高速増殖炉懇談会(第11回)議事要旨



1.日 時 :平成9年10月9日(木) 14:00~16:10

2.場 所 :科学技術庁 第1、2会議室 (2階)

3.出席者 :

 (原子力委員)
伊原委員長代理、田畑委員、藤家委員
 (専門委員)
西澤座長、内山委員、小林委員、近藤委員、住田委員、中野委員、松浦委員、吉岡委員
 (科学技術庁)
加藤原子力局長、森口動力炉開発課長
 (通商産業省)
谷口資源エネルギー庁審議官、三代原子力発電課長
4.議 題
  (1)報告書案の検討

5.配布資料
   資料第11-1号 高速増殖炉懇談会(第10回)議事要旨
   資料第11-2号 高速増殖炉研究開発の在り方(案)    [事務局]

6.概 要

(1)
西澤座長より開会宣言と今回の議題の説明がなされた。その後、事務局より配布資料の確認が行われた。

  ○
前回同様報告書案について議論して頂き、一般の方々から意見を募集するための報告書案を取り纏めたい。(西澤座長)

(2)
事務局より、前回報告書案からの変更経緯について説明があった後、資料第11-2号に基づき、高速増殖炉研究開発の在り方(案)の本文、参考資料1及び付記2の朗読がなされた。また、吉岡委員と内山委員より少数意見及び補足意見の朗読がなされた。主な質疑等は以下の通り。

  ○
報告書案の取扱いについて、欠席された委員の方から座長一任の了解を得ている。(西澤座長)
  ○
各委員とのやり取りは、2章及び3章について近藤委員に書いて頂いたドラフトを事務局と相談してまとめたものを各委員に送付した。それについてコメントを頂き修正した後、再度各委員に送付し意見を頂いた。(事務局)
  <変更経緯>
  ○
全体の構成を変えた関係上、前回「2.現状認識」の中にあった、「我が国の高速増殖炉研究開発の現状」と「海外における高速増殖炉研究開発の動向」を「3.1」に移した。3章は近藤委員のドラフトを中心に作成した。安全確保が第一というコメントに基づき、「4.今後の課題」の「(1)安全の確保」と「(2)立地地域住民及び国民の理解促進と合意形成」を入れ替えた。その他の構成は変わっていない。
  ・
吉岡委員から少数意見が、秋元委員及び内山委員から補足意見が出された。
  ・
参考資料1の「高速増殖炉の特性」は、前回近藤委員提出の資料の後段部分を中心に、前回事務局で用意した「高速増殖炉の主な特徴」に代えて添付した。(事務局)
  <主な質疑等>
  ○
とりあえず一括して審議しては如何か。(西澤座長)
  ○
少数意見と付記は、本文の議論が終わってからの方がよいのでは。(松浦委員)
  ○
そのような進め方で如何か。(西澤座長)
  ○
少数意見は多数意見との関わりにおいて書かれており、多数意見が変更されれば少数意見も変更せざるを得ない。また、多くの委員の要請により少数意見の表現が部分的に変わった場合は、多数意見を認めることができなくなる。順序として、まず本文を審議し、次に少数意見、補足意見を審議することには賛成だが、多数意見を議論し終わった段階でそれが確定したことにして欲しくない。(吉岡委員)
  ○
当然の意見であると思う。(西澤座長)
  ○
時間の関係上中座するので全体的な印象を述べたい。今回出席者が少ないのは座長一任となっているからか。私も含め、これまで述べてきた意見に対して丁寧な形で意見のやり取りが行われたと理解しており、多数意見の主旨が変わらない限り、中座することに何の躊躇もない。
  ・
本当は座長に言って頂きたかったが、前回審議がマスコミ報道されたことに関して、私の息子を含め知り合いの複数の者に、「高速増殖炉開発をやめるのか」と言われた。それを書いた新聞記者が総理にも同様の質問をして、別の形で総理がお答えになったというのも新聞報道で見た。それくらい新聞報道の大見出しが誤解を与えるものであったことについては、あの席にいた一人として憤慨している。ただ、記事はきちんと書かれていたので、おそらくこの会を何のウォッチもしていない方が一つの思い込みによって書いたのではないか。今回、文章が外に出されるときはかなり大部なものなので、座長がそれなりの形で何か記者発表される可能性があるとしたら、そういうことが無いようにして欲しい。こういうことがあれば逆に、「国民の合意形成において、客観性、中立性、事実の正しい報道の在り方について誤解を与えるものであって強く抗議したい。」ということくらいまで言って頂きたい。
  ・
吉岡委員の研究炉に関する記述について、段階的撤退論と研究炉がどのように結びつくのか。研究して重要であれば段階的撤退論すら変更される余地があるということか。それならば、多数意見とそれほど大きな違いが無いのでは。国民は批判的な方がどういう意見を持っているか知りたいので、少数意見を書かれる場合には、その辺をもう少し詳細に書いて頂いた方が良いのでは。(住田委員)
  ○
昨日の新聞で「蒸気発生器の評価をしたら、前の安全審査では伝熱管が1本破断しても後への影響は無いという評価だったのが、新しく評価したら、何本か破断する。」ということが出ていた。これは、ナトリウム漏洩に比べるとはるかに重大な問題だ。これが、確かな評価の結果なら、重大な問題が発生したと見ざるを得ない。この報告書の最終段階に至って、このような話が出てくるのは非常に当惑する。そのことを動燃に伺い、それがクリアされた上で話を先に進めて頂きたい。(松浦委員)
