参考資料 |
(5ページ)確認可採埋蔵量というのは、本質的に経営的な概念であり(在庫などと同じく)、これを基礎にして、いわゆる「資源制約」について論ずるのはナンセンスだというのが、エネルギー資源に関する議論の常識であると思われる。例えば、松井賢一「新・エネルギーデータの読み方使い方」(電力新報社、1994)には、次のような指摘がある。「石炭、オイルシェール、タールサンド、ウランについては資源の制約を考える必要はないというのが一般的な見方であり、問題となるのは石油と天然ガスで」ある、「R/Pレシオはすぐれて経済的・経営的概念で、(中略)60年分も100年分も保有していたら、経営センスを疑われるだろう」。にもかかわらず、全ての化石燃料(石油、天然ガス、石炭)について「いずれ資源制約が表面化すると考えられます」というのはいかなる客観的・学問的根拠によるのか。またそれはどこの学界の定説なのか。 |
(1ページ)石油・天然ガス・石炭・ウランが「いずれ枯渇することは明らかです」というのはどのような客観的・学問的根拠によるのか。またそれはどこの学界の定説になっているのか。 |
(1ページ)「化石燃料の需給が逼迫する恐れがある」とあるが、石炭・オイルシェール・タールサンドにそのような可能性があるのか。この主張はどのような客観的・学問的根拠によるのか。またそれはどこの学界の定説なのか。 |
(1ページ)「資源需給の逼迫、枯渇に備えて」というのは、いかなる客観的・学問的根拠によるのか。またそれはどこの学界の定説なのか。 |
(6ページ)「新たなウラン鉱山が発見できなければ、ウラン資源は化石燃料資源と同様21世紀中に枯渇する可能性を有しています」とあるが、新たなウラン鉱山を発見できないという可能性があるのか。誰がどのような客観的・学問的根拠によって、そのような主張をしているのか。またそれはどこの学界の定説なのか。 |
(7ページ)プルトニウムが「口から入った場合には、短期間でそのほとんどが体外に排泄されるのであまり影響はありませんが」とあるが、これは学問的な表現ではない。具体的に何に対して相対的に小さいのか(吸い込んだ場合に比べて小さいというのは自明である)。定量的なリスク評価を示すべきである。 |
(7ページ)プルトニウムの「化学的毒性は相対的に小さい」とあるが、これは学問的な表現ではない。具体的に何に対して相対的に小さいのか(放射線の毒性に比べて小さいというのは自明である)。定量的なリスク評価を示すべきである。 |
(6ページ)プルトニウムの「化学的毒性は相対的に小さい」とあるが、何に対して相対的に小さいのか意味不明である。絶対的リスクを示すべきである。 |
(6ページ)プルトニウムを飲み込んだ場合の影響は「相対的に小さい」とあるが、何に対して相対的に小さいのか意味不明である。絶対的リスクを示すべきである。 |
(9ページ)FBRにより「天然ウランの60%程度が利用できることになる」とあるが、これはいかなる根拠による算定なのか。また、無限回の再処理によるウランとプルトニウムの同位体組成の変化を、どう評価するのか。 |
(1ページ)「天然ウランの利用効率を軽水炉に比べて数十倍に高めることができます」とあるが、これはいかなる根拠による算定なのか。そのさい無限回の再処理によるウランとプルトニウムの同位体組成の変化を、どう評価するのか。 |
(9ページ)「軽水炉だけではウラン資源が数十年で枯渇するおそれがある」という主張(6ページよりも強い主張)は、いかなる客観的・学問的根拠によるのか。またそれはどこの学界の定説なのか。 |
(10ページ)物質収支の図で、1年につき1.6トンのプルトニウムから、1.9トンのプルトニウムが回収されるとなっているが、工程上のロスを考えれば、これは過大な見積もりではないのか。工程上のロスをどのように評価しているのか。それはいかなる客観的・学問的根拠によるのか。またそれは原子力学界の定説なのか。 |
(11ページ)ウランの最終可採埋蔵量の推定値1500万トンの根拠はなにか。客観的・学問的裏付けがあるのか。またそれはどこの学界の定説なのか。 |
(11ページ)国際原子力学会協議会の原子力発電規模予測(2100年に、1次エネルギーの28%)はいかなる客観的・学問的裏付けがあるのか。それは現在の原子力学界の定説なのか。非常に高い予測ではないのか。 |
(12ページ)マイナー・アクチニドのMOX燃料へのブレンドは、果たして現実的なアイディアなのか。それとも将来の実用化に関する希望的観測なのか。また、軽水炉でマイナー・アクチニド燃焼を行うこととの優劣につき、定量的比較を行うべきである。 |
(8ページ)マイナー・アクチニドのMOX燃料へのブレンドは、果たして現実的なアイディアなのか。それとも将来の実用化に関する希望的観測なのか。また、軽水炉でマイナー・アクチニド燃焼を行うこととの優劣につき、定量的比較を行うべきである。 |
