り、動燃を信用できないというお話もあり、私、たびたびの動燃事業団の不祥事について大変皆様方にご心配もおかけし、かつご不信もいただいていることをまずお詫びを申し上げなければなりません。大変申しわけございません。また、先ほど本音をしゃべれとおっしゃいました。私、ここにいらっしゃる何人もの方たちと日頃お会いしたりすることも、ままございます。また2時間ぐらい、そこにいらっしゃる河田さんともプレスの眼前で討論会をやらせていただいたこともございます。私は常に本音を申し上げているつもりでございますが、なかなかご信頼いただけないと思います。一言申し上げますと、私どもが先ほどご指摘の広域地下水流動研究とか、あるいは東濃鉱山を使ってやる研究、あそこの一体は月吉鉱床と呼んでいる鉱床でございます。皆様方がその上にも住んでいらっしゃいます。月吉鉱床をご案内の方もいらっしゃると思いますが、1,000万年前、人類が生まれる前からあそこに鉱床があるということが私どもの研究で分かっておりますが、その月吉鉱床には廃棄物を持ち込まないということが、土岐市及び瑞浪市に以前からお約束をしております。改めて超深地層研究所をつくる時に、先ほどもございましたような四者のお約束の中で、廃棄物は持ち込まない、あるいは処分場にもしないということを申し上げました。

(河田)
 何遍も言いますけれども、動燃の敷地内にはちゃんとただし書きがあるじゃないですか?調査も動燃の敷地内でやったらどうですか?

(坪谷)
 先ほど申しました月吉鉱床に廃棄物を持ち込まないというお約束は、動燃の敷地も含んで月吉鉱床で私どもがやります研究は持ち込まないと申し上げました。

(井上)
 あなた嘘ですよ。それは、「研究所については」というふうにちゃんと協定書には書かれていますよ。15ヘクタールだけですよ。

(木元)
 皆さん、いっぺんにおっしゃらないで下さい。
「書いてない」、「書いてある」ということなんですけれども。

(河田)
 月吉鉱床とは書いてないと思います。研究所には持ち込まないと書いてあります。

(山内)
 持って来るかもしれぬと言ってみなさいや。そうしたら…。

(木元)
 ちょっと待って下さい。坪谷さんお続け下さい。

(坪谷)
 先ほど申しました通り、協定書は協定書で約束をさせていただきました。昭和の年代から、私どもが土岐市および瑞浪市に差し出しております文書でございます。

(木元)
 今のご説明で不十分とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、今の件に関連して、バックエンド専門部会のお二人の先生がいらっしゃっているのですが、徳山先生、今ずっとお聞きになっていらっしゃったのですが、動燃は信用できないということから始まって。

(徳山)
 それは信用できないと、初めから頭から思っておられる方に信用しろと言ってもなかなか難しいのかもしれないのですけれども。それで先ほどからのご意見の中に、バックエンド専門部会の報告書の中に書いてある7ページですか、ナチュラルアナログ研究というのがありまして、その中に動燃東濃のところでは、今さっき坪谷さんがおっしゃったように「1,000万年以前に形成された東濃ウラン鉱床では」ということを、例にして書いたんですね。そうしたら、先ほどのどなたかのご発言の中にも、それが唯一のことじゃないかと、だからそれはそういうふうに狙っているんだろうというお話があって、それから今ここでいただいた「ふるさと東濃で何が起こっているの」というこの冊子の中にもそれが引用してあって、だからこれは怪しいといった、そういうようなお考えの部分があるものですから、そこのことについてちょっとご説明をさせていただきたいと思うんです。ここは何を書いたかと言いますと、実は日本の地層の、日本と言わなくても、要するに、地層、岩石というものは非常に安定なものである、ということの説明としてこういう例を出したわけです。日本の大概のところで言いますと、大体500万年ぐらい前から今までほとんど変わってないわけです。だから、ある意味で言うと、どこでもそういうところには埋める候補となり得るわけなんですが、私どもがこの報告書で言っている話は、例えば、断層という問題があります、断層ではどれだけのところをどういうことを避けていけばよいのか。あるいは地震のことも先ほどお話がありました。地震ということについては、この処分場というのをつくった場合にどういう影響を与えるのか、どういうことを避ければいいのか、そういうことから解き起こしていけばよいと言っているわけです。だから、そういうことで、この条件を外しましょう、ここを外しましょうと言っていけば、そうすればそれ以外のところは全部候補地となり得るわけですね。その意味で言いますと、先ほどいただいた資料にも、東濃のあれは活断層の密集地帯だというようなことも書いてございますけれども、そういう活断層の密集地帯の中で今までずっと保たれてきているんですよ、ということがナチュラルアナログということの意味だと言っているわけです。ですから、それはどういうことかと言うと、ほかのところで、例えば唯一の例として言っているじゃないかというふうにおっしゃるんですが、日本にはウラン鉱床が二つありまして、岡山県の人形峠もあります。岡山県の人形峠もほとんど同じようにしてできているんですが、東濃のものに比べますと約500万年ぐらい新しいものです。状態はほとんど同じようになっています。ところが人形峠の場合には、ちょうど東濃のように活断層密集地帯ではないから、過去にそういう地震の振動というものには見舞われていない。そうすると、ナチュラルアナログという例で言えば、こういうようないろんなイベントを受けてきている、それでも安定なんですよ、ということが言いたいわけで、そうでなければそうでないところの方がもっと安全だということです。ですから、東濃のところよりはもっと安全なところはいっぱいありますよ、というふうに解釈していただければ。

