資料第127−1号
第126回核融合会議 議事要旨(案)
1.日 時 平成10年1月22日(木) 10:00〜12:00
2.場 所 科学技術庁第1、2会議室
3.出席者
(原子力委員)
藤家委員長代理、遠藤委員
(専門委員)
関口委員(座長代理)、飯吉委員、石野委員、井上委員、岸本委員、
玉野委員、田村委員、中井委員、森委員(9名)
(事務局)
柴田原子力局企画官(核融合担当)
4.議 題
(1)平成10年度の核融合研究開発関係予算の政府原案について
(2)サイト対応設計検討について
(3)逆磁場ピンチ研究の現状と成果について
(4)その他
5.配布資料
資料第126-1号 第126回核融合会議議事要旨(案)
資料第126-2号 平成10年度の核融合研究開発関係予算政府原案について
資料第126-3号 サイト対応設計検討について
資料第126-4号 逆磁場ピンチ研究の現状と成果について
資料第126-5号 JT−60における最近のダイバータ実験の成果
参考資料1 ITER計画に係る最近の国際的な話し合いの状況等について
参考資料2 第17回IAEA主催核融合エネルギー会議について
6.概要
- 1.
- 事務局より原子力委員会の委員の交替に伴い、遠藤委員が新たに原子力委員に就任されたことと、核融合会議の担当委員が藤家委員長代理と遠藤委員に決まった旨の紹介があった。その後、引き続き平成10年度核融合研究開発関係予算政府原案について説明があり、以下のような発言等があった。
- ○
- 定員、人員の査定についてはどうなっているのか。
- ○
- 原研については、大幅な変更はなく、EDAの延長後も従来どおりの体制で行っていく。文部省については、実験研究の人員は予算要求時から若干少なかったが、理論関係2名、客員部門(企画情報部門)関係1名増である。LHDについては、運転経費の中に委託費という形で人員を要求している。技官は平成9年に大幅な増要求をしたため、現時点では十分であると思う。
- 2.
- 事務局よりITER計画に係る最近の国際的な話し合いの状況等について、サイト対応設計検討について説明があり、以下のような発言等があった。
- ○
- EUはかなりポジティブであることとイタリアがサンプルサイトの提案をしたということは、EUがITERのコスト、サイトを提供することができるということか。
- ○
- 現在EUを含めた各極は建設のコミットをできる状態ではない。各極は、設計活動から次のステップへ円滑に移行するための技術的な検討を行うことが必要との共通認識にいたり、現在の設計活動を3年間延長する方向で国際的な話し合いを行っている。ただし、その背景にある問題は、コスト高である。
- ○
- 次回理事会で提出される最終設計報告書については、どのようなレポートになるか、3年間延長したものの当初の約束をしっかり果たしているかどうかを注視すべきである。最終設計報告書についてはどうなっているのか。また、設計者等の志気が下がらないようにすべきである。
- ○
- 印刷物としては、対外的にはIAEAとの連携により出版されることになるが、公式には2月に開催予定である次回のITER理事会において提出される予定である。
- 3.
- 電子技術総合研究所平野エネルギー基礎部主任研究官より、同研究所の逆磁場ピンチ装置TPEーRXが完成したことに伴い、逆磁場ピンチ研究の現状と成果について報告があり、以下のような発言等があった。
- ○
- ダイナモ効果の制御、すなわち磁場揺動を低減すると、イオン温度が下がるのではないか。
- ○
- リアクターを考慮すると定常運転時の安定性が重要であると考えられる。すなわち、プラズマ電流の立ち上げ時点では、ダイナモ効果によりイオン温度が急激に上昇するが、その後電流の減衰フェーズではダイナモ効果を制御することにより安定化を図ることが重要であると考えている。
- ○
- 頻繁に第一壁を交換可能との内容であったと思うが、放射性廃棄物の観点からは頻繁に交換するよりむしろ交換の容易さをメリットとして主張すべきである。
- ○
- 今後材料の開発の進捗にもよるが、ある程度の交換は必要であるという意味である。また、何かの緊急時に交換が容易であることはメリットであると思う。
- ○
- 国内逆磁場ピンチ研究センターとして大学等に開放とあるが、大学に対する旅費等も容易にでるのか。
- ○
- 以前に比べて枠が広がっており、改善されている。今後の課題と認識している。
- ○
- 逆磁場ピンチは不整磁場に弱いと聞くが、その影響はどうか。
- ○
- トカマクに比べてトロイダル磁場が小さいのでトロイダル磁場のリップルは問題とはならない。ポロイダル磁場の影響が主であり、その許容範囲は2〜3%である。
- ○
- イタリアのRFX、米国のMSTの現状はどうか。
- ○
- RFXは1992年に運転を開始し、当初10ms、2MAを目指していたが、実際にはβ値は高いものの周回電流が下がらないために2ms、1MAを達成するにとどまっている。MSTは、詳しいことは分からないが1990年頃から研究が始まり、ほぼ予定どおりの成果を挙げている。いずれにしても、基礎研究段階であり、実験炉TITAN、臨界試験装置NEPIにはまだ届かない状況である。
- 4.
