「高速増殖炉懇談会報告書案に関するご意見を聞く会」へ
いただいたご意見



平成9年11月7日



 本資料は、「高速増殖炉懇談会報告書案に関するご意見を聞く会」(平成9年11月7日、於東京都千代田区)の開催に当たり、 国民のみなさまから寄せられたご意見の内、本会でのご発言を希望され、さらに抽選で選ばれたご意見を、受け付け順に従い、 まとめたものです。
 可能な限り原文を転記させて頂きました。



報告書案に対する意見 № 1 
 
(意見)
 第一は、運転再開にあたっては、原子力安全委員会の安全審査を受け直すことを報告書に盛り込んでほしいことだ。すなわち、第三章「高速増殖炉…」の第四節「まとめ」の末尾「妥当と考えました。」のあとに、「ただし、運転再開にあたっては、国の安全審査を受け直すことが条件です。」と加筆します。

 第二は、将来の外部評価に当たっては、常に開発中止を求める評価委員の声を盛り込みむよう報告書に明記して、国民に判断のよりどころを提供すべきであるという点です。そのことが具体的に盛り込まれていない外部評価書は認めないというぐらいの見識を懇談会の委員は持つべきです。すなわち、第四章「今後の課題」の第三節「コスト意識…」の末尾「仕組みを制度化する必要があります。」に続いて、次の文言をぜひ追加してほしい。「制度化するにあたっては、中止を求める立場からの意見も外部評価に盛り込まれることが必要です。」

 第三は、外部評価の結果次第では、中止もあり得るという文言をはっきり報告書に盛り込んでほしい点です。すなわち、第四章「今後の課題」の第三節「コスト意識…」の終わりの部分、「重大な問題が発見された場合には、直ちに同計画の中止も含めた抜本的な再検討を行わなければなりません」と「中止も含めた」を加筆する。最終案づくりの座長記者会見で、座長は見直しには中断、中止も含まれると発言しておられることから、このこと は容易にできるはずです。

(理由)
 第一を望む理由は、もんじゅの蒸気発生器の細管が破局的に次々と破断する可能性が科学技術庁と動燃自身の総点検で最近分かったからです。発生器内では、ナトリウムと水が背中合わせで熱交換する仕組みになっており、破断で両液体が接触すると爆発的な発熱反応が起きる。六年前の美浜原発の細管破断事故とは比較にならない惨事が起こらないとも限らない。さらに炉心での核反応を確実に制御する技術が確立していないとの原子力専門家の指摘があることです(報告書案 の参考資料にある、高速増殖炉の特性、の安全性の項目でもふれられているボイド問題です)。原発大国、フランスの高速増殖炉・実証炉「スーパーフェニックス」の開 発中止も、経済性に見合わないという理由のほかに、この難問を根本的にクリアでき なかったからであると思います。

 第二を望む理由は、開発中止を求める吉岡斉委員の意見は日本が直面しているエネルギー情勢についての認識に偏りがみられ、全面的には賛成できませんが、そうした批判の声は国民の中にも根強いことを推進派は軽視してはならないと思うからです。

 第三を望む理由は、中止もあり得ることを明記することは、一度動き出した巨大プロジェクトが無用の長物になっても、あるいは初期の目的が達成できないと分かっても、計画を中止することが難しい日本の現実を転換させる契機になるからです。長期にわたる巨費投入が必要な巨大プロジェクトは国民の支持なくして成功はしないと考えます。

報告書案に対する意見 № 2-1 

1ページの6行目
(意見)
 動燃に対する「国民の不安感、不信感」をどのように払拭してくかが全ての前提である。8月1日の動燃改革検討委員会の答申では、これに対する検討が不十分である。本懇談会でも審議することを求める。
(理由)
動燃改革検討委員会の不十分性さは次のようである。
①「動燃の体質を育てたのは科学技術庁である」と指摘されている。動燃の一連の不祥事は、科学技術庁の責任が極めて重く「被告」の立場にある。その「被告」が委員という「裁判官」を集めたこと自体に無理がある。
②委員会では、「動燃の病状を議論しても仕方ない」という発言も出て「動燃の病状」を全く審議しようとしなかった。さらに「日本の多くの阻止区で、経営の不在現象が起きている」などと「日本病」とし「動燃病」ないしは「原子力病」と総括していないのは間違いである。
③動燃の事業の「枝葉」のみ切って「新法人」へ看板の書換えをしようとしている。「ウソつき動燃」と言われているから名前を変えようとしているだけでは?
④科学技術庁や原子力委員会等の責任も全く明らかになっていない。これらの責任について「本委員会の使命は、動燃にかかわるものであり・・・・」と逃げてしまった。
⑤「新法人」では「経営体にできる限り裁量権を付記し、手続き面等で関与を極力減少させる」と言っているが特殊法人の実態を知らない者の言うことである。現実には、科学技術庁は非常に細かいことまで特殊法人に指示していて「新法人」も同じ運命をたどるであろう。

以上の観点から本懇談会での再審議するべきである。それなくして「国民の不安感、不信感」の解消は困難であろう。

報告書案に対する意見 № 2-2 

5ページ下から5行目
(意見)
 「安全確保については、関連従事者一人一人の責任感の徹底」は必要であるが、それ以前に事故を起こしたことについての反省と総括を行い、科学的に再発防止策を取ることを優先すべきである。
(理由)
 動燃のある職員は「事故を起こすと仲間の労働者からいじめに近い仕打ちを受ける雰囲気になっている」と述べている。また、「もんじゅ」のある関連会社の労働者は「小さなミスのときにちゃんと再発防止策を講じないので、個人的な責任に転嫁してしまい「二度としません」と本人が謝罪しない限り、許されない」と述べている。
 ミスや事故があったら、組織的に再発防止を科学的に検討し対策を講じるべきである。しかし、お金も手間もかからない「犯人」を見つけて、個人的責任をなすりつけて対策完了ということが行われていることがある。
 前記の関連会社では、「科学的な対策」でなくて、「お前の不注意だ」という「しつけ」や「みせつけ」が横行していると証言している。
 動燃の事故隠し等もこの「仕打ち」などから逃れるために行われた可能性がある。本案のように「一人一人」を強調すると「個人的な責任追及」を恐れるあまり、事故隠しや虚偽報告に再度走る可能性のありことを指摘する。
★13ページの2行目に「まず一人一人の責任感の徹底を図る」とあるのも同様である。

報告書案に対する意見 № 2-3 

7~8ページ、14ページ
(意見)
 本案にあるように海外のほとんどの国で研究開発の放棄等をしている。なぜ、日本が続行しようとしているのか明快な理由が記されていない。
(理由)
 例えば、8ページで「フランスは、最近の政権交代に伴い、経済的理由から実証炉の放棄の方針を決定」とある。さらに、14ページには「我が国の財政事情はきわめてひっ迫した状況です」とあり、日本も500兆円以上にものぼる赤字体制にある。この「経済的理由」は、日本もフランスも全く同様ではないのか。
 それにも関わらずに本の動燃だけが進める理由がどこにあるのか国民に明快に示し理解を求めることが先ずなによりも必要なことである。
 本案では、ほとんどこの必要理由を明快に述べていない。仮に、述べたというなら、この程度では国民に理解されないであろう。

報告書案に対する意見 № 2-4 

13ページの8行目
(意見)
 「国民の理解促進と合意形成」というが、現在のような動燃の姿勢では、これは不可能であろう。動燃が、どのように国民に接してきたかを調査すべきである。
 そして、その改善策を明示すべきである。
(理由)
 私は、この8月末に動燃東海事業所の「見学会」に参加した。この時、動燃職員が示した態度には参加者から怒りの声が挙がっていた。このようなことを先ず最初に正すべきである。これは「国民の理解」以前の問題である。
 動燃職員の示した態度は、「東海事業所構内に入れる条件として、①バスから降りないこと、②写真は絶対撮らないこと」ということであった。「もし、これを了承しないなら構内に入れない」と動燃職員は言いだし、見学者から「恫喝だ」との怒りの声があがっていた。
 動燃は、国民をサファリ・パークの「猛獣並み」にしか見ていないということである。このような動燃の態度で、どうして「国民の理解促進」ができるであろうか。(たぶん、先生方や科学技術庁や報道機関などに対しては、このような態度は取らないだろう。事実、その直後に露顕した東海事業所の低レベル放射性廃棄物のズサンな管理問題では構内の各所が放映されていた。)
 原子力委員会ならびに科学技術庁は、このような動燃の態度をどのように改めさせていくのか明確にしてもらいたい。このような態度を動燃が改めない限り「国民の理解」など得られるわけがないと考える。

