資料第123-3号

ITER詳細設計報告に関する国内評価

平成9年6月2日

核 融 合 会 議
ITER/EDA技術部会

1. はじめに

1.1 審議経過
   日本、米国、欧州連合及びロシアの四極によって1992年7月より進められている国
  際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動(EDA)は、その活動中にいくつかのマ
  イルストーンが制定されており、平成7年12月に開催された第9回理事会においてその
  設計のベースとなる中間設計書が確定された。これを受けて設計が進展した結果、平成8
  年12月に開催された第11回理事会では、次のマイルストーンである「詳細設計報告書」
  すなわち、詳細設計報告書本文(所長提案;約30頁)及び詳細設計報告書技術文書(約
  700頁)が理事会に報告されたところである。両文書については、各極がそれぞれ国内
  評価を行うこととされており、本年7月の第12回理事会において評価結果の報告を行う
  予定である。核融合会議ITER/EDA技術部会では、中間設計段階においても技術的
  評価を行ったところであるが、詳細設計はITERのその後1年半余りの設計活動等の進
  展を踏まえて作成された今後のITER設計のベースとして重要な位置付けを有するもの
  であるため、物理、炉工学、安全の3つのワーキンググループを設置して評価・検討作業
  を重ねてきた。これらの結果を踏まえて、ITER/EDA技術部会では全体的な評価・
  検討を行い、以下の報告書をまとめた。

1.2 検討の視点
  詳細設計報告書及び技術文書については、まず、全体として以下に示す視点から検討を
 行った。

 

2. 詳細設計報告書の位置付け
    詳細設計報告書は、中間設計報告書に引き続く工学設計活動の3番目のマイルストーン
   であり、最終設計報告書に向けて設計が進展していく基礎を提供するものである。
    工学設計活動に関する現行協定は、「詳細な、完全なかつ十分に統合されたITERの
   工学設計及びITERの建設に関する将来の決定のために必要なすべての技術的データを
   作成する(第1条)」ことを目的としており、詳細設計報告書は、今後の設計活動が計画
   通りに進捗することにより、当該目標が適切に達成されることを確保する上で重要な指標
   となるものである。
    現在のITER工学設計活動が必ずしも立地国、立地地点を特定しない設計のベースを
   提示するものであることから、最終設計報告書の後においても、実際の建設に向けては、
   立地国あるいは立地地点を想定した設計上の対応措置が必要である。また、運転範囲の柔
   軟性や安全性に関わる事項についても、基本的には実際の製作(建設)開始、あるいは、
   安全審査上必要とされる時点までに整えることが妥当であると考えられる事項もある。

