資料第4−1号

高速増殖炉懇談会(第3回)議事要旨



1.日 時 : 平成9年4月15日(火) 14:00〜17:00

2.場 所 : 科学技術庁 第1、2会議室

3.出席者
   (原子力委員)
     伊原委員長代理、藤家委員、依田委員、田畑委員
   (専門委員)
     西澤座長、植草委員、内山委員、岡本委員、河野委員、小林委員、
     近藤委員、鷲見委員、住田委員、中野委員、松浦委員、吉岡委員
   (招へい者)
     藤目 和哉 (財)日本エネルギー経済研究所 常務理事
   (科学技術庁)
     木村動力炉開発課長
   (通商産業省)
     谷口資源エネルギー庁審議官、三代原子力発電課長
   (動力炉・核燃料開発事業団)
     須田副理事長、相澤動力炉開発推進本部副本部長
   (日本原子力発電(株))
     三浦取締役

4.議 題

   (1)各界からの意見聴取及び議論(高速増殖炉の意義)
   (2)その他

5.配布資料

  資料第3−1号 高速増殖炉懇談会(第2回)議事要旨
  資料第3−2号 世界の超長期エネルギー展望及び資源問題、地球環境問題と高速増殖炉への期待
            [藤目 和哉 (財)日本エネルギー経済研究所 常務理事]
  資料第3−3号 高速増殖炉の建設コスト目標
                           [日本原子力発電(株)]
  資料第3−4号 FBR燃料サイクルの経済性について
                         [動力炉・核燃料開発事業団]
  資料第3−5号 アスファルト固化処理施設の火災爆発事故の状況及び法令報告の記述の誤りについて
                         [動力炉・核燃料開発事業団]
  資料第3−6号 動燃の抜本的な改革について
                                  [事務局]

  委員配布資料
   [内山委員]
    ○将来のエネルギー需給と電源選択

  参考資料
   [動力炉・核燃料開発事業団]
    ○「もんじゅ」1次主冷却系配管温度計の取付け延長管の曲がりと「常陽」の運転について
   [科学技術庁]
    ○新型転換炉(ATR)実証炉計画の見直しについて
   [動力炉・核燃料開発事業団]
    ○高速実験炉「常陽」の開発および運転の経緯
   [動力炉・核燃料開発事業団]
    ○動燃事業団の職員等の内訳について
   [科学技術庁]     
 ○『「いっしょに考えよう「FBR」のこと』(科学技術庁)、『あなたの疑問にお答えします−FBRに関する国の考え方−』(科学技術庁)に関する吉岡委員のコメントへの回答 (その1)
         ○高速増殖炉開発の意義
           ・ 将来のエネルギー需給における位置付け
           ・ 環境影響
           ・ 経済性の見通し

6.概 要

(1)
西澤座長より開会宣言が行われた後、事務局より配布資料の確認が行われた。

(2)
動力炉・核燃料開発事業団(以下、「動燃」)東海事業所で起きたアスファルト固化処理施設における火災爆発事故の法令報告の記述に誤りがあったことに関して、動燃須田副理事長より陳謝があり、自らの改革を徹底的に進め、社会の信頼の回復に向けて努力する旨の発言があった。

(3)
議題(1)について、資料3−2に基づき藤目和哉(財)日本エネルギー経済研究所常務理事より、「世界の超長期エネルギー展望及び資源問題、地球環境問題と高速増殖炉への期待」について講演があった。主な発言内容と質疑等は以下の通り。

