資料第14−1号

第13回ITER計画懇談会議事要旨(案)

 

1.日  時: 平成12年11月6日(月) 10:00〜12:15

2.場  所: KKRホテル東京 10階 瑞宝の間

3.出席者:
(原子力委員)遠藤委員
(委   員)吉川(弘)座長、荒木委員、飯吉委員、井上委員、猪口委員、今村委員、クラーク委員、伊達委員、苫米地委員、藤原委員、宮委員、村上委員

4.議  題
(1)ITER施設の安全確保の基本的考え方
(2)日本のサイト候補地の状況
(3)これまでの議論の整理
(4)その他

5.配付資料
資料第13−1号 第11回ITER計画懇談会議事要旨(案)
資料第13−2号 第12回ITER計画懇談会議事要旨(案)
資料第13−3号 ITER施設の安全確保の基本的考え方
資料第13−4号 日本のサイト候補地の状況
資料第13−5号 これまでの議論を整理したメモ
参考資料1 懇談会における論点の整理と今後の課題について(平成10年3月 原子力委員会ITER計画懇談会)
参考資料2 「これまでの議論を整理したメモ」参考資料

6.概  要:
(1)第11回及び第12回議事要旨(案)については、各委員に事前配付されコメントが反映されているので、さらにコメントがあれば後刻事務局に連絡いただくことで承認とする旨、吉川座長から説明があった。

(2)資料第13−3号「ITER施設の安全確保の基本的考え方について」について、事務局より報告があり、質疑・応答及び意見があった。

 原発と比較してITERは安全であり、規制も軽くてすむのではないかという議論が今までなされてきたと理解しているが、この報告書では、そのようなITERの特徴がどう規制に反映されるのか明確ではない。また、ITERは国際協力で行われており、各国の考え方の違いをどう考えるのか、今後の展望があれば教えてほしい、との意見があった。
 これに対し事務局より、次のような説明があった。
 規制当局が今後ITERの特徴を活かして、ITERの規制体系をどのように構築するかという問題である。適切なデータを適切な時期に規制当局に提供して、規制の枠組みを構築してもらう必要があると考えている。また、国際的には、10月中旬に各国の安全規制関係者が集まって情報交換する会合が独で開催された。この会合は今後も続けられ、各国の規制の考え方が明らかになるであろう。安全規制当局は、各国の規制の考え方も参考にし、適切な規制の考え方をまとめるものと認識している。

 ITERではステンレス鋼を使っており、運転によって放射化する。解体時に放射性廃棄物をどうするかが重要であり、アセスメントをしておかないと、国民の理解が得られない。この点を地元がどれだけ理解されるかが重要であり、専門家だけで議論が閉じないような配慮が必要ではないか、という意見があった。
 これに対し事務局より、次のような説明があった。
 核融合反応で発生する中性子により、材料の放射化が生ずる。運転段階において放射化ダストがどの程度生じるかが見積もられており、これを踏まえた上で、安全の考え方が今後構築されるものと考えている。
 また、ITERの運転停止後の廃棄物については、核融合戦略検討分科会報告書に記載されており、量は3万9千トンと試算されている。多くのものは百年後にはクリアランスレベルになり、百年を超えて管理すべき廃棄物は1万トン程度となるとの意見があった。

 資料第13−3号は中間報告であるが、最終報告書はいつまとまるのか。安全性を検討する段階で、設計にかかわることもあろう、との意見があった。
 これに対し事務局より、次のような説明があった。
 資料第13−3号は、原子力安全委員会へ報告され、公開となった。ITER事業体が設立され申請がなされるまでには、規制体系の整備が必要であり、安全規制当局に要請しているところ。安全の考え方と設計は密接な関係があり、安全の考え方を設計に反映させていきたいと考えている。もし誘致することとなれば、現在進められている工学設計活動終了後、誘致に関心のある極が、それぞれサイト依存設計を行うこととなっている。安全の考え方を反映した設計の見直しをその際に行う必要がある。

 資料第13−3号を見る限り、現行の法律でITERの規制ができると読める。ITERはどこに建設しても世界初の核融合施設となる。将来の技術の進展も含めて、規制の体系が構築されることを望む。高速炉の時は大変な苦労をしたことを教訓にして欲しい。日本に建設する場合でも世界に参照されるものとなる、との意見があった。
 これに対し、事務局より、次のような説明があった。
 安全規制当局は現行の法律で対応するか、新法で対応するか判断しておらず、これからの議論による。