3. 総合評価(結論)
    詳細設計報告書においては、中間設計段階に比べ設計全体の整合性が改善され、また物
   理R&Dの進展によるデータベースが格段に充実してきた。これにより、ELMを伴うH
   モード閉じ込めによるプラズマの運転を、ダイバータによるヘリウム灰の排出及び熱と粒
   子の制御を行いながら実現するというシナリオにより、自己点火と1.5GWの核融合出力
   を1000 秒以上維持するという目標が達成できる見通しが得られつつある。ITERが要
   求する十分な閉じ込め性能、ダイバータ機能、あるいは密度やベータ値は、個別にはほと
   んどすべて既存のトカマク実験によって実現されるに至っており、今後は、これらが同時
   に実現し、維持できることを実証する十分なデータベースを整備していくことが、ITE
   R計画の着実な進展にとって重要である。
    ITERの物理的基礎は、各極の物理R&Dによって著しく充実してきた。しかし、I
   TERの実現に向けて設計の妥当性を一層向上し、確固としたものとするためには、エネ
   ルギー閉じ込め比例則、LH遷移入力、ハロー電流の強度と分布、ダイバータプラズマ等に
   ついて、さらに広範なデータを蓄積することが期待される。計測器については、プラズマ
   制御系との統合性に配慮した検討が必要である。また、将来の核融合炉の実現に向けての
   技術を進展させていく観点からは、負磁気シアの利点を最大限に生かした運転シナリオを
   ITERへ導入するためのデータベースの充実が望まれる。
    ITERの炉工学の観点からの評価は、1)構造の妥当性及び2)機能の実現性並びに
   3)システム全体としての統合性、の三つの側面から行った。評価を行うにあたり、詳細
   設計報告書だけでなく、その技術的成立性を判断するための基礎となる工学R&Dも評価
   の対象とした。
    構造(設計)の妥当性については、個々の機器が置かれる環境(応力、温度、放射線レ
   ベル等)の評価に基づき、従来の各種規格・基準が適用される範囲では、これを満足する
   よう設計が進められており、工学設計活動における構造設計の基礎として妥当なものと認
   められる。今後、ITER固有の環境を踏まえ、これらの規格・基準が適用し得ない範囲
   における構造の妥当性を確認することが望まれる。
    また、機能の実現性については、製作、運転段階での裕度を確認するためのデータベー
   スについて今後の工学R&D及び機能試験の成果が期待されるものもあるが、全体としては、
   期待される機能は実現し得るものと認められる。
    システムの統合性については、装置全体の組立・保守やプラント総体としての相互調整
   に関し、概念的設計の記述がされる段階に至っており、今後最終設計報告書に向けては一
   層設計が成熟し、より具体的な記述がなされることが期待される。
    ITERの安全性評価については、中間設計段階以降「深層防護」及び「ALARA
   ( as low as reasonably achievable )の原則に立って展開された詳細設計に係るITE
   Rの安全性及び環境適合性の包括的な解析について大きな進展があったことを示しており、
   工学設計活動における最終設計を進めるための基礎として妥当なものと判断される。
    今回の安全性解析の詳細な情報は、非サイト依存安全解析書NSSR-1(Non-site Specific
   Safety Report 1)に示されており、事故時及び平常時の影響評価並びに放射性廃棄物の発
   生量及び従事者の安全確保策を体系的に網羅されているなど、中間設計段階における評価
   から、定性的及び定量的検討の面で著しい進展があり、それぞれの評価の考え方も含め、
   概ね妥当であると認められる。今後ともITER計画全体を見通し、最新の知見に基づく
   とともに、各極の安全規制上の考え方にも十分対応可能な安全性評価のためのデータベー
   スの充実、並びに解析モデルの改良を図ることを期待する。
    建設コストに関しては中間設計段階以降大きな変更がなされた機器、システムについて
   のみ検討されているが、基本的には中間設計段階と同じレベルであるとのことから現時点
   では妥当と考えられるが、今後一層のコストの低減化に向けた努力が必要である。また、
   製作工程は、15,000項目にわたるスケジュールを立案できるまでに計画が明確になったこ
   とは評価できる。他方、建設スケジュールは、基本的にはサイト国の安全審査等のスケジ
   ュールに大きく依存するものであり、最短で建設するスケジュールの例示であると理解さ
   れる。このため、最終設計報告書については、今後建設に向けての取り組みとの関連で一
   層具体的な検討が進められることが必要である。

 

4. 物理分野の評価

4.1 自己点火及び1.5GWの長時間(1000秒以上)核燃焼
 中型の装置だけでなく、よりITERの条件に近い大型のトカマクであるJET及び
JT-60の実験において、グリーンワルド限界に近づいても、良好な閉じ込め性能を有す
るELM( Edge Localized Mode )を伴うHモードが実現できること、さらに放射冷却ダ
イバータの機能が維持できることを確認することが望まれる。

4.2 コアプラズマとダイバータプラズマの整合性
 長時間運転におけるダイバータプラズマとコアプラズマの整合性にとってコアプラズマ
への燃料供給法とダイバータにおける粒子制御のシナリオを明確にすることが重要であ
る。また、中性粒子の主プラズマへの流入防止に対し垂直ダイバータが提案されているが、
ダイバータ部からの中性粒子の流れ出しが制御され、コアプラズマの良好な閉じ込めが維
持できることを実験またはシミュレーションで確認することが望まれる。

