法第20条における適用期限の延長について

1.法第20条の立法趣旨
 法第20条は、政府の補償契約の締結及び賠償措置額を超える損害が発生した場合の国の援助について適用期限を定めているが、これは、原子力の研究開発の進展状況及び損害賠償措置の中心となっている民間責任保険の引受能力の拡大等を踏まえて、政府補償契約及び国の援助の規定の適用については10年程度を予定し、その後の取り扱いについてはその時点での判断に委ねることとしたもの。
 特に第10条については、必要に応じて民間責任保険の担保範囲の拡大に伴い補償契約の担保範囲の見直しを行うことを意図しており、第16条については、必要に応じて政府の援助の在り方を含めた原子力損害賠償制度全般について見直しを行うことを意図している。特に、賠償措置額の在り方一つについても政府の援助の在り方の再検討が必要となるものである。
 このように本規定は、賠償措置額をはじめとした原子力損害賠償制度全体の見直しを行う契機となっているものであって、重要な役割を果たしてきている。

2.法第20条が延長されない場合の影響
  (1) 平成11年までに原子炉の運転等の行為を開始していれば、政府補償契約の規定、国の援助の規定ともに平成12年以降にも適用されることになる。また、原子炉の運転等の行為に付随してする核燃料物質等の運搬、貯蔵又は廃棄についても、原子炉の運転等の行為に伴って不可避的に行われ同一性を有するものについては、政府補償契約及び国の援助の規定は適用される。
 しかし第20条が延長されなければ、平成12年以降に開始した原子炉の運転等については、第10条及び第16条の規定の適用はないことになる。また、付随行為としての核燃料物質等の運搬、貯蔵等を行っていても、これらの規定を各号行為に適用するには不十分である。
   
  (2) なお、条文の規定からは、期限内に原子炉の運転等を開始しなかった者が、第6条(損害賠償措置を講ずべき義務)違反とならずに運転等を開始するためには、補償契約の締結ができないので、供託その他の措置を講じることが必要となる。この場合には、条文上政府の援助の規定が適用されないが、第20条の規定は期限内に原子炉の運転等を開始しなかったものが第6条違反にならずに運転等を開始することを積極的に認めている規定ではなく、むしろこの場合には、科学技術庁長官の承認を受けられず(第7条第1項)、原子炉の運転等を行うことは困難であると考えられる。