資料第139−1号
第138回核融合会議 議事要旨(案)
1.日 時: 平成12年11月20日(月) 10:00〜12:45
2.場 所: 永田町合同庁舎 第3会議室(3階)
3.出席者:
【原子力委員会】藤家委員長代理、木元委員
【専門委員】井上座長、 阿部委員、石野委員、伊藤委員、中澤委員、岸本委員、
玉野委員、苫米地委員、中井委員、藤原委員、 宮委員、本島委員、吉川委員
【事務局】小中審議官、中村核融合開発室長(科技庁)
【文部省】清木学術国際局研究機関課長
4.議題:
1.ITER計画について
2.その他
5.配布資料:
資料第138−1号
第137回核融合会議議事要旨(案)
資料第138−2号
平成12年11月6日開催ITER計画懇談会における座長設問に対する対処案
資料第138−3号
第38回IAEA/国際核融合研究評議会会合結果
資料第138−4号
第18回IAEA核融合エネルギー会議の結果について
6.議事概要:
(1)
第137回核融合会議議事要旨(案)について、下記の通り質疑・意見があった。
前回の核融合会議ではJT-60の議論が集中的に行われ、検討委員会を設置して改修計画の検討を続けることとしたが状況は如何か、またJT-60改修の概算要求が出ているという話だが概要はどのようなものかという質問があった。これに対し事務局から、検討委員会はまだ設置していないが、計画の推進については前回核融合会議で合意されたことから、原研より設計費、超伝導線材料の調達、及びサイリスタ電源の一部改修について概算要求が出された旨回答がなされた。
検討委員会での検討なしでの概算要求は核融合会議を尊重していないこと、核融合会議において中身を詰めて概算要求をすべきであるとの意見が出された。これに対し、座長より改修計画は進めることで核融合会議では合意されている。詳細については出来るだけ早く委員会を作り、検討に入れるよう努めたいとの回答があった。また、概算要求の議論を核融合会議で行うことは適切ではないという意見があった。
JT-60の概算要求については日本原子力研究所が行い、原子力委員会で議論するという手続きは座長の言うとおりだと思うが、核融合会議で引き続き検討を詰めると言いながら、その議論をせずに概算要求が行われたということは、ここでの議論が言いっ放なしに終わっており、核融合会議には不信感があるとの意見があった。
事務局より、検討委員会のメンバーについては学術審議会事務局に候補者のリストを渡し、検討をお願いしているが、科技庁が概算要求を撤回しないうちは委員会の立ち上げに同意しないとしているために委員会が発足が出来ない状態であるとの説明があった。
検討委員会ではTRIAMとの役割分担をきっちりやって欲しいという意見があり、座長から、議事録にも載っている通り役割分担については今後検討を行う旨回答があった。
この議事録からは何を決めたのか不明確であるので、簡潔な表現でコンセンサスを取るようにして欲しい、検討委員会を設けるなら早く設けて動かして欲しいという意見が出された。座長から議事録については今後注意すると共に、早急に委員会を立ち上げるという回答がなされた。
以上の議論の上、本議事録を承認することとした。
(2)
ITER計画について
資料第138-2に基づき座長より説明があった。質疑応答は以下の通り。
ITER計画懇談会で出されたチャージを核融合会議で審議することは適当なのかとの質問が出され、座長より、行政に反映させるためには学会等ではなく、ITER計画懇談会と同じ原子力委員会の下にある核融合会議で回答することは妥当との回答がなされた。
ITER計画については、この2年間に賛成反対のいろいろな意見が出はじめ、核融合会議は必ずしもコミュニティを代表するものではなくなっている、また、核融合会議という皆が知らないところでおかしなことを決めているという印象があるとの意見が出された。
藤家原子力委員長代理より、原子力委員会は首相直属の機関として省庁にまたがる問題の調整を行うことが使命である。早い段階では専門家を中心とする議論を行っているが、プロジェクトが一つの方向を目指すような段階では、専門家の合意だけでは進めることは出来ない。ある段階においては第三者機関である懇談会を設置し社会的観点を含めた議論を行うことになっており、そこでは専門家の合意があってスタートしているのは当然のこと。核融合研究開発は政策的な観点及び世界の流れから言っても非常に重要なことと認識し、そろそろ立場を明確にすべき時期に来ている。核融合研究は基礎、基盤、プロジェクトの3つが重要であり、基礎は大学、プロジェクトはシステムインテグレーションを行い得る機関が担当、基盤はお互いの協力が重要で、省庁統合で良い方向に向かうと思うので、是非とも話をまとめて頂きたいとの意見があった。
