「高速増殖炉懇談会報告書案に関するご意見を聞く会」
会議録









平成9年11月7日(金)開催
於:科学技術館 サイエンスホール






1.日 時 :平成9年11月7日(金)18:00〜21:00

2.場 所 :科学技術館(千代田区北の丸公園) 地下1階 サイエンスホール

3.主 催 :原子力委員会高速増殖炉懇談会

4.出席者 :
発 信 者 :事前に抽選で選出された一般の方22名
懇談会委員 :住田委員(司会進行役)、近藤委員、小林委員、吉岡委員、内山委員
事 務 局 :科学技術庁 原子力局 森口動力炉開発課長
       通商産業省 資源エネルギー庁 荒木新型炉開発企画官
オブザーバー:動力炉・核燃料開発事業団 動力炉開発推進本部 相澤副本部長
聴   衆 :115名

5.概 要:
【事務局(森口)】それでは、時間もまいりましたので、ただいまから「高速増殖炉懇談会報告書案に関するご意見を聞く会」を開催いたします。私は、高速増殖炉懇談会の事務局を務めさせていただいております科学技術庁原子力局動力炉開発課長の森口でございます。
 本日の会は、高速増殖炉懇談会の主催ということでございまして、司会進行につきましては、高速増殖炉懇談会の委員の方にお願いをいたしております。
 会を始めます前に、事務局の方からご説明と連絡事項をちょっと申し上げたいと思っております。
 まず、発言希望者の選出、本日20名、それから補欠ということで2名の方おいでいただいているわけですが、発言希望者の選出につきまして簡単にご説明申し上げておきますと、本日のご意見を聞く会に対しましては、27名の方からご発言の希望がございました。時間の関係もございまして、先月の31日にプレス関係者の立ち会いのもとで抽選を行いまして、その中で20名の方、それからあと補欠ということで2名の方を選ばせていただいております。
 従いまして、本日は22名の方にお越しいただいているということでございます。限られた時間の中で、多くの方にご意見を述べていただくということでございますので、時間厳守の方についてよろしくお願いしたいと思っております。
 それから、傍聴希望の方々でございますが、往復はがきでご応募いただきまして、170名の方が傍聴に来られるということになってございます。
 それから、本日のこのいろいろご意見を聞く会ということでお伺いするわけですが、このご意見の取り扱い、あるいは書面でご意見をいただいているわけですが、その取り扱いにつきまして、簡単にご説明申し上げたいと思います。
 一応書面の方は14日、あと1週間ございますが、14日に締め切りということでございます。今も意見が寄せられつつあるわけでございますが、この集められたました意見につきましては、懇談会の委員にお送りしまして報告書案に反映させるべき内容であるかどうか、またその理由はどうであるか、そういったことを検討していただくということにしております。
 その後で、次回の懇談会というのは28日に予定をしておるんですが、その前にすべての委員にコメントを付したものをお送りしましてコメントをいただく。そういうものをやりとりをした上で28日に懇談会にお諮りして議論をしていただくということでございまして、一応本日のご意見でありますとか、書面によるご意見について、懇談会の委員の方々によって事前に議論をいただいた上で、それを次回28日にお諮りする、そういうことを今考えてございます。
 それから、あと事務的な話で恐縮ですが、既にお配りしておりますけれども、傍聴者へのお願いということで、その分だけ読み上げさせていただきますと、8点ほど協力をお願いしたい点がございます。
 1点目は、会場内は禁煙となっておりますので、喫煙はロビーにてお願いしたいということ。
 それから、写真撮影、ビデオ録画につきましては、傍聴の方々にご迷惑のかからないようご使用いただきたい。
 それから、OHPの使用中はストロボのご使用はお控えいただきたい。
 それから、会場、ロビーでのビラ、チラシ等の配付はご遠慮をお願いしたい。
 それから、会場内への拡声器、垂れ幕、プラカード等の持ち込みは、傍聴の方々のご迷惑になりますのでお控えいただきたい。
 それから、開会後は議事進行の妨げにならないように静粛にお願いしたい。
 それから、会場からのご質問はご遠慮をお願いしたい。
 それから、会場内では携帯電話、ポケットベル等はバイブレーターモードでご使用いただきたい。
 その他、係の指示に従って議事の円滑な実施にご協力をお願いしたいということでございます。
 それでは、本題のほうに入りたいと思います。先ほど申し上げましたように、司会進行役は高速増殖炉懇談会委員の住田裕子委員にお願いしたいと思っております。住田委員、よろしくお願いいたします。
【司会(住田)】司会進行役を務めさせていただくことになりました住田でございます。本日はたくさんお集まりいただきましてありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速ですが、議事を進めさせていただきます。
 まず初めに、本日、ご出席いただいております高速増殖炉懇談会委員から一言、ごあいさつをいただきたいと思います。
 まず、小林委員、お願いいたします。
【小林】一言ということでしたけれども、二言か三言になるかと思いますが、本日は遠いところからおいでになった方もいらっしゃいまして、本当にご苦労様でございます。また夜間にわたる会合でございまして、これも本当にご苦労様でございます。
 本日の報告書案ですけれども、FBRの技術を将来にわたるエネルギー問題の解決の一つとして選択するということの可能性を残す。そのために研究開発をするという、そういうことでありますが、個人の意見は言わないことにはしていますけれども、危険なナトリウムをエネルギー材として使うということについては、FBRというものがなくて済むものならそれでもいいと思います。しかし、日本の将来にわたるエネルギー問題に、この可能性を残しておく必要があろう。特に子々孫々のためにそれを安全なものとして、エネルギー開発、あるいは環境問題その他も含めてこれが必要であろうという結論に達し、座長に私もその一任ということになったわけですけれども、いろいろと懇談会にも私個人としては発言をしてまいりましたけれども、それをかなり盛り込まれましたので、特に地元のこととか、あるいは計画の修正とか、そういったことも盛り込まれましたので、一応、座長一任という判断を個人的にいたしました。
 「もんじゅ」の再起動については、地元の納得も必要ですから、これからいろいろ山坂あると思いますけれども、本日の会合では、皆様のご意見を十分に聞いて、課長が申しましたように、反映すべきものはこれを反映して、また懇談会に報告をし、最終の決定ということになると思います。
 今日は十分に、いつも思っていらっしゃることを発言をしてもらいたい。私たちも、それを注意深くお聞きをしたいと思います。以上です。
【司会】続きまして、近藤委員、お願いいたします。
【近藤】近藤でございます。
 円卓会議からの議論を経て、この高速増殖炉懇談会が設置され、長いというご意見をありましたし、また短いというご意見もありましたが、議論を経て報告書の案をまとめて、今日ここに皆様のご意見を伺うという会にたどりついたということに関しまして、私は西沢座長、今日いらっしゃいませんけれども、敬意を表したいと思っておりますし、また今回の様々な機会に、いろんな形でご意見をお寄せいただいた皆様方にも感謝したいと思います。今日はまた特にご発言、ご意見を、申し述べられたいという方のご意見を身近に聞けるということで、注意深くお聞きして委員会の報告書の取りまとめに反映するべく、私自身一助のリソースにさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【司会】続きまして、吉岡委員、お願いいたします。
【吉岡】吉岡です。今日は、多数ご参加いただきましてありがとうございます。
 私は、高速増殖炉開発中止を求めてきた者なんですけれども、この間の懇談会、半年以上にわたりますけれども、そこにその結果としても私の見解は変わりませんで、結局、少数意見というものを付けさせていただきました。多数意見が15名、少数意見が1名という、そういう比率であるわけですけれども、この皆さんの20名のご意見というものを見てみますと、比率が違うんじゃないのかというようなことを、失礼な言い方ですけれども、感じまして、もしかしたら、私が少数派ではないかもしれないというような、そういう印象を持ちました。
 それは勝手な感想ですけれども、全体として見てみて、非常に力作が目立つというように、失礼な言い方ですけれども、非常によく考え抜かれた意見が出ているというふうに思って気を強くしております。
 皆さんの今日出された意見というのは、ぜひ報告書の中に大々的に反映させたいなというふうに思いますので、皆さん、ぜひ伸び伸びと力強く議論していただければ幸いでございます。よろしくお願いします。
【司会】最後に、本日、司会進行役を務めさせていただきます弁護士の住田です。現在、住専の不良債権を処理する、住宅金融債権機構の弁護士として、中坊公平社長のもとで、国民の方にこれ以上の税負担をかけないようにという形で、日々努力をしている最中です。実際のところ、これまで科学技術とは、原子力ということについて、全く専門知識は持ち合わせておりませんでしたけれども、委員になりまして勉強を重ねてまいりました。今夜はできるだけ多くの方々のご意見をいただきたいと思って参りました。
 ご意見を伺ってこれからの参考にさせていただきたい、またさらに考えていきたいと思っておりますが、不慣れな司会進行役で、しかも、非情のベルを鳴らす役割を仰せつかっていますので、お話になっている方、言い足りない方はまた後ほど文書でいただきたいと思いますし、次のお待ちの方の意見、それから実は、予定以外の方にも今日はご発言をいただくということで、お待ちになっていらっしゃる方もありますので、時間厳守のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、同じく高速増殖炉の懇談会委員の内山委員は、会の途中からいらっしゃるということになっております。
 それでは、議事を進めさせていただきます。
 恐れ入りますけれども、時間の限りがありますので、まず10月14日に公表されました原子力委員会高速増殖炉懇談会報告書案につきましては、今日は本当はご説明をする時間をとっていたんですけれども、できるだけ多くの方のご意見をいただきたいということで、本日、お集まりになっている皆様方には、改めて報告書案の内容はご説明することは省略させていただきたいと思います。お許しください。
 なお、事前にご連絡しましたとおり、本会の趣旨は報告書案の内容に関する皆様のご意見をいただくということものでありますので、個人的見解については、こちらのものについては控えさせていただきますので、それもよろしくお願いします。
 なお、本日のご意見を聞く会を開催するに当たり、ご発言を希望された方の中から20名の方を抽せんにより選出させていただきました。お一人当たりの持ち時間を7分としております。ご発言は5分を一つの目途かと思います。ですから、4分で予鈴を1回鳴らしていただき、5分でベルを2回、ここで本当は打ち切っていただきたいところですけれども、最後、まとめていただくということで7分になると、強制打ち切りもやむなしという意見もございますので、恐れ入りますけれども、皆さんの意見を、今日お待ちの方全員の方はぜひいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。なお発言の順番は事務局で受付順とさせていただいたと聞いております。
 それでは、早速、意見番号1番の井上正男さん、お願いいたします。
【井上】それでは意見を申し上げます。
 新聞社で科学技術担当の論説委員をしております立場から意見を申し上げます。
 懇談会が「もんじゅ」について最終報告書を提出に当たり、以下の3点について報告に盛り込まれることを希望したいと思います。まず結論を先に述べ、その後、その理由を述べます。
 第1は、「もんじゅ」運転再開にあたっては、原子力安全委員会の安全審査を受け直すことを報告書に盛り込んでほしいことです。すなわち第3章「高速増殖炉の意義」を第4節「まとめ」の末尾、「実用化の可能性を追求するための研究開発を進めることが妥当と考えました」の後に、「ただし、「もんじゅ」の運転再開にあたっては、国の安全審査を受け直すことが条件です」と加筆します。
 第2は、将来の外部評価にあたっては、常に開発中止を求める評価委員の声を盛り込むよう報告書に明記して、国民の判断のよりどころを提供すべきであると思います。このことが具体的に盛り込まれていない外部評価書は認めないというぐらいの見識を、懇談会の委員は持つべきです。すなわち報告書案の第4章「今後の課題」の第3節「コスト意識云々……」の末尾、「定期的な外部評価の仕組みを制度化することが必要があります」に続いて、次の文言をぜひ追加してほしいと思います。「制度化するにあたっては、中止を求める立場からの意見も外部評価に盛り込まれることが必要です」。
 第3は、外部評価の結果次第では中止もあり得るという文言をはっきり報告書に盛り込んでほしい点です。すなわち第4章「今後の課題」の第3節「コスト意識云々……」の終わりの部分「高速増殖炉計画に重大な問題が発見された場合には、直ちに同計画の中止をも含めた抜本的な再検討を行わなければなりません」と、「中止も含めた」を加筆してほしいと思います。最終案づくりの座長記者会見で座長は、見直しには中断、中止も含まれると発言されておられることから、このことは容易にできると思います。
 続きまして、それぞれの理由を簡単に述べます。
