資料第22−2−4号

原子力基盤技術個別研究課題

放射線ビーム利用先端計測・分析技術

原子力基盤技術開発
研究評価総合所見


平成9年3月
放射線ビーム利用先端計測・分析技術研究評価
ワーキンググループ

= 研究評価の手順 =

(1)平成9年3月 5日:研究評価ワーキンググループ開催
(2)平成9年3月   :報告及び評価調査票をもとに、総合所見を作成
(3)平成9年3月31日:基盤技術推進専門部会に評価結果を報告

= 研究評価ワーキンググループ委員 =

1.藤田 薫顕   京都大学教授(主査)
2.伊東 泰男   東京大学教授
3.川瀬 洋一   京都大学教授
4.中澤 正治   東京大学教授
5.森田 健治   名古屋大学教授

= 目 次 =

(事前評価)

1.励起中性粒子線の基礎技術に関する研究(金属材料技術研究所)………1

2.GC−AMS:加速器による生体中、環境中微量成分の
           超高感度追跡手法の開発(国立環境研究所)………2


表−7
原子力基盤技術開発
事前評価用総合所見フォーマット
研究開発課題名 励起中性粒子線の基礎技術に関する研究(平成9年度〜平成13年度)
項  目 要  約
1.目 標 物質の表面状態を微視的にかつ精密に研究するため、高密度の中性励起原子・分子線を生成する技術を開発し、励起粒子ビームと物質との相互作用によって生じる散乱や2次粒子放出などの現象を観測することにより物質の特性を研究する手法の確立を目指す。さらに、中性原子をスピン偏極させることにより、物質表面の電子のスピン状態に関する情報を得て、先駆的研究を行う。
2.事前評価 技術的に困難と予想される研究テーマであるが、チャレンジする意気を評価したい。しかし、主な研究課題であるヘリウム中性粒子線の生成手段が確立されていないことに加えて、表面解析に必要な超高真空と強力中性原子ビームは矛盾する要請であり、定量的検討が必要である。また、励起中性粒子線による効果のみを取り出すことが重要で、信号と雑音を区別する手だてが計画されていないのは不備と思われる。表面の研究は、確立された多くの研究手法があるので、それらとは異なる特徴を出す工夫を要する。
3.研究開発を進めるに当たり、留意すべき点 低エネルギー中性粒子線の生成は技術的に困難が予想され、特に、スキマーによる差動排気はヘリウムに対して機能しないと思われるので、予備実験により具体的なデータを集めて段階的に改良していくことが必要である。レーザーによるスピン偏極などは多くの研究機関ですでに行われているので情報を収集して効率的に研究を進めるべきである。また、励起され偏極されたヘリウム原子に、元の基底状態のヘリウム原子が混入しているので、その区別をする手段を開発する必要がある。
4.その他 他の研究機関との共同研究も計画すべきである。 また、他の方法では研究できないことに主眼を置くことが望ましい。

表−7
原子力基盤技術開発
事前評価用総合所見フォーマット
研究開発課題名 GC−AMS:加速器による生体中、環境中微量成分の超高感度追跡手法の開発(平成9年度〜平成13年度)
項  目 要  約
1.目 標 高感度微量元素分析法である加速器質量分析法(AMS)と高性能分離のガスクロ(GC)を組み合わせて、生体中や環境中の14C、10Be、129Iなどを測定しようとするもので、環境科学、ライフサイエンスへの寄与が大いに期待される。
2.事前評価 AMS及びGCは個別には確立した技術であるので、その点の困難はないと思われるが、両者のインターフェイスの部分については、効率向上のために特別の努力が必要と考えられる。
3.研究開発を進めるに当たり、留意すべき点 GCインターフェイスの部分については、技術的検討を広く進めるべきものと考えられる。現計画のスパッター・イオン源以外にガス放電型負イオン源も考慮してみることも必要と考えられる。国内外の専門家との議論を期待する。
4.その他 国内外の研究者、特に若手大学院生が利用できるオープンなシステムの検討も必要。