  ○
地元の新聞を読んで頂ければ、その辺のところがはっきりしている。これは、元々は4本で評価しているが、それ以上のことはないということ。ただし、裕度が少なくなることがあるので、研究炉であるので念のために、蒸気を逃がす放出弁をこれまでの2個から4個に増やしたということ。蒸気発生器に欠陥があるとか、交換しなくてはならないということではない。何社かの報道で、不十分な報道がなされているが、現地の報道ではきちんとしたものになっている。(動燃事業団)
  ○
14ページに「同計画の抜本的な再検討を行わなければなりません」とあるが、前後を読むと明らかに「中断」とか「中止」も含んだ意味だと思う。「抜本的な再検討」というお役所言葉はやめて、思い切って「中断或いは中止を含み再検討を行わなければならない」とかはっきり書いた方が良いのではないか。一般の受け止め、印象が違うと思う。(中野委員)
  ○
「中止、中断」は有り得るが、例えば予定より時間が掛かるとか、1年余計にかかるというようなことも含んでいるつもりである。決して、止めるばかりではなく、途中でパイプの構造を変える必要が出てきたら、試験をしなければならず大幅に遅れる。
  ・
しかしながら、初めからスケジュールが決まっていることが甚だおかしいと思っている。つまり、新しいことをやる時には、予想しない事故というのはいつでも起こり得る。もちろんそういうことがないようにするという努力が足りなかったという訳で、私もそういうことは再三言っている。それにしても、事故は起こり得る。実は、計画を先まで立てるということがおかしい。いつまでにこれをやります、ということは消した方が良いというのが私の考えである。
  ・
先行する国がなくなったということもあるが、人の後ばかりついて行くという甚だ悪い風習があったのではないかと勘ぐりたくなる。そういう意味で「抜本的な再検討」という言葉は100点ではないが、大幅に計画の見直しが出てくるというつもりである。(西澤座長)
  ○
基本的には吉岡委員と同じで原子力は反対であるが、今の世の中そのようなことは言っていられない。これだけエネルギーを消費している以上、原子力に依存せざるを得ない状況にあり、これは認めざるを得ないところである。私がこの懇談会に入ったのも、「高速増殖炉をやるなら徹底的に研究をやって頂きたい。やった上で、判断を下して欲しい。」という思いがあったから。先週、吉岡委員と連名にしましょうかという話をしたが、少数意見という形を取ると別扱いになるので、それはやめて本文の方で意見を言いたいと思って是が非でも、何とか研究炉としてのイメージを強くする方向をとりたい。(中野委員)
  ○
後で議論になると思うが、吉岡委員の言っている研究炉と今やろうとしているものはイメージは違う気がする。(西澤座長)
  ○
私も「中止の可能性を含む」というのは入れるようコメントしたが、入れられなかった。しかし今のような座長の回答ということであれば、当然、中止の可能性も含むと理解する。
  ・
ここで、一つ問題だと思うのは「抜本的な再検討」をどのようにやるのかという内容がないこと。14ページの最後から2行目に「たとえ事故や変更の必要が考えられなくても」という文章が入っているが、「重要な問題が発見された場合には、第三者の専門家の検討と中立的な事務局と議長団を立てた公聴会を行う」、ということを入れたら良いのではないか。(吉岡委員)
  ○
以前に内山委員からも話があったが、事故が無くても定期的に何らかの委員会を作って議論したらどうか。特に、緊急な事件が起こったときには緊急に会議を開催してそこで対応を決める、という話が具体的に出ていた。これは議事録に残っているはず。(西澤座長)
  ○
具体的に「中断」、「中止」という修正を吉岡委員から頂いたかどうかは確認しているが、事務局の方からそのような記述を拒んだという記憶はない。ただ、中野委員とはこの点で議論し、「抜本的な再検討」という意味は「重大な」というものをどのように解釈するかに幅があるが、我々としては、「中断」、「中止」も含む概念として「抜本的な再検討」と書いているとお答えした。(事務局)
  ○
大多数の方は、中野委員が言われたように気持ち良くやっている人は一人もいない。やはり、おっかなびっくりやむを得ない処置としてやっているということは共通の概念だろうと思う。(西澤座長)
  ○
吉岡委員からの提案である「定期的な外部評価を受け・・」云々のところは、具体的なことまで当懇談会で考え、書くというよりは、むしろ原子力委員会にお願いするということで良いのではないかと思う。(松浦委員)
  ○
その点は、「7.おわりに」にさらに念を押して、「その際、国民の意見を反映した、定期的な評価と見直し作業など、柔軟な計画な下に・・」云々として、定性的で逐語的に反映していないと言われればそれまでだが、吉岡委員の提案をこの文章で十分に反映していると理解するのが普通。(近藤委員)
  ○
