資料第129−1号

第128回核融合会議 議事要旨(案)

 

1.日 時  平成10年6月12日(金) 14:00〜17:00

2.場 所  科学技術庁第1、2会議室

3.出席者
 (原子力委員)
   藤家委員長代理、遠藤委員
 (専門委員)
   井上座長、阿部委員、飯吉委員、石野委員、伊藤委員、岸本委員、
   関口委員、玉野委員、苫米地委員、中井委員、藤原委員、宮委員、
   宮崎委員、森委員、吉川委員(15名)
 (事務局)
   塩崎核融合開発室長補佐

4.議 題
 (1)サイト特性について
 (2)核融合開発に向けた戦略検討について
 (3)増殖ブランケットの研究開発について
 (4)中期的展望に立った核融合炉第一壁構造材料の開発の進め方について
 (5)ITERのコスト低減に係る検討について
 (6)国立機関原子力試験研究(核融合分野)の研究評価について
 (7)その他

5.配布資料

   資料第128-1号  第127回核融合会議議事要旨(案)
   資料第128-2号  サイト特性(案)について
   資料第128-3号  核融合戦略検討分科会の設置について(案)
   資料第128-4号  増殖ブランケットの研究開発の進め方
   資料第128-5号  中期的展望に立った核融合炉第一壁構造材料の開発の進め方について
   資料第128-6号  ITER特別作業グループ(SWG)の報告
   資料第128-7号  平成11年度の国立機関原子力試験研究(核融合分野)の研究評価結果について
   参考資料:   ITER最終設計報告書の評価について
   参考資料:   「原子力に関する情報公開及び政策決定過程への国民参加の促進について」
             (平成8年9月 原子力委員会決定)

6.概 要

 1)会議の冒頭、井上座長より柴田核融合開発室長の急逝に対して弔辞が述べられた。

 2)事務局より前回会議の議事要旨の確認があり、了承された。また、前回森委 員より指摘されたトリチウムの輸送の基準や規制の問題については、現在の非サイト依存設計の範疇でないので、最終設計報告書(FDR)の評価には該当しない旨が報告された。

 3)常松日本原子力研究所HTグループリーダーより、ITERのサイト特性に ついて報告があり、以下のような質疑応答等があった。

 ○日本で作った場合、標準設計条件に比べて大雑把に言ってどのくらい足が出るのか。

 ○耐震性については、標準設計条件においても、ある程度強い地震を想定しているので、プラスになるとしても免震のゴム代程度であり、それ程高くつかないと思う。電力は、当該施設の系統の容量など場所により状況は異なる。

 ○最大有効電力については、1キロワットあたり2〜3万円かかるので、全体で億単位での差になると思われる。

 ○耐震については、核分裂と比較して、トリチウム燃料など内蔵される放射性物質の違いも考慮されている。

 ○以上の議論により、本件は妥当なものと判断して、本資料に沿った内容で検討を進めることとしたい。

 4)事務局より、核融合戦略検討分科会の設置について説明があり、了承された。
また、文部省より本分科会に適宜連携して協力していく旨の発言があった。

 5)宮計画推進小委員会主査より、増殖ブランケットの研究開発の進め方について説明があるとともに、事務局より、原子力委員会の規定により本報告書が原子力政策の決定に係るものであることから国民の意見募集をする必要性があるのではないかとの照会があった。これに対する質疑応答等は以下のとおり。

 ○公開手続きについて質問があるとともに、核融合コミュニティーに出来るだけオープンにすべきとの意見があり、インターネット等に掲示するとともに学会誌等に載せれば良いのではないかとの意見が出された。

 ○5ページの液体増殖ブランケットの記述のうち、溶融塩方式については、課題についてもふれた記述にする方が適切だと思う。また、全体を通じて、低放射化フェライト鋼とF82Hが同義で使用されているようなので、等を挿入するなど工夫すべきである。

