アスファルト固化処理施設の火災爆発事故の状況
及び法令報告の記述の誤りについて
平成9年4月15日
動力炉・核燃料開発事業団
- 本年3月11日に発生した東海事業所再処理施設アスファルト固化処理施設での火災・爆発事故については、第2回高速増殖炉懇談会(3月27日)でご説明しましたが、本日はその後の状況および法令報告(3月21日付け提出)の記述の誤りについてご 説明します。
- 1、復旧作業等の状況
- (1) 建家境界の安全確保
建家及びその周辺については、
1) 建家の密閉作業後、3月28日には、施設周辺の地面及び建家表面の清掃、除染により、周辺に飛散した放射性物質の除去を完了しました。これにより、施設の周辺に設定した一時管理区域を解除しました。
- (2) 施設内部の安全確保
施設内部については、
1) 施設内部に温度計、可燃性ガス成分計を設置し、測定を継続し、可燃性ガスは検出されておらず、固化体温度も室温程度で安定していることから、再び火災・爆発の起こる可能性はないと判断しました。また、アスファルト充填室内部についてはテレビカメラによる監視を継続しています。
2) 放射性廃液を貯蔵している貯槽類については、液位の変動がなく漏洩のないことを確認しました。その後も監視を継続しています。
3) 施設内の破損状況を調査、把握し、必要な箇所については応急処置を行いました。
4) 施設内の放射線状況は把握されており、今後も施設内の放射線測定を継続します。
- (3) 施設の排気の確保
3月26日より仮設換気設備等の据付を行ってきましたが、4月3日に据付を完了し、4日より仮設の換気設備及び中間排気モニ夕ーの供用を開始しました。これにより、フィルターでろ過し放射性物質濃度を管理しつつ、第1付属排気筒からの排気が可能となりました。
なお、応急処置として事故の拡大防止策が整ったことから、事故発生当日に本社に設置した災害対策本部は、4月5日より事故対策本部とし、同様に東海事業所に設置した防護活動本部を現地本部に縮小しました。
- 2、法令報告の記述の誤りについて
- 3月21日に提出した法令報告の「3月11日10時22分頃に操作区域(G115)から、目視により消火していると判断した」という記述が誤っていることが、4月8日判明しました。事業団は、特別調査班を編成し、この誤った記述に至った事実関係の調査を行いました。その結果は以下の通りです。
1) 10時20分頃、環境施設部長は、現場指揮所の関係職員に対して第1報で受信した情報、「アスファルト固化処理施設でドラム缶から煙が出ている、水噴霧器で火は消えた。火災かどうか確認中である。」との説明を行いました。
2) 部長がこの説明をした時刻が10時22分であり、この内容が現場指揮所のホワイトボードに「10時22分 水噴霧器で火は消えた。火災かどうか確認中。」と記載されました。
3) その直後、現場指揮所に到着した同部技術課長はホワイトボードの記載を見て、これを事実と考え、ファックス連絡文書第1報に「10時22分 水噴霧器で消火した」と加筆し、事業所連絡責任者へ送付し、これがそのまま10時38分に外部機関に一斉送付されました。
4) その後、10時22分に消火の確認を行ったという事実はなかったことが明らかとなりましたが、すでに公表したものであり変更は難しいとして修正は行われませんでした。
5) さらに「10時22分消火の目視確認」したことにせざるを得ないと判断し、その裏付けを作る必要があると考え、部下を通じて運転員に消火の再確認をしたことにしてくれるよう指示したこと等に担当の管理職が関与していました。
なお、火災・爆発事故全体に関する一連の事実関係をあらためて調査しています。
- 3、経営改革本部の設置について
- 「もんじゅ」事故に引き続き今回の事故を引き起こしてしまったこと、および法令報告での記述の誤りに係わる不祥事の重大性に鑑み、事業団において早急に意識改革の強化を含めた体質・組織・体制の抜本的改革を行うため、4月10日に理事長を本部長とした経営改革本部を設置しました(別添1参照)。
以 上
- 別添1 動燃経営改革本部の設置について
- 1、概要
- 事業団においては、「もんじゅ」事故に引き続き今回の重大な火災・爆発事故を引き起こし、かつ消火確認に関する記述に誤りがあることが判明し、事業団の体質・組織・体制等についての問題が厳しく指摘されています。
-
このような状況に鑑み、早急に意識改革の強化を含めた体質・組織・体制の抜本的な改革を行うため、経営改革本部(以下「本部」という。)を設置しました。
- 2、設置年月日
- 平成9年4月10日
- 3、構成
- (1)本部長 近藤俊幸理事長
- (2)本部長代理 植松邦彦副理事長
本部長代理 藤本昭穂理事
- (3)副本部長 河田東海夫
- (4)本部員 次長2名、課長クラス2名、他7名
- 4、業務概要
- (1)事業運営の問題点洗いだし
- (2)危機管理体制も在り方
- (3)安全管理体制の在り方
- (4)事業計画の重点化等を行い、体質・組織・体制の抜本的改革
- (5)その他事業団改革に必要な事項