第9回ITER計画懇談会議事要旨(案)
1.日 時 平成10年2月10日(火) 10:00〜12:30
2.場 所 科学技術庁第1、2会議室
3.出席者
(原子力委員)
藤家委員長代理、遠藤委員、木元委員
(専門委員)
吉川(弘)(座長)、飯田委員、飯吉委員、伊藤委員、井上委員、
大河原委員、木田委員、草間委員、伊達委員、苫米地委員、豊田委員、
中里委員、那須委員、増本委員、宮委員、宮島委員、吉川(允)委員
(事務局)
加藤原子力局長、今村長官官房審議官(原子力局担当)
坪井核融合開発室長、柴田原子力局企画官(核融合担当)
4.議 題
(1)懇談会における論点の整理と今後の課題について
(2)その他
5.配布資料
資料第9−1号 第8回ITER計画懇談会議事要旨(案)
資料第9−2号 懇談会における論点の整理と今後の課題について
(座長試案)
参考資料1 平成10年度核融合関連予算政府原案について
参考資料2 米国核融合エネルギー科学諮問委員会(FESAC)の開催について
参考資料3 米国大統領予算教書(99年度核融合予算)について
- 6.概 要
- 1.
- 会議の冒頭、新たな原子力委員として遠藤委員、木元委員の紹介があった。
- 2.
- 事務局より、平成10年度の核融合関係政府予算原案、米国FESAC会合の状況および99年度の米国大統領の予算教書の核融合部分についての紹介があった。
- 3.
- 事務局より、「懇談会における論点の整理と今後の課題について」(座長試案)に基づいてその概要説明があり、以下のとおり意見等があった。
- ○
- この報告書は非常に理路整然と纏まっている。現在、工学設計活動が3年間延長され、その間に日本誘致の是非について審議を行うわけだが、この段階で論点を明確にし、今後の検討課題がはっきり示されていることは非常に良い。この資料には触れられていないが、民間企業に限らず、研究開発には「競争」というモチベーションが重要であることから、国際的な見地から他極との競争という観点を取り入れていただければ一層良い。ITERが日本に立地されれば、企業の技術力の涵養等の観点から波及効果が大きいと考えられるので、積極的に誘致の是非を検討すべきである。結言と提言において、核融合のみならずエネルギー全体を考えることに言及していることは重要なことであり、また石油の枯渇が30年、46年といった諸説がある中で、核融合が将来の人類のエネルギー源として、その選択肢の一つとして十分な候補であることに期待するとともに、私も委員として出来る限り協力していきたい。
- ○
- これまで様々な意見が出されており、どのようにまとめ上げるのかは難しい問題だが、ITERのような大きなプロジェクトに対する合意形成をどのように行うかというのは、今後のテストケースとなることもあり、高い論理性が必要であると考えている。
- ○
- ITERは四極の協力であるが、現時点ではなかなか足並みがそろわない。特に、米国はITERのコスト低減を検討している。この報告書では、このような国際的な動向をどこまで言及すべきか、若しくは言及すべきでないのかの判断が難しい。
- ○
- 日本以外の他の3極の意見は非常に流動的であり、重要なファクターでもあるが、この報告書は我が国としての見解を出す点が重要である。
- ○
- 各極が現時点で建設段階に移行出来ない状況は同じであり、コストの低減は検討すべき課題であると考えられるので、今後、国際的な調整を進めていけばよいと考える。
- ○
- 来週ITERの国際協議があるが、四極が同じ価値観をもって3年間を進めていくことが必要条件である。現在、米国がコスト低減の検討を提唱しているが、EUはローコストではなくブローダーオプションの検討であれば応じる様子であるので、当方としてもなるべく合意できるような方向で考えたい。
- ○
- 原研内部では、ITERのオプションの検討を行っており、JT−60から原型炉に向かう際の飛び石としての実験炉を近めに設定するか、あるいは遠めに設定するかについて、また、ITERの設計上の仮定について議論の余地があるので、再度四極で検討し、合意が出来ればと考えている。
- ○
- 「日本社会の倫理性からの評価」について、我が国が他国から信頼を得る際には、核融合には資源の偏在性がないものの、技術の偏在性が起こりうる可能性があるので、報告書の記述に配慮が必要ではないか。
