資料第127ー3号

平成10年5月14日

 

     

第1回特別作業グループ(SWG)会合の結果について

1.SWGの設立
 ITER工学設計活動(EDA)の3年間の延長の後に、ITERの建設を効果的に開始するために、計画目標を守りながら1992年に設定した詳細技術目標と技術裕度を切り下げてコスト低減を図るオプションを検討する特別作業グループ(SWG)が、第13回ITER理事会(平成10年2月18、19日、サンディエゴJWS)において設立された。このSWGは、各極5名を上限とするメンバーから構成され、ピンカウ教授(EU)と岸本理事(日本)が共同議長を務める。SWGでは次の2つのタスクを実施する。

 [タスク#1]
 現行の計画目標を守りながら、技術目標と技術裕度を切り下げて、低コストの設計オプションを設定するための技術ガイドラインを作成する。(1998年7月まで)
 [タスク#2]
 タスク#1の技術ガイドラインの根拠となるより広い設計概念の情報を与え、核融合エネルギー開発の路線に与えるインパクトを明らかにする。 (1998年末まで)

2.第1回会合
日時:平成10年3月23日(月)、24日(火)、25日(水)
場所:独マックスプランク・プラズマ物理研究所
出席者:ピンカウ所長(共同議長)、岸本理事(共同議長)、藤原教授、
    松田室長、常松次長、菊池室長、ボールドウイン副社長(米)、
    トロヨン教授(EU)、フィラトフ所長(露)、エマール所長(ITER)、他

 

主な議論:
  1)
プラズマ性能については、長時間燃焼(extended burn)と定常運転の実証を目指し、より改善された運転モードの確立によって制御された自己点火の可能性を探る。  
  2)
工学的性能と工学試験については、核融合炉に必須の技術(超電導磁石や遠隔保守など)の実証、将来の核融合炉要素(熱と粒子の排出系など)の試験、将来の核融合炉に適用可能なトリチウム増殖ブランケット概念の試験などが挙げられ、モジュール試験においては、将来の核融合炉においてトリチウムの自己補給(self-sufficiency)を見通せる増殖性能や良質な熱の取出、発電を含むものとする。物理段階に続く工学段階では、中性子壁負荷0.5〜1MW/m2, フルエンス0.3〜1MWa/m2のDEMO炉用ブランケット・モジュール試験がおおむね合意され得る線である。
  3)
タスク#1に関し、現在のITERの設計条件でQ>〜10を実現でき、物理・工学試験の要請を完全に満たし得るパルス幅の範囲内で、50%のコスト低減(第一義的には直接の建設コスト低減、次いで他のコスト低減かコスト平準化によって)の案を検討することが所長に要請された。
  4)
タスク#2については、現行ITER, 低コストITER、及び他のコンセプトについて、核融合エネルギー開発路線へのインパクトを予測することが予備的に話題になったが、本タスクの議論は第2回会合からになる。
  5)
12月末(IC-15)までのSWGの作業計画が合意され、その間以下の会合が予定されている。
      第2回SWG(5月17〜19日、那珂)
      第3回SWG(7月、ガルヒンク)
      第4回SWG(9月、サンディエゴ)
      第5回SWG(10月、東京)
以上