資料第124−1号



第123回 核融合会議 議事要旨(案)


1.日 時  平成9年6月12日(木) 14:00〜16:30

2.場 所  科学技術庁第1、2会議室

3.出席者
  (原子力委員)
    伊原委員長代理、田畑委員、藤家委員
  (専門委員)
    宮島座長、石野委員、井上委員、鹿園委員、関口委員、玉野委員、
    田村委員、苫米地委員、中井委員、森委員、吉川委員(11名)
  (事務局)
    田中核融合開発室長

4.議 題
 (1)ITER詳細設計報告の国内評価について
 (2)ITER計画に関する国内外の状況について
 (3)その他

5.配付資料
   資料第123-1号 核融合会議構成員名簿
   資料第123-2号 第122回核融合会議議事録
   資料第123-3号 ITER詳細設計報告に関する国内評価
   資料第123-4号 ITER詳細設計報告の評価について(座長提案)
   資料第123-5号 ITERに関する国内外の状況について
   資料第123-6号 核融合研究開発計画の実施に当たっての検討の進め方
   参考資料   ・EU(CCFP)による詳細設計報告の評価について
          ・米国(FESAC)による詳細設計報告の評価について

6.議事概要

(1) 構成員の交代について

 事務局より、委員の交替について説明があり、異動に伴い新たに佐々木委員(放射線医学総合研究所所長)が委員となった旨説明があった。

(2) 前回議事要旨(案)の確認

 事務局より、資料第123-2号に基づき、前回議事要旨(案)の説明があり、一部字句訂正の後、承認された。

(3)ITER詳細設計報告の国内評価について

 1)ITER/EDA技術部会主査の井上委員より、資料第123-3号に基づき、同部会において詳細設計報告の評価を進めた結果、中間設計段階より物理、工学、安全面等で大きく進展しており、同設計報告に従って工学設計活動を次段階に進展させることは適当である等を取りまとめた旨の報告があった。
 その後、各委員から述べられた意見等の概要は以下の通り。

○計測系に関しての設計が遅れている印象があるとの発言があり、設計上の配置やスペース等の設計は終了しているが、観測窓等の評価及び制御系との整合性の検討等が残されており、今後対応が必要との説明がなされた。

○遠隔保守については、中性子(14MeV)の影響、放射化等考慮する必要があるが、1)保守する機器の寿命、2)人のアクセスの可能性について検討が必要ではないか。

○コストについては、詳細設計報告に記載されている内容をベースに考えると妥当であろうが、今後設計の合理化等コストを一層意識した設計が必要ではないか。

○自己点火条件、長時間燃焼というITERの技術目標達成の見通しが得られつつあるとの評価の理由について質問があり、これまでのデータベースからは技術目標が達成できない理由は無く、また、マージン、裕度も確保されていることは理解されるところ、今後一層予測の精度を向上させる努力が必要であると認識している旨の回答があった。

○今後の設計の選択肢として残されているセンターソレノイドコイルの分割案の理由等について質問があり、詳細設計段階では一体型が採用されることとなっているものの、プラズマ制御性の向上、部分的な取り替えの可能性によって分割案が設計の選択肢として掲げられているが、一方で高磁場での接合部が存在する等の不確実性もあり、一体型を採るべきということが部会としての評価である旨回答があった。

○各極が行っている評価内容について照会があり、事務局より、配付資料に基づき概要の説明がなされた。

○座長より、今回の議論を踏まえ、詳細設計報告について、核融合会議としての意見を取りまとめたい旨発言があった。

 2)座長より、資料第123-4号に基づき、核融合会議としてのITER詳細設計報 告の評価を検討するための提案について説明があった。
 その後、各委員から述べられた意見等の概要は以下の通り。

○安全性については、後半の10年間の運転段階である高性能段階までも見通して明確にすることは重要であるが、基本性能段階から高性能段階への移行段階へは少なくとも今から20年以上先の話であり、20年後を見越してどの位のことが言えるのかを考える必要があるのではないか。

○これに対し、我が国の原子力施設は、計画全体を見通した安全評価を考えることが前提。ITERについても最終的な報告書においては高性能段階まで含めた安全評価に関する記述が必要ではないかとの意見があった。

○来年2月に予定される次の報告書を待って評価をすることが適当である旨の表現よりも現在の詳細設計をどう評価するかという前向きの表現にするべきではないか。

○核融合会議としての見解は、ひとまとめにして最後に記述すべき。

○座長より、再度核融合会議としての詳細設計評価の案を作成の上、次回提出することとするが、今回の議論を踏まえた修正版は早急に作成し、各委員に送付するため、同修正版等についてコメントがあれば適宜事務局に伝えて欲しい、また来年2月以降改めて評価を行うことを明記するなど、今後の計画を加え分かりやすいものとしたい旨の発言があった。

(4)ITER計画に関する国内外の状況について

 事務局より、資料第123-5号に基づき、ITERの建設に向けた国際的話し合いの状況、並びに各極及び国内の状況について工学設計活動が3年程度延長される方向で調整中であることを含め説明があった。
 その後、各委員から述べられた意見等の概要は以下の通り。

○EDAの期間を延長すると言うことは、これまでの設計活動が不十分であったやの誤解が生じる可能性がある。延長期間における活動内容を含め、延長の理由等については、慎重な説明が必要。

○EDAが終了するか否かは、協定の目的に照らし建設決定の判断ができるか否かであり、現時点では、コスト解析、安全性に関しては、各極ともより一層データを入手していく必要がある。

○現在進行中の試験研究の成果が取り入れられるため、設計活動が3年間延長されたとしても、それ自体有益なこともあるのではないか。

(5)核融合研究開発の実施に当たっての検討の進め方について

 座長より、核融合研究開発の方針を検討する上で重要な人材育成、材料開発及び安全性研究に関し、今後の進め方について長期的な観点から検討が必要との発言があり、資料第123−6号に基づく説明の後、各委員から、概要以下の通り意見等が述べられた。

○アジア地域との研究協力の推進に関して、既に学会ベースで中国、韓国などの国との研究交流があり、また日本学術会議でもアジア学術会議を開催しており、多くの実績が得られつつある。本会議での議論を進めるに当たっては、こうした状況を十分踏まえた上での検討が必要。

○慣性核融合については、国際的な動きにも配慮した議論がなされることが必要。

(6)次回は、6月25日(水)に開催することとされた。