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法第20条における適用期限の延長について

 

1.適用期限を設けた理由

 法第10条(補償契約)及び法第16条(国の援助)については、法第20条により昭和36年の法律制定時並びに昭和46年、昭和54年及び平成元年の法改正時にその適用期間を制限されてきた。
 これは大体10年間程度の法律の適用を予定し、その後の取扱いについては、
@原子力の研究開発の進展に伴う安全性の一層の向上
A民間責任保険の担保範囲の質的(内容面)・量的(金額面)拡大
B国際的な原子力損害賠償制度の拡大充実
を踏まえて、その時の判断において必要に応じた法改正を行うことを意図したものである。

 

2.法第10条及び法第16条の適用期限を延長する必要性

(1)補償契約の存続の必要性

 @法第10条の趣旨
 民間責任保険契約では担保できない原子力損害、すなわち、地震・噴火・津波による原子力損害、正常運転に伴う原子力損害及び事故後10年経過後の請求によるものに関し、政府が事業者と補償契約を締結し、責任保険契約の穴埋めをすることにより、被害者の保護を図るものである。

 A従来、責任保険契約では担保できないとされてきた原子力損害

 イ、地震・噴火・津波による原子力損害
 ロ、正常運転に伴う原子力損害
 ハ、事故後10年経過後の請求によるもの

 B
これらの原子力損害については、海外再保険機構で引受けを拒絶されること等の理由により、責任保険の担保範囲に含めることは困難であるとされてきたが、法目的である被害者の保護に万全を期すために、現在でも責任保険で担保できない範囲については、補償契約による担保を存続させる必要がある。

(2)国の援助の存続の必要性
 @法第16条の趣旨
 万々一賠償措置額を超える原子力損害が発生した場合、被害者の保護に遺漏なきを期すとともに、事業者の経営を脅かすことのないよう、政府が必要と認めるときに国会の議決の範囲内で補助金の交付、低利融資等の方法により必要な援助を行うものである。

 A国の援助の存続の必要性
 イ、
原子力の研究開発は日々進歩し、原子力利用の安全性は向上しているものの、極めて考えにくいとはいえ、賠償措置額を大きく超過するような予期せぬ事態の発生の可能性を完全に否定できるとは言い難い。

 ロ、
原子力事業者については、全体としては総資産の増加等により賠償資力は向上している。しかしながら、現時点でも原子力事業者間で資力の格差があることも否めず、すべての事業者が万々一の事態の場合に、賠償措置額を超える損害を速やかにてん補し得る賠償資力を確保していると断言することはできない。この点を被害者の保護及び原子力事業の健全な発達に資するという法目的に照らせば、引き続き国の援助の必要性は残されているとしなければならない。

 ハ、
諸外国の例を見ても、賠償措置額を超えるような大規模な原子力損害が生じた場合、国の補償や議会決定に基づく措置等の形で国が関与し、被害者救済に遺漏なきよう対処している。

 ニ、
万々一大規模な原子力損害が発生した場合、いかなる事態でも被害者の保護に遺漏なきを期すよう国が援助することとする規定は、原子力に対する国民の不安感を除去し、国民の理解と協力を得るうえで重要である。

 B以上より、国の援助は現状どおり存続させる必要がある。

3.適用期限の延長とその期間

 以上のように、法第10条及び法第16条は適用期限を延長することが必要であるが、その期間については従来どおり約10年という期間における我が国の原子力研究開発の進展に伴う安全性の向上、民間責任保険契約の引受能力の拡大及び国際動向等の諸情勢の変化を総合的に勘案し、国の措置を見直すことが必要であると考えられる。
 従って、補償契約及び国の援助については従前と同じく、10年の延長にとどめることとする。

         

以 上