 第1の安全審査を受け直すことを望む理由は、「もんじゅ」の蒸気発生器の細管が破局的に次々に破断する可能性が、最近の「もんじゅ」の総点検でわかったからです。発生器内でナトリウムと水が背中合わせで熱交換をする仕組みになっており、破断で両液体が接触すると、爆発的な発熱反応が起きます。6年前の美浜原発の細管破断事故とは比較にならない惨事が起こらないとも限らないと思います。ナトリウムの漏れの問題だけではなく、さらに炉心で核反応を確実に制御する技術が確立していないとの原子力専門家の指摘があることです。これは報告書案の安全性項目でもふれられているボイド問題です。原発大国フランスの高速増殖炉・実証炉「スーパーフェニックス」の実用化中止も、経済性に見合わないという理由の他に、このボイドというこの難問を根本的にクリアできていなかったからであると思います。
 第2の外部評価において、開発中止を求める意見もつけ加えることを望む理由ですが、開発中止を求める委員の意見は、日本が直面しているエネルギー情勢についての認識に偏りが見られ、全面的には賛成できません。しかし、そうした批判の声は、国民の中にも根強いことを推進派は軽視してはならないと思います。
 第3の中止も含めたと文言を挿入する理由ですが、中止もあり得ることを明示することは、一度動き出した巨大プロジェクトが無用の長物になっても、あるいは長期の初期の目的が達成できないとわかっても、中止をすることが難しい日本の現状を転換させる契機になることです。長期にわたる巨費投入が、必要な巨大プロジェクトは国民の支持なくしては成功しないと考えます。
 最後に一言つけ加えれば、私は「もんじゅ」建設地である福井県の出身者です。そうではあっても、冷静に考えると、核燃料サイクルの確立は長い目で見て必要であり、安易な原発たたきは慎むべきであると考えています。地元民の一人として、報告書が遵守されて計画が進み、地元民が安心できるよう、外部評価の扱い方などを含めた報告書のフォローアップ作業が、今後も何らかの形で続かれるよう、特に希望したいと思います。
 報告書案についての意見は以上のとおりです。終わります。
【司会】どうもありがとうございました。
 では、2番の山崎孝さん、お願いいたします。
【山崎】ご紹介いただきました山崎です。
 私の意見は、2−1番から2−6番までであります。6枚出しましたので、かなり早くやらないと間に合わないと思いますのでやります。
 立場をご説明いたしますと、私は、科学技術庁関係の特殊法人の労働組合でつくっております議長をやっております。当該の動燃の労働組合である動燃労も7年前までは、私どもの一員でしたけれども、出ていってしまいました。で、ありますので、動燃の労使関係についても、知っている立場からこの意見を出しました。
 それで、まず1番目の2−1でございますけれども、国民の不安感、不信感、云々かんぬんを払拭しなければいけないと書いてあるんですけれども、このベースになっているのが、8月1日に出ました動燃改革検討委員会であります。これは、傍聴を通して見守ってきたんですけれども、この内容は極めて不十分であります。
 まず、委員の選出過程が不十分であると同時に、書き方も動燃の病状とか何についても言っておりません。本来、今日の動燃の状況というのは、動燃病ないしは原子力病だと総括すべきであります。しかし、日本病と総括して全然逃げちゃっているわけであります。それで結局、来年の秋ですか、新法人に看板のかけかえをして逃げようとしているというのが、今日の状況じゃないかと思っております。このようなことで、国民の不安感とか不信感をぬぐうようなことは全く不可能であるということを、まず申し上げたいというふうに思うわけであります。
 それから、2−2でございます。安全確保について、関連従事者一人一人の責任感の徹底が必要であるということを、5ページとか13ページに書いてあります。それは一人一人は重要であります。しかし、なぜ動燃が事故隠しであるとか、虚偽報告に走ったのかということを書かれた方はご存じないと思います、これでは。
 なぜ動燃が事故隠しとか虚偽報告に入ったかというと、最初に書いてありますように、事故を起こすと仲間の労働者からいじめに近い仕打ちを受けるんですね。このような状態は、動燃だけではございません。「もんじゅ」の温度計をつくりました石川島播磨でも同じでございます。そうなると、やはり人間身の保全に入っていっちゃうんですね。そのためにどうしても、場合によってはうそでもついちゃおうということなんです。特に例えば石川島播磨なんかは、とにかく個人攻撃をやって、事故の責任を個人にすべて転嫁してしまう。組織的総括は一切なされないという会社だというふうに、私は聞いております。こんな会社とか組織には未来はございません。こういうふうに一人一人の責任感の徹底なんていう前に、まず動燃とか石川島播磨は、組織としての総括をなすべきだというふうに思うわけであります。
 それから、2−3番でございます。ほとんどの国がこういう開発をやめているわけですね。やめた理由として、経済的理由とか書いてあるわけなんですけれども、日本もご存じのとおり、500兆円にものぼる赤字なわけです。何か世界一の赤字になっちゃったと言っているわけですね。フランスも同様なんですけれども、なぜ日本だけがやろうとしているのかということが全然書いてないんですね、この報告書には。要するに日本も真っ赤っかなんだけれども、それでもやらなくちゃいけないという迫力が全然感じない報告書であると言わざるを得ません。これではやはり納得できないということになると思います。
 それから、2−4でございますが、国民の理解の促進と合意形成でございます。8月末に動燃の東海事業所に見学に行きました。このときの動燃職員のとった態度には驚きました。構内に入れる条件として、バスからおりるな、それから写真は絶対撮るなということでしたね。結局。これはここに書いてありますように、サファリ・パークと同じだと思いました、はっきり言って。要するに猛獣扱いですね。国民なんか信用していないし、ばかにしているんですね。こんな動燃でどうして国民の理解促進と合意形成なんていうことが図れるんでしょうか。まあ、先生方とか科技庁の方が行けばそんな態度はとると思いませんけれども、国民の前では残念ながら動燃職員というのは、人をばかにした態度をとるものだと、私は理解いたしました。
 それから、2−5でございます。「動燃の体質の問題であり」と書いてあるんですけれども、報告書を書かれた方は、動燃の体質がどこが問題なのかというのをご存じなのかと思うんですね。
【司会】あと一言でお願いいたします。おまとめいただけますか。
【山崎】ここに3点書いてあります。こういうようなことをよく勉強していただきたい。あまりにも知らな過ぎると思います。これは動燃改革検討委員会の委員の方もそうでした。動燃の体質というんだったら、何が問題なのかというのを言っていただきたいと思います。
 それから、最後の2−6でございますが、既にこの関係では、「もんじゅ」だけでも6,000億円、関係では1兆円以上の金が使われた。あといくら使ったらどうなるのかという展望も何も見えません、はっきり申し上げて。500兆円も赤字の中において、いくらでも使ってもやるのかということを言っているとしか思えない報告書なんですね、はっきり言って。いくらどの程度使えばどうなるとかという展望を示して、これは国民に判断を求めるべきじゃないかというふうに思うわけであります。それなくしてこの報告書は、非常に欠陥の多い報告書だというふうに思っております。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 それでは、3番の坂本国明さん、お願いいたします。
【坂本】簡単に意見を申し上げたいと思います。私は、茨城県の東海村から風下60キロぐらいのところから来ているわけです。当然、皆様ご存じのように、動燃の再処理工場の事故というのは、私たちにとって非常に大きな衝撃でありました。再処理工場の本体がもし同様の事故を起こしたとすれば、私たちの生活だとかそういうものが踏みにじられる可能性があるからです。核燃料サイクル施設というのは、周辺の人々に日々ストレスを与える施設であるということを、まず委員の皆さんに真剣に考えていただきたいというふうに思っています。
 高速増殖炉懇談会のメンバーを見ますと、推進論者の方が多数入っておられます。私たちがそういう懇談会を見ますと、非常にまやかしに見えるということは、率直に言っておかないといけないというふうに思います。したがって、その結論がいかなるものであっても、私たちはそこに何らかのまやかしがあるのではないかというふうに考えざるを得ないということであります。こうした不公正な検討の仕方、あるいは推進の仕方こそが、高速増殖炉開発にずっと伴ってきたことであろうというふうに思います。問われるべきはこうしたやり方そのものだろうと思います。
 高速増殖炉開発というのは、戦後直後始まりまして、既に50年が経っているわけです。この間に投入された資金だとか労力だとか様々なものを考慮したとしても、依然として何らの明快な判断基準が見えてこないというのは、これは技術的にも相当大きな根本的欠陥があるというふうに見なければいけないだろうというふうに思います。
 例えば経済性、あるいは安全性は実証できたのかどうか、あるいは高速増殖炉という技術が社会と調和するものなのかどうか、ほとんど明確に立証されてはいないということです。例えばプルトニウムの利用が広範になれば、当然のことながら、核物質の不明核物質量を、通称いわゆるMUFというものでありますけれども、MUF量が増大する。こういうことが世界中に広まるとすれば、核兵器を持とうとする国が生まれてくるのを阻止することができない。つまり、核不核散体制そのものを崩壊させてしまう可能性がある。こうしたものが、本来、将来のエネルギーの選択肢であり得るはずはないというふうに思います。常識的に考えれば、高速増殖炉の研究開発というのは、とっくに放棄されていて当然なものであろうというふうに思います。
 もう一つ、高速増殖炉の研究開発には、資金的に、あるいは時間的な制約を設けるべきであるということを申し上げたいと思います。際限なく研究開発費あるいは時間を使い続けるというのは、これは大変問題であろうというふうに思います。例えば5年以内に他の新エネルギーとの比較であるとか、様々なものがいろいろな角度から検討されて評価され、その上で高速増殖炉の開発はどうかというふうに、問題が立てられるのでなければ、ほとんど意味はないのではないかというふうに思います。
 当然、新エネルギーだとか様々なものと比較した結果として、それがふさわしくないという結論であるとすれば、即刻やめるべきだというふうに思います。実を言えば、高速増殖炉懇談会というのは、こうした新エネルギーだとかそういうものを含めた様々な角度から総合的に検討する、あるいは評価をし直しをするということがあってしかるべきだろうというふうに思います。しかし実際には、ほとんどその努力がなされていない。一定の結論が初めからあるかのような議論の立て方がされている。我々、こういうことではほとんど納得することができないわけです。
 最後に結論を言いますと、高速増殖炉の研究開発、あるいは「もんじゅ」の運転というのは白紙撤回すべきである。その上で先ほども言いましたように、新エネルギーだとか様々なエネルギーの可能性、あるいは先ほど指摘しましたように、安全保障の観点だとか、そういうものを全部ひっくるめて総合的な評価をし直したその結果を、国民の前に明らかにして再度議論をし直すべきであろうというふうに思います。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 続きまして、4番の北岡さん、お願いいたします。
【北岡】原発が今、世界最大と言われている柏崎の地元の方から今日はやってきました。
 大体言いたいことは、そちらにお配りをしてあるものに書いてあるんですけれども、要点は、これはものすごくいかにも子供じみた建前論であるということは、十分当たり前であるということで述べさせていただいていることなんですけれども、やっぱり電気は何のためにあるんだろうかという原点を問いたい気がします。今、高速増殖炉の研究開発がされているわけですけれども、それは電気をつくるためにやっているんだろうというふうに理解しています。またそのように理解していいものとも思っています。
 そうしたときに、電気は何のためかと考えたときに、明らかに苦しみとか憎しみとか痛みとか紛争とか、そういったものを増長させて世にはびこらせるためにやるのではないと思います。そういうふうにやってきたし、またそういうふうに思っている方もいらっしゃるかもしれないけれども、私としてはそうではない形で、ましてや国税を使われるような形の事業であれば、少なくとも国民のためには喜びの一助となるような形として電気が使われるし、使われるから、電気をたくさんこれからも確保しよう。そのような中でやっていらっしゃる方もいると思うし、そういう形で今後もいってほしいと思います。
 そういった前提から見たときに、私は将来のこととか、今のことを問題にしてほしいと思います。もう既に「もんじゅ」というものは、これだけのお金とこれだけの時間をかけた中で、確かに一部には希望とか喜びとか、職業の何かチャレンジの機会とかいろんな形で喜びもある程度の一部の方には、一部って数の問題ではないですけれども、主に私たちが払っているお金で実際に研究活動をされていたりとか、またそれによって潤っている方においては、ある種の間接的な喜びはあったかもしれないですけれども、本命の電気をつくる目的とかその周辺ということでは、これも数の問題ではないんですけれども、署名すれば本当にあっという間にものすごい数が集まるような形で、少なくとも不安は抱いていられるわけですね。懸念とか恐れとか、人によってはもっと本当に、それは多分、当てはまると思うんですが、実際にその辺で原発をおいている身近な者にとっては、場合によっては本当に死の恐怖とか、将来の絶望を感じるほどの重さを持って、そういうものじゃないかと思います。
