第8回ITER計画懇談会議事要旨(案)




1.日 時  平成9年12月1日(月) 10:00~12:15

2.場 所  科学技術庁第1、第2会議室

3.出席者
  (原子力委員)
    伊原委員長代理、藤家委員
  (専門委員)
    吉川(弘)(座長)、飯田委員、伊藤委員、井上委員、猪口委員、
    大河原委員、大田委員、木田委員、草間委員、伊達委員、苫米地委員、
    中里委員、那須委員、増本委員、宮委員、宮島委員、吉川(允)委員
  (事務局)
    今村長官官房審議官(原子力局担当)、
    坪井原子力局核融合開発室長、柴田原子力局企画官

4.議題
  (1)最近の国際的な話し合いの状況等について
  (2)中間とりまとめについて
  (3)その他

5.配付資料
  資料第8-1号 第7回ITER計画懇談会議事要旨(案)
  資料第8-2号 最近の国際的な話し合いの状況等について
  資料第8-3号 中間とりまとめに関する各委員からのコメント集
  資料第8-3号 議論の整理と今後の課題について(中間とりまとめ骨格案)
  参考資料1   米国核融合エネルギー科学諮問委員会(FESAC)の中間報告書
  参考資料2   ITER計画懇談会における議論(案)

6.概要
 (1)
会議の冒頭、座長より、本日は、前回懇談会の議論を踏まえて、中間とりとめに向けた本格的な議論を行い、本日の議論においてある程度具体的な方向性を出して、次回にはとりまとめを目指すということで進めたい旨の発言があった。

 (2)
前回議事要旨(案)の確認
  ○
事務局より、資料第8-1号に基づき、前回の議事要旨(案)の説明があった。その際、50年、100年先のことを考えた場合、人材養成とか基礎的な研究をどうするかといった点について、これまで何度も発言してきたが、議事要旨等に取り入れられない。はじめから、ITERありきの議論になっている。人材の養成を考えないで、単にお金と時間があれば大きな物を作っていいのだというような考え方の組立になっていることについては異議を持っており、発言した意見に事務局の配慮が足りない点に不満を持っているとの発言があった。

  ○
これを踏まえ、資料第8-1号の5ページの6.(4) の二つ目の○印の部分の「中間取りまとめの大きな柱は」から始まる文章を、
「中間取りまとめの流れとして、ITERありきの記述ではだめである。報告書の流れの柱としては、次の4項目となると考える。
①まず、将来のエネルギーがどうなるかについて、エネルギー問題や環境問題も含めてはっきりと明示する、
②その上で、エネルギー問題に人類としてどう対応していくのか、特に人材養成や基礎的な研究の問題という基本的問題があることを記述した上で、
③そこで初めて、ITERというものに言及し、その必要性を説く、
④その延長として、国際協力の重要性を踏まえつつも、どうして、ITERを我が国へ誘致する必要があるのかについて記述する。
なお、本日提示された取りまとめ案は、②と④が全く抜けている。」
に差し替えることとした。

 (3)最近の国際的な話し合いの状況等について

 事務局より、資料第8-2号及び参考資料1に基づき、11月に開催された第5回建設等準備協議等の結果について報告があり、各極の現状が報告されるとともに、各極間で改めて工学設計活動を延長することが確認され、延長に係 る手続きについて話し合いが行われた旨の説明があった。また、10月23日に米国エネルギー省核融合エネルギー科学諮問委員会(FESAC)が公表した報告書の説明がなされ、これに対して以下のような質疑応答があった。

  ○
FESACの報告書の中の、①「より低いレベルで参加すべき」及び②「コストとリスクと使命との兼ね合いを見つつオプションの検討をすべき」とはどういうことを意味するのかとの質問があり、これについて、まず、①については、米国はITERを誘致する意図をもっておらず、日本やEUが主たるスポンサーになるべきとの考えがあり、このため、他極より低いレベルでの貢献でいいのではないかとする背景にあるのではないかということ、及びこれについては、FESACパネルの報告書の予算配分についての勧告において延長期間中の共同設計活動費を15百万ドルとしているが、これのみの場合には従来より低くなるということであること、また、②については、ITERの建設コストが高いことを踏まえて、合理化を検討する際には、単にコストだけの話ではなく、技術目標や開発リスクもあわせて考えなければならないことを指摘している旨の説明があった。