報告書案に対する意見 № 2-5 

15ページ下から4行目
(意見)
 「動燃の体質の問題であり」と記されているが、具体的にその「体質」をあげる必要がある。この8月1日に出された動燃改革検討委員会の答申では、極めて不十分であるので、本懇談会で再審議することを求める。
(理由)
 「動燃の体質」の問題として、次の3点をあげることができ、これを徹底的に正すべきである。
①事故の反省や総括が不十分なために事故等の教訓として生かされていない。昨年1月に東海議選に立候補した動燃職員は「「もんじゅ」の事故はマスコミの騒ぎすぎだ。この選挙はマスコミに対する弔い合戦である。」と述べている。さらに、同じ頃に別の職員は「交通事故で毎年1万人が犠牲になっているが、「もんじゅ」の事故ではけがはなかった」と発言した。これでは、とても反省や総括がなされているとは思えない。
②動燃の労使癒着構造を正す必要がある。動燃の労働組合も約20年前には再処理工場の安全問題で闘った。しかし、当局からの「家庭内いざこざを世間にさらすようなもの」だと弾圧され、労使癒着構造が始まった。「労働組合は病気を知らせる神経」と言われており、労働組合が経営者をチェックする機能が重要である。
③出向や業務委託による「寄せ集め所帯」の問題を克服することが重要である。私の体験でも出向者は、2~3年で交代するので技術的な継承が極めて難しい。このことは昭和50年に出された原子力船「むつ」の放射線漏れ事故報告書でも指摘されていた。(この報告書の内容を施策に反映してこなかった科学技術庁の責任も重大である。)動燃以外の特殊法人でも、定員不足で委託化等が進んでいる。これでは、安全が守れなくなる場合があることを肝に銘じるべきである。

報告書案に対する意見 № 2-6 

16ページ、47ページ
(意見)
 参考資料2の16にあるように「もんじゅ」だけでも、しでに約5900億円が、「常陽」等を含めると1兆517億円の巨費が投じられている。さらに、これから幾ら投じる必要があるのか明示すべである。
(理由)
 参考資料2の47ページに昭和42年度から平成8年度まで30年間で類型1兆517億円の巨額な予算を投じたことが報告されている。
①今後、さらにどの程度の費用を、何年度までに投じる必要があるのか具体的に明示して国民に理解を求めるべきであって、本案では幾ら投じても良いということになりかねない。(この研究開発に、どの程度の費用がかかるのか見積もりも示すべきである。)
②16ページで「中断の後、将来必要なときに再び研究開発・・・費用の面からもかなりの金額になり・・・」となっているが、「継続した場合」と「中断した場合」の費用のトレードオフをどのように算出したのか、その金額はどのようになったのか明示すべきである。
③さらに、駄目なものは「引き返す勇気」を持つべきであって「これまでの成果を無にすると・・・大きな損失」と言って過去のことにこだわると、これからさらに大きな 無駄遣いとなるのではないかと懸念される。
④「研究開発を続けた」が、もし駄目だった場合は誰がどのような責任を取るのか明確にすべきである。

報告書案に対する意見 № 3 

 
(意見)
 高速増殖炉の研究開発はやめるべきである。「もんじゅ」は即時的に廃炉にすべきである。研究開発に要する費用の相当額は新エネルギーの研究開発に振り向けるべきである。動燃を新法人にしたところで核燃料サイクルの多用な矛盾が解決するわけでもないのだから、新動燃=科技庁を研究開発の主体にするのは間違っている。国民に意見を問うのなら高速増殖炉の開発を含む核燃料サイクルの開発を白紙に戻してからするのが当然だろう。
(理由)
 高速増殖炉の開発が原理的に可能だからといっても、実際にそれが可能であるとは限らない。高速増殖炉の研究開発がはじめられてからすでに50年が経っている。それにもかかわらず、コスト、安全性、社会性、安全保障など何一つ国民に明確に示せないままである。それこそが、高速増殖炉に可能性がないことの証明である。
 「日本にはエネルギー資源が乏しい」ので「将来の原子力ひいては非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢」であるとの論理は頷けない。将来が問題であるならば、現在のエネルギーの大量消費構造そのものが見直されなければならないのであって、なおかつ、環境と調和する持続可能な新エネルギーの開発に全力を傾けるべきであろう。将来の世代の選択肢の幅をせばめるような高速増殖炉開発にみられる科学技術信仰にエネルギー政策を矮小化すべきではない。少なくとも、将来の世代に放射性廃棄物を安全に管理しつづけなければならなくさせるような負責を背負わせるべきではあるまい。
 高速増殖炉はまたプルトニウム・サイクルを必要とする。国際敵な広がりさせ促すであろう。わが国にも国際的な紛争に対処するために自衛隊があるという事実が示すように、プルトニウムが国際的な紛争に対処する武器に転用されないとも限らない。国家主権を超える権限を有する核聖職者の武装集団でもつくらなければ、プルトニウムの核兵器(ないし放射能兵器)への転用を防ぐことはできないだろう。そのような民主主義さえ否定する世界を将来の世代が望むとは思えない。
 高速増殖炉開発もまた、巨大技術(開発)の常として、根拠や妥当性を損失してもなお、推進しつづけようとしているかに見える。そのような愚こそ改められるべきものなのである。

報告書案に対する意見 № 4 

17頁16行目~18頁2行目;7.おわりに
(意見)
 現段階の行今日では高速増殖炉開発を止めるべきである。「高速増殖炉開発の在り方」は喜びの高速増殖を旨とすべきであり、これまでに引き起こした苦しみは研究開発の在り方や目的にも誤りがある証拠であろう。
(理由)
高速増殖炉の開発及び使用目的の第一は発電である。発電の目的は苦しみを増すためでなく喜びを増やすためだ。しかし高速増殖炉研究開発は国際的に不安や恐れという苦しみの増殖も開発している。勿論高速増殖炉研究開発を中止する事もその研究開発を進めたい人々には苦しみをもたらす。どちらの苦しみにも対処解決が必要だが、対処の順序は研究開発を進めることに対しての苦しみからだ。 研究開発を進める事への苦しみが解消できるなら、高速増殖炉は貴重なエネルギー供給源だろうし、事業も円滑に進むだろう。もし研究開発を進める事への苦しみが解消できないなら、研究開発を止める事への苦しみに対処するが、そこからはより優れたエネルギーや環境問題への対処策が生まれる可能性が高い。これらの作業には多大な労力や予算と時間を要するが、将来の人類を支えるエネルギーを喜びのうちに用意する大目標からすれば必要不可欠なものであり、日本が人類のエネルギー公共財を用意する貢献をしたいならその投資は報われるし惜しむに当たらない。 プルトニウムの増殖拡散への国際的な懸念という苦しみを解消する上でも、特に地元の苦しみの解消は研究開発を進める前提条件だ。それが出来るなら日本が高速増殖炉で世界にも貢献するというのも夢ではあるまいが、それ位出来ないなら将来の人類のエネルギーを支えるなど無理だろう。研究開発を進める事への苦しみの解消が最優先で、それができていない状況で「本案7.おわりに(17頁~)」にあるような研究開発を進めることが妥当であると考えます。のような考えはかえって進めたい研究開発をも危うくする。 研究開発関係者は研究開発を進める前に、自分たちがしたいことをして生み出した苦しみの解消に当たるべきだ。それがやって欲しくないことを許し、研究開発費を払った人達への感謝であり研究開発の仕事の一環だ。喜びが増えていくような研究開発こそ喜びの未来を支えるに違いない。