座長より、核融合界がITERを推進していくことは第三段階の議論を振り返ってみても明白なことであり、核融合会議では再確認をするだけである。むしろヘリカルITERと人材の話が新たにこの2年間で沸き上がってきたことであり、核融合会議として対処しなければならないことであるとの意見が出された。
前回のITER計画懇談会の中ではITERを仮に進めるならばオール・ジャパンで大学も協力・参加する体制を作る必要があり、コミュニティが合意できていないようでは十分ではないという指摘もあった。はたして2年前にもコミュニティの合意が出来ていたのかそれさえも疑問である。コミュニティの合意といっても、学会その他多数関係者がいるわけで、そもそもあまり知らないという方がいるかもしれないし、そのような方々との議論を抜きにして、ITER計画懇談会からの宿題があったからといって、核融合会議で結論を出すというやり方はあまりにも拙速ではないかとの指摘もあるというコメントが出された。
ITER建設が究極目的ではなく、核融合エネルギー開発が究極の目的のはずである。大学での研究と実験炉の共存が重要であり、財政的、人材的見通しが大事であるのでもっと議論が必要であり、またITER計画懇談会の議論の整理のメモにもはっきり書かれるべきである。そうでなければITERは将来のエネルギー開発につながらないという意見が述べられた。
ITER計画そのものを進めることと、日本誘致とは別の話である。ITERの日本誘致については、財源の問題を含めた、大学の研究者による協力体制を含めて、ITERの日本誘致の是非を検討すべきではないかという意見があった。
座長より、日本誘致の意義は核融合コミュニティ共通のコンセンサスになっており、ITER計画は学術的に意義があるという結論になっているという回答がなされた。また学会等においてもことあるごとにITER計画については説明をしており、日本学術会議物理学研究連絡委員会でもITERの推進の意義は認めている。これに対し多くの先生の話ではITERの日本誘致に合意しているとは思えないと理解している、またあるシンポジウムでは批判的な意見の方も多く、ITER誘致が一枚岩であるはずがないという意見があった。
全体一致でないと進まないと言うのでは進歩がない。何年もかけて議論を積み重ねて第三段階基本計画では実験炉はITERであると決めた。現在高いレベルでの共通認識があり、元に戻って議論する必要はないという意見があった。
ごく一部の人だけが反対しているという主旨であれば、文部省の立場として必ずしもそうではないと思う。反対なのか、賛成なのかはっきりと分かれるというものではないが、良く分からないので日本誘致を賛成しかねるという立場の人が多くいると思われる。ITER計画懇談会では日本誘致を判断する重大な局面なので、過去の議論の積み重ねは大事だが、オール・ジャパン体制ができない状況下、関係者の十分な理解がないままでは、日本誘致を決めてしまって、いざ進めようとしたらばらばらだったということでは困るし、国際的にも責任を負うわけであるから困るのであって、そのような議論を排除すべきではないとの意見が出された。
ITER計画懇談会からの質問への対応について、開発戦略検討分科会で議論された様に、ヘリカルを含む総合的研究がITER研究に貢献することを記述し、人材育成についても議論されてきた。大きな方針は開発戦略検討分科会の報告書に基づいて進められるべきであるとの意見があった。
大学等においては、学術的な研究が重要であるが、エネルギー開発の視点からも研究を進めている。第三段階基本計画によると原型炉に進む段階で方式を再度判断する事になっており、もしLHDの実験が進んだ場合、座長私案の書き方ではヘリカル系の原型炉の可能性が見えない印象を与える。第三段階基本計画にフレキシビリティーを取り入れ、20年、30年後の財源の確保を含めた議論を行うことが重要であるとの意見が出された。
実験炉で核燃焼を早急にやるべきであり、遅らせるべきではない、他の方式については、成果が出たところで検討すべきであるとの意見があった。
平成10年11月にも、ITERが第三段階基本計画の実験炉に相当すると改めて核融合会議として確認しているとのコメントがあった。