  <主な発言内容>
○エネルギー資源が何年あるかという問題は誤解を受けやすい。
○可採年数(R/P)は、石油45年分、天然ガス63年分、石炭219年分、ウラン約70年分とか書かれているが、その年数が経てば無くなるというものではない。可採年数は、確認され現状の技術で回収可能な埋蔵量で、在庫のようなもの。
○埋蔵量とは相対的な概念で、経済性を見ないと意味がない。資源を回収する技術とも関係があり、究極埋蔵量の30数%しか掘り出せない。資源量があっても地球環境問題から使えないものもある。技術、経済性、環境から見て採掘しうるものが本当の埋蔵量である。
○石油の確認埋蔵量は1兆バーレル、究極可採埋蔵量は使用済の0.7兆バーレルを含んで2.3兆バーレルと言われている。一頃の2兆バーレルから増えており、究極可採埋蔵量の値も増え得るものである。究極可採埋蔵量までを含めると85年分あるが、将来、生産量が増えると年数は小さくなる可能性があり、相対的なものである。
○ウランの究極埋蔵量は確認可採埋蔵量(70年)の3〜5倍あると考えられ、軽水炉で350年分になる。高速増殖炉を導入すれば、それが60倍になる。
○可採埋蔵量は究極で見るべき。資源量は一般に言われるより多いものであるが、有限でありいずれは減少する。ウランも100年単位であるが、高速増殖炉を導入しない限り有限である。
○最近は資源制約より環境制約が強いこともあり得る。二酸化炭素の制約がある。
○二酸化炭素の排出を制限しない場合は、安いものから使われる傾向にあり、この場合、石炭に集中することになる。
○環境制約がある場合は、二酸化炭素を出さないエネルギーが必要で、不足分を省エネ、太陽、原子力で埋めなければならない。化石燃料の資源が有っても、二酸化炭素を出さないエネルギーを考える必要がある。
○総論として、今後の対応策としては、省エネ、太陽光、風力エネルギー等が考えられるが、出来得る限り導入しても足りないため、原子力を導入せざるを得ない。軽水炉ベースではウランの埋蔵量が有限であるため、高速増殖炉を導入しないともたない。
○2100年までは資源制約よりも環境制約が重視されると思われるが、それ以降は、加えて資源制約が強くなり、二酸化炭素を出さないエネルギーに期待がかかる。超長期を考えると軽水炉だけでなく、高速増殖炉で核燃料サイクルを確立しないと地球温暖化問題に対応できない。