 ○これに関して、文言に対しては、フレキシビリティーを残しておくべきとの意見があった。

 ○ 本報告書は、日本が固体増殖ブランケットを柱に開発を進める内容が書いてあると理解するが如何かとの質問があり、これまでの実績、研究開発能力について考えると、当面は固体増殖ブランケットが主流であり、将来については、その研究開発の進捗により液体増殖ブランケットが主流になる可能性を排除しないという包括的な表現になっているとの回答があった。

 ○ ITERのモジュール試験を念頭に入れると、固体増殖ブランケットを主流に開発を進めることは妥当だと考えられるが、IFMIFへの適用や慣性核融合等を考えると液体増殖方式の記述も考慮すべき点があると思う。また、絶縁皮膜以外のMHD圧力損失低減法の開発の見通し等も盛り込んで欲しい。

 ○ DEMOへの開発を見通した国内の開発についてはどのように考えているのか。液体方式をどのように取り込んでいくのかが分かりにくい。

 ○ 固体・液体方式の選択については、チェックアンドレビューを適切な時期に行う。現時点で液体方式を排除するものではない。

 ○ ITERの枠組みにおいては現在TBWGにおいて議論を行っているところであり、研究開発については各極がDEMOに向けてドメスティックに行っている。将来ITERでは、空間的・時間的制約があるため国際的にも出来るだけ協力してやっていくことになると思うので、情報交換をしっかりやっていくことが重要だと思う。

 ○ 日本において、中心的な研究開発を実施するのは日本原子力研究所以外にはないと思う。大学では基礎研究をやっているが、日本において主たる研究開発が実施できる状況にはない。しかしながら、核融合会議は、オールジャパンの活動を調整しているというスタンスであることを踏まえ、大学において幅広く様々な方式について精力的にやっていることをもう少し記述した方がいいと思う。

 ○ 本日の意見を踏まえ、再度計画推進小委員会で議論してもらうこととするが、本報告書は国民の意見を伺うこととする。

 6) 宮計画推進小委員会主査より、中期的展望に立った核融合炉第一壁構造材料の開発の進め方について説明があるとともに、事務局よりブランケットの報告書と同様に国民の意見募集をする必要性があるのではないかとの照会があった。これに対する質疑応答等は以下のとおり。

 ○ ITERのスケジュールでは、ブランケット材料の照射試験が行われるのは運転期間の後半であると認識している。ITERは照射損傷試験のフルエンスが十分ではないものの、低フルエンスでのコンポーネント試験の実施は可能であり、その価値は評価される旨をもっと書いてもいいと思う。

 ○ 報告書の中にある30年という期間設定は、長すぎるように感じる。逆にみると、構造材料開発にブレーキをかけることになるのではないか。開発期間については、国が開発するのか、あるいは民間主導で開発を行うのかによっても異なるし、断片的に記述されているところや、バウンダリとして固まっていないところもあり、アンバランスな記述だと思う。

 ○ 核融合材料は照射試験に時間がかかるため、最適な材料組成を検討するためのモディフィケーションを考慮すると、20〜30年程度の期間を要する。

 ○ 強力な中性子源の建設、ITERでの活用方策、照射試験を実施する必要がある等開発期間の短縮に関連して必要なことを記述すべきである。

 ○ ここでは、計画の進め方を議論しているのであり、研究資源、研究者は限られていることを念頭に置いた記述となるべきである。

 ○ 材料開発を進める上での中核機関に関する議論があり、現在の原型炉に向けて構造材料の第一候補はフェライト鋼であり、それらを試験する際に、実寸大の低フルエンスでのコンポーネント試験はITERで、小さい試験片での高フルエンスまでの材料試験はIFMIFで試験することが想定されている。また、これらITER、IFMIFを中心的に検討しているのが日本原子力研究所であることもあわせて考慮すると、現時点においては原研を材料開発の中核機関として担うことがふさわしいと考えられる。

 ○ 材料開発は原型炉以降を想定して進めるものであり、ITERとの関連が強いことにより、日本原子力研究所が中核機関となるという議論はどうかと思う。IFMIF等の照射施設については、全日本で参加することが重要であり、大学の寄与を考えることは重要。