 それがある程度代弁できるんじゃないかと思って言わせていただくんですけれども、そうしたときに、これからどうするかというんじゃなくて、もうすでにつくり出してしまった苦しみについてどうにかしてほしいです。それにおかしさを感じてほしいです。何かよかれと思ってやっていることに、苦しみを減らして喜びを増やそうと思って電気でやることで、エネルギーを確保することで、それ自身が既にかなり多くの人にかなり強い程度で、苦しみや目的に反することを既になし遂げている。それは確かに誤解もあると思います。いろんな形でその人自身の問題に起因することもないとは言いません。でもそれは研究を進める人にもあり得ることです。誤解で良かれと思っているかもしれないんです。まだその結論は出ていないと思います。
 だから私としても、必ずしも絶対だめだとは思いませんけれども、少なくとも既につくってしまった研究開発での苦しみや傷みをほどいてください。やりたいと思う方は自分たちがやりたいことで苦しみをつくったし、またやってほしくない人が生じている。その人たちがやってほしくないという気持ちに対して答えてほしい。その人たちからもお金をもらってやっていることなんですから。自分たちのやりたいことのためにやらしてもらっている人たちが苦しんでいる、やめてほしいと言っている、でも結果としては許してやらせているんです。実力行使でやめさせることとかしてないんですから、許しているんです。
 ですから、せめて感謝の気持ちとしてでいいですから、実際にやりたい人、やっている人、しかも安心してやれているならばなおのこと、不安であったりやりたくない、やってほしくないという人たちに直接出向いて説得してほしいです。納得させてあげてほしいです。大丈夫だと、必要なんだと。それで共に希望を持って喜びを持って進めるような形でやってほしいです。そうでなければ、本当に懇談会なんか出てきますけれども、人類のためとか地球の恒久資源とかそういったことまで考えていらっしゃる、それはそれで偉いと思いますけれども、この現状ではとても無理だと思います。これだけ苦しみを生んでしまっているようなものに、そんなに希望はないと思います、今のやり方では。
 ですから、まず今まで生んでしまった苦しみとか懸念や不安に対して、答えることを関係者はやってほしいです。やりたいという方たちはです。またそれだけの知識もあるし経験もあるし、いろいろと納得させる材料もあるはずです。
【司会】おまとめいただけますか。
【坂本】にもかかわらず、できなければやめてください。そうすれば、今度はやりたかった人は不安になるでしょうから、その不安に対しては答える用意があります。一緒にどうしたらいいのか考えていけばいいんです。エネルギーや何かをそんな一部の人だけが考えることじゃないんです。その人たちだけのものじゃないんですから。その中には、ここにも述べてありますけれども、よりすぐれたエネルギーや環境問題に対するやり方もきっと出てくる可能性はあります。でも、それはあくまでも納得させなかった場合、不安を解消させれなかった場合、やってほしいというふうにならなかった場合ですけれどもね。もしかしたらば、みんな納得できるかもしれないから。そういった前提で述べさせていただいております。
 あくまでも最後にあるように、喜びが増えていくような、喜びの高速増殖炉なような研究開発でなければ、喜びの未来を支えるような技術であり、政策であり、自分たちの選択とはなり得ないと思います。よろしくお願いします。
【司会】ありがとうございました。
 続きまして、5番の奥出さん、お願いします。
【奥出】私は、原子力は日本のエネルギー保安上必要であり、高速増殖炉無くしては原子力エネルギーの有効利用はあり得ないものと考えます。ただ、現在の「もんじゅ」、これは客観的に見ますと、スケールメリットを追求するという前提で、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉と、スケールメリットを追うがための大型化を前提にした開発手法をとっているところに問題があったんじゃないかと思います。
 ご承知と思いますけれども、現在、電力会社が発電に使っておりますいろいろな手段の中で一番競争力があるのはコンバインドサイクルです。これは従来、最も高効率だと思われていた超大型の蒸気タービン、超大型の石炭あるいは石油、ガスを燃やすボイラーの組み合わせに対して、ジェットエンジンから点火したいわゆるモジュール化された小型のユニットの組み合わせででき上がっております。この超大型のものが、小型のモジュール化されたものの組み合わせに圧倒されて、今や発電原価の面で影が薄くなってきています。
 そういう意味で今の「もんじゅ」、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉というスケールメリットを追うことが、本当に正しいのかどうか。モジュールを前提にした学習効果、あるいは大量生産効果を追求する形での経済性の追求というものも、ここでもう一度見直す必要があるのではないかと思います。
 ご承知と思いますけれども、今は前向きには進んでおりませんが、高速増殖炉の開発の面でも、例えばアメリカはクリンチリバーの原型炉が中止になった以降、PRISMというものの検討が始まっております。これは完全にモジュール化されたものでございます。
 それから、ロシアでもBN600で一応運転はされていますけれども、BMN170という、やはりモジュール化されたものに対する検討がなされているようです。
 韓国も、カリマーというやはりモジュール化されたもので、将来の原子力開発計画を進めようというふうな話も進んでいるようです。
 ここで思い出しますのは、例の恐竜、あるいはマンモス、非常に大きくなったがゆえに、環境に対応する能力を失っている前例がございます。ここでやはり我々は素直に、今の超大型化というものが本当にメリットを我々に与えてくれるんだろうか、経済性を本当に与えてくれるんだろうか。スケールメリット対ラーニング効果といいますか、学習効果、あるいは量産効果、そういうものでの経済性との対比をここで素直にやってみる必要があるんじゃないかと思います。
 現在の成熟された工業製品の中でも、やはりモジュール化あるいは標準化が進んでいるものほど、国際競争力、あるいはライフサイクルが長くなっているんじゃないかと思います。高速増殖炉でやはりモジュール化するということを前提に考えてみますと、固有の安全性ですとか、金属燃料の採用、ナトリウム火災の完全窒息消火など、炉自体の安全性の格段の向上につながり得る可能性を持っていると思います。
 それから、実験炉、原型炉、実証炉とスケールアップをしていく過程では、必ずスケールアップに伴うリスクが付随してまいります。これは余分な出費の原因になっており、そのために大型化の過程で高速増殖炉そのものが経済的に否定されてしまったと考えても、よろしいんじゃないかと私は考えております。
 それとモジュール化あるいは標準化ということは、原則として工場等の内部でコントロールされた環境下で物がつくられますので、すべて現場で組み立てるものに比べますと、品質が高く、それからミステークによるトラブルの発生も非常に少ないんじゃないかと思います。それと、日本で一番問題になっています耐震設計ですが、3次元の免震システム等が採用しやすいんじゃないかと思います。
 それと、核不拡散の立場から国際的に求められております発電設備、再処理設備、燃料製造設備の共同立地も非常にしやすいんじゃないかと思います。
 それから、我々日本として、非常に得意といいますか、いわゆる自動車の加工技術ですとか、造船の自動加工ですとか、我々が得意な分野、工業技術、あるいは工業的な能力をこういったモジュール化、あるいは標準化された品物をつくる場合に、ラインに組み込める可能性が十分あります。
 そういった意味で我々としましては、あるいは私としましては、「もんじゅ」があるからこれをただ、その延長線上でやるというのではなくて、もう一度経済性を追求する上で、スケールメリットがいいのか、あるいは学習効果がいいのか、あるいは大量生産効果がいいのか、そういう見直しをやった上で、「もんじゅ」がその最善なものの選択のために、どういうふうに役に立つかという検討を再度やってもらいたいものだと思います。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 次は6番の吉村さん、お願いします。
【吉村】福井の敦賀からまいりました吉村です。
 私の意見は、先ほど配付されました中に書いてございますが、端的に申し上げて、大半の住民は「もんじゅ」の運転再開に反対をしている現在、あの結論は再考を求めたい、このように考えております。
 まず1つの理由は、高速増殖炉懇談会、それからその前に動燃改革検討委員会、動燃改革検討委員会で、既に私は方向づけがされておると思うんです。
 1つは東海村における再処理、それから、高レベル廃棄物、これを継続してやりましょう。敦賀の「もんじゅ」については、新しいこの動燃の組織でこれもやりましょう。その上でこの高速増殖炉懇談会が結論を出そうとしておられる。既に高速増殖炉懇談会の前に、動燃改革検討委員会で結論が出されておるのではないか、方向づけが。それがまず1つ。
 それともう一つは、この前も敦賀で、原子力安全委員会主催で意見を聞く会といいますか、説明会があったわけですが、今、原子力安全委員会が国民から意見を求めて最終報告を出そうとしているわけです。その中では、はっきり言いまして、原子力安全委員会がワーキンググループにおろしたものを、一応技術的な検討資料として報告を出しました。その報告書をもとにして今、論議をしているわけですが、原子力安全委員会は、「もんじゅ」の事故に対する最終評価をまだ出していないんです。その段階で、なぜ懇談会が先走って結論を出してくるのか。ここがまず第一に私たちは疑問なんです。
 そういう観点から言いますと、まず、あの「もんじゅ」の事故についてきちっとした評価をする、そのことが前提でなければならない、こう考えております。これが一つです。その上に立って、懇談会として、その評価を見た上で懇談会としての方向づけをしてほしい。
 それから、この懇談会が東京で十数回会合を重ねて一応案をつくりまして、そして公示をしたわけですね。しかし、少なくとも実際問題として、F懇として意見を聞いていく場合に、東京での会合だけではなしに、なぜ地元の福井県や、それからまた全国的にも幾つかの都市において意見を聞く会を開催をして、公開のシンポジウム等を開催をして、その中で意見を集約していく、こういう方向づけを私はしてほしかった。今からでも遅くないと思うんです。それをぜひやっていただきたい。
 そこでもう一つ申し上げたいのは、実は私たちは、「もんじゅ」について裁判を行っております。この裁判の中でまず原告適格が争われました。しかし、これは最高裁の判決ですべての原告に原告適格があるという判断が示されました。その判断の中で、プルトニウムという毒性の強いものを扱う以上は、一旦事故が起こってプルトニウムが放出をされた場合には、福井県と石川県の県境のところの原告でも、当然被害を受けるんだから、すべての原告については適格性がある。こういう判断を受けているわけです。これがまず一つ。
 それから、現在福井地裁を差し戻されて審議が進められておりますが、これは行政訴訟と民事訴訟と並行してやっております。この裁判も、来年の夏ごろには結審の予定であります。被告の国側の方は、非常に苦境に立たされておると私は見ておるんです。そういう点から考えまして、ぜひひとつ、懇談会の皆さんはもう一度、少なくとも最低限、福井県の地元の意見を聞く会合を持ってほしい。と同時に、今日も座長は見えておりませんが、これだけ国民から意見を聞くということであれば、座長自らがここへ出てきて20人の意見であっても、その意見を聞く必要があるのじゃないのかと私はそう思うんです。このまま高速増殖炉の開発を進めるということになれば、私は今問題になっておる新型転換炉「ふげん」と同じ運命を、「もんじゅ」もたどるであろうということを申し上げて、私の意見にかえたいと思います。以上です。
【司会】ありがとうございました。先ほど内山委員が到着されましたので、一言ごあいさつをお願いいたします。
【内山】電力中央研究所の内山です。大学の授業で遅くなりまして、申しわけございませんでした。
 私、懇談会においては、長期のエネルギー需給及びエネルギー技術評価、そういう視点から参加いたしました。個人的には懇談会及び今日の会のように、原子力が今での専門家集団の技術から、より国民に信頼されるような技術へ段々と近づいていき、これからの社会において、そういった形でどのように定着しているかということを、これをステップに模索することが大切ではないかというふうに思っております。よろしくお願いします。
【司会】お待たせしました。7番の吉成さん、お願いいたします。
【吉成】吉成でございます。私は、十数年にわたって原子力関係の機器システムの設計開発をやっていたということの観点から、意見を申し述べさせていただきたいと思っています。
 まず第1点目は、FBRは将来の我々にとって、我々人類、もちろん日本にとって必須の技術であるという点でございます。今までの、ここでなかったわけですが、皆さんご承知のように、これから人口は増える。これは発展途上国のみならず、多くの国で人口は増えるわけです。それと、それに伴って電力需要は増える。それから、クォリティー・オブ・ライフ、つまり広義の生活水準が向上するということで、エネルギーは必ずや増えていくわけでして、それをどういうふうに解消していくか、あるいは環境問題を解消すると同時に、この問題はどうやって解決していくかというふうな視点から、この問題をとらえなくてはならないかと思います。これは私が申すまでもなく、世に言われている話だと思います。