(木元)
 井上さんが集中的に代表してということで、井上さんに発言をお願いいたします。

(井上)
 藤家さん、僕が聞いている問題をそらさないで下さい。私はこの資料を出しているんですよ。藤家さん、あなたはこの資料について…。

(木元)
 今のは徳山先生です。

(井上)
 この資料の地図に具体的に落とされていることについて、今何も答えられていないわけですけれども。いいですか?今国民は、高レベル放射性廃棄物についてもっと知りたいし、その処分について真剣に考えようとしてこう議論しているわけですよ。そうでしょう?その時に、こういう形で処分区画と同じような面積で仕切ることがその信頼に応えることですか?あなたもこの意見交換会を何回も各地でやられているわけですよね。そういう立場にみえるならば、こういうその最中にこういう区画をつくって、どういうんですか、実施主体をつくってから候補地を選んで予定地をやるというようなことを話している中に、こんなことをやることは全くふざけているから、動燃、もうこの調査をやめろ、と、外せ、とそう言って下さいよ。

(徳山)
 私はそうは思いません。これは処分場にするための調査じゃないんですよ。

(井上)
 じゃあ、どうして4kuの区画が区切られているんですか?たまたまですか?

(徳山)
 私は、それはたまたまだと思いますよ。

(井上)
 たまたまなんかでそんなになりませんよ。

(徳山)
 そう思い込まないで下さい。例えばこの図にあるように、これからやる深地層研究所というのは真ん中に丸で描いてありますね。その周りに10kmあると、こういうふうな図が描いてありますね。それで、これは素直に今の所長さんが言われた、要するに全国レベルに通用する調査の仕方を調べるんだというふうに考えていただいていいと思うんです。それはどういうことかと言いますと、これから本当にどこに処分場を選定するかは別として、まず処分場というものをつくる時には、先ほどどなたかが言ったけれども、穴をたくさん空けちゃったというんだけど、たくさん空けてしまったら処分場にならないんですよ。そうすると、いろいろな、なるべく外から触れないような形で、どういうふうにしたら地下の条件が分かるかということの調査をするわけなんです。そうすると、今度の深地層研究所というものも、説明にも書いてあると思いますけれども、そういうことのモデルとしてまずは地表から調査をするんだ、と。それから何本かのボーリングをずっと掘ってみて、それが正しかったかどうかということを立証しようと言っているんです。そうしないと調査ができないんです。だから、今こういうふうに先ほどの東濃の所長さんがご説明になったように、今こうやってやっている地下水流動研究も同じなんです。地下水流動研究も、今までやっているところはせいぜい200mとかそのくらいまでなんです。500mとか1,000mというレベルの地下水がどういうものかということは、私たちはまだ分からないんです。だから、そういう広いところの地下水というものをどういうふうにしてこれから調査しようかと、そういう方法を確立するための調査なんです。だから、それは決してこれをつくるための、あらかじめそういうものを設定してやるんだということにはなりません。そして、もう一つ言わせて下さい。もし仮にそういうふうにして調査をしてしまったら、さっきから言うように穴がいっぱい空いてしまうわけですから、これは処分場としては全く用をなさないものになります。

(木元)
 河田さんの方が先にお手が挙がっておりました。

(河田)
 問題はね、そういうふうに調査が必要だと、調査の必要上こういうふうに区切って、と、これは分かるんですよね。やっぱりどうしてもそれでも「処分場になっちゃうんじゃないか」という心配があるから、何というのか、不安は解けないわけです。ですから、僕は単刀直入に聞きますよ。原子力バックエンド対策専門部会は文書の中に「ここは調査地域である」と、「しかし将来にわたって処分場にすることはない」というふうに文書化できますか?そういう自信がありますか?