 (4)中間とりまとめについて

 中間とりまとめに向けて、配慮すべき事項、盛り込むべき事項、今後検討すべき課題等について、8名の委員から、事前に出された資料(資料第8-3号)に基づいてそれぞれの意見が紹介されるとともに、これに続いて、事務局が作成した中間とりまとめの骨格案(資料第8-4号)についての説明がなされた。これらに対する質疑応答等は以下のとおり。

 (委員からの主たる意見)

 -全般関連-
 -誘致関連-
 -コスト関連-
 -その他-
 -第7回資料第7-3号(ITER計画懇談会における議論とまとめ(案))関連-
 (中間とりまとめ骨格案の概要)

  ○中間とりまとめの位置づけ
  ○将来のエネルギーについて
  ○核融合のエネルギーとしての開発について
  ○ITER計画の意義と必要性について
  ○国際協力の下でのITER計画の推進について
  ○今後の検討課題等について
(質疑応答)

  ○
当懇談会の本来の目的は、ITERを我が国へ誘致するかを判断することであると了解している。ITER計画の意義や必要性についてのまとめも重要ではあるが、中間とりまとめでは、国内の核融合研究に対する強力な基盤である基礎科学の充実、人材育成などの重要性の観点も踏まえた上で、我が国へ誘致する場合の条件を述べる必要があるのではないか。

  ○
国際的な視点について、いつも日本がアジアの中で唯一の国として参加して  いることに疑問。今はしかたがないのかもしれないが、30年もの年月が経った時を考えると、今後、人口が大きく消費エネルギーの大幅な増加が予測される中国やインドの参加なども考えておかないと、その時におかしなことにはならないか。このようなことも考慮すべきではないか。

  ○
四極においては、EDAの段階と建設の段階では区別されていると理解しており、建設段階ではより広く参加できるようにすることがこれまでの議論の基本的な方向である。

  ○
誰に対しての中間とりまとめなのか分からない。当懇談会の本来の目的を考慮すれば、ITER計画を我が国に誘致すべきかどうかに焦点をあてた報告書とすべき。この骨格案では、あまりに一般的すぎる書き方となっているので、最終的に判断する際に役立つものにならないのではないかと懸念。国民に対するPAとして使うのであれば、別のものを考えるべきではないか。

  ○
各極とも財政的に困難という状況を踏まえれば、核融合炉の開発ステップについても確認すべきことを記述すべき。

  ○
今後の検討を進めるにあたり、例えば、エネルギーについてどのように判断するのか、また、単にコストが高いということだけでなく、どこが高くて、また研究開発が進めば、将来的にはどのあたりはコスト低減が可能であるかなどについて、専門家を中心とした、データに基づいた検討が必要。これらを踏まえて議論をしないと検討が進まないのではないか。また、中間とりまとめに当たっては、国内及び国外にどのような影響を持つかを考慮した上でまとめることが必要。

  ○
国外的に使うとすれば、我が国が他極に対して言うべきことをはっきりさせることであり、国内的に使うとすれば、将来のエネルギーとして原子力しかないというこうとをもっときちんと国民に理解してもらわなければならない。したがって、国内と国外とでは求めるものが違うので、まず報告書の位置づけを考えることが必要。

  ○
中間とりまとめは、誰に向けて、どういう報告書を、何のために出すのかを  明確にしなければならないが、できれば、言葉は違うかもしれないが、考え方の構造は同じ形であるべきであり、その上で必要なことを国内外に示していきたい。一般の人にも影響を及ぼすエネルギー問題、さらに負担も伴うという問題について、日本固有の考え方によって意志決定をするということであるから、どのようなプロセスで何が決まったのかについては世界も関心を持っているだろうし、我々としてもこのような方法であれば最適な決定ができるという一例を示すことにもなるものであることから、同じ形で国内外に示していくべきではないか。

