(例)
・予備的調査・サイト特性調査のデータ等の公開。
・予備的調査とともに環境影響の評価を行い、その情報を公開する。
ハ.処分場建設・操業から閉鎖終了まで
(例)
・モニタリングデータ、活動内容・操業状況等の情報公開。
b.透明性の確保
1)処分事業のプロセスの明確化
サイト選定の手順、処分計画・事業申請・安全審査、処分場建設・操業、埋め戻し、埋め戻し終了後等の処分事業のプロセスを明確化しておくことが必要である。例えば、特別法を制定して、これに則り各段階を明確化するとの考え方もある。
2)選定過程・事業活動に対する外部者による確認
サイト選定過程及び実施主体の活動内容・操業状況等が規定通りに行われているかどうかについて、外部によるチェックが可能な仕組みを作っておくことが必要である。
- イ.
- 選定過程
- 選定経過及び選定根拠について、第三者の立場からチェック。
- ロ.
- 活動内容・操業状況
- 実施主体の活動内容及び操業状況について、第三者の立場からチェック。
(2)住民の位置づけ
処分事業を行っていく上で住民の意見をどのように反映させていくのかという点を含めて、住民の位置づけについて検討を行うことが必要である。
- a.
- 住民の範囲
住民関与の形態の検討とあわせて、地域的にどの範囲の住民の意見を聞くべきかについて検討しておく必要がある。例えば、立地地点を含む市町村の住民とするのか、地区とするのか、あるいは都道府県単位とするのか、周辺の市町村や都道府県も含めるのかという点である。
また、意見を聞く際に、対象に含まれる住民の意見を全て同じように聞かなければならないのかということも検討しておく必要がある。すなわち、立地地点との関係に応じて意見を聞く程度が異なってしかるべきではないかという点である。
- b.
- 住民の意見
処分事業の各段階で様々な決定を行う際に、住民の意見をどのように反映させていくのかについて検討しておくことが必要である。
情報公開や住民の意見の反映に努めることなどにより、できる限り住民の合意を得ることが重要であるが、候補地決定、予備的調査の実施、予定地決定等の重要な決定に対し、例えば、地域住民の意向を反映した自治体首長の間(知事と市長の間や隣接市町村の首長の間)で意見が分かれた場合や、住民によって選ばれた自治体首長と議会の意見が分かれた場合にどうするか、という問題も検討して
おく必要がある。
- c.
- 調整機関の設置
- 住民と実施主体との間に生じる様々な課題について当事者が意見を述べ、また調整を行うための場を設置し、当事者が参加する形で調整を行うことが課題をスムーズに解決する上で大きな役割を果たす。また、発生した問題の内容に応じ、第三者による調整機関を設置することも考えうる。
(3)国、実施主体、電気事業者、自治体の役割の明確化
- a.
- 国の役割
国は、処分が安全かつ適切に行われることに対して責任を負い、法制度等の整備や立地の円滑化を図る措置を講じる等、処分の円滑な推進のために必要な施策を策定する。
- b.
- 実施主体の役割
実施主体は、処分事業を実際に行う主体として、処分を安全かつ着実に実施する。処分事業を行うにあたって実施主体は、確実に事業を推進する責任と安全に処分施設を管理する責任を負う。
- c.
- 電気事業者の役割
電気事業者は、廃棄物の発生に責任を有する者として、処分に必要な資金の確保を行い、また、立地について有する経験を活かして実施主体と一体となって立地活動を行う。
- d.