  <質疑等>
○藤目氏の言われる原始埋蔵量、究極埋蔵量の概念と、内山氏の概念の定義は異なるのではないか。地球上に存在する資源量を評価する客観的な手法とはどういうものか。(吉岡委員)
○埋蔵量は不確実性がある。原始埋蔵量も不確実性を含む推定値であり、これに頼るのは危険である。確認埋蔵量は比較的信頼性が高い。その中で、究極可採埋蔵量は回収出来る量で、既生産7千億バーレル、確認埋蔵量1兆バーレル、未確認可採埋蔵量5千億バーレルの合計2.2兆バーレル。(内山委員)
○内山氏の可採埋蔵量の推定は、既に存在する油田等からさらに掘り出し得る量であり、新たに発見される量や今は高くて掘り出せないが今後回収出来る量がカウントされていないが。(吉岡委員)
○現時点の可採埋蔵量は20ドル/バーレル以下で掘れる量で、新たに発見される量や今後回収出来る量等は入れない。もっとコストをかければ回収可能な資源が期待できるが、その推定量は不確実なものであり、資源量としての期待値は低い。(内山委員)
○この問題は不確定要素の多い議論であり、ここでハッキリさせる必要はない。エラーの多い推定値であるということを理解頂き、必要性が出た時に詳しく議論してはどうか。(西澤座長)
○埋蔵量の概念は基本的に内山氏のものと同じ。原始埋蔵量は、参考のために地質学者が推定したもの。(藤目常務理事)
○資源・エネルギー学会のハンドブックに金、銀、銅、鉄の可採年数の数値も記されている。この客観性とエネルギー資源の枯渇評価の客観性をどう比較するか。(吉岡委員)
○可採年数は現在の生産量を基に出している。今後人口が爆発的に増えて、需要増加することも考慮に入れる必要がある。化石燃料は2050年頃をピークに減産せざるを得ない。50〜60年先には石炭に頼ることになり、世界の環境破壊が進む。ここに原子力開発を進めていくことの基本がある。(内山委員)
○銅が無くなれば電気が送れない、鉄が無くなれば圧力容器も作れない。前述の質問はそういう問題を聞いた。(吉岡委員)
○鉄やアルミはリサイクル(循環)でき、化石燃料資源とは違う。(内山委員)
○内山氏の図に記されているエネルギーの不足分とは何を意味するのか。食糧不足の話ならば分かるが、エネルギーでは何が必要量なのかが極めて曖昧である。石油により自動車文明ができ、エネルギーを多量に使うようになった。石油が無くなった場合に、石油時代と同じようにエネルギーを使い続けるのか疑問。エネルギー需給構造が変り、需要は減少する。(吉岡委員)
○将来のエネルギーをどう考えるかに集約される。これを予想するのは困難であるが、現在のトレンドから物を見る必要がある。原始の生活には戻れない。エネルギーを使わないと、これだけの人口を維持できない。エネルギーが減り、人口が減ることにより、飢餓や犠牲者が出る等紛争の要因になる。かなり低目のエネルギー需要を前提としたシナリオである。(内山委員)
○厳格な予測を議論する場ではない。目安ということで良いであろう。(西澤座長)
○藤目氏の報告では、COの制約を過剰に強調している。年数千個の爆弾を作ることのできるプルトニウムを扱うとかいった点からの平和制約や安全制約等の色々な制約の中で、最適に道をとることが必要である。また、FBRは技術的、社会的にフィージブルであるとは立証されていない。不足だからFBRをやるという論法はやめてほしい。(吉岡委員)
○委員会や懇談会は、役所の説明よりも委員同士が議論するのが有効だと思う。今日はその模範的な例だと思う。内山委員の主張は合理的だと思う。(河野委員)
○実験してみると言うこと。これで(FBR開発を)決めた、決めると言うことではない。可能性があるからやってみるということが根本的な問題。(西澤座長)
○21世紀、22世紀に責任を持つために議論することが必要であり、いつ資源が無くなるかということが問題ではない。もっと自然エネルギーについて議論すべき。自然エネルギーにも限界があるのは素人でも分かる。自然エネルギーの有効活用が必要で、研究しているが限界があることを実証的に示す必要がある。わが国でも自然エネルギーの開発状況を説明すべきである。(住田委員)