開発戦略検討分科会の報告書にデメリットが記述されていて、こういうことを除外して単純にITERの誘致の意義が大きいと言うのは、誤解を招くのではないかとの意見があった。
ヘリカル方式について以下のコメントがあった。米国のアイリスの設計からヘリカル系がトカマクより大きくなることはない。ヘリカル系の特徴は、プラズマ電流がなく、電流ディスラプションが無いことである。ITER計画懇談会におけるヘリカルITER発言は、ITER計画の中で大学との研究を考えて欲しいとの意味であると思う。ITER計画における財政的なことが不明であるので、LHDの研究を進めて行くのに不安がある。
座長より、核融合研究開発において総合的アプローチが必要なのはコンセンサスがとれており、ITER計画懇談会の最終報告書に書いてもらうように要請するとの説明があった。また、ヘリカルについての表現については相談しながら検討したいとの回答があった。
ヘリカルについてこんなことを本当にITER計画懇談会に報告するのか、との質問があった。これに対し、ヘリカル系によるエネルギー開発において、現在ではデーターベースが十分でないことは確かだが、ITER懇では、大学の研究は多様な可能性を持っていることを主張したつもりであるとの意見があった。ITERを建設したことで核融合エネルギー開発が終わりではないことと主張したい、10年後にヘリカルでITERのような設計が出来るようになった場合はどうしてくれるのかとの意見が出された。
ITER計画懇談会でのヘリカルITERに関して、以下の意見があった。ITER計画懇談会では、2年間のヘリカルの成果が出てきたからヘリカルITERを検討すべきであるという主張であると受け取った。ITER計画懇談会ではITERの日本誘致について、国としてどうすべきか議論してきた。その視点で報告書をまとめてほしいと言ってきた。方式については、10年前に議論を尽くし、その結果、国際的には現在のトカマク型ITERを進めることとなった。LHDの実験が進んだとしても、国際的にヘリカルを現在のITERのレベルまで立ち上げるのは困難である。ITER計画を進めたとき、大学等の研究が沈下しないように考慮し、ヘリカルの有効性を報告書に記述すればよい。
ITER計画懇談会では予算は別枠で議論しているのかという質問があった。これに対し、そういう認識と理解している、原子力委員会は総理大臣に答申する立場であり、一省庁の大臣に答申するものではない、したがって国としてどう取り組むべきであるかを判断し、議論するべきものであり、省庁からは離れた立場で答申を行うものであるとの意見がなされた。
ITERで最も大切なことは核燃焼プラズマである。ITER計画懇談会への回答については、トカマクが燃焼プラズマを実現する可能性が最も高く、燃焼プラズマを早期に実現することが核融合コミュニティの総意であることは間違いないはずとの意見があった。
ITER建設の前にリスクなども考える必要がある。また財政の面でもプラス・サムでも困る。ITERは全く別枠の予算でなければならない。今の核融合予算にプラスしてITERをやるのでは、いずれ別の研究費が圧迫されるはずであり、大学の研究は全部つぶれてしまう。今の予算はそのままにして、ITERのためだけの予算を別に確保して頂かなくては困る。さらに、誘致を(国際的に)提案する場合には、候補地を考え自治体のみではなく住民の同意を取り付けてからでなければ、後々反対運動が起きた場合困ることになる。
ITER計画懇談会の委員の方が別枠であると言っても、何のクレジットにもならない。財政当局が容認しているのか、またはいつ容認される見通しがあるのかはっきりさせてもらいたいとの意見が出された。
コミュニティの意見を聞く場合に財政のことは重要な要素であるのではないか。それが良く分からないまま意見を聞かれても答えられないのではないかとの指摘がなされた。
ITER計画懇談会は核融合研究開発を国として進めるかどうかについての審議であり、核融合会議としては、第三段階基本計画にそって核融合研究を進めていくことを明確にするだけで良い。今我々に問われていることは、孫の代、ひ孫の代まで日本として核融合研究をサポートするかどうかであり、そのための行政の判断に資すればよいとの意見があった。
座長より、まとめとして核融合会議としては従来通り日本誘致の意義を認めているわけなので、そのとおり報告したいとの提案がなされた。
