資料第132―1号

第131回核融合会議議事要旨(案)

1.日時平成10年11月25日(水)14:30-17:00

2.場所科学技術庁第1,2会議室

3.出席者
(原子力委員会委員)
藤家委員
(専門委員)
井上座長、阿部委員、飯吉委員、石野委員、伊藤委員、岸本委員、佐々木委員、関口委員、玉野委員、苫米地委員、中井委員、藤原委員、宮委員、宮本委員、森委員、吉川委員(16名)
(事務局)
今村長官官房審議官(原子力局担当)、中村核融合開発室長

4.議題
(1)ITERに関する今後の進め方について
(2)その他

5.配付資料
資料第131-1号 第130回核融合会議議事要旨(案)
資料第131-2号 国際熱核融合実験炉(ITER)の推進について(座長私案)

参考資料1 具体的な検討項目について
参考資料2 ITER建設に向けたこれまでの国際的な議論について
参考資料3 メガサイエンスプロジェクトにおける運営について

6.概要
1)井上座長より、ITERに関する今後の進め方について3回目の審議として、3つの検討項目のうち、「ITER実現のための課題」の継続審議と、これまでの審議のとりまとめについての検討を行う旨の説明がなされた。

2)前回に引き続き、検討項目3.ITER実現のための課題について審議が行なわれ、以下のような質疑応答等があった。

 ○EDA活動6年間の反省として、ITER計画の途中におきた軌道修正について、充分なリーダシップが得られなかったという点があるため、建設へ向けて、経営者側でのリーダシップが図られるよう運営面での配慮が必要である。
 ○過去6年間の活動に、ある時点でブレーキがかかったことを踏まえ、リスクの回避のあり方を議論して今後の見通しを得るべきである。

 ○日本が主体性を持って取り組むことが重要。基本計画の3つの柱である実験炉、炉工学技術の開発及びAlternativeのバランスを図りつつ、AllJapanで取り組む体制を構築し、魅力のあるものにしていく必要がある。
 ○単純な3年延長は、この先核融合全体への信頼や興味が失われる懸念がある。4極から3極になり、枠組みが大きく変化し、今後の展開が予想できない状況にあるため、建設を前提とした検討を進めるべきであり、サイトを決めてサイト対応設計をやらないと実質的には進まないと思う。
 ○RCOの設計を行い、その後にAlternativeや炉工学がどうなるかを検討する方がよい。核融合はエネルギー開発であるという観点から、我が国における実験炉開発を念頭におきつつ、全体的戦略を考えて行くべき。
 ○米国は宇宙、EUはCERNでリーダシップをとってきたことに鑑み、科学技術立国を自負し、技術レベル、国際的スタンス等の条件が整っている日本が核融合を主導するのがベストと考える。建設は日本が行い、実験運転を国際協力で行うような度量が必要であり、早く建設をスタートして進めることが重要。
 ○日本の主体性、気概の持ち方など色々あると思うが、あくまでも国際協力の中でこのプロジェクトを遂行することが、従前からの基本的考え方であると思う。
 ○基本計画ができたとき、自前で実験炉を作り、また、原型炉まで作ることとなっていたと認識している。日本で作る前提に立ち、そのための実験炉のあり方、建設の枠組について検討すべき。
 ○ITERの建設への見通しを得ていくためには、コスト分担、協力の法的枠組、建設・運営主体のあり方が、きちんと詰めておくべきミニマムの条件であり、それらの課題については、今後継続して議論すべきであるとの発言があった。

3)事務局より、国際熱核融合実験炉(ITER)の推進について、座長私案の説明があり、これに関して主に以下のような質疑応答等があった。

(全体について)
 ○p3下2行、「その後の建設に向けて明らかにすべき条件について、適宜的確に検討を行っていくこととする」は、条件が明確になっていないのではないかとの意見があり、座長私案の記述内容及び今後の進捗を踏まえながら適切に対応していくこととなった。