- 自治体の役割
処分事業を行っていく上で、自治体の協力を得ることが不可欠である。
また、都道府県と市町村の役割は異なるものの、自治体には実施主体が入手しにくい判断材料や地域の要望などの情報を提供し、住民の意見を吸い上げる役割が期待される。
また、都道府県については、立地地域と周辺地域との間の調整機関となる場合も考えられる。
(4)長期性への対応
高レベル放射性廃棄物地層処分の長期性に関連して、社会経済的状況の変化に応じて柔軟に対応できるようにしておくことが重要である。
そのためには、現世代が全て今の時点で決定してしまうのではなく、後世代が、その世代における諸条件の下で、一定の決定をする余地を残しておくような枠組みを設けておくことが重要である。また、制度の整備にあたっては、一定期間毎の見直しを規定しておくことも検討する必要がある。
一方、意思決定及びコスト負担を後世代とどのように分担するべきか、現世代のうちに意思決定を行っておく必要がある事項について具体的に議論を進めていくことが求められている。
具体的には、処分場の選定、処分場の建設開始、埋設の開始、処分坑道の埋め戻し、主坑の埋め戻し、閉鎖(主坑の埋め戻し)終了後の管理の期間、実施主体の存続期間等といった事項について、現世代のうちに決めておくべきかどうかを決定する。そして、後世代の判断に委ねることが適当と考えられる事項については、その実施にあたって、後の世代が判断することを要件とするなどの方策が考えられる。
例えば、現在の技術水準によれば処分場の閉鎖終了後の管理は不要であろうと評価されているが、現世代では処分場の閉鎖(主坑の埋め戻し)終了までのコストを負担することとし、実際に主坑の埋め戻しを行うか、それともそのままの状態でなおも管理を続けるかどうかを、その時点での技術的な水準に照らして、その時点の世代に判断を委ねるとの考え方も可能である。このような場合には、処分場建設時
点で、操業終了後も主坑を長期に維持できるように強度を高めておくなどの長期維持性能をおり込んでおく必要がある。
また、将来の世代が事業終了を選択することとした場合でも、万一の場合の損害賠償責任が継続される必要があるが、現世代がどこまで賠償の原資を負担すべきかを検討しておく必要がある。
2.処分事業の各段階の検討
処分地の選定を行っていく上で、以下の点について個別に検討しておくことが必要である。
- (1)
- 予定地選定までの検討
- a.候補地選定
- 予備的な調査を行う候補地を実施主体が選定(複数地点を想定)するにあたり、以下の点について検討しておくことが必要である。
- 1)
- 候補地選定前の情報の開示
予め処分場選定の技術的な要件を明らかにした上で、処分事業では何が行われるのかを、共生策の案とともに提示する。
- 2)
- 候補地選定方式
- イ.
- 公募方式
あらかじめ、処分場選定の要件・地域振興策等の情報を明示した上で、自治体から誘致表明のあった地点の中から候補地を選定する。
- ロ.
- 申入方式
候補地として適切であると実施主体が判断する地点について、地域住民に情報を提供しつつ自治体に申し入れる。
- ハ.
- 公募あるいは申入方式によっても受け入れるところがない場合の対応
候補地として適切であると判断する地点を実施主体が選定する。その結果について必要であれば国が調整を行うとの考え方もある。実施主体が選定する場合であっても、自治体首長の了解を得る手続について検討しておく必要がある。
- b.予備的調査
- 1)
- 予備的調査の申入れ
調査の実施を申し入れるにあたって自治体、地域住民、土地所有者等の同意が得られない場合の対応を検討することが必要である。
- c.
- 処分予定地選定
- 1)
- 地元の了承
処分予定地選定の際に「長期計画」では地元の了承を得ておくとされているが、地元とは都道府県・市町村といった自治体を指すのか、あるいは特定の地区を指すのかを検討しておくことが必要である。また、了承とは首長が単独でできるのか、あるいは首長が議会の承諾を得て行うのかなど、首長や議会の役割を検討しておく必要がある。
- 2)
- 国の確認
調査の結果に基いて実施主体が予定地選定を行うが、その際「長期計画」においては、国が処分予定地の選定結果を確認するものとされている。国の確認については、その内容や手続きがどのようなものであるかを具体的に明らかにしておくことが必要である。
(2)サイト特性調査以降の検討
- a.
- 処分地の決定
実施主体は、実際の処分地としての適性を判断するため、処分予定地において地下施設によるサイト特性調査を行う。「長期計画」においては、調査の結果に基き、実施主体が適当であると判断すれば処分地として決定し、処分場の設計を行い処分に係る事業申請を行うものとされている。これに対して、この問題は国民的な問題であることから、処分地選定にあたっては内閣決定や、その決定に対する国会の承認を得る必要があるとの考え方がある。
- b.
- 処分場建設及び操業
処分場建設及び操業過程における安全確保策と安全性のチェックについて検討しておくことが必要である。例えば、第三者によるチェックや、問題が生じた場合の通報体制・情報公開体制の整備が考えられる。
- c.
