(参考)

 

 

本報告書で使用している用語の解説

 

 


CO2レーザー
代表的な赤外ガスレーザー。10.6μm付近の光を出す。大きなビーム出力が高いビーム品質で得られることが特長。

KrFレーザー
エキシマレーザーの一種。効率が高い、繰り返し動作が容易、紫外線で波長幅が広いなどの特長がある。核融合用では通産省電子総合技術研究所のSuper-ASHURAが代表的。

LiPb
リチウム鉛。液体金属の方式の冷却材料及びトリチウム増殖材の候補。通常はLi17Pb83 鉛は中性子増倍材の役割も果たす。

NIF
米国国立点火実験施設,National Ignition Facilityの略。米国ローレンスリバモア国立研究所で建設中のメガジュール級の超大型レーザー装置。フランスで建設中の「LMJ:レーザーメガジュール」も同様の装置である。

Qスイッチ発振
高いピークパワーの短パルスを得る方法の一つ。共振器のQ値(共振器内に蓄えられた光エネルギー/単位時間あたりの共振器の損失)を低い状態から高い状態にすると、レーザー発振が急速に立ち上がり蓄えられていたエネルギーは巨大なピーク出力を持つレーザーパルスとして放出される。

Tキューブレーザー
Table-Top-TW レーザー。非常に短い時間内に高い強度のレーザー光を繰り返し発生できるコンパクトなレーザー装置。X線レーザーやレーザー加速技術開発等に不可欠な光源として大きな期待が寄せられている。

Wall-plug-efficiency
電気入力に対するレーザービーム出力や粒子ビーム出力の割合。

Zピンチ
ワイヤーアレイやガス中に大電流を流したとき、生成された高温プラズマが磁気圧により高密度に圧縮される現象。このときプラズマから強力なX線が爆発的に放射される。

モードロック
光媒質中の複数の縦共振モードの位相を同期させて短パルスを発生させることをモードロックという。

エキシマレーザー
希ガスを励起させ、励起状態でのみ存在する分子(エキシマ:ArF、KrF、XeClなど)のエネルギー遷移を利用したレーザー。反転分布が容易に形成されやすく、高効率・大出力が可能である。

エマルション法
水溶液とプラスチックを溶かした有機溶液とのエマルションを加熱して、有機溶液を蒸発させ、球殻状のプラスチックシェルを製作する方法。

オメガレーザー
米国ロチェスター大学レーザーエネルギー研究所のガラスレーザー装置。現在の「オメガアップグレード」は、60ビーム、30キロジュールと現在稼働中の世界最大のレーザー装置。

ガラスレーザー
固体レーザーの一つ。増幅媒質としてネオジム(Nd)等の希土類をドープしたガラスを用いる。

クライオターゲット
プラスチックペレット、又は低密度のプラスチックフォームの球殻に重水素、トリチウムを充填し、極低温に冷却して固化して球殻状にした燃料ペレット

スタグネーション
アブレーション圧力により押しつぶされた球殻状の燃料層が、ターゲット中心に集中、停留、圧縮される過程。

チャープパルス増幅法
短パルスをスペクトル分解して、長パルス化することで、増幅の過程でレーザー光のピークパワーを小さくし、増幅後にパルス幅を狭め、ピークパワーを大きくする方法。

デブリ
レーザーの分野では、一般にターゲットを照射した時に生ずる飛散物の総称を指すが、この報告書中では、衛星などの小破片などからなる宇宙のゴミを指す。衛星軌道上に広く分布する。

パラメトリック不安定性
強いレーザーとプラズマとの非線形相互作用によって起こるミクロスコピックなプラズマの不安定性。誘導ラマン散乱や電子プラズマ波とイオン音波を同時に発生するパラメトリック崩壊型不安定性等がある。

パルスパワー核融合
大容量コンデンサーの電気エネルギーを短時間(ns〜μs)に負荷に集中し、高エネルギー状態を生成する。米国サンディア国立研究所にて、20MJのX線の発生が得られている。

ランダム位相板
レーザービームを小さな多数のビーム素に分割し、それぞれのにランダムな位相を与える光学素子。直接照射方式のレーザー核融合において、照射の一様性を向上させるために用いられる。

レーザーアブレーション圧力
レーザーをターゲット表面に照射することにより、ターゲット表面が急速に剥離し、プラズマ化して外側へ吹き出す。その反作用によりペレット表面に発生する圧力のこと。

レーザー加速
強いレーザー電界又はレーザーで励起されるプラズマ電界を利用した粒子加速方法。小型の高エネルギー加速器の実現が期待されている。

レーザー同位体分離
原子や分子の同位体吸収スペクトルの差を利用し、高純度スペクトルレーザーにより同位体を選択励起し、分離・精製すること。特にウランの同位体分離は経済性の高さから実用化を目指し技術開発が進められている。

レーザー爆縮
高強度のレーザーやX線を、中空の核融合燃料ペレットに照射し、発生する超高圧(レーザーアブレーション圧力)によって、瞬間に押しつぶすこと。これにより、固体密度の1000倍以上の超高密度プラズマの発生が可能となる。

レーリーテーラー不安定性
重量不安定性の一つ。高温燃料と低温プッシャーとの乱流混合を引き起こし、核融合出力を低下させる現象

核融合ペレット利得
入射エネルギーに対して核融合反応で発生したエネルギーの比。核融合利得と同じ

気相重合法
モノマー蒸気を加熱して気相中で重合反応、ポリマー化し、プラスチック薄膜を形成する方法。

高利得等価プラズマ
高利得を実現するには、点火温度の高温プラズマ(ホットスパーク)と低温高密度のプラズマを含む二相状態を作る必要がある。これと同じ構造を持ち、温度・密度が同じの小規模プラズマのこと。

光陽
平成6年に炉工学専門家およびエネルギー関連企業の協力を得て設計作業が進められたレーザー核融合動力炉。この概念設計作業により、各構成要素の開発目標、技術的・物理的課題が明らかになった。

相対論的レーザープラズマ
超高強度レーザーを集光照射したとき、レーザー電界中で振動する電子の速度は光速に近づき、プラズマの挙動は相対論的になる。

磁化標的核融合
強磁界を印加したプラズマを爆縮して、超高磁界・高密度のプラズマを発生させ、核融合を起こす方法。

重イオンビーム核融合
高出力の重イオンビーム(鉛等)の加速器を用いて、高強度X線を発生させ、それによって核融合燃料ペレットを爆縮し、核融合エネルギーを取り出す慣性核融合の一つの方式。

統合爆縮シミュレーションコード
爆縮に関するX線放射や原子過程、レーザー吸収、電子によるエネルギー輸送や状態方程式などの物理を総合して爆縮過程を統一的に記述する流体シミュレーションコード

半導体レーザー励起固体レーザー
レーザーダイオードで固体レーザー材料(Nd:YAGなど)の強い吸収線のみを光励起し、反転分布を生じさせ、レーザー光を発生させるレーザー。特定の吸収線のみを励起するので、固体励起レーザーへの熱負担が少なく、高繰り返し動作が可能である。

溶融塩
イオン結合している材料が溶融している状態。金属と違って自由電子がないために磁場中を流れるときのMHD効果が小さいと考えられ、トリチウム増殖における液体増殖材として検討されている。