資料第133-2号

ITERに関するプログラム・ディレクター会合の結果について

平成11年8月 
核融合開発室 

1.日時平成11年7月28日~29日

2.場所ラウエ・ランジェバン研究所(仏グルノープル)

3.出席者
(日本)吉川 允二 日本原子力研究所顧問※(PD)
中澤 佐市科学技術庁長官官房審議官
中村 雅人  〃  核融合開発室長
岸本 浩日本原子力研究所理事
常松 俊秀  〃  ITER開発室次長
高津 英幸  〃  ITER業務推進室調査役
(欧州)U.フィンチ欧州委員会第12総局核融合部長(PD)
E.カノビオ    〃     顧問
R.トスキNETチーム・リーダー
K.ピンカウ前マックス・プランクプラズマ物理研究所所長
(ロシア)E.ベリコフロシア研究センター長※※(PD)
L.ゴルブチコフ原子力省原子力科学技術局核融合部長
V.ブラセンコフITER理事会秘書
(米国)A.デービスエネルギー省科学局核融合エネルギー科学部長(PD)
M.ロバーツ   〃     施設・技術推進課長
(ITER)R.エマールITER共同中央チーム所長
下村 安夫ITER共同中央チーム副所長
M.ドゥルーITER共同中央チーム所長室室員
          (注)※:共同議長、※※:議長

4.結果概要

(1)各極の状況について

 EUより、第5次フレームワーク・プログラム(FP5)により、1999~2002年の期間において788百万ユーロを核融合分野に当てることが承認され、ITER及びJETの2000年以降の運転を含む、欧州核融合開発協定の署名手続きが完了したことが報告された。
 米国より、米国核融合プログラムのレビューが進められていること、米国研究者にはプラズマ燃焼実験を望む声が強く、またITER計画が建設に向けて進むならば米国はITER計画に再参加すべきであるという声が強いことが報告された。
ITER共同中央チームより、サン・ディエゴ共同活動サイトのスタッフの異動が完了したことが報告された。

(2)工学設計活動(EDA)について
①共同中央チームとホームチームにより構成されるタスクフォースによりITERのコスト低減化設計案の絞り込みが進んでおり、今年末までに単一の設計案をとりまとめ、来年1月のITER理事会に概要設計が報告されることとなった。なお、今後もタスクフォースによる検討が続けられ、9月末までに設計パラメータが固められる予定である。
②各極における検討に資するため、共同中央チーム所長が、ITERのサイト要件及び基本的安全性の考え方についてコスト低減化に伴う見直しを行い、概要設計と合わせて報告することとなった。
③米国がITER計画から撤退したことに遺憾の意を表明するとともに、米国が残された研究開発を完了することを確認した。製作されたテスト用機器・試験設備(中心ソレノイドモデルコイル等)については、各極が必要ないと判断するまでの間、対応する極が適切に管理することが確認された。なお、中心ソレノイドモデルコイル試験設備を用いた超電導導体試験の一部についてはEDA延長期間中にテストが完了しない可能性が指摘され、共同中央チーム所長より、各極は延長期間後も試験が完了できるよう最善の努力を払うことを期待する旨発言があった。
④EDA協定の延長に係る法的手続きの速やかな完了について期待が表明された。

(3)その他
①EUより、「ITER」という名称には当初のEDA活動が目指していたITER(Q=∞、建設費1兆円)の印象が強く、これとコスト低減化ITERと区別するために、ITER計画の名称はそのまま保ちつつ、その装置に適切な名称(ITER-XXX)を付けたい旨発言があり、「FEAT(Fusion Energy Amplifier Tokamak)」、「FIT(Fusion International Torus)」、「PAX(Power Amplifiere Xperiment)」の3案が提案された。装置の名称については、次回の特別作業部会(SWG-P2)会合で検討することとなった。
②次回SWG-P2において、非公式政府間協議の内容について意見交換を行うこととなった。また、ロシアより、非公式政府間協議の開始に向けて、11月末までにイニシアティブを取る旨提案があった。
③ITER物理専門家グループの活動に関しては、引き続き共同中央チーム所長が計画・運営することが合意された。なお、米国より、トカマク物理に関する情報交換を何らかの方法で米国の研究者も行いたい旨意向が表明された。

(4)今後の予定
第3回SWG    10月2、4~6日セント・ペテルスプルグ
第4回SWG    12月6~9日ウィーン
第15回ITER理事会 来年1月19~20日日本