 ○ 本報告書は、第三段階核融合研究開発基本計画に限ったものなのか、あるいはDEMOの話が入っているのかが分かりにくい。中核機関がネットワークを構築する旨の記述があるが、現在核融合科学研究所で整備されているネットワークとの整合性が明確でない。この点をはっきりさせた記述にすべきだと思う。

 ○ 実験炉の開発をナショナルプロジェクトとして日本原子力研究所が行っていることを鑑みれば、材料だけ別機関というのはおかしい。報告書の中で適切に配慮すればいいのではないか。中核機関が責任を持って進めていかないと、先に進まないのではないか。

 ○ 未来永劫日本原子力研究所が中核機関となるようでは困る。オールジャパンで支える時は注意、配慮が必要である。

 ○ 第三段階核融合研究開発基本計画では、実験炉は日本原子力研究所が開発するものの、原型炉に向けた炉工学の基礎の形成に関する開発主体については、特に明記されていない。

 ○ 核融合会議での議論を受けて答申が示されているわけだが、2案併記では答申にならないので、計画推進小委員会で再度議論をすべきだと思う。省庁再編が見えているときでもあり、最適な体制が何であるかを議論して記述してほしい。具体的な機関を今決める必要はないと思う。

 ○ 省庁再編については、3〜5年後かそれ以降であり、一方で材料開発は可及的速やかに取りかかるべき状況にある。また、実体と形式がともなわなければならない。先送りする状況にはないと思う。

 ○ 中核機関の実体については、半年もかからずに議論できると思う。省庁統合も入れて考えるべきだと思う。

 ○ 中核機関という言葉の議論をしていても意味がなく、日本原子力研究所、大学等が相互に協力してあわせてやっていくべきである。現段階では、言葉の問題よりもむしろ体制を作る方が重要だと思う。

 ○ 実験炉の開発、原型炉材料の最有力候補として成熟しているフェライト鋼については、日本原子力研究所が中核機関として進めることは理解できる。しかしながら、バナジウムを始めとした低放射化材料については将来を見据えて長期的に実施するものであり、これらの研究開発の妨げにならないように配慮すべきであり、大学等のアクティビティーについてもちゃんと網羅して欲しい。

 ○ 報告書は出来るだけ定量的に書くべき。第三段階核融合研究開発基本計画の終了段階では、数千トン、数万トンの廃棄物が生じることを考えると、責任主体は日本原子力研究所が妥当というよりお願いするものだと思う。ただし、フェライトの次に来る材料については、研究のための中核機関として大学も責任を持つことも想定される。

 ○ 修正については、本日の議論を踏まえ事務局と宮主査が相談して、次回核融合会議に報告して欲しい。

 7) 岸本委員より、ITER特別作業グループ(SWG)の結果について報告があり、以下のとおり質疑応答等があった。

 ○ 前回会合におけるSWG会合の議論は、レビューではなく検討だと思う。国内では、国内の研究者が納得する形で議論がされていないと思っている。

 ○詳細な検討が行われて設計として出来上がるのが本年12月の予定であり、それまでに国内的にも国際的にも議論がなされると思う。

 8)宮計画推進小委員会主査より、平成11年度の国立機関原子力試験研究(核融合分野)の研究評価結果について報告があった。

 次回会合は、事務局が後日各委員と連絡調整することとなった。

 

(事務局より)

「増殖ブランケットの研究開発の進め方」の今後の審議の進め方に関しては、 議事要旨では再度計画推進小委員会で議論することとなっておりますが、「中期的展望に立った核融合炉第一壁構造材料の開発の進め方」に関しては、事務局と宮主査が相談して、再度核融合会議に報告することになっております。
井上座長、宮計画推進小委員会主査とご相談の結果、両報告書の審議の進め方に関しては、整合性の観点から、ブランケットの報告書に関しても材料の報告書と同様の手続きを経ることといたしたく、ご了解いただきたいと思います。