(木元)
 鈴木先生。鈴木先生はご担当でいらっしゃるんですけれども、今の河田さんのご質問、「処分場にしないという自信がありますか?」ということについて。

(河田)
 いや、「文書で書けますか」と言っています。口ではだめです。

(鈴木)
 研究所あるいは研究施設がその処分場になるかもしれない、というそういう心配があるということについては、今日はこれは4回目でしょうか、4回目なんですが、これまでもほかの場所で話題になったことがあろうかと思います。その時も私がコメントさせていただいた中で同じことを申し上げているわけですが、そういう心配がないように、できるだけあらゆることを尽くしてやる必要があると。例えばその一つとして、これを時限でお願いするというのはいかがなんですかね。もう期限を切りまして、それが終わったらきれいにそこはもとに戻すと。なぜならば、そういうことは外国に例があるんです。ここは、それぞれの国がそれぞれに工夫してこれまで取り組んできているのです。私が前も申し上げたことは、少なくともこういう研究施設的なもの、こういうものでやはり地下ですからきちんと調べて、かつ多くの方々にできるだけ見ていただくなりして、とにかくご理解いただくということが、これが出発点なわけです。これをやはり進めないと、先ほどもともと高レベル放射性廃棄物を地下の深いところに処分することについては、なお理解が得られていないと、不安が多いんだというお話がありましたが、それはそうだと思います。ですからそこを一歩進められるかどうか、つまり議論を深められるかどうかというのは、実際にやはり調査することが必要だと思いますね。そこで不適切だというのであれば、それは戻っていいと思うのです。それをやらないと、しかし議論が進まないんですよね。結局我々は何かよく分かりませんという状態でしか議論ができないということですよね。そこを何とか進められないでしょうかというのが、例えば今回の報告書の一つのポイントになっているかと思います。

(木元)
 山内さん、さっき手が挙がっていました。

(山内)
 一言お願いします。先生の話は、学者が研究する今の足がかりを得ようということなので、それはそれで結構です。しかし、こうやって実際の研究が行われていこうとしてまいります。そして、これは必ず金が伴います。大きなが金が伴いますね。それで伴った金の結果を、どんな診断が出るか知りませんが、東濃には来ないという保証はないわけなんですから、だから先ほど来申しておるように、動燃も学者の皆さんも「東濃にはあるいは来るかもしれません」と言ってみなさいよ。そういうことから発して、来るかもしれぬという議論、あるいは来ないという議論、来た場合はどうするという議論、そういうものの中で我々の安全は確保できるかどうかという議論の巻き起こしをしなければいけないですよ。いつまで経っても、嘘を言ったり、物事を研究のための研究で、動燃、何度聞いても、何のためにやるのかと言っても、これは結局学術的な云々と。しかし、レントゲンを必ず撮るのと一緒なんですよ。私のレントゲンを撮って、いざ切ろうというときにあなたを切れますか?やっぱりこの方にもレントゲンを撮らなければいけないでしょう。だからそうすると、先生方が言っていることはどうしても納得できることではないんですよ。そんな一般社会で納得できぬことを学者さんの皆さんがいくら言ったってだめです。

(鈴木)
 その点は先ほど言ったように、外国に例があるんですよね。

(山内)
 外国じゃない。日本の国の話で、我が郷土の話ですから。それを間違えたらだめです。

(鈴木)
 おっしゃる通りです。しかし、今のご意見はつまり「レントゲンを撮るのに自分のことなので人のことができますか?」と。

(山内)
 切ったらえらいことでしょう。

(鈴木)
 そうですね。しかしそれは同じですよね。日本じゃなくても外国でも同じ問題があるわけですね。

(山内)
 日本の国は、あなたは先生ですから、学者ですから、ヨーロッパの地層と日本の地層の若さというものは知ってみえるでしょう。だったら日本は日本で考えてほしいんですよ。

(鈴木)
 日本で考えましょう。考えますが、そのアプローチとして…。

(木元)
 分かりました。あるところへいくと絶対的に両方のスタンスが違うんですよ。だから、信じる信じないの問題になってきてしまうと、どういう議論になってもかみ合わないので、ちょっと弁護士さんがいらっしゃいますので、石橋さんはいろんなことをご存知だし、ご意見もおありになると思います。さっきお手が挙がっているので、石橋さん。