報告書案に対する意見 № 5 

16頁6~8行目、16~18行目
(意見)
高速増殖炉又は高速炉は将来のエネルギー保安上必要だと考えますが、「もんじゅ」を使い研究開発を続ける事により得られるもの、将来のエネルギー供給に本当に役に立つものは何んですか?
(理由)
「もんじゅ」は世界の原子力先進国で試みられ、安全性、健全性、経済性などの面から失敗と位置づけられた開発手法、即ち、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉、と現場での建設工事を前提に、常に大型化(常に新しいリスクを伴う)して行くというステップを踏んで、スケールメリットを追求する手法の第二段階の炉である事は間違いの無い事実である。 現在技術革新が目覚ましく、安全性、経済性、品質等全ての面で圧倒的優位性を維持しているジェットエンジン、ガスタービンは、全て工場生産(高品質維持容易)により、モジュール化された、習熟効果、大量生産効果によるコストダウンを狙った製品である。
米国はCRBRの中止行こう、モジュール化したPRISMの開発に着手したものの、政策的に中止に追い込まれているが、ロシヤは最近やはりモジュール化したBMN170をプロポーズしている。
発電用原子炉の前進ともいうべき潜水艦、航空母艦推進用原子炉は、工場生産モジュール前提の製品というべきものと考えられる。
将来のエネルギー供給を託する重要な製品であればあるだけ、基本的な製品生産技術のトレンドともいうべき、大規模な現場工事が前提ではなく、高品質の工場生産が前提のモジュールを用いる手法をとるべきではないかと考えられる。これには又日本の誇る自動車の生産技術或いは造船の自動化工法の取り入れの余地があると思はれる。
米国のPRISM、ロシヤのBMN170などの開発成果、並に努力と日本の知見、技術並に工法のドッキングによってのみ本当に日本だけでなく、全世界で採用可能な高速増殖炉の誕生が期待できるものと考える。

報告書案に対する意見 № 6 

15~17行目
(意見)
 原子力安全委員会の「もんじゅ」ナトリウム火災事故の最終報告もでてない段階での、研究開発を必要とする報告書案には、大半の住民が運転再開に反対している現在、再考を求めます。
(理由)
 ①、高速炉の研究開発を進めるためには「もんじゅ」ナトリウム火災事故の原因究明が必要です。
 現在原子力安全委員会はワーキンググループがまとめた報告書で、国民の意見を求めています。特に再現実験で、床ライナーに穴があいたことについて条件によっては起こり得ることを認めています。又安全審査当時の知見では知り得なかったことも認めています。
 現在、動燃事業団、科技庁による「もんじゅ」建設許可当時の安全審査が妥当であったのか疑問がいくつか明らかになっています。ナトリウム漏洩燃焼温度問題、蒸気発生器細管破断による影響細管の範囲問題、三次系配管の温度計欠陥問題等々です。これで安心して運転再開を受け入れられるかということです。尚動燃事業団の最近の失態の数々は不信と不安を倍加させています。
 ②、日本の原子力平和利用が始まった1970年代に原子力委員会が立てた「核燃料サイクル路線」が今日までに硬直したまま続けられてきたところに問題があります。
 報告書案では、高速炉の研究開発は「もんじゅ」で進めるべきとしながら、立地住民と国民の理解と協力の前提の上でと指摘しています。しかしこの案の結論は今までと同じ上から押し付けるやり方と地元では見ています。
 地元の理解と協力を得るためには、結論を出す前に懇談会が地元や全国各地で国民の意見を聞くとか、シンポジュウム等を行うべきであって、拙速に結論を出したことに失望しております。
 これでは「もんじゅ」は第二の「ふげん」になることはさけられないだろうというのが私の意見です。

報告書案に対する意見 № 7 

<<<意見>>>
1。PAGE16 11-18行:
 FBR開発の継続理由として、人材および費用の2点を揚げているが、これに加えて、核燃料サイクルを構成する他の技術との「研究開発の同時性」の維持の重要性、および我々の予測できる時間スパンと開発に要する時間との「時間枠組みのギャップ」(前者<後者)を追加して欲しい。[理由:下記2(4)参照]
2。PAGE18 10行:
 “原子力からの段階的撤退が最も合理的な選択”との主張であるが、その判断根拠と代替エネルギ源(技術可能性、安定供給、資源的制約、環境負荷等)を併せて示していただかないと、主張が未完結であるとの感を免れない。
3。PAGE19 13-21行:
 ①の価値はあまり高くなく、②の成功確率は極めて低く、③コスト及びリスクは相当高い、との記述は、その理由を説明するか、反論を並記するか、あるいは賞金/当選確率/掛金の観点からの議論の必要性の言及までに止めるかなどが必要である。[理由:下記3(1)参照]
4。PAGE19 19行:
 将来、再開発を始める場合に備えて、“最新のハイテクを駆使した技術保存の方策を講ずれば十分“との意見であるが、開発効率を向上させ、技術の維持継承を効果的に行う上で、ハイテクは積極的に活用すべきものであるが、実際の開発実務に携わってきた者として、経験上、そこまで人的経験の積み上げ及び継承を無視することは、リスクが大きいと思われる。

<<<理由>>>
高速増殖炉(FBR)が、我国ひいては世界の将来のエネルギ確保の観点から必須の技術であると考える者として、以下の通り意見(理由等)を纏めて述べます。

1。「もんじゅ」2次主冷却系の温度計鞘の破損事故からの教訓
高速増殖炉懇談会の開催は、つき詰めれば、「もんじゅ」の2次主冷却系の温度計鞘の破損によるナトリウムの漏洩が根本の動機であるものと理解している。この事故は、軽水炉等における水の漏洩とは異なる対応課題を提示しており、FBRの開発過程における貴重な経験の一つとして受けとめている。
一方、各国における過去のナトリウム漏洩事故に学び、それを「もんじゅ」に事前に反映させるという開発マインドを持つべき(開発当事者の多くは、そのマインドを持っていた“つもり”と思われるが)であったものが、そうとはなっていなかったことに対し、FBRの開発に携わっていた者として大きな反省がある。大きな代償を払って得たこの貴重な教訓を今後に活かすべきと考えている。

2。FBR開発についての基本的考え方
(1)FBRは、電力需要、利用可能な化石および核燃料資源の量、環境負荷の低減要求から生じるFBR導入の必要性、FBRを含めた核燃料サイクル技術(安全性、経済性等)の成熟度、およびこれら必要性と技術成熟度等に基づく市場原理と国民の合意形成環境によって、その導入がなされるものと考える。
(2)電力需要の下方修正、燃料資源の可採年数の上方修正が今までの現実であるが、グローバルに将来を展望すれば、環境負荷低減のニーズは高まる一途を辿り、また、世界人口の増加および生活様式の向上に伴う電力需要の増加と同時に資源の希少化が生じ、代替エネルギ源の必要性が高まるとの見方が一般的であると思う。
(3)代替エネルギ源(代替化石、再生可能エネルギ、原子力等)を選択するに当たっては、資源量、環境面での制約、技術可能性(コスト、供給量、安定性、設置スペース等)を横並びにして、それぞれの価値の大小を比較評価すべきものと考える。この横並び評価を行うと、結局は、 それぞれの代替エネルギ源の電源構成における分担割合は如何にあるべきかという問題に還元され、原子力(軽水炉および軽水炉から得られる燃料資源を徹底的に利用し尽くすFBR)が将来に亘って、相当なシェアを分担すべきとの従来の結論が導き出されることになると思う。
(4)原子力が将来に亘って相当なシェアを分担するためには、燃料サイクルの完結(核燃料資源の利用に関するリサイクル・システムの実現)が必要である。FBRは、このために重要な役割を担うと同時に、核燃料サイクルを構成する他の技(軽水炉、再処理、Pu燃料製造、廃棄物処理・処分等)と技術的に密接な関係を持っており、 これら関連技術との「研究開発の同時性」を維持することが極めて重要である。即ち、FBRの開発だけを将来に残しておき、必要になった時点で開発を再開するという方法では、燃料サイクル完結というゴールを達成するのは難しいと考えられる。核燃料サイクル全体を俯瞰して、その技術整合および性能最適化に向けて、個々の関連技術間の連携をとりつつ、同時並行して関連開発を行うことが大切と思われる。加えて、FBR導入の必要性を決定してから、開発を再開し、FBRを市場に送り出すまでに要する時間は、我々が管理できる時間枠組み(即ち、FBR導入ニーズの予測能力)を大きく越えていると思われ、継続的に安定なエネルギ供給を将来に亘って実現してゆく上で、開発を一旦中止することは、エネルギ政策としては脆弱と言わざるを得ない。

