(1) 事務局(科学技術庁)より開会宣言が行われた後、伊原原子力委員長代理より開会の挨拶が行われた。引き続き、事務局より配布資料の確認が行われた。
(2) 資料第1−1号〜1−3号に基づき、事務局より、本懇談会の設置の趣旨、経緯、運営について提案がなされ、以下の内容について、委員により異議なく了承された。加えて各委員の紹介が行われた。
(3) 座長については互選により西澤委員が推薦され、各委員の自由な発言の機会を与える等の所信表明が行われた後、各委員に承認された。
(4)各委員より自己紹介をかねて、本懇談会の委員としての抱負、懇談会についての期待などを以下のように述べて頂いた。
- 軽水炉主体の現在の全体システムの中でのFBRの在り方について、原子力の将来を憂う一人として発言していきたい。
- 賛成派・反対派とも、なるべく基礎的なデータを提供してもらい、それを基に、中立的に判断をしたい。
- 経済、エネルギー、環境、人口問題等のグローバルな視点から、将来のエネルギー、原子力の在り方について議論できる場になることを望む。
- 安全だと言い過ぎており、それを解きほぐす努力が大事。科学技術の知識が欠如しており、それを前提にどうやって議論できるかを考えていきたい。
- 国際情勢の観点から日本の原子力の問題に興味を持っている。東アジアの経済と人口の増加がエネルギーの安全保障にどういう影響を及ぼすか関心がある。断片的なものであれ、何かこの議論に貢献できればと思う。
- 従来の延長線上にFBR技術開発の将来があるとも考えられないというのが今のスタンス。いろいろな意見を聞いてスタンスが変わることがあっても構わないという、柔軟な態度で望みたい。
- 現状では、FBRに賛成し難い点が多い。地元県民の痛みを行政に反映して欲しい。核燃料リサイクルの輪は一部途切れており、長期計画の改訂を考えるべき。政策決定がトップダウン的なので、地域のコンセンサスを考えてもらいたい。情報公開に関しては、全部公開するというスタンスで望んでもらいたい。是非、福井県から知事、市長等の地域の代表を懇談会に呼んで、意見を聞いてもらいたい。
- この懇談会では、研究開発に対する投資によっていかなる性能レベルに達しているか、国際的にどれくらいの水準であるか、どこにウェイトを置いて研究開発をすべきか等を議論して原子力委員会に提言したい。
- これからは物質エネルギーである放射線(量子力学)のエネルギーの時代。太陽光も原子力エネルギーであり、原子力エネルギーにいきつく。FBRはウランを人類の永遠のエネルギーとして使おうというもくろみであり、それを実証炉につなげてほしい。その大前提として地元のご意見が重要。
- ウラン・プルトニウムサイクルには首をかしげたくなる。ではエネルギーをどうするか葛藤がある。自分の国の将来につながる安全の話。「もんじゅ」をどうするかは、一国民として避けて通れず、考え、口を出したい。FBRを議論すると長計全体にまで係わることになるが、どこ迄話させてもらえるのか気がかり。
- エネルギーでもビジネスに近いところは分かるが、20年〜30年後のR&Dをどう判断すべきか分らない。環境対策としてCO2を削減するため原子力を導入するという論法も分かりずらい。年間数百億円ものR&D経費にどれほどの付加価値があるのか、という判断基準が必要。技術的に優れていそうだとは感じられるが、それ以上の説明をどうするかが必要。技術的な議論では参加しづらい。
- 原子力の問題は非常に時間がかかるという要素を十分認識して考えていく必要がある。本懇談会ではFBRの必要性が議論になる。必要ならばどのようなタイプのものが可能か、ナトリウム冷却のFBRはどのような発展段階にあるのか、「もんじゅ」はどういう役割でどうするのか、という段取りで議論が進んでいくものと考えている。原子力がアクセプトされるための条件作りに参加させて頂ければ幸いである。
- FBRには合理的、科学的判断に基づき反対である。この会議は世界史に残る重要な決定となるもの。会議の進め方としては、最大限知恵を絞り、徹底的に勉強してあらゆる側面に精通し、その上で決定を下すという手続きが必要。きちんとデータが出された上で議論することが必要。報告書をまとめる場合は、当事者として知的に責任を持てない内容のものに署名はできないため、少数意見も尊重し、記録を残して頂きたい。
(5) 議題(1)について、資料第1−4号に基づき、事務局より現行の高速増殖炉開発の計画について説明が行われた。主な質疑等は以下の通り。
- 高速増殖炉のメリットと思われる事項が列挙されているだけであるが、必要性ではなく、合理的論理的な総合評価を行うべきである旨の意見があった。
- 「もんじゅ」中心であるが、「常陽」に関する資料も提出して欲しい旨の意見があった。
(6) 議題(1)について、資料第1−5号に基づき、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃事業団」)より高速増殖炉開発の現状(原型炉まで)について説明が行われた。主な質疑等は以下の通り。
- 「常陽」に関する記述の中で「増殖性の確認を含めたFBRプラントの成立性を実証」とあるが、増殖性の確認のためには、工程でのロスも評価すべき旨の意見があった。
- 国内外での事故・トラブルの反映について、海外にも「もんじゅ」事故を連絡、開示しているのかとの質問に対して、動燃事業団から、海外にも積極的に連絡、説明している旨の回答があった。
- 事故の原因となった温度計の設計はレベルの低いものであった旨の意見があった。