4.3 運転領域の裕度/ベータ限界値/鋸歯状振動
 目標を達成するためのプラズマパラメータが、具体的に示されていることは評価される
が、いくつかの決まった例に限られているために、運転領域の裕度がわかりにくい。最終
設計報告書では、プラズマパラメータの取り得る運転領域を示すことが必要である。
 ベータ値限界については、新古典テアリングモードに依存するのかどうかを確認すべき
である。もし、このモードを制御する必要がある場合には、ECCD(ElectronCyclotron
Current Drive)により可能であることを確認する実験が望まれる。さらに、鋸歯状振動
(sawtooth oscillation)が許容される範囲の定量的検討が重要である。

4.4 エネルギー閉じ込め比例則
 同一実験装置におけるエネルギー閉じ込め時間のばらつきの原因を解明しておくことが
望まれる。
 ITERで想定しているエネルギー閉じ込め時間の値を保証する高密度プラズマに対す
るデータベースはまだ十分に確立していないので、そのための一層の努力が必要である。
また、プラズマ壁相互作用とエネルギー閉じ込め時間の相関にも留意しておくことが必要
である。

4.5 L-H遷移/H-L遷移
 L-H遷移に必要な加熱入力の評価は進展しているが、加熱入力値の幅を縮小するために
より一層の努力が必要である。
ELMを伴うHモードの長時間運転にとってH-L遷移の実験データベースを確立しておく
ことが望まれる。

4. 6 ELM制御と三角形度
  ITERの三角形度はデータベースに従ってELM制御が可能な値を選ぶことが重要で
ある。採用された値の妥当性は、理論と実験の両面から示すことが必要である。

4.7 ロックドモード制御
 補正コイルによる不安定性制御、ロックドモード抑制は、実験的な裏付けが不十分であ
り、実績の豊富なNBI( Neutral Beam Injection )入射によるプラズマ回転を用いる
方法を採用すべきと考えられる。

4.8 ディスラプション/ハロー電流/逃走電子
 プラズマの垂直移動現象に対しては、中立平衡点制御技術がJT-60で開発されている
ので、ITERにおいても同技術の採用は検討に値する。
 ディスラプション時のハロー電流の挙動及び逃走電子の発生と抑制については、データ
ベースの一層の集積が必要である。

4.9 リップル損失/アルファ粒子物理
 アルファ粒子を含めて高エネルギー粒子のリップル損失の定量的評価を行い、リップル
の許容範囲を明確にする必要がある。
 アルファ粒子物理はITERにおける重要な研究課題であり、特にTAEモードはアル
ファ加熱効率の低下をもたらす可能性があるので、さらに理論的に検討することを期待する。

4.10 ヘリウム排気
 ダイバータプラズマが、デタッチ状態または部分デタッチ状態にある場合にヘリウムの
効率的な排気が可能であることを実験またはシミュレーションで示すことが必要である。

4.11 プラズマの起動・停止モデル
 ITERのプラズマ停止のシナリオは今後具体的に検討を進める必要がある。プラズマ
生成から平衡状態形成に至るまでの起動過程の解析及びプラズマ停止モデルは、現在のト
カマクによって実証することが望まれる。

4.12 運転シナリオ
 高い密度、ベータ値のもとで高い閉じ込め性能を保持するためのプラズマ形状、分布制
御に関する物理R&Dを促進し、その成果を踏まえたITERの長時間運転シナリオの検
討が望まれる。

4.13 定常運転
 トカマクの定常燃焼運転には、ブートストラップ電流と非誘導電流駆動が不可欠であり、
負磁気シアーモードは閉じ込め改善と併せて、定常化に適している。そのため、負磁気シ
アモードによるエネルギー閉じ込め時間の比例則や高ベータディスラプションの回避等の
課題を解決するためのデータベースの充実が望まれる。

4.14 計測系
 運転および研究計画から必要とされる計測系が十分に検討されていない。特に、計測系
と装置およびプラズマの制御系との統合性についての検討が必要である。

 

