資料第128−6号
平成10年6月12日
第128回核融合会議
ITER特別作業グループ(SWG)の報告
1.SWGの役割
ITER工学設計活動(EDA)の3年間の延長の後に、ITERの建設を効果的に開始するために、計画目標を守りながら1992年に設定した詳細技術目標と技術裕度を切り下げてコスト低減を図るオプションを検討す る特別作業グループ(SWG)が、第13回ITER理事会(平成10年2月18,19日、サンディエゴ共同設計サイト)において設立された。このSWGは、各極5名を上限とするメンバーから構成され、次の2つのタスクを実施する。
[タスク#1]
現行の計画目標を守りながら、技術目標と技術裕度を切り下げて、低コストの設計オプションを設定するための技術ガイドラインを作成する。(1998年7月まで)
[タスク#2]
タスク#1の技術ガイドラインの根拠となる広い設計概念の情報を与え、核融合エネルギー開発の路線に与えるインパクトを明らかにする。(1998年末まで)
2.SWG委員
ピンカウ(EU)及び岸本(日本)が共同議長を務め、添付資料1に示す各極委員より構成される。
3.これまでの会合開催状況
1)第1回会合
平成10年3月23日(月)〜25日(水)
開催場所:独マックスプランク・プラズマ物理研究所
2)第2回会合
平成10年5月17日(日)〜19日(火)
開催場所:ITER那珂共同設計サイト
4.主要な結論
1)2回の会合では、主にタスク#1の議論が行われ、別表に示す通り、コスト低減のための技術ガイドラインがとりまとめられた。
2)同ガイドラインでは、プラズマ性能、工学性能及び試験に関して、以下の指針を与えている。
a)制御された点火:エネルギー増倍率Qが最低でも10以上とし、Q〜∞の可能性も排除しない。
b)燃焼時間:プラズマの変化が定常状態に達する時間スケールを十分にカバーするものとし、誘導方式によるパルス長を300〜500秒とする。
c)定常運転:非誘導電流駆動方式により、定常運転を目指す。
d)工学性能:超伝導コイル、遠隔保守機器等の、核融合に不可欠な工学技術の実証を行う。
e)炉工学機器の試験:高熱負荷機器等の炉工学機器の試験、及び原型炉用ブランケット・モジュールの試験を行う。中性子負荷は0.5 MW/m2以上、フルエンスは0.3 MWa/m2以上とする。
3)同ガイドラインは、我が国の第3段階核融合研究開発基本計画に沿ったものであり、自己点火条件、長時間燃焼(SWG合意のガイドラインでは定常運転にて確保)等のミッションを満たすものである。
4)所長及び各極から、上記ガイドラインを満たすような設計オプション(建設コスト:現行ITERの50〜60%程度の見込み)の予備的な検討結果が報告された。
5)今後、各極のレビューを経て、本年6月25日に開催予定の臨時ITER理事会に報告、審議された後、技術ガイドラインが確定される予定である。そのガイドラインに基づき、ITER所長がさらに具体的かつ詳細なコスト低減オプションの検討を行うことになる。
(以上)
(添付資料1)
特別作業グループ委員
共同議長: K. Pinkau (EU)
岸本 浩 (日本)
秘書 : C. Flanagan (米国)
極 |
メンバー |
所 属 |
日本
|
岸本 浩 藤原 正巳 松田 慎三郎 常松 俊秀 菊池 満 |
日本原子力研究所理事 核融合科学研究所教授 日本原子力研究所核融合工学部長 日本原子力研究所ITER開発室次長 日本原子力研究所炉心プラズマ第1実験室長 |
EU |
K. Pinkau F. Troyon R. Andreani C. Robinson J. Pamela R. Toschi |
マックスプランク・プラズマ物理研究所所長 ローザンヌ工科大学プラズマ物理研究センター長 ENEAフラスカッティ研究所核融合部長 UKAEAカラム研究所核融合部長 CEAカダラッシュ研究所核融合部長 NETチーム・リーダー |
米国 |
D. Baldwin R. Goldston J. Sheffield C. Baker G. Navratil |
ジェネラル・アトミックス社副社長 プリンストン・プラズマ物理研究所所長 オークリッジ国立研究所エネルギー工学部長 カリフォルニア大学サンディエゴ校教授 コロンビア大学教授 |
ロシア |
O. Filatov V. Korzhavin N. Ivanov G. Shatalov |
エフレモフ研究所科学技術センター長 原子力省原子力研究部次長 クルチャトフ原子力研究所プラズマ物理実験部長 クルチャトフ原子力研究所上席研究員 |