(石橋)
 最終処分場になるんじゃないかという懸念というのは、私はそういう懸念を持つ方がいたとしても仕方がないと思います。動燃からいただいたパンフレットが今二つあるんですが、東濃は極限環境をテーマとした地層科学の研究をすると言っているのですが、私はなかなかこれ理解できないんです。極限環境という言葉がですね。高レベル廃棄物のことはこの2冊とも全く謳っておりません。ところが、今年核廃棄物の研究をしている大きい会議が、アメリカのアリゾナ州のツーソンというところで、毎年2,000人ぐらい各国から集まって勉強会をやっているんですが、私もそこに行ってみてきたのですが、そこでパンフレットがたくさん置いてありました。それで日本のものがないかなと思ったら、これ1枚だけというわけじゃないと思いますけれども、私の見過ごしかもしれませんが、この「月吉ジオサイエンス・ビレッジ」という数ページのパンフレットが、動燃から出ているものですけれども、ありました。これはまさに高レベル廃棄物の処分に関連して書いてあるんです。日本の高レベル廃棄物政策のですね。この中で東濃のことがすぐ出てきているんですが、そこのパラグラフでは、ポテンシャルサイトと、それからレポジトリーというのは処分場のことだと思うんですが、レポジトリーの建設を選定し、そしてキャラクタライズすると、こういうことも含めて動燃はやっているんだということをここに書いてあるんです。そうすると日本で出しているパンフレットとアメリカの方に出しているものとじゃ全然格段の違いがあるんです。例えば、札幌でやった時も、幌延の中間貯蔵施設というのが最終処分場になるんじゃないかと。青森なんかでもそういう懸念がある。幌延なんかでは動燃の計画書では2,000本のガラス固化体を貯蔵する、あるいは1万5千本のアスファルト固化体を貯蔵する。何のために貯蔵するのかとなると、やっぱり処分場化する懸念があるというようなことがある。ですから、そういう心配、不安というのは私はもっともだと思います。そこで、私も中間報告に携わった一人として感想を述べてみたいと思うんですけれども、今のような議論があるんで、やっぱり日本でも速やかに高レベル廃棄物の処分についての包括的な基本法というものをつくるべきではないかと思うんです。その中で、三つのポイントと言いましょうか、これだけは入れてもらいたいというものがあります。一つはやはり住民参加による政策ないしは事業の決定システムというものを盛り込む。先ほど有本課長さんが最後の方でご説明していましたけれども、国レベルではそういう監視と検討をする第三者機関の設置、地方レベルでは住民が主体となった情報監視機関、この中では先ほど誰かから住民投票と言いましょうか、そういう大きな問題なんかも出ていましたけれども、そういうのも盛り込んでもいいかと思います。第二点としては、やっぱり地下研究所と最終処分場というものを明確に区別すべきであると思います。地下研究所には実験目的外の放射性廃棄物は一切持ち込まない、あるいは中間貯蔵しないと、こういう制度を設けるべき。同時に、何人かからもお話が出ておりましたが、放射性核種の変換とか、あるいは消滅処理の研究も、これも国に法律で命令するというふうにすべきであると思います。第三番目ですけれども最終処分場の処分地の決定ですね、これは報告書では実施主体がやると。先程来から「実施主体は民間」ということについて賛否両論がありましたけれども、やはり国がこの高レベル問題についてはもっと積極的な係わりを責任を持ってしていただきたいと、こういう三つのポイントを法律に盛り込むということで、そういう方向で原子力委員会の方も検討していただきたいなと思っておるわけです。

(木元)
 石橋さんは報告案をご一緒につくったわけですけれども、皆様のお手元にあるこの「考え方について」の案の28ページ。これでいいんですね?石橋さん。これですね?今ご説明いただいたのは。この手順でやることになっていると。これは先ほど石橋さんに非常にきちんとお話しいただけたかと思いますが、こういう手順でやろうという案を作成したわけですので、ごらんになっていただければと思います。いろいろご議論が出ていますが、飯田さん。

(飯田)
 松田さんから先ほど出まして、今までホットな議論がありましたので遠慮していました。つまり私が言ったのは、急がなければいけないけれども、急いでは今のような形のことになって、結局解決は遅れますよということを言いたかったのです。だから、日本の現状から言えば基本的には急ぐべきではないんです。もっと国民的な同意や地元での同意が必要なんです。いろんなことをいっぱい間違えてきているわけです。先ほどのスウェーデンの例しか私は知りませんけれども、スウェーデンはご承知のように国民投票をして決めたわけですね。それだけ一定の国民の意見が反映しているわけです。だから、日本では急がば回れという言葉があるように、今はやっぱり急ぐべき段階ではないだろう。もっといろんな議論をすべきだと。その一つとして、今の原子力バックエンド対策専門部会の報告書で出ているのは、我々の世代で解決しなければならない、急がなければならない、最終処分が世界的な方向だという、この三つでがんじがらめにしちゃっているんですね。もっといろんな考えを、委員会とかそういうところではそこまで追い詰めてこられたかもしれませんけれども、国民的にはまだそこまで追い詰めていなんですよね。だから、一歩立ちどまって広い議論をしていただきたいというふうに思うわけです。それからもう一言だけ言わせて下さい。こういうように議論が行ったり来たりしてしまうのは、今までの原子力政策に関して、国も科学技術庁も全面的な検討をしていないからです。例えば動燃の問題にいたしましても、個々の技術の欠陥ではないだろうと思うんです。安全性に対する過信とか基礎の研究の軽視とか、それから先ほど出ました第三者による評価とか、そういうものがないままに30年間やって来たわけです。それについて一体どうこれから変えて行くのか、私たち日本は原子力の推進をもうやめるのか、それともこういう形でやって行くならばできると、そういう方向へ行くべきだろうと。深層処分にしましても確かに研究は必要です。だけどこれだけ問題が累積していると、研究所をつくるということに関しても、地元の不信を招くわけですね。今までの結果が基礎的な研究すら困難にしているわけです。だからそのことを理解をしていただきたいというふうな意見です。急がば回れということが、日本の現状では必要だろうと思っております。

