仏国首相の所信表明演説(スーパーフェニックス関連)について
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仏国首相の所信表明演説(スーパーフェニックス関連)について



 昨日(日本時間、6月19日22時)の仏国国民議会における所信表明演説において、以下の通り、仏国首相が高速増殖炉「スーパーフェニックス」の将来的な放棄を言及


   Dans les domaincs de haute technologie, qui comportnt parfois des risques importants, je souhaite que les fonctions de controle ne soient pas confondues avec celles qui relevent del'exploitation.
   Si l'industric nucleaire est un atout important pour notre pays, elle ne doit pas pour autant s'exempter des regles democratiques, ni poursuivre des projets dont le cout est excessif et la reussite tres aleatoire : c'est pourquoi le surgenerateur qu'on appelle <> sera abandonne.



時として重大なリスクを持つハイテク分野においては、抑制と開発を進めていくことを混同してもらいたくない。原子力産業が我が国にとって非常に重要であるからといって、民主主義のルールに従わずに済むものではないし、経費が高すぎ、成功が確実でないようなプロジェクトを続けていくべきものではない。従ってスーパーフェニックスと呼ばれる高速増殖炉は放棄する。



(参考)


<仏国の新政権>

○仏国において6月1日に国民議会総選挙が実施され、「社会党−共産党−緑の党」の連立政権が発足。

    首相 ジョスパン(社会党)
    経済・財政・産業相 ストロス・カーン(社会党)
    国土整備・環境相 ヴォワネ(緑の党)

     ・「社会党」の選挙公約
       「高速増殖炉「スーパーフェニックス」は閉鎖する。」
     ・「緑の党」の選挙公約
       「直ちにスーパーフェニックスを停止する。」

○原子力施設安全局は環境省と産業省の共管。(6月11日政令)
○原子力安全に関する政策の立案、実施は、国土整備・環境大臣が産業大臣と共同で実施。(6月12日政令)


<これまでの関係大臣の発言等>

○ヴォワネ国土整備・環境相(緑の党)
  • 入閣前から「環境相に任命されたら、スーパーフェニックスの即時閉鎖を要求する」旨発言。
  • 「首相から、『スーパーフェニックスの計画放棄について担当して欲しい』と言われている旨発言。

    ○ストロス・カーン経済・財政・産業相(社会党)
  • 91年の高レベル廃棄物処分研究の法律成立時に擁護していたこと、92〜93年のプルトニウム輸送時の産業大臣でもあったことなどから、社会党の中では比較的原子力には好意的であると見られている。

    ○ジョスパン首相(社会党)
  • 「ヴォワネ環境相から就任早々、スーパーフェニックスの廃棄を持ち出されたが、『それは私が決断する』といさめた」との報道もある。



    仏国の高速増殖炉実証炉スーパーフェニックスについて



    <概要>

       設 置 者 : NERSA社(出資:仏51%、伊33%、独16%)
       場 所 : 仏国クレイマルビル
       電気出力 : 124万kW


    <これまでの経緯>

       76年 建設着工
       85年9月 初臨界

       90年7月 落雷により自動停止、1次系への空気混入発生

       92年6月 首相声明により、運転再開延期

          (この間に、公聴会開催、ナトリウム火災対策強化を実施)

       94年2月 スーパーフェニックスの目的に関する首相府コミュニケ
              ○目的変更 : 発電炉 → 研究・実証のための炉
                ・高速増殖炉の性能実証
                ・プルトニウム利用に関する研究
                ・長寿命放射性廃棄物の燃焼

       94年8月 スーパーフェニックスの運転許可発給、運転再開
             (その後いくつかのトラブルを経験しつつ、90%出力で運転)

       現在    96年12月から、燃料交換等のために約6ヶ月間の計画停止中。
             (この間にブランケット燃料の一部を削除。)