資料第122-2号

第121回核融合会議議事要旨(案)


1. 日 時  平成8年8月26日(月)13:30~17:00

2. 場 所  科学技術庁第7会議室(通産省別館9階)

3. 出席者
  (原子力委員)
    伊原委員長代理、田畑委員、藤家委員
  (専門委員)
    宮島座長、関口委員、飯吉委員、石野委員、井上委員、鹿園委員、
    苫米地委員、中井委員、平尾委員、宮委員、森委員
  (事務局)
    科学技術庁


4. 議題
  (1)第10回ITER理事会等の結果について
  (2)ITERと第三段階核融合研究開発基本計画上の「実験炉」との関係につ
    いて
  (3)ITER物理R&Dの状況について
  (4)第16回計画推進小委員会の審議状況について
  (5)日本学術会議核融合研究連絡委員会報告「核融合炉工学における共同研究
   拠点の整備について」
  (6)その他


5. 配布資料
 資料第121-1号  第120回核融合会議議事要旨(案)
 資料第121-2号  第10回ITER理事会等の結果について
 資料第121-3号  ITERと第三段階核融合研究開発基本計画上の
            「実験炉」との関係について
 資料第121-4号  ITERと第三段階核融合研究開発基本計画上の
            「実験炉」について(案)
 資料第121-5号  ITER物理R&Dの状況について
 資料第121-6号  第16回計画推進小委員会の審議状況について
 資料第121-7号  日本学術会議核融合研究連絡委員会報告「核融合炉工
            学における共同研究拠点の整備について」


6. 議事概要
 (1)前回議事要旨(案)の確認について
   ・事務局より、資料第121-1号に基づき説明があり、一部修正の後、了
    承された

 (2)第10回ITER理事会等の結果について
   ・事務局より、資料第121-2号に基づき平成8年7月24、25日に開
    催された第10回ITER理事会の概要等について及び四極による建設等
    準備協議が開始された旨説明があった。

   ・また事務局より、独仏研究大臣がITERに関して公表した共同コミュニ
    ケ、欧州核融合研究評価委員会の活動に関し紹介があった。

 (3)(ITERと第三段階核融合研究開発基本計画上の「実験炉」との関係につい
   て
   1)宮島座長より、前回会議での議論を受けて、宮、井上両委員を中心にIT
    ER計画と「実験炉」との関係について検討を重ねてきた旨の紹介があっ
    た。

   2)資料第121-3号「ITERと第三段階核融合研究開発基本計画上の
    「実験炉」との関係について」に基づき井上委員から、検討の内容につい
    て説明があった。さらに事務局から補足説明が行われた。

   3)これを踏まえ、以下の意見交換が行われた。
    ア)ITERについての現在の設計仕様は、技術目標との関連の中で「適切
     である」との結論は適当であろう、ただし、立地国が相当のコスト負担
     を要求される場合にあっては、立地国の独自性を出していくべきではな
     いか、

    イ)これに対し、今回は技術的な観点から議論を行ったものであり、立地国
     の独自性は、サイト依存設計の段階でも考慮されうるとの説明があった。

    ウ)かつて自己点火を目指さないFERを実験炉段階の目標としていたこと
     もあり、ITERの規模の適切さについては、実験炉が備えるべき仕様
     の基準との関連で考える必要があるが、ITERについては国際協力の
     中で進められていることも考慮する必要があるとの発言があった。

    エ)これに対し、ITERの規模については国際協力が進捗する過程で大き
     くなったというのではなく、技術的観点、実現の確実さの確保等の理由
     から現在の規模になったこと、また、原型炉を見通して技術蓄積を進め
     るにあたっては、実験炉段階では自己点火条件と長時間燃焼の同時達成
     が必要であり、達成の裕度を考慮すると、現在の規模は妥当であるとの
     説明があった。

    オ)ITERについては、技術的観点の議論から、コスト、立地国について
     の議論の段階となれば、将来のエネルギー開発を見通した議論が必要で
     あり、トカマク方式で実験炉段階で1兆円かけるのであれば、将来の核
     融合炉の実現に向けてどのようにつながっていくのかについて明確な見
     通しを示す必要があるのではないかとの発言があった。

    カ)これに対し、今回の検討においても、ITERと原型炉との関係につい
     て十分議論したところであるが、第三段階計画では、「研究開発の中核
     を担う装置として、トカマク型の実験炉を開発する」とあり、同方針に
     沿ってITERをトカマク方式としているものである。但し、トカマク
     方式を実験炉と位置づけるとしても、それ以降については、トカマク方
     式のみに絞るものではなく、今後の研究の進展によるものであるとの発
     言があった。

    キ)トカマク方式を原型炉に採用する場合の課題を明確にする必要があると
     の意見があった。

    ク)これに対しプラズマ物理では、炉心プラズマ閉じ込め等、炉工学として、
     材料、ダイバータ等が主な課題であり、原型炉に向けてはある程度の小
     型化も必要となろうとの説明があった。

    ケ)ITERの規模、役割等を考えると、今後の進め方については、核融合
     の専門家のみが議論するのではなく、幅広い方面の方々に対してもきち
     んと説明していくようにすることが必要であるとの意見があった。

   4)核融合会議として資料第121-4号に基づき「ITERと第三段階核融
    合研究開発基本計画上との「実験炉」について」を決定の上、原子力委員
    会に報告する旨了承された。

 (4)ITER物理R&Dの状況について
   1)資料第121-5号「ITER物理R&Dの状況について」に基づき、日
     本原子力研究所より報告があった。

   2)これに対し、外国における物理R&Dの状況についての照会があり、EU
     のJET、ASDEX、米国のTFTR、DⅢ-D、Alcator C-MODの状況
     について説明があった。

 (5)第16回計画推進小委員会の活動状況について
   1)核融合会議計画推進小委員会の活動状況について資料第121-6号に基
     づき、同委員会主査の宮委員から報告があった。

   2)これに対し、材料ワーキンググループにおける検討は、将来の材料開発に
     向けてall Japanとして研究開発の考え方を検討していく必要がある旨、発
     言があった。

 (6)日本学術会議核融合研究連絡委員会報告「核融合炉工学における共同研究拠
    点の整備について」
   ・資料第121-7号に基づき「日本学術会議核融合研究連絡委員会報告
    「核融合工学における共同研究拠点について」」について、関口委員から
    報告があり、大学の核融合研究に関しては、炉心プラズマと炉工学の二つ
    があり、炉心プラズマの方は、核融合科学研究所を中心にして推進してき
    たものの、炉工学の分野は、組織的には推進してこなかったことから、今
    後は炉工学分野についても、積極的に進めていくことが望ましい旨の説明
    があった。また、今回の検討に当たっては、①長期的視点に立って実験炉
    及び原型炉までも考える、②優先順位をつける、③別途策定されたネット
    ワークを十分活用することに重点をおいた旨の説明があった。

 (7)その他
   1)2050年頃核融合がエネルギー源になるとして、2050年までの原子
    力エネルギー開発の需給等に関する整合性について質問があり、これに対
    し、廃棄物も含めて、トータルのエネルギー収支がマイナスにならないこ
    とが重要である旨発言があった。

   2)次回の開催については、座長に一任された。