- ○
- 日本は、これまで平和国家として技術力をバーゲンパワーとしており、先進技術での成功と技術の独占により諸外国からやや冷たい目で見られたものの、ここ数年の間に世界中へ技術の拡散を行い、その結果信頼を得たという実績があるので、その実績を盛り込むことについても是非検討したい。
- ○
- 「核融合エネルギーの技術的可能性」について、コストの検討を入れるべきである。ITERは物作りに関する見積りを出すだけでなく、ブランケットの交換頻度等を考慮した実験期間全般にかかるライフサイクルコスト、すなわちトータルのコストの検討をする必要があり、技術開発や製造技術の進展によるコスト低減等を細部にわたって幅広く検討するべきである。また、産業界としては、ITERに対して軽水炉と異なり材料メーカー等幅広いメーカーが参画することとなるので、どこかしっかりとした(例えば科学技術庁)中心的な機関が主体的に取り組み、幅広い産業界の参画の下に進めていく必要があると考えている。
- ○
- ITERは四極で行っているため、日本の立場を決めるときには、他極の動向にも配慮する必要がある。この際に、コストダウンの可能性やランニングコストを始めとしたトータルコストについての大まかな目安をたて、かつ設置国が出す資金等の可能性についても検討すべきである。また、サイトの問題については、現在、日本は手を挙げられない状況であるが、実際に設置をする意向があるとすれば、立て前は立て前としてあるものの、実際的にはかなり早い段階から検討を始める必要がある。また、国際協力の観点では、日本の地理的条件、言葉の問題といったマイナスと考えられる面もあるので、プラス面マイナス面についても勘案すべきである。
- ○
- コストダウンについては、現在のEDA協定の技術目標の範囲内で、その可能性について検討が行われる予定である。また、ランニングコストや資金分担については、現在の国際協議においては、建設に係る議論よりも3年間の検討課題についての議論が最優先事項となっている。日本への設置については、我が国としての意向を国際協議の場で表明していきたいという希望を持っており、本懇談会での議論をはじめとした非公式な情報を含めた情報を国際協議の中で提供していきたいと考えている。誘致のプラス面マイナス面については、現在四極が小規模ながら共同で設計活動を成功裡に行っておりこれを踏まえた検討を行う予定である。
- ○
- 本報告書は、前回の議事要旨を網羅的に反映しているものの、論点の整理と今後の課題の分量については、バランスの観点から今後の課題や道筋についてもう少し力点をおいた表現にしてはどうか。また、「国際貢献」については、日本の経済的成長に対して弁解的で自己批判的側面が強いこと、「日本社会の倫理性の評価」についてはこれだけの分量を割く必要があるかということに関して、対外的なことも考えると好ましくないのではないか、またP.9の「アジア諸国への国際協力の枠組みの拡大をはじめとした我が国としての基本的条件」については、その問題意識や基礎的条件に対するちゃんとした説明がないと分からないのではないか、「成功と失敗」というタイトルはあまり適切なものではないのではないか。
- ○
- 本報告書は、非常に説得力のあるものとなっていると思う。日本にITERをもってくることへの意義については、若干後ろ向きに感じるので言い訳と解釈される部分は除くべきではないか。また、国内の理解を得るためには投資額の観点から土木工事との比較を行うのは乱暴ではないか。付録資料では、核融合研究がこれまで進展している様子が伺えるが、今後の核融合研究開発の進展については本文中でも若干言及すべきではないか。3年間の延長期間の活用の仕方や日本への誘致の判断の整理を行うべきであり、そのような配慮を報告書に取り込む必要があると思う、少なくともSSC計画のようになってはならない。
- ○
- 「国際貢献」について、国が発展すると参加費を払うという論理はよく聞く話だが本当に正しいのか。日本はこれまで払わされていると思われることがよくあり、本報告書に出ている世界像が正しいのかどうかはわからない。日本が払うことにより、おなかの中で笑っているところがあるのではないか。
- ○