(14ページ)FBR開発への公金支出及び民間負担金に関する、各年度ごとの詳細なデータを示して欲しい。なお、民間負担金に関しては、もんじゅ運転に関する民間負担金のデータも示して欲しい。また、なぜ運転費が1989年から計上されているのか理由と、その支出の詳細を示して欲しい。 |
(19ページ)1956年長期計画で、FBRを本格的に開発することが決定されたというが、間違いである。最終目標として増殖炉の国産化をめざすことを決定したに過ぎない。 |
(20ページ)なぜ実証炉を2基も作るのか。これは実証炉の本来の概念(実用炉の試作炉)の乱用である。 |
(20ページ)2030年頃までに、何をするのが目標なのか不明である。実用化なのか、それとも技術体系の確立なのか。どちらであるかを明確にすべきである。また、技術体系の確立とは何か。なにをもって技術体系の確立とみなせるのか。 |
(8ページ)「2030年頃を実用化の目標時期として、それまでに技術体系を確立しておくことを目指して」というのは、何を意味するのか。2030年頃に、技術体系の確立と実用化という2つの課題を、同時に達成すると言うことか。(論理的にはありえないことだが)。 |
(20ページ)「FBR開発に当たっては、その成果が国際公共財的な役割を発揮できるよう国際的に協調して進めることが透明性の向上のためにも重要であり、欧米諸国の研究者の参画を求めつつ、開かれた体制の下、「常陽」「もんじゅ」等の積極的活用を図っていきます」とあるが、国際公共財としての価値と、核不拡散の必要性との兼ね合いをどうするか。また国際公共財ならば将来は欧米のみならず、全世界に実地研修を含む情報提供をしていく予定なのか。 |
(25ページ)もんじゅは、「プルトニウム利用技術体系の確認」「プラント性能実証」「運転・保守技術の確立」「安全性・信頼性の実証」を行うとされているが、何をもってそれぞれの項目を成功と見なすのか。具体的な評価基準を示すべきである。また今回の事故により、どの項目が失敗したことが確認されたのかを、明確にすべきである。 |
(32ページ)「新たな燃料物質が生成されるので、長期間使用できる燃料が可能」なので、「軽水炉に優る経済性を達成できる可能性がある」とは、一体何のことか。2〜3年間くらい連続運転が可能となるという意味か。またその程度のことで、「軽水炉に優る経済性を達成できる可能性がある」と言えるのはなぜか(何%程度のコストダウン効果があるのか)。 |
(32ページ)高速増殖炉では、原子炉の寿命が短くなること(一説では軽水炉の半分程度の寿命しかない)も、「軽水炉に比べ高くなる要因」に含めるべきである。 |
(32ページ)「FBR実用化に向けた経済性向上の見通し」の図は、(植草委員の表現にならっていえば)幼稚園的レベルである。「100万キロワット換算」「130万キロワット換算」などという姑息な細工を止めるべきである。その上で、厳密な定量的評価を示すべきである。 |
(32ページ)「二次ナトリウム系削除」というのは、安全性の面から妥当ではないと思われる。そのリスク評価を示した上で、削除の妥当性を論証しなければならない。 |
(32ページ)建設コストについては、高速増殖炉と軽水炉の寿命の違いを、明確に計算式に取り入れるべきである。また建設コストだけでなく、燃料コストについても、現在の実績に関する生データ(再処理コストを中心とする)と、客観的根拠にもとづいた将来の見通しを示すべきである。(英仏への再処理委託価格と、六ヶ所村再処理工場の再処理コストに関する客観的な見積もりが、公開されていないのはよくない)。 |
(33ページ)欧州では「欧州統合高速炉EFRの開発を進めています」とあるが、具体的にどのような開発段階なのか。概念設計中なのか。それとも設計以前の構想だけなのか。 |
(35ページ)なぜプルトニウムのリサイクルを核燃料リサイクルと呼び、ウランリサイクルを外すのか。ウランの無限リサイクルによってはじめて、資源利用効率が大幅に高まることを考えれば、これはおかしい。 |
(1ページ)「資源問題を抜本的に解決することが出来る」における「資源問題」とは、「エネルギー資源問題」を指すのか、それとも「ウラン資源問題」を指すのか。前者の場合、その根拠はなにか。 |
(1ページ)ここでいう「可採年数」は経営学的概念である。それを資源の絶対量と取り違えるのは、幼稚園的知性のなせる技である。 |
(3ページ)「倍増時間に大きな意味をもつとは考えられません」とあるが、それを立証する責任は、科学技術庁にある。つまり、どのようなFBR導入シナリオを採用するかを定量的に示すことによって初めて、倍増時間の制約が現実的意味を持つか否かを評価することが出来る。ここでは定量的シナリオを示して、自説の正当性を論証すべきであると思われる。 |
(5ページ)FBRで生産されるのは単なるプルトニウムではなく、核兵器級プルトニウムであることを明記しておく必要がある。(ここで総括的に述べておくと、2つのパンフレットには、高速増殖炉が核拡散の観点から見て、軽水炉よりも格段に危険が大きいことの指摘が、全く存在しない。これはそれ自体として、日本の核武装への意思に関する疑惑を招くものであり、日本国民および諸外国国民の説得には逆効果である)。 |