- 日本原子力研究所安積炉心プラズマ研究部長より、JT−60における最近
のダイバータ実験の成果について、新方式のダイバータを用いた実験により、ヘリウム純化性能が大きく進展したことに関する報告があり、以下のような発言等があった。
- ○
- ダイバータ改造により、プラズマの純度が向上し、高性能プラズマの加熱プラズマ放電を9秒間継続した成果は非常に評価できる。
- ○
- ダイバータの材料は重要であるが、熱負荷、温度についてはどの程度であるのか。
- ○
- 現在は、計測装置が整備中であり、詳細は今後の課題である。タイル全体では加熱時1000度位であるが、磁力線入射角を下げたことにより局所熱負荷は大幅に低減し、不純物のバーストを抑制していると推定している。
- ○
- JETについては、当初ITERがガスボックス型ダイバータを検討していたことから現在も同型への改造中である。ダイバータの実験については、かなり苦労していると聞いている。一方で、JT−60は現在のITERが採用を予定しているW型オープンダイバータであり、ITERの設計への貢献が期待される。
- 5.
- 核融合科学研究所飯吉所長より、本年4月1日にファーストプラズマ点火予
定のLHD(大型ヘリカル装置)の建設進捗状況について説明があり、以下のような発言等があった。
- ○
- 超伝導コイルのクーリングにおいては、ヘリウムをどの位の期間で冷やすのか。
- ○
- 定常状態にするのに2週間かかる。冷却する対象物の重量は800トンで ある。
- 6.
- 事務局より、本年10月に横浜パシフィコで開催予定の第17回核融合エネ
ルギー会議に関し、国内論文選考委員会等を設置すること等について報告があった。
- 7.
- その他、以下のような議論があった。
- ○
- 本年1月に開催されるIEAの核融合調整委員会において、IFMIFは昨年の12月にCDA(概念設計活動)の最終報告書が提出されており、今後CDE(概念設計評価)の段階に移ることになっているが、材料研究開発を継続的に行う上で重要かつクリティカルな状況であることを踏まえ、活動が着実に進展するよう発言していただきたい、また、第三段階核融合研究開発基本計画については、原型炉のタイミング、レファレンススケジュールについて、その時期が若干ずれて解釈されている部分もあり、本会議において議論すべきである。
- ○
- 第三段階核融合研究開発基本計画については、ITERの進行と関連が深く、いろんなファクターがあるので難しいが、考えていく必要があると思う。
- ○
- ITERのコストについては、米国は減らすべき、EUはミッションに対してリーズナブルとのスタンスが大まかなところだと思うが、日本では正式に議論されていないと思う。ITER計画懇談会でもコスト高に関する詳細な議論が行われていない状況であり、核融合会議としても方向づけが必要ではないかと思う。また、延長期間の活動がコストについて四極均等であるならば、現在の米国の状況等を鑑みると、全体としての活動規模は落ちるのではないか。
- ○
- ITERの最大の問題は、当初の均等の原則が崩れていることに対する議論がないことである。すなわち、米国、ロシアが崩れて日本、EUがその分頑張っているというのではないか、という問題である。これは、ITER理事会での検討課題であると思うが、今後はこれと並行して国際協議の場で日本が積極的にリーダーシップをとっていくべきだと思う。
- ○
- 日本は、これまでも均等貢献の原則を一貫して主張しており、延長期間についても、各極は引き続き均等貢献の原則が適用されると理解している。核融合会議においても、次回開催予定の理事会の結果を含めて議論していただきたい。
- ○
- 本年1月に開催されたTAC(技術諮問委員会)では、ITER設計の合理化の話が出ているが、核融合会議においても一度議論しておく必要があると思う。
次回会合の日程は、4月頃を考えており、ITER理事会の結果、最終設計報告の国内レビュー状況、LHDの主に研究面での報告等を予定しているとの説明があった。