 その観点から、お手元の資料に7番目ということで、わりと細かい字でいろいろ書いてあるんですが、全部申し述べますとちょっと時間が足りないと思いますので、はしょって意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 12ページの下の(3)番、つまり、エネルギーを確保するということは、すなわち代替エネルギーをどのように確保するかというふうな視点になるわけですが、代替化石、それから再生可能エネルギー、それから原子力、はたまた言うならば蓄電ということもあるかもしれませんが、そのような中でどれを我々は選ぶか。即ち資源量とか環境面での制約、それからそういったものをすべて総合的に考えるという視点が、今までもなされているわけでして、その観点から世に言うベストミックスといいますか、それぞれの電源がそれ相応の分担をし、電源供給の役割を担う。特に我々先進国のような、技術先進国といいますか、原子力先進国といいますか、我々はそういった面での人類としての役割を担っていく必要があるかと思います。これから発展途上国の電力需要等も視野に入れつつ、そういったことを考えていく必要があるかと思います。そういう視点から見ますと、原子力エネルギーの資源、つまり、ウランを徹底的に食い尽くすといいますか、利用し尽くす。軽水炉から高速炉へという、従来の国の方針、これは適切なものだろうというふうに思っております。
 高速増殖炉を開発をするという観点から、今回の報告はその継続をするというふうにまとめられておるわけですが、その観点として、1つは、今まで投資した資金、これを有効に活用するという話、それともう一つは人材、今まで人的経験ということで積み上げられてきたわけですが、それを後代に残す、技術の維持継承を図るという観点で、高速炉の継続をするというふうに記載されております。これは非常に大切なことだと思うんですが、それに加えて、先ほども申し上げましたように、原子力、あるいは引いてはそのウラン資源を徹底的に利用し尽くす高速増殖炉というものが、これを実用化、かなりのエネルギーの分担を負担するということになりますと、高速炉については、核燃料サイクル、つまり、燃料のリサイクルということになりますが、ウランの再資源化、リサイクル、そういったことの関連技術がございます。つまり再処理、それから燃料成型加工、それから廃棄物処理処分、そういったものとの技術との整合性を図るといいますか、調和を図りながら開発するというふうなことが、大変必要かと思います。
 そういうふうな視点から、7ページの冒頭に報告書案として4点ほどコメントをさせていただいておりますが、1点目は、FBRの継続理由として、人材、費用の2点を挙げています。つまり、人材の確保、それから費用の効率的投資ということを挙げていますが、それに加えて、核燃料サイクルを構成する他の技術との研究開発の同時性ということも挙げていただきたいということと、それと研究開発には、これは非常に時間もかかります。そのために絶えず我々としては研究開発をし、つまり、従来を予測する能力を超えた時間がかかるかもしれません。つまり、将来、70年代に突如としてエネルギーショックが起こりました、そういった予測に十分答えられるように、常に我々は開発を続けていく必要があるかと思います。これが第1点目です。
【司会】おまとめください。
【吉成】それと第2点目、第3点目、第4点目に、少数意見ということで、吉岡先生がコメントされておりますが、2点目は、原子力から段階的撤退が最も合理的な選択ということがありますが、それに対しては、判断根拠、あるいは代替エネルギー源ということを合わせて示していただきたいというふうに思います。
 それともう一つは3点目ですが、3点目は、当選確率ということでFBRの成功確率ということがございますか、そういった観点でやられるときには、その反論も合わせて付記していただきたいというふうに思います。
 それから、最後の4点目ですが、これは、ハイテクを駆使した技術保存方策ということでございますが、これは私どもの経験からしますと、あまりにそれに依存するというのはリスクが大きいのではないかということでございます。以上で終わります。
【司会】ありがとうございました。
 続きまして、8番の平野さん、お願いいたします。
【平野】群馬から来ました平野です。
 今日お話しする意見は、皆さん、高速増殖炉のご意見を伺う会に、コピーしたものに書いてありますから、二重に発言になりますから、今日は12月から地球温暖化京都会議が開かれます。それに含めて砂漠の開拓を説明してみたいと思います。ちょっと読んでみます。
 現代、地球温暖化、酸性雨、砂漠化、オゾン層破壊、海洋汚染、熱帯林破壊、種の多様性の減少、ごみ問題等、地球規模の環境問題が特に注目されている。この中で地球温暖化の解決に一番関心が向けられている、これは主にエネルギー問題を解決することによりほとんど解決される。この問題を解決する一番の近道は、砂漠の開拓は最良ではないかと考えるので、砂漠の開拓の要旨を以下に示します。
 1番、太陽熱蒸発方式、比重採取方式で水と塩とリチウムが取れるわけですね。重水は質量採取方式で取れます。リチウムは、2次電気として現在でも経済的に実現可能です。
 2番目に、太陽電池が21世紀に実用化されれば、これで水素製造ができます。水の電気分解により、水素、酸素が取れます。残りに重水が質量採取方式で取れます。
 1番と2番のリチウムは3次用水素として重水は重水処理として核融合の燃料として、しかし、核融合の実現が21世紀の中頃なので、それまでの臨時的処置として核分裂のプルトニウム239を利用した新型中速中性子増殖炉、圧力容器型に重水を減速材、冷却材として使用。実際は重水、軽水の混合水です。これが皆さんにお配りしてあるご意見を伺う会にコピーしてあると思います。
 3番目としては、エネルギー植物ですね。これは青サンゴで石油のなる木です。主にこれは積水化成品工業が研究しております。上記は21世紀前半で経済的にすべて実現可能のものであると私は思います。
 太陽熱蒸発方式の適地ですね。一番適地はオマーンです。ルボアリス砂漠でやると一番いいと思いますね。次はリビアです。これはリビア砂漠です。3番目でオーストラリア、これはグレートサンデー砂漠ですね。最適地、経済地は、残念ながら特許制度がオマーンになかったんですね。太陽光発電の適地はオーストラリア、これはグレートサンデー砂漠ですね。アラビア半島はルボアリス砂漠、北アフリカではサハラ砂漠が適していると思います。
 それから、中速中性子を使った増殖炉は可能性があると私は思うんですけれども、それについて述べます。そこに書いてあります熱中性子体の中心が0.01から0.1の中性子エネルギーで主に使われているわけですね。高速増殖炉は、100キロ電子ボルトあたりから1メガ電子ボルトあたりでほとんど使われているわけですね。これが軽水炉と高速増殖炉のプルトニウム239の核分裂断面積です。
 これが中性子、つまり、1個のウラン235とかプルトニウム239が核分裂するときに、どのくらいの中性子が中性子エネルギー体であらわれるかということですね。そうすると、中速中性子の1電子ボルトから10電子ボルトの間、2.5以上の中性子が排出されるわけですね。ここで中速中性子の増殖炉が可能だと思うんです。
 時間が来ましたもので、中速中性子エネルギーをつくった増殖炉の可能性は、砂漠を開拓して重水を利用して中速中性子を利用した増殖炉ができるという、そういうことです。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 9番の栢さん、お願いいたします。
【栢】ただいまご紹介に預かりました栢明でございます。
 まず初めに、この意見を聞く会に発表させていただく機会を与えられましたことに関して感謝いたします。私は、原子力開発の推進の立場から意見を述べさせていただきます。現在、国際環境は、工業先進国を中心とした環境破壊、開発途上国における貧困と環境衛生、さらに人口増加、エネルギー需要量の増加等、非常に重要な問題と直面しているわけであります。来世紀中頃の人口100億を支えるには、さらなる経済発展とそれに伴う資源、エネルギー及び食糧等の大量消費が必然となります。これら環境保全の三要素を矛盾なく遂行しなければならない時期がまいりました。
 しかし、これら三要素は互いに矛盾し、三者併存は不可能であります。いわゆるトリレンマの構造を形成し、その焦点は迫りくる人類の危機であると提唱されているのであります。経済発展は、当然、大量のエネルギー消費につながり、化石燃料による温暖化、あるいは酸性雨等、引き続き環境破壊を促進することは明白であります。
 現在、世界において不可欠なキーワードは、持続可能な開発、すなわち次世代以後のニーズを損なうことなく、現世代のニーズを満たすような節度ある開発であると言われております。経済学の用語で、国際的な公共財が使用されますが、地球環境を保守することは公共財の供給につながるわけです。工業先進国は、企業活動の自由を節度あるものにする責務があります。その課題は当然、経済成長から環境保護への転換であり、一方、開発途上国に対しては、開発の推進と援助の増強であると、国際宣言にうたわれているわけであります。
 翻って我が国の昨今における生活様式と産業構造を見ますと、エネルギー多消費型に変化いたしました。日本の経済成長は、日本人の勤労意欲と技術開発性によるところ大であります。しかし、何といっても今日日本があるのは、途上国からの石油の大量輸入の恩恵に預かっております。日本が先の大戦に参戦した主原因は、エネルギーの安全確保のための領土侵略でありました。今日日本国民は繁栄に溺れていると存じます。真摯な態度で省エネルギーを唱える人口比率は、いまだに少数に過ぎないと推察しております。
 今後、省エネルギー感覚はどの程度まで浸透していくのか、我が国は、この地球環境保守のために、利己主義を抑制するモラリスト、及びエコロジストになり切れないでいるのが現状ではありませんか。省エネルギーのための規制強化を受け入れる心構えがあるのかどうか、確答を得るのは不可能にまだ近い状態であります。ましてや次世代の以後の人たちを説得するための論拠に苦慮することは必定であります。
 第二次世界大戦前後における日常生活観、日常生活難、それから、1970年代前半からの第1次石油ショック、また第2次石油ショックにおける経済危機に対して、我が国は技術開発力と勤勉によって今日のエネルギー消費のGDP弾性値を低下させることに成功したわけであります。そして今日の繁栄を見ました。
 石器時代から文化文明開化のその節目節目には、必ずエネルギーの消費増が見られ、それを支えたのは代替エネルギーの技術開発の成功にあったと確信しております。有力な選択肢であるこの原子力発電によるエネルギー確保を上げならなければならないと思っております。あまりにもクリーンエネルギーへの過度の思い入れで、自然エネルギーのみが唯一の選択肢であると考えるのは間違っていると私は考えております。
 さて、軽水炉に続く高速増殖炉の研究を単純に二分化することは、価値観が低いこと、また印象的、感覚的にとらえ過ぎるのではないか、この辺を危惧するものであります。
 最後に、次世代以後増加するエネルギー確保と地球環境の観点から、高速増殖炉の研究開発を中断または除外することに論理上の矛盾があること、我が国の代替エネルギーとしての原子力発電は、今日では安全面においても、世界に誇れる技術開発をなし遂げたのでありまして、それは実績が示すとおりであります。
【司会】ありがとうございました。
 では、10番の豊田さん、お願いいたします。
【豊田】豊田でございます。今日は個人的な見解を述べさせていただきます。
 先ほどお話がありましたように、化石燃料というのは、環境問題があるということで、使用を将来制限されるだろうというお話でありますが、私はその他に化学製品だとか衣料、その他の原材料として後世に残しておかなきゃいけないという責務があるのではないかと思います。そういった点からも、熱エネルギーだけに使うということは、今後差し控えるほうがいいのではなかろうか。したがって、それほど将来、多量に化石燃料を使うということは、資源の有限性だけじゃなくて、そういった点からも制約されるのではないか。
 21世紀後半の化石燃料以外のエネルギーとして、どういったものが期待されるか、省エネルギー、それから再生エネルギー、特に先ほどからお話がありました新エネルギー、それから原子力エネルギーとしては高速増殖炉、核融合発電、それからちょっとエネルギーという点から若干外れるかもしれませんが、ウラン寿命の伸延策、有効利用を含めた伸延策、そういうことでございますけれども、このうちいずれもかなり実用化、特に大量のエネルギーを獲得するには実用化は容易でなく時間がかかる。しかも、それが全部経済的になるかどうかはわからないということから、選択肢を増やして技術開発を進めていく必要がある。
 したがって、今後10年ないし15年、こういったものについての技術開発による実用化の見通しについて、厳正なるチェック・アンド・レビューを行って、この中から将来性の当分ないものについては廃止する。絞り込みをやることが必要だと。
 それと、今まで高速増殖炉を我が国で一兆幾ら、もうちょっと効率的な使用はできるんじゃないか。それから、こういう原子力以外の省エネルギーとかウラン寿命の伸延策、そういったものについても、やはりもっと適正な配分を行うべきで、どうも高速増殖炉と核融合炉に資金が少し多過ぎる感じを持っております。
 それで、ウラン寿命の進展につきましては、大体450万トン、今、経済的に採掘可能なものがあるということですけれども、探査技術とか採掘技術、精錬技術の進歩によりまして、もっと経済的に採掘できるものが必ず増えてくる。これは石油の例を見るまでもなく明らかで、倍ぐらいにはなるんじゃなかろうか。それ以外に、プルサーマルというのを今考えておりますが、プルサーマルでは、日本で1万トンの需要に対して、1千トンぐらいからの節約にしかならない。したがって、再処理で出てくる回収ウランは、これは技術的な問題で、ウランの236とか232の関係で、経済的に現在では、現在のガス核散法とか遠心分離法では使えない。そういうことがあります。
 それから、濃縮ウランの方も、現在のウラン価格では0.7%から0.3%まで濃縮できる。すなわち0.3%で使い捨てにしておるわけですけれども、これが原子法レーザー法になりますともっと増えてくるということでございます。