- 処分場の閉鎖終了前後の対応
安心感の確保のために、処分場の閉鎖終了前後の管理のあり方を検討することが必要である。
その際、長期にわたり主坑を埋め戻さずに維持しておく場合には、技術的な観点からは地下深部の地質環境に擾乱を招くことも考えられ、かつ、主坑の構造を強化しておく必要があるため、建設・維持・管理のコストが増加し、経済性の観点からの長期的な配慮が必要となる。一方で、長期にわたり主坑を埋め戻さずに維持することは、万一の事故の際の廃棄物の回収等の対応が容易であるという点で周辺住民の「安心感」が増大するという考え方もある。このように、安全と安心感とのバランスを考慮して検討することが必要である。
(例)
- ・処分場の閉鎖終了前後の管理のあり方
- :処分坑道埋め戻し後、主坑の埋め戻し(処分場の閉鎖)までの期間設定
- :処分場の閉鎖終了前後のモニタリングの実施
- :処分場の閉鎖終了後のモニタリングの期間、方法
- ・段階的な管理とチェック・アンド・レビューの考え方の導入
- :低レベル廃棄物埋設埋設管理の例を参照
- ・地下空間の利用制限とそれを担保するための手段
- :法律に基づく利用制限
- :地域共生施設などによる地上利用
- ・その他の技術的オプションの検討
第四部 いま、何をしなければならないか
高レベル放射性廃棄物処分について各層が議論し、理解を深めるために、実施主体・国・電気事業者等の関係機関が早急かつ着実になすべきことは、それぞれの役割に応じて本報告書の第二、三部において検討した事項、すなわち、処分技術を確立し、体制を含めた制度を整備し、事業資金の確保に着手することであり、その際に透明性の確保、アカウンタビリティーの向上、教育・学習の場の充実を図っていくことである。
一方、高レベル放射性廃棄物地層処分の長期性に関連して、意思決定及びコスト負担を後世代とどのように分担するべきか、現世代が意思決定を行う必要がある事項について具体的に議論を進めていくことが求められている。例えば、処分場の選定、処分場の建設開始、埋設の開始、処分坑道の埋め戻し、主坑の埋め戻し、閉鎖(主坑の埋め戻し)終了後の管理の期間、実施主体の存続期間等である。また、制度の整備にあたっては、一定期間毎の見直しを規定しておくことも検討する必要がある。
他方、原子力発電に伴う高レベル放射性廃棄物処分の問題については、政治の場においても法的枠組という形で現世代の意思の内容が明らかにされることが必要である。
そのためにも、国民の各層における議論が十分に行われ、国民の合意形成を図る努力がなされなければならない。
( 参 考 )
特別会合開催状況
1.検討の進め方
- (1)検討の手順
- 1)社会の動向を踏まえ、論点を明確にするため、議論の背景及び参考となる共通の知見を整理
2)具体的検討を行い論点を整理
- (2)各課題について
- 1)社会的受容性に関する検討
- ・高レベル放射性廃棄物処分に関する国民の理解と納得を得るための基本的考え方及び広報等の具体的方策を検討。
- 2)サイト選定プロセス・立地地域への対応に関する検討
- ・高レベル放射性廃棄物処分予定地の選定に関するサイト選定プロセス及び立地地域への対応についての基本的な考え方及び具体的方策を検討。
2.開催状況
(1)社会的受容性に関する特別会合
第1回
議 題:「社会心理学からのアプローチ」
日 時:平成8年12月17日 17:00〜19:00
出席委員:森嶌主査、小西委員、竹本委員、中村委員、松田委員、南委員
近藤懇談会座長、加藤懇談会委員、木元懇談会委員
講 師:土田昭司氏(明治大学文学部助教授)
第2回
議 題:「広報理論からのアプローチ」
日 時:平成8年12月26日 10:00〜12:00
出席委員:森嶌主査、竹本委員、鳥井委員、中村委員、深海委員、松田委員、
南委員
近藤懇談会座長、粟屋懇談会委員、木村懇談会委員、木元懇談会委員、
下邨懇談会委員
説 明 員:土田昭司氏(明治大学文学部助教授)
講 師:田中正博氏((社)日本パブリックリレーションズ協会教育研修委員会代表幹事)
第3回
議 題:「現状認識と問題点の明確化」
日 時:平成9年1月14日 15:00〜17:00
出席委員:森嶌主査、小西委員、鳥井委員、松田委員、南委員
近藤懇談会座長、木元懇談会委員、下邨懇談会委員
説 明 員:土田昭司氏(明治大学文学部助教授)
講 師:根本和泰氏((株)アイ・イー・エー・ジャパン エネルギー・環境研究部長)
第4回
議 題:「基本的考え方について」
日 時:平成9年1月30日 15:00〜17:00
出席委員:森嶌主査、竹本委員、土田委員、中村委員、深海委員、南委員