(木元)
 ちょっとごめんなさい。松田さんのお手が挙がっていたんです。

(松田)
 私も先生の意見、全く同感ですが、2030年というのはこれはスタートの時期なんですね。そうすると先生のおっしゃるタイムスケールの話ですけれども、私が問題にしているのは、そういうような議論が、先生と同じような議論をもって日本じゅうを歩きたいと思っても、お金がかかって、資金がなかったらだめでしょう。そして、ヨーロッパなどでは原子力発電ができた時からそのお金を積み上げているのに、日本はゼロという時に、そのお金をどこから持ってくるかという議論もとても大事なのです。だから、私は議論はやっぱり早くスタートすべきだから、そのためにお金が欲しい。それとあとは皆さんを連れてスウェーデンに行って、みんなと一緒に見てもらって、またみんなで議論をしたいねという気持ちがありますから、そういうお金も欲しい。そうすると、この答申を一日も早く、優先順位はあると思いますけれども、やっぱりこれは一歩前進しかないというふうに思っています。

(木元)
 次のステップのご意見ですか?

(井上)
 こちらの地元の者として、確かに私たちは真剣に、今ある高レベル放射性廃棄物をどう処理処分するかということを国民的に議論して行くということがいかに大切かよく自覚しています。また今日の発言の中でも、ほとんどの人がまだよく分からないと言われているわけですから、本当にこの場を一つの契機にして、この問題は徹底して国民的な議論に広めていく、そういう出発点にしたいという意味では一致します。ただし、その場合に私が言いたいのは、一つはまずこういう議論の過程に入っているにもかかわらず、処分地とまごうような面積を設定してやられている調査については直ちにやめてもらいたいということです。もう一つは、動燃事業団はこういう真摯な議論をやろうとしている過程に、こういうことを出して来ているわけですから、私は彼らがこの研究開発に責任を持ってやれるような主体ではないと思います。

(木元)
 今新法人の設立ということでだいぶ改革が行われているので、私たちはそれを見守らなければいけないと思いますし、私も徹底的に動燃のああいうような体質は排除しなきゃいけないし、もっと新しい血を入れて真摯に議論する場をつくってほしいと、それは井上さんのおっしゃることと同感ですし、それはこの高レベル放射性廃棄物の委員会でも話がかなり出ました。
 それで、時間がなくなってきてしまいましたが、皆様から全部で37件、この休憩時間にご意見をいただきました。これだけいただきました。事務局で今分類いたしましたら、「教育」に関することが8件、それから「国の積極的な関与」について8件、「情報公開・コンセンサスが必要」が8件、「意見交換の充実」2件、「研究の推進」1件、それから「地上管理」というのが4件ありました。「地上管理」というのが先ほどもご議論の中にもご意見の中にも出てきたんですが、一言、地上管理は無理だということですか?また徳山先生か鈴木先生か、よろしいですか?

(徳山)
 私はやっぱり地上管理というのは無理だと思いますね。それは地層処分ということが一つの選択肢と言われますけれども、地層というものの持っている、あるいは地層岩石の持っている非常に安定な性質というものがあるわけですから、そういうものは活用すべきものだと思いますし、それは例えばここの報告書の中にも書いておりますけれども、いわゆるナチュラルアナログという中で言いますと、例えばガボンにあるオクロというところではちょうど10億年ぐらい前に鉱床はそのまま原子炉の中と同じような反応をして、そういうような形がそのままずっと保存されたまま残されているということもあります。日本でもそういうふうな地層というものが、さっきから言うように非常に安全なもので、日本のほとんどのところは500万年ぐらいの安全性を持っているわけです。だから、そういうところに埋めておくというのは、要するに一番お金がかからないし、かつ安全であるという意味で一つの選択のもので、したがって国際的にもそういう方向になっているということだと思います。