これに対し日本誘致の意義を認めると端的に言うのはおかしい。メリット及びデメリットがあるなかで、核融合会議がITER誘致の意義を認めると、多数の先生方に異論がでるのではないかとの意見があった。これに対し、座長より、開発戦略検討分科会で議論しており、その報告書は核融合会議にて承認されている、ヘリカルの表現については、関係の委員と良く相談したいとの提案があった。
座長より、誘致するかどうかはITER計画懇談会が決めることであり、核融合会議では誘致の意義を認めるだけであり、このことは、開発戦略検討分解会の報告書に書いてあるとの説明がなされた。
今までの議論は第三段階基本計画の枠内の議論であり、新しい議論が出ているわけではないので、第三段階基本基本計画を確認することで良いのではないか、財政について核融合会議があれこれ言うべきことではない。コミュニティとしては広い視野に立って財政的配慮がなされるべきと言えば良いのではないかとの意見があった。
財政的な問題がクリアにならないのであれば、ITER誘致には絶対賛成できないとの意見が出された。
第三段階基本計画の議論の範囲からは全く出ていない。付帯事項をつけるかどうかだけの話である。急ぎすぎという指摘もあるが、開発戦略検討分科会は2年にわたり20数回行われ、核融合会議でもその報告が何回も行われた上での結論である。議論が不足しているというのは理解できないとの意見が出された。
座長より、今後の審議については、改めてまとめたものをお送りするのでそれを検討して頂き、もう一度核融合会議を開いて意見を聞いて、結果をITER計画懇談会に回答するということが提案され、了承された。
それならば核融合コミュニティからの意向はどうなのかということについては回答不能ということであるという意見があった。それに対し原子力委員会で問われたのだからそれ以外の場があるのか、との質問が返された。
それならばこれは原子力委員会の中の問題である。大学を中心とした学会があるが、そのような場の意見は聞かない、原子力委員会の中だけで意見を聞くということなのかとの意見が出された。
それに対し座長より、核融合会議のメンバーは学会との接点を持っている。学会は行政の意思決定する場ではなく、学術の意見を交換する場である。学術会議のシンポジウムなどでも既に議論されている。このメンバーが適切であるとの説明がなされた。
(3)
その他
資料第138-3号に基づき、座長より第38回IAEA/国際核融合研究評議会会合結果について報告された。
資料第138-4号に基づき、玉野委員より第18回IAEA核融合ネルギー会議の結果について報告された。日本人の会議参加予定者のうち無断で欠席したものが多く、問題となっているので、厳正に対応をしてほしい旨要望がなされた。
最後に、以下の質疑・意見があった。
ITERについては予算は別会計にすべきであり、予算のことを議論せずに簡単にことが進むことは核融合コミュニティにとってマイナスが大きい、座長私案については本日の議論を十分踏まえて書いてほしいとの要望が出された。
これに対し座長より、次回は議論を収束させたいが、予算面についてはITER計画についてどの程度言及できるか、核融合会議で出来る範囲を考えて議論したいとの意見がなされた。
ITER計画懇談会で挙げられたオール・ジャパン体制が固まっていないと、仮に日本誘致したとしてもうまく行かないことを十分考えて検討すべきではないか、結局はITER計画懇談会から与えられた課題であるコミュニティがどうなのかということについて、核融合会議が回答するのはやはり無理があるのではないか。その点も含め、ITER計画懇談会に返してもらわないと、ITER計画懇談会としてはこれがコミュニティの意見だと誤解をしかねない。その点は留意して頂きたいとの意見が出された。
座長より、今の意見は次回の会議を行うこと自体に問題があるということだが、問題があるというのはどういうことか、コミュニティを代表する他の方法としては、どこかで大衆協議をやるのか、政府の別の機関から委託された委員会を新たに発足させるという意見なのかとの質問があった。
それに対し、仮に何らかの報告をITER計画懇談会にするのならば、その限界を明らかにした上で、回答されるべきであるという意見があった。
座長より、それならば前回の議事録にもあるように少数意見はあるもののという書き方ができる。それが少数意見であるかどうかは次回判断する必要があるが、核融合会議の委員全員から意見を聞いて座長判断をする手続きもあるとの意見があった。
以上