3。吉岡氏の意見へのコメント
(1)「もんじゅ」の運転再開に関して、宝くじのアナロジーを用いて(下記上段)、反対の立場を唱えている(下記下段)。
  <「もんじゅ」運転再開を判断する際の観点:吉岡氏による>
  ①一人前の選択肢となることに成功した場合の価値の大小(賞金)
  ②一人前の選択肢となることに成功する可能性の大小(当選確率)
  ③「確認試験」実施に伴うコスト及びリスク(掛金)
  <「もんじゅ」運転再開の可否についての評価:吉岡氏による>
  ①の価値はあまり高くない
  ②の成功確率は極めて低い
  ③コスト及びリスクは相当高い
①については、上記2(3)に述べた通り、電源の構成割合に還元される問題であり、原子力(軽水炉および軽水炉から得られる燃料資源を徹底的に利用し尽くすFBR)が将来に亘って相当なシェアを分担すべきとの従来の結論が導き出されるものと理解する。その意味で、FBR開発の「賞金」は、「特賞」に相当するのではないかと考える。
②については、開発途上の技術であることに伴う種々のトラブルを経験しているものの、それらは原子力の安全性にを本質的に脅かす問題とはなっていないと考える。また、海外での開発中止は、財政上、地元住民の反対、核不拡散上の理由などとなっているが、FBRの本質的成立性(安全性、経済性)が直接の中止理由となっているものは少ないと理解している。その意味で、“成功確率が極めて低い”との主張が理解できない。しかし、FBRの開発を継続する上では、開発目標(経済性、安全性等)とそれに到る開発ステップおよび実現の見通しを国民に積極的に示し(高速増殖炉開発計画専門部会で過去に示されたことはある)、広く議論を求めることが必要と思う。それにより「当選確率」についてのコンセンサスが得られるものと考える。
③の「確認試験」実施に伴うコスト及びリスク、即ち「掛金」が適切かどうかは、上記①および②の議論の結果として定められることになろう。

報告書案に対する意見 № 8 

ほとんど全頁 全文
(意見)
 高速増殖炉のこれ以上の研究開発のために国の予算を投入することは国民の税金のムダ使いです。むしろ縮小すべきです。増殖炉としては、重水を使用した中速中性子増殖炉の方が経済性と安全性があるからです。
(理由)
砂漠(熱帯、亜熱帯地方)における、海水淡水化装置として、フラッシュ蒸発法が全体の約7割以上のシェアをもっています。これに製塩業を取り入れることにより、LiとMgが比重採取方式で軽い方と重い方で採取できます。また、重水は比重が重 いので軽水が先に蒸発して残りに重水が採取できます。現時点においても、これによってより一層フラッシュ蒸発法が経済的に成立するので重水が安価に取れます。又、 これから太陽熱蒸発方式によっても重水が安価にとれ、21世紀に大面積化の太陽電池が経済的に成立するようになれば、水の電気分解により、水素、酸素、重水が経済 的に採取できるようになりますので、より一層の重水の安価が実現致します。燃料としてプルトニウム239を2~3%位と残りは劣化ウラン及び天然ウランを利用し、 圧力容器形の原子炉として、上記重水を減速材、及び冷却水として利用致します。実際は重水>軽水の混合水です。これによって中速中性子を利用した増殖炉が実現します。中速中性子を利用した重水炉は軽水炉を重水炉用に改良することにより、かなり容易に創れるようになります。また重水を使用した中速中性子増殖炉は燃料棒の交換 なしに10年位の継続運転が理論的に可能です。原子炉の停止には制御棒とホウ酸を水溶性に制御材として注入することにより、停止できますので2重の停止装置をもつことにより安全になります。また、軽水炉と同じように目測が可能です。安全度は軽水炉とほとんど同じで、経済性は軽水炉より格段に良くなります。以上により現在の軽水炉から出てくる余剰プルトニウムを処理でき、劣化ウラン及び天然ウランをプルトニウムと併用して利用できます。また核軍縮により出る余剰プルトニウムを処理できるので、より一層の核軍縮を実現することができ、世界平和に貢献できます。

報告書案に対する意見 № 9 

4頁下5行目~5頁上10行目
(意見)
 将来のエネルギー需要の伸びを勘案して資源の有限性、地球環境問題などによる制約に対処するため、種々のエネルギー供給手段のうち高速増殖炉の技術開発のみを排除することは、論理上矛盾があり、ペシミステックだ。
(理由)
 国際環境は、今世紀の後半から経済発展に伴う先進国を中心とした環境破壊、開発途上国における貧困と環境衛生、さらに人口増、エネルギー需要量増加に注目すべく変化した。先進工業国については、「経済成長から環境保護への変換、一方途上国については、開発の推進と援助の増強が重要である」との国際宣言がなされている。このように先進国は、地球環境という難解な問題を背負うことになった。
 翻って日本の今日における生活様式と産業構造は、エネルギー多消費型になっているが、その恩恵は途上国からの化石燃料の輸入および日本国民の勤勉な技術開発姿勢によるものであろう。
 過去の忌まわしい戦争の第一の原因は、エネルギー確保のための領土侵略そのものであった。
 今日、日本の国民は反映に溺れているが、省エネルギー間隔はどの程度まで浸透しているのか。地球上の人類の将来のために利己心を抑制するモラリストおよびエコロジストになりきれないでいるのが現実であり、ましてや省エネルギーのための規制強化を受け入れる心構えがあるかという問に対して確答を得るのは不可能である。
 第1、第2次オイルショックにおいては、日本は技術力でエネルギー消費のGDP弾性値を低下させることに成功した。しかし、今日のエネルギー消費は増勢を加速している。
 石器時代から文明開化の節目には必ず代替エネルギーの開発に成功している。我が国がエネルギー自給率を向上させるには、原子力は有力な選択肢である。原子力開発を単純に2分化することは、価値観が低いこと、印象的、感覚的に捉えすぎる。我が国は、原子力基本法遵守し、世界の技術立国の立場から、国際貢献として、科学技術で証明するべく、高速増殖炉開発に毅然とした態度で取組むべきと考えている。

報告書案に対する意見 № 10-1 

4頁13行目から5頁10行目
(意見)
 21世紀後半以降、経済的かつ環境への影響の少ないエネルギー源としてどのようなものがあるかについて、可能性のある選択肢を出来るだけ増やすため、実用化を目指した技術開発を進めるべきである。
(理由)
 21世紀後半以降のエネルギー源としては、エネルギーの効率的利用、省エネルギーに努めるとともに太陽エネルギーなどの晋エネルギーとともに高速増殖炉、核融合発電などの実用化を目指した技術開発を進め、その中から経済性の見通しが得られかつ環境への影響の少ないものを選択すべきである。この際、技術開発費の各選択肢への配分、効率的使用について充分配慮すべきである。
 原子力についても、高速増殖炉については基盤技術の技術開発のみでなく、実用化を目指したプラントの簡易化、コンパクト化のための検討及びこれに基づく要素技術開発に重点を置き、実用化の可能性を追求すべきである。核融合の研究開発については、現状はやっと臨界に達するかどうかの段階である、核融合発電を実用化するためには高速の中性子に対する材料の耐久性、極めて高温の間欠的な発熱による発電が、経済的に実現できるかどうかが問題である。今後10年乃至15年間の技術開発により実用化の見通しについての厳正なチェック・アンド・レビューを行うことにより、実用化の可能性のあるものに絞るべきである。
 また、海水中にはウランが45億トン含まれている。最近、原研により極めて捕集効率のよい捕集材が開発されており、もし経済的に可能となれば、将来かなりの長期間軽水炉による発電が可能となるので、その経済的可能性を確かめるためのフィージビィリティ・スタディを行うべきであると考える。

報告書案に対する意見 № 10-2 

9頁8から19行目
(意見)
 「世界で現在までに存在が知られているウランの量は約451万トン」という表現は、「現在の技術により経済的に採掘可能な既知のウラン資源量は約451万トンであるが、今後の探査、採掘、精錬技術の進歩及びウランの有効利用などにより、ウラン寿命はかなり伸延することが期待される」と訂正
(理由)
 経済的に利用可能なウラン資源量は今後の探査、採掘、精錬技術の進歩によりかなり増加することは、石油、天然ガスの例を見るまでもなく明らかである。またプルサーマルとともに原子法レーザー濃縮によるウラン廃棄濃度の引き下げ及び再処理回収ウランの効率的回収によっても、ウラン寿命の伸延が期待できる。
 これらの対策とともに、海水からウランの捕集技術の経済的可能性についても検討すべきである。