近藤委員の提案には同意する。ただ、表現の問題として、「たとえ事故や変更の必要が考えられなくても」の中で「考えられなくても」という表現が入るのは不自然。これを「問題が起きた場合に」として、その後に「考えられなくてもやるべきである」というように付け加えれば良いのでは。(吉岡委員)
  ○
この文章は、事の次第によっては計画の抜本的な再検討が行なわなければならないということで、計画自体に柔軟性を与えるいうことが一つ。それから、特に問題が起こらなくても定期的に外部評価を受ける、という2点が入っている。さらに、念を押して最後の「7.おわりに」のところで総論として「国民の意見を反映した・・」云々を付けている。(近藤委員)
  ○
14ページの後ろから3行目は、「・・計画とするとともに、重大な問題が発生した場合に原子力委員会は適切に対応すること。」とし、続けて「たとえ事故や変更の必要が考えられなくても、」と続ければ良いのでは。(吉岡委員)
  ○
「これらの観点からも計画は随時見直す。」とある。実際に重大なことが顕在化したした場合とともに、見直しのプロセスで重大な問題が顕在化することも有り得る。潜在していたものが顕在化することもあるということで、その場合も抜本的再検討を行うと言っている。従って、潜在している欠陥を見出すことが可能ならしめるためにも、計画自体も柔軟にするとともに、たとえ問題がなくても或いは事故が起こらなくても、定期的な外部評価を通じて適切に軌道修正できるシステムを制度化しようということでパーフェクトになっている。内部の人は良いと思ってやっているが、外部評価の結果、その計画に重大な欠陥があると指摘された場合には、当然見直すこともあるべし、ということを言っている。(近藤委員)
  ○
了承した。「重大な問題が発見された場合」という言葉の解釈が違っていたようで、近藤委員の解釈ならば一貫性があると思う。(吉岡委員)
  ○
前回議論されたことや私の言ったことが、この案におおよそ取り上げられているので、全体としては結構だと思う。
  ・
明らかに書いて頂きたいところが一ヶ所ある。今から改めて議論を起こすつもりはないが、秋元委員の付記の中にあったので、むしろ本文に書きたいと改めて思う。17ページの上に、「「もんじゅ」における研究開発に当たっては、燃料・炉心特性の確認、ナトリウム取扱い技術や・・」云々とあるが、ここにはっきりと「増殖特性の確認」というのを入れて頂きたい。または「増殖特性の確認を含む燃料・炉心特性の確認」という表現にして欲しい。秋元委員のところで、「増殖特性の確認は後で良いのではないか。プルトニウムは必要になった時で良いのではないか。」という意見がある。「もんじゅ」の仕事の重要な成果の一つとして、将来の確たるデータを得るためには、「増殖特性」がどう確認されるかをはっきりさせておくことが、将来の高速炉をどう使うかという時に非常に重要な役割だと思う。それをこの際、はっきりと入れてたらどうかと思う。多くの意見として、「燃料・炉心特性の確認」の中にそれは入っているというのであれば、そのような意味合いは分かるが、そのようなことで良いのだろうか。秋元委員の意見の中でそれが明らかに書かれているので、本文の方に改めて書きたいと思う。(松浦委員)
  ○
私も松浦委員と全く同感であり、その言葉を入れて頂きたい。(内山委員)
  ○
明確にしておいた方が良いかもしれない。(西澤座長)
  ○
高速増殖原型炉としてやるということが書かれているので、増殖試験を行うことは自明であると解釈した。何でそこまで強調して入れなければならないのか分からない。しかし、内容的にはその通りであるので、多くの委員が入れろと言うならば反対はしない。(吉岡委員)
  ○
私もごく普通に読んで、一貫した流れからすれば高速増殖炉云々ときて、炉心特性の確認とくれば当然増殖が含まれるという感覚を持つ。しかし、別の考え方があると主張されているのであれば、改めてきちんとした方が良いという意味で、座長の言われるように入れた方が良いと思う。(近藤委員)
  ○
とかく隠すということで評判が悪かったことから、はっきり書いた方が良いと思う。付け加えさせて頂きたい。(西澤座長)
  ○
いくつか意見があるが、基本的には大きな違いについては少数意見で書いたので、表現上の問題が中心のコメントをしたい。
  ・
「化石」対「非化石」というのは適当な分類ではない。「炭素・炭化水素系」を入れて2番目が「原子力」で3番目が「再生可能」というように分類して議論した方が、カテゴリーとしては性質が夫々異なるということで、より明快になると思う。「非化石エネルギー」という表現はあまり良くないと考えている。(吉岡委員)
  ○
「炭素・炭化水素エネルギー」だと、バイオマスがそれに入ってしまうので、「再生可能エネルギー」との区別がつかなくなり、かえって困難を呈することになると思う。常識的に考えて、「化石」と「非化石」は一般の人は理解できる。細かい定義では若干正確さが欠ける点もあるが、大よそほとんどの方は、理解できると思う。(内山委員)
  ○
内山委員のコメントに対しては、「再生不能な炭化水素系」と直せば済む。再生可能か不能かというのは一つの重要な論点。もう一つはエネルギーの性質で、核は他のエネルギーと比べてかなり違う性質を持っていると思うので、それは独立のカテゴリーにした方が良いと思っている。(吉岡委員)