5.炉工学分野の評価

5.1 真空容器
 真空容器の設計は、中間設計に比べて進捗が認められるが、今後は、温度、応力、中性
子環境などを考慮したポート等外部構造物との接続部の設計の進展を期待するとともに、
ベロー等の真空容器周りの機器の健全性についても評価を行うことが必要である。真空容
器のセクターモデルR&Dは、製作性及び精度の確保を実証する目的で予定通り進捗して
おり、製作段階での精度は満足できると判断される。
 真空容器の冷却水循環系停止時において、自然循環による冷却水流量が強制循環時の1
5%になり得るかについては、解析及びR&D等によって慎重にその妥当性を見極めること
が必要である。

5.2 ブランケット
 中性子照射効果と水環境効果を考慮に入れたブランケットの設計解析を進めることが必
要である。同時に、それらの効果を考慮した構造解析手法の確立が必要である。さらに、
核融合炉と中性子のエネルギースペクトルが異なる分裂炉での中性子照射試験結果の設計
への適用や、小型試験片での試験結果の大型構造物への適用についての設計の考え方を示
すべきである。
 プラズマ対向材料として考えられているBeのトリチウムインベントリーは、まだ正確な
評価ができていない。炉内のトリチウムインベントリーの内、この部分が占める割合は大
きく、安全性の観点から、今後より精度の高いインベントリー評価が必要である。
 ブランケットモジュールに関するR&Dは、冷却性能を有するモジュール筐体の製作性
に関するR&Dが進展し、HIP( Hot Isostatic Pressing)加工法の適用性について
の見通しが得られた。今後Beを含めた接合法の早期開発が望まれる。
 EPP段階の増殖ブランケットの概念について検討し記載すべきである。

5.3 ダイバータ
 ダイバータ部に関する遮蔽能力については定量的評価を行うことが必要である。
 ダイバータカセットに関する電磁力解析等は進捗しているが、高熱流束受熱機器とカセ
ットボディ間の冷却パイプの接合部や冷却パイプについても、プラズマ垂直移動現象やデ
ィスラプション時における耐電磁力評価が必要である。
 ダイバータのドーム部やバッフル部に使用することになっているタングステンに関し、
X点からコアプラズマへ入る不純物量の定量的評価が必要である。
 ダイバータの各種受熱機器に関するR&Dは、ITER条件を満たすレベルに達しつつ
あると評価される。今後、カセットボディとの組合わせ試験により、組立精度を含めた成
立性の検証が望まれる。

5.4 磁場コイル
 磁場コイルと真空容器は、連結構造で一体となっているので、統合的な構造の検討を今
後行っていく必要がある。その中で、一連の構造物に対する支持構造・機構、機器設置精
度、組み立て性、断熱性、ブランケットモジュールのバックプレートへの固定方式等の観
点から、全体の支持構造設計を最適化し詳細化することを期待する。
 エラー磁場を打ち消すための補正コイルの必要性に関しては、クライオスタット内にさ
らに多くの超伝導コイルを設置することのメリットとデメリットを考慮し、慎重に検討す
ることが必要である。
 ELMやディスラプション等のプラズマの高速変動に対する速い制御磁場が引き起こす
超伝導コイルでのAC損失の評価は、十分に行っておくことが望まれる。
 超伝導コイルに関する2つのR&Dについては、ともに超伝導素線の開発及び製造はほ
ぼ完了し、導体製造が順次進められつつある。他方、導体のAC損失や接続部などの主要な
要素R&Dが並行して進められており、基本性能に関する設計との整合性は確認されるも
のと期待される。これらの性能をモデルコイルで実証するシステム試験は、98年7月以
降に実施される予定であるが、出来るだけ早期に所定の性能が確証されることを期待する。

5.5 燃料サイクル
 各プロセス機器のトリチウムインベントリーの経時変化の評価と、トリチウムインベン
トリーの低減方法について検討することが必要である。また、燃料注入系及び排気系、並
びに精製・分離系を接続した系一体としての挙動、操作性等について、今後各要素機器に
ついての動作データを蓄積し、それらに基づいたシステムの統合的な検討が望まれる。