 一般の方々にわかりやすくするという点では、「ALARA」といった略語が解説なしに使われているなど、資料の作り方に工夫が必要である。内容については、建設段階の安全、建設の従事者及び周辺の方の安全、地震の問題、トリチウム輸送の安全等についてどうなのか分からない。日本に誘致する場合、外国が安全に関して要求する基準が日本と比べて甘くなる場合もあるだろうが、日本として、確かな安全基準を定める必要がある。プロジェクト全体について責任の所在を明らかにするべきとの意見があった。
 これに対し事務局より、次のような説明があった。
 安全性については、計画推進の立場の者よりは、安全規制の専門部局に最終判断を委ねることが、国民により御理解いただけるものと考えている。資料は、国内において、どのようにしたら安全性を確保できるかという視点でまとめられている。また、現行の法体系を勘案した場合、ITERは原発とどこが違うかという点に注目してまとめられたものであり、輸送の問題など他と同じような問題には既存の関係法令が適用されると理解している。

 座長より、安全性を含めた総合的な面が見えるようにすべきというのは重要な意見であり、今後検討をされることを望むとのコメントがあった。

(3) 資料第13−4号「日本のサイト候補地の状況」について、事務局より報告が行われ、以下の通り、質疑・応答及び意見があった。

 3つのサイト候補地を1つに絞るのは大変な作業と考えるが、仏、カナダのサイト候補地の状況はどうか、という質問があった。これに対し事務局より、次のような説明があった。
 サイトを提案するときは1ヶ所に絞る必要がある。仏は当初から1ヶ所に絞っているようであり、またカナダは2ヶ所の候補地があったが、1ヶ所に絞ってきている。

日本に誘致となると、来年7月頃までにサイト候補地を1ヶ所に絞らないといけない。技術的要件以外の条件もあり、今から様々な可能性を想定して、国として準備を進めていただきたい。ITER計画懇談会の答申が実を結ばないということがないように、十分事前準備を行って欲しい。また、トリチウム輸送に関し、ITERでは今までとオーダーが違う量の輸送が必要なので今後の対応をしっかりとお願いしたい、との意見があった。
 これに対し事務局より、次のような説明があった。
 ITERを運転する際に必要となるトリチウムについては、ITERを日本に建設する場合も、EUに建設する場合も、カナダから輸送することになる。将来の核融合炉では、初期装荷のためにトリチウム輸送が必要だが、その後は炉内でトリチウムを生産することも考えられる。その国で燃料を産み出しながら運転できるという点でも核融合は魅力があると考えている。

国際協力で進めているのに、カナダが立候補した場合は極として認めるかどうか決まっていないのか、ITERの活動を10年近く行ってきて、極を増やす、増やさないという議論を今頃していて建設に間に合うのか疑問を持つ。何らかの取り決めがあってしかるべきだと思う、との意見があった。
 これに対し事務局より、次のような説明があった。
 国際的な取り決めの内容については、参加資格を含め非公式政府間協議において議論している。来年からは公式政府間協議が開始される予定であり、その中で協定の草案を決めていく予定である。

このサイトに関する資料は、それぞれのサイトにどのような問題があるか、ITER計画懇談会で議論して欲しいという趣旨なのか、あるいは報告を受けるということなのか、との質問があった。
 これに対し事務局より、次のような説明があった。
 現在の状況を御報告するための資料と認識していただきたい。本懇談会は、日本誘致の是非を議論していただくためのものであるが、サイト絞り込みには、地質・地盤、電源設備といった技術的・専門的事項も検討が必要であり、行政が責任を持って対応すべき、と考えている。地元との情報交換を進めた上で、別途、公正・中立な第三者による委員会を設けることを念頭において決めていきたい。

(4) 資料第13−5号「これまでの議論を整理したメモ」について、吉川座長から説明があり、それに対し以下のような、質疑・応答及び意見があった。

 ITER計画を進めるならば、ITERに集中すべきという意見が出る可能性がある。しかし、核融合研究はプラズマ物理を相手にした物の変化と秩序形成の研究であり、ITERによる燃焼プラズマの挙動の研究を行うだけでなく、その他の基礎的研究、裾野の広い研究を行わなければ核融合研究を進めることは難しい。報告書をまとめる際は、計画の拡がりと裾野としての基礎研究の重要性を強調していただきたい、との意見があった。
 これについて座長より、御指摘は重要なことであり、中間取りまとめでも記述されている。中間取りまとめでは、核融合研究は保険料と位置づけられたが、保険料ならば、研究がうまくいかなかった場合何が得られるかという疑問に対して、人類の知識の向上という観点で記述した。今回報告書をまとめるためには、具体的に、どのような裾野としての物理研究が進むのかということについて、ある程度の記述が必要と考える、との回答がなされた。