  ○
これは座長に一任してはどうか。およそ常識的には「化石」、「非化石」という分類で成立していると思う。言われるような細かさで議論しなければならない世界があることは承知しているが、この場での用語法としては、そこまで分け入らなくても十分論旨が受け手に伝わると思う。「化石」、「非化石」について、ここでの議論の中で誤解が生ずる恐れは無いと思うのでこのままで良いと思う。(近藤委員)
  ○
「非化石」、「化石」で良いのではないかと思う。もしバイオマスその他が大変大きな柱に育ち、そこで混同すると判断を誤るという時には、改めて言葉を変えれば良いのではないか。(西澤座長)
  ○
10ページ中段で、「一般に技術開発においては、原型段階から実証段階へは費用と時間が掛かる」と表現されているが、原型炉、実証炉というのは原子力固有の概念で、一般的に工業生産においてはこういう概念は使われていないと思う。代案として「試作段階から量産段階」としてはどうか。(吉岡委員)
  ○
一般の我々の言葉で言うと、研究炉、開発炉、実用炉というのが普通ではないかと思う。こういう世界の方々が使っている言葉の中に、いきなり殴り込みをかけても、かえって混乱を起こすような気がする。(西澤座長)
  ○
この文章の流れで、技術開発というのは明らかに原子力のような大型技術の開発を指しているということが読み取れると思う。もし、吉岡委員が言われるようなことを指摘するとすれば、「一般に大型技術の開発においては」とすれば良いのではないか。(内山委員)
  ○
それでも良いが、ただ気になるのは、仮に「一般に原子力開発においては」というように変えるとすると、「原型炉段階から実証炉段階まで費用と時間が掛かる」と一般的に言えるのかということ。おそらくそうではなくて、軽水炉の場合にはかなり短期間のうちに行ったと認識している。果たして一般論としてこういうことが言えるのかどうか疑問に思っている。(吉岡委員)
  ○
軽水炉が早く行ったというのは理解できない。ごく普通に考えてもシッピングポートから次の64年のGEによる大型、多種受注の間にはやはり時間と費用が掛かっている。様々な実験炉を作り、実証炉を作り、技術開発を行っていた。これは原子力開発ではおよそ常識であり、原子力開発以外でも他の様々な新技術を開発していく段階においては、本物に近いものを作って、「これでいく」、という判断をする最後の瞬間に至り着くまでには、非常に大きな慎重な研究開発があって、その結果として時間が掛かり、且つ費用が掛かるというのは、そう間違っていないと思う。(近藤委員)
  ○
この件で長い時間をかけても仕方がないと思うが、私の認識では、シピンポートが原型炉であって、そのわずか数年後には実用規模と同じ大きさの発電用原子炉が次々と建設され始めた。当時は原型炉の次は商業炉であるというのが常識で実証炉という言葉は無かった。それを仮に実証炉と位置付ければ、軽水炉は数年でクリアした。しかし商業炉を作ったけれども色々ミスが出てトラブルに悩まされて安定的な技術として成熟するのは四半世紀をさらに要したという認識である。(吉岡委員)
  ○
これに関しては対等に議論できる唯一の場だと思う。実際、実用的なものができても、だんだん安全性に見通しが立てば大型化していく。つまり、効率化を図っている。例えば、実証炉がこれでうまくいくとなった時に名前を実用炉に切り替える可能性もある。ただ、使っていくうちに、もう少し効率の良いものができそうだということで、効率を上げたものを実証炉として作って、それがOKということになれば、安全性にあまり金をかけないものを作って動かすことをやる。実用期に入っても、安定すると考えることはおかしいと思っている。寿命が長ければ長いほど、絶えずその中で進歩する訳で、そういうことから言えば、あまりこだわる必要はないと思う。(西澤座長)
  ○
15ページ中ほどに、「プルトニウムの生産と消費のバランスをとることにより、余剰のプルトニウムは発生しません。」とあるが、これは変な表現であって、運転の仕方によっては発生する。したがって、「発生しない」ではなくて「余剰のプルトニウムを発生させないように万全な対策を取る必要があります。」というように直した方が良いと思う。(吉岡委員)
  ○
ここは事務局で書いたところである。「バランスをとることにより」という表現で、今の主旨を入れたつもりである。つまり「バランスをとることによって発生しません」という主旨である。(事務局)
  ○
分かり易いようにしなければいけない。(西澤座長)
  ○
修正する。(事務局)
  ○
16ページ3行目に、「5900億円の建設費と12年の建設期間」とあるが、48ページの表にあるとおり、「もんじゅ」に平成元年からかなりの運転費が計上されている。これも含めて、「約7000億円の建設費及び運転準備費と、12年の建設期間及び運転準備期間」とする方が良い。(吉岡委員)
  ○
これは事実関係の問題であるので、どの様な表現にするか、委員の間で御議論頂いて決めていただければ、その様に対応する。(事務局)
  ○