○今日の話は化石エネルギーの説明のみである。今後のエネルギー供給のあり方について、総合的な資料を出して長期見通しを提示してほしい。他のエネルギーにどれだけ研究開発費を掛けているかのデータも出すべき。エネルギーが不足するからFBRをやるという議論をすべきでないと言うが、エネルギーが不足しないと考えるなら、どういう数値が出し得るのか。その場合に、我々はどのような生き方をすればよいのか、また、エネルギー供給はどの程度かを示して欲しい。(植草委員)
○なぜ、他のエネルギーを議論しないのか。私の友人は太陽電池を屋根に付け、売電をやっている。私自身は風力をやろうとしている。派手な生活をしなければ、かなり賄え、あながち不可能ではない。(中野委員)
○エネルギー供給については理解できたが、需要が分からない。各国の経済成長の弾性値をどう見ているか。アジアのエネルギー需要をもう少し分かりやすく提示してほしい。アジアが化石燃料に恵まれていないことは重要。アジアが食糧、エネルギーを食いつくす心配がある。アジアが他の地域に迷惑を掛ける可能性があることを議論する必要がある。中国のGNPが日本の半分になるのに、そう時間は掛からない。日本がアジアのエネルギー問題について説明する義務が出てくる。経済成長とエネルギー需要の弾性値も含めて提示してほしい。(岡本委員)
○米国の風力プラントは有名だが、非常に恵まれたところにある。日本は風力発電に恵まれたところは無い。そのあたりに誤解がある。太陽電池に関しても、コストがなかなか下がらない。特殊な条件にあるものが、堂々と宣伝される。学者は、どのような条件での話かを示すべきである。アジアの問題とか、それらを全てとり上げると大変。重要な例として火力発電を取り上げてもらったということか。(西澤座長)
○弾性値は1以上。思ったよりアジアの経済成長は早く、これを加速しているのは先進国である。弾性値から見て、このまま成長していく。各地域毎の化石資源を見ると、1人あたりの化石燃料量は、アジアが非常に少ない。供給技術に関しては、敷地面積当たりの供給エネルギー密度は、風力、太陽は非常に低い。火力、原子力はわずかな土地で社会に大きなエネルギーを供給できる。(内山委員)
○化石エネルギーの長期需要見通しは、すべてが現在価格で評価されており信用できない。高価になれば節約するはず。また、自然エネルギーに関してはどのくらい可能性があるかを示し、議論すべき。エネ庁からこれを説明してほしい。(植草委員)
○世論調査等を見ると、原子力発電は人気が低く、太陽光発電の人気は高い。色々なエネルギーについて、共通の土俵で議論を1時間ぐらいやったら良いと思う。(河野委員)
○太陽エネルギー発電で採算がとれるという中野委員の意見だが、その点を一度説明して欲しい。私は採算がとれると思えない。100万kWに130km必要となり、多くの面積を要してしまう。(鷲見委員)
○全て太陽で賄っていけるとは思っていない。また、採算がとれるとは言っていない。あくまで部分的に賄っていくものと思っている。(中野委員)
○10年くらい前に朝鮮半島に行った。エネルギー供給の貧しい国の運命を感じた。石炭についても、効率的な燃やし方の研究が重要。新たなエネルギーの方向とか、技術的な改良とかも重要。あまり深く議論できないにしても限定して議論した方がよい。その中で、将来、FBRをどうすべきかを議論してほしい。(小林委員)
○この懇談会は、委員の構成にバイアスが掛かっている。本来は、推進派と批判派、同数が原則。従って、私の発言が多くなることを理解してほしい。また、エネ庁からエネルギーの需要、供給について、各分野毎の専門家を推薦いただいて説明してもらい、議論したい。(吉岡委員)
○通産省としても、新エネルギーの開発、導入に最大限努力することが重要と考えており、先に総合エネルギー調査会基本政策小委員会の報告が取りまとめられたところ。風力や太陽を極端に多く導入しても、環境問題と需給バランスから考えて原子力は必要という結論であるが、本懇談会の場でもご紹介したい。(谷口審議官)
○5月26日に議論できるように事務局からお願いしてもらう。ただ、完璧なものはなく、とことん議論をするのは無理。そこを承知の上で企画したい。(西澤座長)
○とことん議論するのは無理でも、資料はきちんとしたものを出して頂きたい。一度は認識を同じにしないと話が先へ進まない。(植草委員)