 ITER計画が推進されれば、他の基礎研究は不要であるといったやり方では、核融合炉の実用化には結びつかない。大学を含めて基礎研究を進めるという視点が重要であり、このメモには、その点がはっきり書かれていないので心配している。5000億円の本体建設費のうち、サイト国がかなりの負担をすることになるが、その場合、財源は既存の枠では殆ど無理。特別枠にどの程度予算の見通しがあるかが重要。推進体制については、ITERは大学の基盤があってはじめて実施出来ると考える。今までの文部省、科学技術庁の研究体制の合意形成が十分出来ているか、特に若い研究員を含めた研究集団の考え方がどこまで取り込まれているか不明瞭なのではないか。これらの点をきちっと議論していかないと、我が国がサイトとして立候補する基盤がもろい恐れがある。スケジュールが厳しいのは承知しているが、きちっと議論しないわけにはいかない。大学の研究は進展を見せており、単に裾野の基礎研究をしているのではなく、実用炉を目指した研究を行っていると認識している。それが報告書に反映されるべき、との意見が出された。

 座長より、ITERの技術的実現性はこれまで、非専門家を含め十分議論してきたのに、このような話しが何故今頃出て来たのか、との質問が出された。

 これに対し、大学の研究はITER物理に様々な面で貢献してきており、また設計にも寄与している。もう一つは、核融合科学研究所の装置(LHD)が以前は建設段階であったが、中間報告がまとまるころから実験が開始されかなりの成果が出てきた。これから足場を固めたい時に、ITERをやるからLHDの研究に影響が出るようであればITERは受け入れがたい。日本の核融合全体について、時期に応じた計画の詰めを常にやっていく必要がある。2年のITER計画懇談会のブランクの間に研究・情勢の変化があるので改めて議論して頂きたい、との説明があった。

 ITERが国家的なプロジェクトだとすれば、当事者として非常に責任が重い。LHDの場合もそうであったが、最初の段階で核融合コミュニティーの意思統一を前提にしないと、このような国家プロジェクトはうまくいかない。特に今はITERを実際に担う40歳代の核融合研究者の意思統一が出来ていない。前回のITER計画懇談会での中間取りまとめ以降の変化として、省庁統合があり、来年1月には文部省と科学技術庁が一緒になるが、若い人も入れてオールジャパンで議論する体制を作ることが重要ではないか。またLHDは500億円かけた国家プロジェクトでうまくいっており、これも新しい要素である。物作りの集団ができているので、そういう人達をITERに取り組んでいくことがITER推進体制を充実するチャンスと思う。ヘリカルとトカマクを競争相手とするのではなく、一緒にヘリカル版ITERまでを含めて検討することが日本としてやるべき仕事ではないか。実際研究を行う若い研究員の意思を汲み上げて、実行部隊を固めていかないと立派な提言に応えられない、との意見があった。

 座長より、元々コミュニティーの声は一つでなくてはいけないと思っている。ヘリカルが進んでいることは承知しているが、非専門家を含めた議論はITERを進めることは意義が大きいというものであった。ヘリカルかITERかは専門家が決定すべき事項である。ITER計画懇談会は、「ITERは技術的実現性が高いので、それを前提に核融合というプロジェクトを議論する」という専門家の合意があるという前提で議論してきたはずであるというコメントがあった。

 科学分野の中では、ゼロ・サムで資源の分配をすべきでない。この様なやり方は学術国家としての議論では間違っている。全体のパイが大きくなることにより声が一つになる。ITERを選択するということは象徴的な意味がある。日本は科学技術国家の選択をするのか、あるいは違う特徴をもつ国家を目指すのか、さらに根本には、大きな選択をする意思があるかどうかと言うことがある。それは科学技術のどこを取るという事ではなく、全く別の分野のプロジェクトと科学技術分野のプロジェクトを比較し、国としてどちらを選択するか決断していく事である。その観点から広く合意形成を行うことが重要であり、小さなパイを取り合うプロセスは止めてほしい。また、法的に対処することはないかどうか検討してほしい。最後に大きなプロジェクトの選択を国に迫るのであれば、男女平等参画型にしないと国民的な理解は得られない。女性研究員の幹部登用を検討して欲しい。との意見があった。