 それから、海水からのウランにつきましても、最近、450万トンのウランが海水の中に入っている。100倍ぐらいの捕集効率が原研のものによってしておりますので、インフラストラクチャーの問題さえ解決すれば、もっと有効に、これは経済的に捕集できる可能性がある。こういった方面にも、もっと研究開発費を回すべきじゃなかろうか。
 それから、高速増殖炉が実用化されるためには、やはり軽水炉との経済比較が問題になると思いますが、軽水炉の場合は、既にこういうものからこういうものに非常に単純化されてきております。こういったことを考えて、高速増殖炉の現在の、「もんじゅ」は運転の経験はもちろん必要でございますけれども、それ以外に今の実証炉のレイアウトというのはこういう格好になっておりまして、これがBWRの、ABWRでございますが、こういうふうに複雑なので、これでは経済的にいつまでたっても太刀打ちできない。
 したがって、いろんなポンプと熱交換器の一体化とか、免震構造の全面的採用、それ以外に、やはりタンク型タイプにして一次系を省略するか、あるいは二重蒸気発生器によりましてこの2次系を省略、そういった単純化とプラントのコンパクト化を図る必要があると考えております。
 高速増殖炉の進め方でございますけれども……。
【司会】恐れ入ります。また後ほど文書でいただきたいと思います。
【豊田】高速増殖炉の進め方でございますけれども、「もんじゅ」以外に海外の増殖炉、それからプラント設計というものを……。
【司会】やっぱり不公平のためにここで打ち切らしていただきたいと思います。豊田さん、恐れ入りますが、また文書でお寄せいただきまして、こちらの方の意見もまたさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
これで前半10名の方の発言が終了いたしました。ここで20分間の休憩ということで、再開は19時40分、午後7時40分から始めさせていただきますので、よろしくお願いします。

(20分間休憩)

【司会】それでは、後半の方のご意見を伺います前に、19時00分現在の今日の受付人数をお知らせ申し上げます。発言者として本来は20名の予定ですけれども、このペースですので、多分2名の補欠の方お願いできると思いますので、そのつもりでご準備をお願いいたします。発言者22名ということにいたしました。それから、報道関係者が19社26名の方がお越しです。そして一般の参加者の方、100名を超える115名がいらしております。合計でこの会場には163名の方がいらっしゃいます。どうもたくさんお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、後半の方のご意見を伺いたいと思います。後半も同様な形で、もうごらんになっていたと思いますので、よろしくご協力のほどお願いいたします。
 意見番号11番から入ります。11番の三澤さん、お願いいたします。
【三澤】ただいま紹介にあずかりました三澤と申します。
 まず初めに、本日はこのような発言の機会をいただきまして、誠に感謝いたします。それでは意見に移らせていただきます。お手元の資料で11−1、11−2とありますが、本日は11−1を中心に述べさせていただきます。
 私の意見としましては、資源の乏しい我が国としましては、今後とも原子力をエネルギー供給源の一部として持ち続けることが必要であるばかりでなく、代替エネルギーの先駆者として世界をリードしていくべきだと考えます。
 次に、その理由に移らせていただきます。
 私は今年の4月に原子力プラントメーカーに入社したばかりのいわゆる新人であります。私がこの仕事を選んだ最大の理由としましては、今後の日本が世界の先端を切るための有用な技術分野であるエネルギー開発、すなわち高速増殖炉の開発を手がけたかったからであります。戦後から急速な発展を遂げ、現在まで先進国の一角を担ってきた我が国ではありますが、実際には新技術の開発という分野においては、まだ各国を先導していく立場にあるようには思えません。アメリカの10年後を歩んでいると言われてかなり久しくなりますが、一向に追いつきません。欧米諸国の技術を吸収した後、国産品をつくるといった、いわば日本風にアレンジすることに留まってしまっています。私は一日本人としてこの事実を認識するとき、いつも残念な思いで一杯になります。
 昨今、代替エネルギーの最有力選択肢である原子力も、ウランの有限性や廃棄物処分などの問題が唱えられてきました。一方で、経済性などの理由から、先進諸国が次々とFBR開発を凍結していく傾向にあります。今こそ、日本が先頭に立って、「夢の代替エネルギー」をつくりだす絶好の機会ではないでしょうか。
 FBRは実現可能性があいまいだと言われる方も見えますが、他の多岐にわたる分野で生み出されてきた数々の技術において、開発段階から100%完璧だったものなどないと言えます。だからこそ、日本のFBR開発が、国家プロジェクトとして綿密な計画のもとになされているのです。その経緯は、70年代初頭の実験の「常陽」に始まり、地道な努力を重ねて、「もんじゅ」を臨界に導き、ようやく実証炉の開発、つまり実用化の核心に迫ろうという段階までこぎつけたところであります。今後とも、「もんじゅ」の運転とともに、実証炉や実用炉の研究開発も平行して、計画的に進めるべきだと考えます。そうしないと、長い目で見て後悔するはずであります。つまり、今こそ世界に先立つチャンスなのであります。世界各国がFBRの必要性を痛感する時代が数十年後にやってくる可能性は十分あります。そのとき、各国に再開発を急がせるのではなく、FBRを実用炉として使いこなしている我が国が指導する状況下でありたいと私は切望します。
 そのために、我々若者は、これまでの先輩方の成果を発展させて、21世紀には高速増殖炉の実現をぜひとも成し遂げるといった意気込みをもって、日々努力する決意をいたしたいと思います。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 続きまして、12番の坂田静子さん、お願いいたします。
【坂田】長野県の須坂市からまいりました坂田と申します。
 「FBR」推進には国民の合意が必要として、「F懇報告書案」に意見を募集されることを歓迎します。しかし、F懇メンバーの人選が偏っていて、国民の疑問や不安を代弁する方が少なく、公平を欠くと痛感しております。
 <もんじゅ凍結100万人署名>に見るように、国民の多くが国のプルトニウム施策に大きな不安と不信を抱いているのに、はっきり反対を述べる委員はただ1人であった。この委員会は、本来は半数は反対意見を持つ学者や有識者で構成すべきであると思います。そして、今日のご意見を聞く会の意見、また募集されている意見を含めて、こういうことが国民にほとんど知られていません。私の長野の友人も、電話をかけてきて、どうしてこのことを今まで知らせられなかったのかと、大変憤慨しておりました。こういことを新聞やテレビで、もっと多くの人が知るようにやっていただきたいと思います。
 それで、今度はこの意見を、国会の審議を新聞に意見発表するように、大新聞の1ページを使って、ぜひこの意見を全部公開していただきたいと思います。そしてまた、意見募集の期間が短か過ぎます。どうしてそんなに急ぐのか、理由を知りたいと思います。一つは、科学技術庁の予算のためだということも聞いておりますが、一省庁の都合でそういうことを急がれては大変困ります。本当に国民の生命に関する重大な問題ですから、エネルギー問題が重点に置かれていますけれども、本当に危険なことですから、もっと慎重にやっていただきたいと思います。そして、このことについて、時間をかけて、各地で討論会やシンポジウム、FBR懇談会が主催してそういうものを開いていただきたい。ことに「もんじゅ」の地元である福井県で真っ先に開くべきであると思いますし、長野でも開催を希望しております。
 次に、安全性の確保とコストダウンについてですが、この両方は矛盾した命題であると思います。その見通しがつかないから、各国はFBRから撤退したのに、日本だけはできると考えるのは、科学技術の世界では考えられないと高木仁三郎さんも新聞でコメントしておられました。この矛盾の上に立って無理をしているから、いろいろな事故や故障が起き、また事故隠しが起こるのだと思います。  それに関連して、動燃の体質という問題ですが、一番いけないのは、動燃の体質というよりも、危険な放射能を扱うという責任感を動燃の方がしっかり持っておられるかどうかということと、その根本原因は、日本の原子力行政が核を人間の技術でコントロールすることができる、利用することができると、人知を過信しているところにあると思います。できるという前提に立っているから失敗を隠さざるを得なくなるのだと思います。こういうことに優秀な人材が先行きの見えないことに心身を消耗させていくのは、非常にいたましいような気がします。戦争中の特攻隊を思い出します。そしてもっと新エネ、省エネに予算を使っていただきたい。それから太陽光発電なんかは努力をすれば、もっとたくさんの利用率があると思います。本当に優秀な人材が、核の半減期を減らすとか、放射性廃棄物の安全な処理方法とかそういうことに力を入れていただきたいと思います。「もんじゅ」の事故や一連の不祥事を、文殊の慈悲の警告と受けとめて、高速増殖炉から撤退することを求めます。そういう撤退する勇気を持ってほしいと思います。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 続きまして、13番の阿部さん、お願いいたします。
【阿部】茨城県のつくば市から来ました阿部です。
 私は物理学者のはしくれとして、原子力の何たるかはある程度わかっておりますけれども、もちろん原子力の専門家ではありませんし、今日はむしろ納税者、一般市民としての立場から意見を言いたいと思います。
 今回のような報告書で、最大のポイントになるはずなのは、高速増殖炉の開発にこれからも多大な投資を続けて、本当にその投資は回収できるのか、社会的な利益を生むのだろうか。安全性と経済性は両立するのだろうか、そういう疑問に答えることであるはずです。ところがそういうことが、この報告書の中を読んでも、ほとんど具体的に書かれていません。3.2章の2)のところで、「高速増殖炉の実用化の技術的・経済的見通し」として項目が設けられていますが、その中でも、安全性と経済性の両立が可能であるとする具体的な根拠は示されていません。そこに書いてあることを要約すると、まだ経済性の成立する見通しはないけれども、もうちょっとやってみなければわからないではないか、そういうトーンで書かれております。しかし、既に30年以上にわたって、1兆円以上も投資してきて、いまだに経済性の見通しが立たないというのは、もしそうだとすれば困った話です。
 報告書の4.章の「今後の課題」の3)において、コストダウンの必要性ということを説いています。懇談会の資料などを見ますと、動燃は、高速増殖炉の実用化時期を2030年と想定して、同時期の軽水炉の発電コストと競合可能とするという、そこら辺を経済性の目標としております。しかし、これは私は無理だろうと思います。その理由は、たくさんあると思いますけれども、私は2つあります。
 まず、高速増殖炉というのは、実は全く新しい原理に基づく技術ではなくて、基本的には原子力発電であって、核分裂エネルギーを取り出して蒸気タービンを回して発電する、原発の一種である、一つのバリエーションであるわけです。ですからその技術は、本質的に軽水炉と同じでして、異なるのは燃料がウランではなくプルトニウムを含むこと、冷却系にナトリウムを用いることです。既に実用化されている軽水炉の原発技術をベースにしている以上、そんなにコスト削減の余地があるはずはないんです。懇談会の資料によれば、建設費を軽水炉並みにする方策として、配管の短縮化、それから機器設備の簡素化、配置のコンパクト化、機器の一体化、免震などが上げられています。しかし、これらの方策は、軽水炉や他の発電プラントにも当てはまることですから、競合する他の発電コストも下がっていくわけです。ですから、高速増殖炉が相対的に経済的に優位になるということはあり得ないんです。それで、実際日本の電力料金は世界一高いということで、電力会社はすべての発電所のコストダウンを迫られていますから、こういうことはまさに予測されるわけです。
 経済性が成立しないだろうという第二の根拠は、軽水炉と違ってナトリウムを用いているという点にあります。ナトリウムはご存じのように、水と接触すると激しい発熱反応を起こします。このナトリウムと水が配管の壁一枚を隔てて接しているのが高速増殖炉でありまして、だれが考えても、危険なプラントであるわけです。配管に少しでも亀裂ができれば、ナトリウムが洩れて水と反応して、火災が発生する。しかもナトリウムと水の反応では水素ガスまで発生しますから、爆発の危険もあるわけです。だから絶対にナトリウムは洩れてはいけない。だから安全性を考えますと軽水炉よりもコストをかけなければいけないのが当たり前なんです。ところが、人間のやることですから、絶対というのはなくて必ず工事ミスとか、設計ミス、手抜き工事とか、劣化の見落としなど、いくらでも可能性はあって、特にコストダウンをしようとすればするほどそういうことが生じる可能性があります。軽水炉でも、ときどき配管から冷却水が洩れる事故があります。でも、軽水炉なら、放射能を含んだ水が洩れるぐらいの局所的な事故で済みますけれども、高速増殖炉では火災が起こって、しかも激しく機器が損傷するわけです。それは「もんじゅ」のナトリウム洩れ事故もそうなんですけれども、あの事故も実は軽微な事故、軽い事故であると言われていますけれども、まさにそのとおりであって、軽い事故であっても、あれだけのことになるというのが「もんじゅ」の経験なわけです。事故が起きたときの損害の大きさとか、復旧に要する時間と経費は、膨大なものになります。しかも運転を中止している間は多大な電力を消費しますので、建設コストを抑えてきたつもりでも、実は事故を起こせば逆に高いコストを払うことになり、社会的にも需要度が低くなってしまうわけです。ですから、高速増殖炉はそういう脆弱性を持った技術でして、開発責任者がどんなにコストダウンを叫んで、それから現場の技術者が大和魂でどんなに頑張ったとしても、初めから実は超えられない壁があると考えます。