建設期間の仕事と運転及び試験期間の仕事は別の仕事であると考えられる。建設について書く場合は、「5900億円の建設費と12年の建設期間」で良いと考える。もし、試験運転について書くのであれば、書き加えることもあるかと思うが、「もんじゅ」の場合は試験運転に入って直ぐにトラブルを起こしており、分かり切った話であるので、わざわざ書く必要は無い。建設費と建設期間をはっきり書くことで、ここで表現したいことは十分に通じると考える。(松浦委員)
  ○
17ページの最後の5行に「国民の意見を反映した、定期的な評価と見直し作業を行う」とあるが、「国民」という表現だと「素人」という感じがする。これについては「内外の各界の専門家の意見及び国民の意見を反映した」とする方が良い。私の考えでは、「国民」といってもその中の多くは様々な分野の専門家であり、それぞれの専門の立場からの意見は多いと思う。それを明確に反映させるためにも、「内外の各界の専門家」という表現があった方が良いと考える。(吉岡委員)
  ○
「内外の各界の専門家」という意味が良く分からない。「各界の専門家」の意味は、単に高速炉の専門家のみならず経済学の専門家とか法律の専門家とか、そういう意味で用いているのか。ここでの文意は、当然のことながら、高速炉増殖炉の研究開発計画は高速炉の研究開発に携わる専門家が立案するに違いないが、専門家だけで閉じたシステムに対して様々な批判を受けている訳であり、それに対して国民の意見を反映するというプロセスが重要であるということを強調している。よって、「国民」という言葉は「素人」という意味では無く、その分野以外の学識経験者で専門性を有するあるいは専門性を有しない人、全てを含む意味であり、それを区別し細かく分類して表現する必要は無い。ここでは、高速炉技術者だけの社会で決めるのではなく、開かれたプロセスを主張しているのだから、この表現で十分である。「内外の各界の専門家」という表現では、また様々な別な解釈が可能となり、文章が長くなる。現在の表現で実効的には意味は変わらない。(近藤委員)
  ○
近藤委員の発言の主旨は良く分かる。しかし「国民の意見を反映する」という表現では、「一般の人たちのご意見を聞く」という印象となる。原子力政策の一つの反省点は、原子力関係者以外の人からの評価を受けてこなかったということであるので、「国民の意見」というよりは「原子力関係者以外の人々の」という意味にした方がより的確であると考える。(吉岡委員)
  ○
「内外の各界の専門家」という表現を、入れた方がよいのではないか。別に差し障りがある訳ではない。むしろ、重点としては段落最後の部分の、平素から国民の理解を得るということが大切である。(西澤座長)
  ○
付記全体を見ると、かなりの部分が本文の中に入っていると思う。従って、わざわざ付記の部分をつけ加えねばならない理由がわからない。もちろん、少数意見として吉岡委員が自分の立場をはっきり表現するために、付記を添付することに特段強く反対するつもりはないが、全体としてみたときには、吉岡委員の意見の中で本文に含まれる部分を消してみたが、かなりの部分が消え、ほんの少しの部分が残った。どうしてもその部分を残したいのであれば、それはそれでよいが、本文に十分含まれる部分については再記する必要はないのではないか。
  ・
内山委員の付記についても、分かりやすい意見ではあるが、基本的には本文及び資料に含まれるので、どうしても付記としてつけ加える必要があるかについては戸惑いがある。
  ・
秋元委員の意見については、本文とはニュアンスの異なるところがあるので、付記とすることに理解できる。(松浦委員)
  ○
少数意見の一番重要なデータは私の署名である。本文では私がこれについてどう考えているかが明らかでなく、私が反対している点がどれとどれだということを明確に書いてなければ納得できないので、基本的にこの形で少数意見を付記することを理解して頂きたい。
  ・
少数意見のほとんどが本文に含まれているとのコメントについては、「ゆがんだ表現で部分的に取り入れられている」と考えている。表現されている部分ももちろんあるが、そこだけを少数意見から削除することは、少数意見の全体の流れが読みにくい文章となる。部分的に本文に反映されていても、少数意見の付記の中で繰り返すことに理解を頂きたい。(吉岡委員)
  ○
付記として付けたいものは、付けていただいて結構であると考えている。(西澤座長)
  ○
少数意見は少数であるが故の貴重さもあるので、付記することについては結構だと思う。しかし、署名入りで意見を出されるので、その論理の展開について気になる部分がいくつかある。「電力供給の一つの有力な選択肢であることに同意する」とあり、原子力発電が有力な選択肢であるという共通の認識がありながら、次の段落で突然話が変わり、「撤退が合理的な選択」となってしまう。この判断のギャップが理解できない。文章が長くなるから書かなかったのかも知れないが、そうであれば、前段の「一つの有力な選択肢」と書かない方が論旨明快ではないのか。(近藤委員)
  ○
「一つの有力な選択肢」という表現を用いたのは、高速炉がそうではないということと対比するために書いた。そのため、原子力発電が「一つの有力な選択肢」の資格があるというステートメントを出すことに一定の意義があると考える。