報告書案に対する意見 № 10-3 

10頁14行目~23行目
(意見)
 原型炉「もんじゅ」を中心とした研究開発のみでは実用化は無理。「もんじゅ」での運転経験、性能把握のための研究開発とともに実証炉の単純化とコンパクト化を目指したプラント設計研究及びそれに基づく要素技術開発を海外機関乃至専門家の協力を得て進めるべきである。
(理由)
 高速増殖炉を実用化するためには「もんじゅ」での運転保守経験の取得、性能の把握のための研究開発を進め、それを実証炉の設計に反映させるのは勿論必要であるが、これとともに現在進めている実証炉1号機の設計を抜本的に見直し、免震設計の全面採用、電磁ポンプの採用、熱交換器とポンプの一体化などにより、系統の単純化、プラントのコンパクト化を目指した設計研究及びこれに基づき要素技術開発に重点を置いた研究開発を進め、実用化の可能性を追求すべきである。この作業には電力及びメーカが積極的な役割を果たすべきであり、国の研究開発予算も重点配分すべきである。また、海外の機関乃至専門家の協力を得て出来れば国際プロジェクトとして進めることが肝要である。
 この結果、厳正なチェック・アンド・レビューにより信頼性、経済性に関する実用化の確実な見通しが得られた段階で、実証炉の建設に進むべきである。

報告書案に対する意見 № 10-4 

12頁1~10行目
(意見)
 高速増殖炉は「増殖」により、ウラン資源の大幅な利用拡大をはかるところに意義があり、単にプルトニュウムを燃焼するという目的であれば軽水炉でのプルサーマルの方が張るかに経済的である。また、TRU廃棄物の発生量の増大を考えると放射性廃棄物の負荷の低減効果はそれほど期待できない。
(理由)
なし

報告書案に対する意見 № 10-5 

12頁下から1行目より13頁7行目
(意見)
 体制の問題ではない。むしろ高速増殖炉の研究開発に従事する一人一人が、原子炉施設の多重防護に基づく安全設計思想に徹することが必要であると考える。
(理由)
原子炉施設の多重防護に基づく安全設計の基本的考え方は
(1)機器、配管の設計に余裕を持たせ、信頼性の高い材料の使用、厳重な検査を行う。
(2)異常事態に対する検知器を多重に設けるとともに、異常事態発生の未然防止と万一異常事態発生に備えてその緩和乃至拡大防止策を採る。
(3)万一の重大事故に備え、原子炉を確実に停止するとともに、停止後の燃料温度の異常上昇防止のため崩壊熱除去装置を多重に設ける。
「もんじゅ」の場合、特に(1)の対策を過信するあまり、(2)の対策が充分取られていなかったように見受けられる。この点について今一度充分な検討を行い改善をはかるべきである。今回起こったトラブルに関連するものだけでなく例えば、熱疲労割れ、使用済み燃料取り扱い装置など過去に国内外の高速炉及び軽水炉で起こったトラブルを充分詳細に調査し取るべき対策について検討すべきである。

報告書案に関する意見 № 10-6 

14頁18行目~22行目
(意見)
 問題は、実効性のある厳正な外部評価の制度化である。従来の反省の上に立って、十分検討の上具体案を明示すべきである。また、実用化のための評価基準についても明確にすべきである。
(理由)
 従来、原子力委員会のチェック・アンド・レビューはナショナル・プロジェクトに対して甘すぎるきらいがあった。従って厳正な外部評価の制度化は是非必要と考える。十分検討の上具体案を明示すべきである。これとともに実用化に対する評価基準、例えば高速増殖炉の実用化を進めるにはウラン価格が現在価格の5倍即ち100ドル/lbU3O8の場合、軽水炉並になる確実な見通しがあることといった基準の設定が必要と考える。この際、高速増殖炉燃料の再処理費についても研究機関の希望的期待値でなく自らの適正な判断に基づくことが必要と考える。

報告書案に対する意見 № 10-7 

15頁8~15行目
(意見)
 プルトニュウムの生産と消費のバランスを厳密に取ることは実際問題として困難である。問題はプルトニュウムの転用が行われていないことを厳重に監視するため、封じ込め、監視技術の高度化により各国から疑惑を招かない信頼性のある保障措置を取ればよいと考える。
(理由)
 なし

報告書案に対する意見 № 10-8 

16頁3~18行目及び17頁10~15行目
(意見)
 高速増殖炉の実用化の可能性を評価するためには、原型炉「もんじゅ」での運転経験、性能把握は勿論必要であるが、これとともに実証炉のプラント設計研究とこれに基づく要素技術開発によって経済性、信頼性に関する実用化の可能性の検討が必要である。
(理由)
 なし

報告書案に対する意見 № 10-9 

17頁2~6行目
(意見)
 「もんじゅ」での研究開発に当たっては、運転経験及びトラブル対策を通じてプラント設計、機器配置、レイアウトなどの改善策及び補修技術の改良について検討することが重要である。
(理由)
 なし

報告書案に対する意見 № 11-1 

P4. L7~10
(意見)
 資源の乏しい我が国としては、今後とも原子力をエネルギー供給の一部として持ち続けることが妥当である、とあるが、だからこそ、日本は代替エネルギーの先駆者として世界をリードしていこうと強調するべきだ。
(理由)
 日本は先進国と呼ばれるが、現在、他国に先立って開発した技術はあるのだろうか。すなわち、いかなる国から見ても、この技術に関しては日本に頼るしかない、あるいは日本を真似るしかない、と日本を模範にする分野はあるのだろうか。私には思い当たらない。
 日本はいつもそうで、独自の技術がなかなか生み出せない。アメリカの10年後を歩んでいるといわれてかなり久しいが、一向に追いつかない。追いつく気配すら見せない。私はこの事実を認識するとき、一日本人としていつも遺憾の念でいっぱいになる。
 昨今、代替エネルギーの最有力選択肢である原子力も、ウランの有限性や廃棄物処分などの問題が唱えられてきた。一方で、経済性などの理由から、先進諸国がFBRへの着手から次々と撤退していく。「夢の代替エネルギー」を開発するこの機会を逃す手はないのではないか。実現可能性が疑わしいFBRだともいわれるが、この現在に至るまでに開発された諸技術の中で、100%完璧だったものなどあるわけがない。ましてや、日本のFBRは'70年代初等の実験炉「常陽」の計画に始まり、地道な努力を重ねて「もんじゅ」を臨界に導き、ようやく実証炉の開発、つまり実用化の核心に迫ろうという段階までこぎつけた。ここまできてその計画を停止でもしたら、長い目で見て後悔するはずである。つまり、今こそ世界に先立つチャンスなのである。世界各国がFBRの必要性を痛感する時代が、数十年後にやってくる可能性は十分ある。その際、各国に再開発を急がせるのではなく、FBRを実用炉として使いこなしている日本が指導していこうではないか。

報告書案に対する意見 № 11-2 

P10 L15~19
(意見)
 原型段階から実証段階が、一般的に費用と時間がかかるその実状を具体的に述べないと説得力に欠けるのではないか。また、実用規模のプラント、とあるが、これは実証炉と表現してその目的を述べた方がよいと考える。
(理由)
 原型炉に続く実証炉の開発は、実用炉の経済的見通し及び発電プラントとしての技術的諸性能を測る目的を持つため、FBR実用化を議論する上で極めて意義深い。そのため、本文の様な説明だと実証炉開発の重要性がアピールされていないと考える理由による。
 現在、日本で開発されている実証炉の研究・開発は、'78から20年以上もの歳月をかけている。「もんじゅ」計画の遅れやその他外部要因によって、実証炉計画が先延ばしにされてきたために結果的に長期間要しているという側面もあるが、少なくとも現在('97)にいたるまで、その研究・開発は慎重かつ順調に進められている。「もんじゅ」がそうであったように、実証炉も長期の工程を経由して初めて初臨界は達成されるのである。
 実証炉の研究が開始されて以来、相次いで動燃のトラブルが続いた。確かに、それらは原子力そのものに対する国民や地域住民の不安感・不信感を増大させたり、今後はそれらを十分に考慮した安全設計をしなくてはならないと、関係者たちに反省させたりした。しかし、実証炉というのは、FBRが実用可能となるか否かを議論する最高のものさしであり、トラブルそのものをFBR実証炉と結びつけることによって、その開発を妨げるべきではない。
 以上のように私は実証炉の開発を推進する。