【司会】まとめていただけますか。
【阿部】ですから、高速増殖炉が実証炉までやらなくても、もう既に限界が見えていると思います。そういう意味で、日本では既に30年以上、1兆円以上を投じて、相当の研究開発を行ってきて、諸外国の経験も十分蓄積されているはずです。ですから、そういう情報を収集して、独立な第三者機関、シンクタンクなどに依頼して経済性、安全性について綿密なアセスメントを行って、それらをもとに真剣な検討を行っていただきたいと思います。そういう手順を踏まずに、ムード的に開発継続を決めるのは無責任です。国の財政赤字や高齢化などで、国民の税負担は増える一方ですから、これ以上むだなことに税金を投入すべきではなく、結論を先送りし続けて被害を拡大した住専問題の大蔵省や、薬害エイズ問題の厚生省の二の舞にならないかどうか、責任ある方々はよく考えていただきたいと思います。そして、後世の批判に耐え得るような高度の判断を下していただきたいと思います。
【司会】ありがとうございました。
 では、14番の古川さん、お願いいたします。
【古川】名古屋からまいりました古川です。この春で国立大学を定年になりまして、今、三重県の大学に所属しておりますので、一部の方がお持ちの書類には三重県とあるのはそういうことでございます。  私は、放射能に関する化学を一応専門にしております。その意味で、専門的なお話をすべきでありますが、前半はまず、戦時中、小学生として生きた人間としての情緒的なお話をいたします。その意見14−1に書いてあることでございますが、このことについて発言いたしますと、科学技術庁の方、あるいはこの懇談会の方、特に座長さんからは、筋が違うというお話があるかもしれませんが、私はこの報告書全文を見せていただいて、十分な検討が行われているとは思いません。
 特にその矛盾がはっきりあらわれているのは、1ページであります。ここでは、最初は検討の場を持つと書いてあって、次は幅広い意見をと、明らかに検討はされていないのであります。ここは最も重要なところです。検討を行っていない懇談会は、もう一度やり直さねばならない。先ほどからあちらこちらで意見の場を持つべきであるという話がありましたが、十分な検討が行われていない情緒的な報告書を出す懇談会に対して、この報告書は差し戻すべきであると私は思います。これは、戦時中、小国民と言われ、「勝ち抜け我ら小国民」と歌った世代としては、やはり「民は寄らしむべし知らしむべからず」、従わせておけばよい、普通の人は、知らせなくてよろしいという態度をこの報告書の中に垣間見るのは、多分私の偏見ではないと思います。この中にはお年の方もいらっしゃいますが、そういう方々はおわかりになるはずです。そこが第一の点です。とにかくこれは技術的な検討が十分にはなされていない。
 次は、放射能を扱う専門家といたしまして、私も放射能すべてを知っているわけではございません。ただ、私は放射能と一緒に暮らしてきたような気持ちでおります。大学3年生のときにビキニ事件がありまして、その年に原子力予算が出たという経験からしまして、放射能とは縁の切れないままこの64歳まで過ごしてきました。それでわかりますことは、報告書をお持ちの方は41ページと42ページを見ていただくといいのですが、そこに、高速増殖炉における中性子の発生数について書いてあります。「高速増殖炉では約3個、普通の原子炉では約2個」と。これは少なくとも科学的にはもうちょっときちっと書けるはずです。高速増殖炉では約2.5個、設計によってはもっと少なくなるかもしれません、軽水炉では2.1個、あるいは2.0に近いとおっしゃる方もあるかもしれません。ちょうど増殖ということは、お金の金利を計算するようなものでありますから、3と2というのと2.5と2.1というのと大分違うのであります。
 それから続いて次のページには、ウランの有効利用ということが書いてございます。これは鈴木篤之先生のご本からとられたらしいんですが、軽水炉のワンスルーでは0.5%、プルサーマルで0.75%、この数値はよろしい、しかし、その下にFBRと書いてある。これも大体不思議な話でありまして、それまで日本語が書いてあって、どうして急にアルファベットになってしまうのか、理解に苦しんでいるのでありますが、これが約60と書いてある。一体どういう基準でこの数字が出てくるか。実は、高速増殖炉に対する夢が華やかなりしころは、このような数字がまかり通っていたのであります。したがって、このような資料をここに加えるということは、この懇談会の立場を非常に危うくするものである。25年前ならば、通ったかもしれない資料を、現在もつけ加えているということは、検討が行われていないという最大の証拠の一つであります。その他、この参考資料は、おそらくその検討のために役立ったものでありましょうが、そういうものが随所に見受けられます。
 さらに一言つけ加えます。放射化学の専門家といたしまして、私どもが参考にしていただくリオベリーとチョピンという方のニュークリアケミストリー、セオリー・アンド・アプリケーションズですが、要するに核化学、放射化学と思っても結構です。その理論と応用と言う本がありまして、そこに高速増殖炉について記述があります。その最後の1行だけお話しします。「高い増殖比は安全性の犠牲においてのみ成り立つと考えられる」、これは、放射化学を習った人間、原子力工学を習った人間の基礎であります。だから、この懇談会の方々はもちろん、この中にも多くの方がご存じのことです。その面に対する記載はここには一切行われておりません。
 私としては、結論といたしまして、この懇談会は、メンバーを拡充するなり、あるいはもう一回やり直していただきたい。これはおそらく、先ほども言いましたように、筋ではないとおっしゃるでしょう。だけど、そうせざるを得ない事態に現在あるということを述べて終わりとします。
【司会】ありがとうございました。
 続きまして、15番の池島さん、お願いします。
【池島】大阪からまいりました池島でございます。
 15−1と2、時間があれば追加で述べさせていただきたいと思います。
 まず1のほうからですけれども、財政事情の逼迫している中で、大型プロジェクトの見直しと言いながら、とりあえずFBRの研究開発が進んでいるというのは矛盾しているのではないか。また、コストダウンと安全性の確保は決して両立しないのではないか。
 その理由としまして、今までの動燃の欠損金は既に1兆4,000億から1兆5,000億と言われています。大型プロジェクトの見直しは、今後必要なのではなくて、今こそ必要なのであり、とりあえず研究開発を続けて定期的に見直すという姿勢では、まだまだこれから欠損金が増え続けるのではないか、大きな税金のむだ遣いだと思います。民間の企業ならとうの昔に倒産であり、これだけの税金を投入していながら、これまで事業内容の再検討が行われていないことが不思議ではないかと思います。とりあえずやってみるほどFBRというのは簡単なものではないのではないかというふうに思います。
 研究炉としてというふうに言われていますけれども、研究炉と言われても、ナトリウムもプルトニウムも使うわけですから、危険性に変わりはないと思います。これは補足ですけれども。
 2つ目に、FBR計画を推進してきた各国が撤退していったのは、やはりこの安全性を確保するためには、莫大な経費がかかるということがわかってきたからであり、「もんじゅ」も鉄の床のライナーを全面的に張りかえるには一体どれぐらいの費用がかかるのか、計算できないと思います。そしてまた、たとえやり直したとしても、絶対に安全性が確保できるという保証はないのではないかというふうに思います。
 FBR懇談会の中で、どれほどの時間をかけて安全性に議論をなされたのか、全委員の皆さんが本当に確信を持ってやってみる価値がある、やってみようというふうに判断されたのか、非常に疑問に思います。私のような一介の市民ですら、この9年間一生懸命「もんじゅ」のことは勉強しました。安全性についても、経済性についても、本当に難しいことでしたけれども、例えば蒸気発生器さや管が破断したらどうなるのか、床のライナーが再現実験であのように6カ所も穴があいたということを知らされて、本当に愕然としてしまいました。こうしたことに本当にもっともっと時間をかけて、論議をしていただきたいというふうに思います。
 2つ目ですが、高速増殖炉研究開発の意義や進め方について、広く国民と対話し、理解を得る努力が何より重要というふうに書かれています。本当にそうお考えならば、まずこの懇談会の報告書案に基づいて、全国各地で1年間ぐらい、あるいはもっとかけてもいいと思いますけれども、徹底的な説明討論会を開くべきだと思います。国民からの意見募集がたったの1カ月ではあまりにも短か過ぎます。多くの国民は、募集の事実すら知りません。障害者は、耳の聞こえない人、目の見えない人もいます。そういった人にも知らせる努力をなされたのでしょうか。なぜそんなに急ぐ必要があるのか、私にはわかりません。
 2番目、いきなり意見の募集ではなくて、各地で徹底的な説明討論会を行うべきではないか、このことにつきましては、後でお配りしますけれども、ぜひ読んでいただきたいものがあります。バックエンドの問題では、半年間で5カ所の討論会が持たれているのに、今回東京で1カ所だけというのは、あまりにもひど過ぎると思います。特に「もんじゅ」に近い福井からも出ました。長野からも出ましたが、関西でもぜひ行っていただきたいというふうに思います。
 先日、11月4日に大阪で科技庁と動燃の方に来ていただいて、対話集会を行いましたが、そのときにも私は要望しました。会場に参加していた若い人も含めて、全員がそれは共感してくれました。アンケートにも全員が、ぜひ関西でやって欲しいと書いております。
【司会】まとめていただけますか。
【池島】予算の都合で、そういったふうに結論を先に出し、それによって、順序を変えるというのは、本当に本末転倒だというふうに思います。ぜひ、これをスタートとして、今後、全国で欧米並みに30日ぐらいかけた公聴会というものもやっていただきたいというふうに思います。しっかりと腰を据えた論議が今こそ必要ではないでしょうか。
 お配りしますのは、8月から3回、こういった説明討論会をしてくださいという要望を関西から座長の西澤さんにお出ししました。それを皆さんに諮っていただけていないということを聞きましたので、本日、持って伺いましたので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
【司会】ありがとうございました。
 では、16番の佐藤さん、お願いします。
【佐藤】神奈川の佐藤と申します。
 神奈川県内を「もんじゅ」用の燃料が輸送されております。過去既に11回輸送が行われました。それで、人口800万都市の神奈川県の中をまた「もんじゅ」の燃料が動くということに非常に危惧を感じております。
 それともう一つ、今回私たちも説明会の申し入れを行いました。そういう意味で早速説明会を開始してくださったことにとても感謝をいたしております。ありがとうございます。
 それでは、私の意見、たくさんあるので読み上げさせていただきます。まずページ13ページの国民の理解と合意形成についてです。
 1.意見を聞く会、意見募集の反映の仕方について。
 まず、期間を延ばし、全国各地で意見を聞く会を行うこと。これに関しては今もありましたように、高レベルは6カ月間、全国各地で均等に説明会を行っております。FBR懇談会の方針はとても大事なことです。ぜひ期間を延ばして実行をしていただきたい。それと、次回からは、座長の参加できる日に開催することをぜひ希望いたします。
 2.出た意見については、最終報告を出す前に委員会を数回開催し、公開で行うこと。その場合、傍聴を20名というふうに限定するのではなく、全員が参加できるようにすること。今回の意見も各地から発言している。その人たちが聞けるように各地での開催をすること。
 3.3県知事からの国民の合意が提案されています。しかしそれに答えておりません。新円卓会議、福井での説明会を開催すること、双方向性の情報公開が大事であると思います。これらのことをやろうとすると、当然最終報告は延ばすべきです。
 5.出た意見は、先ほどもありましたが、新聞等を使って一般市民にすべて公開すること。
 6.それでも合意が得られなかった場合は、FBRの利用、「もんじゅ」の再開は撤退すること。
 7.これはとても重要だと思います。委員の皆さんは、責任をとることを忘れないでいただきたい。強引に進めた場合、万が一事故が起きて市民の命にかかわったときには、エイズと同じように皆さんは裁判で裁かれて有罪になることもあるぐらいの責任を持っているということをぜ認識していただきたいと思います。市民の命がかかっているということを再確認していただきたいと思います。
 それから8.FBR懇談会は、予算獲得に合わせてあせって判断するのではなく、報告集には実用化の見通しは立っておりません。せめて1年、2年延ばしても、そんなにあせることではないと思います。
 9.「もんじゅ」の安全性と経済性について、既に1兆円以上のお金を使っている。今でも止まっていても毎日1億円以上の電気代を使っています。止まっていても月12億円を今、現在でも使っております。報告書案後の「もんじゅ」安全性総点検チームの報告で、さや管に設計ミスがあり、破断することが明らかとなった。また、水素爆発の危険性もあり、安全性に大きな不安を感じています。まだ総点検は終了していません。これから問題がたくさん出てくる可能性があります。また、神奈川で行った対話集会で、安全性が最優先なので、いくらお金がかかっても安全対策優先でやると発言をしております。これは動燃が答えました。しかし、日本も経済の発展が低迷し、市民生活にも大きく影響して、年金もそのうちなくなるかもしれません。この時期に、これ以上使いものになるかどうかわからない高速増殖炉に私たちの税金を使ってほしくありません。子供たちはこれから核廃棄物の処理費を負担をしていかなきゃいけない時代がもうすぐです。これ以上これから生きていく子供たちにむだな負担はさせたくありません。