(5ページ)一国的観点と同時に、地球的観点からも、核拡散の可能性について評価しておく必要がある。 |
(7ページ)ここにあるプルトニウムの種類と性質の表は、欠陥品である。このパンフレットはFBRに関するものだから、軽水炉ではなくFBR(炉心、ブランケット)からの回収プルトニウムの同位体組成を示すべきである。 |
(8ページ)「プルトニウムをよく燃焼(消費)させる」という表現は誤解を招く。「僅かに減らす」が正解。 |
(9ページ)短所の項目に、核拡散のリスクの高さに関する記述がない。これは致命的欠陥である。 |
(13ページ)高速炉の実用化目標時期としては、1956年の長計に、1970年頃の実用化が、目標として掲げられたことが最初である。(61年長計ではない)。 |
(13ページ)「実用化目標時期が徐々に先送りされた理由」として挙げられている各長計の引用文には、それぞれ特定の年数だけ先送りさせる理由についての明確な説明が含まれていない。これは的外れである。 |
(15ページ)「もんじゅ」の建設費は、同規模の軽水炉の約3倍とあるが、何かの間違いではないのか。電気出力28万キロワットの軽水炉の建設費が、2000億円もかかるのか。どこの国でいつ作られたどの原子炉のデータなのか。 |
(18ページ)「全ての運転範囲で反応度出力係数が負」とあるが、反応度ボイド係数は炉心の内側で正である。また周辺部(単独では負)を含めた炉心全体についても不明である(これに関する情報公開が必要である)。従って単発又は連続的な気泡通過事故のリスクがある。 |
(19ページ)「事故時においても炉心部で冷却材が沸騰してボイド化することはありません」とあるが、なぜいかなる事態においてもナトリウム沸騰が起こり得ないと考えるのか。その根拠となる事故解析(事故想定を含む)の客観性に対しては、批判が出されているが(例えば、小林圭二『高速増殖炉もんじゅ』、245〜266ページ)、これにどう学問的に反論するか。1997年3月11日の動燃東海再処理工場の火災・爆発事故で明らかになったように、事故想定の客観性は疑わしいものである。それを確固たるものとすることが、事故解析の客観性の確保にとって最重要の作業である。そのためには、多くのシナリオを事故想定として立てて、各々の起こりやすさを客観的に評価し、その中から非現実的なものを、明確な理由を付けて一つ一つ落としていくという手続きが有効だと思われる。そうした事故想定の客観性を確保する手続きは、きちんと実施されているのか。もしされているならばその情報を公開せよ。また過去において、事故解析の結果として設計変更がなされた例があれば、示すべきである。それとともに事故解析が安全審査によって否定された例があれば、示すべきである。 |
(20ページ)イギリスのPFRの事故は、蒸気発生器細管の破断が、きわめて多数(合計40本)の細管の破断の引き金となることを明らかにした。もんじゅの事故解析(4本の破断を仮定)を、やりなおすべきである。また、一点でも事故解析の客観性が疑われることは、事故解析にもとづく安全審査全体の客観性を揺るがす事件である。これを機会に安全審査全体のアセスメントを行うべきである。 |
(21ページ)長大で曲がりくねった配管構造とその支持装置は、直観的に見ても地震に対する脆弱性を疑わせるものである。その耐震性の確認は、どのような手続きによって行ったのか。 |
(21ページ)原子炉容器や配管の薄さは、それだけで地震(力学的な作用)に対する脆弱性を意味する。にもかかわらず「FBRが軽水炉に比べて地震に弱いということはありません」とは、何を根拠としての主張なのか。 |
(22ページ)イギリス・ドイツが安全上の問題からFBRの開発を中断したのではないとあるが、果たしてそうか。イギリスのFBR開発中断にとって、PFR事故が無関係だったと断定する根拠は何か。またドイツの中断は、安全上の懸念等によるノルトライン・ヴェストファーレン州政府の反対による。 |
(25 ページ)FBR の核燃料サイクルの特徴については、軽水炉との同位体組成の違いにも言及しておく必要がある。 |
(26 ページ)FBR、FBR 燃料製造、FBR 再処理技術等について、整合性のある開発を進めることが重要だとあるが、もんじゅが事実上の凍結状態にある以上、RETF についても凍結するのが妥当と思われる。 |
(26 ページ)「高純度のプルトニウム」という表現は多義的であり、適切でない。「スーパー兵器級のプルトニウム」に改めるべきだ。(2 つのパンフレットには、高速増殖炉が核拡散の観点から見て、軽水炉よりも格段に危険が大きいことの指摘が、全く存在しない。これはそれ自体として、日本の核武装への意思に関する疑惑を招くものであり、日本国民および諸外国国民の説得には逆効果であると思われる)。 |
(28ページ)核種分離・消滅処理技術については、今まで長期にわたって基礎研究が進められながら、今も基礎研究段階にとどまっている。なぜ研究が進まないかを、きちんと歴史的に評価する必要がある。 |