(4)
議題(1)について、資料第3−3号及び第3−4号に基づき、日本原子力発電(株)(以下、「原電」)の三浦取締役より「高速増殖炉の建設コスト目標」の説明が、また、動燃の相澤動力炉開発推進本部副本部長より「FBR燃料サイクルの経済性について」の説明があった。主な質疑等は以下の通り。

  <高速増殖炉の建設コスト目標>
○2030年頃までに実用化が可能となるような技術体系を確立するとは、具体的には何をやることか。66万kWの実証炉はいくらで作れるか。欧州で複数のプラントを建設することにより20%コスト削減とあるが、どこの国の誰の評価か。(吉岡委員)
○2030年頃までには使えるようにしたいということ。現状では実証炉の建設費は正確に算定できないが、設計に基づいた推定では4000億円弱である。複数基の点は、フランス電力庁が評価したもの。軽水炉10基建設の実績に基づいた推定である。(三浦取締役)
○コストは国際的競争等で初めて下がるもの。競争が無い状況下で、コストが下がるとは信じがたい。(河野委員)
○物の値段は状況で大幅に変る。高速増殖炉は軽水炉とほぼ同じような技術、作り方に立っている。いかに軽水炉並みにできるかを考えて設計している。実際に建設する場合のコストは、競争等の色々な要素で大きく変る。技術開発としてやらなければならないことは、安くなる可能性のある技術を探しながら確実に進めることである。(三浦取締役)
○格納容器等をコンパクトにすることにより、色々負荷が増えるのではないか。また、配管のコンパクト化で過密になり、漏えい事故上の問題等が生じないか。将来も土地の状況は変わらず、サイトを求めるのは困難だと思う。狭いサイトにおいて無理に100万kWを絞りだそうとしているイメージ。(小林委員)
○コンパクト化が行き過ぎると問題が生じることは事実。今の軽水炉と同程度にコンパクトにしようとしている。もんじゅは最初のプラントで非常に余裕が大きい。これを軽水炉のレベルに近づける作業を行っている。サイトの問題については、軽水炉でも高速増殖炉でも同様となる。日本としては、廃炉になるプラントも出て来るので、どこかにサイトを見つけて、火力なり、原子力なり発電所を作らないと工業レベルが低下する。(三浦取締役)
○この資料は技術的ポテンシャルとして可能性があるということ。効率向上には、ブレークスルーが必要。火力ではコンバインドサイクルがブレークスルー。原子力の効率向上のためには、燃焼度が重要。軽水炉では5万MWd/tが限界であるが、これをブレークスルーするにはナトリウムを使った高速増殖炉が必要で、燃焼度を9万、15万MWd/tに上げることが可能。高速増殖炉による発電の技術が確立されればコストに加え、燃料サイクルの負担も低減できる。同時に、燃料サイクルの輸送、再処理、廃棄物の処理・処分というリスクも小さくできる。(内山委員)
○高速増殖炉の燃焼度が軽水炉より高いから良いという比較は適切でない。高速増殖炉ではウラン3にプルトニウム1と、燃えるものが多いから最適の燃焼度も高くなる。システムが違うのに単純に長短を比較するのはどうかと思う。(吉岡委員)
○いずれ、第3次オイルショックがあれば、いずれ高速増殖炉が有利になると思っている人がいる。原子力はセキュリティ論である。しかし、これに寄り掛かりすぎると技術者のコスト意識が無くなる。このように、経済性には難しい要素をはらんでいる。(河野委員)
○オイルショックが突然来るようなことが起きても、高速増殖炉は急には間に合わない。我々は突然のオイルショックやエネルギー需給逼迫を想定して技術開発を進めているわけではない。(三浦取締役)
○軽水炉は高燃焼度化が進んでいる。これで燃料が減って、環境負荷が減り、経済性が出てきている。高速増殖炉は、運転温度が高く効率向上に繋がる。経済性の話は、1.5倍を目標として、そうするにはどうすれば良いかというもので、技術屋としての判断の話。(鷲見委員)
○夢の原子炉で燃料がいらないような書き方になっている。素人が読むと誤解する。また、廃棄物を考慮しても高速増殖炉が他のエネルギーに比べて遜色ないと言うなら、廃棄物が持つ放射能量と、これまで得られたエネルギーの比率で表現しないと比較ができないと思う。(西澤座長)