報告書案に対する意見 № 12 

 
(意見)
 「FBR」推進には国民の合意が必要として「F懇報告書案」に意見を募集されることを歓迎します。しかし、F懇メンバーの人選が偏っていて、国民の疑問や不安を代弁する方が少なく、公平を欠くと痛感しています。
(理由)
(1)F懇意見を紹介しつつも「開発を進めることが義務であるという意見が多数」、「中止すべきでないと言う意見が多数を占めた」とし、「研究開発を進めることが妥当」との結論です。(P.12)その結論を予定しての人選ではないでしょうか。これでは国民レベルの合意形成の叩き台として不適当です。百万人を超える<もんじゅ凍結署名>に見るように、多くの国民が高速増殖炉に不安を持っています。懇談会のメンバーには高速増殖炉に反対或いは慎重意見を持つ科学者、有識者は半数とし、各地で公聴会を開き、時間をかけて議論すべきです。長野での開催も希望します。 事はエネルギーだけでなく、国民の命運に関わる重大な問題なのですから。
(2)「徹底したコストダウンと安全性の確保」(P.14)は両立するでしょうか?両立不可能だから各国はFBRから撤退したと私は理解しています。
プルトニウムと言う猛毒の放射性物質を人間が作り出し、核兵器やエネルギーに利用しようとしたことが問題だと思います。動燃の相次ぐ失態や不祥事は「放射能を人間がコントロール出来る」という思い違いが根本原因だと思います。放射能を扱うには万一の失敗も許されないのに、それができると言う前提の原子力政策が様々な矛盾を引き起こしているのです。それが動燃の体質以前の基本的な問題ではないでしょうか。
(3)「研究開発自体の経済性を定期的に評価して計画を随時見直すことが必要」「重大な問題が発見された場合は計画の抜本的な再検討を行う」「軌道修正を行える仕組みを制度化する必要があります」等、多分以前には見られなかった柔軟な姿勢を歓迎します。今こそ、これほど破綻が明らかになった原子力政策を転換するチャンスです。<重大な問題>が起きてからでは後の祭りです。
先ず高速増殖炉から撤退する勇気を心から求めます。
(4)省エネ政策と新エネルギー開発に頭脳と予算を!

報告書案に対する意見 № 13 

全体
(意見)
高速増殖炉の安全性と経済性を両立できる見通しは既に無い。直ちに開発を中止するのが長期的に見て賢明な策である。結論を先送りすることなく責任をもって高度の判断を下すべきときである。
(理由)
 報告書(案)の「3.2(2)高速増殖炉実用化の技術的・経済的見通し」が最も重要なポイントであるはずなのですが,安全性と経済性の両立が可能であるとする具体的な根拠が示されていません。「4.今後の課題」の(3)においてコストダウンの必要性を説いていますが,これは精神論で解決できる問題ではありません。 軽水炉と比較して,高速増殖炉ではナトリウムという極めて反応性の高い冷却材を使うことからくるコストアップが避けられないことが,諸外国の経験やもんじゅの事故で明らかになってきました。ナトリウムの漏えいを絶対に防ごうとして安全度の高いシステムを造れば相当のコストアップとなり,逆に大幅なコストダウンを図って安全度ギリギリの設計とした時には, ある頻度で常に発生する設計・工事ミスが直接的にナトリウム漏えいに繋がり,火災や爆発を引き起こすために,その損傷の大きさや復旧に要する時間と経費は莫大なものとなります。運転を中止している間はナトリウムを高温に保つために逆に多大な電力を消費します。そして事故が起こるたびに世論の批判にさらされ,社会的にも受容度が低くなります。 高速増殖炉の経済性と安全性とはまさにジレンマであり,両立とは程遠いと言わざるをえません。諸外国が既に撤退を決めたことからわかるように,経済性を見積もる判断材料は十分蓄積されているのであって,それを真剣に検討することなく開発継続を決めるのは無責任です。諸外国と異る結論が出せるほど,わが国は技術的優位に立っているのでしょうか。官僚機構である科学技術庁が現状維持を望むのは自然な対応でしょうが,結論を先送りし続けて被害を拡大した住専問題の大蔵省や薬害エイズ問題の厚生省の二の舞いにならないかどうか,よく考えていただきたい。 今求められているのは,責任ある立場にある人々が,撤退か継続か,後世の批判に耐えうるような高度の判断を下すことです。

報告書案に対する意見 № 14-1 

1頁下から4行目
(意見)
 「懇談会」の議論の内容はより深いものでなければならず、ここで幕を閉じないで、議論を続けるべきである。
(理由)
 例えば「……将来の高速増殖炉の在り方について幅広く議論を行い、……」とあるが、現在の問題はこんかんについて深い技術的検討が為されていない点にある。深さをきわめずに広い議論あるいは意見の取り入れをしても意義が少ない。メンバーの追加などをして、より立ち入った技術的検討をおこない、その後にこのような会を開くべきであった。ここで、この会を終わらせ、一つの役割を果たしたと見なすことには賛成できない。

報告書案に対する意見 № 14-2 

42頁1行目
(意見)
 高速増殖炉によって非常に多量の燃料が得られるように思わせる記述はやめるべきである。
(理由)
 この頁も記述全体が、高速増殖炉の有利さをPRするコマーシャルのようになっているが、特に表中のFBRの行の「60%程度」はその数値の根拠も明らかでなく、実際とかけ離れた数値である。
 25年前の増殖炉に対する期待が高かった時代なら別であるが、現時点でこのような資料を加えることは「懇談会」の姿勢を問われかねない。

報告書案に対する意見 № 14-3 

41頁4行目
(意見)
 「核分裂によって生成する中性子の数」についてはより正確な記述を要する。
(理由)
 おそい中性子による核分裂と速い中性子による核分裂の二つについて、もっと正確に書かねばならない。
 原文では「・・・・・・生じる中性子の数は、高速増殖炉では約3個、一般の原子炉(軽水炉)では約2個で・・・・・・」と書いてあるが、各々の数値は、それぞれ約2.1個、約2.5個と書かねばなるまい。原文の書き方では増殖が非常に有効に進むような印象を与え過ぎる。
 また、ページの下にあるイラストも、理解を深めるより、誤解をまねく恐れがある。(これを素直に見ると一回の核分裂が起こるとプルトニウムが多量に生じるように見えるし、そうでないようにも思える。また軽水炉ではプルトニウムが生成しないような印象を与える。)

報告書案に対する意見 № 15-1 

14頁全行
(意見)
財政事情のひっ迫の中で、大型プロジェクトの見直しをいい乍ら、とりあえずFBRの研究開発は進めるというのは矛盾している。又、コストダウンと安全性の確保は決して両立しないのではないだろうか。
(理由)
①動燃の欠損金はすでに14000億~15000億円といわれている。大型プロジェクトの見直しは、今こそ必要なのであり、とりあえず研究開発を続けて、定期的に見直すという姿勢では、まだまだ欠損金は増え続け、税金のムダ使いである。
民間の企業なら、とうの昔に倒産であり、これだけの税金を投入していながら、これまで事業内容の再検討が行われていないことが不思議だ。
②FBR計画を推進してきた各国が、撤退していったのは、安全性を確保するには、膨大な経費がかかる事がわかったからである。「もんじゅ」も、鉄の床ライナーを全面的に張りかえるには、一体どれくらいの費用がかかるのかはかり知れず、又、やり直しても、絶対に安全性が確保できる保障は、ないのではないだろうか。

