資料第125-3号



第18回日米核融合調整委員会の結果について


1.日 時 : 平成9年7月18日(金) 8:30~16:00

2.場 所 : 米国 メリーランド州 エネルギー省オフィス

3.出席者 :
 (日本側)宮島 龍興  原子力委員会核融合会議座長(団長)
      坪井  裕  科学技術庁原子力局研究技術課核融合開発室長
      岩崎 豊久  文部省学術国際局研究機関課国際プロジェクト官
      飯吉 厚夫  核融合科学研究所所長
      鹿園 直基  日本原子力研究所理事 他

 (米国側)A.Davies エネルギー省エネルギー研究局核融合エネルギー科学部長(団長)
      M.Roberts エネルギー省エネルギー研究局核融合エネルギー科学部国際・技術課長
      A.Opdenaker, R.McKnight 他

4.主な議題:

(1)日米双方の国内計画の現状

 1)米 国
 昨年度再編された米国新核融合戦略に基づいて、①プラズマ物理の理解、②核融合エネルギーのための革新的でコスト効果の高い開発、及び③国際協力でプラズマ燃焼の科学と技術及び核融合研究の次のフロンティアの開拓、の3つを目標としていること、TFTRシャットダウンに伴う人材の効率的活用の観点からJT-60等の装置を使って共同研究を行いたいこと、革新的コンセプトの募集を行っていること、ITER詳細設計報告の評価状況、1998年度予算審議状況(現在のところ昨年度とほぼ同レベル)等について説明があった。

 2)我が国
 我が国より、核融合予算の推移、原子力委員会における我が国の実験炉とITERの位置付け、ITER計画懇談会の活動内容の紹介、日本原子力研究所、核融合科学研究所、大学等における取り組みに関する現状等について説明を行った。

(2)自由討論(議題に関しては、4月に開催された事務局会合で合意済)
 1) 両国における核融合戦略
 米国側より新旧核融合戦略の相違につき説明があり、近年の米国核融合予算の減少傾向、エネルギーへのニーズの喫緊性がなくなり、関心がプラズマ物理等の科学プログラムに移行しつつあること等説明があった。これに対して、当方からは、エネルギー実用化へ向けたトカマク装置による早期DEMO炉実現への取り組みを国際協力の下で推進することは、我が国や米国のみならず、人類にとって大切な問題である旨言及。これに対して、再度米国側からは、個人的には賛同するも、米国内では核融合はエネルギーの観点では政治課題からはずれており、またエネルギー問題に対する長期的展望に対して関心が薄いこと等の発言があった。

 2) 日米協力の強化方策
 当方よりDOE/NSF支援等の研究者との日米交流、協力等について可能性を聴取したところ、主に研究者間の交流を始めとしてその可能性を相談していきたい旨回答があった。また、3大トカマクで実施している遠隔実験の米国他施設からの参加、TFTRのデコミッショニングについて、新規ANNEX等の新たなフレームワークを作成して協力したい旨発言したところ、米側より今後国内で協議した上で相談したい旨回答があった。

 3) パブリック・アクセプタンスの促進策
 米国側より、国民へのパブリック・アクセプタンスに必要なのは理解と信頼である旨発言。ボランティア活動として、様々なところへ出向き自ら説明等を行うことにより、熱意を伝えることが重要。また、コンピューターが学校教育に果たす役割を含め考えることも重要。当方より、ITER計画懇談会において幅広い層の有識者の参加を得て検討を進めていること等を紹介し、ITERに対する国民合意形成に向けた取り組みにつき説明。

(3)1996年度に行われた協力活動のレビュー及び1997年度に行う協力活動提案
 実績(239man,123item:それぞれ計画値の80%を実施)及び計画(381man,180item)について報告があり、現時点において日米間で合意できるものとして確認された。

(4)安全WGの活動
 安全WGの設立経緯からこれまでの実績について米国より報告があり、両国の研究施設の視察を重ね、安全に関するお互いの理解が深まった旨確認された。
 事務局会合より提示のあった研究施設の視察を隔年毎にするという案が、了承された。

(5)次回会合の開催時期は、事務局間で調整することとされた。

以上





                                 

(参考)



米国98年度核融合関係予算審議状況について



 米国98年度の核融合予算については、上院については240百万ドル(ITERへの支出55百万ドルを含む)、下院については225百万ドル(ITERへの支出55百万ドルを含む)で決定された。
 今後、9月1日以降に開催される上下院の両院協議会において、最終的な調整がなされる見込み。


○予算審議の状況

<大統領予算教書>   225百万ドル (2月 6日)

<下院科学委員会>   240百万ドル (4月16日)

<上院>
   7月 8日  エネルギー・水資源開発小委員会決定(240百万ドル)
   7月10日  歳出委員会決定        (240百万ドル)
               (ITERへの支出55百万ドルを含む)
   7月16日  本会議決定          (240百万ドル)
               (ITERへの支出55百万ドルを含む)

<下院>
   7月11日  エネルギー・水資源開発小委員会決定(225百万ドル*)
                (ITERへの支出55百万ドルを含む)
   7月17日  歳出委員会決定        (225百万ドル*)
                (ITERへの支出55百万ドルを含む)
   7月25日  本会議決定          (225百万ドル*)
                (ITERへの支出55百万ドルを含む)
               *)NRESCへのコンピュータ関連予算7.5M$を含む。

参考:97年度予算
      232.5百万ドル
    (DOE要求額は、225M$。議会決定で、NRESCへの7.5M$を含めた。)
    (DOEは、98年度、NRESCの分をのぞいて、225M$ を要求)

     NRESC : National Research Energy Super Computer