(7) 議題(1)について、資料第1−6号に基づき、日本原子力発電株式会社(以下「日本原電」)より高速増殖原型炉の開発について説明が行われた。主な質疑等は以下の通り。
- 経済性の見通しに関して、100万kW換算のコストではなく、実際の出力規模のプラントの生のコストを示すべき旨の意見があったのに対して、日本原電から、来世紀になり建設が可能になる時期にコストを示したい旨回答があった。
- 「もんじゅ」の結果をチェック・アンド・レビューしてから次の炉を設計するのが当然であるが、「もんじゅ」は止まっており、データが取れていないのに実証炉の詳細設計を行うのは問題である旨の意見があったのに対して、日本原電から、現在初期設計の段階であり、詳細設計は行っていない旨、また、「もんじゅ」の設計は終わっているので、それは反映している旨の説明があった。
- 軽水炉との比較を行っているが、原子力以外の発電コストが上下すれば、その比較は意味がなく、どの様な基準で考えるべきかは難しい問題。将来の状況が変わり得るのでフレキシブルに対応すべき旨の意見があった。
- 今回の資料は、データも絵もなく不十分であり、また、最終的には処分のコストも必要である。経済性の説明というより、設計の目標を聞いた程度の話である旨の意見があった。
- 経済性だけでなく、環境の観点等も重要である旨の意見があった。
(8) 資料第1−7号に基づき、本懇談会が設置される契機となった、高速増殖炉原型
炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故の概要について動燃事業団より説明が行
われた。主な質疑等は以下の通り。
- 事故隠しと言われる事件の問題に関して3行のみの記載しかないことについての動燃事業団の認識についての質問に対して、動燃事業団から、重大な問題と受け止め、自己改革推進運動により意識改革等を行っており、他意はない旨の回答があった。
- 安全総点検は運転再開を前提とした動きではないのかとの質問に対して、動燃事業団から、総点検は再開のためではなく、プラント全体についての点検であり、また、再開には地元の理解が必要である旨の回答があった。
(9) 事務局より、資料第1−8号に基づきこれまでの高速増殖炉開発に対する主な批判的意見について説明があった。主な質疑等は以下の通り。
- 資料原案に対してコメントを送ったが、ほとんど反映されなかった旨の発言があり、全体構成、それぞれの項目毎に追加すべき事項等に関する意見があった。
- また、この資料は逆差別であり、公平性の観点から、批判的意見に対する回答を付すべきである旨の意見があった。
- さらに、論点整理が荒すぎる。反対論ばかりでなく、高速炉推進の立場からの批判意見も入れるべきである旨の意見があった。
(10) 議題(2)について、資料第1−9号に基づき、事務局より今後の当面の懇談会の進め方についての説明が行われた。主な質疑等は以下の通り。
- 今後の進め方について資料を配布して説明しようとしたが事前に事務局に断られたので、次回以降、委員が作成した資料を自由に配布させて欲しい旨の意見が出されたが、座長より、率直な議論は歓迎するものの、資料については、その場で承認して頂いた上で配布してもらいたい旨の回答があった。
- 原子力システムの中で高速炉が果たすべき役割を考えると、現在の長期計画のままでは高速増殖炉に反対と言わざるを得ず、高速炉と増殖炉の必要性を分けて議論すべき旨の意見があり、これについて、高速炉と増殖炉のこれまでの考え方について、国際的な人も含めて意見を聞き、性格論を議論しても良いのではないかとの提案があった。
- 様々な論点に対して、委員の間で共通の理解を持つことが重要であり、次回以降、様々な方から意見を聞くことを開始しても良いのではないかとの提案があった。
- 様々な方から意見を聞く前に、それぞれの分野の専門家から講義を受けて、今後意見を聞くべき項目を漏れなく整理してからにすべき旨の意見が出されたが、これに対して、意見を聞くべき項目としてある程度了解が得られるものについてまず意見を聞き、足りない点があればさらに聞くというように、段階的前進的に作業を進めても良いのではないかとの意見が出された。
- また、本件問題全般について懇談会委員全員の知識を専門家レベルまで上げなくても、懇談会全体としての総合判断ができるはずである旨の意見が出された。
- これまでの審議会はお墨付きを与えるだけのものもあったが、本懇談会は今までとは違い、皆で模索しながら進めていくことも重要である。しかしながら、議事進行を円滑に進めるためにも、何が重要で何を議論すべきかという点については事務局で明確にして欲しい旨の意見があった。
- また、各委員の専門知識をどこで発揮すべきか分からないので、全体的な検討のフレームワークを示して欲しい旨の意見があった。
- 議事要旨だけでは意思決定の記録が残らないため、この懇談会だけでも逐語的議事録を是非作成してほしい旨の要望があった。
- 最後に、座長から、今回言い残したことがあれば事務局へ提出してもらい、次回以降適宜発言してもらう旨、また、今後意見を聞くべき方の選定については座長に任せて欲しい旨提案があり、了承された。
- また、座長から、懇談会において定量的な検討も必要であり、できるだけ情報を提供してもらうようにするとともに、動燃事業団に次回以降も陪席してもらい必要に応じて説明してもらう旨の提案があり、了承された。
(11) 次回を3月27日(木)の午後2時、第3回を4月15日(火)の午後2時、第
4回を5月8日(木)の午後2時に開催することとし、閉会した。