<参考資料1>



高速増殖炉の主な特徴


(1)ウラン利用効率
 高速増殖炉は高速の中性子を核分裂に用いることにより、水により減速された中性子を核分裂に利用する軽水炉と比べ、中性子をより多く発生させることができます。この余分の中性子を燃えないウランに吸収させることにより、原子炉の中で燃えた燃料以上のプルトニウムができるため(これを「増殖」と言います。)、再処理工場において使用済み燃料からプルトニウムなどを取り出して、それを再度高速増殖炉でより多くの燃料として利用することができます。このようにリサイクルを繰り返すことによって、自然から掘り出した貴重なウラン資源をなるべく使い切ることにより、軽水炉より飛躍的に多くのエネルギーをウランから取り出せるという特長を、高速増殖炉は有しています。
 高速増殖炉は、燃料サイクルを伴って、初めてウランの飛躍的な有効利用を図る事ができるので、炉とサイクルの調和が重要です。
 また、このように燃料資源を徹底的にエネルギーに変えるといったことから、廃棄物による社会への負担の低減も同時に実現することができます。プルトニウムのみならず、マイナーアクチニドもエネルギー源として使えると同時に、これらを効率よく消滅させることも可能です。

(2)プルトニウムの特性
 高速増殖炉で燃料として用いるプルトニウムは、体内に取り込まれた場合の発ガン性が特に問題であり、その取扱いには十分注意を払う必要があります。このため、プルトニウムは気密性を有した装置(グローブボックスなど)内で取扱われます。また、民生用のプルトニウムは原子爆弾の原料とはなりにくいと言われていますが、その潜在的可能性から、兵器として悪用されないよう(核不拡散)、国際機関の厳しい監視(保障措置)下に置かれています。
 なお、高速増殖炉はその転換比(新しい燃料をつくり出す効率)を柔軟に変えることができるため、余剰プルトニウムを発生させないように転換比を下げて運用できるとの観点から、核不拡散性向上の手段としても有効な原子炉であるとも言えます。

(3)ナトリウムの特性
 高速増殖炉の冷却材(発電に必要な熱を取り出す物質)には、熱を良く伝え、中性子を減速させにくいナトリウムが用いられていますが、「もんじゅ」事故で見られたように、空気中に漏れ出すと、酸素や水分と反応して燃焼する性質を有しています。従って、ナトリウムが外に漏れ出さないようにすること、特に、発電タービンを動かすのに必要な水蒸気をつくる蒸気発生器において伝熱管が破損した場合のナトリウムと水の反応については十分な配慮が必要です。