  <FBR燃料サイクルの経済性について>
○燃料サイクル費試算の前提条件の値のみで、その根拠が話されていない。使用済燃料輸送コストは軽水炉とFBRで同じと試算されているが、同じ方式で運ぶのか。高レベル廃棄物処分費も両者間で大差ないが、これも疑問である。数値の推計根拠を出して欲しい。(吉岡委員)
○必要なデータは提示したい。使用済燃料の輸送方式は変わらない。高レベル廃棄物処分に関して、軽水炉はOECDレポートによる算定。燃焼度について補正している。FBRは炉心燃料とブランケットを混ぜて再処理を行うので平均では軽水炉の燃焼度と大差がない。(相澤副本部長)
○研究開発費は年単位ではどのくらいか。他の原子力開発費用と比較してはどうか。(住田委員)
○資料は提示したい。(相澤副本部長)
○このような長期的な話は分らない。「割引率」は10年位先までに適用される考え。「経済性」という言葉を使って良いかどうか検討の余地がある。また、超長期の経済性では、世代間のコスト負担の問題がある。電源特会を使って技術開発を行い、この成果を次世代が享受するならOKだが、この過程で廃棄物の話が入る。現在、軽水炉で廃炉費用がコストに含まれているが、高レベル廃棄物処分費が入っていない。このコストは次の世代の人達が払うのか。大変難しいが、もう少し議論して、在り方を考える必要がある。大きな問題である。(植草委員)
○優秀な技術者を抱えており、実用化の問題も見通しが示されているとすれば、与えられた予算の枠の中で、あと2〜3年で経済性については結論が出てしまうのではないか。その後はどうやって時間を過ごすのか。(河野委員)
○研究開発課題の解決戦略を示している。2010年頃、2030年頃とは、それぞれの研究開発の完了目標として書いたもの。成果を出すべく、きちんと進めるべき目標を示した。今すぐ完了すると言うことでなく、何をすべきかを述べた。(相澤副本部長)
○欧米人は細かいことはともかく大まかな目標設定が巧い。我々も見習うべき。最初は安全係数が大きくなり、次第に小さくなるのは当然。(西澤座長)
○この資料は研究開発の戦略書のようなもの。仕事のリストを作ったということ。そのリストが正しいかは説明者の顔を見つつ、正しいことを言っているかを判断してほしい。楽観的すぎる点もあるが、戦略としては、一応組み上がっていると思う。(近藤委員)
○高レベル放射性廃棄物については、原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会で今後の進め方について報告書が纏められている。世代間の負担の倫理的問題もOECD/NEAで国際的に見解が纏められているので、事務局で説明してはどうか。バイパック燃料とかプロセスの高度化というのは相当な努力が必要。2010年、2030年という目標は、まあまあというところ。(松浦委員)
○2010年、2030年というステップについて聞きたい。炉の場合には実証炉という具体的ステップが明示されており分かり易いが、高速増殖炉の再処理では、2010年に何を作り、2030年に何をつくるのか。その時々のチェックアンドレビューはどうするのか。(吉岡委員)
○集中系の原子炉と違って、機器の高性能化や新プロセスの採用というステップで展開可能であり、単体レベルの改良、実証というアプローチが採用可能と考える。(相澤副本部長)

(5)
座長及び事務局より、次回以降の予定等について説明があり、閉会した。
○座長より、5月26日の予定を変更して、新エネルギーの将来見通しと経済性をやることとしたい旨の提案があり、了承された。
○座長より、資料3−5号は各自読んでもらい質問を頂く、資料3−6号は次回以降説明したい旨の提案があり、了承された。
○事務局より、次回5月8日14時からは仏、独、英のFBRを推進してきた方々の話を伺うことを予定しており、同時通訳の関係上、別の場所で実施する旨の説明があった。
○外国がやっているからやるということは嫌いである。止めているからこそ、日本が行い成功してもらいたいと思う。これこそ、本当の国際貢献である。ただ、外国の話を伺うことには意味がある。(西澤座長)
○第5回を5月26日(月)の10時、第6回は6月20日(金)の14時に開催することとしたい。





高速増殖炉懇談会構成員




秋元 勇巳  三菱マテリアル(株)取締役社長
植草  益  東京大学経済学部教授
内山 洋司  (財)電力中央研究所経済社会研究所上席研究員
大宅 映子  ジャーナリスト
岡本 行夫  外交評論家
木村尚三郎  東京大学名誉教授
河野 光雄  内外情報研究会会長
小林  巌  フリージャーナリスト
近藤 駿介  東京大学工学部教授
住田 裕子  弁護士
鷲見 禎彦  関西電力(株)取締役副社長
竹内佐和子  長銀総合研究所主任研究員
中野不二男  ノンフィクション作家
西澤 潤一  東北大学名誉教授(前総長)
松浦祥次郎  日本原子力研究所副理事長
吉岡  斉  九州大学大学院比較社会文化研究科教授
                 (平成9年4月時点)