  ○
一つの考え方としては、まず、将来のエネルギーについて様々な意見があることを踏まえ、そもそも将来に向けエネルギー開発が必要なのかという大きな選択を行う。次に、もしエネルギー開発が必要であるとの選択になるのであるとすれば、どういうエネルギーが必要かという観点でオプションの一つとしての核融合について、技術的に実現可能性があるのかどうか、実現できるとしても実用のエネルギーのマーケットで競争力を持ちうるのかなど、考えられる道筋について全てをきちんと評価することが、専門家及び非専門家の両方のメンバーからなる当懇談会としてとるべき、あるいはとらざるを得ない道なのではないか。以上を踏まえ、中間とりまとめでは、これらを分かり易い形で示し、これらのオプションを定量的に判断するためにどのような調査を行わなければならないかを示すことが必要なことなのではないか。

  ○
素人から見て、将来の核融合エネルギー社会をどのようにイメージしているのかということを示すことが重要。例えば、将来どの程度核融合に頼るのか、核融合エネルギーを選択した場合、どの程度人類の永続的繁栄を保証できるのかなど、専門家では議論しきれないようなことについても言及すべき。量的なことではなく構造的な議論としてならある程度言及することも可能であるはず。

  ○
コストが高いことが大きな問題となっているが、どこにコストの大きさが出てくるのかなど、シミュレーションでも構わないので示してほしい。限られた予算のなかで、どのようなところに重点的に配分していくかということが重要になると思うが、日本の科学技術への資源配分について、日本固有のシナリオを詰めるべき。

  ○
非専門家に分からせるためには、何より例をあげて説明することが重要。例えば、米国の超電導超大型加速器(SSC)計画が中断されたことによって何か技術が遅れたのか、それとも特に問題はなかったのか、また開発はされたが、商売になっていないような超音速旅客機は果たして本当に実用化されたと言えるのか、これは科学技術政策として成功だったのか、失敗だったのかなど、3年間の余裕ができたのだから、この間にじっくり勉強してはどうか。

  ○
日本固有のシナリオを作っておく必要はあると思うが、不確定性が伴い失敗することも避けられないことは理解しなければならない。不確定性をもっているとしてもあることに踏み切る時には、ある程度定量的な資源配分を行わなければならない問題が生じることになるが、その際には、不確定性の大きさに依存して予算配分が圧縮されるといった科学技術政策の基本的な考え方についても最終報告において言及しておくことが必要かもしれない。

  ○
人材育成や大学の体制についても、日本固有の形で育たなければ、ITERは受け入れられないとの話もあり、このようなことについても、最終的に報告書を取りまとめる時には入れなければならないのではないかと思う。

  ○
非専門家が参加しているといっても、一般国民としてではないので、ある程度幅を狭くした形の報告書にすべきではないか。ITERの誘致の問題が当懇談会の目的であるのだから、その目的を判断できる程度の報告書にすべきではないか。ITER計画懇談会以外の検討の場でも検討できることについては、他の議論の場に委ねるなどのことをしないと焦点がはっきりしないものになる。

  ○
当懇談会の争点は明らかに、ITERの誘致の是非であり、論点を広げることは好ましくはないかもしれないが、議論の対象にしないまでも結論を導く前提として、ある程度、基本の問題を明示しておくことは必要でないか。

  ○
どこに焦点をあてるかをはっきりさせることが必要ではないか。

  ○
今後の国際協力にも影響を与えるので、できるだけ日本がどう考えているかということがはっきり分かる報告書が作成されることが重要。日本に誘致した場合、海外に置かれた場合についての検討を日本が始めたことがわかるようになればありがたい。

  ○
とりまとめのスタンスとしては、まず省エネルギーに努力をして、次に、太陽光や風力などの新エネルギーをやるだけやるということで多角化を図る、それでも不足したところを原子力で補い、核融合はその次のものであるという位置づけ、即ち、はじめの2つの対策の前提があって原子力や核融合があるということを明確にすべきである。

  ○
報告書のスタイルについては、客観的な表現で、懇談会に出された意見を盛り込むようなものにしてもらいたい。

 (5)その他

  ○次回は、平成10年2月10日(火)に開催の予定。