  ・
判断過程については一切削除した。判断過程を書いた論文もあるが、その判断過程を表現するともう1枚以上分量が増える。論文を参考文献として示すことによって処理することも可能であるが、判断過程を示すことは、少数意見が長すぎるという不評を買うことになる。(吉岡委員)
  ○
「一つの有力な選択肢」ということは原子力がエネルギーのサプライミックスの中である位置を占めることをよしとしたことであるが、その次の段でそれを選択から外すことが合理的であるということは、論理の矛盾ではないのかということである。(近藤委員)
  ○
先ほど住田委員から、「現在の判断」では撤退すべきだという見解に、将来見直しがあり得るのかという指摘があったが、あり得るいうのが私の答えである。よって、「一つの有力な選択肢」と認めて、かつ、将来選択するのがよいと判断することもある程度の確率であり得るという含みも込めて、「一つの有力な選択肢」と認めていることを理解して欲しい。(吉岡委員)
  ○
「有力」の度合いをどの程度で言っているかは問題ではあるが、ここではこだわっても意味がないと思う。ただ、本文の中でいくつか挙げられている水力、太陽光発電等の選択肢も「強力」ではないが「有力」な選択肢であると思われ、そういう選択肢の一つと見なすと理解すれば、これでよいと思う。高速増殖炉も「有力」として、太陽光発電も同列に「有力」とすることによって、太陽光発電の開発を進めてもらえるのではないかという観測も持っていた。よって、高速増殖炉も「一つの有力な選択肢」でよいと考える。
  ・
私は高速増殖炉開発と原子力に反対ではあるが、そんなこと言ってられない時代になってきたと考えている。やるならば徹底的に研究して欲しい。その点で、吉岡委員のいう「研究炉」と意味が違うと考えている。純粋に学問的な研究というのは、こつこつやっていつの間にか予算も無くなって、論文を何十枚か書いて終わりになってしまう可能性も無きにしもあらずである。それよりも、本当にできるのかどうかを、金をかけた以上はきちっとやって欲しい。
  ・
非常に心配なのは、「常陽」、「ふげん」及び「もんじゅ」の開発が並行して進んでいること。研究を行って、実用化できるという確かなデータが得られて次のステップに進むのであれば、同時進行や重なる部分はあってはならないと思う。それが、過去に余りにも多くみられている。それにこだわりを持って、研究の意味をどう捉えるかについて苦しんだ。だから、「重大な問題が発見された場合には中断、あるいは中止を」とはっきり入れた方が、釘をさすことになると考える。(中野委員)
  ○
松浦委員から私の補足意見の扱いについてコメントがあったが、これは、前回の本文で「もんじゅ」の扱いが少なかったことから、補足意見を出したものである。今回の本文は「もんじゅ」についてきちんと書かれているので、補足意見は付記しなくてもかまわない。
  ・
少数意見の「もんじゅの原型炉としての運転再開に反対します」という部分の理由について、吉岡委員は普段は精緻なロジックにより意見を述べられるのに、ここでは3つの選択肢があっていきなり、「①の価値はあまり高くなく、②の成功確率は極めて低く、③のコスト及びリスクは相当に高いと判断します。」とある。一体、どういうスタディによりこういう結論に至ったか全く理解できない。あらゆるエネルギー技術開発にはこういう問題があって、特にFBRだけについて他のエネルギー技術とどういう比較をしてこういう結論が出たのか、ロジックがこの文章からは全くわからない。この点について疑問を感じる。
  ・
次に、「研究炉として」とあるが、技術というものはそんなに生易しいものではないと思う。世の中に本当に役に立つものであれば意味があるが、単なる研究のためだけに技術を研究するという生易しいことは今までになかったと思う。やはり、目標がきちんとあって、達成すべきものをきちんと位置付けた上で、研究してゆくものだと考えている。現にいままでの大型技術はそれがなかったためにいかに数多くのプロジェクトが中断されたか、過去のいろいろな実績をみればわかる。その点で、この「研究炉」という考え方は曖昧であると感じる。(内山委員)
  ○
「①、②、③」について、どういう過程で導かれたのか全く不明であるという指摘については、おっしゃる通り。先ほどの近藤委員からの指摘と同様に、その過程を書いてもよいが、それを書いた場合にはまた1ページ増大してしまう。1ページ増やしたとしてもそこで多くの議論が出て、それが2、3ページとなっていかないとも限らない。ここでは方法論と結論だけを書いた。この懇談会は今年で終わりかも知れないが、まだまだ議論する用意がある。今回は分量を抑えるために方法論と結論だけを書くことにした。
  ・