5.6 プラズマ診断システム
 計測系機器のR&Dの結果を踏まえ、光学系の劣化や中性子照射効果による寿命予測と
交換に関する具体的方法及び計測機器の支持構造の具体化が検討されるべきである。
 計測系の据付と、ポート、プラズマ対向機器等との空間的整合性について、今後詳細な
検討を期待する。

5.7 トカマク保守
 点検修理に関しては、種々の場合を想定して検討されているが、ITERの運転に支障
をきたす恐れのある場合に備え、小さな部品レベルまでの細部に亘る遠隔操作による点検
修理のシナリオの検討が必要である。
 遠隔保守機器の信頼性向上を図るために、使用環境に対するR&Dによる検証やデータ
ベースの構築を期待する。
“Hands-on”作業を実施する上で作業領域を確定するためには、対象とする機器の放射化
量の評価も含め、どのような放射線環境にあるかについて更なる検討を行うことが必要で
ある。

5. 8 プラント/レイアウト
 冷却系、冷凍系、電源系、真空排気系などのITERプラント系の系統設計やトカマク
周囲の機器や配管等の配置設計は、中間設計に比べて進展が認められる。今後、最終設計
報告書の作成に向けて、プラント総体としての相互調整や最適化を進め、各系統のより具
体的な記述と配置図等の一層の整備が望まれる。

5.9 その他(FDR迄に所長が判断するとしたCS分割案等のオプションについて)
 CS(Central Solenoid)コイルの分割は、三角形度の上昇による制御性の観点などで利
点も考えられたものの、その後進められた技術的検討の結果、現実的に取りうる設計の中
においては現在の一体型と差異はなく、有意な利点が想定されない。また、コイルの接合
部のR&D計画との整合性などを考えると、技術的には多くの課題が残されており、最終
設計報告書に向けて分割方式を採用する方向での作業をこれ以上進めることは現実的では
ない。最終報告書に向けては、現在のレイヤー巻CSコイルの設計で完結させるべきであ
る。
 ブランケット・モジュールの接続方法については、溶接接続方式と機械接続方式が考え
られている。このうち溶接接続方式については、溶接の厚み等の技術的課題が指摘される
ものの、基本的に確立されている既存技術により対応が可能と考えられる。他方、機械接
続方式については、組立の容易性等の利点は期待されるものの、報告書中に記載されてい
る電気絶縁等の問題点及び組立性についての技術課題が残る。最終設計報告書に向けて、
選択肢を絞り込むに当たっては、これらの点が十分検討される必要がある。
 トロイダル磁場のリップル低減の為にフェライト鋼を挿入することについては、詳細設
計報告書では、その構造概念が明確には記載されておらず今後の検討を待つ必要がある。
本オプションは概念検討段階であるが、その導入による効果と影響(例えばプラズマ制御
への影響の問題等)について、定量的な評価が必要である。

 

6.安全分野の評価

6.1 高性能段階(EPP)に関する評価
 ITER計画の目的が達成される見通しを得るために、EPPについてもプラント設計
の概要を示し、事故解析を含む安全性評価を示すべきである。
 平常時の放射性物質放出量(気体、液体)については、基本性能段階(BPP)からE
PPへの移行期間及びEPP期間に関する評価結果も最終設計報告書の技術文書に示すべ
きである。
 また、放射性廃棄物については、EPP運転期間中の発生量に関する評価結果も最終設
計報告書の技術文書に示すべきである。

6.2 安全性評価手法等
 安全性評価に用いられる種々の仮定や技術的データは、その採用の理由及び妥当性が示
されるべきである。技術的データ取得のためにR&Dを必要とする場合には、その計画が示
されるべきである。
 解析コードや解析モデルに関しては、ITERへの適用の妥当性についての検証が必要
であるが、それらの検証状況とともに、未検証の場合にはその検証のための計画が示され
るべきである。
 詳細設計報告書に記載されている Reference Accidentsの選定は、現時点では妥当と
評価される。事象の包絡性について、さらに評価の対象とすべき事象がないか、設計の進
捗等を踏まえ今後も十分に検討すべきである。
 水素火災については、更なる検討が重要である。

6.3 その他
 建設スケジュールの記述(技術文書第Ⅵ章)に関しては、立地国の安全規制のプロセス
に依存するものであることを付記しておくべきである。

 