 2年前と最近ではITERを巡る状況が異なってきている。カナダ、仏国が立候補するとなると、3つの国からサイトを選ぶことになり、国際競争に負け、ITERが日本に来ないこともあり得る。ITER計画懇談会ではそこまで検討、記述する必要がある、との意見があった。

 核融合が実用化されれば、人類のエネルギー源の確保に役立つことは間違いなく、ITERは科学技術立国を標榜する上でふさわしいテーマであると考える。将来にも役立つということで、米国も含めて、日本はITERの当初から参加してきた。各国が1000億円以上の貢献を行うというITERは、国際的にも珍しい例である。ITER計画懇談会は、国としてITERをどう考えるかという提言をすべきであり、一つの省庁がどうこうという話ではない。国としてどうあるべきかは懇談会の提言を受けて、政治が決定すべきもの。ITERはゼロ・サムで議論するのはおかしい。科学技術立国になるためにどうすべきか、その中でITERは特徴のあるプロジェクトであり、是非その辺の議論を進めて欲しい、との意見があった。

 ローカルな視点から以下の3点について指摘したい。
  • ITERと大学研究は工夫すれば両立可能
  • ITER計画は、核融合研究計画をさらに上のステージに引き上げるものである。核融合を実現するには、ステージを核燃焼プラズマ実験の面に引き上げ、新しい研究をすることが不可欠。 
  • ITER計画の推進は、既に大学を含めた取り組みがされており、オールジャパン体制と言える。ITERをやる事によって大学の研究が圧迫されるわけではない。
 また、グローバルな視点では、我が国が初めて行う国際プロジェクトであり、また、それを若い研究者は肌で感じており、大きな刺激となる、との意見が出された。

 原研のJT-60の研究成果により、ITERの運転方法の改善、コストの削減等多大な成果が得られている。いくつか残っている課題があるかも知れないが、日本誘致の方向で報告書がまとまるようにお願いしたい。核融合は他の原子力研究に比べ、原子力委員会のもとでよく調整されてきたものと認識している。前回報告された「研究の資源配分と国際協力の責任分担に関する検討報告書」にあるように、ITERは国家プロジェクトであり、学術研究とは財政的に別に考えるべき。学術研究でも実用炉を目指しているというのであれば、同じパイの発想もあるかも知れないが、やはりその報告書の様に学術研究とは別でないと議論に問題が生ずるので、その点は行政当局に配慮願いたい、との意見が出された。

 ITER計画懇談会の前提条件は、このプロジェクトが必要で、次はどの様な国際協力を行なうかを検討するものと認識していた。この種のプロジェクトは公共事業としてどの位波及効果があるかを議論すべきである。ITERは新しい技術だし、国際協力であり、そういう波及効果を考えるべきである、という意見があった。

 トカマクとヘリカルの問題ではなく、オールジャパン体制が出来ているかということである。幸い大学側では人が育っているし、原研側でも人が育っており、協調・協力体制を作る時期にきており、それをやる事がITERを成功させることになる。最近のビッグサイエンスの反省点であるが、計画がよくても体制及び研究員の質が問われる時代になっている、との意見があった。

 遠藤原子力委員より、次のような意見があった。
 ここ最近、状況は明らかに違ってきている。EU及びカナダという強い競争相手が出てきた。仮に日本に誘致すると判断しても国際的には簡単にはいかない状況に至っている。国際競争に勝つためにはオールジャパンである必要があり、第一に核融合コミュニティーがしっかりやることが必要である。財源的にはプラスサムになるのが当然。それを前提に、核融合コミュニティー、更には自然科学全体でITERを推すと言う事が必要。国内においては、3サイト候補地内で反対論が出ればスケジュールをキープできない。核融合をよく理解してもらうことが重要。ITERは国家プロジェクトであり、高いレベルの議論になるので、外交機能を動員して対処すべき。特殊なものを除いて日本ではこの種の国際機関を誘致したことは無く、その点を踏まえてITER計画懇談会で検討して欲しい。

 座長より、核融合のコミュニティーは一つという前提で、この懇談会は議論を行ってきており、もしこの2年間で状況が変わってきたというのならば、専門家同士で早急に詰めて欲しい。これは懇談会の議論ではない。その上で詳細なプロセスを取り入れて様々なケースについて検討を行っていく。また報告書の記述については、一般の人が読める様な平易な記述にする。報告書をまとめるに際し、それぞれの担当がブラシュアップしていく必要がある、との見解が示された。

以上