(木元)
 ありがとうございます。石田さんからご意見が出ていました。「大都市の近辺で、地上管理で、海上埋立地に鋼鉄のピラミッドを建てて管理する」という具体的な案までお書きいただいたわけですけれども、ちょっと大変ですね、そうなると。それから、あと似たようなご意見も同じように徳山先生がご説明いただきました。
 教育について、「情報公開と学校教育が重要」平野泰敏さん。それから「教育の必要性」岡村さん。やはりいろいろなところで教育が行われていないということに疑問を感じていらっしゃる。福岡さん、やはり「教育の充実」。それから、これは8人いらっしゃるので、澤島さん、「学校教育」を特におっしゃっています。伊藤さん、やっぱりこれも「教育」。佐野さんも「教育、将来の世代への教育」ということで「小さい時からやらなければいけない」。林さんがやはり「教育の必要性」、「この年代には分かりやすい情報公開を建前とした教育」ということです。それから、原口さんという方がお書きになっていらっしゃるのは「教育の重要性」に関連して「マスコミの成熟の必要性」というのがあるんですけれども、原口さん、いらっしゃいますか?できましたらちょっとフォローしていただけますか?会場からお声をいただく時間なものですから。「教育」の中でおっしゃっている意味というのは?マイクの前で。すみません。

(原口)
 やはり偏ったマスコミがどうしても正しい報道をしていただけない、だからどうしてもセンセーショナルになっていってしまうということを、やはりいいものも悪いものも、光も影もきっちり国民に知らせてほしい。やはりもう少し我々も勉強しなければなりませんけれども、マスコミの方もしっかり勉強していただければという感じをいたします。 (木元)
 つまり、私もマスコミだから分かるんですけれども、どうしても過激な部分とか絵になる部分とか話題になる部分を取り上げやすいんですね。ですけれども俯瞰で見る場合に、それは非常にごく一部であったり、通常の生活がそこにあって、サイレント・マジョリティーも存在しているというようなことも踏まえてと、そういう解釈だろうと思うんですが、それでよろしいですか?

(原口)
 はい。

(木元)
 それから、「もっと意見の交換の場を充実してほしい」と豊田さん、「数多くの意見交換をして」ともお書き下さいました。「意見交換会をもっと開催すべきだ」と村瀬さん。これに一言何かつけ加えることございますか?豊田さん、いらっしゃいますか?この会のようなことを連続して行うということの必要性でしょうか?もしいらっしゃったら。あるいは村瀬さん…。ありがとうございます。「意見交換会をもっと」というご意見をお書き下さいましたけれども。

(村瀬)
 いろんな意見を寄せられて、具体的にコンセンサスを得るというようなことは、こういうことは一つの意見だと思います。皆さん、「理解が要る」とか「情報公開」だとかいろんな意見を言ってみえたんですけれども、そういういろんな方法とか、何をしたらいいかというのが私は分かりませんでしたので、たまたまこういうことを続けることがいろんな中の一つのことでないかなと、またそういうことで皆さん同じ立場で話ができることで少しは理解が深まるんじゃないかなということで書かせていただきました。

(木元)
 ありがとうございました。すみません、お呼び立てして。
 それから、まだあるんですね。紅谷さんという方はいらっしゃいますでしょうか?報告書案を読んでいただいたと思うんですが、「結論のみ、詳細な判断過程、データが欲しい」とそういうご意見なんですが、ちょっとこれもフォローしていただけますでしょうか?情報が結論のみで信じがたいと疑う、そういうご意見が書いてありました。もっと詳細な。

(紅谷)
 私どもは大阪で、神戸の近くなんですけれども、最近地質とか地震とかに際して、30年前に思いも寄らなかった事件が次から次から出て来て、例えば地震動の計測にしても、”強度計がなかった、上下動と横揺れの双方が計れなかった、回転がなかった”とこうなります。それから、二つの断層が一緒に動くということも最近ほとんど認められるようになってきた。そういうふうにいろんなことが次から次から起こってきます。「数百万年および数十万年」という記載があるんですけれども、「中の物質が動いていない」と。これは日本列島は東西圧縮ですけれども、たまに引っ張られる時があります。引っ張られたら水みちができて、破砕が起こって水が入るわけですが、日本列島の動きが本来だったら東西圧縮しているのに、ただ今那智勝浦は南に行かずに西北西へ動いていると、わけが分からないわけです。ですからそんなに分かるのかと。分かるとおっしゃるんだったらどういう地域に限定し、どういう測定をし、どういう方法でアセスされたか教えていただかないと、特に阪神に住んでいる者はピンと来ません。それからあと、埋設処分のコストなんですけれども、数銭から十銭以下と、これも参考資料にあるデータだけでは納得できないわけです。私どもはもっともっと大変なことを想定していて、できちゃったものについてはそれでも甘んじて受けようと、大都市の近くに持って来るとおっしゃるならそういうことも甘んじて受けようと、それで次から出てくるものは慎重にやってほしいとこう思っております。以上です。