 先ほど、推進側の方が、使ったお金がもったいないと言いました。しかし、これから使うお金は、一体どうなるのでしょう。むだなものにお金は使ってほしくありません。とにかく安全性の議論が高速増殖炉懇談会で非常に少ないと私は思います。それを徹底してやって、それに見合う経済性をちゃんと算出してから、それを公開して市民の合意を得て進めるなら進める、見切りをつけるなら見切りをつけるということが重要であると思います。急ぐことではありません、ぜひもう一度検討のし直しをしていただきたいと思います。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 では、続きまして、17番のアイリーン・美緒子・スミスさん、お願いいたします。
【スミス】京都のアイリーン・スミスです。今日、お話したかった10点をまとめてきたのですけれども、お時間がないので、数点だけを申し上げます。しかし、議事録にはぜひ資料を添付していただきたいと思うので、よろしくお願いします。
 高速増殖炉は、21世紀のエネルギー源になるのかならないかの検討について、この懇談会では、21世紀のエネルギー供給に高速増殖炉の選択を検討するならば、高速増殖炉はどのぐらいエネルギー需要に寄与し得るのか、し得ないのかをきちんと議論しなければなりません。しかし、現行の案は、この肝心な役割を果たしていません。なぜエネルギー源として原子力発電を進めることは、そのまま必然的に高速増殖炉進めるということになるのでしょうか。この論理づけは、案を見ると全く何もきちんとされていません。
 高速増殖炉は50年たっても日本のエネルギーの1%も満たせないということは、現在の事実を踏まえればはっきりしているのではないでしょうか。今、2030年に商業炉というふうに言われています。でも、これは到底無理だという状況はありありです。しかし、百歩譲って2030年といたしましょう。そうしたらそのたった20年後の2050年に、商業炉5基を順調にフル回転できるとします。これも到底不可能ですけれども、できると百歩譲って言いましょう。もし2050年、21世紀の半ばで、今のエネルギー供給と同じだったら、高速増殖炉はどのぐらいのエネルギーを供給するのでしょうか。日本のエネルギーの1%です。21世紀の半ばになっても、日本のエネルギーの1%も供給できるのかできないのかわからないものについて、なぜ大騒ぎをするのでしょうか。高速増殖炉懇談会の任務を達成するのは、以上の根本的な課題、問題点を追及しなければ話は始まらないと思います。
 さて、高速増殖炉は、エネルギー源としてではなくて、ごみの処理として開発するべきだというのならば、そのように国民にはっきりと言うべきです。エネルギー源ではない、現在の原子力発電所が膨大に出している廃棄物の処理のためだと、そういうふうに言うべきです。それにつき、秋元氏の補足意見でも述べられたように、原子力発電所は今、とてつもなく多くの廃棄物をつくっています。そしてごみ処理に使おうというならば、その根拠をはっきりと示さなければいけません。ウランを燃やし尽くすとか、廃棄物の処理にいいとか、いろいろなことを言われていますけれども、本当にそれができるのかを、きちっと資料を基に検討するべきです。それこそ、今、発電所から出てきている核のごみの量はあまりにも膨大なので、海があって、崩れる防波堤での前でバケツを持ってそれをすくおうというような話です。これは国民に事実を伝えるべきだと思います。
 さて、外国の教訓をきちんと採用するべきです。外国、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスは、停滞状況ではありません、断念しています。そして、懇談会は5月8日、外国の方を招きましたけれども、これはこのような国が結論に至った判断をきちっと代表する方々ではありません。その国の中で推進してきた方々です。懇談会は、本来、ちゃんと各国の、断念に至るまでの状況、その資料、それを全部きちっと検討し、そして高速炉は実行可能なのか、そして安全性を達成できるのかということを、その今までの経験に基づいてきちっと議論しなければいけません。そして、日本が違うというふうに言うならば、なぜ違うのかをしっかりと資料に基づいて示すべきです。
 もう一つ、懇談会は高速炉の未来について検討をしなければいけなく、「もんじゅ」の予算のスケジュールに左右されることは絶対に許せません。絶対に「もんじゅ」の関係のスケジュールとは無関係に審議を進めてください。
 最後に申し上げたいのは、多くの人は本当に、たくさんの場で意見交換、意見をはっきりと述べられることを望んでいます。関西でも強くそれを要求します。ぜひ、公開の場で、そのことを続けてください。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 続きまして、18番の伴さんお願いいたします。
【伴】東京の府中から来ました伴英幸といいます。
 まず、私自身の個人的な意見として、高速増殖炉開発には反対です。それはその安全性、経済性、核拡散の問題、あるいはその放射性廃棄物の問題、それらの諸問題が解決できないからであります。将来のエネルギーについては、どうしたらエネルギーを減らしていけるのかということにお金を使っていただきたいと思います。
 次に、懇談会の進め方についてです。まず意見募集の期間が1カ月というのは、先ほどからもいろいろ出ていましたけれども、私も同感で、全く短いと思います。ですから、この期間を延長していただきたいということです。
 次に、このご意見募集は1回だけの一方通行で、あとは委員の方が採用するかしないかということで、それに対して私たちはまた意見を言うことができません。そこで、もう一度それに対して意見が言えるようなシステムをつくっていただきたいと思います。自分の採用された意見が、あるいは誤解に基づくかもしれません。そういったことも含めて、もう一度意見を言える場をつくってほしいということです。そしてまた、ご意見を聞く会は今日1回だけです。これでもやはり不十分だと思います。そこで、全国各地でこのような意見を聞く会というのを開いて、より多くの人たちの意見を反映する形でこの報告書をまとめていっていただきたいと思います。
 科技庁は、急ぐ理由に、来年の予算との関連を挙げていますけれども、私にはとてもそのことは納得できません。
 次に、報告書案についてです。まず、報告書案に添付されている参考資料は、推進のための資料のような印象を受けました。先ほども技術的検討がなされていないという批判がありましたけれども、私も同感です。高速増殖炉開発に伴う環境や地域などへの安全性や社会的な影響、あるいは発生する放射性廃棄物の量、サイクル全体の経済性、そういったことを総合的に判断評価する、今で言うライフサイクルアセスメント、そういったものを、政府あるいは産業界から独立した複数の第三者機関で行うことを、この報告書案の中に追加していただきたいと思います。その評価結果をもとに議論を進めるべきだと思います。「もんじゅ」については、その評価の上で、それをもとにした十分な議論を行い、そして国民的合意、及び地域での地元合意というものが出るまで、運転再開をしないということを報告書案の中に明記していただきたいと思います。現行の案は、両方が併存していて、その後国民的意見、合意の必要性は必要性で訴え、「もんじゅ」の開発はそれはそれでやるというような形になっていますけれども、その合意が得られない限りは、その開発をしないということを明記していただきたいと思います。この案の中では、「もんじゅ」の研究開発を中断するということは、これまでの投資や成果が無になるというふうに、だから継続するのだというふうに言っておりますけれども、このような問題の立て方は、原子力船「むつ」の二の舞になるというふうに私は危惧をしております。
 次に、その国民的レベルの合意の形成、これをどのようにするのか。報告書案の中には具体的には触れられていないと思います。これはなかなか難しい問題と思いますが、現に今、1カ月の意見募集というやり方は、合意形成の努力とはほど遠い、それに反するような行為だと言います。少し話は戻りましたけれども、そこでその合意形成ということ、これを、例えば先ほど言いましたようなアセスメント、そしてそれに基づく議論を、そういったものができるような公聴会といったものを開くこと、そういう具体案を明記していただきたいと思います。現行の合意形成というのは、受ける印象では、国の政策を説明して理解を得るというようなやり方のように思います。そうではなくて、市民の意見が国の政策に反映するようなシステムをつくるべきだというふうに私は思います。
 最後ですけれども、コスト意識のところでは、外部評価の必要性というのを述べております。それについて、私は、その外部評価機関が独立した評価ができるように、例えばその人選を科学技術庁が行うのではなくて、はっきりと第三者機関にその外部評価を行うような、そういうような評価ということで明記していただきたいと思います。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 では、続きまして、19番の高木さん、お願いいたします。
【高木】東京の高木と申します。よろしくお願いします。
 まず、一つ目なんですけれども、今日のご意見を聞く会のことですが、西澤座長さんが今日は欠席されています。このことに関しては非常に不満です、許せません。懇談会に関しては、座長は一遍も当然ながら欠席もされず、また委員も10名前後、常に参加されています。今回は、科学技術庁の事務局の方からも一言も欠席について話がない、また、司会者の方からも一言の説明もない。国民に意見を問う、国民の合意を得る、国民がどう考えているのか知りたいというような気持ちが本当にあるのか、全く疑問です。しかも、欠席するのだったらば、何かしらメッセージをよこすとか、どうしても欠席しなければならない理由があるのであれば、本人が何かしら説明をしようと、普通の人はそう考えると思います。何もない、高速増殖炉懇談会の基本的な姿勢、性格は今日のご意見を聞く会ではっきりしました。国民の考えを聞くつもりはない、直接国民の声を聞くつもりはない、いやだと、拒否すると。今日の欠席に関しては、はっきりとした説明を聞かせてもらえなければ帰れないと思っています。私は高速増殖炉懇談会は仕事の合間を縫いながら、やっと数回傍聴が可能です。傍聴です、一言も意見も質問も言えない状態です。それが8カ月続きます。今日こそは意見を言いたいとやって来ましたが、座長は来られない、忙しいと。何ですか、これは。誠意のかけらもない。一言の説明もない。今日のご意見を聞く会は、どうも名前のとおり、聞く会、ご意見を聞くだけの会。真剣に遠くから来た市民の声は、一体どう反映されるのか。
 先日電話で聞きました。質問は5分間だと。2分間質問に対して返事をすると。今日来たらば、違うわけです。何ですか、これは。ばかにするもはなはだしい。
 今回、もう時間が短くなっていますので、書いたものをぜひ読んでいただきたいと思いますけれども、今後少なくとも、日本各地で開催をしていただきたいと思いますが、意見を聞くだけではなくて討論会、単に聞き置く、お殿様が下々の者の言うことを聞いてあげるんだというのではなくて、対等に討論する、疑問をぶつけ、それに対して誠意を持って返事をするということがなくしては、国民の合意などはとんでもない、やる気があるのか。
 最後に一つだけ。これほどご意見を聞く期間が1カ月、ご意見を聞く会も1回だけ、なぜか質問しました。答えは一つだけです。年末の予算要求のために、短いと思うがやむを得ない。徹夜してでも頑張りますと、高速増殖炉の問題はそんなことで決められては困るわけです。大事故が起これば、何百万人の人間が死ぬわけです。絶対に許せません。関係者は、今日の会が終わった、無事済んだということで済むと思わないでください。福井県民はどう考えているのか、真剣に思ってください。
 ちょっと興奮していますけれども、言うことに違いはありませんので、ぜひよろしくお願いします。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 では続きまして、20番の小林さん、お願いいたします。
【小林】茨城から来ました小林です。私は原子力に関する仕事をしており、その一技術者としての意見を述べさせていただきます。
 高速増殖炉研究開発のあり方の報告書案の17ページに、実証炉の具体的計画については、「もんじゅ」の運転経験を反映することが必要であり、また「もんじゅ」で得られる種々の研究開発の成果などを十分に評価した上でその決定が行われるべきものと考えますと記述されております。
 前者の「もんじゅ」の運転経験を反映することが必要という点については、まさにそのとおりで、異論はないのではないかというふうに考えております。
 私の意見ですが、実証炉の具体的計画について、今後数年を目途として、高速増殖炉実用化の時期と、それに合わせた実証炉の建設時期を明記して、かつ各ステップごとに開発目標となるマイルストーンが見えるように具体的計画を策定してほしい。そしてその計画の基づき、「もんじゅ」の研究とともに、実証炉の設計研究を推進してほしいということです。この理由としては、大きく3つあります。まず1つ目は、FBR技術開発の特徴、2つ目は天然ウラン資源の有限性、最後にFBR設計技術の継承です。以下この順に理由を述べます。
