資料2−3

「アスファルト固化処理施設における火災・爆発事故」の概要


平成 9 年 3 月 27 日
動力炉・核燃料開発事業団
  1. 発生月日: 平成9年3月11日(火)

  2. 発生場所:動力炉・核燃料開発事業団 東海事業所
              再処理施設  アスファルト固化処理施設

  3. これまでの状況

    (1)火災の発生(午前10時06分発生)

    1. 再処理施設アスファルト固化処理施設の室内(セル内)のアスファルト充填後のドラム缶から10時06分に火災が発生。水噴霧(スプリンクラー)にて消火活動を行いました。
    2. 火災の発生及び換気系統の停止により、放射性物質が施設内の放射線レベルの上昇等が確認されました。
    3. 施設内等の従事者59人について鼻の中の放射性簡易測定(鼻スミヤ)を行ったところ、このうち10人に微量の放射能が検出されました。
    4. これらの59人について放射能の詳細測定(ホールボディカウンタ)を開始しました。その後、20時04分頃に爆発が発生したため対象者を追加し、合計112人について詳細測定を14日朝まで行ったところ、37人に微量の放射能が検出されましたが、摂取量は最大でも法令に定める基準値の2100分の1以下と推定されました。
    5. 排気塔モニタの確認の結果、一部の測定値に僅かな上昇がみられました。なお、施設周辺の環境モニタリング結果については異常はありませんでした。

    (2)爆発の発生(20時04分頃発生)

    1. アスファルト固化処理施設において、20時04分頃、爆発が発生しました。これにより、施設の窓、シャッター、扉が破損し、煙が出ていることが確認されました。
    2. この時、アスファルト固化処理施設には、人はおらず、人的な汚染及び負傷者はありませんでした。隣接する施設には42名の従事者がいましたが、放射能簡易測定(鼻スミヤ)の結果、異常は認められませんでした。
    3. 23時10分から作業員が現場に入室し、状況を確認したところ、主要設備が設置されている室内(セル内)において火災、煙の発生は認められませんでした。施設内の設備には破損が認められませんでした。
    4. 施設の付属排気塔における放射能測定では、一時的に上昇がありましたが、その後、平常状態に戻りました。 事業所周辺(施設内)の環境放射線測定装置(モニタリングポスト)における放射線測定結果については、20時50分に僅かな上昇が見られましたが、21時以降は通常の変動の範囲内で推移しました。
    5. 3月12日1時過ぎより当該施設周辺の汚染状況を調査したところ、一部に汚染が認められたため、施設周辺を一時管理区域に設定し放射線管理を実施しております。 また、東海事業所周辺(敷地外)の環境放射線測定装置(モニタリングポスト、モニタリングステーション)による放射線測定結果は、通常の変動の範囲内でありました。

  4. 現場復旧のための準備作業

    1. 3月12日にアスファルト固化処理施設及びその周辺施設の状況確認と復旧のための準備作業を開始しました。
    2. アスファルト固化処理施設では、まず、施設内部の汚染状況の確認、セル換気系のフィルタ交換作業及びアスファルト固化体への水噴霧による冷却を行うとともに、再爆発の危険がないことを確認するため、セル内の可燃性ガス濃度、温度をモニターする機器を設置しました。
    3. また、施設周辺の一時管理区域の清掃を行い、その進捗に応じて、3月16日と3月22日には一時管理区域を順次縮小しました。
    4. 併行して、アスファルト固化処理施設及び第三低放射性廃液蒸発処理施設の破損した窓等の閉口工事を実施し、3月19日には応急措置を終えたことから、新たな汚染の漏洩の可能性はなくなっております。
    5. 事故後実施してきました、アスファルト充填室および固化体の温度測定の結果と、アスファルト固化処理施設内での可燃性ガス濃度の測定結果から、動燃としては、3月25日に再爆発の可能性はないと判断致しました。

  5. 原因と対策

    1. 3月11日、本社に理事長を本部長とする災害対策本部、東海事業所に所長を本部長とする防護活動本部を設置し、現場の状況把握、並びに、応急的措置及び復旧の指揮に努めております。 現在のところ、火災・爆発の原因は不明ですが、徹底的な原因調査を行い、その結果に基づき所要の対策を講ずることとしています。
    2. 事故の原因究明については、3月16日に「原因究明及び再発防止対策立案に専従する班」を災害対策本部に設置しました。この専従班が作業を進める上では、学識経験者からご指導・ご助言を頂き、徹底的な原因究明を進めて参ります。

  6. 今後の対応

    1. 火災・爆発により、施設外への放射性物質の漏洩があったため、施設及び事業所内外の環境モニタリングを継続致します。
    2. 今月末を目標に、施設外への汚染拡大防止のために、アスファルト充填室等から仮設の換気ダクトを敷設して、換気機能を復旧させる予定であります。

  7. 添付資料


    ※ 参 考