(木元)
 ご質問もあったと思います。今の地震のことをやっぱり徳山先生。

(徳山)
 地震のことは先ほどもお話がありましたけれども、この報告書に書いてある事柄は地震であるとか火山であるとか、非常に急激な変動のあるところは避けて通りましょうと。当然誰も断層の真上につくろうなんていう人はいないわけで、そうすると断層というものがあって、それからどういうふうに、どういうやり方でもって、どのぐらい離せばよいか、そういうことをきちんと研究して出しなさい、そういうことが書いてあるわけです。それからもう一つ、先ほどもちょっとどなたかお話しがあったんですけれども、阪神・淡路の大震災というのは、私も実は兵庫教育大というところにおりまして、その日からずっと地震の被害というものを調べて歩いているわけですけれども、その中でそういう地震というものの被害というものもいろいろあるわけですが、振動ということによる被害が大きかったわけですね。そうしますと、振動というのは地表の、特に地盤の悪いところとか、そういうところの被害がものすごく多かったわけです。ところが、岩盤の中の数百メートルという中では、そういう大きな振動というのは出て来ないわけです。ですから、例えば同じ六甲のところであっても、新幹線の六甲トンネルというのは、ご承知のように表面の壁が剥げただけで済んでいる。あれは地表面の神戸を始め阪神地域というのは非常に大きな被害を受けたんですけれども、地下というのはそんなに大きな揺れはない。そして、そこの外にも説明が書いてありますけれども、ああいうキャニスターというもので包んだ、いわば鋼鉄でくるんだ剛体なわけですけれども、そういうものはいくら今現在考えられている程度の振動があっても、それは絶対に安全なものだと、耐震性があるということでありますから、振動というものに対しては絶対に平気なのです。それに対して、ですから途中で切れてしまうとか、曲がってしまうとかということによる、つまり変形ということに対する影響、そういうことをきちんと把握すれば、断層というものからこういうふうに避ければよいということが分かるはずであると、そういうことが報告書に書いてありまして、それは2000年までにきちんとした報告が出るというふうに私は確信しております。

(紅谷)
 すみません。水みちについて…、これを破壊の主原因と考えておりますので…、地震による破壊を主原因と考えておりません。

(木元)
 はい、ありがとうございました。あと、水の流れ。水はどう動くか。

(紅谷)
 圧縮はいいんですけれども、”離す方”へいきますと水みちができます。そこで水が入って…。キャニスターは300年もたないと思いますから…。

(木元)
 水がどう動くか。今の関連で徳山先生。

(徳山)
 地震と水の関係ですか?ちょっと今、十分には聞き取れなかったのです。

(紅谷)
 地層の変動とわずかな破壊帯ができて、そこへ水みちができるということ。そしてキャニスターは割れるものと考えます。

(徳山)
 分かりました。それはそういうふうにいろいろなところに書いてありまして、どういうふうにして破砕帯ができるかということも当然大事なことです。ですから、破砕帯を避けるというふうに言ってあります。それから、今おっしゃっている水というのは比較的浅いところの水なんですね。それで今考えられております、例えば500mとかもっと600m、そういうところの水というものの性質と、それから地表での水とは性質が違いますので。

(紅谷)
 いえ、深層を含みます。

(徳山)
(会場からの発言に対して)それを今調べているんじゃないでしょうか。そういうことをみんなで調べようといっているのが今度の報告書ですから、そういう方針を書いているのは悪いんでしょうか?方針を書いているんであって、方針を書いてはいけないというんでしょうか?もう少し、やっぱりみんながこういう問題に対して、何と言うんですか、みんなが研究を進めようという方向になって行かないと研究は進みせんよ。

(木元)
 水の流れみちもすべて研究であるということ?

(紅谷)
 ここの記述だけでは分からない、と、こう申し上げたわけです。もう少し資料を出して下さい、と。

(木元)
 資料は出しましょうね、出してもらいましょうね。ありがとうございます。
 今パネラーからお手が挙がりました。

(大泉)
 今地震の話が出ましたけれども、新幹線は通ったんですか?途中がやられるわけですよ。穴の中は大丈夫でも、地下が大丈夫でも、上の施設が全部破壊しちゃうわけですよ。例えば高レベル放射性廃棄物を運んでいる途中、あるいは上で降ろそうとしている途中がやられるわけです。地下が安全だなんていうのはそこだけでしょう?上の方が壊れたら、もう安全も何も言えないわけでしょう?何か地下が安全だと言っているけれども、それはちょっとおかしいんじゃないですか?

(木元)
 地下は一番安全だ、と言っているのがおかしいと?

(大泉)
 例えば、トンネルの中はちょっと崩れたぐらいだったけれども、その両脇がやられて新幹線は通れないわけですよ。それと「お金がない」とさっき言っていましたね?