7.その他の評価(コスト及び製作工程)

 コスト全体については、中間設計段階と同レベルである旨の記述がなされており、設計
の進展との関連において評価されるものの、今後一層のコストを意識した設計が進められ
ることを期待する。特に、今回のコスト上昇の主要因はトロイダルコイルの支持構造材の
増量に起因しているが、この点についてもどこまで設計を最適化しているのか明確にすべ
きである。また、試験施設に必要とされるコストの最適化も配慮するべきである。特に、
詳細設計報告書ではトロイダルコイルの試験を工場で行うことに変更しているが、全体と
しての施設、コストを考えて適切な選択か否かの検討が必要である。その際、信頼性確保、
品質管理の観点から必要な検査・試験と実施すべき過程、場所の最適化を行い、製作工場
でなされるべき試験とサイトにおいてなすべき試験を明確に分類すべきである。また、プ
ラント系のコストは、部品の積み上げだけでなく製作法や検査手順などの期間に依存する
部分もあるので、既存のプラントの製作・工事法を参考にして期間短縮も含めた最適化を
指向すべきである。
 なお、製作工程と全体のコストとは密接に関係するため、今後具体的な工程を見積る必
要があるが、その際の前提として、主要機器製作時の検査・試験の前提、据え付け調整時
に仮定した必要検査・試験の前提を整理し、最終報告書に記述することが望まれる。

 

Appendix (物理、炉工学、安全の各分野における個別事項では、特に以下に示す視点から
      の検討を行った。)

 

1.物理

2.炉工学

3.安全

4.その他

 

 

ITER/EDA技術部会 委員構成

 

【主査】 井上 信幸  京都大学 エネルギー理工学研究所 教授

【委員】 伊藤 智之  九州大学 炉心理工学研究センター長
     鹿園 直基  日本原子力研究所 理事
     庄子 哲雄  東北大学 工学部 教授
     白石 春樹  金属材料技術研究所 極限場
     関  昌弘  日本原子力研究所 ITER開発室 研究主幹
     田中  知  東京大学 工学部 教授
     苫米地 顕  (財) 電力中央研究所 研究顧問
     早瀬 喜代司 電子技術総合研究所 エネルギー基礎部 総括主任研究官
     日野 友明  北海道大学 工学部 教授
     藤原 正巳  核融合科学研究所 大型ヘリカル研究部 研究総主幹
     松田 慎三郎 日本原子力研究所 ITER開発室 室長
     宮  健三  東京大学 工学部 教授
     若谷 誠宏  京都大学 エネルギー科学研究所 教授

 

 

ITER/EDA技術部会 ワーキンググループ構成員

 

【主査】     井上 信幸  京都大学 エネルギー理工学研究所教授

【物理ワーキンググループ】
   (主査) 藤原 正巳  核融合科学研究所 大型ヘリカル研究部研究総主幹
   (主査) 若谷 誠宏  京都大学 エネルギー科学研究科教授
        伊藤 智之  九州大学 炉心理工学研究センター長
        早瀬 喜代司 電子技術総合研究所 エネルギー基礎部 総括主任研究官
        岸本 浩   日本原子力研究所 那珂研究所長

【炉工学ワーキンググループ】
   (主査) 宮  健三  東京大学 工学部教授
        伊藤 智之  九州大学 炉心理工学研究センター長
        白石 春樹  金属材料技術研究所 極限場センター長
        関  昌弘  日本原子力研究所 ITER開発室研究主幹
        日野 友明  北海道大学 工学部教授
        西川 正史  九州大学 工学部教授
        村尾 良夫  日本原子力研究所 国際原子力総合技術センター長

【安全ワーキンググループ】
   (主査) 田中 知   東京大学 工学部教授
        庄子 哲雄  東北大学 工学部教授
        苫米地 顕  (財) 電力中央研究所 研究顧問
        斉藤 正樹  東京工業大学 原子炉工学研究所助教授
        平野 雅司  日本原子力研究所 原子炉安全工学部安全データ解析室長