(第1章「基本計画」を見直す必要性について)
 ○米国の開発路線の内容を公式な文書で確認できていない状況で、これを合理性を欠くというのは表現が強いことから、「また、トカマク方式について米国が提示している目標を分割した複数装置による開発路線は、より多くのコストと長い時間を要するものであり、合理性を欠くと判断されること等」の表現を削除してはどうかとの意見があった。
 ○(これに対して)米国の提案もひとつの考え方であることから、「合理性を欠く」の代りに「現状では我々を説得するに十分な理由がない」という表現にしてはどうかとの意見があった。
 ○また、米国の開発路線が内容を公式な文書で確認できていないこと、及び政策の変更が、米国固有の事情による表現のみで充分なことから、「トカマク方式への集中の是正」を削除してはどうかとの意見があった。
 ○本件については、文書による事実関係の確認を行い、座長預かりとして再度各委員に御意見を頂き、調整することとした。
 ○基本計画の開発スケジュールの見直しの必要があるのではないかとの意見が出されたが、見込みとして表現していることから、現状のままとした。

(第3章「今後のITER工学設計活動に対する米国撤退の影響」について)

 ○トリチウム技術に関する記述は、前回の発言と主旨が異なり、米国の技術がないと困るという表現になっているため、削除してはどうかとの意見があった。
 ○米国がトリチウムペレットの技術を他国に比べ保有していることに鑑みると、トリチウム技術について米国撤退の影響を論じている観点からは懸念があり、何らかの配慮が必要と考える。
 ○我が国は、ITER以外のフレームでITERに近いレベルまでトリチウム技術の経験を積んで来ていること、ITERでは、米国に依存せずとも技術的に問題がないことから、米国が撤退しても特段の懸念はないと考えている。
 ○ここは米国撤退の影響を論じている部分でもあり、米国が抜けた影響について、ある程度配慮した表現が必要だと思う。
 ○以上の議論を踏まえ、「トリチウム工学技術への十分な配慮を前提に」を全て削除し、さらに、「蓄積の乏しい」を削除することとした。
 ○米国撤退の影響を論じた部分であることから、「諸外国との技術協力」を「米国を含めた諸外国との技術協力」と明確にすることとした。
 ○(これに対して)米国が核融合の研究開発から撤退した訳ではなく、今後も物理R&Dの分野では継続参加する可能性があることから、座長預かりとした。
(第4章「ITER計画に対する我が国の取組み」について)

 ○第1パラグラフでは、具体的な条件を書く必要がある。また、第2パラグラフでは、整合性のとれた基本計画を主体的にやっていく姿勢や、その推進体制としてAllJapanで行うこと等を述べるべきである。
 ○メインとなる第1パラグラフに説得性を出すため、4極によるEDA6年間の成果を示し、ITERの建設に踏み出すということを述べるべきである。
 ○第1パラグラフは、3極でやってもなおこの道筋が有効な手段であることを確認したものであることから、これをより強調すべきである。
 ○ITERすなわち実験炉は、基本計画の基盤の上に立っていることから、すでに表現されている炉工学に加え、トカマク以外のプラズマ閉じ込め方式の研究についても記述すべきである。
 ○第2と第4パラグラフは関連した内容であることから、第2パラグラフの後に第4パラグラフを移した方がよいとの意見が出されたが、第4パラグラフは原型炉を見通したものであり、性格が異なるので、このままとすることとした。
 ○炉工学技術については、第5章「原型炉技術の推進」としてはどうかとの意見があった。
 ○第4パラグラフにおいて、低放射化材料の開発に中性子源開発に関連した記述が必要ではないかとの意見があった。
 ○座長より、ITERに関する今後の進め方については、議論が収束したことから再度審議を行う必要はなく、座長と事務局が本日の意見を反映し、修文した上で各委員にFAXで送付し、調整を図り、その結果を座長が原子力委員会に報告することとなった。

以上