 まず、FBR技術開発の特徴についてです。将来の非化石エネルギーとしては、FBRはもちろんのこと、太陽光、風力発電、地熱等いろいろ選択肢があるわけであります。これら技術の実用化に当たっては、個々の技術の特徴に合わせて、開発目標や具体的計画を策定する必要があるのではないかというふうに考えております。私はFBRのような巨大なシステムを実用化していくためには、「もんじゅ」の研究開発と実証炉の設計研究とは平行して進め、相互に補完し合うことが必要ではないかというふうに考えております。例えて言うならば、「もんじゅ」の研究と実証炉の設計研究は、車の両輪のようなもので、切っても切り離せないのではないかと考えております。さらに、FBRのような巨大なシステムの開発で、この両輪をうまく機能させるには、開発目標となるマイルストーンが見えるように実証炉等の具体的計画を策定して、「もんじゅ」と平行した計画を推進していくべきではないかと思います。
 次に、天然ウラン資源の有限性の観点から理由を述べます。当然のことながら、天然ウラン資源というものは有限であります。いつかは無くなってしまいます。どのくらいの期間天然ウランが使えるかは、天然ウラン資源の推定量や軽水炉の発電規模等に依存するわけですが、それほどは多くないと一般に予想されております。例えば報告書案では、具体的には73年というような数字が出ております。天然ウラン資源が無くなる数十年前までには、高速増殖炉の実用化を達成しておく必要があり、「もんじゅ」の研究成果を十分に評価してから、計画の具体的決定を実施したのでは遅過ぎるのではないかと考えております。
 最後に、FBR設計技術の継承についてです。FBRは巨大なシステムであり、種々の技術を最適に組み合わせて実現できるものです。もし実証炉の設計を中断してしまうと、立ち上げるのにある程度期間が必要で、かつ設計のノウハウ等が失われる可能性も持っているわけであります。そのため、継続してFBR実証炉の設計研究を行うのが最善ではないかというふうに考えております。以上まとめますと、繰り返しにはなりますけれども、今後数年を目途として、FBR実用化の時期と、それに合わせた実証炉の開発目標となるマイルストーンが見えるように、具体的な計画を推進してほしいということです、以上です。
【司会】ありがとうございました。
 以上で当初の予定の20名の方のご意見を伺いました。進行にご協力いただきました関係で、補欠として2名の方のお話も伺う時間ができました。それほど時間はございませんけれども、ご用意もいただいたと思いますので、ぜひお二方のご意見をいただきたいと思います。では、同じだけの時間でお願いいたします。ベルも同じように鳴ります。
 まず、補欠1番、大島さん、お願いいたします。
【大島】大阪の大島です。
 私の意見は、4点ありまして、時間の関係で全部は申せません。ぜひ参照資料をごらんいだたきたいと思います。
 その前に、まず最初に申し上げておきたいことがあります。このようにわずか22名であれ、意見を聞こうという姿勢を懇談会の皆さんがお持ちになったということを私は評価しております。そういう気持ちでここにまいりましたけれども、先ほどの方もおっしゃいましたが、やはり15名いらっしゃる委員のうち、5名の方しかここにはいらっしゃらない。しかも、懇談会の代表である西澤座長が理由も不明なまま欠席されている。私はこれに失望しております。この報告書案の中には、今後説明会、シンポジウムなど、様々な機会を通じた情報公開や対話によって、十分な理解が得られるような努力を重ねることが重要と書かれていますけれども、この文言がむなしく響きます。先ほど来、期間が短いである等、たくさん要望が出ておりますけれども、先日大阪で行われましたバックエンドの、これは原子力委員会のもとにある高レベル廃棄物処分懇談会が主催された意見を聞く会でしたけれども、この処分懇の報告書は、単に意見公募するだけではなくて、双方向の対話を通じて、広く国民の意見を吸収して、それらを報告書に反映していくというふうに書かれてあります。ぜひとも処分懇だけではなくて、この高速増殖炉懇談会もこの例を見習って、これ1回きりで意見を聞く会が終わるということのないように、強く強く最初に要望しておきたいと思います。
 では、本題に入ります。
 私は、4点あるのですが、時間の都合で1つに絞ります。
 この報告書の中で、「もんじゅ」を原型炉として研究開発を続けていくということが妥当である、こう書かれてあります。ところが、なぜ妥当なのかということの説明が全く欠けております。私はこれでは承服できません。高速増殖炉というものは、昨日今日に始まった技術開発ではなくて、50年前から始まっております。しかも日本に先行する各国が次々とその実用化に向けた開発を断念している中で、それでも日本がこの実用化に向けた開発を続けるというのであれば、断念した各国の経験と蓄積から何を学ぶのか、つまり、「もんじゅ」で一体何を研究開発するのか、そしてその中から何が見えてくれば実用化の兆し、見通しが出てくるのか、これをはっきりすべきです。この報告書の中でも、計画というのを、今後事故が起ころうが起こるまいが、ともかくチェック・アンド・レビューを入れる、その後に適切な評価をして、やめるときにはやめる必要があるかもしれないというニュアンスのことも含めて書かれてあるわけですけれども、まさに「外部評価」が必要なのは今なのです。これまでどうして「もんじゅ」にそれが行われてこなかったのか、私は不思議です。そういう一切の具体的な目標、計画抜きに、ともかく研究開発を続けましょうという、これは、これまでの議事録を拝見してみますと、西澤座長が強く強く申されていることですけれども、こんなことで、国民の一体どれほどが納得できるでしょうか。これが第1点です。
 2点目には、「もんじゅ」の安全性確保です。「もんじゅ」の火災事故を重大な事故というふうに受けとめると、この本文1ページには書かれていますけれども、では、どのように重大であったのかということに関する切り込みは一切ありません。今、原子力安全委員会は、「もんじゅ」の火災事故に対する最終報告を出せておりません。本当にこのままで大丈夫なのか、動かして大丈夫なのか。福井県民のみならず、大阪に住む私も不安です。ところが、その安全の担保というものを何に置くのかということに対する見解というのが、一切この報告書にはありません。もし事故が起こったら、この報告書に基づいて「もんじゅ」の運転が再開されるということがあれば、私はこの懇談会の中で、推進の立場で、「もんじゅ」の運転再開の道を開かれた委員の方々は、そのときはどういう責任をとられるのか、そこまでの決意も伺いたい、そう思っております。
 以上、2つの側面から、この報告書案というのは全く不十分であり、従って、この懇談会としては無責任ではないか、強く強く私はそのことを申し上げたいと思っております。国民の前に、そのことを明らかに議論できるような材料を明確に出していただきたい。それ抜きに、無責任に研究開発をともかく続けようなどというような立場はやめていただきたい。そのことを強く申し上げておきます。
 最後に、繰り返しになりますけれども、ともかくこれ1回きりで終わろうなどと思われないで、広く双方向の対話ということを懇談会の委員の皆さんは心がけていただけないでしょうか。大阪はもとより各地で、高レベル処分懇がやっております、せめてそのレベルでもいいでしょう。双方向の対話をするという姿勢を堅持し、国民の意見を吸収しながら、この意見をまとめて報告書を出していくという姿勢を持っていただきたい。先ほど来、何人かの方がおっしゃっているように、科学技術庁の予算が予算がという都合に合わせて、拙速で高速増殖炉懇談会の報告書というものを、しかも私が先ほど何点か申し上げたような不十分な点を置いて、全く無責任なままでお出しにならないように、強く要望したいと思います。以上です。
【司会】ありがとうございました。
 最後に、補欠の2番の河合さん、お願いいたします。
【河合】原子力発電所14基が稼働しております。「もんじゅ」と一緒に住んでおります立地の河合博でございます。今日は、30年間地域社会開発とともに原子力にかかわってまいりましたので、その思いをここで申し上げたいと思うわけでございますが、初めてこういうところで申し上げるわけでございますので、どうか最後までお聞きをいただきたいと思うわけでございます。
 そもそも私が原子力とかかわりを持つようになったのは、昭和38年からでございます。当時の福井県といいますと、それといった産業もなく、地元経済の担い手になる産業の誘致に尽力していた時期でございまして、こうした状況の中、日本海側の未開発地域をエネルギー産業の誘致により、世界の科学技術の先端基地として活性化していこうとの声が地元において高まりを見せ、敦賀市においては、昭和37年に原子力発電所の用地が審議会で決議されるに至りました。翌、昭和38年には、日本原子力発電所株式会社より、敦賀発電所の事業計画が発表され、私も地元青年会議所のリーダーとして、よりいっそう深く原子力とかかわりを持つようになり、以来、30年以上、国の原子力にかかわってきた次第でございます。
 さて、本論に入りますが、このたび出された報告書案を読ませていただいた私の率直な感想は、原子力エネルギーの必要性、とりわけ高速増殖炉の研究開発の意義を再認識することができ、安心している次第でございます。本懇談会のように、幅広い分野の専門家が高速増殖炉の研究開発のあり方を議論することは、かつてなかったことであり、30年以上地元で原子力にかかわってきた地元市民の一人として、その議論の成り行きには非常に関心を持っておりました。確かに、ナトリウム漏えい事故以降、地元においても不安の声が上がっているのは事実かと思います。しかし、資源の乏しい我が国にとって、次世代エネルギー源の選択肢として、原子力を中核に据えておくことは、将来のエネルギー供給源の不確実さに備える観点から当然のことであり、また国内においては、既に50基以上の原子力発電所が稼働し、いまだに人命にかかわるような大きな災害に見舞われていないことも、我が国が大いに世界に誇れる実績であります。こうした実績と知見に基づき、我が国が軽水炉のプルトニウム利用と合わせて、高速増殖炉の研究開発を行うことは、現状において、未知なる新エネルギー開発に莫大な予算と労力を投資することよりも、極めて妥当な選択であり、技術の継承といった観点からも好ましい判断であると私は思います。そもそも、我が国が核燃料リサイクル政策を次世代のエネルギー政策の中心に据えることは、言うまでもなく、国会等での審議を踏まえ、国の政策として決定された事項であり、地元敦賀市においても、当然このような国の基本方針を踏まえ、議会で誘致決議されているわけでございます。このことからして、我が国は、議会制民主主義を政治制度としているわけであり、地元の意向を無視しての推進など、決して起こり得ないことが理解していただけることと思います。
 また、話は変わりますが、昭和56年、日本原子力発電敦賀発電所において起こった放射能洩れ事故に際し、原子力の是非を問う署名が県内において行われましたが、賛成37万、反対12万の結果が示すとおり、地元においては、推進は反対を大きく上回った実績もございます。私としては、今回の報告書の内容は非常に意義深いものと理解しております。国の公開ヒアリング制度の中で、個々の原子力施設の必要性や安全性などについては十分説明し、議論され、誘致が決められているという民主的なプロセスがあるわけであり、今後何らかの事故に際し、国が事故の原因や再発防止について議論することは大いに結構でありますが、原子力政策の是非にまず遡って議論することは、かえって地元住民に混乱や不信感を与えるばかりでなく、地元において原子力に期待と夢をいだいてきた人々の信頼をも裏切ることになりかねないわけであり、私は国に対しまして、今後も高速増殖炉を含めた原子力開発を推進していく明確な姿勢を、今般の報告書を受けて、この際広く国民に明示していただくことを強く要望する次第であります。
 本来、科学技術の進歩というものは、失敗と表裏一体な関係であり、失敗することによって得られる知見こそ、次なる成功への自由な要素だと私は思っております。我々は過去に向かうのではなく、未知の未来に向かって歩かなければなりません。米粒みたいな存在である我々人類が希望と不安に満ちた未来へ進んでいくには、十分な備えと勇気が必要であります。そのためには国民のエネルギー問題、環境問題を正面からとらえさせる、国のはっきりとした方向づけと強力な推進策が不可欠であります。「もんじゅ」においても研究機能をさらに充実し、そこに科学技術の英知が結集され、我々の未来を切り開く成果がいかに生まれているかを発信するとともに、地元の他の研究機関と一体となって、広範な「科学技術創造地域」(仮称)を形成することこそ、地元の人々が原子力を誇りに思う大きな転機になるのではないかということを最後に申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。
【司会】どうもありがとうございました。
 本日、20名+2名、希望された方27名のうち22名の方を、いろいろな時間の制約の中からいただきまして、本当にありがとうございました。本日いただいた意見、それから14日に締め切るご意見、これは全部懇談会に持ち帰りまして、懇談会のメンバーとこれから検討してまいりたいと思います。
 事務局の方から一言ということですが。
【事務局】手続きといいますか、若干今回ご議論のあった中で、本日ご欠席の懇談会の委員の方々に対しましては、本日ビデオを撮っておりますので、そのビデオをお送りして見ていただく、あるいはテープ起こしをしました逐語のものを用意しまして、それを各位の方にお送りするということで、本日ご欠席の方も今日の各発言者の状況というのは伝わるように我々として準備をしているところでございます。
【司会】本当にどうもありがとうございました。今後とも検討してまいりたいと思います。
 では、今日は時間がまいりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。




(付録)

当日発言された以下の3名の方から、資料配布のご希望がございましたので、付録として添付致します。

付録-1:奥出 克洋さんからの提出資料
付録-2:アイリーン・美緒子・スミスさんからの提出資料
付録-3:豊田 正敏さんからの提出資料