報告書案に対する意見 № 15-2 

17,18頁
(意見)
高速増殖炉研究開発の意義や進め方について、広く国民と対話し、理解を深める努力が何より重要と本当にお考えならば、まずこの懇談会の報告書案に基づいて、全国各地で、一年間位の期間をかけ説明討論会を開くべきだ。
(理由)
①国民からの意見募集がたったの一ヶ月間では、余りに短すぎ、多くの国民は、募集の事実すら知らないのではないか。なぜそんな急ぐ必要があるのか。
②いきなり意見の募集ではなく、各地で、ていねいな説明、討論会を行うべきではないか。
③バックエンド問題では、半年間で5ヶ所の討論会が持たれているのに、東京で一ヶ所はひどすぎる。特に「もんじゅ」に近い福井、関西でなぜ開催されないのか。言行不一致も甚だしい。
8月5日、10月2日、10月15日の三回、西澤座長あてに要望を出したが、懇談会の中で委員の皆様に図って頂けなかったのはおかしいと思う。

報告書案に対する意見 № 16 

12,13,14頁(1)、(2)、(3)
(意見)
報告書案に対しての意見募集は周知されていず、1ヶ月間は短かすぎる。安全性についての見通しも立たない現在、期間をのばし、その間に各地での説明会、新円卓会議、福井県民の意志の反映の後、再検討し最終報告を出す事。
(理由)
1「もんじゅ」」の安全性と経済性について
 報告書案後の「もんじゅ安全性総点検チーム」の報告で、さや管に設計ミスがあり、破断する事があきらかとなった。又、水素爆発の危険性もあり、安全性に大きな不安を感じる。まだ総点検は終了していずこれからも問題点が出て来る可能性もある。又神奈川で行った対話集会で、「安全性が最優先なのでいくらお金がかかっても安全対策優先でやる」と発言しているが、日本も経済の発展が低迷し、市民生活にも大きく影響している。
この時期に、これ以上使いものになるかどうかわからない高速増殖炉に私達の税金を使ってほしくありません。
 安全性をたもつための経済性がはっきりするまで報告書案はのばすべきです。又懇談会で、安全性、経済性の議論がどのくらいおこなわれたか、明らかにして下さい。技術者は何人ぐらい居るのでしょうか。懇談会は安全性、経済性について再検討するべきです。
2 国民の合意について
 三県知事からも国民の合意が大事であるという提言がされ、新円卓会議の開催が科技庁からも提案されながら一度も開催されていない。まして1ヶ月間の意見募集と1ヶ所での説明会で最終報告を出すのは国民の合意無視としか云いようがない。安全性、 経済性がはっきりするまで最終報告をのばし、各地での説明会-特に「もんじゅ」に近い関西での開催、新円卓会議の開催、地元福井県民の意志反映をしたのち、最終報告の再検討をすべきです。他の報告書では半年間の意見募集、各地での説明会多数開催が行われているのに、なぜ高速増殖炉懇談会は出来ないのか。
3 国民の意思の反映はどの様ににもり込むのか
 西澤座長は多い意見、重要な意見は反映すると云っているが、どこでどの様に反映されるのか、あきらかにして下さい。意見を聞くだけでは反映とは云えない。

報告書案に対する意見 № 17 

5頁16行~6頁3行まで
(意見)
 21世紀のエネルギー供給のため「原子力発電所が必要」イコール「高速増殖炉が必要」は誤った論理です。高速増殖炉のエネルギー供給が50年たっても1%程度としたら、それはとても「供給である」とはいえません。
(理由)
 原子力委員会・高速増殖炉懇談会の平成9年10月14日に出された「高速増殖炉開発の在り方」(案)には「原子力を21世紀のエネルギー供給の一部として引き続き維持発展させることが妥当と判断します」と5頁に述べられています。次の6頁には何故それなら高速増殖炉を進めるのかに付いて何の論理も展開せずに唐突に「原子力を我が国のエネルギー供給の一部として維持発展させるとして、高速増殖炉の研究開発を今後どう進めるかです。」続きます。
 高速増殖炉は50年たっても日本のエネルギー供給の1%も充たせないということは、現在の事実を踏まえればはっきりしているはずです。(理由:50年以内に高速増殖炉の商業炉を5基順調にフル回転させるのは到底無理なことなので)その点が正しいのか間違っているのか、その調査の結果、高速増殖炉をエネルギーの供給として開発するのかしないのかを懇談会は論じなければなりません。その仕事を抜きにして「案」を出されています。
 高速増殖炉懇談会の任務を達成するのには、以上の根本のついて追求しなければ、話は始まりません。

報告書案に対する意見 № 18-1 

参考資料
(意見)
 高速増殖炉に関するLCAを政府・産業界から独立した複数の機関で行い、その結果を参考資料とせよ。
(理由)
 添付されている参考資料はクレジットがないか、推進派の立場からまとめられたものだ。全体として増大するエネルギー需要に答えるためには高速増殖炉にプルトニウム利用が良いという視点でまとまられているようだ。リスクについては触れてなく、これでは、客観的な判断はできない。

報告書案に対する意見 № 18-2 

意見募集期間とご意見を聞く会について
(意見)
 募集期間が1ヶ月間は短すぎる。ご意見を聞く会に限らず、対話集会など議論の場を全国各地で開催せよ。
(理由)
 高速増殖炉を開発するかどうかを早急に決める必要はない。じっくり時間をかけて議論すべきだ。まず、全国各地で議論の場を設けるべきだ。募集期間が短い上に、東京だけで開く「ご意見を聞く会」はわずか10人程度の意見を聞くだけでは不十分だ。
 本委員会の人選は科技庁が行っており、もんじゅの運転再開を途を開く案が出ることは、ある井見栄は予想されたものだった。案の内容を見ると、委員の方々が市民の意見や願いを十分に聞き、反映しているとは言い難い。また、期間を定めた理由に、科技庁は次年度の予算請求をあげているが、これでは意見の募集は形式にすぎないことを表明しているに等しく、容認できない。
 そこでます、委員の方々が全国各地の市民の多くの意見を聞くべきだと考える。募集期間はそのスケジュールを立てた上で決めるべきだ。

報告書案に対する意見 № 19 

全てに渡って
(意見)
 高速増殖炉懇談会報告案の取り扱いについて基本的な考え直すこと。
(理由)
◆意見募集を6ヶ月間に延長してください。1ヶ月ではあまりにも短いと思います。
◆「報告書案(高速増殖炉懇談会の運営について含んで)」についての討論会、説明会などの全国各地から要求についてはすべて答えてください。
◆「ご意見を聞く会」については、11月14日の意見募集の締め切り前に東京で1回のみしか行わないのはなぜでしょうか。特に福井県や近隣の府県でも行わないのはなぜでしょうか。必ず設定してください。
◆意見募集については、科学技術庁の記入要綱に則さない形式のものも届くかもしれないと想像します。要綱に則さない意見も尊重してください。「記入漏れや本記入要綱に則して記述されていない場合には、ご意見を無効扱いとさせていただくことがあります。」と(記入要綱)にあります。これではより多くの国民の意見を真剣に聞きたいという考えとは程遠いものです。
◆意見募集については、高速増殖炉懇談会の運営の在り方そのものも、テーマに追加してください。
◆提出した意見がどのように扱われるのか、具体的にはまったくしらされていません。具体的にどのような手順で検討され、どのようなかたちで報告書や懇談会に反映されるのか、委員は意見をどのように読むのか、可能か限りくわしく公開してください。
◆報告書案については、新聞紙上に少数意見も入れて公開し意見を募集してください。今の広報ではないようについて意見を出せる人は非常に限られています。