「研究炉」という概念については、高速増殖炉は研究することがあるのかといえば、そんなに多くないという印象を持っている。それは核融合開発と同じである。核融合の開発や高速増殖炉の開発は何を目的とするかというと、実用になるものを作ることが念頭にあり、非常に強くその目標によって拘束される分野である。例えば、核融合の実用化を目標にしないでプラズマ装置で何を研究するかというと、あまり重要な研究テーマは個人としては浮かんでこない。それは、高速炉や核融合などの実用目的に強く拘束された分野においては常に言えることであると思う。よって、「もんじゅ」は原型炉としての運転再開をやめるのであれば、研究炉としてもそれほど重要なテーマがあるとは思えない。しかし高速炉としての特性を利用して多目的な研究に役立てるという道があるかも知れないので、多様なアイデアを国際的に募って、せっかくこういうものができたのであるから、そのままつぶすよりはいろいろな研究に役立つのであれば、研究テーマの発掘をやればよいという意味で「研究炉」と書いた。(吉岡委員)
  ○
技術者として、国民、人類に安定なエネルギー供給を行うことに責任を感じる。何とか安全にしながら研究開発していけないかということには、理解していただけるだろう。そういうことが前提であると考えている。吉岡委員の意見をみると、何でエネルギー供給をやればいいのかと思ってしまう。どうやら、化石燃料でやろうと書いてある様だが、私の知っている範囲では化石燃料にも大変な危険性が迫ってきている。最近ようやく騒がれ出した。そういう危険性についても随分調べたが、どんなことをやってもいろいろな危険性がでてくる。これまでの委員の意見をまとめると、チャレンジしてみる価値があるだろうというのが多数の意見であると認識している。安全だということは言えない。ジャーナリズムの方にお願いしたいが、これから先も事故が起こり得るということを忘れないで頂きたい。全く予期しないことが起こるということは当然あり得る。動燃の方にお願いして、あまり馬鹿なことで事故を起こさないで下さいと言ったところで事故は起こる得る。非常に注意して教育などをやってくれると思うが事故はあり得ることを申し上げておきたい。だから、いつでも中止する可能性を秘めた上で研究開発を展開しようということを再三言っている。大きくなってからの事故を防ぐために早く研究を再開すると言っているのである。
  ・
内山委員の「研究」に対するコメントであるが、目的がないものだけが研究ではないと思う。試験研究、開発研究は明らかに目的がある研究である。研究は目的を持ってはいけないと言うことではない。基礎研究でも目的を持ったものは幾らでもある。そこにあまりこだわることはないと思う。やはり、人類に対するエネルギーの安定供給という大変大きな義務を我々は負っている。できれば、使う人々に全然制約を感じさせないくらいに使わせてあげたい。しかし、不幸にして十分にできないときにはかなり人類の生活にプレッシャーがかかってくるということもこの頃ようやく皆が自覚してきた。(西澤座長)
  ○
世の中の誤解の半分は同じことを違う言葉で言うことで、半分は違うことを同じ言葉で言うことであるかも知れない。吉岡委員が「選択肢」という言葉を使ったということは、自ら良いエネルギーであると選択したと私は理解している。それを後で「撤退する」とあるのは、良い選択ではないということを言っているのだと理解したので、論理の矛盾があると指摘したのである。どうやら、「選択肢」という言葉を違うニュアンスで理解している様であるので、特にコメントはしない。
  ・
19ページの「もんじゅ」の「確認試験」という言葉は、「もんじゅ」を運転しなくても「選択肢」の候補足りうることが事前にわかるということを言っていると理解できる。研究開発をしなくても研究開発の成果がわかるということである。それならば、たとえ話を使って長く書かなくても、はっきり書いた方が立場が明確になると考える。
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「研究炉」という言葉は、いわゆる高速中性子源としての効用はあるに違いないので、純粋にアカデミックな研究の場として、原研にある国産1号研究炉と同じ様な炉に「もんじゅ」を変えることを言っているのか。(近藤委員)
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そこまで強く主張している訳ではないが、イメージとしては高速中性子源として、様々な使い道があるのではないかと考えている。つけ加えて、スーパーフェニックスがかつて目指した様な、高レベル廃棄物の焼却に関する研究も、ここで言う研究に含めてもよいと考えている。(吉岡委員)
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この議論はおそらくいつまでやっても平行線であると考えられる。このまま載せればよいのでは。(西澤座長)
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少数意見というのは、多数意見に対して対抗するような考察であったり、時には信念に基づく場合もある。論理的に矛盾があったり、弱点があったり、近藤委員が指摘するように不自然なことがあっても、それはそれなりに載せるのがよいのではないか。つまり、少数意見の弱点を示すものであって、少数意見を批判する人もいるのであり、書き直しを要求するのでなく、そのままにして少数意見を批判に晒すこともよいのでないか。論理的に完璧な、非のうちどころのない少数意見はむしろ正論であり、多数意見として採用すべきことになる。論理の誤りではなく、吉岡委員独特のユニークな論理と解釈して、このまま載せるのがよいのではないか。(小林委員)