- 本報告書は、非常に高尚な議論が盛り込まれているが、日本の普通の人が果たして納得するのか。エネルギーが不足すると国際的には日本が一番困るわけであり、日本国自身に対する保険料の意味をもっと前面に出すべきである。
- ○
- 「核融合エネルギーの位置付け」について、核融合エネルギーはエネルギーの選択肢の一つのオプションとあるが、これでは核融合を推進していく必要がないと取られかねないので、核融合が一番優れているということを前面に出して言ったほうがいいのではないか。また、「日本への誘致」について、我が国が核融合エネルギー研究を重点課題とすること、ましてITERの設置国として名乗りを挙げることに十分な根拠があると言うことは出来ないとあるが、これではやめるということにをいっているようなものである。そうではなく、まずはエネルギー問題が基本にあり、その背景に環境問題がある。日本はエネルギーがないことから、国際的にも真っ先に手を挙げるべきであり、人類のためにやっていく、自分自身のためにやっていくといった姿勢を主張すべきである。このままでは政策提言にならない。
- ○
- 核融合の現場にいる立場からは、これまでに核融合を保険料と位置づけたことはなく、このままでは元気が出ないのでもっと前向きにして欲しい。ITERがない場合でも核融合研究は継続していかなければならず、ない場合でも進めていくべきとの記述をすべきである。諸外国は、日本にリーダーシップを取ってもらいたいと願っており、もちろんそのようにすべきであるし、日本がエネルギー問題を抱え、かつ科学技術の蓄積が多い点を是非とも強調すべきである。
- ○
- 国民のコンセンサスを得るためには、高レベル放射性廃棄物、核燃料サイクルも同様であるが、もっと胸をはって堂々と示す姿勢を出していいのではないか。ITERを建設してどの程度の放射性廃棄物がでるのか、安全の面を含め全てをきちんと把握した記述にすべきである。トータルでどの程度の負担があるのかについて、また、自分たちのところにきたときの視点で何が必要かを明確にすることが重要である。
- ○
- 各種エネルギーについての見通しが記述されているが、これらが及ぼしうる環境への影響等について記述する必要があるのではないか。風力や潮汐力を利用すると、風向きや潮流が変わる可能性がある。実際に、代替エネルギーの中で安心して使えるものは、せいぜい太陽くらいではないかと個人的には思う。
- ○
- 本報告書ではネガティブな印象を受けるので、日本への誘致が主な論旨であることから日本にもってきたときのメリットをもっと強調すべき。周辺技術、基礎研究といった裾野の拡がりや若者に夢を与えるといった記述は、メリットとして誘致の部分に盛り込むべき。国民の理解を得るには、分裂炉に係る開発で情報公開をあまり行わなかったことを踏まえ、ITERで同じ轍を踏まぬようにすべきである。
- ○
- これまでの議論は座長案に対する意見であるが、これらに対しては以下のとおり考えてみたい。自己批判と倫理性といった観念が出てきた背景には、我々の意思決定の根幹が何かということに依っている。まず、前提としてエネルギー問題や環境問題はおろそかに出来ない問題である。しかし、例えば、1950年代に我が国が原子力を推進していくということを決定したときには、技術的に十分納得がいく検討がなされないまま決定が行われたので、現在の原子力のバックエンド対策が重要であるという状況があるにもかかわらず、十分な資金が投入されていない。これは立ち上がり当時、きちんとした政策決定が出来ていないからである。この報告書を見て外国人がどのように考えるかという視点よりはむしろ我々日本人が納得がいくかどうかということに論旨を絞った形とすることが重要であるので、表現についてはこだわらないが、自己批判的な書きぶりや倫理性の問題を盛り込んだのはそのような背景がある。また、国際的な負担が大きいとの意見があったが、ITERについては、資金面の負担でなく、技術で払うという意味である。現在は、金ではなく、人材、技術でリーダーシップをとる時代になっていると考えられる。次に、保険料については、評判が悪いが、我々自身のためではなく未来の子孫と対話をする際に環境問題を含め様々な問題に対して政策が答えなければならない今日の状況においては、この概念は重要であり、ITER誘致の決定をするためにはこの概念しかないと考えられる。