資料第4-7号

EU及び米国の動向について

平成9年5月26日

<EUの動向について>

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5月15日に開催された研究相理事会において、第5次研究開発フレームワーク(案)に関する最初の議論が行われた。同案自体については、EU計画全体とのバランス等に対する懸念からスペインが拒否し、引き続き検討を進めることとされた。核融合については、席上、議長国であるオランダより核融合研究開発に関する5つの中長期的シナリオが提示された。

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今後EU内部において、同シナリオに関し、予算上の配慮を含めた第5次研究開発フレームワークへの反映を検討し、10月初めまでに同理事会に報告することが求められているとのこと。

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同理事会では、報告を受け、11月に改めて第5次研究開発フレームワーク期間における核融合研究の進め方について議論する予定。

<<議長より示された核融合研究に関する5つのシナリオ>>

①核融合研究の断念
 -JETの停止、ITER計画の中止

②科学としての核融合研究の実施
 -欧州の核融合研究の科学的・技術的基礎の維持

③2000年以降への決定の延期
 -JETの2~3年の延長、第4次フレームワークと同程度の予算

④ITERの建設

⑤欧州域内計画としての核融合実験炉(Next Step)の建設
 -欧州単独による計画を実施

(以上 European Report (EU)等より入手)


<米国の動向について>

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下院科学委員会(センセンブレナー議長)は、98年度の核融合関連予算に関し、政府要求額より15百万ドル多い240百万ドルを上限として決定

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また、同委員会の議長以下8名の署名により5月7日付で、歳出委員会エネルギー・水資源小委員会(マックデード議長)に科学委員会の提案を尊重するようレターを発出

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最近の核融合関連の報道振り
・ITER計画は、予算不足のために来年1月につぶれる危機にある
・今月日本では、財政難により、ITER建設が3年遅れるとした記事が掲載された
・エネルギー省A.デービス核融合部長はインタビューに対して以下を回答
-ITERは、建設が開始されるまでに3年間現在の活動を継続する可能性がある
-米国がITERに対し5%しか負担できないことが他3極を消極的にしている
-現時点では、100%の資金の積み上げの見通しが得られていない
-現時点ではどの極も誘致表明はしていないが、日本が誘致を望んでおり、最大の貢献をするだろう
-日本は、原子力委員会にITER計画懇談会を設置し、ITER計画の進め方を審議中。来年早々には政府の対応が明らかになる見通し
-伊政府が誘致に関心を示しており、サイト検討中である

(5月20日付New York Timesより)