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そういうことでお願いする。もし、吉岡委員が修正するならば、入れてもよい。(西澤座長)
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基本的には直すつもりはない。ただし、「確認試験」という言葉はもっとよい表現があるかも知れないので、それについては別の言葉に差し替える可能性がある。(吉岡委員)
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そういう了解の下でこれを少数意見として付記することにする。内山委員の補足意見は削除してよいか。(西澤座長)
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了解。(内山委員)
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これで、結論が出たと理解しているが、これまでの議論で出た細かい字句の訂正については、事務局にて検討して委員の意志に沿った形とする。訂正については座長一任として頂いてよろしいか。(西澤座長)
  (異議の声なし)
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それではそのようにする。(西澤座長)
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本報告書案については、原子力委員会に報告する。その後、一般からの意見を伺った後、最終的な報告書とするための検討を次回に行いたい。
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意見募集の方法については事務局の方で考えているが、座長として適宜チェックして疎漏がないようにしたい。
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あえてここでお願いするが、国民、広く言えば人類に、安定にエネルギーを供給するという技術者の責任に基づいてこの様な決定をした。その点をご理解いただきたい。(西澤座長)
(3)
西澤座長及び事務局より今後の予定等について説明があり閉会した

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原子力委員会への報告を10月14日に予定している。その後、11月14日まで1ヶ月間意見募集をする。具体的な進め方は座長と相談の上決めるが、現在検討している方法としては、科学技術庁に関係書類を用意し、さらに連絡調整官事務所を通じて自治体への配布し、公開資料センター、インターネット等にも資料を掲載して、意見を募集する。その他にもなるべく広く意見を募集するために、座長と相談して進めたい。11月14日まで意見募集をした後、次回の第12回懇談会は11月28日の午後2時からとする。次回に、今回の報告書案に一般からの意見を反映させた報告書の最終案を議論して頂きたい。(事務局)
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意見募集に対してどの様に扱うかについてであるが、これまでの意見募集のやり方に対しては、いろいろ批判が出ている。対話が双方向的ではなく、意見を出したものに対して事務局から回答があるが、満足できない回答が多いが、再質問の機会が与えられないという点や、400字では非常に短すぎて専門的なコメントが出来にくいという点である。また委員の立場から言えば、国民から出た意見に対しては、事務局で最終案をまとめるのではなく、どういう意見が出たのかを事前に委員に配布して、それについて必要であればひとつひとつ委員会で議論をするという手続きが必要であると思う。(吉岡委員)
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なるべくそのような方向でやりたい。(西澤座長)
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吉岡委員からのコメントについて、次回の懇談会では一般からの意見の取扱いについても議論を頂く。事務局が取扱いを決めるという訳ではない。また、通常、意見募集に際しては字数制限をしている。これは、整理の都合であまりに長い意見は要旨等の整理をするのが難しいため、制限を考えている。ただし、整理の都合上字数は制限するが、1人が提出する意見の数には制限はない。(事務局)
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次回は、今説明があったように、一般からの意見の反映を検討した上で、報告書最終案を取り纏めたい。(西澤座長)