(木元)
 「スウェーデンのように積み立てていない」という意味でね。

(大泉)
 積み立てていない。お金がないんだったら使わなければいいわけですよ。要するに、私たちはオイルショックというのを経験しましたね?あの時私たちは24%以上節約したわけです。そのぐらい節約しても誰も死ななかったです。餓死者も出なかったです。だから、節約はできるわけです。どんどん、冬なのに今日もクーラーが効いているのかどうか分からないけれども、そういうちぐはぐなことをやっていれば電気が足りないわけですよ、いくらやっても。「足らない、足らない」と言ってよく調べてみると、甲子園の高校野球のやっているときがちょっと足らないだけであとは余っているわけです。だから揚水発電をまたつくるとか、そういう矛盾がいっぱいあるわけです。

(木元)
 矛盾というか節約、有効利用ということで、揚水発電をやっているんだと思うんですけれども。今のご意見は「地上と地下との関係」というお話ですよね?

(大泉)
 それで、動燃さんは純粋に研究すると言っていますけれども、この20年で終わるというのはどういうんですか?純粋に「地下の天文台」みたいなのだとすれば、ずっとこの大事な研究を続けて行かなきゃいけないのに、たった20年でこの研究所は終わります、その跡を公園にするとか何とか、新しい”跡地利用委員会”なんていうのをやっていますけれども。

(木元)
 それは、さっき鈴木先生が期限の一つの案として20年という数字をお出しになったんでしたか、違いましたか?

(大泉)
 いやいや、高レベル放射性廃棄物処分のための超深地層研究所跡利用検討委員会第一回でも20年ということは言っていますけれどもね。

(木元)
 それはそういう方策が提示されたということでしたね?

(大泉)
 純粋に研究所だったら何で20年で終わるんですか?

(木元)
 鈴木先生、ちょっとよろしいですか?

(鈴木)
 私は、先ほど「20年」と特定して申し上げなかったような気がしますが、仮に20年ということを特定してやる方法もあるんです。それは、20年でやれることというのは限度がありますよね?だけど、それは皆様方が、やはりそれの方が安心だということであれば、一つの方法だと思います。そういう例は外国にございます。それから地上と地下の話なんですが、これは今日話題になっているようなことは、高レベル放射性廃棄物ですから、非常に長期的な安全をいかに確保するかが大事なんですということから始まってますよね。そういう意味で言いますと、高レベル放射性廃棄物を仮に深い地下に埋めた場合に、その埋めた後どういうことをよく考えておかなければいけないかということがポイントになっているから、徳山先生はそういうことをおっしゃっているわけで、今ご指摘のようなことというのは、実はもっと短い期間の問題なんですね。これも大事です。大事ですが、それは今日の話題ではちょっとメインなテーマではなかったということですね。それはもちろん大事な話ですから、これはこれで別の方法で安全性を考えていかなければならないと思います。

(木元)
 本当に時間というのはないなと思います。今日は1時間延ばしたんですけれども、まだまだご議論は続けようと思えば続けられてしまうんですね。ですけれども、この会場の関係もありまして、もう時間を超過していますので終わらなければならないんですが、今日もいただいたご意見を集約するわけでも何でもない、最初申し上げたように。それは全部記録としてとってあります。そして、それをまた論議し合うという場所ができるわけですから、今日まだ報告書案をお読みになっていらっしゃらない方、あるいは今日のご議論を踏まえた上でご意見がありましたら、ぜひお寄せ下さい。お名前とご住所とご職業をお書きいただきたいと思います。会場から紙を出していただいて、フロアのご意見ということで集約してご紹介しました。時間になりましたのでやめさせていただきますが、ご意見、ぜひ紙に書いていただきたいと思います。今会場でお声を出している方、紙に書いて出していただけますか?

(井上)
 交換会、これはまた必ずやっていただけるわけですね?これを終わりにしないで。約束して下さいよ、それは。

(木元)
 次の予定ということは言えないと思いますが、1月に今度、福岡でやります。そのときにまたご案内など行くと思いますが、よろしくお願いいたします。

(井上)
 東京でもやるんですか?

(木元)
 東京でもやる予定です。

(井上)
 東京は何回やるんですか?

(木元)
 先ほど申し上げたように、一回一回ごとにいろんなご意見が出ます。それをよい方向に向けて行こうということで事務局も私どもも努力していますので、ぜひご意見をお寄せ下さい。一人一人と向き合ってコンセンサスを得る方向で、終局はそうなりたいと思います。今会場でご発言なさっていらっしゃる方は、後でぜひご発言をいただきたいと思います。この会が終わった後でも結構です。会場の制約がありますのでこれで終わらせていただきます。どうも本当にありがとうございました。ご意見をたくさんいただきました。皆様、大変ありがとうございました。