報告書案に対する意見 № 20 

PAGE17 9-11行
(意見)
実証炉の具体的計画については、今後数年をめどとして、実証炉の建設時期が明記され、かつ各ステップごとに開発目標となるマイルストーンが見えるように策定してほしい。
(理由)
 実証炉の具体的計画に「もんじゅ」の運転経験を反映することは必須であると考えます。一方、この具体的計画について、「もんじゅ」で得られる種々の研究成果を十分に評価した上でその決定を行うのでは時期的に遅いと考えます。この理由は、以下の通りです。
 FBRは、将来の原子力ひいては非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢と位置づけられています。この非化石エネルギー源としては、FBRはもちろんのこと、太陽光や風力発電等があります。これら技術の実用化に当たっては、個々の技術の特徴に合わせて開発目標や具体的計画等を策定する必要があります。特に、FBRでは、実用化までに数十年の期間が必要と予想されており、それを踏まえて具体的計画を策定する必要があります。
 FBRは巨大なシステムであり、種々の技術を最適に組み合わせて実現できるものであります。一方、実証炉の設計を「もんじゅ」で得られる種々の研究成果を十分に評価した上で行うのでは、最新の研究成果等を実証炉の設計に当面反映できないことになります。これは、「もんじゅ」で得られる種々の研究開発の成果を評価をするまで に、10年、20年という期間が必要になり、それから実証炉の設計をしたのでは、FBRの実用化段階まで考慮するとウラン資源やFBR設計技術の継承という観点から遅すぎるということを意味します。そのため、「もんじゅ」で得られる種々の研究成果を踏まえつつ、かつ実証炉の建設時期を明記してマイルストーンが見えるように具体的 計画を策定し、この計画にそって実証炉の設計を平行して実施し、各ステップで評価を十分に行うのが現時点では最適と考えます。この評価において、FBRが技術的に成立しないという明確な結論が「もんじゅ」の試験等で得られた場合には、実証炉の具体的計画を中止する等の仕掛け作りが必要なのは言うまでもありません。

報告書案に対する意見 № 補足1-1 

12頁13行目、16頁4~18行目
(意見)
 「研究開発を進める」という言葉のみが当然のごとく語られているが、なぜ必要なのか具体性が全くない。「原型炉本来の目的」を抽象的に語ることで「もんじゅ」の再開を正当化するのは当懇談会としては無責任である。
(理由)
 「これまでの蓄積」とはいったい何か。大切なことは、すでに日本に先行する各国が、高速増殖炉から撤退している中で、それでも日本が実用化に向け開発を続けるというなら、先行した各国の経験と蓄積の中から、実用化に向けた課題を煮詰めあげていき、「もんじゅ」で何を研究するのか、そこから何がどう展開すれば「実用化の可能性」に結びつくのかをまず明らかにすることが絶対必要である。この点での「外部評価」がまず必要であるが、当懇談会はこれを全く放棄している。
 それから次の実証炉は炉型が「もんじゅ」とは異なるトップエントリーと決まっているが、トップエントリーの原型炉を踏まえず、いきなり実証炉で本当によいのか、という問題もある。
 こうした作業を抜きに、ともかく「もんじゅ」は再開しようというのでは動燃(新法人)のやりたいようにやって下さいということに他ならない。こうした点を明らかにすることなく「もんじゅ」の運転再開が「妥当」とか「必要」と言うのは無責任である。

報告書案に対する意見 № 補足1-2 

16頁9~18行目
(意見)
 かかる理由を持って「『もんじゅ』を使い、研究開発を続ける事は必要」と言うのはあまりに無責任。当懇談会は動燃擁護の懇談会ではないはず。
(理由)
(1)どういう問題が「もんじゅ」に在ると認識しているのかを明確にすべき。それ抜きに「問題が在るからというだけで」というのは居直り的動燃擁護以外の何者でもない。「重大な問題が発見された場合には、直ちに同計画の抜本的な再検討を行わなければなりません」(P14)というのは将来の話ではなく、現時点にまず適用すべきではないか。少なくとも以下の点には答えるべき。
 ①動燃の体質は深刻問題であって、改革検討委が方針を出して以降も次々と失態、不祥事が続いている。看板を付け替えたくらいで改善される保証が果たしてあるか。
 ②ナトリウム漏れ火災事故では安全委員会が「知見と問題意識がなかった」ことを認めており、安全審査の重大な不備は明らかである。安全委員会の最終報告書がまだ出ていない。安全審査の重大な不備がなぜ生じたかという問題と、重大な不備があっても「もんじゅ」の運転再開がそれでも「妥当」と言えるのか。
 ③他にも同様の設計ミス等が見過ごされている可能性を安全委員会も認めているが、「安全総点検」を行っているのは動燃であり、科技庁がそれをチェックしている。これでももれなくチェックできる保証はあるかどうか。
(2)「中断すると人材面、金額面で大きな損失」という理由が第一義に掲げるならば、ひとたび始めたビッグプロジェクトは中断できない、ということになる。当報告書で言っていることと矛盾する。

報告書案に対する意見 № 補足1-3 

13頁6~7行目、16頁下2行目~17頁1行目
(意見)
 安全確保に関する記述であるが、こうした情緒的な提言で「もんじゅ」の運転再開をよしとするのは余りに無責任ではないか。
(理由)
 「懸命な姿勢」や「慎重な運転管理」は必要条件ではあるが、これがあっても安全は担保されえない。「もんじゅ」ナトリウム火災事故ではいまだに安全確保の対策は打ち出されていない。さらに、安全審査の在り方に関しても、中川元科技庁長官、近岡前科技庁長官がそろって現行のシステム(推進行政と規制行政の一体化)を批判し、抜本的な改革の必要性を主張している。
 手続き的に言えば、安全審査の欠陥が明らかな以上、安全審査の無効確認と「もんじゅ」の設置許可の取り消し、しかる後に再び再開するのであれば、安全審査機構の抜本的改革の後に安全審査をやり直すことになろう。
 こうした諸問題に全くふれることなく、情緒的な提言をもって「もんじゅ」の運転再開をよしとするのはあまりにも無責任。

報告書案に対する意見 № 補足1-4 

15頁下3~下1行目
(意見)
 当懇談会の審議内容に関わる重大な問題があるにも関わらず、検討委員会の打ち出した方針(「動燃改革の基本的方向」)を全く無批判に受け入れているのはどうしてか。
(理由)
 検討委員会では、「新法人」の引き継ぐ基本事業を・高速増殖炉及びそれに関連する核燃料サイクル技術開発・高レベル放射性廃棄物処理処分の研究開発としたが、その理由は「実用化の確度が高く、経済性の推定も可能」であるからとしている。しかしその根拠は一切示されていない。
 当懇談会の報告書案の趣旨では、高速増殖炉の実用化については、現時点では判断できない、それは今後の研究開発を待ってからだとあるが、検討委員会の考えとは全く異なる。
 本来であれば、当懇談会の審議を待って、検討委員会は方針を決めるのが筋であると考える。いわば当懇談会の審議の先取りを検討委員会は行ったのであり、しかもその内容が当懇談会の審議と矛盾する以上、検討委員会の方針に見解を出すべきである。

報告書案に対する意見 № 補足2 

(意見)
 昭和36年より日本海側の未開発地域をエネルギー産業の誘致により、経済活性化と調和のとれた心豊かな地域にすべく努力してきた地元市民の一人として、高速増殖炉の開発の意義を再認識することができ安心した。
(理由)
 もんじゅにおけるナトリウム漏えい事故以降、地元においても動燃に対する不安の声が上がっているのは事実であると思う。
 しかし、我が国が核燃料リサイクル製作を次世代エネルギー政策の中心に据えることは、既に国会をはじめ国の委員会でも決定され、また地元においても公開ヒアリングの場において必要性や安全性につき十分議論されており、国が事故の原因や再発防止策につき議論することは大歓迎であるが、原子力政策の是非にまで遡って議論するのは、逆に地元住民に不信感、不安感を与えるだけである。
 よって国に対する要望としては、今後も原子力開発を推進していく姿勢を、今般の高速増殖炉懇談会報告書を受けて、広く国民にはっきりと明示して頂くことを強く望みたい。また、最近よく取り上げられるようになった地球温暖化問題は、人類にとってその存在を脅かすような極めて深刻な問題であり、日本としても地球環境を守る観点から、その解決策として有効な原子力エネルギーの研究開発を科学技術という幅広い視野から続けていくべきことも付け加えておきたい。
 今後、敦賀・若狭地区における原子力開発のあり方を考えると、原子力産業は真に地元の人々が誇れる産業に脱皮していくことが必要であり、国のはっきりとした方向づけと支援が不可欠であると思う。
 そのためには科学技術創造立国日本を象徴とする地域とすべく、国としても「化学技術創造地域」(仮称)のようなビジョンを示していくのも有効であると思う。
 また、広報活動の重要さを再認識し、国としても地元住民に正確な情報を提供するとともに、広報活動を通じて国の原子力政策に対する姿勢をはっきりと地元住民に示していただくことを強く国に望みたい。

- 以 上 -