近藤懇談会座長、粟屋懇談会委員、下邨懇談会委員
第5回
議 題:「報告書案について」
日 時:平成9年2月18日 15:00〜17:00
出席委員:森嶌主査、竹本委員、土田委員、中村委員、深海委員、松田委員
南委員
加藤懇談会委員、下邨懇談会委員
第6回
議 題:「報告書案について」
日 時:平成9年2月26日 15:00〜17:30
出席委員:森嶌主査、小西委員、土田委員、鳥井委員、松田委員、南委員
近藤懇談会座長、粟屋懇談会委員、川上懇談会委員、下邨懇談会委員
説 明 員:根本和泰氏((株)アイ・イー・エー・ジャパン エネルギー・環境研究部長)
(2)サイト選定プロセス・立地地域への対応に関する特別会合
第1回
議 題:「ダム建設事例の検討」
日 時:平成8年12月25日 10:00〜12:00
出席委員:森嶌主査、石橋委員、木元委員、塩野委員、中村委員、深海委員
近藤懇談会座長、粟屋懇談会委員、加藤懇談会委員、川上懇談会委員、
下邨懇談会委員、松田懇談会委員
講 師:宇賀克也氏(東京大学法学部教授)
第2回
議 題:「地域共生事例の検討」
日 時:平成9年1月9日 10:00〜12:00
出席委員:森嶌主査、石橋委員、木元委員、塩野委員、田中委員(講師)、
深海委員
下邨懇談会委員、南懇談会委員
第3回
議 題:「地域共生方策の検討」
日 時:平成9年1月24日 13:00〜15:00
出席委員:森嶌主査、石橋委員、塩野委員、中村委員、深海委員
近藤懇談会座長、粟屋懇談会委員、加藤懇談会委員、川上懇談会委員、 下邨懇談会委員
第4回
議 題:「サイト選定プロセスの検討」
日 時:平成9年2月6日 15:00〜17:00
出席委員:森嶌主査、石橋委員、宇賀委員、田中委員、深海委員
近藤懇談会座長、加藤懇談会委員、川上懇談会委員、下邨懇談会委員
第5回
議 題:「報告書案について」
日 時:平成9年2月24日 14:00〜16:00
出席委員:森嶌主査、石橋委員、塩野委員、田中委員、中村委員
粟屋懇談会委員、加藤懇談会委員、川上懇談会委員、下邨懇談会委員、
松田懇談会委員
第6回
議 題:「報告書案について」
日 時:平成9年3月19日 10:00〜12:00
出席委員:森島主査、石橋委員、田中委員、中村委員、野口委員
川上懇談会委員、下村懇談会委員
説 明 員:根本和泰氏((株)アイ・イー・エー・ジャパン エネルギー・環境研究部長)
高レベル放射性廃棄物処分懇談会 特別会合の設置について
- 今後の高レベル放射性廃棄物処分懇談会における審議を効果的、効率的に進めるため、処分懇談会の下に、「社会的受容性に関する特別会合」及び「サイト選定プロセス・立地地域への対応に関する特別会合」を設置する。両特別会合は、それぞれの検討事項に応じて論点を整理し懇談会に報告する。
- 1.日程
- ・平成9年春開催の処分懇談会に、それぞれ論点を整理して報告する。議論の進捗については、随時処分懇談会に報告する。
・当面、月に2回程度開催。
- 2.特別会合の検討事項
- (1)社会的受容性に関する特別会合
- 高レベル放射性廃棄物処分に関する国民の理解と納得を得るための基本的考え方及び広報等の具体的方策。
- (2)サイト選定プロセス・立地地域への対応に関する特別会合
- 高レベル放射性廃棄物処分予定地の選定に関するサイト選定プロセス及び立地地域への対応についての基本的な考え方及び具体的方策。
3.構成員
(1)社会的受容性に関する特別会合
(主 査)森嶌 昭夫 上智大学教授(法学部)
竹本 成徳 日本生活協同組合連合会会長理事
中村 政雄 前読売新聞論説委員
深海 博明 慶応義塾大学教授(経済学部)
松田 美夜子 生活評論家(廃棄物問題とリサイクル)
南 和子 評論家
バックエンド専門部会から
小西 攻 NHK解説委員
鳥井 弘之 日本経済新聞論説委員
(2)サイト選定プロセス・立地地域への対応に関する特別会合
(主 査)森嶌 昭夫 上智大学教授(法学部)
石橋 忠雄 弁護士
木元 教子 評論家
塩野 宏 成蹊大学教授(法学部)
中村 政雄 前読売新聞論説委員
野口 敞也 日本労働組合総連合会総合政策局長
深海 博明 慶応義塾大学教授(経済学部)
バックエンド専門部会から
田中 靖政 学習院大学教授(法学部)
(参考)
1.上記構成員については必要に応じ追加できるものとする。
2.高レベル放射性廃棄物処分懇談会の各委員は、本特別会合に適宜参加できるものとする。
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