最後に、誘致の説得性については、出来るといったやる気を示すことではなく、どれだけ論理的に説得性のあるものとするかという点にあると考えられる。今の時代は世代の差が大きくなっており、また、民族間の相違といった水平的な違いもあり、合意形成は非常に困難となっている。このような場合、科学的論理性による実証のみが判断のよりどころとなるが、この点からITERの必要性は立証できない。一方で、方程式に解がなくても判断しなければいけないことが存在するが、これが保険料という概念と論理的に帰却することになる。これは、100パーセント分からなくてもやらなくてはいけない時代がきたことを意味し、これがここで言う保険料に相当する。遺産として後世に残すという押しつけがましい考え方ではなく、あくまで後世に示すのは保険料止まりであると思う。
- ○
- この報告書は、研究者としては論旨が通ったものとなっていると思うが、この報告書で科学技術庁が政策的な判断できるものとなっているか。選択肢であるならやめなさいということになりかねないか。取り組んでいかなければいけないと言うのが重要なメッセージであり、気迫になると考える。
- ○
- この報告書は中間取り纏めとしてこれまでの分析を行うとの位置付けであり、論点の整理と今後の課題ということで迫力に欠けるとの意見であるが、核融合の内側の論理からすると、ITERをやるべきであるという結論を既に出していたものの、外部に対するギャップが生じていた。ところが、この中間報告により、もやもやしていたものがはっきりした感がある。中間報告では迫力の点で十分ではないかもしれないが、最終報告でよく検討されるのであればそれはそれでいいのではないか。
- ○
- 私は、これまでどおり何故核融合をやる必要があるのか、これまでの核融合研究開発の進展、実用化への見通しについて議論すべきだと考えている。第4回会合でエネルギー量に関するデータを示したが、これは客観的なものであるため、それに基づく考え方を示したい。太陽エネルギーについては、量的には将来のエネルギー源として見合わない。というのは、現在の最高水準のものでも、日本のエネルギー需要を満たすためには、太陽電池パネルが日本の国土の10分の1を占め、保守等考えるとさらに必要となるのは明確である。我々の子孫がライフスタイルを変えずに生活を享受するためには太陽エネルギーといった代替エネルギーだけでは間に合わないことは明らかである。すなわち、原子力しかない。これには、30〜50年といった長期にかかる技術開発を必要とするため、我々の知識を集約して子孫に託すことがいいと考えられる。使用するかしないかは別として科学的に整理しておけば将来判断できると考えられる。すなわち、核融合が必要であることはある程度はっきりしていると考えられるため、その辺りをはっきり書いた方がいいのではないかと思う。
- ○
- 報告書を書くスタイルについては、いろいろな議論を中途半端にせず、しっかり議論することが重要である旨を中間報告に盛り込み、最終報告には説得力のあることを書くということが結局は説得力があるのではないか。懇談会として論理的に一つの方向に導いていく報告書にするためには、若干後退しているように感じられるかもしれないが、これまでの蓄積してきた物を如何に有効にするか、いい形でITERをやる、あるいはやらないという判断を下せるようにすべきである。
- ○
- 「結言と提言」については、3年後に混乱しないように、工学設計活動や国際チームへの要望を記述すべき。資金分担、ホストの追うべき責任、継続的な処理にかかる負担等について提言して欲しい。
- ○
- 本報告書は、核融合が必要であるという論旨ではなくじっくりと考えていることが十分に盛り込まれている点で同感である。エネルギー問題についても、現状のみならず将来流動的であるということも十分盛り込まれている。核融合はすべきだと考えるが、ITERを誘致するかどうかについての議論をのちほど行うということなので基本的に賛成である。
- ○
- 各委員よりいただいた貴重な意見を踏まえ次回会合において再提出したい。自己批判的な表現は極力控え、倫理性についても強調しすぎないように配慮したい。保険料についてはご了解いただきたい。
- 次回は、3月4日(水)に開催の予定。